JPH0359381B2 - - Google Patents
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- JPH0359381B2 JPH0359381B2 JP60028149A JP2814985A JPH0359381B2 JP H0359381 B2 JPH0359381 B2 JP H0359381B2 JP 60028149 A JP60028149 A JP 60028149A JP 2814985 A JP2814985 A JP 2814985A JP H0359381 B2 JPH0359381 B2 JP H0359381B2
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- Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)
Description
産業上の利用分野
本発明は、蛋白質を含有する生物学的流体の処
理方法で関するものであり、特に、血液及び血液
成分(例えば血漿、血清、血液因子など)、遺
伝子工学的に加工された蛋白質生成物およびワク
チン製剤のような生物学的流体の「殺菌」の分野
に関する。 ここで、「殺菌」とは、蛋白質の存在下に、核
酸本体の化学構造を光分解によつて故意に変化さ
せて、当該本体の生存能力または伝染性を失わせ
るが、同時に存在する蛋白質の官能度は実質的に
変化させることなく維持することをいう。 従来技術 従来、蛋白質の存在下において、蛋白質に実質
的に影響を及ぼすことなく、選択的かつ効率よく
核酸を光分解をすることは不可能であつた。 例えば、本発明の方法が適用される代表的な三
例について、現在の技術水準を示すと次の通りで
ある。 (血液の殺菌) 血液および血液成分を殺菌するために種々の方
法が提案されてきたが、現在そのような血液およ
び血液成分は輸血に先立つて効果的に殺菌できな
い。その結果、受血者がかなりの割合で、そのよ
うな輸血から肝炎およびエイズのような疾病にか
かる。 そのため、血液製剤をバクテリヤおよび/また
はウイルスのフイルターに通す方法や、そのよう
な製剤に抗生物質を添加する方法が開発された
が、このような方法では、例えば、フイルターは
十分な流れを保持することが難しく、また潜在的
に毒性のある薬剤を添加することは好ましくない
などの欠点があり、信頼性および効果が立証され
ておらず、広く実用化されるに至つていない。 何らかの病原を保有する輸血者を確認するため
に輸血者を検査することが現在行なわれている。
しかし、このような検査は100%正確ではなく、
既知の検査法のない多くの病原があり、かつその
ような検査は時間がかかり、費用も高い。 (遺伝子工学的に加工された哺乳類細胞の蛋白質
系生成物) 組換えDNA法の大部分の生成物は、大腸菌
(E.Coli.)のようなバクテリヤ種の変化した細胞
を使用して生産されている。インシユリン蛋白質
のような或種の生成物はそのような非哺乳類種族
を使用して、かなり効率的に生産され得るけれど
も、そのような種族は炭水化物のような他の好ま
しい分子との複合体として好ましい蛋白質の最終
生成物を生産する能力がないので、或種の他の蛋
白質生成物は、そのような種族からは容易には得
られない。事実、遺伝子工学的な加工法の好まし
い蛋白質系生成物の多くは、非哺乳類細胞種を使
用しては効率的にまたは有効に生産されないこと
が示唆されて来た。哺乳類細胞系は多くの蛋白質
最終生成物の遺伝子工学的に加工された生産に極
めて適していることが示唆されて来た。しかし、
そのような細胞系の使用には若干の問題が予想さ
れる。1983年11月9日の取締業務専問協会会議
で、ブルース、マーチヤントの発表した「注射可
能の単クローン抗体製剤:取締上の関心事」;お
よび1983年11月18日保健局の「組換えDNA技術
によつて生産される新薬および生物製剤の生産お
よび検査において考慮すべき点」を参照された
い。 哺乳類細胞は一般に、その周囲の媒体中へ直接
に、その蛋白質系生成物を放出または分泌すると
は考えられていない。したがつて、そのような生
成物を得るためには、細胞膜を破つてそれら生成
物を媒体中に放出させ、ついでこれを精製または
純化することが多分必要となろう。しかし、その
ような破壊はそのような媒体中へ哺乳類のDNA
および/またはRNAをも放出してしまうであろ
う。特に、多くの容易に培養される細胞系は哺乳
類のガン細胞であるため、活性の哺乳類DNAま
たはRNAが、蛋白質系最終製剤中に不純物とし
て存在しないことを保証する必要がある。そのよ
うなDNAまたはRNAを完全には除去出来ないよ
うな他の精製法または分離法が用いられる場合に
おいても、それはやはり必要なことである。1984
年1月T.ウイルソン、「明日のワクチンの工学」
バイオテクノロジー2(1):29〜40を参照せよ。 (ワクチン製剤) “殺した”または衰弱させたウイルスワクチン
の生産の間に、ウイルスのDNAまたはRNAを不
活性化することも望まれる。このようなワクチン
の生産の間に、しばしば、そのようなウイルスの
伝染性を弱めながら一方それらウイルス中の免疫
原的性質を或程度保持する技術を用いることが望
まれる。 ウイルスの衰弱化および免疫原性保持の正確な
機構は知られていないが、或種の殺害または衰弱
化処理は、それらがひどい伝染を始めることは出
来ないが、なおウイルス皮膜や、部分的にもとの
ままに残して、ワクチン化に応じて抗体生産を刺
激する働きをする「免疫原的部位」として作用す
るように、対象となるウイルスの蛋白質皮膜、核
酸またはその両方の一部または全部の構造を変え
ると理論づけられる。 ワクチン用にウイルスを殺すかまたは衰弱させ
るための種々の技術が既知である。その中には、
化学的方法、培養法などがある。若干のウイルス
は紫外線に耐性がないことが示唆されているが、
紫外線は、ウイルスの免疫原的部位を破壊するこ
となしにウイルスを不活性化するのに使用出来る
ことも発表されている。米国特許第4021364号
(紫外線耐性がよければウイルスのマイクロカプ
セル化が可能である)と米国特許第4071619号
(精製濃縮した生ワクチンを5000ないし200000エ
ルグ/cm2の線量の紫外線照射処理を行つて、その
免疫原性に影響を与えることなしに、ウイルスを
殺す)とを比較せよ。 これらの一般的開示にかかわらず、蛋白質ウイ
ルス被膜はその本体を保持するが、核酸を殺す速
度は増加するというように、不活性化の選択性を
改善する必要がある。 そこで、殺菌のために、生物学的材料へ照射す
ることが考えられるが、従来の方法は次のよう
に、蛋白質の存在下において、蛋白質に実質的に
影響を及ぼすことなく、利用できるものではなか
つた。 生物学的材料の照射 1 殺菌剤としての紫外線 紫外線がある種の材料を殺菌するのに使用で
きることは知られている。代表例としては、そ
のような殺菌は、50〜1000ワツトの範囲の従来
の紫外線光源に、そのような材料を長時間(す
なわち数分ないし数時間)露光することをよつ
て実施される。 生体系への紫外線照射の効果、特に、バクテ
リヤ種およびウイルス種への照射の変異原的、
細胞的、分子的および/または致死的効果に関
しては過去にかなりの注意がはらわれてきた。
例えば、ある種族のDNAは一般に230〜470n
m波長帯の照射で不活性化されること、 およびそのような照射に対するDNAの感度
はその照射の波長に左右されることが知られて
いる。このような効果は、水銀−キセノンラン
プまたは蒸気ランプのような従来のランプを使
つて観察されて来た。絶えざる紫外線照射が
DNAを破壊する能力については、カプレラー
ジユアレツ他;光化学および光生物学、23:
309〜313(1976)「血友病インフルエンザの非酸
素不活性化、単色光照射によるDNAの変形:
作用スペクトル、ヒスチジンおよび矯正の効
果」に記述されている。 更に、特開昭56−161054号公報には、閃光放
電灯を使用し、紫外線を照射することにより、
黒カビのような光の吸収の大きい菌類に対し
て、短時間で十分な殺菌率を得ることができる
ことが開示される。 2 紫外線の分子に対する作用 科学者は、紫外線照射したときの特別の有機
化合物の挙動についても知つている。例えば、
異つた有機化合物は異つた吸収(減光)係数を
示すこと、すなわち、光からエネルギーを吸収
する各化合物の能力は、化合物によりまた光の
波長によつて異なることが知られている。さら
に、吸収された光は、その有機分子を基底状態
から高エネルギー状態へ転移させること、その
分子は極めて短時間(そのエネルギー状態の
「生存時間」として知られる)その間高エネル
ギー状態に保たれること、およびその化合物は
ついで、その構造の永久的変化へ導く化学反応
を受けるかまたは瞬間的に基底状態または中間
的低エネルギー状態へもどることがわかる。紫
外線照射時のそのような有機分子の挙動の一般
的説明については、ロバート、エフ、スタイナ
ー編集、プレナム出版社発行(1983)の生体高
分子の励起状態中に記載されたR.M.ホツホシ
ユトラツセルの「有機分子の発光を支配する二
三の原理」を参照せよ。 蛋白質およびその構成アミノ酸に対する、紫
外線照射に対する挙動を測定する研究が行なわ
れて来た。蛋白質を構成するアミノ酸の大部分
は(220nmより長い波長の)紫外線を容易に
は吸収しないが、トリプトフアンおよび、多少
程度は少ないが、フエニルアラニンおよびチロ
シンは相当量の紫外線を吸収し、その結果、構
造を変える光化学反応を受けることが知られて
いる。ここでは「光分解」と称する。例えば、
水溶液中でのトリプトフアンの光化学分解は約
240〜310nmの間の波長の照射によつて誘起さ
れること、および分解の「量子収量」という用
語で表現されるその光化学分解の効率は、240
〜250nm帯の光でその化合物を照射したとき
に極大値に達することが知られている。レイモ
ンド、エフ、ボークマン、光化学および光生物
学26:163−166(1977)「水溶液中でのトリプト
フアン分解における紫外線作用スペクトル」を
参照せよ。 極短時間のピコ秒長の紫外線パルスによる照
射に対するトリプトフアンの応答の二三の観点
が、種々の研究の目標となつて来た。例えば、
遊離のトリプトフアンが水溶液中で励起された
場合、その螢光の寿命は、PH、温度などのよう
な多くの因子に左右され、普通3+1秒の範囲
にあることが知られている。蛋白質中に配合さ
れたトリプトフアンでは、その状況はかなり複
雑であり、相当な論争の対象として残る。例え
ば、螢光の寿命は血蛋白(赤血球中にある)中
でナノ秒以下のレベルに短縮される。 G.R.フレミング他米国国立アカデミー会報
75:(10)4652〜4656(1978)「ピコ秒分光法に
よるトリプトフアンおよび二つの類似ペプチド
の水溶液の非指数的螢光変脱」を参照せよ。ま
た、ボークマン他眼科研究誌32:747〜754
(1981)「ヒトおよび牛の眼球の蛋白質中のトリ
プトフアン残査の光分解の速度」;ボークマン
他眼科研究誌32:313〜322at314(1980)「ヒト
の完全眼球および眼球蛋白質中の発色団の螢光
寿命」;フオルカート他、光化学および光生物
学17:9〜16(1973)「280nm照射によるトリ
プシン中のトリプトフアニル残基の分解」をも
参照せよ。 トリプトフアンはヒトの蛋白質の中では最も
一般的でないアミノ酸であるが、最も光に不安
定なアミン酸であるので、蛋白質への紫外線光
破壊(240〜310nm帯)のための主要経路はト
リプトフアン光分解を含む。すなわち、そのよ
うな照射は、トリプトフアン成分の光分解によ
り、または、他の芳香族残基の光分解によつ
て、それらの蛋白質の不活性化をもたらす。し
たがつて、本発明は一般に蛋白質の保存に関連
するものであるが、ここではトリプトフアンが
しばしば代表例として引用される。 「古典的な」光化学反応では、一個の光子が
一個の分子に化学変化を受けさせる。しかし、
どんな形にしろ、分子が充分に強い光場で照射
された場合、一個の分子が一つより多い光子を
吸収する結果として、別の光化学経路が開かれ
得ることが知られている。一分子当たり一つよ
り多い光子で誘起された化学変化の多くの例が
過去30年間の科学分献中に見られる。最もよく
知られた例は緑色植物内での光合成過程に関す
るものであり、これは赤色および黄色光子の連
続的吸収を含む。他の例は、準安定の三重項状
態をもつ分子に関するものである。長時間生存
した三重項状態はしばしば、分子による光子の
吸収の後、滞留する(populated)。この三重
項の滞留(population)は、ついで、同一また
は異つた色をもつ他の光子を吸収して、化学過
程をもたらし得る。これらの概念は、V.S.レト
コフによる最近の論文(非線型レーザー化学、
スプリンガー出版社、ニユーヨーク、1983)の
基礎を形成した。 そのような現象は、トリプトフアン、アラニ
ンおよびグリシンを含むアミン酸の連鎖から成
るペプチドを使用して研究されて来た。アント
ノフ他ピコ秒現象、スプリンガー出版社、ニ
ユーヨーク、1979、310〜314頁「ピコ秒紫外レ
ーザーパルスにより誘起される分子内での多重
光子過程」を参照せよ。この研究によれば、ペ
プチドがピコ秒パルスによつて照射された場
合、励起された分子が一つ以上の、それ以上の
光子を吸収する確立は、ナノ秒パルスが用いら
れた場合よりずつと高い。 DNAおよびRNAの核酸成分およびもとのま
まのDNAが、極短時間の高強度紫外線照射へ
の応答の見地に立つた研究の対象となつてき
た。これらの研究は、R.R.アルフアーノ編集
の紫外線レーザー分光法により探査された生物
学的事件(アカデミツク、プレス社、ニユーヨ
ーク、1982)361−383頁、スタンレーL、シヤ
ピロ「DNA研究に応用された超高速技術」中
に概観されている。その中に説明されているよ
うに、紫外線パルス光は、複雑な分子の故意の
変質または破壊をさえもたらすことが提議され
ている。DNAの吸収帯は一般に広いけれども、
265nmの近傍に吸収ピークをもつ核酸および
その成分中での選択的光化学反応を達成するこ
とにも努力がはらわれている。例えば、アンゲ
ロフ他応用物理学21:391〜395(1980)「ピコ秒
パルス光による核酸成分への選択作用」を参照
せよ。しかし、DNAまたはRNA材料の吸収帯
の非特異性のため、および蛋白質が類似の広い
吸収帯をもつているため、同じ媒体中に存在す
る蛋白質より先に、DNAを選択的かつ効率的
に光分解することは、本発明以前には達成され
ていなかつた。 DNAおよびその成分は、高電力極短時間の
紫外線レーザー作用に露光された場合、二個の
紫外線量子を引続き吸収して、イオン化限界を
超えるエネルギーを得ることが報告されてい
る。その結果、普通の「連続波」(CW)紫外
線照射によつて生成するものと構造上異つた或
種の光反応生成物が生成する。さらに、ピコ秒
紫外線照射下のDNA成分の光分解効率はナノ
秒照射下のそれより10倍以上高いこと、および
照射下の分子の二段階励起の過程は、第一およ
び第二の段階の照射波長、パルス間の時間差、
強度などのような多くのレーザー照射のパラメ
ーターに左右されることが示唆されている。す
なわち、レーザー照射のパラメーターを選択す
ることによつて、核酸基体の望ましいタイプに
ついて二段階の光分解の過程がより効率的に行
なわれ得ることが報告されている。例えば、1
平方センチメートル当たり107ないし109ワツト
の強度の紫外線照射を用いて、ウイルスを不活
性化出来、DNA中の単一ストランドの破壊を
もたらすと報告されており、一方低電力の紫外
線照射はシクロブタン型のピリミジン二量体の
生成による不活性化をもたらすと報告されてい
る。ホツホシユトラツセル他編集のピコ秒現象
(スプリンガー出版社、ニユーヨーク、
1980)336〜339頁に記載のアンゲロフ他
「DNAおよびその成分に対する高電力紫外線極
短時間レーザー作用」を参照せよ。さらにレー
ザー照射による原子および分子の多段階、多重
光子励起が非線型レーザー光化学の基礎を与え
ることが報告されている。アントノフ他ピコ秒
現象(スプリンガー出版社、ニユーヨーク、
1979)、およびD.H.ウイランス他生化学および
生物物理学研究速報36(b):912〜918(1969)「ウ
ラシルの三重項状態の光学的検出」を参照せ
よ。 3 核酸および蛋白質の量子力学に関するその他
の背景 従来の光源からの光線と分子試料の間の相互
作用は、二三の簡単な物理的原理を用いて理解
出来る。単一の波長で光エネルギーをつくり出
す光源は、波長および単位時間当たり、単位被
照射面積当たりのエネルギーで表わした強度に
よつて記述され得る。量子力学の用語では光エ
ネルギーはプランクの式E=hvを用いて記述
出来る。ここにEは1個の光子のエネルギー、
hはプランク恒数、vは光の周波数である。こ
の用語では、光の強度は毎秒毎平方センチメー
トルの光子単位すなわち光子・cm-2sec-1で表
わされる。 ターゲツト領域にある試料分子の濃度は1リ
ツトル当たりのモル数(モル濃度M)で表わさ
れる。光が試料を通過すると、それは分子によ
つて少くとも部分的に吸収される。その吸収の
効率は個別の分子の特性であり、使用した光の
波長によつて変わる。減光係数eは吸収効率の
尺度であり、M-1cm-1の単位をもつ。減光係数
対光波長のグラフが分子の吸収スペクトルであ
る。 量子力学的には、分子による光子の吸収には
転移すなわち分子の量子状態の変化を伴う。代
表的な場合、光源のスイツチが入る前は、最低
のエネルギー(「基底」)量子状態を占めると推
定される。光の存在において、分子の中のいく
らかは、基底状態から高エネルギー(「励起」)
状態へ転移を受ける。分子は、そのような状態
に無制限に留まることは出来ず、必ず何らかの
方式で過剰のエネルギーを失わねばならない、
或一つの分子の運命は前もつて知ることは出来
ず、単に量子力学的確率すなわち量子収量
(Q)でしか表わすことが出来ない。各励起状
態に伴う重要なパラメーターは生存時間(T)
であり、これは、その状態を占める妨害されて
いない分子がその状態に留まつている平均時間
である。 光で分子を励起した結果はいろいろあり得
る。分子は、直接かまたはまず中間状態に入つ
てから、瞬間的に基底状態にもどり得る。もう
一つの光子を吸収して、さらに高いエネルギー
状態に達する場合もあり得る。もう一つの可能
性は分子が光化学反応に受けて、その化学構造
の変化をこうむることであり、多くの場合、そ
の変化は永久的であり、その分子はそのもとの
基底状態にもどることは出来ない。そのような
光分解がDNAまたは蛋白質分子中の化学変化
を起こすのに用いられた場合、分子の生物学的
機能は弱められるかまたは破壊され得る。 吸収係数、励起状態の生存時間、および量子
収量は固有の分子特性であり、前述のように、
多くの分子について実験によつて測定されて来
ている。これらの数値および光源のパラメータ
ーについての知見から、光化学反応の速度を計
算することができる。 本発明は、例えばDNA分子の形の核酸およ
び蛋白質から成る媒体の照射に関連するもので
あるが、例えば特開昭56−161054号公報に記載
されるような、放電ランプによる単なる紫外線
放射では、蛋白質とDNAの両方が光を吸収し
て、それにつづく光分解で破壊されるため、
DNAと共に蛋白質をも破壊することを、後述
の計算式は示している。下記の計算式はベー
ル・ランベルトの吸収法則にもとづき、この法
則は、1分子当たりの照射転移速度(r)を吸
収断面積と光の強度の積として定義している: r=l×s ここに、lは光子cm-2sec-1で表わした光の
強度であり、sはcm2で表わした吸収断面積であ
る。吸収係数(s)は式s=3.82×10-21×e
により、減光係数から得られる。ここに、減光
係数はM-1cm-1の単位で表わされ、sはcm2の単
位をもつ。光化学反応の1分子当たりの全体速
度(R)は転移速度と光化学的量子収量の積で
ある: R=I×s×Q Rを知ることにより、或る1つの分子が、t
秒の時間間隔の間反応せずに残つている確率
(P)を計算出来る: P=10-(R×1)/2.303 この計算では、光線が試料媒体を通過する際
の減衰は無視されている。この近似法は、対象
