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JPH0684364B2 - 転位型タキソール化合物及びそのタキソール化合物を使用するインビボ活性の試験方法 - Google Patents
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JPH0684364B2 - 転位型タキソール化合物及びそのタキソール化合物を使用するインビボ活性の試験方法 - Google Patents

転位型タキソール化合物及びそのタキソール化合物を使用するインビボ活性の試験方法

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JPH0684364B2
JPH0684364B2 JP4054677A JP5467792A JPH0684364B2 JP H0684364 B2 JPH0684364 B2 JP H0684364B2 JP 4054677 A JP4054677 A JP 4054677A JP 5467792 A JP5467792 A JP 5467792A JP H0684364 B2 JPH0684364 B2 JP H0684364B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、転位型タキソール化合
物に関するものであって、詳細に説明すると、開裂した
オキセタン環を有するタキソール誘導体、オキセタン環
が開裂し、かつA環が縮小したタキソール誘導体、及び
縮小されたA環を有するタキソール誘導体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】天然産ジテルペノイドであるタキソール
は、抗癌剤として大きな潜在性があり、数種の腫瘍系に
活性を示す。このタキソールの背景となる情報、タキソ
ールの生物学的活性の機序、及びタキソールからその水
溶性誘導体を合成する方法が、継続中の米国特許出願第
07/573,731 号(1990年8月28日出願)に開示されてい
る。ここで引用した全ての文献を、下記に完全に再現し
たのと同様に、本願明細書の内容として引用する。タキ
ソールは供給が不足しており、比較的高価である。さら
に、タキソール環構造の架橋されたビシクロ部分のた
め、タキソールの完全合成はかなり困難である。したが
って、タキソールと同様な生物学的活性があり、タキソ
ールよりも完全合成が容易である、タキソール誘導体を
見つけることが強く望まれている。
【0003】また、タキソールに類似する生物学的活性
又は構造を有する、新しい化合物ならびに医薬として用
いる化合物について、その生物学的活性を速やかに測定
する方法が必要とされている。タキソールの供給不足及
びその価格は、タキソールを他の化合物の生物学的活性
を測定する際の標準物質として使用することを、非現実
的なものにしている。したがって、公知の生物学的活性
を有する一連の他の標準物質が入手でき、タキソール誘
導体及びタキソールに関連する他の化合物の生物学的活
性を測定することが、強く望まれている。有用な標準物
質は、タキソールの誘導体でなければならない。すなわ
ち、この標準物質は、タキソールと類似する構造を持つ
が、タキソールより入手が容易であるか、又は合成が容
易にできるものでなければならない。現在、タキソール
と同じような高度な生物学的活性を示さない数種の誘導
体が、放棄されている。タキソールは、すでに供給が不
足し、非常に高価である。したがって、そのタキソール
をさらに使用するよりもむしろ、生物学的活性試験にお
ける標準物質としては、タキソールほど十分な生物学的
活性を有するものではないが、これらタキソール誘導体
を使った方法により、このような無駄をなくさなければ
ならない。したがって、インビボ及びインビトロにおい
て活性を有するタキソール誘導体が必要とされており、
かつタキソールよりも、完全合成が容易であり、タキソ
ールと類似する生物学的活性を有するタキソール誘導体
又は化合物が必要とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
主な目的は、インビトロ及びインビボにおいて様々な活
性を有し、タキソールと比較して他の化合物の生物学的
活性を測定する際に、標準物質として使用するタキソー
ル誘導体を合成することである。さらに、本発明の目的
は、タキソールよりも、完全合成が容易であり、インビ
ボにおいて同様な活性を有するタキソールの誘導体を合
成することである。なお、本願明細書で使用されている
用語のA環、B環、C環及びD環とは、それぞれタキソ
ール環構造を形成する4種の環状構造を示すものであ
り、本願明細書に記載したタキソール化合物の構造式 I
の記号が示す各A、B、C及びDに対応するものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のこれら及び他の
目的を、前記目的に有用な化合物を合成することにより
達成する。好ましい実施態様においては、タキソールを
ハロゲン化メシルで処理し、縮小されたA環を有するタ
キソール誘導体を調製する。このタキソール誘導体は、
チュービュリン解重合アッセイ法において、タキソール
に匹敵する活性を有し、かつ細胞培養アッセイ法におい
て、KB細胞に対し細胞毒性を示す。他の実施態様では、
タキソールをトリエチルオキソニウムテトラフルオロボ
レート(Meerwein の試薬)により処理し、開裂したオキ
セタン環を有するタキソール誘導体を調製する。さらに
他の実施態様では、タキソールをアセチルクロリドと反
