JPH0359124B2 - - Google Patents
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- JPH0359124B2 JPH0359124B2 JP59274296A JP27429684A JPH0359124B2 JP H0359124 B2 JPH0359124 B2 JP H0359124B2 JP 59274296 A JP59274296 A JP 59274296A JP 27429684 A JP27429684 A JP 27429684A JP H0359124 B2 JPH0359124 B2 JP H0359124B2
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
この発明は、ラインパイプ用として使用される
ホツトコイルに関し、特に寒冷地でしかも硫化水
素や二酸化炭素を含む湿潤環境(以下サワー環境
という)において使用されるものの、耐水素誘起
割れ性及び低温靭性を著しく向上させようとする
ものである。 (従来の技術) サワー環境において使用されるラインパイプ等
の鋼材には、水素誘起割れ(以後HICという)と
称する割れが発生し、漏洩やバースト事故の原因
となることが知られている。HICの発生機構は、
サワー環境下で起る鋼材表面の腐食によつて生じ
た原子状の水素が鋼材中に侵入し、鋼材中の
MnSや酸化物系クラスター状介在物のような層
状な広がりを持つ介在物のまわりに集積して、割
れが生じるものと考えられている。 介在物を起点に発生したHICは、鋼材中の成
分、組織、硬さ等の不均質な部分に沿つて伝播、
成長する。この不均質部分は、特に鋳片の最終凝
固部、つまり均等冷却で凝固した連鋳鋳片の中心
部に相当する位置(以下中心偏析帯という)に発
生しやすい。この位置は、MnSのような介在物
と中心偏析帯という不均質部分が共存するため、
最もHICを発生しやすい。さらに近年では、天然
資源の枯渇化から、さらに硫化水素や炭酸ガスの
含有量の多いガス田の開発や、寒冷地での資源開
発が増加していることから、耐HIC性及び低温靭
性の両特性を有する鋼板の要求が高まつている。 以上のような耐HIC鋼を製造するために、従来
(1)鋼材表面の腐食を抑制するか、あるいは、表面
に安定被膜を形成する元素であるCu、Ni等を添
加して腐食に伴う鋼中への侵入水素を低減させる
方法で、例えば、特公昭54−38572号公報に示さ
れている方法。(2)S含有量の低減、またはCa、
REM等の添加により、MnSを減少、あるいは有
害度の小さい球状介在物に形態制御し、HICの発
生を抑制する方法で、例えば、特公昭57−161846
号公報、特公昭57−14747号公報に示されている
Ca添加法。(3)C、Mn、P等の含有量を低減し、
あるいは鋳片を均熱拡散処理して、中心偏析帯の
濃縮した成分を稀釈し、HICの伝播、成長を抑制
する方法で、例えば、特開昭57−104653号公報、
特開昭58−221260号公報、特開昭58−221261号公
報、特公昭55−49129号公報に示されている方法。
(4)適切な熱延方法により鋼材の組織や硬さを均一
化し、HICの伝播、成長を抑制する方法で、例え
ば特開昭57−47827号公報に示されている方法が
ある。 (発明が解決しようとする問題点) 石油、天然ガス用ラインパイプでは、定期的に
行われる内部清掃の際に、内部を通す器具(ピ
グ)によつてパイプ内面に傷を生じることがあ
る。従つてCu、Ni等によりパイプ内面に安定し
た腐食被膜を形成させても、この傷の部分では被
膜がはがれてしまい、新たな局部腐食が発生する
ため、水素の侵入を完全に防止することは不可能
である。そのため、従来技術の(2)〜(4)で述べた
HICの発生起点の減少及び伝播、成長の抑制が必
要となる。 HICの発生起点としては、圧延によつて伸延す
るMnSが最も有害であり、MnSを完全に消滅さ
せることができれば、HICは、ほとんど発生しな
いと考えられる。しかし、工業的には、溶鋼のS
を0.0010%以下として、Caを添加しても溶鋼の凝
固過程では成分の濃縮が起こり、中心偏析部のよ
うな最終凝固位置では、MnとSの濃縮による
MnSの析出は避けられず、HICの発生起点を完
全に消滅することはできない。 従つて、HICの伝播、成長の抑制が最も重要な
