JPH0366394B2 - - Google Patents
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- JPH0366394B2 JPH0366394B2 JP28767886A JP28767886A JPH0366394B2 JP H0366394 B2 JPH0366394 B2 JP H0366394B2 JP 28767886 A JP28767886 A JP 28767886A JP 28767886 A JP28767886 A JP 28767886A JP H0366394 B2 JPH0366394 B2 JP H0366394B2
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Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、表面の一部を銅で被覆した着色した
ステンレス鋼に関するものである。ステンレス鋼
は、耐食性が優れている上に汚れが付きにくいた
め清潔感の感じられる材料である。この特徴を生
かして、金属表面のまま人の目に触れ、かつその
ために表面の色調が重要視される用途、例えば、
建築内外装部品や厨房品、洋食器などの家庭用品
には、主としてステンレス鋼が使用される。 一方、銅は「あかがね」と呼称されるように独
得の赤色を呈し、さらに年月を経るに従いいわゆ
る緑青によつて深みのある緑色に変色させること
が可能なために、高級感を演出する建築外装部品
例えば屋根材などに広く使用されている。 本発明による銅で被覆した着色ステンレス鋼
は、これらの建築内外装部品や家庭用厨房品の材
料として最適である。 〔従来の技術〕 ステンレス鋼は、耐食性が優れている上に汚れ
が付きにくいため清潔感はあるが、表面の色はい
わゆる金属色(銀白色)の無彩色であるために、
冷たいとの悪い印象を与える結果となつている。 金属の色は、金、銅および一部の銅合金を除い
てほとんどがいわゆる金属色(銀白色)である。
金属の種類によつて、あるいは表面の仕上げによ
つて微妙な色合いは異なるものの、基調は全て銀
白色の無彩色である。もちろんステンレス鋼も同
じである。 このため、家庭用品や建築内外装品を中心に、
ステンレス鋼の着色化が強く要求されている。一
方従来ステンレス鋼の着色技術は、主として塗装
により、また一部ではInco法などの酸化皮膜の干
渉作用を利用する化学処理やCVDなどのドライ
プロセスによる表面処理で行われていた{日本金
属学会会報第23巻、第10号(1984)、P812}。塗
装は、発色の本質が顔料にあるので、色の選択の
幅が広いという利点がある。しかし、ステンレス
鋼の地肌が隠されることから、本来ステンレス鋼
が有している清潔感などの美麗さは犠性とならざ
るを得ないのである。また、Inco法などの化学処
理やCVDなどのドライプロセスによる表面処理
技術は、ステンレス鋼の特徴を生かした着色技術
ではあるが、着色コストが著しく大きく高価にな
るため一般的な用途には向かない。 また銅を被覆した着色ステンレス鋼には、いわ
ゆる銅のクラツドやメツキ材がある。しかしこれ
らの材料は、技術的に既に完成された材料である
が、製造上特別な工程や装置が必要となるために
高価にならざるを得ない。そしてこの技術による
着色ステンレス鋼は、当然表面が銅単独になるた
め銅そのものの単一の色調しか得られないことは
明らかである。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は、従来からある技術で着色したステン
レス鋼の欠点を解消し、なおかつ高級感のある表
面に仕上げた着色ステンレス鋼を提供するもので
ある。 すなわちステンレス鋼のもつ清潔感を生かしつ
つ冷たさを感じさせない着色は、何をもつて行う
かという点と、どのようにして色の種類を増やす
かという点にある。 〔問題点を解決するための手段〕 以上の問題点を解決するために、本発明ではま
ず第1に暖色系でなおかつ高級感のある色とし
て、銅のもつ赤色を利用した。第2に、銅そのも