応させ、オキセタン環が開裂し、A環が縮小したタキソ
ール誘導体を調製する。前記生成物はすべてKB細胞の培
養アッセイ法においてインビボ活性を示す。さらに、こ
れらの好ましい化合物は、異なるインビボ活性を有し、
この活性が、これらの化合物を、他の化合物の生物学的
試験用標準物質として理想的なものとしている。なお、
ここからタキソール及びタキソール誘導体について、本
願明細書第28頁以降に示した構造式 I〜構造式 VIIに基
づいて説明する。構造式 Iは、R1がC(O)CH3 、R2がOH、
R3が Hであり、かつR4が Hである場合、タキソール(1)
の構造を表している。本願明細書で論じるタキソール誘
導体は、下記の表1において特定されている側鎖 R1
R7 を有する構造式 I〜 VIIで表されるものである。
【0006】
【表1】 表 1 本願明細書で論じる、構造式 I〜構造式 VIIで表される構造における側鎖 化合物の構造 構造式の番号 側 鎖 番号 (1) I R1=C(O)CH3,R2=OH,R3=H,R4=H (2) I R1=C(O)CH3,R2=H,R3=OH,R4=H (3) I R1=H,R2=H,R3=OH,R4=H (4) II R1=C(O)CH3,R2=OH,R3=H,R4=H,R5=H, R6=H, R7=C(O)CH3 (5) II R1=C(O)CH3,R2=OC(O)CH3,R3=H,R4=C(O)CH3, R5=H, R6=H,R7=C(O)CH3 (6) II R1=C(O)CH3,R2=OC(O)CH3,R3=H,R4=C(O)CH3 R5=C(O)CH3,R6=H,R7=C(O)CH3 (7) III R1=C(O)CH3,R2=OC(O)CH3,R3=H,R4=C(O)CH3 R5=OC(O)CH3,R6=OH,R7=OC(O)CH3 (8) VII R1=C(O)CH3,R2=OC(O)CH3,R3=H,R4=C(O)CH3, R5=OC(O)CH3,R6=OH,R7=OC(O)CH3 (9) IV R1=C(O)CH3,R2=OSi(CH2CH3)3, R3=Si(CH2CH3)3 (10) IV R1=C(O)CH3,R2=OH,R3=H (11) VI R1=C(O)CH3,R2=OSi(CH2CH3)3,R3=OH, R4=Si(CH2CH3)3 (12) V R1=C(O)CH3,R2=C(O)CH3 (13) VI R1=C(O)CH3,R2=OSi(CH2CH3)3, R3=OSO2CH3,R4=Si(CH2CH3)3
【0007】タキソールの構造の複雑さ、及びタキソー
ルの構造とその活性の関係が十分に理解されていないた
め、タキソールの誘導体がどのように働くのか予測する
ことは困難又は不可能である。さらに、タキソールの構
造の複雑さは、反応生成物の構造の予測を同じく困難に
している。本発明は、これらの問題の解決を、タキソー
ルと異なるレベルではあるが、インビボ活性を保持して
いる、縮小されたA環を有するタキソール(構造式 IV
)、縮小されたA環及び開裂したオキセタン環を有す
るタキソール(構造式 III)又は開裂したオキセタン環
を有するタキソール(構造式II)を合成することをとお
して図るものである。縮小されたA環構造を有するタキ
ソール誘導体(他に、A-Nor-タキソール(10)として好ま
しい実施態様に記載されている)は、タキソールより
も、完全合成が容易である。その理由は、ジテルペノイ
ド構造の架橋されたビシクロ部分が縮合されているから
である。さらに、チュービュリン解重合アッセイ法にお
いて、A-Nor-タキソールが、タキソールのインビボ活性
と極めて近いインビボ活性を有することが見出されてい
る。したがって、A-Nor-タキソール(10)は、タキソール
(1) とほぼ同じ方法で使用することができる。オキセタ
ン環(タキソール(1) におけるD環)は、求電子試薬と
の反応により環を開裂させることが可能であると考えら
れ、そのため初期の実験は、求電子試薬として臭化亜鉛
を使用して、タキソールのオキセタン環を開裂させるこ
とが試みられた。タキソール(1) は、常温においてメタ
ノール中で臭化亜鉛と結合するが、このオキセタン環は
開裂せず、このタキソールが、単にC-7 ヒドロキシル基
のエピマー化及びC-10アセチル基の分解を受け、7-エピ
タキソール(2) 及び10-デアセチル-7- エピタキソール
(3) を生成する。
【0008】メタノール中で臭化亜鉛によって作り出さ
れる比較的穏やかな条件を選択した。その理由は、他の
求電子試薬及び他の溶媒によって作り出される活発な条
件では、分子の生物活性を有する部分の一部又は全部が
破壊されてしまい、実質的に生物学的活性がないタキソ
ール誘導体しか得られないと考えられるからである。し
かし、驚くべきことに、タキソールを異なる求電子基で
処理すると、タキソール構造の異なる部分の転位が得ら
れ、そのうち若干の生成物がインビボ活性を維持してい
ることが見出された。これを詳細に述べると、タキソー
ルを強い求電子試薬、トリエチルオキソニウムテトラフ
ルオロボレート(Meerwein の試薬) と反応させることに
より、開裂したオキセタン環を有するタキソール誘導体
(4) が得られたのである。タキソールをアセチルクロリ
ドと反応させると、オキセタン環が開裂した生成物(7)
が得られたが、そのA環は縮小されなかった。保護した
タキソール(11)をメシルクロリドで処理し、続いて、脱
保護することにより、縮小されたA環を単独で有するタ
キソール誘導体、A-Nor-タキソール(10)が得られた。
【0009】さらに驚いたことには、KB細胞培養アッセ
イ法で測定した結果、これらの転位型タキソール化合物
