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JPH0611902B2 - ステンレス形鋼およびその製造方法 - Google Patents
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JPH0611902B2 - ステンレス形鋼およびその製造方法 - Google Patents

ステンレス形鋼およびその製造方法

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JPH0611902B2
JPH0611902B2 JP1180073A JP18007389A JPH0611902B2 JP H0611902 B2 JPH0611902 B2 JP H0611902B2 JP 1180073 A JP1180073 A JP 1180073A JP 18007389 A JP18007389 A JP 18007389A JP H0611902 B2 JPH0611902 B2 JP H0611902B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は建築構造部材に使用されるオーステナイト系ス
テンレス形鋼の形鋼、即ち、H形鋼、山形鋼、溝形鋼や
鋼矢板等とそれらの製造方法に関する。
(従来の技術) 建築用構造部材に使用される鋼材は、建築基準法により
定められているが、その規定の中にステンレス鋼の形鋼
は入っていない。これはステンレス鋼が構造用部材とし
ての特性をもたないためというより、その価格に問題が
あり構造部材として用いるには余りに高価すぎたことに
起因しているといってよい。しかし近年の急激な地価高
騰はその上に建てられる建築物の相対的なコストを低下
させ、建築構造材料として比較的高価のものも使用され
るようになってきた。例えば、都市中心部の建築物は、
従来のコスト意識に基づく設計とは異なり、景観あるい
は機能を重んじる思想の基に設計される傾向にある。
上記のような傾向に沿う動きとして、通産省生活産業局
の諮問機関としての「景観材料研究会」や建設省の「総
合技術開発プロジェクト」等の活動がある。特に後者に
おいては、昭和61年4月にステンレス協会に設置された
「構造材設計施工基準作成小委員会」で2年6ヵ月にわ
たり調査および実験研究が行われ、景観の美しいオース
テナイト系ステンレス鋼を構造用部材として適用しよう
とする試みがなされ、オーステナイト系ステンレス形鋼
(JIS SUS304)を建築用構造部材として用いるに際して
の必要な機械的性質が明示された。その内容は0.1%耐
力が24Kgf/mm2以上、引張強さが53kgf/mm2以上、降伏比
が0.60以下、伸びが35%以上、というものである。
しかし、現在製造されているオーステナイト系ステンレ
ス鋼材は必ずしもこの機械的性質を満足しているとは限
らない。その中で特に問題視されるのはH形鋼を代表と
する圧延形鋼である。一般にオーステナイト系ステンレ
ス鋼は耐食性改善を目的として溶体化処理が行われる
が、圧延形鋼は他の板材、棒、線材のような冷間での矯
正工程を経ないため降伏点が低い。前記の0.1%耐力を
保証するには冷間加工設備を新たに導入し、溶体化処理
後に冷間加工を施して強度を上げる必要がある。しか
し、形鋼はその断面形状が複雑であるから、冷間加工は
難しくその加工設備も精緻なものが必要で、設備導入費
は膨大なものとなり実現性に乏しい。圧延形鋼を建築構
造部材に適用するためには、冷間加工設備の新設を必要
としない低コストの製造方法でその耐力をはじめとする
機械的強度を向上させることが必要である。
(発明が解決しようとする課題) オーステナイト系ステンレス鋼の耐力を向上させる手法
としえは、圧延(熱間圧延)による加工歪の導入が考え
られる。しかし、通常のオーステナイト系ステンレス鋼
では、圧延のままでは粒界の炭化物の生成を抑えること
ができず、粒界のCr欠乏層に起因する耐食性の低下を免
れない。オーステナイトステンレス鋼本来の耐食性を保
証するには、どうしても溶体化処理を行わなければなら
ず、そうすると耐力が大きく低下してしまう。溶体化処
理の後に冷間加工を施せば耐力は回復するが、形鋼の冷
間加工には大きな難点があることは前述のとおりであ
る。
本発明の課題は、オーステナイト系ステンレス鋼本来の
耐食性を備え、しかも前記の強度基準を満足する形鋼を
提供すること、およびそのような形鋼を溶体化処理を行
わず、従って、その後の冷間加工も必要とせずに製造す
る方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 前記の強度基準、特に0.1%耐力で24Kgf/mm2以上を満足
するオーステナイト系ステンレス形鋼を低コストで製造
するには、圧延のままでも充分な耐食性をもつように材
質と加工方法を工夫する必要がある。即ち、圧延のまま
で優れた耐食性をもつものであれば、溶体化処理を施す
