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JPH0571124B2 - - Google Patents
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JPH0571124B2 - - Google Patents

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JPH0571124B2
JPH0571124B2 JP60032931A JP3293185A JPH0571124B2 JP H0571124 B2 JPH0571124 B2 JP H0571124B2 JP 60032931 A JP60032931 A JP 60032931A JP 3293185 A JP3293185 A JP 3293185A JP H0571124 B2 JPH0571124 B2 JP H0571124B2
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oxide
thin film
amorphous
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evaporation source
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JP60032931A
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Mitsuo Sugimoto
Nobuyuki Hiratsuka
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SAITAMA DAIGAKUCHO
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SAITAMA DAIGAKUCHO
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は非晶質で強磁性を有する酸化物薄膜お
よびその製造法に係るものである。
(従来の技術) 従来より真空蒸着法による強磁性酸化物薄膜の
作製は主として次の2つの方法で行われている。
1つは磁性金属または合金を蒸着した後に空気中
で約600℃以上の温度に加熱して薄膜を酸化する
方法である。もう1つは真空ベルジヤー内が10-2
forr程度の減圧中で金属を加熱蒸発させて基板上
に強磁性酸化物薄膜を堆積して作製する方法であ
る。こうして作製した薄膜は結晶粒界や亀裂、穴
などの欠陥が多く、しかも基板から剥離しやす
い。また、上述の製法で得られる薄膜はすべて多
結晶体であるため、その結晶粒界や比較的多い欠
陥が磁気光学材料に用いる場合の重大な短所とな
つている。
(発明が解決しようとする問題点) 前述の多結晶酸化物薄膜の短所を除去する目的
で単結晶酸化物薄膜を作製することが試みられて
いる。単結晶酸化物薄膜には結晶粒界は存在しな
いが、多少の欠陥が存在する場合が多い。しか
も、この単結晶薄膜作製上の大きな問題点は基板
と単結晶薄膜のそれぞれの格子定数のマツチング
である。もし、両者の格子定数のマツチングが許
容値範囲を外れると、基板と単結晶薄膜との間に
歪が生じ、これが磁気ならびに光学的特性に様々
な悪影響を及ぼす。
(問題点を解決しようとする手段) 本発明は蒸着法によつて作製された従来の薄膜
がもつような欠点が少なく、かつ均一な品質の非
晶質酸化物薄膜を簡便に作製する方法に係る。
すなわち、本発明の非晶質酸化物薄膜には結晶
粒界が存在せず、また単結晶のように品質の均一
性が優れている。さらに製造工程も比較的簡単で
あり、基板の材質の種類を問題としない利点があ
る。
本発明は、酸化第二鉄(Fe2O3)が48〜36重量
%、酸化第一鉄(FeO)、酸化ニツケル(NiO)、
酸化マンガン(MnO)、酸化銅(Cuo)、酸化マ