(4) 、(7) 及び(10)のすべてに様々な段階のインビボ活
性が保持されていたことである。また、A-Nor-タキソー
ル(10)は、チュービュリン解重合アッセイ法において、
タキソールと非常に近い活性を示し、かつ、アセチルク
ロリド生成物(7) 及び Meerwein 生成物(4) よりも高い
インビボ活性を示した。したがって、本発明のタキソー
ル誘導体によって示される活性の範囲から、これらのタ
キソール誘導体が生物学的試験の標準物質として使用す
るのに理想的なものであることがわかる。さらにA-Nor-
タキソール(10)及びアセチルクロリド生成物(7) は、タ
キソールの合成を行うよりも簡単に合成できる。その理
由は、A環及びB環が生成物において、架橋するよりも
むしろ縮合するからである。ここで注意すべきなのは、
タキソールにおいてA環とB環との架橋結合を行わせ
て、合成することは極めて困難なことである。したがっ
て、本発明は、タキソール(1) とタキソール誘導体と比
較して、化合物の活性を測定する場合に研究者にとり極
めて有用な方法を含み、この方法はさらに別の利点を有
するものである。その理由は、供給が不足し、かつ高価
なタキソールをコントロール又は標準物質として使用す
る必要がないということである。
【0010】好ましい方法は、タキソールと比較した生
物学的活性を保証するために試験を行わなければならな
い、新しい化合物又は工程線の医薬となる化合物に、標
準物質として化合物(4) 、(7) 及び(10)を並行に使用し
て、生物学的活性評価を行うものである。その理由は、
それぞれ相互、ならびにタキソールと比較した、化合物
(4) 、(7) 及び(10)の相対的な生物学的活性が知られて
いるからである。タキソールに対する化合物の相対的な
生物学的活性の試験を、信頼できる方法で行うことがで
きる。したがって、化合物(4) 、(7) 及び(10)を細胞毒
剤として有用なものとしている、これら化合物のインビ
ボ活性に加えて、さらに、これらの化合物は、タキソー
ルの限られた供給を広げて行くのに有用である。その理
由は、本発明の方法が、一般に、細胞毒剤として使用さ
れている、あるいは人の抗癌剤又は抗白血病薬として使
用されている他の化合物を試験する場合に、タキソール
を新たな化合物と換えられるからである。
【0011】
【実施例】具体的な反応方法を、下記の発明の制限を意
図しない実施例において、さらに詳細に説明する。ここ
で使用する方法は、一般に、Journal of Organic Chemi
stry (51, pp.797-802 (1986))に開示されているもので
ある。低分解能マススペクトルデータは、VG 7070 E-HF
質量分析計で得た。精密な質量測定は、次の施設で行っ
た:Midwest Center for Mass Spectrometry, NSF Regi
onal Instrumentation Facility (Grant Che-8211164)
。下記の発明の制限を意図しない実施例における用語
「標準的操作」とは、適当な溶媒(通常、エチルアセテ
ート又はメチレンクロリド)で抽出し、水で抽出物を洗
浄し、硫酸マグネシウム又は硫酸ナトリウム上で乾燥
し、かつ真空中で蒸発させる操作である。ここで使用す
るすべての技術及び科学用語は、通常、当業者に理解さ
れているのと同じ意味を有するものである。ここに記載
されている方法及び物質と類似し又は同等な他の方法及
び物質を、本発明の実施又は試験において使用すること
ができる。
【0012】〔実施例1〕タキソール(1) を臭化亜鉛(Z
nBr2) と下記のように反応させた:CHCl3:MeOH(1:4) 10
ml 中で、タキソール100 mg(0.117 mmol)に、 ZnBr2
3.3g(0.41 mmol) を加え、40℃で24時間攪拌した。この
混合物に水を加え、前記"方法 "で定義した標準的操作
により白色の固形物を得た。この固形物をクロマトグラ
フィーで精製し、2種の化合物を得た。下記公開データ
と比較して、これらの化合物を7-エピタキソール(2) 及
び10- デアセチル-7- エピタキソール(3) と確認した:
Journal of Natural Products, 49, pp.665-669 (198
6) 及びJournal of Natural Products, 44, pp.312-31
9 (1981) 。この化合物(2) 及び(3) は、この方法より
も前にMcLaughlinらにより、Journal of Natural Produ
cts, 44, pp.312-319 (1981) に開示されている。本発
明もこのような方法で行うのであるが、さらに強い反応
条件を試み、オキセタン環を開裂する必要があった。こ
のより強い条件は、タキソール構造の他の部分を、得ら
れた化合物が実質的な生物学的活性を欠いている形態
に、変化させてしまう危険を含むものであった。
【0013】〔実施例2〕タキソール(1) をMeerweinの
試薬と下記のように反応させた:ジクロロメタンを溶媒
とするタキソールの溶液を、乾燥ジクロロメタンにタキ
ソール100 mg(0.117 mmol)を加えることにより調製し
た。このジクロロメタンを溶媒とするタキソールの溶液
に、トリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート 2
00μl (1 M, CH2Cl2) を、新たに開けたボトルから滴下
する間、冷却し、攪拌した。これらの条件を 30 分間維
持し、時間経過後、この反応を、エーテルを含んだ HCl
