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JPH0641629B2 - スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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JPH0641629B2 - スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents

スパッタリングターゲットおよびその製造方法

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JPH0641629B2
JPH0641629B2 JP3-508781A JP50878191A JPH0641629B2 JP H0641629 B2 JPH0641629 B2 JP H0641629B2 JP 50878191 A JP50878191 A JP 50878191A JP H0641629 B2 JPH0641629 B2 JP H0641629B2
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尚 山野辺
光雄 河合
透 小松
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、スパッタリングターゲットとその製造方法に
関するものであり、特に半導体装置の電極、配線材料の
薄膜形成に用いられる高密度及び高品質のスパッタリン
グターゲットとその製造方法に関する。
背景技術 半導体装置の電極あるいは配線用の高隔点金属シリサイ
ド薄膜の形成に有効なひとつの方法としてスパッタリン
グ法がある。スパッタリング法は、量産性と成膜の安全
性に優れており、金属シリサイド型の円盤状ターゲット
にアルゴンイオンを衝突させてターゲット構成金属を放
出させ、この放出金属を、ターゲット板に対向した基板
上に薄膜として堆積させる方法である。したがって、ス
パッタリングで形成したシリサイド薄膜の性質は、ター
ゲットの特性に大きく左右されることになる。
この高隔点金属シリサイド薄膜の形成に用いられている
スパッタリングターゲットには、半導体素子の高集積化
および微細化によって、パーティクル(微細な粒子)発
生量の低減が強く要求されている。これはスパッタリン
グ中にターゲットから発生した0.2〜10μm前後の
非常に微細なパーティクルが堆積中の薄膜に混入し、こ
れが回路の形成後、配線間のショートや配線のオープン
不良などの不具合を招き、その結果、製品歩留りが大幅
に低下するなど深刻な問題となっているためである。
従来、ターゲットから発生するパーティクル量を低減す
る目的で、ターゲットの組織を微細化し、かつ高密度化
する方法として、下記に示すような製造方法が各種提案
されている。
例えば、特開昭61−179534号公報では、高隔点
金属(M)成分とSi成分よりなる仮焼結体に溶融Si
を含浸させる方法によって高密度ターゲットを得ること
が開示されている。その場合、Siの連続マトリックス
中に、球状あるいは楕円状で粒径5〜500μmのMS
が分散した組織となり、炭素や酸素の不純物含有量
は50ppm以下となっている。
一方、特開昭63−219580号公報では、高隔点金
属(M)とSiの混合粉末を高真空中でシリサイド反応
させて仮焼結体を形成後、熱問静水圧プレス焼結する方
法によって高密度ターゲットを得ることが開示されてい
る。その場合、MSiの最大粒径が20μm以下、遊
離Siの最大粒径が50μm以下の微細構造となってい
る。このターゲットは、微細なMSi粒子と遊離Si
粒子とが相互に分散した混合組織を有し、酸素含有量が
200ppm以下に設定されている。このターゲットに
よれば酸素含有量が低く抑制されているため、成膜のシ
ート抵抗値を低減することが可能となる。
さらに、特開昭63−179061号公報あるいは特開
昭64−39374号公報では、高隔点金属(M)とS
iの混合粉末を高真空中でシリサイド反応させて焼結体
を形成後、それを粉砕し、組成調整用シリサイド粉末を
加えてホットプレス焼結する方法によって高密度でSi
の凝集を抑制したターゲットを得ている。
しかしながら、仮焼結体に溶融Siを含浸させる方法の
場合は、溶融Siを用いるために炭素や酸素などの不純
物含有量は大幅に低下して高密度のターゲットが得られ
るが、仮焼結体に含浸させたSiが連続的に存在してマ
トリックスを形成することと、仮焼結体中に存在する大
きな空孔にSiが含浸して粗大なSi部分を形成するた
め、スパッタ中に発生する熱応力により、金属珪化物に
比べて強度的に弱いSiが破損し、しかもSiが連続的
に存在しているためにターゲット全体としての強度が未
だ不充分であり、その結果、金属珪化物が脱落し、パー
ティクルが非常に多く発生するということを本発明者ら
が発見した。
また、粉砕したSi粉末を用いて仮焼結体を形成した
後、仮焼結体を粉砕せずにそのままプレス焼結させる方
法の場合、微細な組織で高密度のターゲットが得られる
ものの、Siの粉砕工程で混入汚染した炭素が除去され
ずにターゲット中に残存するため、スパッタ中に炭素の
多い部分において、スパッタ粒子が充分に飛散せずにパ
ーティクルの発生を誘起することと、膜中に取り込まれ
た炭素の部分はエッチング性が悪く、エッチング残渣や
配線の断線を引き起こすという問題があることを本発明
者らが発見した。
さらに、粉砕したSi粉末を用いて焼結体を形成した
後、焼結体を粉砕して組成調製用のシリサイド粉末を加
えてホットプレス焼結させる方法の場合、微細組織で高
密度のターゲットが得られるが、2つの粉砕工程によ
り、炭素による原料の汚染量が増加すると共に原料中に
混入する酸素量も増加してパーティクルの発生量が多く
なり、膜中に取り込まれた酸素で抵抗が増大するという
問題があることも本発明者らが発見した。
一方、密度比が99%以上となる高密度のターゲットの
場合においても、ある種の不純物の影響によってパーテ
ィクルの発生量が増加したり、成膜のエッチング処理に
よって配線パターンを形成する際に、不良品が急増する
ことが本発明者らの実験により確認されている。
従来、この種のスパッタリングターゲットとしては、形
成するシリサイド膜の組成の制御が容易である点に着目
して、粉末焼成法で製造されたものが一般的に使用され
ている。すなわち従来の金属シリサイド製ターゲット
は、タングステン,モリブデン等の金属粉(M)とシリ
コン粉(Si)とを反応合成して得た金属珪化物(以下
MSiと記す)をSiとともにホットプレスあるいは
熱間静水圧プレスする方法(特開昭61−141673
号公報、特開昭61−141674号公報、特開昭61
−178474号公報等)、またはシリサイド仮焼結体
にSiを含浸させる方法(特開昭61−58866号公
報等)により得られている。
しかし、上記の従来の方法のうち、前者の方法の場合に
あっては、合成MSi粉末にSi粉末を加えて焼結体
を製造するため、例えば組成MSi2.2〜MSi2.9の焼結体で
はSi相の占容積率は8%〜25%の範囲となり、MS
相と比較して非常に少なくなる。従って、粉砕によ
り得られた角張ったMSi粒子の周囲にくまなくSi
相を行き渡らさせるのは、加圧焼結に拠ったとしても必
ずしも容易でない。そのため、大きさの異なる角張った
MSi同士の凝集部、局所的なSi相の存在など、欠
陥のある不均一な組織を有するターゲットとなる。
一方MSi相の融点は金属Mの種類によって大きく異
なる。例えばWSi,MoSi,TiSi,Ta
Siの融点はそれぞれ2165℃,2030℃,15
40℃,2200℃である。このような融点が大きく異
なるMSi相と、融点が1414℃のSi相とを共晶
温度以下で加圧焼結するため、熱的に安定なMSi
粒子間では焼結は進まず、このため粒子間の結合強度は
弱くて破壊し易く、ポアが残存して緻密化が不十分とな
る。
このようなターゲットを用い、スパッタリングによりシ
リサイド膜を形成した場合、スパッタ時のArイオンの
照射エネルギーにより粒子間の結合が切れ、ターゲット
のスパッタ面から前記欠陥部を起点として破壊、欠落し
てパーティクルが発生する。
特に高密度集積回路等において、その集積度が4Meg