問題であるが、特開昭58−221260号公報、特開昭
58−221261号公報で述べられているMn量の上限
規制だけでは、HICの伝播、成長の経路となる異
常組織の発生は避けられない。また特開昭57−
104653号公報のように、C≦0.05%とすると、現
地溶接での溶接金属の高温割れを起こしやすい。
また、スラブを均熱加熱してHICの伝播、成長を
抑制させるためには、特公昭55−49129号公報に
示されているように、1300℃まで30分〜10時間、
1150℃で5時間から150時間というように、極め
て高温、または、長時間の均熱拡散が必要であ
り、製造コスト、さらに省エネルギーの観点から
問題である。 従つて特開昭57−47827号公報に示されている
ように、圧延によつて組織制御する方法が有効で
あるが、熱間加工終了温度が870℃以上では、低
温での高靭性を得ることができない。またホツト
コイルと厚板を比較すると、ホツトコイルは連続
圧延プロセスで大圧下を行うため、HICの発生原
因となる伸延介在物及びHICの伝播、成長経路と
なる層状組織を形成しやすい。 またホツトコイルは、厚板の制御冷却にはない
巻取工程が存在するため、厚板の制御冷却材に比
べ、水冷停止後の冷却速度が著しく小さい。その
ため、C.P等の粒界偏析の増加による粒界脆化及
び析出物の粗大化等が起こりやすく、これらは耐
HIC性を劣化させる原因となる。従つて、ただ単
に、厚板での制御冷却技術の適用だけでは、ホツ
トコイルの材質を向上させることはできない。 以上より、本発明により解決しようとする問題
点は、ホツトコイル特有の問題を解決し、従来の
技術では得られていない耐HIC性と低温靭性の両
特性を同時に発揮するホツトコイルを得ようとす
ることにある。 (問題点を解決するための手段) 本発明の要旨は、C:0.05〜0.12%、Si:0.10
〜0.40%、Mn:0.5〜1.20%、Al:0.005〜0.10%、
P≦0.010%、S≦0.0009%、Ca:0.0020〜0.0060
%、さらにNi≦0.60%、Cu≦0.60%、Cr:≦1.00
%、Mo:≦0.60%、Nb≦0.10%、V≦0.10%、
Zr:≦0.10%、Ti:≦0.10%のうち1種または2
種以上を含み、残部は鉄及び不純物より成るスラ
ブを1200℃以下のオーステナイト域で、断面減少
率20%以上の熱間加工を施し、その後スラブの中
心温度を1100〜1250℃で30分以上、2時間未満保
定した後、950℃以下で50%以上の圧下を行い、
熱間加工を720〜820℃の範囲で終了し、引き続い
て、平均冷却速度5〜30℃/secで冷却した後、
400〜600℃の範囲で巻取ることを特徴とする高靭
性耐サワー鋼管用ホツトコイルの製造方法であ
る。 次に本発明の成分及び圧延条件の限定理由につ
いて述べる。 Cは強度元素として重要な元素であるが、0.12
%を超えると靭性を劣化させ、0.05%未満では必
要な強度を確保することができないだけでなく、
現地溶接での高温割れが発生しやすくなるため、
0.05〜0.12%とした。 Siは脱酸材として添加するもので、0.1%以上
でないと脱酸の効果がなく、0.4%を超えると靭
性を劣化させるため、0.10〜0.40%とした。 Mnは脱酸剤としても必要であるが、Cと同様
に強度元素として重要な元素であり、0.5%未満
では必要な強度を確保することができず、1.20%
を超えると、耐HIC性を劣化させるため0.5〜1.20
%とした。 Alは脱酸上必要であり、結晶粒の粗大化防止
の効果もある。0.005%未満では脱酸の効果がな
く、0.10%を超すと、靭性を劣化させるため、
0.005〜0.10%とした。 発明者らの研究によればHICはS≧0.0010%の
鋼では、圧延の熱間加工終了温度の低下に伴つて
悪化するという熱間加工終了温度依存性が見ら
れ、特に靭性の向上が大きい820℃以下でその傾
向が大きいが、S≦0.0009%の鋼では、上記の傾
向が全く見られなくなることを発見した。そこで
S≦0.0009%とした。 後述する冷却速度及び巻取温度による組織制御
を行つても、偏析が大きい場合には、偏析部が硬
化し、HICが伝播、成長する。しかし、組織制御
を行い、かつ溶鋼のP含有量をP≦0.006%とす
ると、PH4.0未満のきびしいサワー環境で、HIC
の伝播、成長を防止できることを見出した(第3
図参照)。 さらに、連鋳製スラブを1200℃以下のオーステ