3 ml(1N HCl:エーテル = 1:2 の混合物) を加えるこ
とにより止め、次いで、10分間攪拌した。標準的操作で
粗製固形物が得られ、この固形物をさらにフラッシュク
ロマトグラフィー及び PTLC により精製し、開裂したオ
キセタン環を有するタキソール化合物(4) 53 mg (51
%) (Meerwein 生成物) を得た。Meerwein生成物(4) の
試料に NMR, MS及び IR (KBr) を行い、かつ融点を測定
し、表2及び3 に示す特性表示データ及び NMRデータを
得た。
【0014】
【表2】 表 2 タキソールとMeerweinの試薬との反応から得られる 生成物(4)の特性表示データ 融点 160−164℃(非晶質固体) IR(KBr)cm-1 1745(s), 1670(m), 1535(w), 1505(w), 1474(w), 1395(m), 1120(m), 1080(m), 1060(m), MS(FAB)m/z 872(MH+ ,100), 854(MH+ ,H2O) 高分解能マススペクトル 計算値(MH+ )872.3493; 測定値 872.3463 ────────────────────────────────────
【0015】
【表3】 表 3 タキソールとMeerweinの試薬との反応生成物C47H54NO15(4) のNMRデータ 炭素の位置 1Hシフト(TMS からのPPM ) カップリング Hertz 2 5.56(d,6) 3 4.03(3,6) 5 3.70(br s) 6 a 7 4.49(dd 4,11) 10 6.57(s) 13 6.01(br dd,4,11) 14 2.45(dd,11,16) 3.08(dd,4,16) 15 16 1.12(s) 17 1.12(s) 18 2.10(s)b 19 1.22(s) 20 3.85(ABq,11 ▲vAB=86) 2′ 4.70(br s) 3′ 5.92(dd,2,9) NH 7.19(br d,9) OAc 1.65(s) 2.25(s) 2−OBz 8.03(m) 7.3−7.6 (m)c 3′−NBz 8.03(m) 7.3−7.6(m)c 3′−Ph 7.3−7.6(m)c OH 3.91(s) ──────────────────────────────────── a.メチル基からのシグナルの下に隠れているピーク b.デカップリング試験による測定 c.重複するピーク
【0016】〔実施例3〕Meerwein生成物(4) を次のよ
うにアセチル化した:Meerwein生成物(4) 5 mg(0.0057
mmol) を、ピリジン 100μl に溶かし、この溶液にアセ
チルクロリド(過剰)300 μl 加え、その溶液を室温に
30分間維持し、60℃で1時間加温し、次いで水で反応を
止めた。標準的操作で得た粗製物質を、PTLCで精製し、
クロマトグラフィー的に均一な 2',7-ジアセチル-D-sec
o-タキソール(5) 3 mg (55 %) を得た。構造を 1H NMR
で確認した。 〔実施例4〕2',7- ジアセチル-D-seco-タキソール(5)
を次のようにアセチル化した:2,7-ジアセチル-D-seco-
タキソール(5) (0.008 mmol)をテトラヒドロフラン(TH
F) 750 μl に溶かし、この溶液にジシクロヘキシルカ
ルボジイミド(5 mg, 2.5eq)、酸無水物 4μl(5 eq) 及
び触媒量のピロリジノピリジンを加えた。この溶液を攪
拌し、その溶液を60℃で 7.5時間加熱し、次いで溶媒を
蒸発させ、その残渣をエチルアセテートに抽出した。標
準的操作で得た粗製混合物を、1% MeOH/CHCl3を用いてP
TLCで精製し、2', 5, 7- トリアセチル-D-seco-タキソ
ール(6) 3mgを得た(収率38 %, 転換率 63 %)。特性
表示データを表4に、NMR データ構造を表5に示した。
【0017】
【表4】 表 4 2′,5, 7−トリアセチル−D−Seco−タキソール(6)の特性表示データ IRcm-1 1740(s), 1720(s), 1676(m), 1625(s), 1225(s) MS(FAB)m/z 998(MH+ , 13) 980(MH+ ,12) 936(6) 848(23),(相対強度) 650(100).
【0018】
【表5】 表 5 2′, 5,7−トリアセチル -D-Seco-タキソール(6) のNMR データ 炭素の位置 1Hシフト(TMSからのPPM) カップリング Hertz 2 5.63(d,5) 3 4.04(d,5) 5 5.26(m)c 6 a 7 5.43(dr d,9) 10 6.42(s) 13 6.03(m) 14 2.40(dd,9,15) 3.07(dd,5,15) 15 16 1.13(s) 17 1.11(s) 18 2.24(s) 19 1.38(s) 20 4.01(ABq,12 ▲vAB=57) 2′ 5.26(m)c 3′ 6.12(dd,3,10) NH 7.20(br d,9) OAc 1.98(s),2.13(s), 2.16(s),2.19(s), 2.20(s) 2−OBz 8.20(m) 3′−NBz 7.8(m) 3′−Ph 7.2−7.6(m)c OH a.メチル基からのシグナルの下に隠れているピーク b.デカップリング試験による測定 c.重複するピーク
【0019】〔実施例5〕Meerwein生成物(4) を 2,2 -
ジメトキシプロパンで次のように処理した:Meerwein生
成物(4) 6 mg(0.007 mmol)と2,2 - ジメトキシプロパン
200μl とを、触媒量の p- トルエンスルホン酸ととも