試料が、ここに述べた薄層の基準に合致してい
る、すなわち、試料が充分薄くまたは吸収係数
が充分小さくて、試料媒体を通る光源の減衰が
わずかであると仮定すれば、価値がある。 例えばヒトの血漿は多くの異つた蛋白質分子
を含む。大ていのアミノ酸(蛋白質を構成する
個々の単位)は近紫外線または中紫外線を著し
くは吸収せず、そのような光の存在の影響を受
けない。前述のトリプトフアンは、注目すべき
例外である。代表的な血漿蛋白質は、わずかの
(0〜15)トリプトフアンしか含まないが、少
数で充分、蛋白質が光化学破壊を受け得るよう
にしてしまう。M.O.デイホツフ編蛋白質の順
序および構造第5巻、補追3(国立生物医学研
究財団、シルバースプリング、メリランド、
1976)を参照せよ。前述のように、減光係数お
よび光化学的量子収量がトリプトフアンについ
て測定され、これで或一つの蛋白質を或一つの
光源が破壊する速度を測定することが可能とな
つた。生化学および分子生物学ハンドブツク第
3版第2巻(ケミカルラバー社、クリーブラン
ド、1976);G.R.フレミング他、化学75:4652
(1978)およびその引用文献;およびレイモン
ドF、ボークマン光化学および光生物学、26:
163(1977)(前出)を参照せよ。 血漿がウイルス感染をもつた与血者から採取
された場合、血漿は1立方センチメートル当た
り百万個という多数のウイルスを含み得る。ウ
イルスは、代表的には蛋白質または蛋白質−脂
質複合体である皮膜の内部にある一つ以上の
DNA(またはRNA)から成る。ウイロイドと
呼ばれる他の伝染性因子も知られており、これ
はRNA分子のみから成る。ウイルス皮膜は紫
外線に比較的透明であるが、DNA(または
RNA)のヌクレオチド基体はすべて強い吸収
剤である。紫外線を充分与えると、ウイルスの
DNA中に光化学的損傷を与え、不可逆的に伝
染性を損失する。種々の条件下で紫外線がウイ
ルスを不活性化する速度を測定する多くの実験
が行なわれてきた。 これらの実験データは、効果的にウイルス不
活性化のための量子収量を定義し、或一つの光
源についてウイルス不活性化の効率および蛋白
質破壊の効率の間の比較を可能にする。光化学
および光生物学、26:163(1977)(前出)を参
照せよ。
理方法で関するものであり、特に、血液及び血液
成分(例えば血漿、血清、血液因子など)、遺
伝子工学的に加工された蛋白質生成物およびワク
チン製剤のような生物学的流体の「殺菌」の分野
に関する。 ここで、「殺菌」とは、蛋白質の存在下に、核
酸本体の化学構造を光分解によつて故意に変化さ
せて、当該本体の生存能力または伝染性を失わせ
るが、同時に存在する蛋白質の官能度は実質的に
変化させることなく維持することをいう。 従来技術 従来、蛋白質の存在下において、蛋白質に実質
的に影響を及ぼすことなく、選択的かつ効率よく
核酸を光分解をすることは不可能であつた。 例えば、本発明の方法が適用される代表的な三
例について、現在の技術水準を示すと次の通りで
ある。 (血液の殺菌) 血液および血液成分を殺菌するために種々の方
法が提案されてきたが、現在そのような血液およ
び血液成分は輸血に先立つて効果的に殺菌できな
い。その結果、受血者がかなりの割合で、そのよ
うな輸血から肝炎およびエイズのような疾病にか
かる。 そのため、血液製剤をバクテリヤおよび/また
はウイルスのフイルターに通す方法や、そのよう
な製剤に抗生物質を添加する方法が開発された
が、このような方法では、例えば、フイルターは
十分な流れを保持することが難しく、また潜在的
に毒性のある薬剤を添加することは好ましくない
などの欠点があり、信頼性および効果が立証され
ておらず、広く実用化されるに至つていない。 何らかの病原を保有する輸血者を確認するため
に輸血者を検査することが現在行なわれている。
しかし、このような検査は100%正確ではなく、
既知の検査法のない多くの病原があり、かつその
ような検査は時間がかかり、費用も高い。 (遺伝子工学的に加工された哺乳類細胞の蛋白質
系生成物) 組換えDNA法の大部分の生成物は、大腸菌
(E.Coli.)のようなバクテリヤ種の変化した細胞
を使用して生産されている。インシユリン蛋白質
のような或種の生成物はそのような非哺乳類種族
を使用して、かなり効率的に生産され得るけれど
も、そのような種族は炭水化物のような他の好ま
しい分子との複合体として好ましい蛋白質の最終
生成物を生産する能力がないので、或種の他の蛋
白質生成物は、そのような種族からは容易には得
られない。事実、遺伝子工学的な加工法の好まし
い蛋白質系生成物の多くは、非哺乳類細胞種を使
用しては効率的にまたは有効に生産されないこと
が示唆されて来た。哺乳類細胞系は多くの蛋白質
最終生成物の遺伝子工学的に加工された生産に極
めて適していることが示唆されて来た。しかし、
そのような細胞系の使用には若干の問題が予想さ
れる。1983年11月9日の取締業務専問協会会議
で、ブルース、マーチヤントの発表した「注射可
能の単クローン抗体製剤:取締上の関心事」;お
よび1983年11月18日保健局の「組換えDNA技術
によつて生産される新薬および生物製剤の生産お
よび検査において考慮すべき点」を参照された
い。 哺乳類細胞は一般に、その周囲の媒体中へ直接
に、その蛋白質系生成物を放出または分泌すると
は考えられていない。したがつて、そのような生
成物を得るためには、細胞膜を破つてそれら生成
物を媒体中に放出させ、ついでこれを精製または
純化することが多分必要となろう。しかし、その
ような破壊はそのような媒体中へ哺乳類のDNA
および/またはRNAをも放出してしまうであろ
う。特に、多くの容易に培養される細胞系は哺乳
類のガン細胞であるため、活性の哺乳類DNAま
たはRNAが、蛋白質系最終製剤中に不純物とし
て存在しないことを保証する必要がある。そのよ
うなDNAまたはRNAを完全には除去出来ないよ
うな他の精製法または分離法が用いられる場合に
おいても、それはやはり必要なことである。1984
年1月T.ウイルソン、「明日のワクチンの工学」
バイオテクノロジー2(1):29〜40を参照せよ。 (ワクチン製剤) “殺した”または衰弱させたウイルスワクチン
の生産の間に、ウイルスのDNAまたはRNAを不
活性化することも望まれる。このようなワクチン
の生産の間に、しばしば、そのようなウイルスの
伝染性を弱めながら一方それらウイルス中の免疫
原的性質を或程度保持する技術を用いることが望
まれる。 ウイルスの衰弱化および免疫原性保持の正確な
機構は知られていないが、或種の殺害または衰弱
化処理は、それらがひどい伝染を始めることは出
来ないが、なおウイルス皮膜や、部分的にもとの
ままに残して、ワクチン化に応じて抗体生産を刺
激する働きをする「免疫原的部位」として作用す
るように、対象となるウイルスの蛋白質皮膜、核
酸またはその両方の一部または全部の構造を変え
ると理論づけられる。 ワクチン用にウイルスを殺すかまたは衰弱させ
るための種々の技術が既知である。その中には、
化学的方法、培養法などがある。若干のウイルス
は紫外線に耐性がないことが示唆されているが、
紫外線は、ウイルスの免疫原的部位を破壊するこ
となしにウイルスを不活性化するのに使用出来る
ことも発表されている。米国特許第4021364号
(紫外線耐性がよければウイルスのマイクロカプ
セル化が可能である)と米国特許第4071619号
(精製濃縮した生ワクチンを5000ないし200000エ
ルグ/cm2の線量の紫外線照射処理を行つて、その
免疫原性に影響を与えることなしに、ウイルスを
殺す)とを比較せよ。 これらの一般的開示にかかわらず、蛋白質ウイ
ルス被膜はその本体を保持するが、核酸を殺す速
度は増加するというように、不活性化の選択性を
改善する必要がある。 そこで、殺菌のために、生物学的材料へ照射す
ることが考えられるが、従来の方法は次のよう
に、蛋白質の存在下において、蛋白質に実質的に
影響を及ぼすことなく、利用できるものではなか
つた。 生物学的材料の照射 1 殺菌剤としての紫外線 紫外線がある種の材料を殺菌するのに使用で
きることは知られている。代表例としては、そ
のような殺菌は、50〜1000ワツトの範囲の従来
の紫外線光源に、そのような材料を長時間(す
なわち数分ないし数時間)露光することをよつ
て実施される。 生体系への紫外線照射の効果、特に、バクテ
リヤ種およびウイルス種への照射の変異原的、
細胞的、分子的および/または致死的効果に関
しては過去にかなりの注意がはらわれてきた。
例えば、ある種族のDNAは一般に230〜470n
m波長帯の照射で不活性化されること、 およびそのような照射に対するDNAの感度
はその照射の波長に左右されることが知られて
いる。このような効果は、水銀−キセノンラン
プまたは蒸気ランプのような従来のランプを使
つて観察されて来た。絶えざる紫外線照射が
DNAを破壊する能力については、カプレラー
ジユアレツ他;光化学および光生物学、23:
309〜313(1976)「血友病インフルエンザの非酸
素不活性化、単色光照射によるDNAの変形:
作用スペクトル、ヒスチジンおよび矯正の効
果」に記述されている。 更に、特開昭56−161054号公報には、閃光放
電灯を使用し、紫外線を照射することにより、
黒カビのような光の吸収の大きい菌類に対し
て、短時間で十分な殺菌率を得ることができる
ことが開示される。 2 紫外線の分子に対する作用 科学者は、紫外線照射したときの特別の有機
化合物の挙動についても知つている。例えば、
異つた有機化合物は異つた吸収(減光)係数を
示すこと、すなわち、光からエネルギーを吸収
する各化合物の能力は、化合物によりまた光の
波長によつて異なることが知られている。さら
に、吸収された光は、その有機分子を基底状態
から高エネルギー状態へ転移させること、その
分子は極めて短時間(そのエネルギー状態の
「生存時間」として知られる)その間高エネル
ギー状態に保たれること、およびその化合物は
ついで、その構造の永久的変化へ導く化学反応
を受けるかまたは瞬間的に基底状態または中間
的低エネルギー状態へもどることがわかる。紫
外線照射時のそのような有機分子の挙動の一般
的説明については、ロバート、エフ、スタイナ
ー編集、プレナム出版社発行(1983)の生体高
分子の励起状態中に記載されたR.M.ホツホシ
ユトラツセルの「有機分子の発光を支配する二
三の原理」を参照せよ。 蛋白質およびその構成アミノ酸に対する、紫
外線照射に対する挙動を測定する研究が行なわ
れて来た。蛋白質を構成するアミノ酸の大部分
は(220nmより長い波長の)紫外線を容易に
は吸収しないが、トリプトフアンおよび、多少
程度は少ないが、フエニルアラニンおよびチロ
シンは相当量の紫外線を吸収し、その結果、構
造を変える光化学反応を受けることが知られて
いる。ここでは「光分解」と称する。例えば、
水溶液中でのトリプトフアンの光化学分解は約
240〜310nmの間の波長の照射によつて誘起さ
れること、および分解の「量子収量」という用
語で表現されるその光化学分解の効率は、240
〜250nm帯の光でその化合物を照射したとき
に極大値に達することが知られている。レイモ
ンド、エフ、ボークマン、光化学および光生物
学26:163−166(1977)「水溶液中でのトリプト
フアン分解における紫外線作用スペクトル」を
参照せよ。 極短時間のピコ秒長の紫外線パルスによる照
射に対するトリプトフアンの応答の二三の観点
が、種々の研究の目標となつて来た。例えば、
遊離のトリプトフアンが水溶液中で励起された
場合、その螢光の寿命は、PH、温度などのよう
な多くの因子に左右され、普通3+1秒の範囲
にあることが知られている。蛋白質中に配合さ
れたトリプトフアンでは、その状況はかなり複
雑であり、相当な論争の対象として残る。例え
ば、螢光の寿命は血蛋白(赤血球中にある)中
でナノ秒以下のレベルに短縮される。 G.R.フレミング他米国国立アカデミー会報
75:(10)4652〜4656(1978)「ピコ秒分光法に
よるトリプトフアンおよび二つの類似ペプチド
の水溶液の非指数的螢光変脱」を参照せよ。ま
た、ボークマン他眼科研究誌32:747〜754
(1981)「ヒトおよび牛の眼球の蛋白質中のトリ
プトフアン残査の光分解の速度」;ボークマン
他眼科研究誌32:313〜322at314(1980)「ヒト
の完全眼球および眼球蛋白質中の発色団の螢光
寿命」;フオルカート他、光化学および光生物
学17:9〜16(1973)「280nm照射によるトリ
プシン中のトリプトフアニル残基の分解」をも
参照せよ。 トリプトフアンはヒトの蛋白質の中では最も
一般的でないアミノ酸であるが、最も光に不安
定なアミン酸であるので、蛋白質への紫外線光
破壊(240〜310nm帯)のための主要経路はト
リプトフアン光分解を含む。すなわち、そのよ
うな照射は、トリプトフアン成分の光分解によ
り、または、他の芳香族残基の光分解によつ
て、それらの蛋白質の不活性化をもたらす。し
たがつて、本発明は一般に蛋白質の保存に関連
するものであるが、ここではトリプトフアンが
しばしば代表例として引用される。 「古典的な」光化学反応では、一個の光子が
一個の分子に化学変化を受けさせる。しかし、
どんな形にしろ、分子が充分に強い光場で照射
された場合、一個の分子が一つより多い光子を
吸収する結果として、別の光化学経路が開かれ
得ることが知られている。一分子当たり一つよ
り多い光子で誘起された化学変化の多くの例が
過去30年間の科学分献中に見られる。最もよく
知られた例は緑色植物内での光合成過程に関す
るものであり、これは赤色および黄色光子の連
続的吸収を含む。他の例は、準安定の三重項状
態をもつ分子に関するものである。長時間生存
した三重項状態はしばしば、分子による光子の
吸収の後、滞留する(populated)。この三重
項の滞留(population)は、ついで、同一また
は異つた色をもつ他の光子を吸収して、化学過
程をもたらし得る。これらの概念は、V.S.レト
コフによる最近の論文(非線型レーザー化学、
スプリンガー出版社、ニユーヨーク、1983)の
基礎を形成した。 そのような現象は、トリプトフアン、アラニ
ンおよびグリシンを含むアミン酸の連鎖から成
るペプチドを使用して研究されて来た。アント
ノフ他ピコ秒現象、スプリンガー出版社、ニ
ユーヨーク、1979、310〜314頁「ピコ秒紫外レ
ーザーパルスにより誘起される分子内での多重
光子過程」を参照せよ。この研究によれば、ペ
プチドがピコ秒パルスによつて照射された場
合、励起された分子が一つ以上の、それ以上の
光子を吸収する確立は、ナノ秒パルスが用いら
れた場合よりずつと高い。 DNAおよびRNAの核酸成分およびもとのま
まのDNAが、極短時間の高強度紫外線照射へ
の応答の見地に立つた研究の対象となつてき
た。これらの研究は、R.R.アルフアーノ編集
の紫外線レーザー分光法により探査された生物
学的事件(アカデミツク、プレス社、ニユーヨ
ーク、1982)361−383頁、スタンレーL、シヤ
ピロ「DNA研究に応用された超高速技術」中
に概観されている。その中に説明されているよ
うに、紫外線パルス光は、複雑な分子の故意の
変質または破壊をさえもたらすことが提議され
ている。DNAの吸収帯は一般に広いけれども、
265nmの近傍に吸収ピークをもつ核酸および
その成分中での選択的光化学反応を達成するこ
とにも努力がはらわれている。例えば、アンゲ
ロフ他応用物理学21:391〜395(1980)「ピコ秒
パルス光による核酸成分への選択作用」を参照
せよ。しかし、DNAまたはRNA材料の吸収帯
の非特異性のため、および蛋白質が類似の広い
吸収帯をもつているため、同じ媒体中に存在す
る蛋白質より先に、DNAを選択的かつ効率的
に光分解することは、本発明以前には達成され
ていなかつた。 DNAおよびその成分は、高電力極短時間の
紫外線レーザー作用に露光された場合、二個の
紫外線量子を引続き吸収して、イオン化限界を
超えるエネルギーを得ることが報告されてい
る。その結果、普通の「連続波」(CW)紫外
線照射によつて生成するものと構造上異つた或
種の光反応生成物が生成する。さらに、ピコ秒
紫外線照射下のDNA成分の光分解効率はナノ
秒照射下のそれより10倍以上高いこと、および
照射下の分子の二段階励起の過程は、第一およ
び第二の段階の照射波長、パルス間の時間差、
強度などのような多くのレーザー照射のパラメ
ーターに左右されることが示唆されている。す
なわち、レーザー照射のパラメーターを選択す
ることによつて、核酸基体の望ましいタイプに
ついて二段階の光分解の過程がより効率的に行
なわれ得ることが報告されている。例えば、1
平方センチメートル当たり107ないし109ワツト
の強度の紫外線照射を用いて、ウイルスを不活
性化出来、DNA中の単一ストランドの破壊を
もたらすと報告されており、一方低電力の紫外
線照射はシクロブタン型のピリミジン二量体の
生成による不活性化をもたらすと報告されてい
る。ホツホシユトラツセル他編集のピコ秒現象
(スプリンガー出版社、ニユーヨーク、
1980)336〜339頁に記載のアンゲロフ他
「DNAおよびその成分に対する高電力紫外線極
短時間レーザー作用」を参照せよ。さらにレー
ザー照射による原子および分子の多段階、多重
光子励起が非線型レーザー光化学の基礎を与え
ることが報告されている。アントノフ他ピコ秒
現象(スプリンガー出版社、ニユーヨーク、
1979)、およびD.H.ウイランス他生化学および
生物物理学研究速報36(b):912〜918(1969)「ウ
ラシルの三重項状態の光学的検出」を参照せ
よ。 3 核酸および蛋白質の量子力学に関するその他
の背景 従来の光源からの光線と分子試料の間の相互
作用は、二三の簡単な物理的原理を用いて理解
出来る。単一の波長で光エネルギーをつくり出
す光源は、波長および単位時間当たり、単位被
照射面積当たりのエネルギーで表わした強度に
よつて記述され得る。量子力学の用語では光エ
ネルギーはプランクの式E=hvを用いて記述
出来る。ここにEは1個の光子のエネルギー、
hはプランク恒数、vは光の周波数である。こ
の用語では、光の強度は毎秒毎平方センチメー
トルの光子単位すなわち光子・cm-2sec-1で表
わされる。 ターゲツト領域にある試料分子の濃度は1リ
ツトル当たりのモル数(モル濃度M)で表わさ
れる。光が試料を通過すると、それは分子によ
つて少くとも部分的に吸収される。その吸収の
効率は個別の分子の特性であり、使用した光の
波長によつて変わる。減光係数eは吸収効率の
尺度であり、M-1cm-1の単位をもつ。減光係数
対光波長のグラフが分子の吸収スペクトルであ
る。 量子力学的には、分子による光子の吸収には
転移すなわち分子の量子状態の変化を伴う。代
表的な場合、光源のスイツチが入る前は、最低
のエネルギー(「基底」)量子状態を占めると推
定される。光の存在において、分子の中のいく
らかは、基底状態から高エネルギー(「励起」)
状態へ転移を受ける。分子は、そのような状態
に無制限に留まることは出来ず、必ず何らかの
方式で過剰のエネルギーを失わねばならない、
或一つの分子の運命は前もつて知ることは出来
ず、単に量子力学的確率すなわち量子収量
(Q)でしか表わすことが出来ない。各励起状
態に伴う重要なパラメーターは生存時間(T)
であり、これは、その状態を占める妨害されて
いない分子がその状態に留まつている平均時間
である。 光で分子を励起した結果はいろいろあり得
る。分子は、直接かまたはまず中間状態に入つ
てから、瞬間的に基底状態にもどり得る。もう
一つの光子を吸収して、さらに高いエネルギー
状態に達する場合もあり得る。もう一つの可能
性は分子が光化学反応に受けて、その化学構造
の変化をこうむることであり、多くの場合、そ
の変化は永久的であり、その分子はそのもとの
基底状態にもどることは出来ない。そのような
光分解がDNAまたは蛋白質分子中の化学変化
を起こすのに用いられた場合、分子の生物学的
機能は弱められるかまたは破壊され得る。 吸収係数、励起状態の生存時間、および量子
収量は固有の分子特性であり、前述のように、
多くの分子について実験によつて測定されて来
ている。これらの数値および光源のパラメータ
ーについての知見から、光化学反応の速度を計
算することができる。 本発明は、例えばDNA分子の形の核酸およ