ナイト域で、断面減少率20%以上の熱間加工を行
うことにより、Pの拡散係数が増加するため、
1100〜1250℃で30分以上2時間未満という比較的
低温短時間で均熱でもP偏析の拡散効果が得られ
るため、この工程を加えることにより、Pの上限
を0.010%まで引き上げられることを見出した
(第3図参照)。 Caは、Al2O3を形態制御して大型化し、MnS
を球状無害化するために加えるが、0.0020%以下
ではその効果がなく、0.0060%を超えると、Ca系
のクラスター状介在物を形成し耐HIC性を劣化さ
せるため、0.0020〜0.0060%とした。Niは耐食性
の向上、強度の同化、靭性の向上に有効である
が、0.6%を超えると局部腐食が増大するため、≦
0.6%とした。Cuは、耐食性の向上、強度の増加
に有効であるが、0.6%を超えると、圧延欠陥を
生じやすいため、≦0.6%とした。Crは、耐HIC性
及び靭性を劣化させずに強度を増加させることが
できるが、1.00%を超えると靭性を劣化させるた
め、≦1.00%とした。Moは焼き入れ性、強度の向
上に効果があるが、0.60%を超えると靭性の劣化
をまねくので、≦0.60%とした。Nb、V及びZr
は、Moと同様な効果があるが、0.10%を超える
と靭性の劣化をまねくため≦0.10%とした。 Tiは、溶接熱影響部の靭性向上に効果がある
が、0.10%を超えると逆に靭性を劣化させるた
め、≦0.10%とした。 本発明は950℃以下の圧下率:≧50%とするが、
50%以上取ることによつて靭性が向上するので、
50%以上とした。最終熱間加工温度は720〜820℃
とするが、S≦0.0009%とすれば、HICの最終熱
間加工温度依存性がなくなるため、低温靭性の得
られる720〜820℃の範囲とした(第1図、第2図
参照)。 平均冷却速度は5〜30℃/secとする。平均冷
却速度が5℃/sec未満ではフエライトパーライ
トの2相分離が進むため、中心偏析部でフエライ
トのバンド状組織が形成されやすく、30℃/sec
超では硬化したベイナイト状組織が形成されやす
く、耐HIC性が劣化するため、5〜30℃/secと
した(第4図参照)。 巻取温度は400〜600℃とする。ホツトコイルは
巻取工程があるため、厚板と比べて水冷停止後の
冷却速度が極端に遅い。そのため、Ar1変態点以
上の温度で巻取ると、フエライトとパーライトの
2相分離が進み、フエライト・パーライトのバン
ド状組織が形成される。特に中心偏析帯ではこの
傾向が著しいため、耐HIC性が劣化する。従つて
巻取温度の上限はAr1変態の完了している600℃
とした。さらに、巻取温度が400℃未満の領域で
は、平均冷却速度が30℃/sec超の場合と同様に、
硬化したベイナイト状組織を形成しやすく耐HIC
性が劣化する。以上より巻取温度は400〜600℃と
した(第5図参照)。 (作用) 発明者らはPH4.0未満の厳しいサワー環境でS
≧0.0010%の鋼に発生するHICは、圧延の熱加工
終了温度の低下に伴つて増加するという熱間加工
終了温度依存性が有り、特に低温靭性の向上が大
きい820℃以下の温度範囲でその傾向が著しいが、
S≦0.0009%の鋼では、上記の傾向が全く見られ
ないことを発見した。 この発見により、950℃以下で50%以上の圧化
を行い、720〜820℃の温度で熱間加工を終了する
ことにより、耐HIC性を損なわずに低温靭性を得
ることを可能にした。しかしS≦0.0009%として
も、連鋳製スラブの中心偏析部では、MnSの析
出が避けられない部分もあり、このような場所で
はHICが発生する。 このようなHICをなくすためには、P≦0.006
%とすることによりPの偏析を軽減させ、かつ熱
間加工終了後引き続いて冷却速度5〜30℃/sec
で冷却し、巻取温度400〜600℃で巻取つて、中心
偏析部の組織をHICが伝播、成長しない組織にコ
ントロールすることによつて初めて抑制できるこ
とを発見した。 さらに、0.006%<P≦0.010%でも、スラブを
1200℃以下のオーステナイト域で、断面減少率20
%以上の熱間加工を施して拡散起点を作り込み、
その後スラブの中心温度を1100℃以上1250℃未満
で、30分以上2時間未満保定し、不可避的に生成
した偏析を拡散して消滅又は軽減させた後、最終
熱間加工を行い、引き続いて冷却速度5〜30℃/