に、乾燥ジクロロメタン 500μl に加え、1時間攪拌し
た。標準的操作で粗生成物が得られ、これをさらにPTLC
で精製し、純粋なアセトニド(12)(構造式 V)6 mg(95
%) を得た。このアセトニド(12)の構造を 1H NMR 及び
質量分析計によって確認した;MS(FAB) m/z (相対強
度):916 (MNa+ , 100), 855 (MNa+ -HOAc-H, 25), 83
2 (MNa+ -CH3CO-C3H5, 50), 761(40) 。 1H NMR のデー
タを表6に示した。
【0020】
【表6】 表 6 Meerwein生成物(4)のアセトニド(12)のNMRデータ 炭素の位置 1Hシフト (TMSからのPPM) カップリング Hertz 2 5.34(d,8) 3 3.06(d,8) 5 4.34(m) 6 6 ax1.95(ddd 5,11,15)b 6 eq 2.36(ddd) 2,5,15) 7 4.48(dd,5,11) 10 6.38(d,2) 13 5.68(d,2) 14 2.57(AB Part of ABX,9,14 ▲vAB=62) 15 16 4.67(s),4.75(s) 17 1.63(s) 18 1.67(s)b 19 1.62(s) 20 4.15(ABq,12,▲vAB=26) 2′ 4.50(d,3) 3′ 5.60(dd,3,8) NH 6.98(br d,8) OAc 1.83(s),2.17(s) 2−OBz 8.10(m) 7.3−7.4(m) c 3′−NBz 7.73(m) 7.3−7.4(m) c 3′−Ph 7.3−7.4(m) c OH 他 1.30(s) d 1.33(s) a.メチル基からのシグナルの下に隠れているピーク b.デカップリング試験による測定 c.重複するピーク d.アセトニドのメチル基のシグナル
【0021】〔実施例6〕タキソール(1) をアセチルク
ロリドと下記の条件下で反応させた:タキソール 200 m
g(0.23 mmol)をアセチルクロリド 2 ml に溶かし、この
溶液を1時間還流した。この反応を氷水とエチルアセテ
ートで止め、30分間攪拌した。標準的操作で白色固形物
が得られた。この白色固形物をエチルアセテートとヘキ
サンから再結晶させ、アセチル化A-Nor-D-seco- タキソ
ール(7) (構造式 III)を、白色針状結晶体として得た
(156 mg, 68%) 。アセチル化A-Nor-D-seco- タキソール
(7) の特性表示データを表7に、 NMRデータを表8に示
した。
【0022】
【表7】 表 7 アセチル化A-Nor-D-seco−タキソール(7)の特性表示データ 融点 140−142℃ IR(CHCl3)cm-1 1750(s), 1660(m), 1606(m), 1372(m), 1282(m), 1156(m) MS(FAB)m/z 1002(MNa+ ,35), 676(MNa + −側鎖,15), 616(675-HOAC, 30), 554(676-PhCOOH, 20), 494(616-PhCOOH, 30), 411(24), 3722(4), 177(100) 高分解能マススペクトル 計算値C53H57NO17Na(MNa+ )=1002.3524; 測定値 1002.3557
【0023】
【表8】 表 8 アセチル化A-Nor-D-seco- タキソール(7) のNMRデータ 炭素の位置 1Hシフト (TMSからのPPM) カップリング Hertz 2 5.34(d,7) 3 3.54(d,7) 5 5.28(br s) 6 a 7 5.54(dd,4,13) 10 6.38(s) 13 5.67(t,7) 14 2.64(m) 15 16 4.69(s),4.82(s) 17 1.62(s) 18 1.82(s) 19 1.53(s) 20 4.15(ABq,12,▲vAB=55) 2′ 5.52(d,2) 3′ 6.02(dd,2,9) NH 7.03(d,9) OAc 1.85(s),2.00(s), 2.13(s),2.17(s), 2.22(s) 2−OBz 7.93(m), 7.2−7.9(m) c 3′−NBz 7.85(m) 7.2−7.9(m) c 3′−Ph 7.2−7.9(m) c OH 3.75(s) a.メチル基からのシグナルの下に隠れているピーク b.デカップリング試験による測定 c.重複するピーク
【0024】〔実施例7〕Meerwein生成物(4) をアセチ
ルクロリドと下記の条件下で反応させた:Meerwein生成
物(4) 50 mg(0.057 mmol) を CHCl3に溶かし、この溶液
にピロリジノピリジン 3 mg (反応を触媒するのに十分
な量)と過剰なアセチルクロリド(5 eq)を加えた。次い
で過剰なトリエチルアミンを攪拌した溶液に室温で滴下
した。赤く発色し、この色はさらにアセチルクロリドを
加えると消えた。単一の主要な生成物が得られるまで、
さらにトリエチルアミン及びアセチルクロリドを加え
た。5時間の総反応時間経過後、水 3 ml を加えること
により反応を止め、30分間攪拌した。標準的操作に続
き、3 N HCl で洗浄した。いくつかの生成物からなる混
合物をPTLCにかけ、主要な成分として白色固形物(18%)
を10 mg を得た。 1H NMR 、質量分析及び赤外分光測定
を行い、この化合物が実施例6のアセチル生成物、アセ
チル化A-Nor-D-seco- タキソール(7) であることを確認
した。
【0025】〔実施例8〕このアセチル化A-Nor-D-seco
- タキソール(7) を下記の方法で水素化して、そのジヒ