び蛋白質から成る媒体の照射に関連するもので
あるが、例えば特開昭56−161054号公報に記載
されるような、放電ランプによる単なる紫外線
放射では、蛋白質とDNAの両方が光を吸収し
て、それにつづく光分解で破壊されるため、
DNAと共に蛋白質をも破壊することを、後述
の計算式は示している。下記の計算式はベー
ル・ランベルトの吸収法則にもとづき、この法
則は、1分子当たりの照射転移速度(r)を吸
収断面積と光の強度の積として定義している: r=l×s ここに、lは光子cm-2sec-1で表わした光の
強度であり、sはcm2で表わした吸収断面積であ
る。吸収係数(s)は式s=3.82×10-21×e
により、減光係数から得られる。ここに、減光
係数はM-1cm-1の単位で表わされ、sはcm2の単
位をもつ。光化学反応の1分子当たりの全体速
度(R)は転移速度と光化学的量子収量の積で
ある: R=I×s×Q Rを知ることにより、或る1つの分子が、t
秒の時間間隔の間反応せずに残つている確率
(P)を計算出来る: P=10-(R×1)/2.303 この計算では、光線が試料媒体を通過する際
の減衰は無視されている。この近似法は、対象
試料が、ここに述べた薄層の基準に合致してい
る、すなわち、試料が充分薄くまたは吸収係数
が充分小さくて、試料媒体を通る光源の減衰が
わずかであると仮定すれば、価値がある。 例えばヒトの血漿は多くの異つた蛋白質分子
を含む。大ていのアミノ酸(蛋白質を構成する
個々の単位)は近紫外線または中紫外線を著し
くは吸収せず、そのような光の存在の影響を受
けない。前述のトリプトフアンは、注目すべき
例外である。代表的な血漿蛋白質は、わずかの
(0〜15)トリプトフアンしか含まないが、少
数で充分、蛋白質が光化学破壊を受け得るよう
にしてしまう。M.O.デイホツフ編蛋白質の順
序および構造第5巻、補追3(国立生物医学研
究財団、シルバースプリング、メリランド、
1976)を参照せよ。前述のように、減光係数お
よび光化学的量子収量がトリプトフアンについ
て測定され、これで或一つの蛋白質を或一つの
光源が破壊する速度を測定することが可能とな
つた。生化学および分子生物学ハンドブツク第
3版第2巻(ケミカルラバー社、クリーブラン
ド、1976);G.R.フレミング他、化学75:4652
(1978)およびその引用文献;およびレイモン
ドF、ボークマン光化学および光生物学、26:
163(1977)(前出)を参照せよ。 血漿がウイルス感染をもつた与血者から採取
された場合、血漿は1立方センチメートル当た
り百万個という多数のウイルスを含み得る。ウ
イルスは、代表的には蛋白質または蛋白質−脂
質複合体である皮膜の内部にある一つ以上の
DNA(またはRNA)から成る。ウイロイドと
呼ばれる他の伝染性因子も知られており、これ
はRNA分子のみから成る。ウイルス皮膜は紫
外線に比較的透明であるが、DNA(または
RNA)のヌクレオチド基体はすべて強い吸収
剤である。紫外線を充分与えると、ウイルスの
DNA中に光化学的損傷を与え、不可逆的に伝
染性を損失する。種々の条件下で紫外線がウイ
ルスを不活性化する速度を測定する多くの実験
が行なわれてきた。 これらの実験データは、効果的にウイルス不
活性化のための量子収量を定義し、或一つの光
源についてウイルス不活性化の効率および蛋白
質破壊の効率の間の比較を可能にする。光化学
および光生物学、26:163(1977)(前出)を参
照せよ。
【表】
第表は、スペクトルの近赤外部におけるモ
デルウイルスおよびモデルトリプトフアン含有
蛋白質の両方の量子収量および断面積を示す。
さらに、感染血液の一単位(450ml)は4.5×
108個という多数のウイルスを含み得るので殺
菌によつて、少くとも約108の係数でウイルス
活性を、好ましくは減少させるべきである。換
言すれば、個々のウイルスが反応しないまま残
る確率(P)は10-8より小さくあるべきであ
る。これらのデータから、ウイルス不活性化の
望ましい条件(未反応ウイルスの確率が10-8よ
り小さい)を達成するためには、1cm2当たり2
×1018の光子の全照射光束を供給する260nm近
傍で働く、連続波光源が必要であると計算され
る。また、この照射量は、多きな蛋白質破壊
(第表のモデル蛋白質についてP=10-11)を
もたらすこととなろう。すなわち、そのような
光源は、通常の方法ではそのような生物学的流
体を殺菌する能力がない。 ベール、ランペルトの法則は、光源の強度が
比較的小さいままに保たれる場合にだけ適用出
来るものであるため、この法則は必ずしも常に
光化学過程の速度を正しく示すものではないこ
とも留意すべきである。最近のパルス光レーザ
ーは、極めて高い強度のピコ秒級(10-12秒)
の閃光を出せる。このようなレーザーからの単
一パルスは1ギガワツト(109ワツト)以上の
工率を達成出来、一方連続波レーザーまたは
「古典的」光源(放電ランプのような)は、代
表的には10ないし1000ワツトの範囲で稼動す
る。このような強いパルスの試料分子に対する
効果は、第1図および第2図の過程の間の差を
比較することによつて理解出来る。投射光子の
強度が比較的小さい場合には、励起状態にある
間に分子が第二の光子を吸収する確率は極めて
低い。すなわち、第1図でわかるように、単一
の光子がエネルギー単位を基底状態Aから励起
状態Bに転移させた後は、分子が瞬間的に光分
解を受け、低エネルギー状態を形成し、およ
び/または、他の光子を吸収することなく基底
状態にもどる確率は高い。一方、ピコ秒パルス
では、光子の強度はかなり高い。この場合は、
分子がまだ励起されている間に第二の光子が吸
収され得る確率およびこの方式で単純な一光子
ベール・ランベルト型の過程によつては到達し
がたいエネルギー準位に分子が達し得る確率は
かなり高い。 最近、或る研究者は前述の量子力学概念のい
くらかを遊離のヌクレオチドの不活性化に適用
した。第13回国際量子エレクトロニツクス会議
142頁A:アンドレオニ他「二段階レーザー光
生物学:ガン治療への応用」;A、アンダース、
光学工学22(5)、592〜295(1983)「生体分子のレ
ーザー螢光スペクトル分析」を参照せよ。しか
し、蛋白質の存在で蛋白質に先立つて、DNA
またはRNA核酸を光分解する方法すなわち本
発明によつて与えられるような効果的な殺菌法
を達成した人は一人も居ない。 このことは、さらに、米国特許第4395397、
3837373、3941670、3817703、3955921、
4042325および4265747号を参照することによつ
て評価できる。これらの特許のいずれも、媒体
中の蛋白質および他の生物学的材料を妨害せず
に残しながら生物学的媒体中の核酸の選択的か
つ効率的な光分解について何ら教示していな
い。例えば、米国特許第4395397号では、生存
細胞の懸濁物中に好ましくない細胞、例えばガ
ン細胞を殺すことが望まれるが、その場合、螢
光性抗体によつて、まずガン細胞を同定または
「目印つけ」し、この目印つきの細胞を次にレ
ーザー光で、一回一細胞づつ殺すという非常に
面倒な方法を開示する。 発明の目的 本発明の目的は、このような従来技術の欠点を
改良し、生物学的流体中に存在する疑いのある、
変質を受け得る伝染性の核酸分子、ウイロイドお
よびウイスルまたはバクテリアを含む、既知およ
び未知の、かなりの量または、実質的にすべての
DNAおよびRNA系の因子を破壊しながら、他方
同流体中に存在する蛋白質は実質的に完全にもと
のままに残しうる、生物学的流体の処理方法を提
供することを目的とする。 特に、本発明では、殺菌したい生物学的流体の
処理に先立つて、好ましくない核酸の同定を必要
とすることなく、どのような核酸系病原、例えば
ガン細胞またはウイルスが存在するかを予め測定
することなしに、殺菌生成物を与えるのに適用で
きるもので、「目印」を使つたり、螢光または他
の「信号」への応答を必要としない、扱い易い方
法を提供することを目的とする。 発明の構成及び作用効果 本発明は、生物学的流体を処理して、存在する
蛋白質に比べて核酸の光分解を促進する方法を与
える。本発明は、また当該方法によつて得られる
生成物を与える。本方法は、(1)基底状態にある核
酸が照射光を吸収し、それによつて励起状態に転
移し、(2)励起状態にある核酸が照射光を吸収し
て、それによつてさらに高いエネルギー状態に転
移し、かつ光分解を受け、かつ、(3)基底状態また
は励起状態にある蛋白質は、実質的な光分解を受
けるに充分な照射光を吸収しない、ように選ばれ
た波長および光束のパルス光で流体を照射するこ
とから成る。本法を適用することによつて、流体
は殺菌され、例えば核酸またはウイルス活性は少
くとも104減少し、一方蛋白質の官能度は40%よ
り少いだけしか減少しない。このような結果は、
本発明以前には達成されておらず、励起状態にあ
る核酸が効率的な光分解を受け、一方同一流体中
の同一条件下にある蛋白質は実質的にもとのまま
残るように出来るということは驚くべきことであ
り、また予期されなかつたことである。好ましく
は、生物学的流体は、血液、血液成分、遺伝子工
学的に加工された哺乳類細胞の蛋白質系生成物、
および蛋白質皮膜中にウイルスDNAまたはRNA
を含むワクチン製剤から選ばれた溶液である。こ
れらの流体はすべて、核酸(例えばDNAまたは
RNAの形で)および蛋白質を含むという共通の
特性をもつている。 すなわち、本発明の或種の実施態様によれば蛋
白質例えばトリプトフアン含有蛋白質および核酸
の溶液を処理して、それらの核酸を選択的に光分
解または不活性化する。これらの実施例は、第一
の波長と充分な光束をもつ第一のパルス光で溶液
を照射してその核酸を部分的に基底状態から励起
状態の一つに転移させ、さらに、励起状態にある
それらの核酸を、励起状態にある核酸によつて優
先的に吸収されるような第二のパルス光で照射し
て、そのあと当該核酸の瞬間的な光分解が起こる
ようなさらに高いエネルギー状態へ当該核酸を転
移させることから成つている。これらの実施態様
の実施には、第一および第二のパルス光の光束と
波長は当該蛋白質のアミノ酸例えばトリプトフア
ンの光分解を最少にするように慎重に選ばれる。
これは、例えば、実質的に同一の波長および光束
のパルスを選ぶか、実質的に同一の波長で異つた
光束のパルスを選ぶか、または異つた波長と光束
のパルスを選ぶことによつて達成出来る。パルス
は、必要により、後にくわしく説明するような
種々の方法でくりかえしおよび/または継続させ
ることが出来る。それ故一般的に言えば、本発明
は光分解の成果を調節し例えば蛋白質の存在で
DNAまたはRNA分子と選択的に反応させるため
に、時間および波長によつて適切にアレンジされ
た一連のパルス光の使用に関するものである。 このような、本発明では、血液、血液成分、遺
伝子工学的に加工された哺乳類細胞の蛋白質系生
成物、およびワクチン製剤から選ばれた生物学的
流体を殺菌するために非常に有効に利用できる。
即ち、本発明では、生物学的流体を処理して存在
する蛋白質に先立つて核酸を光分解する新規な照
射方法を与えるものであり、時間、波長および強
度について適切に調整された一連のパルス光を使
用して、光分解の成果を調節し、例えば、核酸と
蛋白質の間の相対的光分解速度の差を拡大させる
方法を与える。 更に本発明では、核酸不活性で蛋白質に富む生
成物、例えば哺乳類細胞をもとにした殺菌済蛋白
質系生成物、殺菌したウイルスワクチンや血液お
よび血液成分を生産することも可能となる。 好ましい実施態様の説明 本発明の好ましい実施態様の一つは、光源たと
えばレーザーの出力パルスを受けるように曝露し
たターゲツト領域を通して流体の形で生物学的媒
体の薄層を流すことを含む。ここに用いられたよ
うに、「薄層」という用語は、そこに投射される
光エネルギーの10%より多くを透過させる流体の
層をいう。流体およびそのあり得べき稀釈物の性
質によつて、この基準を満足させる層は、代表的
には、0.1mmないし数mmの厚さをもつものがよい
と考えられ、好ましくは0.5mmより小さいレベル
の厚さがよく、さらに好ましくは約0.2mmがよい。
ターゲツト領域を通る流体の実際の流速は、後述
のように、投射レーザービームの有効面積、およ
びパルスの強度と反復速度に左右される。大てい
の装置ではターゲツト領域巾各1ミリメートール
を横切る流れは、一般に正方形または矩形の断面
をもつ層を限定し、投射光線の巾と等しいかまた
はわずかに狭い巾の面積をその最大の表面の一部
として占める水晶チヤネルを通して毎秒約5ミリ
メートルの速さに設定出来ると予備される。 本発明に使用されるパルス光は好ましくはレー
ザーパルスから成る。パルスレーザー装置はその
出力パルスを反復形式で作り出す。パルスの出る
速度はレーザーのハードウエアに左右され、「反
復速度」と呼ばれる。生物学的媒体の処理には、
パルスは好ましくは、「ターゲツト領域」と呼ば
れる小さい点(円形または或種の他の形)に向け
られる。大ていの場合、この領域は小さすぎて、
加工すべき全試料が入らない。こういう場合に
は、全試料が照射されるまでターゲツト領域を通
して試料を流すことが出来る。別法として、レー
ザービームを試料の全面に走査することが出来る
し、および/または、試料を副試料(sub−
sample)として加工することも出来る。試料の
各容積素子が実質的に同じ照射条件を受けること
を確保するために、各容積素子はレーザーパルス
の同一サイクルの反復を受けねばならない。 本発明の特定の実施態様では、もとのままの血
液細胞の存在で血漿または血清を殺菌出来る。赤
血球はDNAを含まず、ここに述べた波長および
光束では、比較的照射に耐える。しかし、単一の
赤血球は照射光の大部分を吸収するに足る工学密
度をもち、そのため当該血液細胞の後に位置した
部分を遮閉する。したがつて全血を加工すべき場
合は、細胞がその領域を「単一フアイル」
(single file)で通過するように、ターゲツト領
域に血液の薄い流路が出来るように設定すること
が好ましい。これらの細胞のまわりの血漿または
血清は、ついで、反対の方向から照射して、対象
血漿の全体が必要量の紫外線照射を受けることを
確保する。 本発明に含まれるような二光子光化学過程の量
子収量は投射光の強度に左右される。代表的なレ
ーザー装置では、出力パルスのエネルギー含量と
時間はレーザーハードウエアによつて最初に決め
られる。ターゲツト領域におけるレーザー光の強
度は、しかし、レーザーパルスをレンズ(または
組合わせレンズ)を通して、ターゲツト領域に入
るときのパルスの断面積を調節することによつ
て、実際上どんな所望の値にもすることが出来
る。この理由により、現在のレーザー装置の広い
種類が本発明の実施に使用出来、特定のレーザー
の選択は、価格、信頼性、および所望の加工速度
によつて大きく左右される。 パルス化されたレーザーは、現在、0.01ヘルツ
(毎秒パルス数)から108ヘルツの範囲の反復速度
で入手し得る。高い反復速度をもつそれらのレー
ザーは、代表的に弱いパルスをつくり、そのよう
なパルスは本法を実施するに充分な強度をつくり
出すために極めて小さい点に焦点を合わせねばな
らない。極めて低い反復速度をもつレーザーは、
代表的に、大エネルギーのパルスを発生するが、
現在のところ信頼性が低い。適当なピーク出力
(例えばここに述べる二光子吸収過程を刺激する
ため)および適当な平均出力(例えば充分な量の
材料を処理するため)の両方を与えるために、本
発明のための好ましいレーザーは、(A)10ヘルツと
1000000ヘルツの間;より好ましくは100と10000
ヘルツの間の反復速度をもち、(B)約2×10-8秒よ
り小さい時間、好ましくは10-10ないし10-12秒の
時間のパルスをつくり、かつ一方で極めて高い強
度の光を照射する能力をもつ。このレーザーは
YAGレーザー(およびその付属光学部品)のよ
うな従来のレーザーでよく、これは、ここに述べ
た波長、強度およびパルス周波数を与える能力が
ある。 パルス化レーザーは代表的には、単一固定波長
で稼動する。この原パルスから別の波長を発させ
るには、高調波発生、同期色素レーザー操作およ
び光学変数発振(optical parameticoscillation)
を含む多くの方法が知られている。異る波長のパ
ルスを使う本発明のそれらの実施態様では、それ
らのパルスは、先行技術で知られる方法の一つを
用いて単一の原パルスから誘導出来る。 ターゲツト領域の寸法、試料加工速度およびレ
ーザー反復速度の考慮は、ここに述べた本発明の
すべての実施態様に均等に適用される。実施態様
はパルス時間および光束の用語で記述されている
が、当業者は特別のレーザー装置を選ぶことによ
つてこれらの変数を強度、ターゲツト寸法および
試料加工速度に関連づけることが出来る。 本発明は、血漿または血清蛋白質の大部分を保
持しつつ、DNAまたはRNAの不活性化を実施す
ることの重要性を認識する。血清蛋白質も非線型
不活性化を受け得るけれども、本発明は、核酸の
光分解を促進するように第一および第二のパルス
の波長と強度を慎重に選ぶことによつてそのよう
な蛋白質を実質上もとのままに保持出来ることを
認識する。例えばこの方法はトリプトフアン光分
解の効率をわずか3以下の係数で増加させ、一方
DNA光分解の効率を約5000の係数で同時に増加
させることが出来る。本発明の方法によつて達成
される核酸と蛋白質の間におけるような光分解の
相対速度の差の拡大は極めて重要であり、「3」
および「5000」という数値は説明の目的で計算さ
れたもので、すべての場合に適用されるものでは
ないことを理解すべきである。 パルス化レーザーを用いた本発明の例として第
2図に図示したように、二パルス光分解を行なう
ことが可能である。第一のパルスは、単一のベー
ル・ランベルト過程によつて分子の一部を状態B
に励起するように比較的低い強度をもつように選
ばれる。これらの励起された分子のうち、トリプ
トフアンの場合約13%、核酸の場合約1%が、固
有の分子過程の発生を通じて状態Cに達するであ
ろう。極めて高強度の第二のパルス光がさらに吸
収を起こすのに使われる。D、EおよびFのよう
な高エネルギー状態の存在は、実験的に表示さ
れ、これらの状態は光化学反応の高い確率を与え
ると期待される。D、H、ウイランス他(前出)
およびD、V、ペント他アメリカ化学会誌97:
2612(1975)を参照せよ。 適切なエネルギーをもつ量子状態はないので基
底状態Aは第二のパルスから効率的に光子を吸収
することは出来ないことを注記することは重要で
ある。 この二パルス照射の結果は、三重項状態に達し
た実質上すべての分子が第二のパルスの影響下に
光化学的に反応することを強いられることとな
る。この場合光化学反応の全体速度は、三重の生
成速度に左右される;これは、トリプトフアンの
光分解の効率を3という係数で増加させるが、同
時にDNA光分解の効率を5000という係数で増加
させるであろう。二パルス法の効果を第2図に示
す。この例では、殺菌条件(Pが10-8より少い)
は、1cm2当たりわずか4.6×1014の光子の260nm
の光束を使つて達成出来る。この光束は蛋白質に
ついて0.99というP値を得る;すなわち、この材
料の蛋白質官能度の約99%が保持されるであろ
う。 すなわち本発明は、一つの実施態様として、ヒ
トの血液および血液成分のような生物学的流体を
殺菌する新規な方法を与える。この方法は伝染性
の因子を破壊するが、蛋白質および他の生命西武
は高い官能度水準に保つようにレーザー光の強い
パルスの使用をする。 一般的な実施態様の一例において、本発明は蛋
白質およびDNA又はRNAのような核酸の溶液を
処理して選択的に、この核酸を不活性にする方法
を与える。ここでは、(a)核酸の一部を基底状態か
ら励起状態に転移させるに足るが、溶液中の蛋白
質を不活性にするには充分でない光束の第一の波
長の第一パルス光によつて、溶液を照射し、そし
て(b)励起状態にある核酸によつては優先的に吸収
されるが、基底状態または励起状態にある蛋白質
によつては実質的に吸収されず、励起された酸の
状態より高いエネルギー状態に、上記核酸を転移
させて、核酸の光分解を起こさせるが、蛋白質の
光分解は参照にするような第二パルス光により、
上記励起状態にある核酸を照射することを特徴と