aから16Megaと上昇するに従って電極幅や配線間
隔は微細化するため、上記のような堆積膜中に混入する
パーティクルは製品歩留りを急激に低下させることにな
る。
一方、前述した後者の従来方法の場合においては、所定
密度に制御したシリサイド仮焼結体に溶融Siを含浸さ
せてターゲットの組成を制御している。しかしながら、
M粉末とSi粉末とのシリサイド反応によりMSi
合成して所定密度の仮焼結体を製作したり、あるいはM
Si粉末を用いて、そのプレス成形体の焼結により所
定密度の仮焼結体を作成する場合、処理温度や時間、プ
レス圧力によって密度が異なるので、目標組成のターゲ
ットを得ることは非常に困難である。
さらに本発明者らの知見によれば、原料粉末のMSi
とSiとしては一般に高純度品を用いるため、ターゲッ
トのMSi相とSi相の境界に不純物が拡散して集ま
ることがなく、そのためMSi相とSi相およびMS
相同士の界面結合強度は弱い状態にある。
しかも、MSi相とSi相との電気抵抗差が極めて大
きいため、スパッタリング操作が不安定になるという問
題もある。すなわちMSi相としてのWSi,MoS
,TiSi,TaSiの電気抵抗はそれぞれ7
0,100,16,45μΩ・cmと小さい一方で、Si
相のそれは2.3×1010μΩ・cmと極めて大きい。
そのうえMSi相とSi相の境界には界面層も存在し
ないので、境界部では電気抵抗は急激に変化する。特に
後者の方法によって製造したターゲットの組織は、高抵
抗のSi相と低抵抗のMSi相が直に接した状態とな
る。
したがって、このようなターゲットを用いてスパッタし
た場合、ある電圧以上でMSi相とSi相の絶縁破壊
が不可避的に生じ、急激に電流が流れるようになる。つ
まり、ある一定以上の電圧になると放電が発生すること
により、界面強度の弱いMSi粒子あるいはSi相の
一部分が脱落してパーティクルとなって発生するもので
ある。
本発明は上述した点を考慮してなされたものであり、パ
ーティクルの発生を実質的に防止でき、良質の薄膜を形
成できる高品質のスパッタリングターゲットならびにそ
の製造方法を提供することを目的とする。
発明の開示 本発明に係るスパッタリングターゲットは、金属珪素化
物(化学量論組成がMSi、但しMは金属)が連鎖状
に結合して金属珪化物相が形成され、珪素粒子が結合し
て形成された珪素相が上記金属珪素化物相の間隙に不連
続に存在する微細な混合組織を有し、炭素含有量が10
0ppm以下であることを特徴とする。
さらに、混合組織断面1mm2内に粒径0.5〜30μm
の金属珪化物が400〜400×10個存在し、Si
の最大粒径が30μm以下である。
また金属珪化物の平均粒径は2〜15μmである一方、
珪素の平均粒径は2〜10μmである。
ここでいう粒径とは、粒子に外接する最少円の直径であ
る。
さらにターゲットの密度比は99%以上であり、酸素の
含有量は150ppm以下に設定される。
また、金属珪化物の金属(M)は、タングステン,モリ
ブデン,チタン,ジルコニウム,ハフニウム,ニオブ,
タンタル,バナジウム,コバルト,クロムおよびニッケ
ルから成る群より選択された少なくとも一種である。
また金属珪素化物と珪素相との境界に界面層を形成する
とよい。この場合において、界面層の厚さは100〜1
0000Åに設定するとよい。
また、珪素相がホウ素,リン,アンチモンおよびヒ素か
ら成る群より選ばれた元素を少なくとも1種と不可避的
元素を含有し、かつ電気抵抗率が0.01〜100Ω・
cmである。
さらに、本発明に係るスパッタリングターゲットの製造
方法は、金属珪化物(化学量論組成がMSi、但しM
は金属)が連鎖状に結合して金属珪化物相が形成され、
珪素粒子が結合した珪素相が上記金属珪化物相の間隙に
不連続に存在する微細な混合組織を有し、炭素含有量が
100ppm以下であるスパッタリングターゲットの製
造方法であって、 I.金属粉末(M)と珪素粉末(Si)とをSi/M原
子比で2.0〜4.0になるように混合して混合粉末を
調製する工程、 II.前記混合粉末を成形用型に充填し、高真空中で低温
加熱して炭素および酸素を低減する工程、 III.高真空中、低プレス圧力下にて混合粉末を加熱し
て金属珪化物の合成と焼結をする工程、および、 IV.高真空中あるいは不活性ガス雰囲気中、高プレス圧
力下にて共晶温度直下の温度に加熱して緻密化する工
程、とを具備する。
また金属粉末(M)として最大粒径10μm以下の高純
度金属粉末を使用するとともに、珪素粉末(Si)とし
て最大粒径30μm以下の高純度珪素粉末を使用すると
よい。
また金属粉末とシリコン粉末との混合粉末を反応溶融焼
結させ、シリサイド合成、焼結および緻密化を同時に行
なうことを特徴とする。
さらに上記反応溶融焼結はホットプレス法または熱間静
水圧プレス法を用いて実施するとよい。
本発明者らは、焼結合金製の金属シリサイドターゲット
のパーティクル発生原因を多方面から分析し、その分析
結果から得た知見に基づいて本願発明を完成させた。つ
まり、従来、粉末焼結法で製造した高融点金属シリサイ
ドターゲットのパーティクルは、ターゲット中に存在す
るポア(空孔)部分に異常放電が発生し、そのためポア
の周辺部分が欠損してパーティクルが誘起されるもので
あるとの判断から、ポアをなるべく少なくするために、
ターゲットの密度を上げる数々の工夫が前記のようにな
されてきている。
しかし、本発明者らは、高融点金属シリサイドターゲッ
トのパーティクル発生源を鋭意検討した結果、ポアに起
因するパーティクル以外に、熱応力の作用によるエロー
ジョンSi部の欠落、MSi相とSi相との間におけ
るスパッタレート差によるMSi相の脱落であること
を発見した。すなわち、高速のArイオンが連続的に照
射されて昇温しているターゲット表面をその裏面から冷
却しているため、ターゲット表面には肉厚方向の温度差
やターゲットの熱変形によって発生した熱応力が作用
し、その結果、MSi相に比べて強度的に弱いSi相
が破壊され、その脱落片がパーティクルとなる。特にS
i相のエロージョン面は、平滑な面を呈しているMSi
相に比べて凹凸状態が激しく、突出部分が熱応力ある
いはスパッタサイクルで生ずる変動応力の作用によって
欠落し、パーティクルが発生し易い状態になっている。
また、MSi相に比べてSi相がスパッタリングによ
り優先的にエロージョンされるため、連続したSi相に
MSi相が存在した場合、Si相のエロージョンに伴
いMSi相の拘束力が低下し、単独あるいは複数個結
合したMSi相が脱落してパーティクルとなる。
したがって、破壊し易いSi相を微細化すると共に、微
細なMSiが連鎖状に結合してその間隙にSiが不連
続に存在する混合組織にすれば、熱応力の作用によるエ
ロージョンSi部の欠落やMSi相とSi相のスパッ
タレート差によるMSi相の脱落で発生するパーティ
クルを実質的に抑制することができることを本発明者ら
は見出した。
また、本発明者らは、他のパーティクル発生源として、
ターゲット中に混入した炭素に着目した。すなわち、ス
パッタリング操作後において、ターゲットのエロージョ
ン面を拡大観察したところ、炭素によって汚染した部分
は良好に飛散せずにエロージョン面に突起状に残存し、
その結果、その部分でプラズマ放電が不安定となり、異
常な放電を繰り返してパーティクルの発生を引き起こす
ことを発見した。
また本発明者らはターゲットに含有される炭素量の多少
が、スパッタリングによって形成したシリサイド薄膜の
エッチング性にも大きく影響することを実験により確認
した。すなわち炭素はSi成分と化合して電気絶縁性が
高いSiCを生成し易い。このSiCの生成および成膜
への混入は、成膜のエッチング性を急激に低下せしめ
る。すなわち薄膜を形成した基板をエッチングして集積
回路(IC)の回路パターンを形成するために、フォト
レジストを塗布した基板に露光装置で回路パターンを焼
き付け所定の薬品で現像処理する際に、SiCが残渣と
して残る割合が増加する。その結果、回路パターンの不
良および回路の断線が急増してしまう。
またシリサイド膜中にパーティクルとして混入した炭素
皮膜は、他の領域と比較して光反射率が異なり露光を受
け易い。そのため膜表面に光反射率が局部的に異なる領
域が形成されるため、均一で高精度な回路パターンを形