ドロ誘導体(8) (構造式 VII)を得た:アセチルクロリ
ド生成物(7) 24 mg(0.023 mmol) をエチルアセテート
2.5 mlに溶かし、Pd/H2 により水素化した。24時間経過
後、触媒を濾別し、溶媒を蒸発させて、生成物と未反応
出発物質からなる粗製固形物を得た。この未反応出発物
質は、生成物から分離できないものであった。この粗生
成物をメチレンクロリドに溶かし、m-クロロペル安息香
酸(58%)により室温で3時間処理し、これにより出発物
質を分離可能なエポキシドに変えた。この溶媒を蒸発さ
せ、4 % MeOH/CHCl3を用いて PTLC にかけ、純粋な水素
化生成物(8) 8 mg(35 %)とともに、ジアステレオマーエ
ポキシドの混合物 11 mgを得た。水素化生成物(8) をエ
チルアセテート及びヘキサンから再結晶させた。特性表
示データを表9に、 NMRデータを表10に示した。
【0026】
【表9】 表 9 ──────────────────────────────────── 水素化アセチル化A-Nor-D-seco−タキソール(8)の特性表示データ ──────────────────────────────────── 融点 148−150℃ IR(KBr)cm-1 1740(s), 1720(m),1640(m), 1220(m), 910(m) MS(FAB)m/z 1004(MNa+ ,100), 962(MNa +−C3H6, 10), (相対強度) 944(MNa + -HOAc, 15) ────────────────────────────────────
【0027】
【表10】 表 10 水素化アセチル化A-Nor-D-seco−タキソール(8)のNMRデータ 炭素の位置 1Hシフト (TMSからのPPM) カップリング Hertz 2 5.17(d,8) 3 3.68(d,8) 5 4.94(br d, 11) 6 a 7 5.54(dd,5,11) 10 6.36(s) 13 5.72(m) 14 2.48(AB Part of ABX, 14, 16 ▲vAB=65) 15 1.60(m) 16 0.76(d,7) 17 0.78(d,7) 18 1.83(s) 19 1.53(s) 20 4.11(ABq, 11 ▲vAB=78) 2′ 5.40(d,3) 3′ 5.95(dd,3,8) NH 7.02(d,8) OAc 1.17(s),1.18(s), 2.00(s),2.13(s), 2.17(s) 2−OBz 7.91(m), 7.2−7.6(m)c 3′−NBz 7.83(m) 7.2−7.6(m)c 3′−Ph 7.2−7.6(m)c OH a.メチル基からのシグナルの下に隠れているピーク b.デカップリング試験による測定 c.重複するピーク
【0028】〔実施例9〕タキソールをイミダゾール及
びトリエチルシリルクロリドと次のように反応させた:
固形イミダゾール 238 mg(10 eq)を、DMF 2.5 mlを溶媒
とするタキソール 200mg(0.234 mmol) を含む溶液に加
えた。この溶液が室温である間に、攪拌したこの溶液に
トリエチルシリルクロリド 196μl(10eq)を加え、次い
で、この溶液を45 〜 50 ℃に加温した。2時間経過
後、この溶液を水で希釈し、エチルアセテートで抽出し
た。溶媒を蒸発させて得られた粗製固形物をシリカゲル
フラッシュカラムで精製し、純粋な 2',7-ビス(トリエ
チルシリル)タキソール(11)(構造式 VI )242 mg(96
%) を得た。特性表示データを表11に、 NMRデータを表1
2に示した。
【0029】
【表11】 表 11 2′,7−ビス(トリエチルシリル)タキソール(11)の特性表示データ 融点 122−123℃ IRcm-1 1740(s), 1720(s), 1660(s), 1640(m), 1240(s), 810(m) MS(FAB)m/z 1104(MNa+ ,100), 1003(30), 981(MNa+ -PhCOOH, (相対強度) 10)
【0030】
【表12】 表 12 2 ’, 7−ビス(トリエチルシリル)タキソール(11)のNMRデータ 炭素の位置 1Hシフト (TMSからのPPM) カップリング Hertz 2 5.71(m) 3 3.88(d,6) 5 4.94(br d, 11) 6 a 7 4.48(dd,6,14) 10 6.44(s) 13 6.20(m) 14 a 15 16 1.22(s) 17 1.18(s) 18 2.02(s) 19 1.70(s) 20 4.27(ABq, 11 ▲vAB=63) 2′ 4.71(d,3) 3′ 5.71(m) NH 7.12(d,9) OAc 2.17(s),2.55(s) 2−OBz 8.12(m) 7.2−7.5(m)c 3′−NBz 7.79(m) 7.2−7.5(m)c 3′−Ph 7.2−7.5(m)c OH 他 0.48(6H,m) c 0.57(6H,m) 0.81(9H,t,8) 0.91 (9H,t,8) a.メチル基からのシグナルの下に隠れているピーク b.デカップリング試験による測定 c.重複するピーク
【0031】〔実施例10〕2',7-ビス(トリエチルシリ
ル)タキソール(11)を、トリエチルアミン及びメシルク
ロリド(メタンスルホニルクロリド)と次のように反応
させた:2',7- ビス(トリエチルシリル)タキソール(1
1) 30 mg(0.028 mmol)を、乾燥メチレンクロリド 3 ml
に加え、アルゴン雰囲気下で−15℃に冷却した。5分間
かけて、トリエチルアミン 600μl (154 eq)及び、次い