する。 この実施態様における例示条件は次の通りであ
る。 当該励起状態が、一重項または三重項状態にあ
る核酸から成り、当該第二のパルスが当該核酸の
当該部分の一重項または三重項の生存期間内に適
用される;当該第二のパルス光が当該第一のパル
ス光の後1ピコ秒以内に適用されるかまたは当該
第一および第二のパルスが同時に適用される;当
該第一パルスの波長が220ないし280ナノメートル
の間にある;当該第一パルスの持続時間が2×
10-8秒より短かく、好ましくは約1×10-12と9
×10-10秒の間の持続時間である;当該第一のパ
ルスが1平方センチメートル当たり約5×1014個
より少い光子数の光束、好ましくは、1平方セン
チメートル当たり1×1013ないし5×1014の光子
数の光束、さらに好ましくは1平方センチメート
ル当たり約1×1014ないし5×1014の光束をも
つ;当該第二のパルスが約350ナノメートルより
長い波長、好ましくは約350ないし410ナノメート
ルの間の波長または約500ないし560ナノメートル
の間の波長をもつ;当該第二のパルスが2×10-8
秒より短い持続時間、好ましくは約9×10-10な
いし1×10-12の間の持続時間をもつ;当該第二
のパルスが1平方センチメートル当たり約1×
1015ないし1×1018の光子数の光束、好ましくは
1平方センチメートル当たり約1×1017の光子数
の光束をもつ;当該パルス光がレーザー光のパル
スである;当該パルス光が単一のレーザーで適用
される;当該溶液がターゲツト領域中の薄層とし
て配置される;当該層が約0.5mmより小さい厚さ
好ましくは約0.2mmの厚さをもつ;当該溶液が毎
秒約5ミリメートルの速度でターゲツト領域巾の
各1ミリメートルを横切つて流れる;当該溶液が
血漿蛋白質から成る血液成分である;当該血液成
分がさらに血液細胞を含む;かつ当該パルスが、
当該血液細胞のまわりに配置された実質的にすべ
ての血漿および血清を照射するように多くの方向
から適用される。 それ故、独特の殺菌ならびに蛋白質生産方法が
本発明によつて与えられる。これらの方法は強い
レーザー光のパルスを使用して、蛋白質例えばト
リプトフアン含有蛋白質の存在で選択的にDNA
を光分解する。或る種の実施態様ではこの選択性
は、波長、持続時間、および時間間隔がレーザー
操作者の調節下におかれる一連のパルスの継続の
使用で達成される。第二のパルスの性質は、一連
のパルス中の初期のそれから光を吸収した分子だ
けが影響を受けるように選ばれる。この理由のた
め、第二のパルスは、好ましくない反応を起こす
ことのない、極高強度のものであることが出来
る。 本発明の他の例示的実施態様では、血漿、血清
またはそれらの生成物を含む血液成分を処理する
のに用いる。これら成分は生育しうるまたは伝染
性の核酸含有因子を含む疑いがあるものである。
例えばその実施態では、異つた波長と強度をもつ
極短時間の多重パルス光でこの成分のターゲツト
領域を照射する。220ないし280ナノメートルの間
の波長をもつ第一のパルスが、1平方センチメー
トル当たり5×1014よりわずかに少い光子数の光
束を血液成分ターゲツト領域中で達成するために
適用される。第一のパルスが当該成分中のDNA
またはRNAを基底状態から励起状態に励起する。
約300ナノメートルより長い波長と1平方センチ
メートル当たり約1×1015ないし約1×1018の間
の光子数の光束をもつ第二の高強度パルスを、つ
いで当該DNAまたはRNAの励起状態の生存時間
(例えば約6マイクロ秒まで)以内に適用する。
その結果、これらの核酸含有分子は非線性過程に
よつて、さらに高いエネルギー状態に励起され、
この高エネルギー状態は、光分解によるその実質
的不活性化をもたらす。 さらに別の例示的な特別の実施態様において本
発明の殺菌法は、同時に適用されるかまたは例え
ば、相互に一方の三重項状態の生存時間(約1マ
イクロ秒)以内に適用する第一および第二の単一
光パルスを使用して実施される。 上記第2図の特定の例で見られるように、第一
のパルス光は、核酸によつて吸収される波長であ
ることが出来、核酸の一部を基底状態から三重光
状態へ転移させるものである。第二のパルス光
は、三重項状態の核酸によつて優先的に吸収さ
れ、それら核酸をさらに高いエネルギー状態に転
移させて、それによりそのような核酸の瞬間的光
分解が起こる確率を増加させるような高強度で長
い波長であることが出来る。これらの第一および
第二のパルス光は蛋白質のアミノ酸の光分解が最
小にされる、例えば、試料中に存在する蛋白質の
約1%より少い値に保持されるように選ばれる。
この実施態様によれば、第一のパルスは、持続時
間が2×10-8秒より短く、好ましくは約10-10な
いし10-12秒であり1cm2当たり1×1013ないし1
×1016、好ましくは5×1014より少い光束をもつ
ものである。第一のパルスの光束が小さいことは
蛋白質に対する対象照射の効果を小さくするが、
励起されたDNAまたはRNA分子の数もそれに応
じて減少する。したがつて、第一のパルス光束は
1cm2当たり1×1013ないし5×1014、より好まし
くは、1cm2当たり1×1014ないし5×1014の範囲
の光子数が好ましい。第二のパルスは好ましくは
約350nmより長い波長をもち、より好ましくは
350ないし410nmまたは500ないし560nmの波長
範囲内にあるのがよい。第二のパルスは2×10-8
秒より短い持続時間、好ましくは約10-10ないし
約10-12秒の持続時間をもつのがよい。励起され
たDNA三重項の光分解の効率を高くするために
は、各第二のパルスは第一のパルスより高い強度
をもち、1cm2当たり約1×1015ないし1×1018の
光子数、好ましくは約1×1017の光子数の光束を
もつのがよい。 単純化の目的のために、単一の第一および第二
のパルスの投射および三重項状態のような中間状
態について、二三の例において上述の論議を例示
的に引用していた。他の実施態様として本発明で
は、対象試料がターゲツト領域を流れる間に、そ
の試料に、同一波長をもつパルスを反復して適用
するか、または、第一および第二のパルス(例え
ば異つた波長の)を交互に反復適用することによ
つて効率的に稼動出来る。また、他の励起状態
(例えば第一の励起一重項)中間状態として使用
出来る。 そのような実施態様に従つて、殺菌されるべき
血液成分または他の生物学的流体の薄層のターゲ
ツト領域が220ないし280nmの第一の範囲内の波
長から成る一つ以上(すなわち反復)の第一のパ
ルス光で照射される。第一のパルス光の各々は2
×10-8より短い持続時間をもち、同時に1cm2当た
り約1×1013ないし1×1016の間の光子数の上記
波長範囲内の併合光束を、これらの第一のパルス
光はもつ。この実施態様によれば、第二の高強度
パルス光は当該第一のパルス光と同時にかまたは
第一のパルス光の各々の後1マイクロ秒より長く
ないとき、好ましくは1ピコ秒までに反復して適
用される。これらの第二の高強度パルス光の各々
は約350nmより長い第二の波長範囲内の波長を
もち、各々は2×10-8秒より短い持続時間をも
ち、同時に1cm当たり約1×1015ないし1×1018
の間の光子数の、上記波長範囲内の併合光束をも
つ。この場合も、好ましい第二の波長範囲は、
350ないし410nmまたは500ないし560nmの間に
ある。この実施態様によれば、当該第一のパルス
光は、毎秒10ないし1000000パルスの間の周波数
で適用されるべきである。この方法のこの実施態
様ないし他のそれが、レーザーのターゲツト領域
を通る薄層として流れる生物学的流体に適用され
る場合、レーザーパルスの周波数および殺菌すべ
き流体の選ばれた流速は、好ましくは、処埋され
るべき流体が、ターゲツト領域を離れる前に上記
併合光束に露光されるように選ばれるべきであ
る。 同一波長のパルスが使用される実施態様におい
ては、波長は好ましくは、180ないし295nmの範
囲内にあり、より好ましくは220ないし290nm、
さらに好ましくは、220ないし280nmの間にある
のがよい。各パルスの持続時間は好ましくは、1
×10-5秒より短く、より好ましくは1×10-8秒よ
り短く、さらに好ましくは5×10-9ないし1×
10-12秒の範囲にあり、最も好ましくは1×10-10
ないし1×10-12秒の範囲にあるのがよい。1×
10-5ないし1×10-10秒の持続時間が用いられる
場合、三重項状態が中間経路を含むと考えられ
る。1×10-10ないし1×10-14秒の持続時間が用
いられる場合、一重項が中間経路含むと考えられ
る。同一波長のパルスを用いる場合は、一重項経
路を好む条件すなわち上記範囲内の持続時間をも
つパルスを選ぶのが好ましい。また、同一波長の
パルスを使うこの実施態様においては、パルスは
各々好ましくは1平方センチメートル当たり1×
1015より多い光子数、より好ましくは、約1×
1015ないし約1×1018、さらに好ましくは約1×
1017ないし1×1018、最も好ましくは約1×1017
の光子数の光束をもつのがよい。パルスの併合光
束は好ましくは、各パルスの光束より約1桁大き
いレベルがよく、すなわち、流体の単位体積当た
り各パルスが約10回反復されるのがよい。 異つた波長のパルスが用いられる場合、第一の
パルスの持続時間は、今すぐ前に述べたようであ
るのが好ましい。第一のパルスは好ましくは180
ないし350nmの範囲内の波長、より好ましくは
180ないし295nm、さらに好ましくは220ないし
290nm、最も好ましくは220ないし280nmの範囲
内の波長であるのがよい。第一のパルスは好まし
くは、各々1平方センチメートル当たり1×1018
より少い光束、より好ましくは5×1014より少い
光束、さらに好ましくは1×1013ないし5×1014
の光束、最も好ましくは、1×1014ないし5×
1014の光束をもつのがよい。 第一のパルスの併合光束は好ましくは、1平方
センチメートル当たり、1×1013ないし1×
1018、より好ましくは1×1013ないし1×1016、
最も好ましくは1×1014ないし5×1014であるの
がよい。第二のパルスは好ましくは各々1平方セ
ンチメートル当たり、1×1015より多い光束、よ
り好ましくは1×1015ないし1×1018、最も好ま
しくは約1×1017の光束をもつのがよい。パルス
の併合光束は、上述の理由から各パルスの光束よ
り約1桁高いレベルである。第二のパルスのため
に好ましい波長は第一のパルスのために選ばれた
持続時間に左右される。すなわち、三重項状態経
路を好む第一のパルス持続(1×10-5ないし1×
10-10秒)が用いられた場合、第二のパルスは好
ましくは、各々300nmより長い波長、好ましく
は300mmないし700nmの範囲、最も好ましくは
350ないし410nmの範囲の波長をもつのがよい。
この実施態様では、各第二のパルスの持続時間は
1×10-5秒より短かく、より好ましくは1×10-6
秒より短かく、さらに好ましくは5×10-9ないし
1×10-12秒の範囲にあり、さらに好ましくは1
×10-10ないし1×10-12秒の範囲にあるのがよ
い。各第二のパルスは好ましくは各第一のパルス
の1×106秒以内に適用するのがよい、より好ま
しくは各第一のパルスと実質的に同時に適用する
のがよい。 一重項状態経路を好む第一のパルスのための持
続時間(1×10-10ないし1×10-14秒)が用いら
れた場合、第二のパルスは好ましくは300nmよ
り長い波長、より好ましくは300ないし700nmの
範囲の波長、より好ましくは500ないし560nm、
最も好ましくは約520ないし540nmの範囲の波長
をもつのがよい。この実施態様では、各第二のパ
ルスの持続時間は好ましくは1×10-10ないし1
×10-12秒の範囲、より好ましくは3×10-11秒よ
り短く、より好ましくは約3×10-12秒より短か
く最も好ましくは1×10-11ないし1×10-12秒の
範囲にあるのがよい。各第二のパルスは好ましく
は第一のパルスの3×10-12秒以内に適用される
のがよく、より好ましくは第一のパルスと実質的
に同時に適用されるのがよく、最も好ましくは第
一のパルスに対して約1×10-12秒の遅れで適用
されるのがよい。 それ故、より広い観点において本発明は、当該
蛋白質に先立つて当該核酸が光分解されるように
選ばれた波長および強度の多数のパルス光で生物
学的流体を照射することから成る。核酸および蛋
白質を含む生物学的流体の処理方法と記述するこ
とが出来る。上記のように、或る実施態様では、
これらのパルスは同一波長のレーザーパルスであ
つてもよく、また、それぞれ異つた波長をもつ第
一および第二のレーザーパルスから成つてもよ
い。同一波長のパルスが選ばれた場合は、好まし
い条件は下記の通りである:当該パルスの各々は
180ないし295nm、好ましくは220ないし290nm、
さらに好ましくは220ないし280nmの範囲内の実
質上同一の波長、1×10-5秒より短かい、好まし
くは5×10-12秒の範囲より好ましくは1×10-10
ないし1×10-12秒の範囲の持続時間、および1
平方センチメートル当たり1×10-15より多く、
好ましくは1×1015ないし1×1018、より好まし
くは1×1017ないし1×1018の範囲の光子数の光
束をもつ。 異つた波長のパルスが選ばれた場合は、好まし
い条件は下記の通りである:当該第一のパルスの
各々は180ないし350nmの範囲内の波長、1×
10-5秒より短い持続時間および1平方センチメー
トル当たり1×1018より少い光子数の光束をも
ち、当該第二のパルスの各々は300ないし700nm
の範囲内の波長、1×10-5秒より短い持続時間お
よび1平方センチメートル当たり1×1015より多
い光子数の光束をもつ。異つた波長のパルスが選
ばれた場合のさらに好ましい条件は下記の通りで
ある:当該第一のパルスの各々は180ないし295n
mの範囲内の波長、1×10-10ないし1×10-14秒
の持続時間、および1平方センチメートル当たり
1×1013ないし5×1014の光子数の光束をもち、
当該第二のパルスの各々は500ないし560nmの範
囲内の波長、1×10-10ないし1×10-12秒の範囲
の持続時間、1平方センチメートル当たり1×
1015ないし1×1018の光子数の光束をもち、かつ
各第二のパルスは各第一のパルスの3×10-12秒
以内に適用される。異つた波長のパルスが選ばれ
た場合の別の好ましい条件は下記の通りである:
当該第一のパルスの各々は180ないし295nmの範
囲内の波長、1×10-5ないし1×10-10秒の持続
時間、および1平方センチメートル当たり1×
1013ないし5×1014の光子数の光束をもち、各第
二のパルスは300ないし450nmの範囲内の波長、
5×10-9ないし1×10-12秒の範囲の持続時間、
1平方センチメートル当たり1×1015ないし1×
1018の光子数の光束をもち、各第二のパルスは各
第一のパルスの1×10-6秒以内に適用される。 本発明のさらに他の実施態様は、殺されたウイ
ルスワクチンと調製法および、そうして調製され
たワクチンに関する。これらは、核酸部分および
トリプトフアン含有蛋白質皮膜から成るウイルス
の照射を含む。対象の照射は、異つた波長の極短
時間高強度のレーザーパルスを使つて行ない、ウ
イスルの核酸成分の非線型光分析を起こすが、一
方そのまわりの蛋白質皮膜を実質上もとのままに
残すようにする。 より特別には、これらの実施態様は、(a)ウイル
スを含有する溶液を用意する(たたじ、当該ウイ
スルは核酸の部分およびトリプトフアン含有蛋白
質皮膜を含む)(b)220ないし280ナノメートルの第
一の波長範囲内の波長の1つ以上の第一のパルス
光により当該ウイルス含有溶液の薄層のターゲツ
ト領域を照射する(ただし、当該第一のパルスの
各々はパルス当たり2×10-8秒より短い持続時間
をもち、かつ1平方センチメートル当たり約1×
1013ないし1×1016の間の当該第一の波長範囲内
の併合光束をもつ、さらに(c)約350ナノメートル
より長い第二の波長範囲内の波長の1つ以上の第
二の高強度パルス光により、当該層の当該ターゲ
ツト領域を照射する(ただし、当該第二のパルス
の各々は2×10-8秒より短い持続時間をもち、
各々は1平方センチメートル当たり少くとも約1
×1015の光子数の当該第二の波長範囲内の光束を
もち、当該第二のパルスの各々は、当該第一のパ
ルスの各々の後、1マイクロ秒以内に当該層に適
用され、これにより当該ウイルスの当該核酸部分
は不活性化され、一方当該蛋白質皮膜の構造の変
化は最少にされる)という工程を含む殺されたウ
イルスワクチンの調製法を含む。この実施態様の
ための好ましい条件は下記の通りである:当該第
一の波長範囲内の当該併合光束は、1平方センチ
メートル当たり約1×1014および5×1014の間に
ある;当該第二の波長範囲内の当該第二のパルス
の各々は1平方センチメートル当たり約1×1017
ないし1×1018の光子数の光束をもつ;当該第一
のパルスおよび当該第二のパルスは各々、約9×
10-10および1×10-12秒の間の持続時間をもつ;
当該第二の波長範囲は360ないし410ナノメートル
または500ないし560ナノメートルである;当該第
一のパルスは毎秒10ないし1000000の間のパルス
数の周波数で適用される;当該第一および第二の
パルスは実質上同時に適用される;当該層は0.5
mmより小さい厚さをもつ;当該層は約0.2mmの厚
さをもつ;当該成分が当該併合光束にその各部分
を曝露するような速度で当該ターゲツト領域を通
つて流れる、例えば、毎秒約5mlの速度でターゲ
ツト領域巾の各1ミリメートルを横切つて流れ
る;および当該パルス光がレーザーパルスであ
る。 本発明のさらに別の好ましい実施態様は、トリ
プトフアン含有蛋白質を生産する方法、およびそ
うして生産された蛋白質に関する。それらは、そ
れら蛋白質を生産するための哺乳類原の細胞を培
養し、これらの細胞がその蛋白質を収穫媒体中に
放出するようにさせ、基底および励起状態にある
それら核酸成分によつて差をつけて吸収される異
つた波長の高強度レーザー光の多数のパルスにそ
の媒体を曝露することによつて、その流体中の核
酸成分を不活性化することから成る。この方法を
用いて、核酸不活性で蛋白質に富む最終生成物が
生産される。より特別には、この実施態様は、(a)
培養により、当該トリプトフアン含有蛋白質を生
産する哺乳動物系の細胞を用意し、(b)当該細胞を
培養し、(c)当該蛋白質を媒体中に放出し、かつ(d)
基底および励起状態にある当該核酸成分によつて
差別的に吸収されて、核酸が不活性で蛋白質に富
む最終生成物を生産する異つた波長の高強度レー
ザー光の多数のパルスに、当該流体を露光するこ
とによつて、当該流体中の核酸成分を不活性化す
るという工程を含むトリプトフアン含有蛋白質の
生産方法をも含む。好ましくは、当該不活性化工
程は、さらに当該核酸成分の一部を基底状態から
励起状態に転移させるに足るが、当該溶液中の蛋
白質を不活性化するには充分でない光束の第一の
波長の第一のパルス光で当該流体を照射すること
を含む。より好ましくは、当該不活性化段階はさ
らに、当該励起状態にある当該核酸を、当該励起
状態にある核酸によつては吸収されるが、基底状
態にある当該蛋白質によつては実質的に吸収され
ない第二のパルス光で照射して、当該酸をより高
いエネルギー状態に転移させ、それによつて当該
核酸の光分解を起こすが当該蛋白質の光分解を最
小にすることを含む。この実施態様の好ましい条
件は下記の通りである:当該第二のパルスは当該
核酸の当該部分の三重項の生存時間内に適用され
るか、または当該第二のパルス光は当該第一のパ
ルス光の後1ピコ秒以内に適用されるか、または
当該第一および第二のパルスは同時に適用され
る;当該第一のパルスの波長は220ないし280ナノ
メートルの間にある;当該第一のパルスおよび当
該第二のパルスの持続時間は2×10-8秒より短
く、好ましくは当該第一のパルスおよび当該第二
のパルスの持続時間は約1×10-12および9×
10-10秒の間にある;当該第一のパルスは、1平
方センチメートル当たり約5×1014より少い光子
数の光束、好ましくは1平方センチメートル当た