のは単一色調しか有していないが、人間の目は分
解能が必ずしも良くないとの視点を導入すること
で、色相の違いを現出させ色の種類を増やすこと
を考えた。即ち、ステンレス鋼の表面に、ベース
であるステンレス鋼そのものの銀白色と暖かい感
触を示す銅の赤色を微細なモザイク状に存在せし
めたのである。すなわち、表面は肉眼的にはステ
ンレス鋼の銀白色と銅の赤色の混合色とし、その
面積比率を変えることで赤色系だけではあるが色
の種類を増加せしめたものである。 本発明による着色ステンレス鋼は、ミクロ的に
は銀白色と銅の赤色とがばらばらに混在している
にすぎない。従つて、ミクロ的には色のむらがあ
ることになるのであるが、個々のサイズが肉眼の
分解能以下であるので、肉眼的にはそれらの混合
色に着色したと錯覚して見えるのである。 次にこのような銅の赤色をモザイク状に被覆し
た本発明の着色ステンレス鋼が得られた製造方法
の一例について詳述する。 本発明者は、メツキやクラツドによつて製造さ
れた銅被覆ステンレス鋼を調査した結果、両金属
の界面に酸化物が存在すると密着性が不良であ
り、存在しないと非常に良好であること、またス
テンレス鋼の表面には、非常の環境ではいわゆる
不動態皮膜が存在するために密着性を良好に保つ
ことはかなり困難であることを見出した。この知
見に基づき、界面に酸化物を残さないで付着させ
るためには、ステンレス鋼の表面に不動態皮膜が
ない状態で銅を接合させることであると指向する
に至つたのである。 ステンレス鋼の表面を不動態皮膜のない状態に
保つのは、通常の環境ではほとんど不可能であ
る。真空を利用したクラツド鋼の製造過程では、
圧延によつて新生面が生ずる場合おそらく不動態
皮膜のない表面状態になつているものと推定され
るが、真空に保つことは製造工程を繁雑にし、大
幅なコスト上昇の要因にならざるを得ない。この
ような特殊環境以外にステンレス鋼の表面を不動
態皮膜のない状態に保つ条件は、ステンレス鋼の
表面が水素ガスを出して溶解している場合、すな
わち活性溶解の状態がある。 活性溶解をしている表面に銅を接合するために
は、原子状の銅あるいは銅イオンを活性溶解して
いる界面近傍に存在させる必要がある。しかし溶
液中に銅イオンを混入し拡散によつて界面に近づ
けるには、界面での水素ガス発生などがあつて必
ずしも容易ではない。そこで活性溶解に伴つて鋼
中から原子状あるいはイオン状態の銅が遊離して
出現させるなら容易であろうと考えた。そのため
に、鋼中に銅を添加した。 以下、調査結果に基づいて説明する。 第1表に示した銅添加17Crステンレス鋼の鏡
面仕上げした板を、H2SO4水溶液中に浸漬して
活性溶解させた。第1図は、鋼中への銅の添加量
と活性溶解後の表面の色との関係を示した図であ
る。また、第2図には同表鋼No.3の5.7%銅添加
材を用いて、表面に析出させた銅の表面被覆程度
(率)と色の程度との関係を調査し示した。銅被
覆率は光学顕微鏡により表面を観察し、銅である
赤色析出物の存在面積を画像解析により測定し
た。色の程度は、肉眼により着色無しの場合と同
じレベルを評点Aとし、銅と同じ色の場合をEと
した。その間は、薄い赤色レベル、肌色状のレベ
ル、銅板に近い赤色レベルの3段階に評点付けし
てこれらを色ランクとして分類した。この分類に
おいては、評点Bが直感的に着色したと認められ
るレベルであり、評点Dが銅そのものとは明らか
に異なる色と判断できるレベルである。第1図か
ら明らかなように、銅添加量が2%以上の場合、
酸で溶解した量に応じて表面に銅が析出し銅特有
の赤色を呈することが認められた。すなわち、溶
解量が少ないと薄い赤色になり、溶解量が多くな
るとかなり濃い赤色を呈した。さらに、かなり長
時間浸漬していると、水素ガスの発生が著しく減
少し、ほぼ全面が銅で被覆された。表面への析出
機構は現在研究中であるが、表面に析出した銅
は、原理的には一種のメツキに相当するもの(す
なわち、一旦イオンとなつた銅が還元されて析出
した)と、銅中に存在する原子状の銅が鉄などの
溶解によつてステンレス鋼の格子から遊離し活性