成することが困難になる。
さらに本発明者らは、他のパーティクル発生源として、
MSi相およびSi相に生じる隆起部に着目した。す
なわち従来製法によって製造した金属シリサイドターゲ
ットのエロージョン面を走査型電子顕微鏡(SEM)で
拡大観察したことろ、第11A〜11B図および第12
A〜12B図に示されるように粗大なMSi相および
Si相には、微小な隆起部3が多数存在することが判明
し、この隆起部3と発生するパーティクルの間に密接な
関係があることを発見した。
また、更に検討したところ、この隆起部はターゲットの
MSi相とSi相の粒径を小さくすることによって減
少し、特にMSi相の最大粒径を10μm以下、Si
相の最大粒径を20μm以下にすることにより、パーテ
ィクルの発生を実質的に抑制できることを見出した。
また、本発明者らは、微細な組織を有し、炭素含有量が
少なく、かつ高密度のターゲットを得るために鋭意研究
を進めた結果、微細なM粉末とSi粉末との混合粉末を
成形用型内に充填し、これを高真空中で加熱保持した
後、低プレス圧力下にてシリサイド反応させて金属珪化
物を合成し、次に高プレス圧力下にて焼結することによ
り、Si揮散が顕著になる1300℃より低い温度でS
i表面の炭素と酸素が反応し、COまたはCO状態に
なり炭素および酸素の含有量が減少すること、Si表面
の酸素がSiOまたはSiOにガス化して酸素の含有
量が減少すること、金属(M)が全て微細MSi化す
ること、微細MSiが連鎖状に結合してその間隙にS
iが不連続に存在する混合組織が得られること、共晶温
度直下の温度でポアの消失と緻密化が促進することを見
出し、本発明を完成させた。
さらにMSi相とSi相との境界面にホウ素(B),
リン(P),アンチモン(Sb)およびヒ素(As)か
ら成る群より選ばれた元素を少なくとも1種と不可避的
元素を含有した界面層を設け、相同士の結合力を強化す
るとともに電気抵抗の急激な変化を阻止することによっ
てもパーティクルの低減が実現できることを見い出し
た。
ここでターゲットの構成成分となる金属(M)として
は、モリブデン(Mo),タングステン(W),チタン
(Ti),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(H
f),ニオブ(Nb)タンタル(Ta),バナジウム
(V),コバルト(Co),クロム(Cr)およびニッ
ケル(Ni)等の、比抵抗の小さい金属シリサイド薄膜
の形成が可能な金属が単独または2種以上併用して使用
されるが、特に、Mo,W,Ti,Zr,Hf,Nbお
よびTa等の高融点金属が好ましい。
これらの金属は従来の電極配線材と比較して、比抵抗が
小さく、高温における耐腐食性が高いため、そのシリサ
イドを半導体の電極配線に用いると、半導体装置におけ
る演算の高速化が可能となり、また半導体製造時におけ
る薬品による腐食や高温処理による酸化を受けにくいと
いう利点を有する。
本発明に係るスパッタリングターゲットは、原料粉末の
粒径、加熱温度、プレス圧力の三要素を制御することに
より、混合組織断面1mm2内に粒径0.5〜30μmの
MSi相が400〜400×10個均一に存在する
混合組織となり、また、平均粒径2〜15μmのMSi
相と平均粒径2〜10μmの珪素相とが分散した微細
組織となる。
またSi原料中に含有されるB,P,Sb,Asおよび
不可避的元素であるFe,Ni,Cr,Alなどの元素
がシリサイド合成時にMSi相とSi相の境界に拡散
移動して界面層を形成し、両者の界面結合力を強化す
る。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものである。
以下、本発明の構成をさらに詳細に説明する。
MとSiの混合粉末に適当な圧力を加えて加熱すると、
Siは軟化するとともにMと反応して粒状のMSi
形成するため、MとSiが接した部分では、MSi
生成熱により局所的に昇温して一層軟化する。そのため
MSi粒子の表面および周囲にMSi化した粒子が
凝集し、粒状のMSiが連鎖状に結合した形態とな
る。このMSiが単独で素材すると、スパッタの進行
に伴いスパッタレートの大きなSiが優先的にエロージ
ョンされ、MSiが脱落し易くなるため、MSi
連鎖状に結合していることが好ましい。
また、このMSi相の粒径が30μmを越えると、ス
パッタ中にMSi相上に隆起物が形成されパーティク
ル発生し、一方その粒径が0.5μm未満の場合、スパ
ッタ中にMSi相がSi相から容易に脱落してやはり
パーティクル発生の原因となるため、MSi相の粒径
は0.5〜30μmであることが好ましい。さらに好ま
しい範囲は2〜20μmである。
また、組成MSiのX値が2.0<X<4.0でMS
の粒径が0.5〜30μmを満たすならば、混合組
織断面1mm2内にMSiが400〜400×10
存在することが好ましい。さらに粒径が2〜20μmで
あるならば1mm2内にMSiが2,000〜300,
000個存在することが好ましい。
また、MSiの大きさは、金属珪化物を形成する金属
粒子の粒径に依存するが、ほとんどのM粒子は凝集状態
で存在しているため、粒径の異なるMSiが形成され
る。粒径のばらつきが大きくなると、スパッタリングに
伴いエロージョン面の凹凸が激しくなり、その段差の影
響によりパーティクルの発生量が増加するため、なるべ
く粒径をそろえる必要があり、MSi相の平均粒径は
2〜15μmであることが好ましい。さらに好ましい範
囲は5〜10μmである。
ここでいう平均粒径とは、金属珪化物100個当たりの
平均粒径を表す。
また、連鎖状に結合する各MSi粒子の形状として
は、近似的に球状であることが理想的である。この理由
は、球状の方がSi相との混合組織中から脱落しにく
く、角張った部分がある粒子では異常放電によりパーテ
ィクルが発生し易くなるためである。この観点から、イ
オン交換法で精製して得られたM粒子は、その還元工程
で凝集し易く、M粒子同士の合体で生じたMSi粒子
は凸凹が多いので、凝集が起こりにくい還元条件で処理
するか、または粉末の混合時に分散剤を添加して凝集を
抑制する必要がある。または、粒子の分散性が良好な化
学的気相成長法で製造したM粒子を用いることも好まし
い。
ここで化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition
method(以下CVDと略記する。))は、ハロゲン化
物、硫化物、水素化物などの原料を高温中で気相状態と
し、さらに熱分解、酸化、還元などの化学反応せしめた
後に、反応生成物を基板上に沈着させる方法であり、半
導体や絶縁膜を形成する方法として広い分野で使用され
ている。
一方、SiはM粒子と反応してMSiを形成しつつ、
過剰なSiはMSi粒子の周囲に強制的に流動される
ため、連鎖状に結合したMSiの間隙にSiが不連続
に存在する形態となる。
このSiが連続的に存在すると、スパッタリングの進行
に伴いSiがMSiより優先的にエロージョンされて
粒子の脱落を招くとともに、スパッタ中にターゲットに
発生する熱応力の作用により機械強度が低く、熱衝撃に
弱いSi部分が破損し易いため、強度向上によるパーテ
ィクルの抑制にはSiがMSiの間隙に存在し、かつ
不連続に存在することが好ましい。
また、Siの粒径が30μmを越えると、熱応力の作用
によってSiエロージョン部の欠落が発生し、しかもス
パッタ中にSi相上に隆起物が形成されパーティクルが
発生し易いため、Siの最大粒径は30μm以下が好ま
しく、さらに好ましくは20μm以下である。
さらに、Si粒径のばらつきが大きくなると、粒径の大
きな部分に応力が集中し、熱応力の繰返しによって破損
し易いため、Siの平均粒径は2〜10μmであること
が好ましく、さらに好ましくは3〜8μmである。
なお、ここでいうSiの粒径とは、MSiの間隙に存
在するSi相の最大長さと最小長さとの平均値で、Si
の平均粒径とは、Si100個あたりの平均粒径を表す
ものである。
また、Si原料粉末としては、高純度品あるいはドープ
剤を含有した高純度品を使用することが望ましい。この
高純度Si中に含まれる不純物は、素子特性の劣化を招
くのでなるべく少ない方がよい。ちなみにソフトエラー
の原因となるU,Th等の放射性元素は5ppb以下、
可動イオン汚染の原因となるNa,K等のアルカリ金属