グネシウム(MgO)のうちから選ばれた何れか
一種または二種以上の酸化物が32〜16重量%、残
部五酸化リン(P2O5)が20〜48重量%を含有し、
磁気飽和値が60〜20emn/gである非晶質強磁性
酸化物薄膜に係る。
本発明の他の構成としては、前記の五酸化リン
の組成範囲の一部である10重量%以下を三酸化ヒ
素(As2O3)、酸化セレン(SeO2)、酸化テルル
(TeO2)の中から選ばれた一種あるいは二種以上
の酸化物で置換した非晶質強磁性酸化物薄膜にあ
る。
本発明の更に他の目的とする所は、鉄、ニツケ
ル、銅、マンガン、マグネシウムのうち一種また
は二種以上の金属をA蒸発源とし、五酸化リンあ
るいはその一部を三酸化ヒ素、酸化セレン、酸化
テルルの中から選ばれた一種あるいは二種以上で
置換した酸化物をB蒸発源とし、初期真空度を5
×10-5torr以下になるように減圧した後、A蒸発
源を1700℃から2000℃の範囲に、B蒸発源を300
℃から700℃の温度範囲に可変しながら真空度を
1〜10×10-3torrに維持して金属と酸化物を同時
に蒸発させ、かつ基板上に蒸着させることにより
非晶質強磁性酸化物薄膜を形成する非晶質強磁性
酸化物薄膜の製造法にある。
本発明の更に他の目的とする所は本発明の方法
により得られた非晶質強磁性酸化物薄膜を結晶化
温度以下で加熱して熱処理すると、垂直力−回転
角が0.6度以上に向上した非晶質強磁性酸化物薄
膜が得られる。
(作用) 本発明の方法により得られた薄膜は酸化第二鉄
(Fe2O3)が48〜36重量%、酸化第一鉄(FeO)、
酸化ニツケル(NiO)、酸化マンガン(MnO)、
酸化銅(CuO)、酸化マグネシウム(MgO)のう
ちから選ばれた何れか一種または二種以上の酸化
物が32〜16重量%、残部五酸化リン(P2O5)が
20〜48重量%とを含有する非晶質強磁性酸化物薄
膜を結晶化温度以下で加熱すると、垂直力−回転
角が0.6度以上に向上させることができる。
本発明の非晶質酸化物薄膜は、その五酸化リン
の組成範囲の一部である10重量%以下を三酸化ヒ
素(As2O3)、酸化セレン(SeO2)、酸化テルル
(TeO2)の中から選ばれた一種あるいは二種以上
の酸化物で置換することができる。
本発明において、酸化第二鉄の成分を48〜36重
量%と限定したのは酸化第二鉄が36重量%以下で
は得られた薄膜が強磁性を示さないので好ましく
ない。また酸化第二鉄が48重量%以上添加すると
他の五酸化リンその他の酸化物の含有量が少ない
磁性が低下するので好ましくない。以上の理由
で、酸化第二鉄の含有量を48〜36重量%と決定し
た。
次に五酸化リンを20〜48重量%と限定した理由
は薄膜中に五酸化リンが48重量%以上含有される
と、薄膜の表面光沢がなくなり、基板との密着性
も悪くなり実用上不適当となる。また五酸化リン
が20重量%未満では磁性が低下し、初期の強磁性
が得られないので好ましくない。酸化第一鉄
(FeO)、酸化ニツケル、酸化マンガン、酸化銅、
酸化マグネシウムの何れか1種又は2種以上の酸
化物が32〜16重量%と限定したのはこれら酸化物
が16重量%以下では磁性が低下し、強磁性を示さ
ないので好ましくない。またこれら酸化物は32重
量%以上入れると、酸化第二鉄が48重量%含有出
来なくなり、またP2O5も20重量%まで添加でき
なくなり磁性が低下する。またこの2価の金属酸
化物が16重量%以下となると、P2O5又はFe2O3
添加量がその上限48重量%を超過することにな
り、同じく磁性が低下するので好ましくない。よ
つて、これら2価の酸化物の組成範囲を32〜16重
量%と限定した。
本発明の薄膜の製造法において、蒸着の前に初
期真空度を5×10-5torr以下になるように減圧す
るのは、スパツタ室内の不純物除去のために行う
もので、予めスパツタ室内を5×10-5torr以下の
真空とすることにより不純物除去の目的が達成さ
れる。
また、A蒸発源(合金)の加熱温度を1700℃か
ら2000℃の範囲にし、B蒸発源(酸化物)の加熱
温度を300℃から700℃に可変しながら真空度を1