でメチレンクロリド1mlに溶かしたメシルクロリド 300
μl (138 eq)を加えた。この混合物を−5〜0℃に温
め、この温度を2.5 時間の総反応時間中維持した。この
時間経過後、出発物質の50%が、 2',7-ビス(トリエチ
ルシリル)A-Nor-タキソール(9) (構造式 IV )に転換
しているのが観察された。この溶液を再び−15℃に冷却
し、トリエチルアミン1ml及びメシルクロリド 500μl
を加えた。この後者の操作をさらに1回繰り返した。こ
の反応を、トリエチルアミン2ml、水5ml及びエチルア
セテート5mlを加えることにより止めた。標準的操作に
より粗製物質を得、これを PTLC によって精製し、2',7
- ビス(トリエチルシリル)A-Nor-タキソール(9) (構
造式 IV )6 mg(20%) を得た。また同時に出発物質 2 m
g と 7- トリエチルシリル A-Nor- タキソール 2 mgが
得られた。メシラート(13)(構造式 VI )は、化合物(1
1)と(9) の間の中間体として形成されると考えられる。
マススペクトロメトリー(m/z) データは次のとおりであ
った:1086 (MNa + ,45), 1064(MH + ,75), 1005(MH +
-OAc,25), 975 (MH + -OAc-CH2O, 15),963 (MH + -OAc-
C3H6,15),820 (MH + -PhCOOH, PhCONH2-H, 100) 。NMR
データを下記の表13に示した。
【0032】
【表13】 表 13 2 ′,7−ビス( トリエチルシリル)-A-Nor- タキソール(9)のNMRデータ 炭素の位置 1Hシフト (TMSからのPPM) カップリング Hertz 2 5.54(d,8) 3 3.53(d,8) 5 5.02(d,8) 6 1.90(m) 7 4.53(dd,8,5) 10 6.39(s) 13 5.81(br t, 7) 14 2.40(m) 2.60(m) 15 16 4.66(s),4.75(s) 17 1.65(s) 18 1.62(s) 19 1.73(s) 20 4.15(ABq, 12 ▲vAB=26) 2′ 4.60(d,2) 3′ 5.64(dd,2,11) NH 7.15(d,11) OAc 2.02(s),2.40(s) 2−OBz 8.01(m) 7.2−7.5(m)c 3′−NBz 7.70(m) 7.2−7.5(m)c 3′−Ph 7.2−7.5(m)c OH 他 0.38(6H,m)e 0.60(6H,m) 0.75(9H,t,8) 0.90 (9H,t,8) a.メチル基からのシグナルの下に隠れているピーク b.デカップリング試験による測定 c.重複するピーク e.TES基のエチル基のシグナル
【0033】〔実施例11〕2',7-ビス(トリエチルシリ
ル)A-Nor-タキソール(9) を、ピリジニウムヒドロフル
オリドと次のように反応させた:2',7- ビス(トリエチ
ルシリル)A-Nor-タキソール(9) 67 mg(0.07 mmol)を、
アルゴン雰囲気下で乾燥 THF 1 ml に溶かした。この溶
液を0℃に冷却し、ピリジニウムヒドロフルオリド 100
μl (70%, ピリジン)を加えた。3時間経過後、冷浴
から取り出し、この反応がさらに45分間、室温で進むよ
うにした。この反応を水溶性ピリジン2ml(10 % V/V
ピリジン)を用いて止めた。標準的操作により得られた
粗製固形物を、溶離剤として8 % MeOH/CHCl3を用い、PT
LCにより精製した。A-Nor-タキソール(10)を、収率 55
% (29 mg) で、白色固形物として得た。なお、ここでピ
リジニウムヒドロフルオリドの代わりにテトラブチルア
ンモニウムフルオリドを使用した場合、シリルエーテル
(9) を脱保護することにより、いくつかの生成物からな
る混合物が得られたことを特に記載しておく。マススペ
クトロメトリーデータ、m/z (相対強度)は次のとおり
であった:836(MH+,100), 776(MH + -HOAc, 30), 551
(836-側鎖-H, 10), 307 (20) ;高分解能マススペクト
ルは、C47H50NO13(MH + )の計算値が 836.3282 で、測
定値が 836.3272 であった。 1H NMR のデータを下記の
表14に示した。
【0034】
【表14】 表 14 A-Nor-タキソール(10)の1H NMRデータ 炭素の位置 1Hシフト (TMSからのPPM) カップリング Hertz 2 5.49(d,8) 3 3.48(d,8) 5 5.04(d,8) 6 1.86(dd,11,15); 2.59(ddd,8,9,15) 7 4.63(dd,9,11) 10 6.32(s) 13 5.71(m) c 14 2.04(dd,8,13) 2.42(dd,13,6) 15 16 4.69(br s) 4.76(br s) 17 1.59(s) 18 1.61(s) 19 1.64(s) 20 4.24(ABq, 8,▲vAB=34) 2′ 4.67(d,2) 3′ 5.71(dd,11,2) c NH 6.89(d,11) OAc 2.17(s),2.36(s) 2−OBz 8.10(m) 7.2−7.6(m)c 3′−NBz 7.66(m) 7.2−7.6(m)c 3′−Ph 7.2−7.6(m)c OH a.メチル基からのシグナルの下に隠れているピーク b.デカップリング試験による測定 c.重複するピーク
【0035】〔タキソール誘導体の生物学的活性試験〕
タキソール(1) 、Meerwein生成物(4) 、アセチルクロリ
ド生成物(7)及びA-Nor-タキソール(10)を、KB細胞培養