元素は100ppb以下、ディープレベル不純物となる
Fe,Ni,Cr等の重金属元素は1ppm以下、パー
ティクルの発生およびエッチング不良を引き起こす炭素
は300ppm以下、抵抗の増大を招く酸素は500p
pm以下であることが好ましい。
このSi粉末に含有する炭素、酸素、Na、K等の不純
物は、Siの粉砕工程で粉末表面に付着したもので、こ
の不純物汚染したSi粉末を10−4Torr以下の高真空
中、1200〜1300℃で2〜6hr加熱処理するこ
とにより、これら不純物を低減できるため、ターゲット
製造には加熱処理を施したSi原料粉末を用いることが
好ましい。
一般に、ドープ剤を含有するSi原料粉末を用いてター
ゲットを形成すると、反応合成時にドープ剤が結晶界面
などの特定部位に拡散し濃縮される。そしてこれらのド
ープ剤は格子の乱れを生じたり、格子歪のあるMSi
相とSi相との境界に移動して界面層を形成する。
この界面層が存在すると、MSi相とSi相の結合力
は向上し、MSi相はSi相との混合組織から脱落し
にくくなる。また、低抵抗のMSi相と高抵抗のSi
相の境界にドープ剤濃度の高い界面層が存在すると、電
気抵抗の急激な変化がなくなるので、スパッタリング時
に異常な放電の発生が少なくなり、したがって異常放電
によって誘起するパーティクルを抑制することができる
などの効果が期待できる。
また本発明者らはMSi相とSi相との境界における
電気抵抗の急変を緩和するために鋭意研究を進めた結
果、前述したドープ剤としてB.P,Sb,Asのうち
少なくとも1種の元素と不可避的元素を含有し、かつ電
気抵抗を制御したSi粉末とM粉末あるいはMSi
末を用いて焼結して得られたターゲットは、MSi
とSi相の電気抵抗の整合性が向上しスパッタ速度が均
一となり、しかもMSi相とSi相との境界に上記元
素の拡散した界面層が形成されることで、電気抵抗の急
激な変化がなく、優れた界面強度を有するターゲットと
なることを見い出した。
ここで上記ドープ剤のうち、B,P,Sb,Asは、S
i相の電気抵抗を大幅に下げる効果のある元素であり、
これら元素を含有するSi相を用いると、両相の電気抵
抗は整合されてスパッタ速度が均一となり、その結果、
膜組成は安定し均一な膜厚となる。また、Si相中のこ
れら元素は、焼結時に格子の乱れや格子歪の大きなMS
相とSi相の境界に拡散移動し、前述の界面層を形
成する。この際、B,P,Sb,As以外の不可避的元
素も界面層に含まれ、同様な効果をもたらす。例えばF
e,Ni等がある。
また、この界面層の厚みは、Si相に含有されるドープ
剤の量によって異なるが、100〜10,000Åの範
囲が適している。
かかる界面層の厚みが10,000Å以上になると、S
i相中の相当量のドープ剤によって、膜特性が変化する
ことになり、一方、その厚みが100Å未満となると前
記効果が充分に期待できない。従って、さらに好ましい
範囲は、1,000〜8,000Åである。
この界面層の厚さは、一般に高分解能2次イオン質量分
析装置(SIMS)によって検出される。
SIMSはO2+やCsの1次イオンで試料をスパッ
タエッチングし、発生した2次イオンを捕えて、表面層
の不純物を高感度で3次元的に分析する方法である。界
面層の厚さはSi相に含有するドープ剤の深さ方向プロ
ファイルをMSi相に到達するまで測定して求められ
る。
ここで界面層の厚さは、Si相中のドープ剤プロファイ
ルの裾野に位置する変曲点からもう一方の変曲点までの
距離である。
さらに、上記Si相の抵抗率は、0.01〜100Ω・
cm範囲に設定することが望ましい。抵抗率を0.01Ω
・cm未満にすると、Siのスパッタ速度が増加してSi
が深くエロージョンされてパーティクルの発生を引き起
こすとともに、所望の膜組成が得られなくなり、一方、
その抵抗率が100Ω・cmを越えると、前記効果が充分
に期待できなくなる。したがって、Si相の抵抗率は
0.1〜10Ω・cmの範囲が更に好ましい。
一方、炭素によって汚染した部分は、良好に飛散せずに
エロージョン面に突起状に残存し、その結果、その部分
でプラズマ放電が不安定となり、異常な放電を繰り返し
てパーティクルの発生を誘起する。また、炭素が膜中に
多く混入した場合、エッチングによる配線の形成時に、
その部分がエッチング残渣として存在して配線不良や絶
縁物の形成による断線を引き起こすため、炭素不純物の
含有量は100ppm以下に抑制する必要があり、好ま
しくは50ppm以下、さらに好ましくは30ppm以
下である。この炭素含有量は、燃焼−赤外線吸収法を利
用した炭素分析装置によって検出される。
また、ターゲット中に酸素不純物が多い場合、スパッタ
時に酸素が膜中に混入して膜抵抗を増大させるため、酸
素不純物の含有量は150ppm以下に抑制することが
好ましく、さらに好ましくは100ppm以下である。
この酸素含有量は、不活性ガス融解−赤外線吸収法を利
用した酸素分析装置によって検出される。
また、本発明のスパッタリングターゲットは、微細な粒
状のMSi相とSi相との混合組織となるが、これは
組成MSiのX値が2.0<X<4.0となるように
M粉末とSi粉末とを調製した混合粉末から焼結合成に
よりMSi相を形成するようにしたので、過剰のSi
分がMSi相の周囲に残存したために得られたのであ
る。
即ち、MとSi混合粉末に適当な圧力を加えて加熱する
と、Siは軟化すると共にMと反応してMSiを形成
するため、Si粒子とM粒子が接した部分では、MSi
を生成する発熱反応により局所的に昇温して一層軟化
し、そのためMSi化しつつある粒子の表面および周
囲に凝集してMSi化が進む。一方、多少軟化した多
量の未反応Siと過剰SiがMSi化しつつある粒子
の周囲に強制的に流動されて緻密化するため、MSi
相とSi相あるいはMSi相同士が拡散反応により強
固に結合する。
ここで組成MSiにおけるX値を2.0<X<4.0
に限定する理由は、次の通りである。すなわち、組成M
SiにおいてX値が2.0未満になると、形成された
シリサイド膜に大きな引張り応力が発生して基板との密
着性が悪くなり剥離し易くなる。一方、組成MSi
X値が4.0を越えると、膜のシート抵抗が高くなって
電極配線膜としては不適当となるためである。
さらに、ターゲットの密度比もパーティクル発生量と関
係があり、低密度の場合は、ターゲットにポアが多く存
在し、この部分で異常放電が発生し易く、放電部分が欠
落してパーティクルとして発生するので、ターゲットの
密度比は、どの場所でも99%以上であることが望まし
い。ここで密度比(d=d/d)は焼結体の組成比
から算出した理論密度(d)に対するアルキメデス法
により実測した焼結体の密度(d)の比である。
また、本発明者らは、スパッタリング中に起こるターゲ
ットからのパーティクル発生は、MSi相とSi相に
生じる隆起部の他にシリサイド焼結体を研削などの機械
加工仕上げしたときに生ずる加工欠陥層、表面状態、ま
たは残留応力などにも起因することを見い出した。すな
わち、従来行なわれているターゲットの研削仕上げ加工
は、高速回転している研削砥石の硬い砥粒によって被加
工物を削り取って行く加工法である。この方法で金属珪
化物とシリコンからなるシリサイド焼結体のような硬く
て、しかも脆い材料を研削加工した場合、不可避的に粒
状チップが加工面から飛散する。本発明者らの知見によ
れば、これは研削時に砥粒の接触応力によって研削加工
面に微小クラックが生じ、砥粒の通過後、応力の急激な
解放によってクラックの肩部が押し上げられて破片とし
て離脱することによって生成すると考えられる。通常、
硬脆材料の加工にあたっては、砥粒当りの切込み深さま
たは荷重を適当に大きくして、砥粒によって誘起される
局所的応力場にクラックが含まれるくらいにし、材料の
微小破砕の集積によって加工を進行させている。したが
って、シリサイド焼結体の研削面には研削条痕、脱落孔
および微小クラックなどの加工欠陥層が多数発生する。
このような欠陥層が全面に存在するターゲットを用いて
スパッタリングを行なうと、プラズマ中のイオンの衝突
によって上記欠陥部を起点として微細な粒子がターゲッ
ト表面から剥離脱落してこれが前述したパーティクルと
なる。
よって、ターゲットの表面部の粗さを、Ra(中心線粗
さ)で0.05μm以下に設定して、機械的加工により