〜10×10-3torrに維持して金属と酸化物を同時蒸
発させる理由は、合金のA蒸発源の加熱温度を
2000℃以上とすると多結晶質の薄膜が作製される
ので好ましくない。A蒸発源の合金の加熱温度が
1700℃以下になると合金はほとんど蒸発されない
ために薄膜が形成されない。これに反し、A蒸発
源の温度を1700℃〜2000℃にすると合金がよく蒸
発するようになり良質な非晶質の酸化物薄膜が得
られるのである。
次にB蒸発源の酸化物の加熱温度を300℃以下
とすると、酸化物はほとんど蒸発しなくなる。ま
た7000℃以上に加熱すると、酸化物が瞬時に蒸発
するようになり、薄膜形成の制御が難しくなり実
用的でなくなる。これに反し、B蒸発源の酸化物
の加熱温度を300℃〜700℃にすると均質な非晶質
を得ることが可能となるので、B蒸発源の酸化物
の加熱温度を300〜700℃に限定した。ここで真空
度を1〜10×10-3torrに維持するのは、A蒸発源
を1700℃〜2000℃に加熱して金属を蒸発させたと
きにベルジヤー(スパツタ室)内の真空度が1×
10-4torrを越えて小さくなると、金属が酸化され
ずに被膜を形成するために被膜は合金膜となり、
非晶質膜とならない。また真空度が1〜10×10-4
torrの範囲では多結晶体と非晶体の混合した薄膜
が得られるが、純粋な非晶質薄膜が得られない。
しかしながら、真空度が1×10×10-3torrとな
ると、スパツタ雰囲気中に適度の酸素が存在する
ことになり、A蒸発源で加熱された金属又は合金
がスパツタに際して適度に酸化され多結晶質体等
の混入しない純度の高い非晶質薄膜が得られるの
である。
しかし、真空度が10-2torrと低くなると、薄膜
形成の成功率が著しく低下し、酸化物膜は形成さ
れるが、膜中に酸化物中の陽イオンが含有され難
くなり、不純物として酸化物のない良質な非晶質
が形成されない。以上の理由で真空度を1〜10×
10-3torrと限定した。
以下に本発明の非晶質強磁性酸化物薄膜の製造
法を詳細に述べる。第1図は本発明の製造法に使
用した真空蒸発装置を示し、蒸発源は一つあり、
一方の蒸発源Aには合金試料1を入れたタングス
テン製ボード3を置き、他の蒸発源Bには酸化物
試料2を入れた他方のタングステン製ボード3を
置き、両者を遮蔽板11により両蒸発源A,Bを
それぞれ遮蔽し、両蒸発源A,Bのタングステン
ボード3,3を夫々柱4及び絶縁板5によりベー
スプレート6に支持し、タングステンボード3,
3をベースプレート6と絶縁して電流計9及びト
ランス8を介してそれぞれの交流電源7,7に接
続する。10は真空排気口で両蒸発源A,Bの中
間位置で対向する方向に回転軸12により支えら
れたガラス基板13を配置し、これに両蒸発源
A,Bより蒸発されたものがガラス基板13上で
気相合成反応して、非晶質薄膜14を生成するの
である。
即ち、2つの蒸発源A,B中の一方の蒸発源A
に合金試料1を入れ、他の蒸発源Bの酸化物試料
2を入れそれぞれの受皿であるタングステンボー
ド3,3を夫々の電源により抵抗加熱して、それ
ぞれの試料を蒸発させる。これらのタングステン
製ボード3,3の加熱温度は外部にある交流電源
7,7を制御することにより、それぞれの蒸発適
温に加熱される。ここで合金の蒸発源Aの加熱温
度は1700℃〜2000℃より選択した適当温度とし、
酸化物の蒸発源Bは300℃〜700℃の範囲より適当
に選択した適当温度とする。ガラス製基板13は
1分間に0〜10回転で任意に回転又は静止してお
くようにし、両蒸発源A,B間は遮蔽板11で隔
てられて、両蒸発源A,Bより蒸発された合金蒸
発体と酸化物蒸発体とが途中の空間で接触して反
応しないようにし、両蒸発体はガラス基体13の
上で遭遇し、ここで気相反応を生じ基板上にデポ
ジツトして非晶質強磁性酸化物薄膜14が生成す
るのである。
従来、金属あるいは合金を減圧中で蒸着して多
結晶質の酸化物薄膜を基板上に作製することは公
知であるが、真空蒸着法により非晶質でかつ強磁
性を有する酸化物薄膜を不純物の入らないように