溶解面に沈降し吸着したものとがあると考えられ
る。 この方法により析出した銅は、通常のメツキに
比べて密着性に著しく優れており、密着曲げや、
t/2−180゜曲げ戻しなどの評価試験で全く剥離
しなかつた。 また、溶解に用いた酸の種類では、硫酸や塩酸
などの水素ガスを発生して活性溶解を起す酸の場
合は、単独の酸でも混酸でも全て同様に良好に析
出し銅被覆鋼板が得られたが、硝酸のようにステ
ンレス鋼を不動態化したりNOガスなどの窒素酸
化物を出して溶解する酸の場合は、銅の析出は見
られなかつた。また、塩化第2鉄などを含む溶液
のように酸化作用の強い溶液も、銅の析出は見ら
れなかつた。硫酸銅を含む溶液の場合は条件によ
つては銅の析出が見られたが、密着性は不良であ
つた。 一方、第2図で示す銅の表面被覆率と表面の色
との関係は、赤色析色物すなわち銅の析出量が多
くなればなる程白から赤くなることがわかつた。
そして、人間の目には銅の表面被覆率が5%未満
ではほとんど銅の析出を識別できず、5%以上に
なつてはじめてベースのステンレス鋼とは異なり
赤くなつたと感じられること、また95%以上の面
積が被覆されると銅そのものとなんら区別がつか
なくなることが確認された。 次に、本発明の限定条件を示す。 対象とする鋼は、Cを0.15%を超えて添加する
と焼入れ硬化性が表れ着色を必要とする装飾用途
には使用されないので、上限とした。一方、C含
有量は低いほど加工性は向上するが、C低減のた
めのコストが掛かることから0.005%を下限とし
た。 Siは、2%を超えて添加すると熱過での加工性
が劣化するばかりでなく常温での強度が上昇し、
装飾用として加工が困難となるため、上限とし
た。しかし、0.01%未満では脱酸が不足し、介在
物による加工性耐食性の劣化が避けられないた
め、下限とした。 Mnを2%を超えて添加すると、焼入れ硬化性
が表れるため上限とした。しかし、0.01%未満で
は不可避不純物のSをMnSとして固定できずFeS
が生成し、熱間加工性が劣化するため下限とし
た。 PおよびSは、不可避不純物として耐食性や熱
間加工性の点から低減が指向されるが、いずれも
0.04%以下であれば、本願発明の着色性になんら
影響がないため、いずれも0.04%を上限とした。 不可避不純物として混入するNiは、本願発明
にはなんら影響を及ぼさないが、0.6%を超えて
混入すると、焼入れ硬化性が表れるため上限とし
た。しかし、0.01%未満まで低減すると、耐酸性
が劣化して熱間加工後の酸洗脱スケール工程での
表面肌荒れを助長し表面の美麗さを損なうため、
下限とした。 Cr含有量は、10%未満になるとステンレス鋼
としての基本的な耐食性が不足するので、10%を
下限とした。また、30%を超えると相応に耐食性
は向上するが、本発明の用途で要求されるレベル
を超えた耐食性となり、品質が過剰となるだけで
なく、熱間加工性が著しく劣化してステンレス鋼
そのものの製造が困難となるので、30%を上限と
した。 Cu含有量は2%未満の場合、長時間の溶解を
行つても銅の析出がなく銅特有の赤色を呈するこ
とがなく、むしろ通常のステンレス鋼の酸溶解時
に見られる黒色の腐食生成物が増加するため下限
とし、20%を超えると熱間加工性が著しく劣化し
てステンレス鋼そのものの製造が困難となるの
で、20%を上限とした。 Alは、鋼の脱酸剤として不可欠であるが、0.2
%を超えて添加すると熱間および冷間での加工性
が著しく劣化するため、上限とした。しかし、
0.001%未満では脱酸が不足し、介在物による加
工性耐食性の劣化が避けられないため、下限とし
た。 さらに、銅の被覆として人間の目に赤く感じら
れる着色ステンレス鋼は、銅相が表面の5%以上
を被覆した場合であるので5%を銅被覆率の下限
とした。 〔作用〕 本発明によれば、銅の表面被覆率を変えること
で赤色と銀白色の中間色を自由に選定することが
可能であり、銅の持つ暖かい感触と高級感を有す
る着色ステンレス鋼が得られる。また、本発明鋼
では表層に銅が存在するので、銅単独の場合と同
様に緑青を発生させることが可能であり、用途に
よつては一層落ちついた高級感をかもしだすこと