secで冷却し、巻取温度400〜600℃で巻取ること
により、HICを防止できる。 以上のように、本発明は、PH4.0未満のきびし
いサワー環境での耐HIC性と、低温靭性の両特性
がすぐれたホツトコイルの製造を可能としたもの
である。 (実施例) 発明者らは、耐HIC性に及ぼすS,R及び圧延
条件の影響を明らかにするため、S及びP含有量
を変えた鋼を用い、実験を行つた。試料はすべて
連続鋳造法により鋳造し、Caは粒状合金をタン
デイツシユに連続添加する方法により行つた。 次に、この様に製造したスラブをホツトミルに
て圧延し、ホツトコイルとして得た板を用いて、
耐HIC性評価試験を行なつた。耐HIC性評価試験
は、いわゆるBP試験法に準じた方法で行つた。
すなわち、試料をNACE液(0.5%酢酸−5%塩
化ナトリウム溶液に、H2Sを飽和させた溶液でPH
は約3.8)中に96時間浸漬した。 HIC発生の有無は、浸漬を完了した試験片を
USTで探傷することにより、試片表面に対する
欠陥の割合(以下CARという)で評価した。 表1〜2に実施例を示す。
ホツトコイルに関し、特に寒冷地でしかも硫化水
素や二酸化炭素を含む湿潤環境(以下サワー環境
という)において使用されるものの、耐水素誘起
割れ性及び低温靭性を著しく向上させようとする
ものである。 (従来の技術) サワー環境において使用されるラインパイプ等
の鋼材には、水素誘起割れ(以後HICという)と
称する割れが発生し、漏洩やバースト事故の原因
となることが知られている。HICの発生機構は、
サワー環境下で起る鋼材表面の腐食によつて生じ
た原子状の水素が鋼材中に侵入し、鋼材中の
MnSや酸化物系クラスター状介在物のような層
状な広がりを持つ介在物のまわりに集積して、割
れが生じるものと考えられている。 介在物を起点に発生したHICは、鋼材中の成
分、組織、硬さ等の不均質な部分に沿つて伝播、
成長する。この不均質部分は、特に鋳片の最終凝
固部、つまり均等冷却で凝固した連鋳鋳片の中心
部に相当する位置(以下中心偏析帯という)に発
生しやすい。この位置は、MnSのような介在物
と中心偏析帯という不均質部分が共存するため、
最もHICを発生しやすい。さらに近年では、天然
資源の枯渇化から、さらに硫化水素や炭酸ガスの
含有量の多いガス田の開発や、寒冷地での資源開
発が増加していることから、耐HIC性及び低温靭
性の両特性を有する鋼板の要求が高まつている。 以上のような耐HIC鋼を製造するために、従来
(1)鋼材表面の腐食を抑制するか、あるいは、表面
に安定被膜を形成する元素であるCu、Ni等を添
加して腐食に伴う鋼中への侵入水素を低減させる
方法で、例えば、特公昭54−38572号公報に示さ
れている方法。(2)S含有量の低減、またはCa、
REM等の添加により、MnSを減少、あるいは有
害度の小さい球状介在物に形態制御し、HICの発
生を抑制する方法で、例えば、特公昭57−161846
号公報、特公昭57−14747号公報に示されている
Ca添加法。(3)C、Mn、P等の含有量を低減し、
あるいは鋳片を均熱拡散処理して、中心偏析帯の
濃縮した成分を稀釈し、HICの伝播、成長を抑制
する方法で、例えば、特開昭57−104653号公報、
特開昭58−221260号公報、特開昭58−221261号公
報、特公昭55−49129号公報に示されている方法。
(4)適切な熱延方法により鋼材の組織や硬さを均一
化し、HICの伝播、成長を抑制する方法で、例え
ば特開昭57−47827号公報に示されている方法が
ある。 (発明が解決しようとする問題点) 石油、天然ガス用ラインパイプでは、定期的に
行われる内部清掃の際に、内部を通す器具(ピ
グ)によつてパイプ内面に傷を生じることがあ
る。従つてCu、Ni等によりパイプ内面に安定し
た腐食被膜を形成させても、この傷の部分では被
膜がはがれてしまい、新たな局部腐食が発生する
ため、水素の侵入を完全に防止することは不可能
である。そのため、従来技術の(2)〜(4)で述べた
HICの発生起点の減少及び伝播、成長の抑制が必
要となる。 HICの発生起点としては、圧延によつて伸延す
るMnSが最も有害であり、MnSを完全に消滅さ
せることができれば、HICは、ほとんど発生しな
いと考えられる。しかし、工業的には、溶鋼のS
を0.0010%以下として、Caを添加しても溶鋼の凝
固過程では成分の濃縮が起こり、中心偏析部のよ