純粋に作製する方法は全く知られていない。本発
明者等は蒸発温度の高い合金と蒸発温度の低い酸
化物とを同時に真空中で蒸着することにより、非
晶質状態の薄膜を得る条件を追求した。そしてま
ず、合金と同時に蒸発させる酸化物の種類が重要
であることが明らかになつた。すなわち、融点
が、比較的低く、しかも平衡蒸気圧に達する温度
が低く、とりわけ昇化しやすい酸化物が適してい
ることである。
こうした条件に適合する酸化物を検討した結果
は五酸化リン(P2O5)、三酸化ヒ素(As2O3)、酸
化セレン(SeO2)、酸化テルル(TeO2)である
ことがわかつた。平衡蒸気圧が低く、融点も比較
的低い酸化鉛(PbO2)や酸化ビスマス(Bi2O3
は減圧中で容易に還元されること、また酸化ホウ
素(B2O3)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ゲルマニ
ウム(GeO2)は平衡気圧が高いため、蒸発しに
くく不適当な酸化物であつた。
次に本発明の製造法で重要な点は、合金と酸化
物の両者を如何にして同時に蒸発させるかが問題
である。合金を先に蒸発させ、遅れて酸化物を蒸
発させると、作製した薄膜は合金膜と酸化物膜と
の二層となつた。また酸化物を先に蒸発させ、遅
れて合金を蒸発させると、薄膜の形成の成功率が
極めて低いばかりでなく過度に酸化された薄膜が
形成された。合金と酸化物とをある適当な条件の
もとで同時に蒸発させると、両者が蒸発中に衝
突、気相反応し、基板上に堆積してからも反応す
ることにより均質な酸化物薄膜が形成された。
このように合金と酸化物を同時に蒸発させるこ
とが極めて重要であつて、その条件はベルジヤー
内の真空度を1〜10×10-3torrの適当な値に調節
することが必要である。真空度が1×10-4torr以
下の場合には合金膜が形成され、また真空度が1
〜10×10-4torrの範囲では多結晶質体と非晶質体
の混合した薄膜が得られる。
真空度が10-2torr以上低くなる時は膜形成成功
率は著しく低下し、酸化物膜は形成されるが、膜
中に酸化物中の陽イオンが含有されにくく、やは
り非晶質膜は形成されない。
多くの実験を繰り返した結果、1〜10×10-3
torrの範囲内で、特に酸化物の加熱温度(Bの蒸
発源)を300〜700℃の温度範囲に制御しながら蒸
着すると不純物のない純粋な非晶質薄膜が得られ
ることがわかつた。また合金の方の蒸発速度を早
くすること、換言すると、合金の加熱温度を2000
℃以上にすると多結晶質の膜が作製される。しか
し、Aの蒸発源の温度を1700℃〜2000℃とすると
良質な非晶質状態の酸化物薄膜が得られた。Aの
蒸発源の温度が1700℃以下の場合は合金はほとん
ど蒸発せず薄膜は形成されない。
B蒸発源となる酸化物は300℃以下の加熱温度
では蒸発しない。また700℃以上で加熱すると瞬
時に蒸発する。したがつて、均質な非晶質膜を得
るために、加熱温度を300℃〜700℃に限定する必
要がある。
上述の本発明の方法で作製した非晶質強磁性酸
化物薄膜は均一性が良好で欠陥も極めて少なかつ
た。
次に非晶質強磁性物酸化薄膜の磁性特性および
垂直力−回転角の波長依存性について述べる。
第2図はNiFe2合金粉末と五酸化リンとから作
製した薄膜中の五酸化リンの含有量と室温におけ
る磁気飽和値との関係を示す。五酸化リン含有量
が増大すると磁気飽和値は低下する傾向がある。
また図中には結晶領域()と非晶質領域()
との境界も示してある。五酸化リン含有量が約20
重量%以上では非晶質体となる。この非晶質領域
における磁気飽和値は約60〜20emu/gである。
しかしながら、薄膜中に48重量%以上五酸化リン
が含有されると、薄膜の表面光沢がなくなり、基
板との密着性が悪く実用には不適当となる。
また五酸化リンの一部10重量以下を他の酸化物
As2O3,SeO2,TeO2で置換して作製した非晶質
強磁性酸化物薄膜の磁気飽和値もほぼこの第2図
と同等である。
第3図は第2図中に示した(a),(b),(c),(d)の各