必要がなく、従って、圧延によって得られた高強度が失
われないから、高強度化のための冷間加工が不必要にな
る。この場合、圧延条件は形鋼に前記基準を満足する強
度と溶体化材に匹敵する耐食性を与えることができるよ
うな条件を選ばなければならない。
オーステナイトステンレス鋼の耐力を向上させるにはオ
ーステナイト粒(γ粒)の細粒化をはかることが必要で
ある。また、耐食性を向上させるには粒界の炭化物の生
成を抑えCr欠乏層が形成されるのを抑制することが必要
である。本発明者らはこれらの条件を満たす加工方法を
探究し、下記のような知見を得た。即ち、 γ粒の細粒化については、850℃以上の高温仕上圧延
を行い圧延による再結晶を利用するか、あるいは圧延後
に急速加熱と短時間加熱保持を行うことにより圧延を通
じて導入された加工歪を利用し再結晶を促進することが
効果的である。
圧延のままでは粒界の炭化物の生成を抑制することは
難しい。しかし、粒界の炭化物の生成はその鋼の炭素含
有量に依存し、炭素含有量を0.03%以下に抑えることに
より圧延のままの状態でも粒界の炭化物の生成を抑制し
得る。
炭化物の生成に先立ち再結晶を先行させると粒界の炭
化物の生成が遅くなる。
以上の知見を基にしてなされた本発明は、下記の(1)〜
(4)をその要旨とする。
(1)重量%で、C:0.03%以下、Si:1.00%以下、Mn:
0.30〜2.00%、P:0.040%以下、S:0.03%以下、C
r:17〜20%、Ni:7.0〜10.5%、N:0.06〜0.14%を含
有し残部Feおよび不可避的不純物からなり、残留フェラ
イトまたはマルテンサイトの量が10%以下で、0.1%耐
力が24Kgf/mm2以上であることを特徴とする建築構造部
材用オーステナイト系ステンレス形鋼。
(2)上記(1)の成分に加えてさらに、Mo:0.05〜0.70%、
Nb:0.005〜0.080%、V:0.005〜0.15%、Cu:0.10〜
0.50%、およびTi:0.005〜0.60%、のうちの1種以上
を含有し残部Feおよび不可避的不純物からなり、残留フ
ェライトまたはマルテンサイトの合計量が10%以下で、
0.1%耐力が24Kgf/mm2以上であることを特徴とする建築
構造部材用オーステナイト系ステンレス形鋼。
(3)上記(1)または(2)記載の組成をもつ鋼を1000〜1250
℃の温度域で加熱して粗圧延を施した後、再度1000〜12
50℃の温度に加熱して熱間加工を施し、850〜1000℃以
上の温度域で所定の形状の形鋼に成形した後空冷するこ
とを特徴とする請求項(1)または(2)の建築構造部材用オ
ーステナイト系ステンレス形鋼の製造方法。
(4)上記(1)または(2)記載の組成をもつ鋼を1000〜1250
℃の温度域で加熱し、仕上温度が900℃以下になる条件
で熱間加工を施して所定の形状の形鋼に成形し、直ちに
900〜1100℃以上の温度で1〜60分の間等温保持した
後、空冷以上の冷却速度で冷却することを特徴とする請
求項(1)または(2)の建築構造部材用オーステナイト系ス
テンレス形鋼の製造方法。
本発明の形鋼は、先に述べた強度基準、即ち、0.1%耐
力が24Kgf/mm2以上、引張強さが53Kgf/mm2以上、降伏比
が0.60以下、伸びが35%以上であり、かつ溶体化材と同
等以上の耐食性を併せもつオーステナイト系ステンレス
形鋼である。そしてその用途は、建築構造部材である。
本発明の製造方法は、上記のような形鋼を、溶体化処理
や冷間加工の工程なしで製造する方法である。以下、そ
れぞれについて詳しく説明する。
(作用) 先ず、本発明の形鋼の化学組成について説明する。な
お、成分含有量についての%は重量%を意味する。
C:0.03%以下 Cはオーステナイト相を安定化させる元素であるが、鋼
中に0.03%を超えて含有されると粒界への炭化物の優先
析出を抑制することができず、熱的履歴によっては粒界
近傍にCrの欠乏層を生じ耐食性の低下が生じる。そのた
め、C含有量は0.03%以下とする。
Si:1.00%以下 Siは製鋼時の脱酸剤として必要とされるが、1.00%を超
える含有量になると延性の劣化が顕著になる。従ってSi
の含有量は1.00%以下とする。
Mn:0.30〜2.00% Mnはオーステナイト生成元素であり、かつ鋼中のSをMn
Sとして固定し熱間での加工性を改善する。そのために
は0.30%以上の含有が必要であるが、2%を超えて含有
させても効果の増大がなく材料価格の上昇を招くだけで
ある。従って、Mnの含有量は0.30〜2.00%とする。
P:0.040%以下 Pは不可避的不純物として鋼中に含まれる元素であり、
少ない方が望ましいが製造コストを加味してPの許容上
限値は0.04%とする。
S:0.03%以下 SはPと同様に不可避的不純物として鋼中に含まれる元
素であり、粒界に低融点化合物として析出して熱間加工
性を著しく低下させる。Sの含有量も低いほど好ましい
が0.03%以下とすると熱間加工性にも特に問題がなくな
るので許容上限値を0.03%とする。より望ましいのは0.