うな最終凝固位置では、MnとSの濃縮による
MnSの析出は避けられず、HICの発生起点を完
全に消滅することはできない。 従つて、HICの伝播、成長の抑制が最も重要な
問題であるが、特開昭58−221260号公報、特開昭
58−221261号公報で述べられているMn量の上限
規制だけでは、HICの伝播、成長の経路となる異
常組織の発生は避けられない。また特開昭57−
104653号公報のように、C≦0.05%とすると、現
地溶接での溶接金属の高温割れを起こしやすい。
また、スラブを均熱加熱してHICの伝播、成長を
抑制させるためには、特公昭55−49129号公報に
示されているように、1300℃まで30分〜10時間、
1150℃で5時間から150時間というように、極め
て高温、または、長時間の均熱拡散が必要であ
り、製造コスト、さらに省エネルギーの観点から
問題である。 従つて特開昭57−47827号公報に示されている
ように、圧延によつて組織制御する方法が有効で
あるが、熱間加工終了温度が870℃以上では、低
温での高靭性を得ることができない。またホツト
コイルと厚板を比較すると、ホツトコイルは連続
圧延プロセスで大圧下を行うため、HICの発生原
因となる伸延介在物及びHICの伝播、成長経路と
なる層状組織を形成しやすい。 またホツトコイルは、厚板の制御冷却にはない
巻取工程が存在するため、厚板の制御冷却材に比
べ、水冷停止後の冷却速度が著しく小さい。その
ため、C.P等の粒界偏析の増加による粒界脆化及
び析出物の粗大化等が起こりやすく、これらは耐
HIC性を劣化させる原因となる。従つて、ただ単
に、厚板での制御冷却技術の適用だけでは、ホツ
トコイルの材質を向上させることはできない。 以上より、本発明により解決しようとする問題
点は、ホツトコイル特有の問題を解決し、従来の
技術では得られていない耐HIC性と低温靭性の両
特性を同時に発揮するホツトコイルを得ようとす
ることにある。 (問題点を解決するための手段) 本発明の要旨は、C:0.05〜0.12%、Si:0.10
〜0.40%、Mn:0.5〜1.20%、Al:0.005〜0.10%、
P≦0.010%、S≦0.0009%、Ca:0.0020〜0.0060
%、さらにNi≦0.60%、Cu≦0.60%、Cr:≦1.00
%、Mo:≦0.60%、Nb≦0.10%、V≦0.10%、
Zr:≦0.10%、Ti:≦0.10%のうち1種または2
種以上を含み、残部は鉄及び不純物より成るスラ
ブを1200℃以下のオーステナイト域で、断面減少
率20%以上の熱間加工を施し、その後スラブの中
心温度を1100〜1250℃で30分以上、2時間未満保
定した後、950℃以下で50%以上の圧下を行い、
熱間加工を720〜820℃の範囲で終了し、引き続い
て、平均冷却速度5〜30℃/secで冷却した後、
400〜600℃の範囲で巻取ることを特徴とする高靭
性耐サワー鋼管用ホツトコイルの製造方法であ
る。 次に本発明の成分及び圧延条件の限定理由につ
いて述べる。 Cは強度元素として重要な元素であるが、0.12
%を超えると靭性を劣化させ、0.05%未満では必
要な強度を確保することができないだけでなく、
現地溶接での高温割れが発生しやすくなるため、
0.05〜0.12%とした。 Siは脱酸材として添加するもので、0.1%以上
でないと脱酸の効果がなく、0.4%を超えると靭
性を劣化させるため、0.10〜0.40%とした。 Mnは脱酸剤としても必要であるが、Cと同様
に強度元素として重要な元素であり、0.5%未満
では必要な強度を確保することができず、1.20%
を超えると、耐HIC性を劣化させるため0.5〜1.20
%とした。 Alは脱酸上必要であり、結晶粒の粗大化防止
の効果もある。0.005%未満では脱酸の効果がな
く、0.10%を超すと、靭性を劣化させるため、
0.005〜0.10%とした。 発明者らの研究によればHICはS≧0.0010%の
鋼では、圧延の熱間加工終了温度の低下に伴つて
悪化するという熱間加工終了温度依存性が見ら
れ、特に靭性の向上が大きい820℃以下でその傾
向が大きいが、S≦0.0009%の鋼では、上記の傾
向が全く見られなくなることを発見した。そこで
S≦0.0009%とした。 後述する冷却速度及び巻取温度による組織制御
を行つても、偏析が大きい場合には、偏析部が硬
化し、HICが伝播、成長する。しかし、組織制御