り約1×1013ないし5×1014の間の光子数の光束
より好ましくは1平方センチメートル当たり約1
×1014ないし5×1014の光子数の光束をもつ;当
該第二のパルスは約350ナノメートルより長い波
長、好ましくは約350ないし410ナノメートルまた
は約500ないし560ナノメートルの間の波長をも
つ;当該第二のパルスが1平方センチメートル当
り約1×1015ないし1×1018の光子数の光束をも
つ;当該パルス光がレーザー光のパルスである;
かつ当該パルス光が単一のレーザーによつて適用
される。 前記のように、本発明の方法は血清または血液
成分;蛋白質系生成物および核酸成分を含む哺乳
動物細胞系の媒体;およびトリプトフアン含有蛋
白質皮膜をもつウイルスのような生物学的流体に
効果的適用出来る。しかし当業者は、これら実施
態様の各々が異つた程度の核酸不活性化を提起
し、異つた程度の蛋白質分析に耐えることを認め
るであろう。殺されたウイルスワクチンは若干の
生きたウイルスを含み得るものであり、またもと
の蛋白質皮膜をもとのままですべて保持する必要
はないので、この適用における核酸およびウイル
スの活性の減少は、104程度、好ましくは106にで
き、ウイルス蛋白質皮膜の光分解は約40%程度好
ましくは20%にできる。これに対し、血液および
哺乳動物細胞生成物の応用では、少くとも106、
好ましくは108の核酸またはウイルス活性の減少
が時として望まれる。血液中または医薬製品(イ
ンシユリンまたは他の生物学的蛋白質のような)
生産を含む応用では、蛋白質の不活性化は35%、
好ましくは20%、さらに好ましくは5%をこえ
ず、最も好ましくは2%より小さい値であるべき
である。蛋白質系生成物が非医薬用途を目ざして
いる場合は、他のプロセスパラメーターを最適に
するために低い蛋白質収量が受容され得る。 本発明のその他の実施態様は下記の実施例中に
例示されるが、実際に行なわれた研究の説明とし
てよりもむしろシミユレーシヨン的または予言的
なものと理解される。 実施例 1 この実施例は、ヒトの血漿から成る生物学的流
体を殺菌することへの本発明の実施態様の適用を
例示する。 血漿の蛋白質活性は、血漿蛋白質が凝血(c−
lot)を形成する能力の尺度であり、部分的トロ
ンポプラスチン時間(PTT)のような標準法に
よつて分析出来る。PTTの3秒の増加は血漿蛋
白質の活性の約10%の減少に相当する。この実施
例の目的のために、血漿は哺乳動物ウイルスであ
るサルウイルス40(SV40)という、肝炎ウイルス
とほぼ同じサイズの容易に力価測定されるウイル
スで慎重に感染させる。血漿試料は0.5mm角の石
英管中を流す。流速はポンプによつて3×10-4
ml/秒の速度に調節され、これによつてターゲツ
ト領域を通る流速は1.2×10-1cm/秒に設定され
る。Q−スイツチされたNd:YAGレーザーを20
ヘルツの反復速度で操作し、5×10-9秒の持続時
間のパルスをつくり出す。 原パルスから二パルスをつくるには高調波発生
法が使用される:第一のパルスは266nmの波長、
第二のパルスは353nmの波長である。266nmの
パルスは2×1011の光子数を含むように調整さ
れ、353nmのパルスは1.2×1015の光子数を含む
ように調整される。パルスはレンズによつて4×
10-3平方センチメートルの点のサイズに焦点をあ
て、266nmで5×1013光子/cm2、353nmで3×
1017光子/cm2の光束をつくり出す。パルスは実質
的に同時に試料を達する。これらの条件下では、
血漿試料の平均積素子は0.5秒というターゲツト
領域での滞留時間を有し、それ故各パルスを10回
反復して受ける。平均体積素子によつて経験され
た266nmにおける併合光束は5×1014光子/cm2で
ある。試料が上述のように加工されたあと、ウイ
ルス活性および蛋白質活性の両方について分析さ
れる。SV40の力価で測定されたウイルス活性は
106という係数で減少し、蛋白質活性はもとの値
の90%に保持されたことがわかる。 実施例 2 この実施例は、同一波長のパルスを、ヒトの血
漿から成る生物学的流体を殺菌するのに用いる本
発明の実施態様の適用を例示する。この実施例の
目的のため、血漿は大腸菌宿主へのプラーク形成
分析によつて力価測定出来るバクテリオフアージ
T4で慎重に感染させる。蛋白質活性はPTTで測
定する(実施例1を参照せよ)。血漿の試料を2
cm×0.05cmの断面をもつ石英管を通じて流す。レ
ーザービームは2cm面を通して入射し、0.05cmの
光路長をもたらす。ポンプが流速を1ml/秒に調
節し、ターゲツト領域を通る10cm/秒の流速を確
保する。エキシマーレーザーを操作して200ヘル
ツの反復速度の258nmのパルスを発生させる。
各パルスは、10-8秒の持続時間をもち、1017の光
子数を含む。これらのパルスは円筒形レンズを通
過してターゲツト領域の上に通り、2cm×0.5cm
のターゲツト面積を照射する。1ml/秒の流速
で、平均体積素子はターゲツト領域を横断するの
に0.05秒を要し、10本のレーザーパルスを受け
る。各パルスからの光束は1017光子/cm2であり、
各体積素子によつて経験される全光束は1018光
子/cm2である。これらの条件下では、T4力価で
分析される血漿試料の核活性は106の係数で減少
し、一方蛋白質活性はもとの値の65%に止まつ
た。 実施例 3 エキシマーレーザーを、258nmのパルス中に
5×1015の光子をもち、5×10-12秒の持続時間
をもつパルスを発生するように、改変した以外は
実施例2をくりかえした。反復速度は200ヘルツ
のままとした。ヒト血漿中のT4の試料を0.5×
0.05cmの断面の石英管中を流し、ポンプで流速を
0.5ml/秒に調節し、ターゲツト領域を通る20
cm/秒の流速を確保した。レーザーパルスは円筒
形レンズを通つて、0.1cm×0.5cmのターゲツト領
域に達する。0.5ml/秒の流速で、平均体積素子
はターゲツト領域中で5×10-3秒を費し、レーザ
ーからわずか1本のパルスを受けるにすぎない。
このパルスの光束は107光子/cm2である。この条
件下では、血漿試料の核酸活性はもとの値から
106の係数で減少し、一方もとの蛋白質活性の少
くとも90%は維持される。 実施例 4 この実施例は、ヒトの血液成分因子を殺菌す
るのに本発明の実施態様を適用することを例示す
る。因子の活性はキツトの形で市販されている
比色法で正確に測定出来る。親液性化した因子
の試料を、同封の指図書に従つてもどし、この実
施例の目的のために、バクテリオフアージT7で
慎重に感染させる。T7の力価は大腸菌宿主に対
するプラーク形成分析によつて得られる。試料は
0.1×0.05cmの断面の石英管を通して流す。レー
ザーパルスは0.1cm面にあたり、光路長は0.05cm
となる。ポンプが2×10-3ml/秒の流速を確保す
る。受動モード同期Nd:YAGレーザーが20ヘル
ツの反復速度で稼動する。パルスは20×10-12秒
の持続時間をもち、532nmおよび266nmのパル
スが高調波発生によつて発生される。532nmの
パルスは5×1015の光子数を含むように調整さ
れ、266nmのパルスは1011の光子数を含むように
調整される。鏡とレンズの配置によつて、532n
mパルスのピークの前に1×10-12秒に266nmパ
ルスのピークがくるようにターゲツト領域に達す
るようにする。両方のパルスは5×10-3cm2の断面
積を照射する。試料の平均体積素子は各パルスす
なわち266nmパルスと532nmパルスの5回の反
復によつて照射される。各266nmパルスの光束
は2×1013光子/cm2であり、各532nmパルスの光
束は1018光子/cm2である。試料中の平均体積素子
は266nmで1014光子/cm2の併合光束を受ける。試
料は処理の後、分析され、T7の力価で測定した
核酸活性は106の係数で減少し、一方蛋白質活性
は照射前の値の98%に止まつていることがわかつ
た。 実施例 5−11 波長が可変の出力パルスを発生する色素レーザ
ーのシステムを運転するためにNd:YAGレーザ
ーを使用した以外は、すべての試料パラメーター
(すなわち流速、ターゲツト面積、石英管断面)
を変えずに実施例4をくりかえした。 Nd:YAGレーザーが発光する毎に、各5×
10-12秒の持続時間をもつ二つの色素レーザーパ
ルスが同時に発生した。この一連の実施例の処理
の結果を表の形で示す。
デルウイルスおよびモデルトリプトフアン含有
蛋白質の両方の量子収量および断面積を示す。
さらに、感染血液の一単位(450ml)は4.5×
108個という多数のウイルスを含み得るので殺
菌によつて、少くとも約108の係数でウイルス
活性を、好ましくは減少させるべきである。換
言すれば、個々のウイルスが反応しないまま残
る確率(P)は10-8より小さくあるべきであ
る。これらのデータから、ウイルス不活性化の
望ましい条件(未反応ウイルスの確率が10-8よ
り小さい)を達成するためには、1cm2当たり2
×1018の光子の全照射光束を供給する260nm近
傍で働く、連続波光源が必要であると計算され
る。また、この照射量は、多きな蛋白質破壊
(第表のモデル蛋白質についてP=10-11)を
もたらすこととなろう。すなわち、そのような
光源は、通常の方法ではそのような生物学的流
体を殺菌する能力がない。 ベール、ランペルトの法則は、光源の強度が
比較的小さいままに保たれる場合にだけ適用出
来るものであるため、この法則は必ずしも常に
光化学過程の速度を正しく示すものではないこ
とも留意すべきである。最近のパルス光レーザ
ーは、極めて高い強度のピコ秒級(10-12秒)
の閃光を出せる。このようなレーザーからの単
一パルスは1ギガワツト(109ワツト)以上の
工率を達成出来、一方連続波レーザーまたは
「古典的」光源(放電ランプのような)は、代
表的には10ないし1000ワツトの範囲で稼動す
る。このような強いパルスの試料分子に対する
効果は、第1図および第2図の過程の間の差を
比較することによつて理解出来る。投射光子の
強度が比較的小さい場合には、励起状態にある
間に分子が第二の光子を吸収する確率は極めて
低い。すなわち、第1図でわかるように、単一
の光子がエネルギー単位を基底状態Aから励起
状態Bに転移させた後は、分子が瞬間的に光分
解を受け、低エネルギー状態を形成し、およ
び/または、他の光子を吸収することなく基底
状態にもどる確率は高い。一方、ピコ秒パルス
では、光子の強度はかなり高い。この場合は、
分子がまだ励起されている間に第二の光子が吸
収され得る確率およびこの方式で単純な一光子
ベール・ランベルト型の過程によつては到達し
がたいエネルギー準位に分子が達し得る確率は
かなり高い。 最近、或る研究者は前述の量子力学概念のい
くらかを遊離のヌクレオチドの不活性化に適用
した。第13回国際量子エレクトロニツクス会議
142頁A:アンドレオニ他「二段階レーザー光
生物学:ガン治療への応用」;A、アンダース、
光学工学22(5)、592〜295(1983)「生体分子のレ
ーザー螢光スペクトル分析」を参照せよ。しか
し、蛋白質の存在で蛋白質に先立つて、DNA
またはRNA核酸を光分解する方法すなわち本
発明によつて与えられるような効果的な殺菌法
を達成した人は一人も居ない。 このことは、さらに、米国特許第4395397、
3837373、3941670、3817703、3955921、
4042325および4265747号を参照することによつ
て評価できる。これらの特許のいずれも、媒体
中の蛋白質および他の生物学的材料を妨害せず
に残しながら生物学的媒体中の核酸の選択的か
つ効率的な光分解について何ら教示していな
い。例えば、米国特許第4395397号では、生存
細胞の懸濁物中に好ましくない細胞、例えばガ
ン細胞を殺すことが望まれるが、その場合、螢
光性抗体によつて、まずガン細胞を同定または
「目印つけ」し、この目印つきの細胞を次にレ
ーザー光で、一回一細胞づつ殺すという非常に
面倒な方法を開示する。 発明の目的 本発明の目的は、このような従来技術の欠点を
改良し、生物学的流体中に存在する疑いのある、
変質を受け得る伝染性の核酸分子、ウイロイドお
よびウイスルまたはバクテリアを含む、既知およ
び未知の、かなりの量または、実質的にすべての
DNAおよびRNA系の因子を破壊しながら、他方
同流体中に存在する蛋白質は実質的に完全にもと
のままに残しうる、生物学的流体の処理方法を提
供することを目的とする。 特に、本発明では、殺菌したい生物学的流体の
処理に先立つて、好ましくない核酸の同定を必要
とすることなく、どのような核酸系病原、例えば
ガン細胞またはウイルスが存在するかを予め測定
することなしに、殺菌生成物を与えるのに適用で
きるもので、「目印」を使つたり、螢光または他
の「信号」への応答を必要としない、扱い易い方
法を提供することを目的とする。 発明の構成及び作用効果 本発明は、生物学的流体を処理して、存在する
蛋白質に比べて核酸の光分解を促進する方法を与
える。本発明は、また当該方法によつて得られる
生成物を与える。本方法は、(1)基底状態にある核
酸が照射光を吸収し、それによつて励起状態に転
移し、(2)励起状態にある核酸が照射光を吸収し
て、それによつてさらに高いエネルギー状態に転
移し、かつ光分解を受け、かつ、(3)基底状態また
は励起状態にある蛋白質は、実質的な光分解を受
けるに充分な照射光を吸収しない、ように選ばれ
た波長および光束のパルス光で流体を照射するこ
とから成る。本法を適用することによつて、流体
は殺菌され、例えば核酸またはウイルス活性は少
くとも104減少し、一方蛋白質の官能度は40%よ
り少いだけしか減少しない。このような結果は、
本発明以前には達成されておらず、励起状態にあ
る核酸が効率的な光分解を受け、一方同一流体中
の同一条件下にある蛋白質は実質的にもとのまま
残るように出来るということは驚くべきことであ
り、また予期されなかつたことである。好ましく
は、生物学的流体は、血液、血液成分、遺伝子工
学的に加工された哺乳類細胞の蛋白質系生成物、
および蛋白質皮膜中にウイルスDNAまたはRNA
を含むワクチン製剤から選ばれた溶液である。こ
れらの流体はすべて、核酸(例えばDNAまたは
RNAの形で)および蛋白質を含むという共通の
特性をもつている。 すなわち、本発明の或種の実施態様によれば蛋
白質例えばトリプトフアン含有蛋白質および核酸
の溶液を処理して、それらの核酸を選択的に光分
解または不活性化する。これらの実施例は、第一
の波長と充分な光束をもつ第一のパルス光で溶液
を照射してその核酸を部分的に基底状態から励起
状態の一つに転移させ、さらに、励起状態にある
それらの核酸を、励起状態にある核酸によつて優
先的に吸収されるような第二のパルス光で照射し
て、そのあと当該核酸の瞬間的な光分解が起こる
ようなさらに高いエネルギー状態へ当該核酸を転
移させることから成つている。これらの実施態様
の実施には、第一および第二のパルス光の光束と
波長は当該蛋白質のアミノ酸例えばトリプトフア
ンの光分解を最少にするように慎重に選ばれる。
これは、例えば、実質的に同一の波長および光束
のパルスを選ぶか、実質的に同一の波長で異つた
光束のパルスを選ぶか、または異つた波長と光束
のパルスを選ぶことによつて達成出来る。パルス
は、必要により、後にくわしく説明するような
種々の方法でくりかえしおよび/または継続させ
ることが出来る。それ故一般的に言えば、本発明
は光分解の成果を調節し例えば蛋白質の存在で
DNAまたはRNA分子と選択的に反応させるため
に、時間および波長によつて適切にアレンジされ
た一連のパルス光の使用に関するものである。 このような、本発明では、血液、血液成分、遺
伝子工学的に加工された哺乳類細胞の蛋白質系生
成物、およびワクチン製剤から選ばれた生物学的
流体を殺菌するために非常に有効に利用できる。
即ち、本発明では、生物学的流体を処理して存在
する蛋白質に先立つて核酸を光分解する新規な照
射方法を与えるものであり、時間、波長および強
度について適切に調整された一連のパルス光を使
用して、光分解の成果を調節し、例えば、核酸と
蛋白質の間の相対的光分解速度の差を拡大させる
方法を与える。 更に本発明では、核酸不活性で蛋白質に富む生
成物、例えば哺乳類細胞をもとにした殺菌済蛋白
質系生成物、殺菌したウイルスワクチンや血液お
よび血液成分を生産することも可能となる。 好ましい実施態様の説明 本発明の好ましい実施態様の一つは、光源たと
えばレーザーの出力パルスを受けるように曝露し
たターゲツト領域を通して流体の形で生物学的媒
体の薄層を流すことを含む。ここに用いられたよ
うに、「薄層」という用語は、そこに投射される
光エネルギーの10%より多くを透過させる流体の
層をいう。流体およびそのあり得べき稀釈物の性
質によつて、この基準を満足させる層は、代表的
には、0.1mmないし数mmの厚さをもつものがよい
と考えられ、好ましくは0.5mmより小さいレベル
の厚さがよく、さらに好ましくは約0.2mmがよい。
ターゲツト領域を通る流体の実際の流速は、後述
のように、投射レーザービームの有効面積、およ
びパルスの強度と反復速度に左右される。大てい
の装置ではターゲツト領域巾各1ミリメートール
を横切る流れは、一般に正方形または矩形の断面
をもつ層を限定し、投射光線の巾と等しいかまた
はわずかに狭い巾の面積をその最大の表面の一部
として占める水晶チヤネルを通して毎秒約5ミリ
メートルの速さに設定出来ると予備される。 本発明に使用されるパルス光は好ましくはレー
ザーパルスから成る。パルスレーザー装置はその
出力パルスを反復形式で作り出す。パルスの出る
速度はレーザーのハードウエアに左右され、「反
復速度」と呼ばれる。生物学的媒体の処理には、
パルスは好ましくは、「ターゲツト領域」と呼ば
れる小さい点(円形または或種の他の形)に向け
られる。大ていの場合、この領域は小さすぎて、
加工すべき全試料が入らない。こういう場合に
は、全試料が照射されるまでターゲツト領域を通
して試料を流すことが出来る。別法として、レー
ザービームを試料の全面に走査することが出来る
し、および/または、試料を副試料(sub−
sample)として加工することも出来る。試料の
各容積素子が実質的に同じ照射条件を受けること
を確保するために、各容積素子はレーザーパルス
の同一サイクルの反復を受けねばならない。 本発明の特定の実施態様では、もとのままの血
液細胞の存在で血漿または血清を殺菌出来る。赤
血球はDNAを含まず、ここに述べた波長および
光束では、比較的照射に耐える。しかし、単一の
赤血球は照射光の大部分を吸収するに足る工学密
度をもち、そのため当該血液細胞の後に位置した
部分を遮閉する。したがつて全血を加工すべき場
合は、細胞がその領域を「単一フアイル」
(single file)で通過するように、ターゲツト領
域に血液の薄い流路が出来るように設定すること
が好ましい。これらの細胞のまわりの血漿または
血清は、ついで、反対の方向から照射して、対象
血漿の全体が必要量の紫外線照射を受けることを
確保する。 本発明に含まれるような二光子光化学過程の量
子収量は投射光の強度に左右される。代表的なレ
ーザー装置では、出力パルスのエネルギー含量と
時間はレーザーハードウエアによつて最初に決め
られる。ターゲツト領域におけるレーザー光の強
度は、しかし、レーザーパルスをレンズ(または
組合わせレンズ)を通して、ターゲツト領域に入
るときのパルスの断面積を調節することによつ
て、実際上どんな所望の値にもすることが出来
る。この理由により、現在のレーザー装置の広い
種類が本発明の実施に使用出来、特定のレーザー
の選択は、価格、信頼性、および所望の加工速度
によつて大きく左右される。 パルス化されたレーザーは、現在、0.01ヘルツ
(毎秒パルス数)から108ヘルツの範囲の反復速度
で入手し得る。高い反復速度をもつそれらのレー
ザーは、代表的に弱いパルスをつくり、そのよう
なパルスは本法を実施するに充分な強度をつくり
出すために極めて小さい点に焦点を合わせねばな
らない。極めて低い反復速度をもつレーザーは、
代表的に、大エネルギーのパルスを発生するが、
現在のところ信頼性が低い。適当なピーク出力
(例えばここに述べる二光子吸収過程を刺激する
ため)および適当な平均出力(例えば充分な量の