010%以下である。
Cr:17〜20% Crは耐食性を保証するためには不可欠な元素である。17
%未満では十分な耐食性が得られない。一方、20%を超
えて含有されると、後述の理由でフェライトの生成を10
%以下に抑制するために、Niの添加量を高くすることが
必要になって、製造コストを著しく高める。従って、Cr
の適正含有量は17〜20%である。
Ni:7.0〜10.5% Niはオーステナイト系ステンレス鋼を構成する基本元素
であり、かつ耐食性を向上させる元素である。そのため
には7.0%以上の含有が必要である。ただし10.5%を超
えて含有させても材料価格を上げるだけで耐食性改善効
果は飽和傾向を示すためその含有量を7.00〜10.5%とす
る。
N(窒素)は、オーステナイトの安定化元素であり、0.
06〜0.14%の含有により高価なNiを代替して鋼のオース
テナイトバランスを保つのに役立ち、残留フェライトや
マルテンサイトの量を10%以下に抑える作用をもつ。し
かし、0.14%を超える含有量になると、連続鋳造鋼片の
表面割れが増加し、歩留り低下による製造コストの上昇
を招く。Nが0.06%未満では、オーステナイトバランス
を適正に保つのに必要なNi量が増えて、やはりコスト上
昇になる。
以上の成分の外、残部はFeおよび不可避の不純物から成
るのが前記(1)の形鋼である。これに対し、さらに高靱
性あるいは高強度を要求される場合には、次にのべる含
有量の範囲でMo、Nb、V,Cu、Tiのうち1種または2種
以上を含有させることができる。
Mo:0.05〜0.70% Moは強度を高めるのに有効な元素であり、この効果を期
待する場合は0.05%以上含有させる必要がる。しかしそ
の含有量が0.70%を超えると過量のフェライトが生じる
場合があるから、上限は0.70%までとするのがよい。
Nb0.005%〜0.080% Nbは強度を上昇させる元素である。そのためには0.005
%以上含有させる必要があるが、0.080%を超えるとオ
ーステナイト粒の再結晶を抑制する作用が顕れ、再結晶
を促進してオーステナイト粒の細粒化をはかることによ
り高強度化しようとする本発明の目的に反する。
V:0.005〜0.15% VはNbと同様に強度を上昇させる元素である。そのため
には0.005%以上の含有が必要であるが、0.15%を超え
てもその効果の増大がなく、材料価格の上昇を招くだけ
であるから0.005〜0.15%が適当である。
Cu0.10〜0.50% Cuは高温強度を向上させかつ耐食性を改善するのに有効
な元素であるが、そのためには0.10%以上含有させる必
要がある。しかし、0.5%を超えると圧延の際の表面割
れが増大し、また、溶接割れを助長する傾向がある。
Ti:0.002〜0.60% TiはV,Nbと同様に強度を上昇させる元素である。その
ためには0.002%以上の含有が必要であるが0.60%を超
えると母剤の靱性を損なうので、0.002〜0.60%が適正
含有量である。
次に、本発明形鋼の金属学的組織について述べる。本発
明の形鋼のオーステナイト系ステンレス鋼からなるもの
である。従って、その組織は完全オーステナイトである
ことを原則とするが、体積%で10%以下のフェライト、
またはマルテンサイトを含んでいても差し支えない。
残留フェライトとマルテンサイトの生成量は、鋼の化学
組成と製造条件(本発明方法の場合は、圧延中および圧
延後の冷却条件、および再加熱を行う場合はその条件)
に依存する。残留フェライトやマルテンサイトが存在す
れば、製品形鋼の強度が高くなるが、一方では延性を低
下させる。これらの量が体積で10%を超える場合、延性
の低下が顕著になり、特に溶接部周辺の応力集中部で割
れが発生しやすく、構造用部材としては不適当である。
化学組成上、残留フェライトまたはマルテンサイトを10
%以下に抑えるのに望ましい条件は、 Ni当量(Nieq)≧0.9×Cr当量(Creq)−7.2…(a) Ni当量(Nieq)≧-0.8×Cr当量(Creq)+25…(b) の両式を満足することである。(a)式は残留フェライト