を行い、かつ溶鋼のP含有量をP≦0.006%とす
ると、PH4.0未満のきびしいサワー環境で、HIC
の伝播、成長を防止できることを見出した(第3
図参照)。 さらに、連鋳製スラブを1200℃以下のオーステ
ナイト域で、断面減少率20%以上の熱間加工を行
うことにより、Pの拡散係数が増加するため、
1100〜1250℃で30分以上2時間未満という比較的
低温短時間で均熱でもP偏析の拡散効果が得られ
るため、この工程を加えることにより、Pの上限
を0.010%まで引き上げられることを見出した
(第3図参照)。 Caは、Al2O3を形態制御して大型化し、MnS
を球状無害化するために加えるが、0.0020%以下
ではその効果がなく、0.0060%を超えると、Ca系
のクラスター状介在物を形成し耐HIC性を劣化さ
せるため、0.0020〜0.0060%とした。Niは耐食性
の向上、強度の同化、靭性の向上に有効である
が、0.6%を超えると局部腐食が増大するため、≦
0.6%とした。Cuは、耐食性の向上、強度の増加
に有効であるが、0.6%を超えると、圧延欠陥を
生じやすいため、≦0.6%とした。Crは、耐HIC性
及び靭性を劣化させずに強度を増加させることが
できるが、1.00%を超えると靭性を劣化させるた
め、≦1.00%とした。Moは焼き入れ性、強度の向
上に効果があるが、0.60%を超えると靭性の劣化
をまねくので、≦0.60%とした。Nb、V及びZr
は、Moと同様な効果があるが、0.10%を超える
と靭性の劣化をまねくため≦0.10%とした。 Tiは、溶接熱影響部の靭性向上に効果がある
が、0.10%を超えると逆に靭性を劣化させるた
め、≦0.10%とした。 本発明は950℃以下の圧下率:≧50%とするが、
50%以上取ることによつて靭性が向上するので、
50%以上とした。最終熱間加工温度は720〜820℃
とするが、S≦0.0009%とすれば、HICの最終熱
間加工温度依存性がなくなるため、低温靭性の得
られる720〜820℃の範囲とした(第1図、第2図
参照)。 平均冷却速度は5〜30℃/secとする。平均冷
却速度が5℃/sec未満ではフエライトパーライ
トの2相分離が進むため、中心偏析部でフエライ
トのバンド状組織が形成されやすく、30℃/sec
超では硬化したベイナイト状組織が形成されやす
く、耐HIC性が劣化するため、5〜30℃/secと
した(第4図参照)。 巻取温度は400〜600℃とする。ホツトコイルは
巻取工程があるため、厚板と比べて水冷停止後の
冷却速度が極端に遅い。そのため、Ar1変態点以
上の温度で巻取ると、フエライトとパーライトの
2相分離が進み、フエライト・パーライトのバン
ド状組織が形成される。特に中心偏析帯ではこの
傾向が著しいため、耐HIC性が劣化する。従つて
巻取温度の上限はAr1変態の完了している600℃
とした。さらに、巻取温度が400℃未満の領域で
は、平均冷却速度が30℃/sec超の場合と同様に、
硬化したベイナイト状組織を形成しやすく耐HIC
性が劣化する。以上より巻取温度は400〜600℃と
した(第5図参照)。 (作用) 発明者らはPH4.0未満の厳しいサワー環境でS
≧0.0010%の鋼に発生するHICは、圧延の熱加工
終了温度の低下に伴つて増加するという熱間加工
終了温度依存性が有り、特に低温靭性の向上が大
きい820℃以下の温度範囲でその傾向が著しいが、
S≦0.0009%の鋼では、上記の傾向が全く見られ
ないことを発見した。 この発見により、950℃以下で50%以上の圧化
を行い、720〜820℃の温度で熱間加工を終了する
ことにより、耐HIC性を損なわずに低温靭性を得
ることを可能にした。しかしS≦0.0009%として
も、連鋳製スラブの中心偏析部では、MnSの析
出が避けられない部分もあり、このような場所で
はHICが発生する。 このようなHICをなくすためには、P≦0.006
%とすることによりPの偏析を軽減させ、かつ熱
間加工終了後引き続いて冷却速度5〜30℃/sec
で冷却し、巻取温度400〜600℃で巻取つて、中心
偏析部の組織をHICが伝播、成長しない組織にコ
ントロールすることによつて初めて抑制できるこ
とを発見した。 さらに、0.006%<P≦0.010%でも、スラブを
1200℃以下のオーステナイト域で、断面減少率20
%以上の熱間加工を施して拡散起点を作り込み、
その後スラブの中心温度を1100℃以上1250℃未満