材料を処理するため)の両方を与えるために、本
発明のための好ましいレーザーは、(A)10ヘルツと
1000000ヘルツの間;より好ましくは100と10000
ヘルツの間の反復速度をもち、(B)約2×10-8秒よ
り小さい時間、好ましくは10-10ないし10-12秒の
時間のパルスをつくり、かつ一方で極めて高い強
度の光を照射する能力をもつ。このレーザーは
YAGレーザー(およびその付属光学部品)のよ
うな従来のレーザーでよく、これは、ここに述べ
た波長、強度およびパルス周波数を与える能力が
ある。 パルス化レーザーは代表的には、単一固定波長
で稼動する。この原パルスから別の波長を発させ
るには、高調波発生、同期色素レーザー操作およ
び光学変数発振(optical parameticoscillation)
を含む多くの方法が知られている。異る波長のパ
ルスを使う本発明のそれらの実施態様では、それ
らのパルスは、先行技術で知られる方法の一つを
用いて単一の原パルスから誘導出来る。 ターゲツト領域の寸法、試料加工速度およびレ
ーザー反復速度の考慮は、ここに述べた本発明の
すべての実施態様に均等に適用される。実施態様
はパルス時間および光束の用語で記述されている
が、当業者は特別のレーザー装置を選ぶことによ
つてこれらの変数を強度、ターゲツト寸法および
試料加工速度に関連づけることが出来る。 本発明は、血漿または血清蛋白質の大部分を保
持しつつ、DNAまたはRNAの不活性化を実施す
ることの重要性を認識する。血清蛋白質も非線型
不活性化を受け得るけれども、本発明は、核酸の
光分解を促進するように第一および第二のパルス
の波長と強度を慎重に選ぶことによつてそのよう
な蛋白質を実質上もとのままに保持出来ることを
認識する。例えばこの方法はトリプトフアン光分
解の効率をわずか3以下の係数で増加させ、一方
DNA光分解の効率を約5000の係数で同時に増加
させることが出来る。本発明の方法によつて達成
される核酸と蛋白質の間におけるような光分解の
相対速度の差の拡大は極めて重要であり、「3」
および「5000」という数値は説明の目的で計算さ
れたもので、すべての場合に適用されるものでは
ないことを理解すべきである。 パルス化レーザーを用いた本発明の例として第
2図に図示したように、二パルス光分解を行なう
ことが可能である。第一のパルスは、単一のベー
ル・ランベルト過程によつて分子の一部を状態B
に励起するように比較的低い強度をもつように選
ばれる。これらの励起された分子のうち、トリプ
トフアンの場合約13%、核酸の場合約1%が、固
有の分子過程の発生を通じて状態Cに達するであ
ろう。極めて高強度の第二のパルス光がさらに吸
収を起こすのに使われる。D、EおよびFのよう
な高エネルギー状態の存在は、実験的に表示さ
れ、これらの状態は光化学反応の高い確率を与え
ると期待される。D、H、ウイランス他(前出)
およびD、V、ペント他アメリカ化学会誌97:
2612(1975)を参照せよ。 適切なエネルギーをもつ量子状態はないので基
底状態Aは第二のパルスから効率的に光子を吸収
することは出来ないことを注記することは重要で
ある。 この二パルス照射の結果は、三重項状態に達し
た実質上すべての分子が第二のパルスの影響下に
光化学的に反応することを強いられることとな
る。この場合光化学反応の全体速度は、三重の生
成速度に左右される;これは、トリプトフアンの
光分解の効率を3という係数で増加させるが、同
時にDNA光分解の効率を5000という係数で増加
させるであろう。二パルス法の効果を第2図に示
す。この例では、殺菌条件(Pが10-8より少い)
は、1cm2当たりわずか4.6×1014の光子の260nm
の光束を使つて達成出来る。この光束は蛋白質に
ついて0.99というP値を得る;すなわち、この材
料の蛋白質官能度の約99%が保持されるであろ
う。 すなわち本発明は、一つの実施態様として、ヒ
トの血液および血液成分のような生物学的流体を
殺菌する新規な方法を与える。この方法は伝染性
の因子を破壊するが、蛋白質および他の生命西武
は高い官能度水準に保つようにレーザー光の強い
パルスの使用をする。 一般的な実施態様の一例において、本発明は蛋
白質およびDNA又はRNAのような核酸の溶液を
処理して選択的に、この核酸を不活性にする方法
を与える。ここでは、(a)核酸の一部を基底状態か
ら励起状態に転移させるに足るが、溶液中の蛋白
質を不活性にするには充分でない光束の第一の波
長の第一パルス光によつて、溶液を照射し、そし
て(b)励起状態にある核酸によつては優先的に吸収
されるが、基底状態または励起状態にある蛋白質
によつては実質的に吸収されず、励起された酸の
状態より高いエネルギー状態に、上記核酸を転移
させて、核酸の光分解を起こさせるが、蛋白質の
光分解は参照にするような第二パルス光により、
上記励起状態にある核酸を照射することを特徴と
する。 この実施態様における例示条件は次の通りであ
る。 当該励起状態が、一重項または三重項状態にあ
る核酸から成り、当該第二のパルスが当該核酸の
当該部分の一重項または三重項の生存期間内に適
用される;当該第二のパルス光が当該第一のパル
ス光の後1ピコ秒以内に適用されるかまたは当該
第一および第二のパルスが同時に適用される;当
該第一パルスの波長が220ないし280ナノメートル
の間にある;当該第一パルスの持続時間が2×
10-8秒より短かく、好ましくは約1×10-12と9
×10-10秒の間の持続時間である;当該第一のパ
ルスが1平方センチメートル当たり約5×1014個
より少い光子数の光束、好ましくは、1平方セン
チメートル当たり1×1013ないし5×1014の光子
数の光束、さらに好ましくは1平方センチメート
ル当たり約1×1014ないし5×1014の光束をも
つ;当該第二のパルスが約350ナノメートルより
長い波長、好ましくは約350ないし410ナノメート
ルの間の波長または約500ないし560ナノメートル
の間の波長をもつ;当該第二のパルスが2×10-8
秒より短い持続時間、好ましくは約9×10-10な
いし1×10-12の間の持続時間をもつ;当該第二
のパルスが1平方センチメートル当たり約1×
1015ないし1×1018の光子数の光束、好ましくは
1平方センチメートル当たり約1×1017の光子数
の光束をもつ;当該パルス光がレーザー光のパル
スである;当該パルス光が単一のレーザーで適用
される;当該溶液がターゲツト領域中の薄層とし
て配置される;当該層が約0.5mmより小さい厚さ
好ましくは約0.2mmの厚さをもつ;当該溶液が毎
秒約5ミリメートルの速度でターゲツト領域巾の
各1ミリメートルを横切つて流れる;当該溶液が
血漿蛋白質から成る血液成分である;当該血液成
分がさらに血液細胞を含む;かつ当該パルスが、
当該血液細胞のまわりに配置された実質的にすべ
ての血漿および血清を照射するように多くの方向
から適用される。 それ故、独特の殺菌ならびに蛋白質生産方法が
本発明によつて与えられる。これらの方法は強い
レーザー光のパルスを使用して、蛋白質例えばト
リプトフアン含有蛋白質の存在で選択的にDNA
を光分解する。或る種の実施態様ではこの選択性
は、波長、持続時間、および時間間隔がレーザー
操作者の調節下におかれる一連のパルスの継続の
使用で達成される。第二のパルスの性質は、一連
のパルス中の初期のそれから光を吸収した分子だ
けが影響を受けるように選ばれる。この理由のた
め、第二のパルスは、好ましくない反応を起こす
ことのない、極高強度のものであることが出来
る。 本発明の他の例示的実施態様では、血漿、血清
またはそれらの生成物を含む血液成分を処理する
のに用いる。これら成分は生育しうるまたは伝染
性の核酸含有因子を含む疑いがあるものである。
例えばその実施態では、異つた波長と強度をもつ
極短時間の多重パルス光でこの成分のターゲツト
領域を照射する。220ないし280ナノメートルの間
の波長をもつ第一のパルスが、1平方センチメー
トル当たり5×1014よりわずかに少い光子数の光
束を血液成分ターゲツト領域中で達成するために
適用される。第一のパルスが当該成分中のDNA
またはRNAを基底状態から励起状態に励起する。
約300ナノメートルより長い波長と1平方センチ
メートル当たり約1×1015ないし約1×1018の間
の光子数の光束をもつ第二の高強度パルスを、つ
いで当該DNAまたはRNAの励起状態の生存時間
(例えば約6マイクロ秒まで)以内に適用する。
その結果、これらの核酸含有分子は非線性過程に
よつて、さらに高いエネルギー状態に励起され、
この高エネルギー状態は、光分解によるその実質
的不活性化をもたらす。 さらに別の例示的な特別の実施態様において本
発明の殺菌法は、同時に適用されるかまたは例え
ば、相互に一方の三重項状態の生存時間(約1マ
イクロ秒)以内に適用する第一および第二の単一
光パルスを使用して実施される。 上記第2図の特定の例で見られるように、第一
のパルス光は、核酸によつて吸収される波長であ
ることが出来、核酸の一部を基底状態から三重光
状態へ転移させるものである。第二のパルス光
は、三重項状態の核酸によつて優先的に吸収さ
れ、それら核酸をさらに高いエネルギー状態に転
移させて、それによりそのような核酸の瞬間的光
分解が起こる確率を増加させるような高強度で長
い波長であることが出来る。これらの第一および
第二のパルス光は蛋白質のアミノ酸の光分解が最
小にされる、例えば、試料中に存在する蛋白質の
約1%より少い値に保持されるように選ばれる。
この実施態様によれば、第一のパルスは、持続時
間が2×10-8秒より短く、好ましくは約10-10な
いし10-12秒であり1cm2当たり1×1013ないし1
×1016、好ましくは5×1014より少い光束をもつ
ものである。第一のパルスの光束が小さいことは
蛋白質に対する対象照射の効果を小さくするが、
励起されたDNAまたはRNA分子の数もそれに応
じて減少する。したがつて、第一のパルス光束は
1cm2当たり1×1013ないし5×1014、より好まし
くは、1cm2当たり1×1014ないし5×1014の範囲
の光子数が好ましい。第二のパルスは好ましくは
約350nmより長い波長をもち、より好ましくは
350ないし410nmまたは500ないし560nmの波長
範囲内にあるのがよい。第二のパルスは2×10-8
秒より短い持続時間、好ましくは約10-10ないし
約10-12秒の持続時間をもつのがよい。励起され
たDNA三重項の光分解の効率を高くするために
は、各第二のパルスは第一のパルスより高い強度
をもち、1cm2当たり約1×1015ないし1×1018の
光子数、好ましくは約1×1017の光子数の光束を
もつのがよい。 単純化の目的のために、単一の第一および第二
のパルスの投射および三重項状態のような中間状
態について、二三の例において上述の論議を例示
的に引用していた。他の実施態様として本発明で
は、対象試料がターゲツト領域を流れる間に、そ
の試料に、同一波長をもつパルスを反復して適用
するか、または、第一および第二のパルス(例え
ば異つた波長の)を交互に反復適用することによ
つて効率的に稼動出来る。また、他の励起状態
(例えば第一の励起一重項)中間状態として使用
出来る。 そのような実施態様に従つて、殺菌されるべき
血液成分または他の生物学的流体の薄層のターゲ
ツト領域が220ないし280nmの第一の範囲内の波
長から成る一つ以上(すなわち反復)の第一のパ
ルス光で照射される。第一のパルス光の各々は2
×10-8より短い持続時間をもち、同時に1cm2当た
り約1×1013ないし1×1016の間の光子数の上記
波長範囲内の併合光束を、これらの第一のパルス
光はもつ。この実施態様によれば、第二の高強度
パルス光は当該第一のパルス光と同時にかまたは
第一のパルス光の各々の後1マイクロ秒より長く
ないとき、好ましくは1ピコ秒までに反復して適
用される。これらの第二の高強度パルス光の各々
は約350nmより長い第二の波長範囲内の波長を
もち、各々は2×10-8秒より短い持続時間をも
ち、同時に1cm当たり約1×1015ないし1×1018
の間の光子数の、上記波長範囲内の併合光束をも
つ。この場合も、好ましい第二の波長範囲は、
350ないし410nmまたは500ないし560nmの間に
ある。この実施態様によれば、当該第一のパルス
光は、毎秒10ないし1000000パルスの間の周波数
で適用されるべきである。この方法のこの実施態
様ないし他のそれが、レーザーのターゲツト領域
を通る薄層として流れる生物学的流体に適用され
る場合、レーザーパルスの周波数および殺菌すべ
き流体の選ばれた流速は、好ましくは、処埋され
るべき流体が、ターゲツト領域を離れる前に上記
併合光束に露光されるように選ばれるべきであ
る。 同一波長のパルスが使用される実施態様におい
ては、波長は好ましくは、180ないし295nmの範
囲内にあり、より好ましくは220ないし290nm、
さらに好ましくは、220ないし280nmの間にある
のがよい。各パルスの持続時間は好ましくは、1
×10-5秒より短く、より好ましくは1×10-8秒よ
り短く、さらに好ましくは5×10-9ないし1×
10-12秒の範囲にあり、最も好ましくは1×10-10
ないし1×10-12秒の範囲にあるのがよい。1×
10-5ないし1×10-10秒の持続時間が用いられる
場合、三重項状態が中間経路を含むと考えられ
る。1×10-10ないし1×10-14秒の持続時間が用
いられる場合、一重項が中間経路含むと考えられ
る。同一波長のパルスを用いる場合は、一重項経
路を好む条件すなわち上記範囲内の持続時間をも
つパルスを選ぶのが好ましい。また、同一波長の
パルスを使うこの実施態様においては、パルスは
各々好ましくは1平方センチメートル当たり1×
1015より多い光子数、より好ましくは、約1×
1015ないし約1×1018、さらに好ましくは約1×
1017ないし1×1018、最も好ましくは約1×1017
の光子数の光束をもつのがよい。パルスの併合光
束は好ましくは、各パルスの光束より約1桁大き
いレベルがよく、すなわち、流体の単位体積当た
り各パルスが約10回反復されるのがよい。 異つた波長のパルスが用いられる場合、第一の
パルスの持続時間は、今すぐ前に述べたようであ
るのが好ましい。第一のパルスは好ましくは180
ないし350nmの範囲内の波長、より好ましくは
180ないし295nm、さらに好ましくは220ないし
290nm、最も好ましくは220ないし280nmの範囲
内の波長であるのがよい。第一のパルスは好まし
くは、各々1平方センチメートル当たり1×1018
より少い光束、より好ましくは5×1014より少い
光束、さらに好ましくは1×1013ないし5×1014
の光束、最も好ましくは、1×1014ないし5×
1014の光束をもつのがよい。 第一のパルスの併合光束は好ましくは、1平方
センチメートル当たり、1×1013ないし1×
1018、より好ましくは1×1013ないし1×1016、
最も好ましくは1×1014ないし5×1014であるの
がよい。第二のパルスは好ましくは各々1平方セ
ンチメートル当たり、1×1015より多い光束、よ
り好ましくは1×1015ないし1×1018、最も好ま
しくは約1×1017の光束をもつのがよい。パルス
の併合光束は、上述の理由から各パルスの光束よ
り約1桁高いレベルである。第二のパルスのため
に好ましい波長は第一のパルスのために選ばれた
持続時間に左右される。すなわち、三重項状態経
路を好む第一のパルス持続(1×10-5ないし1×
10-10秒)が用いられた場合、第二のパルスは好
ましくは、各々300nmより長い波長、好ましく
は300mmないし700nmの範囲、最も好ましくは
350ないし410nmの範囲の波長をもつのがよい。
この実施態様では、各第二のパルスの持続時間は
1×10-5秒より短かく、より好ましくは1×10-6
秒より短かく、さらに好ましくは5×10-9ないし
1×10-12秒の範囲にあり、さらに好ましくは1
×10-10ないし1×10-12秒の範囲にあるのがよ
い。各第二のパルスは好ましくは各第一のパルス
の1×106秒以内に適用するのがよい、より好ま
しくは各第一のパルスと実質的に同時に適用する
のがよい。 一重項状態経路を好む第一のパルスのための持
続時間(1×10-10ないし1×10-14秒)が用いら
れた場合、第二のパルスは好ましくは300nmよ
り長い波長、より好ましくは300ないし700nmの
範囲の波長、より好ましくは500ないし560nm、
最も好ましくは約520ないし540nmの範囲の波長
をもつのがよい。この実施態様では、各第二のパ
ルスの持続時間は好ましくは1×10-10ないし1
×10-12秒の範囲、より好ましくは3×10-11秒よ
り短く、より好ましくは約3×10-12秒より短か
く最も好ましくは1×10-11ないし1×10-12秒の
範囲にあるのがよい。各第二のパルスは好ましく
は第一のパルスの3×10-12秒以内に適用される
のがよく、より好ましくは第一のパルスと実質的
に同時に適用されるのがよく、最も好ましくは第
一のパルスに対して約1×10-12秒の遅れで適用
されるのがよい。 それ故、より広い観点において本発明は、当該
蛋白質に先立つて当該核酸が光分解されるように
選ばれた波長および強度の多数のパルス光で生物
学的流体を照射することから成る。核酸および蛋
白質を含む生物学的流体の処理方法と記述するこ
とが出来る。上記のように、或る実施態様では、
これらのパルスは同一波長のレーザーパルスであ
つてもよく、また、それぞれ異つた波長をもつ第
一および第二のレーザーパルスから成つてもよ
い。同一波長のパルスが選ばれた場合は、好まし
い条件は下記の通りである:当該パルスの各々は
180ないし295nm、好ましくは220ないし290nm、
さらに好ましくは220ないし280nmの範囲内の実
質上同一の波長、1×10-5秒より短かい、好まし
くは5×10-12秒の範囲より好ましくは1×10-10
ないし1×10-12秒の範囲の持続時間、および1
平方センチメートル当たり1×10-15より多く、
好ましくは1×1015ないし1×1018、より好まし
くは1×1017ないし1×1018の範囲の光子数の光
束をもつ。 異つた波長のパルスが選ばれた場合は、好まし
い条件は下記の通りである:当該第一のパルスの
各々は180ないし350nmの範囲内の波長、1×
10-5秒より短い持続時間および1平方センチメー
トル当たり1×1018より少い光子数の光束をも
ち、当該第二のパルスの各々は300ないし700nm
の範囲内の波長、1×10-5秒より短い持続時間お
よび1平方センチメートル当たり1×1015より多
い光子数の光束をもつ。異つた波長のパルスが選
ばれた場合のさらに好ましい条件は下記の通りで
ある:当該第一のパルスの各々は180ないし295n
mの範囲内の波長、1×10-10ないし1×10-14秒
の持続時間、および1平方センチメートル当たり
1×1013ないし5×1014の光子数の光束をもち、
当該第二のパルスの各々は500ないし560nmの範
囲内の波長、1×10-10ないし1×10-12秒の範囲
の持続時間、1平方センチメートル当たり1×
1015ないし1×1018の光子数の光束をもち、かつ
各第二のパルスは各第一のパルスの3×10-12秒
以内に適用される。異つた波長のパルスが選ばれ
た場合の別の好ましい条件は下記の通りである:
当該第一のパルスの各々は180ないし295nmの範
囲内の波長、1×10-5ないし1×10-10秒の持続
時間、および1平方センチメートル当たり1×
1013ないし5×1014の光子数の光束をもち、各第
二のパルスは300ないし450nmの範囲内の波長、
5×10-9ないし1×10-12秒の範囲の持続時間、
1平方センチメートル当たり1×1015ないし1×
1018の光子数の光束をもち、各第二のパルスは各
第一のパルスの1×10-6秒以内に適用される。 本発明のさらに他の実施態様は、殺されたウイ
ルスワクチンと調製法および、そうして調製され
たワクチンに関する。これらは、核酸部分および
トリプトフアン含有蛋白質皮膜から成るウイルス
の照射を含む。対象の照射は、異つた波長の極短
時間高強度のレーザーパルスを使つて行ない、ウ
イスルの核酸成分の非線型光分析を起こすが、一