を10%以下にするための条件、(b)式はマルテンサイト
の生成を10%以下にする条件である。
但し、 Nieq=Ni%+30×C%+30×N%+0.5×Mn% Creq=Cr%+Mo%+1.5×Si%+0.5×Nb% である。
以下、本発明の形鋼の製造方法について説明する。
第1図および第2図は、本発明の形鋼の製造方法におけ
るヒートパターンの説明図である。
先ず、第1図によって説明する。
先にも述べたように、850℃以上の高温仕上圧延を行い
圧延による再結晶を利用すると、溶体化処理材に比しγ
粒が細粒化され耐力が向上する。しかし、一般に形鋼の
圧延は複雑なパススケジュールとなるため850℃以上の
高温の仕上げ温度を確保することは困難である。そこ
で、第1図の方法では、粗圧延後再加熱する方法を採用
する。
第1図において、粗圧延の前の加熱(a)は1000〜1250℃
で行う。この温度は1000℃以上としておかないとNb、V
などの炭窒化物の固溶が図れないため、これらの析出強
化を利用することができなくなる。一方、Nb、Vなどの
合金成分を含まない成分系でも、オーステナイト系ステ
ンレス鋼は熱間変形抵抗が高いため、1000℃以上の温度
に加熱しておかないと所定の形状に成形加工することが
できない。但し1250℃を超える温度で加熱すると圧延初
期γ粒の粗大化につながり、圧延による再結晶を利用す
る細粒化の効果が小さくなる。
粗圧延(b)は、鋳造組織を解消するのが主目的であるか
ら、50%以上の加工率とするのが望ましい。この粗圧延
の下限温度には特に制約はないが、ミル負荷の点から60
0℃程度の温度までにするのが好ましい。
粗圧延の後は、1000〜1250℃の温度域に再加熱する
(c)。この温度域を選ぶ理由は前記の粗圧延前の加熱温
度の選定理由と同じである。
再加熱した後、仕上圧延を行って所定製品形状の形鋼と
する(d)。このとき仕上温度(仕上圧延の終了温度)を8
50℃以上とすることが重要である。本発明方法は、圧延
による再結晶を活用することによるγ粒の細粒化をはか
り、強度の向上を狙うものである。このようなオーステ
ナイト系ステンレス鋼の再結晶温度域は、炭素鋼に比較
し高温側に存在するが、その加工量と加工における歪速
度に依存して変化する。しかし、形鋼の圧延プロセスの
加工条件においては、その再結晶の出現する温度域は75
0℃以上である。一方、再結晶により細粒化がはかられ
て強度が上昇しても、粒界に炭化物が生じてCrの欠乏層
に起因する耐食性の低下を招いては意味がない。圧延後
の冷却過程では炭化物の析出は一般に促進されるが、本
発明の対象とするオーステナイト系ステンレス鋼におい
ては850℃付近が析出ノーズとなるため、この温度より
低い温度で仕上げ圧延を行うと炭化物の生成を回避する
ことはできない。以上の理由で、圧延による再結晶が期
待でき、かつ圧延中少なくとも炭化物を生じさせないた
めに、850℃以上の温度域で仕上圧延を行う必要があ
る。ただし、仕上圧延の温度が1000℃を超えると結晶粒
の成長が甚だしくなるので、上限を1000℃までとする。
仕上圧延の後は、炭化物の析出を抑えるために空冷する
(e)。空冷よりも早い条件で冷却すると、加工されたγ
粒の再結晶が遅れるため加工組織が残ることがあり、機
械的性質の等方性が損なわれる。一方、炉冷のような遅
い冷却では再結晶はよく進行するが、粒界での炭化物析
出によるCr欠乏層の形成が著しく、耐食性に問題が生じ
る。
第2図は、圧延の後に再加熱して等温保持する本発明の
もう一つのヒートパターンである。
圧延の前の加熱(a)の温度は、前記と同じ理由で1000〜1
250℃とする。
この場合は、圧延(f)は粗圧延から仕上圧延まで一回の
加熱で(再加熱を行うことなく)行う。圧延仕上温度は
900℃以下とする。
第2図の方法は、圧延により導入された加工歪を利用
し、再結晶の生じる温度域に短時間加熱し、再結晶を促
進するのが特徴である。そのためには、900℃以下のオ
ーステナイトの未再結晶域で熱間加工する必要がある。