で、30分以上2時間未満保定し、不可避的に生成
した偏析を拡散して消滅又は軽減させた後、最終
熱間加工を行い、引き続いて冷却速度5〜30℃/
secで冷却し、巻取温度400〜600℃で巻取ること
により、HICを防止できる。 以上のように、本発明は、PH4.0未満のきびし
いサワー環境での耐HIC性と、低温靭性の両特性
がすぐれたホツトコイルの製造を可能としたもの
である。 (実施例) 発明者らは、耐HIC性に及ぼすS,R及び圧延
条件の影響を明らかにするため、S及びP含有量
を変えた鋼を用い、実験を行つた。試料はすべて
連続鋳造法により鋳造し、Caは粒状合金をタン
デイツシユに連続添加する方法により行つた。 次に、この様に製造したスラブをホツトミルに
て圧延し、ホツトコイルとして得た板を用いて、
耐HIC性評価試験を行なつた。耐HIC性評価試験
は、いわゆるBP試験法に準じた方法で行つた。
すなわち、試料をNACE液(0.5%酢酸−5%塩
化ナトリウム溶液に、H2Sを飽和させた溶液でPH
は約3.8)中に96時間浸漬した。 HIC発生の有無は、浸漬を完了した試験片を
USTで探傷することにより、試片表面に対する
欠陥の割合(以下CARという)で評価した。 表1〜2に実施例を示す。
【表】
【表】
* ○割れなし ×割れ有り
表2には、本発明鋼及び比較鋼の靭性及び耐
HIC性評価を示す。 この表から明らかなように、本発明鋼A,B
は、比較例C,D,Eに比し優れた靭性及び耐
HIC性を得ることができる。 (発明の効果) 以上述べたように、本発明により、PH4.0未満
のきびしいサワー環境での耐HIC性と、低温靭性
の両特性にすぐれたホツトコイルが製造でき、寒
冷地のサワー環境でHICの発生及び低温脆性破壊
によるバースト事故が発生しないラインパイプの
製造が可能である。
表2には、本発明鋼及び比較鋼の靭性及び耐
HIC性評価を示す。 この表から明らかなように、本発明鋼A,B
は、比較例C,D,Eに比し優れた靭性及び耐
HIC性を得ることができる。 (発明の効果) 以上述べたように、本発明により、PH4.0未満
のきびしいサワー環境での耐HIC性と、低温靭性
の両特性にすぐれたホツトコイルが製造でき、寒
冷地のサワー環境でHICの発生及び低温脆性破壊
によるバースト事故が発生しないラインパイプの
製造が可能である。
第1図は、耐HIC性に及ぼす熱間加工終了温度
の影響の図表、第2図は、靭性に及ぼす熱間加工
終了温度の影響の図表、第3図は、耐HIC性に及
ぼすP含有量の影響の図表、第4図は耐HIC性に
及ぼす平均冷却速度の影響の図表、第5図は耐
HIC性に及ぼす巻取温度の影響の図表である。
の影響の図表、第2図は、靭性に及ぼす熱間加工
終了温度の影響の図表、第3図は、耐HIC性に及
ぼすP含有量の影響の図表、第4図は耐HIC性に
及ぼす平均冷却速度の影響の図表、第5図は耐
HIC性に及ぼす巻取温度の影響の図表である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量比で C:0.05〜0.12%、 Si:0.10〜0.40%、 Mn:0.5〜1.20%、 Al:0.005〜0.10%、 P≦0.010%、 S≦0.0009%、 Ca:0.0020〜0.0060%、 さらに Ni≦0.60%、 Cu≦0.60%、 Cr≦1.00%、 Mo≦0.60%、 Nb≦0.10%、 V≦0.10%、 Zr≦0.10%、 Zr≦0.10%、 のうち1種または2種以上を含み、残部は鉄及び
不純物より成るスラブを1200℃以下のオーステナ
イト域で断面減少率20%以上の熱間加工を施し、
その後スラブの中心温度を1100〜1250℃で30分以
上、2時間未満保定した後、950℃以下で50%以
上の圧下を行い、熱間加工を720〜820℃の範囲で
終了し、引き続いて、平均冷却速度5〜30℃/
secで冷却した後、400〜600℃の範囲で巻取るこ
とを特徴とする高靭性耐サワー鋼管用ホツトコイ
ルの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27429684A JPS61157628A (ja) | 1984-12-28 | 1984-12-28 | 高靭性耐サワ−鋼管用ホツトコイルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27429684A JPS61157628A (ja) | 1984-12-28 | 1984-12-28 | 高靭性耐サワ−鋼管用ホツトコイルの製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS61157628A JPS61157628A (ja) | 1986-07-17 |