発生する微小クラックや欠陥部分などの加工欠陥層が実
質的に存在しないように仕上げることが望ましい。
ここで表面粗さRa(中心線粗さ)は、日本工業規格
(Japan Industrial Standard:JIS−B0601)
において定義されるように、粗さ曲線からその中心線の
方向に測定長さlの部分を抜き取り、この抜き取り部分
の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線を
y=f(X)で表したとき、次の式によって求められる
値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
仕上げ面粗さを細かくし、かつクラックや脱落孔などが
存在する加工欠陥層を実質的になくすためには材料欠陥
の分布に比べ加工単位を小さくするように配慮すること
が肝要である。具体的には、粒径が小さくて揃いの良い
砥粒を用いるとか、軟質の弾性もしくは粘弾性に富むポ
リシャを使う等の方法によって砥粒当りの荷重を小さく
し、材料に誘起される応力が破壊応力値以下になるよう
にする必要がある。
従って、金属珪化物相を含む焼結体のような硬脆材料に
おいても、上記荷重が極めて小さい場合には、材料が塑
性流動変形のみを示し、クラックが生じない領域が存在
し、加工面を凸凹の極めて小さな光沢面に仕上げること
ができる。
その具体的方法としては、面仕上げの目的で用いられる
ラッピング、ポリシングさらには超精密仕上げの目的で
用いられるメカノケミカルポリシングなどが好ましい方
法として挙げられる。
ここでMechano-chemical polishingは、従来の砥石によ
る機械的研磨法と、化学薬品が被研磨材表面を微小に侵
食する作用を利用した化学的研磨法とを併用した高精度
の研磨方法である。
しかしながら、実際に珪化物焼結体を直接上記加工によ
り所定寸法まで仕上げるのは困難である。そのため、ま
ず研削加工など能率的な表面加工で加工した後に、発生
した加工欠陥層を除去するために、上記ラッピング、ポ
リシング加工工程をも併用して実施することが必要であ
る。
上記の表面加工法は、ラッピング、ポリシング、メカノ
ケミカルポリシングの順序で使用する砥粒が小さくなる
ので、仕上面粗さも微細化する。このような加工法を金
属珪化物ターゲットに適用することによりパーティクル
発生量は著しく低減する。すなわち、本発明者らの知見
によればパーティクル発生量と表面粗さとは相関関係を
示し、電極配線の不良などにつながる粒径を有するパー
ティクルの発生を抑制するためには、加工面の表面粗さ
Ra(中心線粗さ)が0.02μm以下であることが好
ましく、0.05μm以下が更に好ましい。
またArイオン照射によるスパッタリングにおいては、
イオンの衝突点は高い応力場となり、しかも高温に晒さ
れている。したがって、ターゲット表層部に残留応力が
不均一に残ると、スパッタリング中に生ずる熱により応
力が再分布し、局所的に応力が増大していくつかの放射
割れを含めた大きな割れが発生し、そのためにパーティ
クル発生量が勢い増加する現象がみられる。したがっ
て、この観点から残留応力は15kg/mm2以下であること
が好ましく、更に好ましくは5kg/mm2以下である。
次に本発明の製造方法を具体的に説明する。
製造方法は、M粉末とSi粉末とを所定比率で混合する
工程Iと、混合粉末を低温加熱して炭素および酸素を低
減する工程IIと、M/Si混合粉末を成形用型内に充填
し、これをホットプレス装置内にて高真空中で低プレス
圧力下にてシリサイド反応させて高融点金属珪化物を合
成する工程IIIと、引き続き高プレス圧力下にて緻密化
焼結する工程IVとから成る。特に工程IIIおよびIVにお
ける加熱温度やプレス圧力は、微細組織で、かつ高密度
の焼結体を得るために非常に重要な因子である。
まず、前記製造方法のIの工程は、M粉末とSi粉末と
を組成がSi/M原子比で2.0〜4.0になるように
配合、混合する工程である。
このM粉末とSi粉末を混合する工程では、両者の粉末
粒径がシリサイド合成により生成するMSi粒径と介
在するSiの粒径に影響を及ぼす。前記微細組織を得る
ためには、最大粒径10μm以下のM粉末と最大粒径3
0μm以下のSi粉末を使用することが好ましい。
ここで組成MSiのX値を2.0<x<4.0に限定
した理由は、X値が2.0未満になると、形成されたシ
リサイド膜に大きな引張り応力が発生して基板との密着
性が悪くなり剥離し易くなる。一方、X値が4.0を超
えると、膜のシート抵抗が高くなって電極配線膜として
は不適当となるためである。
原料M粉末とSi粉末とをSi/M原子比で2.0〜
4.0に配合し、ボールミルあるいはV形ミキサ等を用
いて充分均一に乾式混合する。混合が不均一であると、
ターゲットの組織と組成が不均一となって膜特性が劣化
するので好ましくない。
ここで粉末混合は、酸素汚染を防止するため真空中ある
いは不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
またSi配合量として、高温加熱した時、Si粉末表面
からのSiおよび酸化被膜SiOの揮散損失分を見込
んで目標組成よりも若干過剰に配合するのが適当であ
る。その過剰量は5%弱と少なく、後工程の温度、時
間、圧力等を考慮して経験的に定める。
IIの工程は、Iの工程で調合した混合粉末を高真空中で
低温加熱して炭素および酸素を低減する工程である。こ
の工程では、プレス圧力を加えない状態で、加熱温度と
保持時間および真空度を適正な条件に設定することが重
要である。すなわち、加熱温度は1000〜1300℃
に設定することが好ましく、加熱温度が1000℃未満
では不純物の除去が充分に行なわれず、一方、1300
℃を超えると、不純物の揮散が充分に行なわれないうち
にシリサイド反応が開始し、炭素および酸素含有量の多
いターゲットとなる。したがって、加熱温度は1100
〜1300℃に設定することがさらに好ましい。また、
保持時間は加熱温度との兼合いで1〜10hrに設定す
ることが好ましく、1hr未満であると、充分に前記効
果を得ることは期待できず、一方、10hrを超えると
生産性が悪くなる。さらに、炉内の真空度は、炭素と酸
素の低減を充分に図るため、10−4Torr以下の高真空
とすることが好ましく、さらに好ましくは10−5Torr
以下である。
但し、急激にホットプレス装置内を真空引きすると、成
形用型から混合粉末が飛散して後述の工程を経ても緻密
化が不充分な焼結体となるので、ホットプレス装置内が
100Torr以下になるまでは、徐々にに真空度を下げる
ことが好ましい。
IIIの工程は、IIの工程で脱ガスした混合粉末を高真空
中、低プレス圧力下にて、加熱してMSi相を合成す
る工程である。このシリサイド合成工程においては、加
熱温度およびプレス圧力を適切な条件に設定し、シリサ
イド反応を徐々に進行させて、MSi粒子の成長を抑
制し、軟化したSiをMSi粒子の間隙に流動させる
必要がある。そのため、加熱温度は1000〜1300
℃に設定することが好ましく、加熱温度が1000℃未
満ではシリサイド反応が容易に開始せず、1300℃を
超えた場合は、急速なシリサイド反応よりMSi粒子
が成長して粗大化する。したがって加熱温度1100〜
1300℃に設定することがさらに好ましい。
このとき、加熱温度は、合成したMSi相微細化のた
め、20℃/分未満であることが望ましい。シリサイド
合成時の雰囲気は、シリサイド反応速度の制御性および
不純物ガスの巻込みを防止するため、10−4Torr以下
の高真空中で行なうことが望ましい。
また、プレス圧力の大きさはMSi粒子の粒径に影響
を及ぼすため、10〜100kg/cm2に設定することが好
ましく、10kg/cm2未満ではシリサイド反応熱が低くな
りSiの軟化流動が良好に行なわれず、Siの偏析した
不均一な組織となる。一方、圧力が100kg/cm2以上と
なると、M粉末とSi粉末の接触圧力が増大し、シリサ
イド反応による生成熱が多くなると共に、反応が急速に
進行してMSi粒子が粗大化する。したがってプレス
圧力の大きさは30〜60kg/cm2の範囲に設定すること
がさらに好ましい。
このシリサイド合成時の雰囲気は、シリサイド反応速度
の制御性および不純物ガスの巻込みを防止するため、1