も可能である。 〔実施例〕 第1表に示した化学組成の銅添加および銅無添
加の17Crステンレス鋼を溶解し、熱間圧延、熱
延板焼鈍、冷延および冷延板焼鈍を行つて1.0mm
の薄板を製造した。この薄板を鏡面研磨仕上げ
し、次いで第2表に示した条件で酸の溶液中に浸
漬した。その後水洗した表面の色を第2表に併せ
て示したが、本発明に相当する溶解表面には赤色
析出物が析出しており、銅により被覆されたこと
が明らかに認められた。その後、180゜密着曲げを
行
ステンレス鋼に関するものである。ステンレス鋼
は、耐食性が優れている上に汚れが付きにくいた
め清潔感の感じられる材料である。この特徴を生
かして、金属表面のまま人の目に触れ、かつその
ために表面の色調が重要視される用途、例えば、
建築内外装部品や厨房品、洋食器などの家庭用品
には、主としてステンレス鋼が使用される。 一方、銅は「あかがね」と呼称されるように独
得の赤色を呈し、さらに年月を経るに従いいわゆ
る緑青によつて深みのある緑色に変色させること
が可能なために、高級感を演出する建築外装部品
例えば屋根材などに広く使用されている。 本発明による銅で被覆した着色ステンレス鋼
は、これらの建築内外装部品や家庭用厨房品の材
料として最適である。 〔従来の技術〕 ステンレス鋼は、耐食性が優れている上に汚れ
が付きにくいため清潔感はあるが、表面の色はい
わゆる金属色(銀白色)の無彩色であるために、
冷たいとの悪い印象を与える結果となつている。 金属の色は、金、銅および一部の銅合金を除い
てほとんどがいわゆる金属色(銀白色)である。
金属の種類によつて、あるいは表面の仕上げによ
つて微妙な色合いは異なるものの、基調は全て銀
白色の無彩色である。もちろんステンレス鋼も同
じである。 このため、家庭用品や建築内外装品を中心に、
ステンレス鋼の着色化が強く要求されている。一
方従来ステンレス鋼の着色技術は、主として塗装
により、また一部ではInco法などの酸化皮膜の干
渉作用を利用する化学処理やCVDなどのドライ
プロセスによる表面処理で行われていた{日本金
属学会会報第23巻、第10号(1984)、P812}。塗
装は、発色の本質が顔料にあるので、色の選択の
幅が広いという利点がある。しかし、ステンレス
鋼の地肌が隠されることから、本来ステンレス鋼
が有している清潔感などの美麗さは犠性とならざ
るを得ないのである。また、Inco法などの化学処
理やCVDなどのドライプロセスによる表面処理
技術は、ステンレス鋼の特徴を生かした着色技術
ではあるが、着色コストが著しく大きく高価にな
るため一般的な用途には向かない。 また銅を被覆した着色ステンレス鋼には、いわ
ゆる銅のクラツドやメツキ材がある。しかしこれ
らの材料は、技術的に既に完成された材料である
が、製造上特別な工程や装置が必要となるために
高価にならざるを得ない。そしてこの技術による
着色ステンレス鋼は、当然表面が銅単独になるた
め銅そのものの単一の色調しか得られないことは
明らかである。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は、従来からある技術で着色したステン
レス鋼の欠点を解消し、なおかつ高級感のある表
面に仕上げた着色ステンレス鋼を提供するもので
ある。 すなわちステンレス鋼のもつ清潔感を生かしつ
つ冷たさを感じさせない着色は、何をもつて行う
かという点と、どのようにして色の種類を増やす
かという点にある。 〔問題点を解決するための手段〕 以上の問題点を解決するために、本発明ではま
ず第1に暖色系でなおかつ高級感のある色とし
て、銅のもつ赤色を利用した。第2に、銅そのも
のは単一色調しか有していないが、人間の目は分
解能が必ずしも良くないとの視点を導入すること
で、色相の違いを現出させ色の種類を増やすこと
を考えた。即ち、ステンレス鋼の表面に、ベース
であるステンレス鋼そのものの銀白色と暖かい感
触を示す銅の赤色を微細なモザイク状に存在せし
めたのである。すなわち、表面は肉眼的にはステ
ンレス鋼の銀白色と銅の赤色の混合色とし、その