| JPH0359124B2 true JPH0359124B2 (ja) | 1991-09-09 |
Family
ID=17539666
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP27429684A Granted JPS61157628A (ja) | 1984-12-28 | 1984-12-28 | 高靭性耐サワ−鋼管用ホツトコイルの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS61157628A (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0288054B1 (en) * | 1987-04-24 | 1993-08-11 | Nippon Steel Corporation | Method of producing steel plate with good low-temperature toughness |
| KR100544419B1 (ko) * | 2000-12-20 | 2006-01-24 | 주식회사 포스코 | 저온인성이 우수한 인장강도 80㎏/㎟급 고내후성열연강판의 제조방법 |
| EP1325967A4 (en) * | 2001-07-13 | 2005-02-23 | Jfe Steel Corp | HIGH-TIGHT STEEL TUBE HIGHER THAN HIGHER THAN QUALITY API X65 |
| KR100622888B1 (ko) * | 2002-09-04 | 2006-09-14 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 대입열용접용 강재 및 그 제조방법 |
| JP4305216B2 (ja) | 2004-02-24 | 2009-07-29 | Jfeスチール株式会社 | 溶接部の靭性に優れる耐サワー高強度電縫鋼管用熱延鋼板およびその製造方法 |
Family Cites Families (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS57149423A (en) * | 1981-03-10 | 1982-09-16 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Manufacture of thick high-tensile steel plate having excellent low-temperature matting property |
| JPS581014A (ja) * | 1981-06-26 | 1983-01-06 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 耐水素誘起割れ性の優れたホツトコイルの製造方法 |
| JPS591632A (ja) * | 1982-06-28 | 1984-01-07 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 冷間加工性のすぐれたTi添加強靭性熱延高張力鋼板の製造法 |
| JPS6134116A (ja) * | 1984-07-24 | 1986-02-18 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 強靭性熱間圧延コイルの製造法 |
-
1984
- 1984-12-28 JP JP27429684A patent/JPS61157628A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS61157628A (ja) | 1986-07-17 |
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