方そのまわりの蛋白質皮膜を実質上もとのままに
残すようにする。 より特別には、これらの実施態様は、(a)ウイル
スを含有する溶液を用意する(たたじ、当該ウイ
スルは核酸の部分およびトリプトフアン含有蛋白
質皮膜を含む)(b)220ないし280ナノメートルの第
一の波長範囲内の波長の1つ以上の第一のパルス
光により当該ウイルス含有溶液の薄層のターゲツ
ト領域を照射する(ただし、当該第一のパルスの
各々はパルス当たり2×10-8秒より短い持続時間
をもち、かつ1平方センチメートル当たり約1×
1013ないし1×1016の間の当該第一の波長範囲内
の併合光束をもつ、さらに(c)約350ナノメートル
より長い第二の波長範囲内の波長の1つ以上の第
二の高強度パルス光により、当該層の当該ターゲ
ツト領域を照射する(ただし、当該第二のパルス
の各々は2×10-8秒より短い持続時間をもち、
各々は1平方センチメートル当たり少くとも約1
×1015の光子数の当該第二の波長範囲内の光束を
もち、当該第二のパルスの各々は、当該第一のパ
ルスの各々の後、1マイクロ秒以内に当該層に適
用され、これにより当該ウイルスの当該核酸部分
は不活性化され、一方当該蛋白質皮膜の構造の変
化は最少にされる)という工程を含む殺されたウ
イルスワクチンの調製法を含む。この実施態様の
ための好ましい条件は下記の通りである:当該第
一の波長範囲内の当該併合光束は、1平方センチ
メートル当たり約1×1014および5×1014の間に
ある;当該第二の波長範囲内の当該第二のパルス
の各々は1平方センチメートル当たり約1×1017
ないし1×1018の光子数の光束をもつ;当該第一
のパルスおよび当該第二のパルスは各々、約9×
10-10および1×10-12秒の間の持続時間をもつ;
当該第二の波長範囲は360ないし410ナノメートル
または500ないし560ナノメートルである;当該第
一のパルスは毎秒10ないし1000000の間のパルス
数の周波数で適用される;当該第一および第二の
パルスは実質上同時に適用される;当該層は0.5
mmより小さい厚さをもつ;当該層は約0.2mmの厚
さをもつ;当該成分が当該併合光束にその各部分
を曝露するような速度で当該ターゲツト領域を通
つて流れる、例えば、毎秒約5mlの速度でターゲ
ツト領域巾の各1ミリメートルを横切つて流れ
る;および当該パルス光がレーザーパルスであ
る。 本発明のさらに別の好ましい実施態様は、トリ
プトフアン含有蛋白質を生産する方法、およびそ
うして生産された蛋白質に関する。それらは、そ
れら蛋白質を生産するための哺乳類原の細胞を培
養し、これらの細胞がその蛋白質を収穫媒体中に
放出するようにさせ、基底および励起状態にある
それら核酸成分によつて差をつけて吸収される異
つた波長の高強度レーザー光の多数のパルスにそ
の媒体を曝露することによつて、その流体中の核
酸成分を不活性化することから成る。この方法を
用いて、核酸不活性で蛋白質に富む最終生成物が
生産される。より特別には、この実施態様は、(a)
培養により、当該トリプトフアン含有蛋白質を生
産する哺乳動物系の細胞を用意し、(b)当該細胞を
培養し、(c)当該蛋白質を媒体中に放出し、かつ(d)
基底および励起状態にある当該核酸成分によつて
差別的に吸収されて、核酸が不活性で蛋白質に富
む最終生成物を生産する異つた波長の高強度レー
ザー光の多数のパルスに、当該流体を露光するこ
とによつて、当該流体中の核酸成分を不活性化す
るという工程を含むトリプトフアン含有蛋白質の
生産方法をも含む。好ましくは、当該不活性化工
程は、さらに当該核酸成分の一部を基底状態から
励起状態に転移させるに足るが、当該溶液中の蛋
白質を不活性化するには充分でない光束の第一の
波長の第一のパルス光で当該流体を照射すること
を含む。より好ましくは、当該不活性化段階はさ
らに、当該励起状態にある当該核酸を、当該励起
状態にある核酸によつては吸収されるが、基底状
態にある当該蛋白質によつては実質的に吸収され
ない第二のパルス光で照射して、当該酸をより高
いエネルギー状態に転移させ、それによつて当該
核酸の光分解を起こすが当該蛋白質の光分解を最
小にすることを含む。この実施態様の好ましい条
件は下記の通りである:当該第二のパルスは当該
核酸の当該部分の三重項の生存時間内に適用され
るか、または当該第二のパルス光は当該第一のパ
ルス光の後1ピコ秒以内に適用されるか、または
当該第一および第二のパルスは同時に適用され
る;当該第一のパルスの波長は220ないし280ナノ
メートルの間にある;当該第一のパルスおよび当
該第二のパルスの持続時間は2×10-8秒より短
く、好ましくは当該第一のパルスおよび当該第二
のパルスの持続時間は約1×10-12および9×
10-10秒の間にある;当該第一のパルスは、1平
方センチメートル当たり約5×1014より少い光子
数の光束、好ましくは1平方センチメートル当た
り約1×1013ないし5×1014の間の光子数の光束
より好ましくは1平方センチメートル当たり約1
×1014ないし5×1014の光子数の光束をもつ;当
該第二のパルスは約350ナノメートルより長い波
長、好ましくは約350ないし410ナノメートルまた
は約500ないし560ナノメートルの間の波長をも
つ;当該第二のパルスが1平方センチメートル当
り約1×1015ないし1×1018の光子数の光束をも
つ;当該パルス光がレーザー光のパルスである;
かつ当該パルス光が単一のレーザーによつて適用
される。 前記のように、本発明の方法は血清または血液
成分;蛋白質系生成物および核酸成分を含む哺乳
動物細胞系の媒体;およびトリプトフアン含有蛋
白質皮膜をもつウイルスのような生物学的流体に
効果的適用出来る。しかし当業者は、これら実施
態様の各々が異つた程度の核酸不活性化を提起
し、異つた程度の蛋白質分析に耐えることを認め
るであろう。殺されたウイルスワクチンは若干の
生きたウイルスを含み得るものであり、またもと
の蛋白質皮膜をもとのままですべて保持する必要
はないので、この適用における核酸およびウイル
スの活性の減少は、104程度、好ましくは106にで
き、ウイルス蛋白質皮膜の光分解は約40%程度好
ましくは20%にできる。これに対し、血液および
哺乳動物細胞生成物の応用では、少くとも106、
好ましくは108の核酸またはウイルス活性の減少
が時として望まれる。血液中または医薬製品(イ
ンシユリンまたは他の生物学的蛋白質のような)
生産を含む応用では、蛋白質の不活性化は35%、
好ましくは20%、さらに好ましくは5%をこえ
ず、最も好ましくは2%より小さい値であるべき
である。蛋白質系生成物が非医薬用途を目ざして
いる場合は、他のプロセスパラメーターを最適に
するために低い蛋白質収量が受容され得る。 本発明のその他の実施態様は下記の実施例中に
例示されるが、実際に行なわれた研究の説明とし
てよりもむしろシミユレーシヨン的または予言的
なものと理解される。 実施例 1 この実施例は、ヒトの血漿から成る生物学的流
体を殺菌することへの本発明の実施態様の適用を
例示する。 血漿の蛋白質活性は、血漿蛋白質が凝血(c−
lot)を形成する能力の尺度であり、部分的トロ
ンポプラスチン時間(PTT)のような標準法に
よつて分析出来る。PTTの3秒の増加は血漿蛋
白質の活性の約10%の減少に相当する。この実施
例の目的のために、血漿は哺乳動物ウイルスであ
るサルウイルス40(SV40)という、肝炎ウイルス
とほぼ同じサイズの容易に力価測定されるウイル
スで慎重に感染させる。血漿試料は0.5mm角の石
英管中を流す。流速はポンプによつて3×10-4
ml/秒の速度に調節され、これによつてターゲツ
ト領域を通る流速は1.2×10-1cm/秒に設定され
る。Q−スイツチされたNd:YAGレーザーを20
ヘルツの反復速度で操作し、5×10-9秒の持続時
間のパルスをつくり出す。 原パルスから二パルスをつくるには高調波発生
法が使用される:第一のパルスは266nmの波長、
第二のパルスは353nmの波長である。266nmの
パルスは2×1011の光子数を含むように調整さ
れ、353nmのパルスは1.2×1015の光子数を含む
ように調整される。パルスはレンズによつて4×
10-3平方センチメートルの点のサイズに焦点をあ
て、266nmで5×1013光子/cm2、353nmで3×
1017光子/cm2の光束をつくり出す。パルスは実質
的に同時に試料を達する。これらの条件下では、
血漿試料の平均積素子は0.5秒というターゲツト
領域での滞留時間を有し、それ故各パルスを10回
反復して受ける。平均体積素子によつて経験され
た266nmにおける併合光束は5×1014光子/cm2で
ある。試料が上述のように加工されたあと、ウイ
ルス活性および蛋白質活性の両方について分析さ
れる。SV40の力価で測定されたウイルス活性は
106という係数で減少し、蛋白質活性はもとの値
の90%に保持されたことがわかる。 実施例 2 この実施例は、同一波長のパルスを、ヒトの血
漿から成る生物学的流体を殺菌するのに用いる本
発明の実施態様の適用を例示する。この実施例の
目的のため、血漿は大腸菌宿主へのプラーク形成
分析によつて力価測定出来るバクテリオフアージ
T4で慎重に感染させる。蛋白質活性はPTTで測
定する(実施例1を参照せよ)。血漿の試料を2
cm×0.05cmの断面をもつ石英管を通じて流す。レ
ーザービームは2cm面を通して入射し、0.05cmの
光路長をもたらす。ポンプが流速を1ml/秒に調
節し、ターゲツト領域を通る10cm/秒の流速を確
保する。エキシマーレーザーを操作して200ヘル
ツの反復速度の258nmのパルスを発生させる。
各パルスは、10-8秒の持続時間をもち、1017の光
子数を含む。これらのパルスは円筒形レンズを通
過してターゲツト領域の上に通り、2cm×0.5cm
のターゲツト面積を照射する。1ml/秒の流速
で、平均体積素子はターゲツト領域を横断するの
に0.05秒を要し、10本のレーザーパルスを受け
る。各パルスからの光束は1017光子/cm2であり、
各体積素子によつて経験される全光束は1018光
子/cm2である。これらの条件下では、T4力価で
分析される血漿試料の核活性は106の係数で減少
し、一方蛋白質活性はもとの値の65%に止まつ
た。 実施例 3 エキシマーレーザーを、258nmのパルス中に
5×1015の光子をもち、5×10-12秒の持続時間
をもつパルスを発生するように、改変した以外は
実施例2をくりかえした。反復速度は200ヘルツ
のままとした。ヒト血漿中のT4の試料を0.5×
0.05cmの断面の石英管中を流し、ポンプで流速を
0.5ml/秒に調節し、ターゲツト領域を通る20
cm/秒の流速を確保した。レーザーパルスは円筒
形レンズを通つて、0.1cm×0.5cmのターゲツト領
域に達する。0.5ml/秒の流速で、平均体積素子
はターゲツト領域中で5×10-3秒を費し、レーザ
ーからわずか1本のパルスを受けるにすぎない。
このパルスの光束は107光子/cm2である。この条
件下では、血漿試料の核酸活性はもとの値から
106の係数で減少し、一方もとの蛋白質活性の少
くとも90%は維持される。 実施例 4 この実施例は、ヒトの血液成分因子を殺菌す
るのに本発明の実施態様を適用することを例示す
る。因子の活性はキツトの形で市販されている
比色法で正確に測定出来る。親液性化した因子
の試料を、同封の指図書に従つてもどし、この実
施例の目的のために、バクテリオフアージT7で
慎重に感染させる。T7の力価は大腸菌宿主に対
するプラーク形成分析によつて得られる。試料は
0.1×0.05cmの断面の石英管を通して流す。レー
ザーパルスは0.1cm面にあたり、光路長は0.05cm
となる。ポンプが2×10-3ml/秒の流速を確保す
る。受動モード同期Nd:YAGレーザーが20ヘル
ツの反復速度で稼動する。パルスは20×10-12秒
の持続時間をもち、532nmおよび266nmのパル
スが高調波発生によつて発生される。532nmの
パルスは5×1015の光子数を含むように調整さ
れ、266nmのパルスは1011の光子数を含むように
調整される。鏡とレンズの配置によつて、532n
mパルスのピークの前に1×10-12秒に266nmパ
ルスのピークがくるようにターゲツト領域に達す
るようにする。両方のパルスは5×10-3cm2の断面
積を照射する。試料の平均体積素子は各パルスす
なわち266nmパルスと532nmパルスの5回の反
復によつて照射される。各266nmパルスの光束
は2×1013光子/cm2であり、各532nmパルスの光
束は1018光子/cm2である。試料中の平均体積素子
は266nmで1014光子/cm2の併合光束を受ける。試
料は処理の後、分析され、T7の力価で測定した
核酸活性は106の係数で減少し、一方蛋白質活性
は照射前の値の98%に止まつていることがわかつ
た。 実施例 5−11 波長が可変の出力パルスを発生する色素レーザ
ーのシステムを運転するためにNd:YAGレーザ
ーを使用した以外は、すべての試料パラメーター
(すなわち流速、ターゲツト面積、石英管断面)
を変えずに実施例4をくりかえした。 Nd:YAGレーザーが発光する毎に、各5×
10-12秒の持続時間をもつ二つの色素レーザーパ
ルスが同時に発生した。この一連の実施例の処理
の結果を表の形で示す。
【表】
実施例 12
この実施例はヒトの全血から成る生物学的流体
の処理における本発明の実施態様を例示する。血
液は本発明の目的のために、バクテリオフアージ
T4で慎重に感染させられ、凝血蛋白質の活性は
PTTを用いて測定される。ヘモグロビン蛋白質
の酸素親和性は標準法で監視される。1×10-13
秒の持続時間のパルスを発生するレーザー装置が
使われる。各パルスは260nmの波長で5×1015の
光子数の光束をもつ。反復速度は200ヘルツであ
る。ヒト血漿中のT4の試料は0.5×0.5cmの断面の
石英管を通して流され、ポンプが流速を0.5ml/
cmに調節してターゲツト領域を通して20cm/秒の
流速を確保する。レーザーパルスは円筒形のレン
ズを通過して0.5cm×0.5cmのターゲツト領域に達
する。各パルスのターゲツト領域における光束は
こうして1×1017光子/cm2となる。その持続時間
と強度のパルスは赤血球に効率的に浸透する
(「漂白する」)ことがわかつた。結果はT4の力価
で測つた核酸活性は106の係数で減少し、一方も
との凝血蛋白質活性は90%が維持され、ヘモグロ
ビン蛋白質の酸素親和性は、目に見える減少を示
さないことを示す。 要約すれば、本発明は広い範囲の個々の実施態
様で生物学的流体を殺菌する一般的方法を与える
ものである。これらの実施態様において、パルス
光、好ましくは強力なレーザー光が蛋白質の存在
下にDNAまたはRNA含有核酸を選択的に光分解
するのに用いられる。その選択性は、波長、持続
時間、時間間隔、および強度がここに教示された
所に従つてレーザー操作者の調節下におかれるパ
ルスの使用によつて達成される。 上に述べた所から、当業者は蛋白質の存在下
に、蛋白質に先だつて核酸成分を選択的に光分解
することへの本法の当適用可能性を認めるであろ
う。さらに、当業者は、従来のレーザー結晶エレ
クトロニクス、および光学系が本発明の前記方法
を容易に実施するのに使用出来ることを認めるで
あろう。当業者はさらにまた、添付の特許請求の
範囲中により特別に記述された、本発明の概念か
ら離れることなく最適の結果を達成するために前
述の記載に照らして正確なレーザー出力、波長、
最適の試料処理その他を若干変更してもよいこと
を認めるであろう。
の処理における本発明の実施態様を例示する。血
液は本発明の目的のために、バクテリオフアージ
T4で慎重に感染させられ、凝血蛋白質の活性は
PTTを用いて測定される。ヘモグロビン蛋白質
の酸素親和性は標準法で監視される。1×10-13
秒の持続時間のパルスを発生するレーザー装置が
使われる。各パルスは260nmの波長で5×1015の
光子数の光束をもつ。反復速度は200ヘルツであ
る。ヒト血漿中のT4の試料は0.5×0.5cmの断面の
石英管を通して流され、ポンプが流速を0.5ml/
cmに調節してターゲツト領域を通して20cm/秒の
流速を確保する。レーザーパルスは円筒形のレン
ズを通過して0.5cm×0.5cmのターゲツト領域に達
する。各パルスのターゲツト領域における光束は
こうして1×1017光子/cm2となる。その持続時間
と強度のパルスは赤血球に効率的に浸透する
(「漂白する」)ことがわかつた。結果はT4の力価
で測つた核酸活性は106の係数で減少し、一方も
との凝血蛋白質活性は90%が維持され、ヘモグロ
ビン蛋白質の酸素親和性は、目に見える減少を示
さないことを示す。 要約すれば、本発明は広い範囲の個々の実施態
様で生物学的流体を殺菌する一般的方法を与える
ものである。これらの実施態様において、パルス
光、好ましくは強力なレーザー光が蛋白質の存在
下にDNAまたはRNA含有核酸を選択的に光分解
するのに用いられる。その選択性は、波長、持続
時間、時間間隔、および強度がここに教示された
所に従つてレーザー操作者の調節下におかれるパ
ルスの使用によつて達成される。 上に述べた所から、当業者は蛋白質の存在下
に、蛋白質に先だつて核酸成分を選択的に光分解
することへの本法の当適用可能性を認めるであろ
う。さらに、当業者は、従来のレーザー結晶エレ
クトロニクス、および光学系が本発明の前記方法
を容易に実施するのに使用出来ることを認めるで
あろう。当業者はさらにまた、添付の特許請求の
範囲中により特別に記述された、本発明の概念か
ら離れることなく最適の結果を達成するために前
述の記載に照らして正確なレーザー出力、波長、
最適の試料処理その他を若干変更してもよいこと
を認めるであろう。
第1図は、主として単一光子光化学をもたら
す、古典的光源でDNAおよびトリプトフアンを
照射することからもたらされるこれら化合物の或
種のエネルギー状態および或る種の光化学過程を
例示する図である;第2図は、本発明の好ましい
極短時間の二パルス異波長のレーザー照射法によ
つて誘起されるトリプトフアンおよびDNAの付
加的光化学過程を例示する第1図と類似の図であ
る。
す、古典的光源でDNAおよびトリプトフアンを
照射することからもたらされるこれら化合物の或
種のエネルギー状態および或る種の光化学過程を
例示する図である;第2図は、本発明の好ましい
極短時間の二パルス異波長のレーザー照射法によ
つて誘起されるトリプトフアンおよびDNAの付
加的光化学過程を例示する第1図と類似の図であ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 ()基底状態にある核酸が輻射を吸収して
励起状態に転移し、()励起状態にある核酸が
輻射を吸収して、さらに高いエネルギー状態に転
移して、光分解を受け、かつ()基底状態また
は励起状態にある蛋白質は、実質的な光分解を受
けるに足る輻射を吸収しないように、選ばれた波
長および光束をもつパルス光により生物学的流体
を照射して、存在する蛋白質に先立つて核酸を分
解することを特徴とする蛋白質を含む生物学的流
体を処理する方法。 2 生物学的流体が、血液、血液成分、遺伝子工
学的に加工された哺乳類細胞の蛋白質系生成物お
よび蛋白質皮膜中にウイルス性DNAまたはRNA
を含むワクチン製剤から選ばれた溶液である特許
請求の範囲第1項の方法。 3 光分解が核酸の活性を少なくとも104減少さ
せかつ蛋白質の官能度を40%以下だけ減少させる
特許請求の範囲第2項の方法。 4 生物学的流体が、全血、血漿、血清、血液因
子および血液因子から選ばれ、当該流体
は、DNAまたはRNAを含む病原の形の核酸から
成り、かつ光分解が核酸の活性を少なくとも106
減少させ、蛋白質の官能度を35%以下だけ減少さ
せる特許請求の範囲第3項の方法。 5 生物学的流体が、遺伝子工学的に加工された
哺乳類細胞の蛋白質系生成物であり、当該流体
は、活性の哺乳類DNAまたはRNAの形の核酸か
ら成り、かつ光分解が核酸の活性を少くとも106
減少させ、蛋白質の官能度を35%以下だけ減少さ
せる特許請求の範囲第3項の方法。 6 生物学的流体がワクチン製剤であり、当該流
体が蛋白質皮膜中のウイルス性DNAまたはRNA
の形の核酸から成り、かつ光分解が核酸の活性、