試料の垂直力−回転角(2θk)の波長依存性を示
す。(a),(b)は結晶質体であり、そのスペクトラム
は比較的単調な変化をしている。(c)は結晶質体と
非晶質体の境界に近い試料で、そのスペクトラム
は正、負の極性が頻繁に変化している特徴を示
す。それとともに2θk値の極大値は増大し限定さ
れた波長範囲で約21分になり、非晶質強磁性酸化
物薄膜の方が結晶体よりも大きな値を示すように
なる。
(実施例) 次に実施例について述べ、本発明の内容をさら
に詳細に説明する。
実施例 1 Feが0.6gおよびMnが0.4gからなる合金を一
方のタングステンボートに入れ、他方のタングス
テンボートには五酸化リン0.2g、酸化テルル
0.08gおよび酸化セレン0.08gを入れた。1×
10-5torrにベルジヤー内を減圧した後に、合金側
のボート(A蒸発源)を約1700〜1750℃に調節
し、かつ真空度が1×10×10-3torrに維持できる
ように酸化物側のボート(B蒸発源)を300〜500
℃に調節して、それぞれ加熱しながら同時に蒸発
させ、ガラス基板上に気相合成と基板上での反応
で薄膜を形成した。膜厚は約4000Åであつた。鉄
−マンガン合金、五酸化リンおよび酸化テルル、
酸化セレンの含有量は蛍光X線分析により定量し
た。その結果、膜中の酸化第二鉄は48重量%、酸
化マンガンは32重量%、五酸化リンは15重量%、
酸化テルルは3重量%、酸化セレンは2重量%で
あつた。この試料はX線回析で非晶質であること
も確認した。作製した非晶質強磁性酸化物薄膜は
磁気飽和値は48emn/gであつた。垂直力−回転
角(2θk)は500〜600nmで+20分、700〜800m付
近で−24分とそれぞれ極大値を示した。
また上記出発原料組成において酸化セレンの代
わりに酸化ヒ素を0.1g加えて同様の実験を行つ
た。非晶質強磁性酸化物膜が得られ、その膜の組
成は酸化ヒ素が2重量%であり、他の元素の含有
量は同値であつた。
実施例 2 NiFe2合金粉末と五酸化リン(P2O5)粉末とを
それぞれ2つのタングステンボートの蒸発源Aお
よびBに入れ、ベルジヤー内を1.5×10-5torrに減
圧にした後に、金属側ボードを1750〜1800℃間に
加熱すると同時に酸化物側ボードを400〜500℃で
加熱した。蒸発速度を一定に保つために双方のボ
ートの加熱温度を印加電圧で微調節しながら、蒸
着中の真空度を1×10×10-3torrに保持して非晶
質強磁性酸化物薄膜を作製した。蛍光X線分析に
よる薄膜の組成は五酸化リン含有量が22重量%、
酸化第二鉄が51重量%、酸化ニツケルが27重量%
であつた。また磁気飽和値は40emu/gであつ
た。
このようにして得た薄膜を空気中で熱処理した
場合の垂直力−回転角の波長依存性スペクトラム
を第4図に示す。図中には作製した直後の試料、
およびこれをそれぞれ200℃,225℃,250℃で3
時間空気中で焼純した後に測定したスペクトラム
が示してある。加熱温度が高くなるにしたがい垂
直力−回転角の最大値は増大するようになり、
225℃で加熱した時に670nm付近で約36分に達す
る。しかし、それ以上の温度で加熱した場合はか
えつて減少する傾向がある。この薄膜が結晶化す
る300℃と350℃で加熱した場合は垂直力−回転角
は著しく低下した。
実施例 3 目的 FeとP2O5とを蒸発源とする2源真空蒸着
法で作製したFe−P系アモルフアス酸化物薄
膜(膜厚2000〜4000Å)は、熱的安定性、磁気
光学特性等アモルフアス金属薄膜とは異なる特
徴を示す。これらの特徴は酸化物薄膜中に存在
するPイオンの作用に因ると考えられる。従つ
て、本実験ではPイオン含有量の異なる薄膜を
作製し、それらの結晶相、磁気飽和値、キユリ
ー温度等の基本的性質を調べると共に、磁気光
学特性の測定を行つた。
実験方法 Fe粉末と乾燥したP2O5とを別々のタ
ングステンボートに入れ、1×10-5torrにベル
ジヤー内を減圧した後に、金属側のボート(A
蒸発源)を約1700〜1750℃に調節し、かつ、真