面積比率を変えることで赤色系だけではあるが色
の種類を増加せしめたものである。 本発明による着色ステンレス鋼は、ミクロ的に
は銀白色と銅の赤色とがばらばらに混在している
にすぎない。従つて、ミクロ的には色のむらがあ
ることになるのであるが、個々のサイズが肉眼の
分解能以下であるので、肉眼的にはそれらの混合
色に着色したと錯覚して見えるのである。 次にこのような銅の赤色をモザイク状に被覆し
た本発明の着色ステンレス鋼が得られた製造方法
の一例について詳述する。 本発明者は、メツキやクラツドによつて製造さ
れた銅被覆ステンレス鋼を調査した結果、両金属
の界面に酸化物が存在すると密着性が不良であ
り、存在しないと非常に良好であること、またス
テンレス鋼の表面には、非常の環境ではいわゆる
不動態皮膜が存在するために密着性を良好に保つ
ことはかなり困難であることを見出した。この知
見に基づき、界面に酸化物を残さないで付着させ
るためには、ステンレス鋼の表面に不動態皮膜が
ない状態で銅を接合させることであると指向する
に至つたのである。 ステンレス鋼の表面を不動態皮膜のない状態に
保つのは、通常の環境ではほとんど不可能であ
る。真空を利用したクラツド鋼の製造過程では、
圧延によつて新生面が生ずる場合おそらく不動態
皮膜のない表面状態になつているものと推定され
るが、真空に保つことは製造工程を繁雑にし、大
幅なコスト上昇の要因にならざるを得ない。この
ような特殊環境以外にステンレス鋼の表面を不動
態皮膜のない状態に保つ条件は、ステンレス鋼の
表面が水素ガスを出して溶解している場合、すな
わち活性溶解の状態がある。 活性溶解をしている表面に銅を接合するために
は、原子状の銅あるいは銅イオンを活性溶解して
いる界面近傍に存在させる必要がある。しかし溶
液中に銅イオンを混入し拡散によつて界面に近づ
けるには、界面での水素ガス発生などがあつて必
ずしも容易ではない。そこで活性溶解に伴つて鋼
中から原子状あるいはイオン状態の銅が遊離して
出現させるなら容易であろうと考えた。そのため
に、鋼中に銅を添加した。 以下、調査結果に基づいて説明する。 第1表に示した銅添加17Crステンレス鋼の鏡
面仕上げした板を、H2SO4水溶液中に浸漬して
活性溶解させた。第1図は、鋼中への銅の添加量
と活性溶解後の表面の色との関係を示した図であ
る。また、第2図には同表鋼No.3の5.7%銅添加
材を用いて、表面に析出させた銅の表面被覆程度
(率)と色の程度との関係を調査し示した。銅被
覆率は光学顕微鏡により表面を観察し、銅である
赤色析出物の存在面積を画像解析により測定し
た。色の程度は、肉眼により着色無しの場合と同
じレベルを評点Aとし、銅と同じ色の場合をEと
した。その間は、薄い赤色レベル、肌色状のレベ
ル、銅板に近い赤色レベルの3段階に評点付けし
てこれらを色ランクとして分類した。この分類に
おいては、評点Bが直感的に着色したと認められ
るレベルであり、評点Dが銅そのものとは明らか
に異なる色と判断できるレベルである。第1図か
ら明らかなように、銅添加量が2%以上の場合、
酸で溶解した量に応じて表面に銅が析出し銅特有
の赤色を呈することが認められた。すなわち、溶
解量が少ないと薄い赤色になり、溶解量が多くな
るとかなり濃い赤色を呈した。さらに、かなり長
時間浸漬していると、水素ガスの発生が著しく減
少し、ほぼ全面が銅で被覆された。表面への析出
機構は現在研究中であるが、表面に析出した銅
は、原理的には一種のメツキに相当するもの(す
なわち、一旦イオンとなつた銅が還元されて析出
した)と、銅中に存在する原子状の銅が鉄などの
溶解によつてステンレス鋼の格子から遊離し活性
溶解面に沈降し吸着したものとがあると考えられ
る。 この方法により析出した銅は、通常のメツキに
比べて密着性に著しく優れており、密着曲げや、
t/2−180゜曲げ戻しなどの評価試験で全く剥離
しなかつた。 また、溶解に用いた酸の種類では、硫酸や塩酸
などの水素ガスを発生して活性溶解を起す酸の場
合は、単独の酸でも混酸でも全て同様に良好に析
出し銅被覆鋼板が得られたが、硝酸のようにステ
ンレス鋼を不動態化したりNOガスなどの窒素酸