従つてウイルスの活性を少くとも104減少させ、
蛋白質皮膜の官能度を40%以下だけ減少させる特
許請求の範囲第3項の方法。 7 生物学的流体がトリプトフアン含有の蛋白質
から成る水溶液であり、光分解が実質的にすべて
の核酸の活性を減少させ、かつ蛋白質の官能度を
実質的に全く減少させない特許請求の範囲第4、
5または6項の方法。 8 パルス光が実質的に同じ波長をもつレーザー
パルスから成る特許請求の範囲第1項の方法。 9 当該パルスの各々が、180ないし295nmの範
囲内の波長、1×10-5秒より短い持続時間および
1平方センチメートル当たり1×1015より大きい
光子数の光束をもつ特許請求の範囲第8項の方
法。 10 当該波長が220ないし290nmであり、当該
持続期間が5×10-9ないし1×10-15秒の範囲に
あり、かつ当該光束が1平方センチメートル当た
り1×105ないし1×1018の光子数の範囲にある
特許請求の範囲第9項の方法。 11 当該波長が220なしし280nmであり、当該
持続期間が1×10-10ないし1×10-12秒の範囲に
あり、かつ当該光束が1平方センチメートル当た
り1×1017ないし1×1018の光子数の範囲にある
特許請求の範囲第9項の方法。 12 パルス光が種々の波長をもつレーザーパル
スから成る特許請求の範囲第1項の方法。 13 当該レーザーパルスが、基底状態にある核
酸が輻射を吸収して励起状態に転移するように選
ばれた波長および光束をもつ1つ以上の第1のパ
ルス、ならびに励起状態にある核酸が輻射を吸収
して光分解を受けるように選ばれた波長および光
束をもつ付加的な1つ以上のパルスからなり、か
つ当該蛋白質がいずれのパルスからも実質的な光
分解を受けるに足る輻射を吸収しない特許請求の
範囲第12項の方法。 14 当該核酸の励起状態が一重項および三重項
から選ばれ、かつ前記の付加的なパルスが核酸の
励起状態の生存期間中に適用される特許請求の範
囲第13項の方法。 15 前記の付加的なパルスが第二のパルスを含
む特許請求の範囲第13項の方法。 16 当該第一および第二のパルスが同時に適用
される特許請求の範囲第15項の方法。 17 当該第二のパルスの各々が当該第一のパル
スの各々の後1マイクロ秒以内に適用される特許
請求の範囲第16項の方法。 18 当該第一および第二のパルスが各々1つ以
上のパルスの交互の連続の形で適用される特許請
求の範囲第15項の方法。 19 当該第一および第二のパルスが各一つのパ
ルスの交互の連続の形で適用される特許請求の範
囲第15項の方法。 20 当該第一のパルスの各々が、180ないし
350nmの範囲内の波長、1×10-5秒より短い持続
時間および1平方センチメートル当たり1×1018
より少い光子数の光束をもち、かつ当該第二のパ
ルスの各々が、300ないし700nmの範囲内の波
長、1×10-5秒より短い持続時間および1平方セ
ンチメートル当たり1×1015より多い光子数の光
束をもつ特許請求の範囲第13項の方法。 21 当該第一のパルスの各々が、180ないし
295nmの範囲内の波長、1×10-10ないし1×
10-14秒の持続時間、および1平方センチメート
ル当たり1×1013ないし5×1014の光子数の光束
をもち、当該第二のパルスの各々が500ないし
560nmの範囲内の波長、1×10-10ないし1×
10-12秒の範囲の持続時間および1平方センチメ
ートル当たり1×1015ないし1×1018の光子数の
光束をもち、かつ第二のパルスの各々は第一のパ
ルスの各々の3×10-12秒以内に適用される特許
請求の範囲第20項の方法。 22 当該第一のパルスの各々が、180ないし
295nmの範囲内の波長、1×10-5ないし1×
10-10秒の持続時間、および1平方センチメート
ル当たり1×1013ないし5×1014の光子数の光束
をもち、第二のパルスの各々が300ないし450nm
の範囲内の波長、5×10-9ないし1×10-12秒の
範囲の持続時間および1平方センチメートル当た
り1×1015ないし1×1018の光子数の光束をも
ち、かつ第二のパルスの各々は第一のパルスの
各々の1×10-6秒以内に適用される特許請求の範
囲第20項の方法。 23 (a)DNA−またはRNA−含有病原を含む疑
いのある蛋白質を含有する生物学的流体を、220
ないし280nmの第一の波長範囲内の波長の1以
上の第一の光パルス(ただし、当該第一のパルス
の各々はパルス当たり2×10-8秒より短い持続時
間をもち、かつ一平方センチメートル当たり約1
×1013ないし1×1016の間の光子数の当該第一の
波長範囲内の併合光束をもつ)で照射し;かつ(b)
上記流体を、約350nmより長い第二の波長範囲
内の波長の1以上の第二の高強度高パルスで照射
(当該第二のパルスの各々は、2×10-8秒より短
い持続時間をもち、かつ各々一平方センチメート
ル当たり少なくとも約1×1015の光子数の当該第
二の波長範囲内の光束をもち、しかも当該第二の
パルスの各々は当該第一のパルスの各々の後1マ
イクロ秒以内に当該流体に適用される)して、上
記流体中の蛋白質を実質的に変化しないで、上記
流体中のRNA−またはDNA−含有病原を実質的
に不活性化し、殺菌することを特徴とする蛋白質
を含む生物学的流体を処理する方法。 24 当該第一の波長範囲内の当該併合光束が1
平方センチメートル当たり約1×1014と5×1014
の光子数の間にある特許請求の範囲第23項の方
法。 25 当該第二の波長範囲内の当該第二のパルス
の各々が、1平方センチメートル当たり約1×
1017ないし1×1018の光子数の光束をもつ特許請
求の範囲第23項の方法。 26 当該第一のパルスの各々が約9×10-10お
よび1×10-12秒の間の持続時間をもつ特許請求
の範囲第23項の方法。 27 当該第二のパルスの各々が約9×10-10お
よび1×10-12秒の間の持続時間をもつ特許請求
の範囲第23項の方法。 28 当該第二の波長範囲が350ないし410nmで
ある特許請求の範囲第23項の方法。 29 当該第二の波長範囲が500ないし560nmで
ある特許請求の範囲第23項の方法。 30 当該第一のパルスが1秒当たり10パルス
と、1000000パルスの間の周波数で適用される特
許請求の範囲第23項の方法。 31 当該第一および第二のパルスが実質的に同
時に適用される特許請求の範囲第23項の方法。 32 当該第一および第二のパルスが、各1つの
パルスの交互の連続の形で適用される特許請求の
範囲第23項の方法。 33 当該第一および第二のパルスが、各1つ以
上のパルスの交互の連続の形で適用される特許請
求の範囲第23項の方法。 34 薄層のターゲツト領域中に当該流体を置
き、当該パルスで当該ターゲツト領域を照射する
ことから成る特許請求の範囲第23項の方法。 35 当該層が0.5mmより小さい厚さをもつ特許
請求の範囲第34項の方法。 36 当該層が約0.2mmの厚さをもつ特許請求の
範囲第35項の方法。 37 当該流体の各部分を当該併合光束に露光す
る速度で、当該流体を当該ターゲツト領域に通す
特許請求の範囲第36項の方法。 38 当該フラクシヨンを毎秒約5ミリリツトル
の速度で当該ターゲツト領域の各1ミリメートル
に通す特許請求の範囲第37項の方法。 39 当該パルス光が、レーザーパルスである特
許請求の範囲第23項の方法。 40 当該パルス光が、単一レーザーからのパル
スである特許請求の範囲第39項の方法。 41 流体が、血液、血液成分、遺伝子工学的に
加工された蛋白質系の哺乳類細胞の生成物および
蛋白質皮膜中にウイルス性DNAまたはRNAを含
むワクチン中間体から成る群から選ばれる特許請
求の範囲第39項の方法。 42 流体が、血漿または血清のような血液成分
を含み、その成分がDNA−またはRNA−含有病
原を含む疑いのある特許請求の範囲第23項の方
法。 43 流体が、さらに血液細胞を含む1つ以上の
血液成分から成り、当該パルスは、当該血液細胞
の周囲に配置されたすべての血漿および血清を実
質的に照射するように多数の方向から適用される
特許請求の範囲第42項の方法。 44 当該核酸が当該蛋白質に先立つて光分解さ
れるように選ばれた波長および強度をもつ多数の
レーザーパルスで生物学的流体を照射することか
ら成る、核酸および蛋白質を含む生物学的流体を
処理する方法。 45 当該レーザーパルスが、当該核酸のかなり
の部分を基底状態から励起状態へ転移させるに足
るが、当該蛋白質のかなりの部分を光分解するに
は充分でない第一の波長および光束をもつ第一の
パルスから成る特許請求の範囲第44項の方法。 46 当該レーザーパルスがさらに、当該励起状
態にある核酸によつて選択的に吸収されるが、当
該蛋白質によつては吸収されず、それによつて当
該核酸の光分解を起こすが、当該蛋白質の光分解
を最小にする第二のパルスを含む特許請求の範囲
第45項の方法。 47 当該パルスの各々が180ないし295nmの範
囲内の実質的に同一の波長、1×10-5秒より短か
い持続時間および1平方センチメートル当たり1
×1015より大きい光子数の光束をもつ特許請求の
範囲第44項の方法。 48 当該波長が220ない290nmであり、当該持
続時間が5×10-9ないし1×10-12秒の範囲にあ
り、かつ当該光束が1平方センチメートル当たり
1×1015ないし1×1018の範囲の光子数である特
許請求の範囲第47項の方法。 49 当該波長が220ないし280nmであり、当該
持続時間が1×10-10ないし1×10-12秒の範囲に
あり、かつ当該光束が1平方センチメートル当た
り1×1017ないし1×1018の範囲の光子数である
特許請求の範囲第48項の方法。 50 当該パルスが、それぞれ異つた波長をもつ
第一および第二のパルスを含む特許請求の範囲第
44項の方法。 51 当該第一のパルスの各々が180ないし350n
mの範囲内の波長、1×10-5秒より短い持続時
間、および1平方センチメートル当たり1×1018
より少い光子数の光束をもち、当該第二のパルス
の各々が300ないし700nmの範囲内の波長、1×
10-5秒より短い持続時間および1平方センチメー
トル当たり1×1015より多い光子数の光束をもつ
特許請求の範囲第50項の方法。 52 当該第一のパルスの各々が180ないし295n
mの範囲内の波長、1×10-10ないし1×10-14秒
の持続時間および1平方センチメートル当たり1
×1013ないし5×1014の光子数の光束をもち、当
該第二のパルスの各々は500ないし560nmの範囲
内の波長、1×10-10ないし1×10-12秒の範囲の
持続時間および1平方センチメートル当たり1×
1015ないし1×1018の光子数の光束をもち、かつ
第二のパルスの各々は第一のパルスの各々の3×
10-12秒以内に適用される特許請求の範囲第51
項の方法。 53 当該第一のパルスの各々が180ないし295n
mの範囲内の波長、1×10-5ないし1×10-10秒
の持続時間、および1平方センチメートル当たり
1×1013ないし5×1014の光子数の光束をもち、
第二のパルスの各々は300ないし450nmの範囲内
の波長、5×10-9ないし1×10-12秒の範囲の持
続時間、および1平方センチメートル当たり1×
1015ないし1×1018の光子数の光束をもち、か
つ、第二のパルスの各々は第一のパルスの各々の
1×10-6秒以内に適用される特許請求の範囲第5
2項の方法。 54 (a)核酸の部分とトリプトフアン含有蛋白質
皮膜をもつウイルスを含有する溶液を用意し、(b)
当該ウイルス含有溶液の薄層のターゲツト領域
を、220ないし280nmの第一の波長範囲内の波長
の1以上の第一の光パルス(当該第一のパルスの
各々はパルス当たり2×10-8秒より短い持続時間
をもち、かつ一平方センチメートル当たり約1×
1013ないし1×1016の間の当該第一の波長範囲内
の併合光束をもつ)で照射し、かつ、(c)上記層の
上記ターゲツト領域を約350nmより長い第二の
波長範囲内の波長の1以上の高強度な第二の光パ
ルスで照射(当該第二のパルスの各々は2×10-8
秒より短い持続時間をもち各々は1平方センチメ
ートル当たり少なくとも約1×1015の光子数の当
該第二の波長範囲内の光束をもち、当該第二のパ
ルスの各々は当該第一のパルスの各々の後1マイ
クロ秒まで以内に当該層に適用される)して、こ
れにより当該ウイルスの核酸部分は不活性化され
るが、蛋白質皮膜の構造の変化はほとんどない状
態として、殺されたウイルスワクチンを調製する
ことを特徴とする蛋白質を含有する生物学的流体
を処理する方法。 55 (a)培養によりトリプトフアン含有蛋白質を
生産する哺乳動物系の細胞を用意し、(b)当該細胞
を培養し、(c)当該蛋白質を媒体中に放出し、そし
て(d)当該媒体を、基底および励起状態にある核酸
成分によつて差別的に吸収されて、核酸が不活性
で、蛋白質に富む最終生成物を生産するような、
異つた波長の高強度レーザー光の多数のパルス
に、露光することによつて、当該媒体中の核酸成
分を不活性化して、トリプトフアン含有蛋白質を
生産することを特徴とする蛋白質を含有する生物
学的流体を処理する方法。 56 当該不活性化段階がさらに、当該核酸成分
を基底状態から励起状態に転移させるに足るが、
当該溶液中の蛋白質を不活性化するには充分でな
い光束の第一の波長の第一の光パルスで当該媒体
を照射する工程を含む特許請求の範囲第55項の
方法。 57 当該不活性化段階がさらに、励起状態にあ
る核酸によつては吸収されるが、基底状態にある
当該蛋白質によつては実質的に吸収されず、当該
酸を高エネルギー状態に転移させて当該核酸の光
分解を起こすが、一方当該蛋白質の光分解を最少
にするような第二の光パルスによつて励起状態に
ある当該核酸を照射する工程を含む特許請求の範
囲第56項の方法。 58 (a)蛋白質とDNAまたはRNAのような核酸
を含む溶液を、当該核酸の一部を基底状態から励
起状態に転移させるに足るが、当該溶液中の蛋白
質を不活性化するには充分でない光束の第一の波
長の第一の光パルスによつて、照射し、そして(b)
励起状態にある間、核酸を、励起状態にある核酸
によつては優先的に吸収されるが、基底状態にあ
る蛋白質によつては実質的に吸収されず、その結
果、核酸を当該励起状態より高いエネルギー状態
に転移させて核酸の光分解を起こさせるが、蛋白
質の光分解は最小にするような第二のパルス光で
照射し、当該核酸を選択的に不活性化することを
特徴とする蛋白質を含む生物学的流体を処理する
方法。 59 当該励起状態が、三重項または一重項状態
にある核酸から成り、当該第二のパルスが当該核
酸の当該部分の三重項または一重項の生存期間内
に適用される特許請求の範囲第58項の方法。 60 当該第一および第二のパルスが同時に適用
される特許請求の範囲第58項の方法。 61 当該第二の光パルスが当該第一の光パルス
の後1ピコ秒以内に適用される特許請求の範囲第
58項の方法。 62 当該第一のパルスの波長が220および280n
mの間にある特許請求の範囲第58項の方法。 63 当該第一のパルスの持続時間が2×10-8秒
より短い特許請求の範囲第58項の方法。 64 当該第一のパルスの持続時間が約1×
10-12および9×10-10秒の間にある特許請求の範
囲第58項の方法。 65 当該第一のパルスが1平方センチメートル
当たり約5×1014より少い光子数の光束をもつ特
許請求の範囲第58項の方法。 66 当該第一のパルスが1平方センチメートル
当たり約1×1013および5×1014秒の間の光束を
もつ特許請求の範囲第65項の方法。 67 当該第二のパルスが約350mmより長い波長
をもつ特許請求の範囲第58項の方法。 68 当該第二のパルスが約350ないし410nmの
間の波長をもつ特許請求の範囲第67項の方法。 69 当該第二のパルスが約500ないし560nmの
間の波長をもつ特許請求の範囲第68項の方法。 70 当該第二のパルスが2×10-8秒より短い持
続時間をもつ特許請求の範囲第58項の方法。 71 当該第二のパルスが約9×10-10ないし1
×10-12の間の持続時間をもつ特許請求の範囲第
70項の方法。 72 当該第二のパルスが1平方センチメートル
当たり約1×1015ないし1×1018の光子数の光束
をもつ特許請求の範囲第58項の方法。 73 当該第二のパルスが1平方センチメートル
当たり約1×1017の光束をもつ特許請求の範囲第
72項の方法。 74 当該光パルスがレーザー光のパルスである
特許請求の範囲第58項の方法。 75 当該光パルスが単一レーザーにより適用さ
れる特許請求の範囲第74項の方法。 76 当該溶液がターゲツト領域に薄層として配
置され、当該層が約0.5nmより小さい厚さをもつ
特許請求の範囲第58項の方法。 77 当該層が約0.2nmの厚さをもつ特許請求の
範囲第76項の方法。 78 当該溶液が毎秒約5ミリメートルの速度で
ターゲツト領域の各1ミリメートルを横切つて流
される特許請求の範囲第77項の方法。 79 当該溶液が血漿蛋白質から成る血液成分で
ある特許請求の範囲第58項の方法。 80 当該血液成分がさらに血液細胞を含み、当
該パルスが、当該血液細胞の周囲に配置される実
質的にすべての血漿および血清を照射するように
多数の方向から適用される特許請求の範囲第79
項の方法。
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| US58084884A | 1984-02-16 | 1984-02-16 | |
| US580848 | 1984-02-16 | ||
| US690451 | 1985-01-14 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS60188161A JPS60188161A (ja) | 1985-09-25 |
| JPH0359381B2 true JPH0359381B2 (ja) | 1991-09-10 |
Family
ID=24322824
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP60028149A Granted JPS60188161A (ja) | 1984-02-16 | 1985-02-14 | 生物学的媒体の処理のためのパルス光による選択的光分解法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS60188161A (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| JP4911915B2 (ja) | 2005-05-09 | 2012-04-04 | トヨタ自動車株式会社 | 標的物の分解方法及び分解装置 |
| JP4751691B2 (ja) * | 2005-10-12 | 2011-08-17 | トヨタ自動車株式会社 | 核酸高分子の分解方法及び分解装置 |
| US9493817B2 (en) | 2007-03-05 | 2016-11-15 | Genesis Research Institute, Inc. | Decomposition method and decomposition apparatus for nucleic acid polymer |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS56161054A (en) * | 1980-05-15 | 1981-12-11 | Ushio Electric Inc | Sterilizing method |
| JPS584563A (ja) * | 1981-07-02 | 1983-01-11 | 株式会社西原環境衛生研究所 | 紫外線殺菌装置 |
-
1985
- 1985-02-14 JP JP60028149A patent/JPS60188161A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS60188161A (ja) | 1985-09-25 |
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