空度を10-3torrに減圧した後に、ボートを加熱
しFeとP2O5を同時に蒸発させてガラス基板上
に薄膜を作製した。FeとP2O5の組成比の異な
る薄膜は、それぞれのボートの加熱温度を制御
することにより金属膜から酸化物膜まで任意に
作製できる。均一な膜を得るためにガラス基板
を1分間に8回転させた。膜の形成速度は遅
く、効率は良くない。
実験結果 第5図は磁気飽和値(σs)およびキユ
リー温度のP2O5含有量による変化を示す。P2
O5含有量が20wt%以下では結晶体であり、P2
O520重量%以上の含有量では非晶質体となる。
図に示した様にσsはP2O5含有量が増大するに
したがい急激に減少し、アモルフアス膜として
得られるのは44emu/g以下の場合である。こ
の程度の大きさのσsがあれば磁気光学材料とし
て応用の可能性がある。また、キユリー温度
(Tc)はP2O5含有量の増加と共に減少する傾
向が見られる。これはFe−O−Fe超交換相互
作用にP2O5が係つていると推測される。結晶
化温度もP2O5含有量の増加と共に約300℃から
約250℃へとゆるやかに減少する傾向を示す。
第6図はP2O5含有量が異なる6種類の試料の
垂直力−回転角(2θk)の波長依存性を示す。図
中の、a,b,c,e,d,fは第5図のa,
b,……fに対応している。結晶体であるa,
b,cのスペクトラムは単純な型から少しづつ複
雑な型へと変化する。cは酸化物と結晶体との中
間状態にある。d,e,fは非晶質体であり、各
波長ごとに対応するピークはPイオン含有量の増
大と共に短波長側にシフトする。これは存在する
Pイオン量に因るものと考えられるが詳細はまだ
明らかでない。eはσsが44emu/gと大きく、
2θkも±21minと大きな値を示す。fは行なうσs
も小さくなり、波長に対する2θkの変化も激し
い。以上をまとめると、 アモルフアス酸化物薄膜ではPイオンの役割
が極めて重要であり、 そのPイオンの含有量が増加するとσs
Tcrys,Tcがそれぞれ低下するが2θkは大きく
なり、ピークは短波長側に移動する傾向があ
る。
実施例 4 目的 Fe−P系アモルフアス酸化物薄膜の制作
に引き続き、その一部をNiイオンで置換した
Ni−Fe−P系アモルフアス酸化物薄膜を作製
した。FeイオンをNiイオンで置換する理由は
Niイオンの原子価が安定であると共に、正八
面体配位を優先的に占めるため明確な変化が生
じると考えられるためである。本研究はNi−
Fe−P系アモルフアス酸化物薄膜の磁性およ
び磁気光学特性について調べた。
実験方法 Nix Fe3−x(x=0,0.25,0.5,
0.75,1.0)の5種類の小さな塊状の合金とP2
O5とを2つの蒸発源(タングステンボート)
に入れ、1×10-5torrにベルジヤー内を減圧し
た後に、金属側のボート(A蒸発源)を約1700
〜1750℃に調節し、かつ、真空度を10-3torrに
減圧した後に蒸発源の加熱温度を制御しながら
ガラス基板上に薄膜を形成した。薄膜中のPイ
オン含有量はP2O5側の蒸発源の加熱温度によ
り調節が可能である。厚い膜を作製する場合は
繰り返し蒸着を行う。
実験結果 まずNiFe2(x=0.5)合金とP2O5とか
ら作製したPイオン含有量の異なる薄膜の結晶
相、磁気飽和値(σs)、電気抵抗率の変化を調
べた。薄膜中のPイオン含有量が増加するとσs
は減少し、電気抵抗率は増大した。すなわち、
Pイオン含有量の増加と共に酸化物的性質が強
まる。第7図はσsの異なる試料の垂直力−回転
角(2θk)の波長依存性を示す。a(σs
150emu/g),b(σs=85),c(σs=57)は結
晶体であり、d(σs=32)は非晶体である。こ
れらのスペクトラムはFe−P系アモルフアス
酸化物薄膜の場合と同じ様な変化を示す。また
作製条件も同一で良いことを確認した。
実施例 5 FeとMnの混合粉末と五酸化リン(P2O5)粉末
をそれぞれ2つのタングステンボートに入れ、1
×10-5torrにベルジヤー内を減圧した後に、金属
側のボート(A蒸発源)を約1700〜1750℃に調節