−4Torr以下の高真空中で行なうことが望ましい。
IVの工程は、高真空中あるいは不活性ガス雰囲気中、高
プレス圧力下にて、共晶温度直下の温度に加熱し、焼結
体を緻密化させる工程である。
この緻密化焼結の工程において、高密度の焼結体を得る
ためにはプレス圧力と加熱温度およびその保持時間が重
要である。
プレス圧力は焼結体の緻密化を促進するために100〜
300kg/cm2であることが好ましく、プレス圧力が10
0kg/cm2未満であると、ポアが多く残存する低密度の焼
結体になり、一方、プレス圧力が300kg/cm2を超える
と、高密度の焼結体とはなるが、黒鉛製の成形用型が破
損し易くなる。したがってプレス圧力の大きさは150
〜250kg/cm2の範囲に設定することがさらに好まし
い。
焼結温度(加熱温度)Tは、共晶温度Ts直下の温度、
すなわちTs−50≦T<Tsの範囲に設定することが
好ましい。ここで例えば、MとしてW,Mo,Ti,T
aを使用する場合の共晶温度Tsはそれぞれ1400,
1410,1330,1385℃である。TがTs−5
0以下であると、ポアが残存して所望の高密度の焼結体
が得られない。。一方、TがTs以上になると、Si相
が溶融し、成形型から流出し、組成比のズレが大きな焼
結体となる。
また加熱焼結の保持時間は、1〜8時間が適切である。
1時間以下であると、ポアが多く残存し、高密度の焼結
体が得られず、一方、8時間以上になると、緻密化がそ
れ以上に進行しないのでターゲットの製造効率が低下す
る。この緻密化焼結は、不純物の混入による汚染を防止
するため、真空あるいは不活性ガス雰囲気で行なうこと
が好ましい。但し、窒素雰囲気においては、Si
を形成するため、好ましくない。
図面の簡単な説明 第1A図は、実施例に係るターゲットの金属組織を示す
走査型電子顕微鏡写真である。
第1B図は、第1A図の金属組織写真を説明するための
一部模式図である。
第2A図は、比較例および従来例に係るターゲットの金
属組織を示す走査型電子顕微鏡写真である。
第2B図は、第2A図の金属組織写真を説明するための
一部模式図である。
第3A図は、実施例に係るターゲットのエロージョン面
の形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。
第3B図は、第3A図の表面形態写真を説明するための
一部模式図である。
第4A図は、比較例および従来例に係るターゲットのエ
ロージョン面の形態を示す走査型電子顕微鏡写真であ
る。
第4B図は、第4A図の表面形態写真を説明するための
一部模式図である。
第5A図は、比較例および従来例に係るターゲットのエ
ロージョン面に存在する隆起部を拡大して示す走査型電
子顕微鏡写真である。
第5B図は、第5A図の隆起部を説明するための一部模
式図である。
第6図は第5A図に示す隆起部の表面を元素分析した結
果を示す走査型電子顕微鏡写真である。
第7A図は、実施例のターゲットの光学顕微鏡による金
属組織写真である。
第7B図は、第7A図の金属組織写真を説明するための
一部模式図である。
第8A図は、比較例のターゲットの光学顕微鏡による金
属組織写真である。
第8B図は、第8A図の金属組織写真を説明するための
一部模式図である。
第9A図は、従来例のターゲットの光学顕微鏡による金
属組織写真である。
第9B図は、第9A図の金属組織写真を説明するための
一部模式図である。
第10A図は、実施例に係るターゲットのエロージョン
面の形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。
第10B図は、第10A図のエロージョン面の形態写真
を説明するための一部模式図である。
第11A図は、比較例に係るターゲットのエロージョン
面の形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。
第11B図は、第11A図のエロージョン面の形態写真
を説明するための一部模式図である。
第12A図は、従来例のターゲットのエロージョン面の
形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。
第12B図は、第12A図のエロージョン面の形態写真
を説明するための一部模式図である。
発明を実施するための形態 次に以下の実施例により、本発明の構成および効果をよ
り詳細に説明する。
[実施例1〜12] 第1表に示すように最大粒径10μm以下の高純度W,
Mo,Ta,Nb粉末と最大粒径30μm以下の高純度
Si粉末とをSi/M原子比2.7となるように配合
し、高純度Arガスで置換したボールミルで48時間混
合した。この混合粉末を成形用型内に充填後、これをホ
ットプレス装置内に挿入し、8×10−5Torr真空中に
おいて1200℃の温度で3時間脱ガスし、炭素および
酸素等の不純物を低減した。
次に、第1表に示す条件でシリサイド合成と緻密化焼結
を行ない、得られた焼結体を研削研磨し、放電加工して
直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。
[比較例1〜12] 比較例1〜12として最大粒径100μm以下の高純度
W,Ta,Nb粉末と最大粒径200μm以下の高純度
Si粉末とをSi/M原子比2.7となるように配合し
た混合粉末を用意し、これを真空中の脱ガス熱処理を行
なわずに、第1表に示す条件でシリサイド合成と緻密化
焼結を行ない、得られた焼結体を研削研磨し、放電加工
して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕上げた。
[従来例1〜3] 最大粒径100μm以下の高純度W粉末と最大粒径20
0μm以下の高純度Si粉末とをSi/M原子比2.0
となるように配合した混合粉末を用意し、これを2×1
−4Torrの真空中で1300℃で4hr加熱して仮焼
結体を形成後、溶融Siを含浸させてSi/W原子比
2.7の焼結体を作製した。この焼結体を研削研磨し、
放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲットに仕
上げ、従来例1のターゲットを得た。
最大粒径15μm以下の高純度W粉末と最大粒径20μ
m以下の高純度Si粉末とをSi/M原子比2.7とな
るように配合した混合粉末を用意し、これを8×10
−5Torrの真空中で1250℃で4hr加熱して仮焼結
体を形成後、次いで仮焼結体を圧密用封止缶に充填し、
これを1180℃×3hr、圧力1000atomの条件で
熱間静水圧プレスして焼結体を作製した。この焼結体を
研削研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのタ
ーゲットに仕上げ、従来例2のターゲットを得た。
最大粒径100μm以下の高純度W粉末と最大粒径20
0μm以下の高純度Si粉末とをSi/M原子比2.5
となるように配合した混合粉末を用意し、これを2×1
−4Torrの真空中で1300℃で4hr加熱して仮焼
結体を形成後、この仮焼結体を粉砕し、次いでSi/W
原子比2.7になるようにシリサイド合成粉末を加え、
これをArガス雰囲気中で1380℃×3hrの条件で
ホットプレスして焼結体を作製した。この焼結体を研削
研磨し、放電加工して直径260mm、厚さ6mmのターゲ
ットに仕上げ、従来例3のターゲットを得た。
実施例および比較例ターゲットの断面組織の顕微鏡観察
結果をそれぞれ第1A図、第1B図および第2A図、第
2B図に示す。この結果、比較例に係るターゲットの組
織は第2A図、第2B図に示すように、Si2が偏析し
てMSi1が粗大化しているのに対して、実施例の場
合は、第1A図、第1B図に示すように、最大粒径10
μm以下のMSi1が連鎖状に結合し、その間隙にS
i2が不連続に存在する微細で均一な組織を呈してい
た。
また、炭素および酸素の含有量を分析した結果、実施例
ターゲットの場合は、炭素は50ppm以下で、酸素は
100ppm以下であるのに対して、比較例ターゲット
では炭素が250ppm程度で、酸素が1500ppm
程度非常に多く含有していた。
実施例1〜12、比較例1〜12および従来例1〜3で
調製した各ターゲットをマグネトロン・スパッタリング
装置内にセットした後、アルゴン圧2.3×10−3To