化物を出して溶解する酸の場合は、銅の析出は見
られなかつた。また、塩化第2鉄などを含む溶液
のように酸化作用の強い溶液も、銅の析出は見ら
れなかつた。硫酸銅を含む溶液の場合は条件によ
つては銅の析出が見られたが、密着性は不良であ
つた。 一方、第2図で示す銅の表面被覆率と表面の色
との関係は、赤色析色物すなわち銅の析出量が多
くなればなる程白から赤くなることがわかつた。
そして、人間の目には銅の表面被覆率が5%未満
ではほとんど銅の析出を識別できず、5%以上に
なつてはじめてベースのステンレス鋼とは異なり
赤くなつたと感じられること、また95%以上の面
積が被覆されると銅そのものとなんら区別がつか
なくなることが確認された。 次に、本発明の限定条件を示す。 対象とする鋼は、Cを0.15%を超えて添加する
と焼入れ硬化性が表れ着色を必要とする装飾用途
には使用されないので、上限とした。一方、C含
有量は低いほど加工性は向上するが、C低減のた
めのコストが掛かることから0.005%を下限とし
た。 Siは、2%を超えて添加すると熱過での加工性
が劣化するばかりでなく常温での強度が上昇し、
装飾用として加工が困難となるため、上限とし
た。しかし、0.01%未満では脱酸が不足し、介在
物による加工性耐食性の劣化が避けられないた
め、下限とした。 Mnを2%を超えて添加すると、焼入れ硬化性
が表れるため上限とした。しかし、0.01%未満で
は不可避不純物のSをMnSとして固定できずFeS
が生成し、熱間加工性が劣化するため下限とし
た。 PおよびSは、不可避不純物として耐食性や熱
間加工性の点から低減が指向されるが、いずれも
0.04%以下であれば、本願発明の着色性になんら
影響がないため、いずれも0.04%を上限とした。 不可避不純物として混入するNiは、本願発明
にはなんら影響を及ぼさないが、0.6%を超えて
混入すると、焼入れ硬化性が表れるため上限とし
た。しかし、0.01%未満まで低減すると、耐酸性
が劣化して熱間加工後の酸洗脱スケール工程での
表面肌荒れを助長し表面の美麗さを損なうため、
下限とした。 Cr含有量は、10%未満になるとステンレス鋼
としての基本的な耐食性が不足するので、10%を
下限とした。また、30%を超えると相応に耐食性
は向上するが、本発明の用途で要求されるレベル
を超えた耐食性となり、品質が過剰となるだけで
なく、熱間加工性が著しく劣化してステンレス鋼
そのものの製造が困難となるので、30%を上限と
した。 Cu含有量は2%未満の場合、長時間の溶解を
行つても銅の析出がなく銅特有の赤色を呈するこ
とがなく、むしろ通常のステンレス鋼の酸溶解時
に見られる黒色の腐食生成物が増加するため下限
とし、20%を超えると熱間加工性が著しく劣化し
てステンレス鋼そのものの製造が困難となるの
で、20%を上限とした。 Alは、鋼の脱酸剤として不可欠であるが、0.2
%を超えて添加すると熱間および冷間での加工性
が著しく劣化するため、上限とした。しかし、
0.001%未満では脱酸が不足し、介在物による加
工性耐食性の劣化が避けられないため、下限とし
た。 さらに、銅の被覆として人間の目に赤く感じら
れる着色ステンレス鋼は、銅相が表面の5%以上
を被覆した場合であるので5%を銅被覆率の下限
とした。 〔作用〕 本発明によれば、銅の表面被覆率を変えること
で赤色と銀白色の中間色を自由に選定することが
可能であり、銅の持つ暖かい感触と高級感を有す
る着色ステンレス鋼が得られる。また、本発明鋼
では表層に銅が存在するので、銅単独の場合と同
様に緑青を発生させることが可能であり、用途に
よつては一層落ちついた高級感をかもしだすこと
も可能である。 〔実施例〕 第1表に示した化学組成の銅添加および銅無添
加の17Crステンレス鋼を溶解し、熱間圧延、熱
延板焼鈍、冷延および冷延板焼鈍を行つて1.0mm
の薄板を製造した。この薄板を鏡面研磨仕上げ
し、次いで第2表に示した条件で酸の溶液中に浸
漬した。その後水洗した表面の色を第2表に併せ
て示したが、本発明に相当する溶解表面には赤色
析出物が析出しており、銅により被覆されたこと