し、かつ、真空度を3×10-3torrに減圧した雰囲
気中でPO2をスライド基板上に堆積させて薄膜を
得た。作製した薄膜はP2O5が20重量%以上で非
晶質となることをX線回折装置にて確認した。磁
気特性を振動試料型磁力計で測定したところ、
45emu/gと比較的高い値を示した。この非晶質
酸化物薄膜の磁気的特徴は保磁力が20エルステツ
ドと小さな値を示したことである。この理由はも
ともと軟磁性を示すマンガンフエライトをさらに
非晶質化したことにより結晶磁気異方性が減少し
たことによる。従つて、この非晶質膜は軟磁性材
料として有用である。
実施例 6 一方のタングステンボートにFeとCu粉末を入
れ、1×10-5torrにベルジヤー内を減圧した後
に、金属側のボート(A蒸発源)を約1700〜1750
℃に調節し、他方のタングステンボートにはP2
O5を入れ、真空度を10-3torrに減圧した後、ボー
トを同時に加熱してFeとP2O5を同時蒸発させて、
ガラス金属上で気相反応させ非晶質酸化物薄膜を
作製した。FeとCuの蒸発開始温度に大きな差異
があり、Cuの蒸発開始温度をFeの蒸発温度と合
致させるため、タングステンボートの一部にタン
グステンの小切片をおき、その上にCuをおいた。
この非晶質酸化物薄膜はP2O5含有量が少量でも
非晶質化し、その含有量は20重量%以上であつ
た。Cuイオンの磁気モーメントが小さいため、
得られた非晶質酸化物薄膜の磁下値は25〜
30emu/gであつた。
実施例 7 MgとFeの混合粉およびP2O5をそれぞれ2つの
タングステンボートに入れ、1×10-5torrにベル
ジヤー内を減圧した後に、金属側のボート(A蒸
発源)を約1700〜1750℃に調節し、かつ、真空度
を10-3torrに減圧した後に、同時に蒸発するよう
に加熱してスライドガラス基板上に気相反応によ
り薄膜を形成した。Mgイオンは固溶しにくいた
め、非晶質化するためには20重量%のP2O5を要
した。得られた非晶質酸化物薄膜の磁化値は
20emu/gと小さく、また保磁力が350エルステ
ツドとなり半硬質磁性を示した。
第8図は(Nix Fe3−x)−P系アモルフアス
酸化物薄膜の2θkの波長依存性を示す。試料O,
P,Q,R,Sはそれぞれx=0,0.25,0.75,
1.0に対応している。特徴的なことはNiイオン含
有量が増加するにしたがい、正および負のピーク
は長波長側に移動することである。またNiイオ
ン置換量の変化とともに250nm〜350nm間でのス
ペクトラムの変化は著しいが、Kahn等の報告の
単結晶Niフエライトのスペクトラムではこの付
近のNi+2イオンの遷移は報告されておらず、非
晶質体特有のものかも知れない。また、他の著者
によつて報告されているNi,Co,Mgの各フエラ
イトのスペクトラムに比べてこのアモルフアス薄
膜は、とりわけ250〜600nm間で、曲線の変化が
著しく、Pイオンの影響に因るものと考えられ
る。このことは結晶化した試料のスペクトラムが
この波長間で極めて平坦であることからも推測さ
れる。以上の結果をまとめると FeイオンをNiイオンで置換したアモルフア
ス酸化物薄膜の2θkのスペクトラムは高波長側
に移動する傾向がある。
この薄膜の2θkのスペクトラムは単結晶Ni,
Co,Mgフエライト等のそれらと異なつてお
り、この相違はPイオンの影響であると思われ
る。
(発明の効果) 以上述べたように本発明の非晶質強磁性酸化物
薄膜ならびにその製造法はまつたく新規な磁性薄
膜であり、また新しい製造法である。さらにその
薄膜の磁気的および磁気光学的特性は従来公知の
酸化物薄膜に比べて優れた新規な特徴を有し、本
発明は工業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図本発明の実験に使用したアモルフアス酸
化物薄膜の製造装置の一例を示す図面、第2図は
NiFe2合金粉末と五酸化リンとから作製した本発
明の非晶質強磁性酸化物薄膜中の五酸化リンの含
有量と、室温における磁気飽和値との関係を示す