rrの条件下でスパッタリングを行ない、5インチSiウ
エハ上にシリサイド膜を約3000Å堆積し、パーティ
クル混入量を測定した結果を第1表に併記した。
第1表に示す結果から明らかなように、本実施例に係る
ターゲットから発生するパーティクル量は比較例および
従来例のものと比較して非常に少なかった。また、実施
例、比較例および従来例のターゲットのエロージョン面
を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、
それぞれ比較例および従来例のターゲットのエロージョ
ン面には、第4A図および第4B図に示すように、多数
の隆起部3が観察されるが、実施例のターゲットのエロ
ージョン面には、第3A図および第3B図に示すよう
に、隆起部は観察されなかった。
さらに従来例および比較例に係るターゲットのエロージ
ョン面に認められる比較的に大きな隆起部3を拡大観察
した結果を第5A図および第5B図に示す。また第5A
図に示す隆起部3の表面をX線マイクロアナライザ(X
MA)により元素分析を行なった結果を第6図に示す。
第6図に示すように、隆起部表面に白点状に散在する炭
素が観察され、この炭素がパーティクルの発生原因とな
っている。
これらの結果から、実施例に係るターゲットを半導体装
置の電極配線の形成に用いれば、半導体製品の大幅な製
造歩留りの向上が期待できることが実証された。
次にターゲットを構成するMSi相とSi相との間に
界面層を形成する場合(実施例)と形成しない場合(比
較例)とについてそれぞれターゲットの特性を比較す
る。
[実施例101〜114] 平均粒径2μmの高純度W,Mo,Ti,Ta,Zr,
Hf,Nb,V,Co,Cr,Ni粉末およびこれらの
組み合わせと平均粒径20μmの高純度Si粉末(B,
P,Sb,As,その他Fe,Ni等の不可避的元素を
含有した)をSi/M原子比2.6で配合し、高純度A
rガスで置換したボールミルで72時間乾式混合した。
この混合粉末を高純度黒鉛製ホットプレス用モールドに
充填後、真空ホットプレス装置内に装入し、5×10
−5Torrの真空中において温度1250℃で2時間脱ガ
スした。
次に、5×10−5Torrの高真空中で50kg/cm2のプレ
ス圧力を加え、1250℃で金属珪化物(MSi)を
合成後、炉内雰囲気を高純度Arガスを加えて600To
rrまで上げ、1370℃で2時間焼結した。得られた焼
結体を研削研磨、放電加工して直径260mm,厚さ6mm
のターゲットに仕上げた。
[比較例101〜114] 比較例101〜110として平均粒径25μmの高純度
W,Mo,Ti,Ta,Zr,Hf,Nb,V,Co,
CrおよびNi粉末と平均粒径40μmの高純度Si粉
末とをSi/M原子比2.6となるように混合した後
に、次に示す条件下、 ・ホットプレス温度:1380℃ ・ホットプレス圧力:250kg/cm2 ・保持時間:2時間 ・炉内雰囲気:1250℃まで 8×10−5Torr真空中 1250〜1380℃まで 600Torrアルゴンガス中 でホットプレスし、直径260mm,厚さ6mmの従来製法
によるターゲットを得た。
さらに、比較例111〜114として平均粒径80μm
のWSi,MoSi,TaSiおよび TiSi
粉末と平均粒径60μm高純度Si粉末とをSi/M
原子比2.6となるように混合した後、比較例101〜
110と同様の条件下でホットプレスし、直径260m
m,厚さ6mmの従来製法によるターゲットを得た。
本実施例101〜114と比較例101〜114のター
ゲットについて、界面層の平均厚さ、密度比、抗折強度
を測定し、その結果を第2表にまとめて示した。この第
2表からも明らかなように、本実施例101〜114の
ターゲットは、高密度でしかも高い抗折強度を示してい
ることからMSi相とSi相は界面層により強固に接
合していることが判明した。
また、実施例,比較例および従来例のターゲットの断面
組織を光学顕微鏡により観察し、それぞれ第7A図〜第
7B図、第8A図〜第8B図、第9A図〜第9B図に示
す。この結果、第7A図〜第7B図に示すように、本実
施例の場合、平均粒径10μmのMSi相とSi相2
との微細な混合組織を呈していた。
また、第8A図および第8B図に示すように、比較例に
係るターゲットの場合には、Si相2およびMSi
1が共に粗大である。また第9A図および第9B図に示
すように従来例のターゲットにおいても、Si相2およ
びMSi相1が粗大であり、パーティクルが発生し易
い組織となっていることが確認される。
また実施例110〜114および比較例101〜114
で調製した各ターゲットをマグネトロン・スパッタリン
グ装置内にセットした後、アルゴン圧2.3×10−3
の条件下でスパッタリングを行ない、5インチSiウエ
ハ上にシリサイド膜を約3000Å堆積し、パーティク
ル混入量を測定した結果を第2表に併記した。
第2表に示す結果からも明らかなように、本実施例のタ
ーゲットから発生するパーティクル量は非常に少なかっ
た。
また、実施例、比較例および従来例のターゲットのスパ
ッタ面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したと
ころ、それぞれ第10A図〜第10B図、第11A図〜
第11B図、第12A図〜第12B図に示す金属組織が
観察された。すなわち比較例(第11A図、第11B
図)および従来例(第12A図、第12B図)のスパッ
タ面には、多数の隆起部3が認められるが、第10A
図、第10B図に示すように、本実施例ターゲットのス
パッタ面に隆起部3は観察されなかった。この結果から
本発明のターゲットを半導体装置の電極配線の形成に用
いれば、大幅な歩留り向上が期待できることが実証され
た。
次にターゲットを構成するシリサイド焼結体を研削など
の機械加工仕上げしたときに生じる加工欠陥層、表面状
態および残留応力が、パーティクルの発生に及ぼす影響
について以下の実施例によって確認する。
[実施例200] シリサイド焼結体(タングステンシリサイド)をワイヤ
放電加工により直径260mmの大きさに切断した後、立
軸ロータリ平面研削盤を用い、砥石SD270J55B
W6、砥石周速1200m/min、テーブル回転数1
2rpm、切込み10μm/minの条件で厚さの6mm
まで研削加工してターゲットとした。
次に、加工裏面にバッキングプレートをはんだ付けした
後、研削面をレンズ研磨器を用い、ダイヤモンド砥粒1
5μmで60hr、砥粒3μmで10hrラッピング加
工し、超音波洗浄器でラッピング面に付着した加工液を
除去してからアセトン脱脂および乾燥して仕上げた。
得られた加工面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し
た結果、研削加工によって生じた研削状痕や脱落孔は残
存しておらず、しかも研削砥粒の変形破壊作用によって
生じた多数の微小クラツクも認められず、加工欠陥層は
除去されていることが確認された。
また、表面粗さ測定器(Talysurf)で加工面の粗さ測定
とX線応力測定装置を用いて並傾法により残留応力を測
定した。その結果を第3表に示す。なお、研削したまま
についての測定結果も比較例200として第3表に併記
した。
このターゲットをマグネトンロ・スパッタリング装置内
にセットした後、Arイオン照射によるスパッタリング
を行ない、5インチSiウエハ上にシリサイド膜を30
00Å堆積した。この膜中に混入したパーティクル量を
測定し、その結果を第3表に示した。なお、研削面のス
パッタリング結果も比較例200として第3表に併記し
た。第3表からも明らかなように、実施例200に係る
ターゲットによって形成した膜中のパーティクル量は大
幅に減少し、ラッピング加工によりスパッタリング中の
パーティクル発生量を低減することが可能であることが
判明した。
[実施例201] 直径260mmのシリサイド焼結体を実施例200と同様
な方法で研削、ラッピング加工した後、0.3μmの酸
化セリウム砥粒、アクリル樹脂ポリシャを用い、ポリシ
ャ圧力1kg/cm2、ポリシャ速度10m/minの条件で
10hrポリシング加工し、超音波洗浄により加工液を
除去してからアセトン脱脂および乾燥を行なってターゲ
ットを仕上げた。
得られた加工面をSEM観察した結果、研削加工によっ