が明らかに認められた。その後、180゜密着曲げを
行
【表】
【表】
本発明によりステンレス鋼が本来有している清
潔感はなんら損うことなく、銅の赤色とステンレ
ス鋼の銀白色の中間色を示し、暖かい感触と高級
感を有する着色ステンレス鋼を得ることができ
た。しかも、表面に銅が存在するので、緑青を発
生させることもでき、用途によつては一層落ちつ
いた高級感を演出することも可能である。この結
果、建築の内外装部品や家庭用品、厨房品などに
広く適用することができる。 この様に、本発明によつて従来なかつた機能を
もつたステンレス鋼を提供できるので、材料の選
択巾が広がるだけでなく、新しい用途を生み出す
可能性があるなど工業的社会的効果ははかりしれ
ないものがある。
潔感はなんら損うことなく、銅の赤色とステンレ
ス鋼の銀白色の中間色を示し、暖かい感触と高級
感を有する着色ステンレス鋼を得ることができ
た。しかも、表面に銅が存在するので、緑青を発
生させることもでき、用途によつては一層落ちつ
いた高級感を演出することも可能である。この結
果、建築の内外装部品や家庭用品、厨房品などに
広く適用することができる。 この様に、本発明によつて従来なかつた機能を
もつたステンレス鋼を提供できるので、材料の選
択巾が広がるだけでなく、新しい用途を生み出す
可能性があるなど工業的社会的効果ははかりしれ
ないものがある。
第1図は、鋼中の銅添加量と酸溶解後の表面の
色との関係を示した図である。第2図は、銅の表
面被覆程度による赤色色相の変化を示した図であ
る。
色との関係を示した図である。第2図は、銅の表
面被覆程度による赤色色相の変化を示した図であ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 基板が C:0.005%以上0.15%以下、 Si:0.01%以上2%以下、 Mn:0.01%以上2%以下、 P:0.04%以下、 S:0.04%以下、 Ni:0.01%以上0.6%以下、 Cr:10%以上30%以下、 Al:0.001%以上0.2%以下、 Cu:2%以上20%以下 を含有し残部不可避不純物と鉄とからなるステン
レス鋼であり、その表面に析出銅相が表面の5%
以上被覆されたことを特徴とする銅被覆による着
色ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28767886A JPS63143267A (ja) | 1986-12-04 | 1986-12-04 | 銅被覆による着色ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28767886A JPS63143267A (ja) | 1986-12-04 | 1986-12-04 | 銅被覆による着色ステンレス鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS63143267A JPS63143267A (ja) | 1988-06-15 |
| JPH0366394B2 true JPH0366394B2 (ja) | 1991-10-17 |
Family
ID=17720303
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP28767886A Granted JPS63143267A (ja) | 1986-12-04 | 1986-12-04 | 銅被覆による着色ステンレス鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS63143267A (ja) |
-
1986
- 1986-12-04 JP JP28767886A patent/JPS63143267A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS63143267A (ja) | 1988-06-15 |
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