仕上温度が低い程蓄積エネルギーが大きくなるため、再
結晶に対する駆動力が大きくなりより効果的であるが、
圧延機の負荷も大きくなるからこれらを勘案して仕上温
度を決定する必要がある。実操業上、適正な仕上温度は
600〜900℃であり、最も効果的なのは800℃前後で仕上
げることである。
圧延終了後は直ちに900〜1100℃の温度に加熱して1〜6
0分の間等温保持する(g). 圧延後の等温保持の目的は、等温保持することにより静
的再結晶を生じさせてγ粒の細粒化をはかることにあ
る。この静的再結晶を生じさせるためには900℃以上の
温度に保持する必要があり、かつその温度で少なくとも
1分以上保持する必要がある。保持時間が長いほど再結
晶は進むが、60分までの保持で必要適度の再結晶が得ら
れ、これ以上の保持は生産性の低下と無用の粒生長を招
くことになるから、保持時間は1〜60分が適当である。
また、1100℃を超える温度での保持は、無用の粒成長を
招くので好ましくない。なお、等温保持というのは、必
ずしも厳格に一定温度で保持することを意味しない。上
記の温度範囲内であれば、ある程度の温度の変動があっ
ても差し支えはない。
上記の等温保持の後は、空冷以上の冷却速度で冷却す
る。空冷よりも遅い速度では炭化物生成による耐食性の
劣化が起こるのは、先に述べたとおりである。ただし、
この第2図の方法の場合は、等温保持の間に再結晶がほ
ぼ完了するため、その後の冷却速度が空冷以上の早くて
も機械的性質の等方性を損なうような懸念はない。
(実施例) 第1表に示す組成のオーステナイトステンレス鋼を用い
てH形鋼を製造した。第1表中の鋼種A〜Hが本発明で
定める組成範囲の鋼であり、比較鋼のI〜Lは窒素
(N)含有量が、Mは炭素(C)含有量、Nは炭素と窒
素の含有量が、それぞれ本発明の範囲から外れるもので
ある。
第2表に製造条件を示す。試験番号の1〜8が本発明方
法の例で、その中2〜4が第2図のヒートパターンの1
回の加熱で仕上圧延まで行ったものである。比較例の9
〜18は、素材の組成または製造条件が本発明の範囲をは
ずれる例である。
第2表中の粗圧延の形状と仕上圧延の形状を第3図およ
び第4図に示す。これらの図中の記号(イ、ロ、ハ、
ニ)が第2表の同じ記号に対応する。
第3表は、第2表の条件で製造されたH形鋼の機械的性
質と耐食性試験結果を示したものである機械的性質は、
母材の0.1%耐力、引張強度(TS)、降伏比〔YR=(0.1
%耐力/引張強度)×100〕、伸び(EL)、および曲
げ試験で評価した。曲げ試験はTIG溶接をした継手部の1
80度曲げによって評価した。○印は180度まげでも割れ
を生じなかったもの、×印は180度曲げで熱影響部に割
れを生じたものを示す。
耐食性は下記およびの試験によって評価した。
粒界腐食評価試験(硫酸−硫酸銅腐蝕試験、JIS G 05
75、75時間) 隙間腐食試験(中央にボルト締め用の4mmの孔を有
する3t×30w×50(mm)の研磨試験片を3mmのテ
フロンボルトで締めて、60℃、800ppmCl−含有水環境
で10日試験) ここで耐食性の評価は、母材部と被覆アーク溶接を行っ
た継手部の双方について行った。
第3表の結果をみれば、本発明の条件を満足する試験番
号の1〜8は、いずれも機械的性質が目標性能を満足し
ており、しかも母材および溶接継手部とも耐食性も充分
である。
一方、SUS 304の成分規格は満足しているが、本発明の
成分範囲からはずれ、かつ本発明の製造条件からはずれ
ている試験番号9〜14のものは、目標性能を満足できな
い結果となっている。特に、750℃という低温仕上げで
あるため圧延による得られた組織は加工歪を内在したも
のとなっておりYRを60%以下に抑えることが困難となっ
ている。また低温仕上げであるため圧延後の炭化物の生
成を抑制することができず、隙間腐食の発生が生じ、本
来のオーステナイト系ステンレス鋼の耐食性を確保でき
ていない。
試験番号15〜18は本発明の組成範囲にある鋼を用いて本
発明の製造方法から外れた条件で製造した例である。仕