て生じた研削状痕や脱落孔および微小クラックなどの加
工欠陥層は完全に消失し、鏡面状態に仕上げられてい
た。また、加工面の表面粗さと残留応力の測定結果を第
3表に示すが、比較例200として示した研削面に比べ
て表面の凹凸は極めて小さく、研削によって発生した表
層の塑性歪みあるいは弾性歪みはほとんど除去されてい
た。
このターゲットを用いてマグネトロン・スパッタリング
を行ない、5インチSiウエハ上にシリサイド膜を形成
した。この膜中に混入したパーティクル量の測定結果を
第3表に併記した。この結果からも明らかなように、最
終仕上げとしてポリシング加工を行なうと、表面性状の
向上によりターゲットから発生するパーティクルは大幅
に減少することが判明した。
[実施例202] 直径260mmのシリサイド焼結体を実施例200と同様
な方法で研削、ラッピング加工した後、0.02μmの
SiOのパウダ、クロスポリシャを用い、ポリシャ圧
力1kg/cm2、ポリシャ速度10m/minの条件で20
hrメカノケミカルポリシング加工し、超音波洗浄後に
アセトン脱脂および乾燥を行なってターゲットを仕上げ
た。
得られた加工面をSEM観察した結果、研削加工によっ
て発生した加工欠陥層は認められなかった。また加工面
の表面粗さと残留応力に比べて極めて平滑性が高く、加
工面は無歪表面と変わらない状態となっていた。
このターゲットを用いてマグネトロン・スパッタリング
を行ない、5インチSiウエハ上にシリサイド膜を形成
後、膜中に混入したパーティクル量を測定した結果、第
3表に併記したように、パーティクルは殆ど認められ
ず、最終仕上げとしてパーティクルの発生原因となる加
工欠陥層、残留応力を完全に除去できることが確認され
た。
産業上の利用可能性 本発明に係るスパッタリングターゲットおよびその製造
方法によれば、パーティクル発生を実質的に防止できる
高密度で高強度な微細組織を有するターゲットが得られ
ることから、特に半導体装置の電極および配線材料用の
高品質の薄膜を形成する際に極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志津 博美 神奈川県藤沢市亀井野1―25―7―208 (72)発明者 八木 典章 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町2121 東芝戸 塚台コーポD103 (56)参考文献 特開 昭61−179534(JP,A) 特開 昭61−76664(JP,A) 特開 昭61−145829(JP,A)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属珪化物(化学論組成がMSi、但し
    Mは金属)が連鎖状に結合して金属珪化物相が形成さ
    れ、珪素粒子が結合して形成された珪素相が上記金属珪
    化物の間隙に不連続に存在する微細な混合組織を有し、
    炭素含有量が100ppm以下であることを特徴とする
    スパッタリングターゲット。
  2. 【請求項2】請求項1記載のスパッタリングターゲット
    において、 混合組織断面1mm2内に粒径0.5〜30μmの金属珪
    化物が400〜400×10個存在し、Siの最大粒
    径が30μm以下であることを特徴とするスパッタリン
    グターゲット。
  3. 【請求項3】請求項1記載のスパッタリングターゲット
    において、 金属珪化物の平均粒径が2〜15μmである一方、珪素
    の平均粒径が2〜10μmであることを特徴とするスパ
    ッタリングターゲット。
  4. 【請求項4】請求項1記載のスパッタリングターゲット
    において、 密度比が99%以上であることを特徴とするスパッタリ
    ングターゲット。
  5. 【請求項5】請求項1記載のスパッタリングターゲット
    において、 酸素の含有量が150ppm以下であることを特徴とす
    るスパッタリングターゲット。
  6. 【請求項6】請求項1記載のスパッタリングターゲット
    において、 金属珪化物の金属は、タングステン、モリブデン、チタ
    ン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、バ
    ナジウム、コバルト、クロムおよびニッケルから成る群
    より選択された少なくとも一種の金属であることを特徴
    とするスパッタングターゲット。
  7. 【請求項7】請求項1記載のスパッタリングターゲット
    において、 金属珪化物相と珪素相との境界に界面層を形成したこと
    を特徴とするスパッタングターゲット。
  8. 【請求項8】請求項7記載のスパッタリングターゲット
    において、 金属珪化物相と珪素相との境界に形成する界面層の厚さ
    が100〜10000Åであることを特徴とするスパッ
    タリングターゲット。
  9. 【請求項9】請求項1記載のスパッタリングターゲット
    において、 珪素相がホウ素、リン、アンチモンおよびヒ素から成る
    群より選ばれた元素を少なくとも1種と不可避的元素を
    含有し、かつ電気抵抗率が0.01〜100Ω・cmであ
    ることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  10. 【請求項10】金属珪化物(化学論組成がMSi、但
    しMは金属)が連鎖状に結合して金属珪化物相が形成さ
    れ、珪素粒子が結合して形成された珪素相が上記金属珪
    化物の間隙に不連続に存在する微細な混合組織を有し、
    炭素含有量が100ppm以下であることを特徴とする
    スパッタリングターゲットの製造方法において、 I.金属粉末(M)とシリコン粉末(Si)とをSi/
    M原子比で2.0〜4.0になるように混合して混合粉
    末を調製する工程、 II.前記混合粉末を成形用型に充填し、高真空中で低温
    加熱して炭素および酸素を低減する工程、 III.高真空中、低プレス圧力下にて加熱して金属珪化
    物相の合成と焼結をする工程、および、 IV.高真空中あるいは不活性ガス雰囲気中、高プレス圧
    力下にて共晶温度直下の温度に加熱して緻密化する工
    程、とを具備することを特徴とするスパッタリングター
    ゲットの製造方法。
  11. 【請求項11】請求項10記載のスパッタリングターゲ
    ットの製造方法において、 金属粉末(M)として最大粒径10μm以下の高純度金
    属粉末を使用するとともに、珪素粉末(Si)として最
    大粒径30μm以下の高純度珪素粉末を使用することを
    特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  12. 【請求項12】請求項10記載のスパッタリングターゲ
    ットの製造方法において、 金属粉末とシリコン粉末との混合粉末を反応溶融焼結さ
    せ、シリサイド合成、焼結、および緻密化を同時に行な
    うことを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方
    法。
  13. 【請求項13】請求項12記載のスパッタリングターゲ
    ットの製造方法において、 反応溶融焼結はホットプレス法または熱間静水圧プレス
    法を用いることを特徴とするスパッタリングターゲット
    の製造方法。
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JPS61179534A (ja) * 1985-01-16 1986-08-12 Mitsubishi Metal Corp スパツタリング装置用複合タ−ゲツト
JPH0791636B2 (ja) * 1987-03-09 1995-10-04 日立金属株式会社 スパツタリングタ−ゲツトおよびその製造方法
JPS63227771A (ja) * 1987-03-16 1988-09-22 Tosoh Corp 高純度チタンシリサイドからなるスパツタリング用タ−ゲツト及びその製造方法

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