特性図、第3図は第2図中に示した五酸化リン含
有量の異なる種々の薄膜の垂直力−回転角
(2θk)の波長依存性を示す特性図、第4図は
NiFe2合金粉末と五酸化リンから作製した非晶質
強磁性酸化物薄膜を加熱した場合の垂直力−回転
角の波長依存性を示す特性図、第5図は鉄粉末と
P2O5とを蒸発源として作製した非晶質強磁性酸
化物薄膜の磁気飽和値およびキユリー温度のリン
含有量による変化を示す特性図、第6図はFe−
P系アモルフアス酸化物薄膜の垂直力−回転角の
依存性を示す特性図、第7図はNiFe2−P系アモ
ルフアス酸化物の垂直力−回転角の波長依存性を
示す特性図、第8図はNix−Fe(1-X)−Pアモルフ
アス酸化物薄膜の垂直力−回転角の波長依存性を
示す特性図である。 1……合金試料、2……酸化物試料、3……タ
ングステン製ボード、4……支柱、5……絶縁
体、6……ベースプレート、7……交流電源、8
……トランス、9……電流計、10……排気系、
11……遮蔽板、12……回転軸、13……ガラ
ス基板、14……生成した非晶質薄膜、15……
ベルジヤー。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 酸化第二鉄(Fe2O3)が48〜36重量%、酸化
    第一鉄(FeO)、酸化ニツケル(NiO)、酸化マン
    ガン(MnO)、酸化銅(CuO)、酸化マグネシウ
    ム(MgO)のうちから選ばれた何れか一種また
    は二種以上の酸化物が32〜16重量%、残部五酸化
    リン(P2O5))が20〜48重量%を含有し、磁気飽
    和値が60〜20emu/gであることを特徴とする非
    晶質強磁性酸化物薄膜。 2 前記の五酸化リンの組成範囲の一部である10
    重量%以下を三酸化ヒ素(As2O3)、酸化セレン
    (SeO2)、酸化テルル(TeO2)の中から選ばれた
    一種あるいは二種以上の酸化物で置換することを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載の非晶質強
    磁性酸化物薄膜。 3 鉄、ニツケル、銅、マンガン、マグネシウム
    のうち一種または二種以上の金属をA蒸発源と
    し、五酸化リンあるいはその一部を三酸化ヒ素、
    酸化セレン、酸化テルルの中から選ばれた一種あ
    るいは二種以上で置換した酸化物をB蒸発源と
    し、初期真空度を5×10-5torr以下になるように
    減圧した後、A蒸発源を1700℃から2000℃の範囲
    に、B蒸発源を300℃から700℃の温度範囲に可変
    しながら真空度を1〜10×10-3torrに維持して金
    属と酸化物を同時に蒸発させ、かつ基板上に蒸着
    させることにより非晶質強磁性酸化物薄膜を形成
    することを特徴とする非晶質強磁性酸化物薄膜の
    製造法。 4 酸化第二鉄(Fe2O3)が48〜36重量%、酸化
    第一鉄(FeO)、酸化ニツケル(NiO)、酸化マン
    ガン(MnO)、酸化銅(CuO)、酸化マグネシウ
    ム(MgO)のうちから選ばれた何れか一種また
    は二種以上の酸化物が32〜16重量%、残部五酸化
    リン(P2O5)が20〜48重量%とを含有する非晶
    質強磁性酸化物薄膜を結晶化温度以下で加熱して
    垂直力−回転角が0.6度以上に向上することを特
    徴とする特許請求の範囲第3項記載の非晶質強磁
    性酸化物薄膜の製造方法。 5 前記非晶質酸化物薄膜は、その五酸化リンの
    組成範囲の一部である10重量%以下を三酸化ヒ素
    (As2O3)、酸化セレン(SeO2)、酸化テルル
    (TeO2)の中から選ばれた一種あるいは二種以上
    の酸化物で置換したものよりなる特許請求の範囲
    第3項記載の非晶質強磁性酸化物薄膜の製造法。
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