上温度が低すぎる例(試験番号16)あるいはそれを再加
熱して等温保持をするにしても保持温度が低すぎたり
(試験番号18)、保持温度が本発明法に対応する温度で
あっても保持時間が短すぎたり(試験番号17)すると、
機械的性質の目標値が必ずしも満足されない。
曲げ試験では、フェライトあるいはマルテンサイト量が
12%(体積%)になった試験番号9のみが割れを呈し
た。これは、窒素(N)の含有量が低くNi当量(Nieq)
の小さい鋼(第1表のI鋼)を用いたからである。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明のオーステナイト系ステン
レス形鋼は、建築構造部材として実用化するに十分な機
械的性質と耐食性を備えている。そして、本発明の製造
方法によれば、熱間圧延工程だけで安価に上記の形鋼が
製造できる。
本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼の圧延形鋼の
普及に大きく寄与する発明である。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、本発明の形鋼製造方法のヒート
パターン図である。 第3図および第4図は、実施例におけるH形鋼製造の際
の粗圧延形状と仕上圧延形状を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.03%以下、Si:1.00%以
    下、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%以下、S:0.03%
    以下、Cr:17〜20%、Ni:7.0〜10.5%、N:0.06〜0.1
    4%を含有し残部Feおよび不可避的不純物からなり、残
    留フェライトまたはマルテンサイトの量が10%以下で、
    0.1%耐力が24Kgf/mm2以上であることを特徴とする建築
    構造部材用オーステナイト系ステンレス形鋼。
  2. 【請求項2】重量%で、C:0.03%以下、Si:1.00%以
    下、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%以下、S:0.03%
    以下、Cr:17〜20%、Ni:7.0〜10.5%、N:0.06〜0.1
    4%と、さらに、Mo:0.05〜0.70%、Nb:0.005〜0.080
    %、V:0.005〜0.15%、Cu:0.10〜0.50%、およびT
    i:0.005〜0.60%、のうちの1種以上を含有し残部Feお
    よび不可避的不純物からなり、残留フェライトまたはマ
    ルテンサイトの量が10%以下で、0.1%耐力が24Kgf/mm2
    以上であることを特徴とする建築構造部材用オーステナ
    イト系ステンレス形鋼。
  3. 【請求項3】請求項(1)または(2)記載の組成をもつ鋼を
    1000〜1250℃の温度域で加熱して粗圧延を施した後、再
    度1000〜1250℃の温度に加熱して熱間加工を施し、850
    〜1000℃の温度域で所定の形状の形鋼に成形した後空冷
    することを特徴とする請求項(1)または(2)の建築構造部
    材用オーステナイト系ステンレス形鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項(1)または(2)記載の組成をもつ鋼を
    1000〜1250℃の温度域で加熱し、仕上温度が900℃以下
    になる条件で熱間加工を施して所定の形状の形鋼に成形
    し、直ちに900〜1100℃の温度で1〜60分の間等温保持
    して空冷以上の冷却速度で冷却することを特徴とする請
    求項(1)または(2)の建築構造部材用オーステナイト系ス
    テンレス形鋼の製造方法。
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