アッセイ法で試験した。すべてのサンプルは、表15に示
すようなインビボ活性を示した(インビボ活性で4.0 未
満の ED50(μl/ml) を示していることに注意)。タキソ
ールは、抗癌剤として大きな潜在性を示しており、その
結果、これらの化合物は細胞毒剤としてタキソールと同
様な形態で使用することができる。
【0036】
【表15】 表 15 KB細胞培養における変性タキソールの生物学的活性 化合物 ED50(μq/ml) 細胞培養 タキソール(1) 0.00001 Meerwein生成物(4) 2.3 アセチルクロリド 生成物(7) 2.5 A-Nor-タキソ-ル(10) 2.0 また、タキソール(1) 、Meerwein生成物(4)、アセチル
クロリド生成物(7) 及びA-Nor-タキソール(10)でチュー
ビュリン解重合アッセイ法を行い、その結果を表16に示
した。
【0037】
【表16】 表 16 チュービュリン解重合アッセイ法におけるインビトロ活性 化合物 チュービュリン解重合アッセイ法 におけるID50(μM) タキソール(1) 0.3 Meerwein生成物(4) >6.3 A-Nor-タキソ-ル(10) 0.9
【0038】特に注意すべき点は、チュービュリン解重
合アッセイ法において、A-Nor-タキソール(10)がタキソ
ールと極めて近い活性を有することである。A-Nor-タキ
ソール(10)の構造は縮合したA環を有するので、完全合
成に関しタキソールよりも、さらに適当な化合物であ
る。さらに、A-Nor-タキソールは細胞毒性であり、チュ
ービュリン解重合アッセイ法においてタキソールに近い
インビトロ活性を有することが見出されたので、A-Nor-
タキソール(10)は、タキソール(1) に非常に類似する生
物学的活性の機序を有するであろうと考えられる。表15
において、A-Nor-タキソール(10)、Meerwein生成物(4)
及びアセチルクロリド生成物(7) のインビボ活性が、そ
れぞれ 2.0、2.3 及び 2.5であることに注意して頂きた
い。この範囲のインビボ活性を有することから、これら
の化合物は他の化合物の試験に有用なものであり、タキ
ソール標準物質に対する必要を無くすものである。これ
らの化合物の相対的なインビボ活性が現在明らかになっ
ているので、未知の化合物の生物学的活性を、何らかの
公開されたデータを参照することなく、また標準物質と
してタキソールを使用することなく、これらの化合物と
の関連において測定することができる。
【0039】未知の化合物の生物学的活性試験、又はタ
キソール誘導医薬の試験の好ましい方法には、生物学的
活性試験において未知の試料の処理を行い、同時に次の
A-Nor- タキソール(10)、Meerwein生成物(4) 及びアセ
チルクロリド生成物(7) の少なくとも1種、好ましくは
すべてを、同じ条件下で処理することが含まれている。
未知の試料の結果を、生成物(4) 、(7) 及び(10)の結果
と比較することにより、未知の試料のインビボ活性を測
定することができる。本発明の化合物が示した生物学的
活性からすると、化合物(4) 〜(12)が抗新生物剤、抗白
血病剤及び抗癌剤、ならびにそのプロドラッグ(また
は、中間体として)直接有用であると考えられる。そし
て、これらのそのような使用を本発明の一部であると考
える。本発明の転位型タキソール化合物の予期される同
等物には、縮小されたA環、開裂したオキセタン環、又
は縮小されたA環と開裂したオキセタン環とを有する転
位型タキソール化合物が含まれ、これらの化合物は、非
干渉性の基(例えば、本発明の転位型タキソール化合物
の所望の特性を厳格に変えてしまうものではない置換基
である。)と置換した1個以上の側鎖又は環状の置換基
を有するものである。このような置換基には、これだけ
に制限するものではないが、他の非干渉性の部分に対
し、-H, -OH, -OR, -NR, -Ar, -OC(O)CH3-, Ph-O-, Ph-
N- 又は= O の置換がある。これまでに教示した事項か
ら、本発明の多くの改良及び変更が可能なことは明らか
である。したがって、本発明を、具体的に記載したのと
異なる方法で実施できることが理解できるであろう。
【0040】〔本発明のタキソール化合物及びその誘導
体の構造式〕 〔構造式 I〕タキソール化合物の構造を、一般化して表
現したものである。
【化4】
【0041】〔構造式II〕開裂したオキセタン環を有す
るタキソール化合物を、一般化して表現したものであ
る。
【化5】
【0042】〔構造式 III〕縮小されたA環及び開裂し
たオキセタン環を有するタキソール化合物を、一般化し
て表現したものである。
【化6】
【0043】〔構造式 IV 〕縮小されたA環を有するタ
キソール化合物を、一般化して表現したものである。
【化7】
【0044】〔構造式 V〕タキソールのアセトニド(ace
tonide) の構造を表現したものである。
【化8】
【0045】〔構造式 VI 〕タキソール化合物を別形式
で一般化して表現したものである。
【化9】
【0046】〔構造式 VII〕構造式III の化合物を水素
化した形態を一般化して表現したものである。
【化10】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07F 7/18 A 8018−4H G01N 33/15 7055−2J

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記構造式を有する転位型タキソール化
    合物: 【化1】 (式中、R1はC(O)CH3 、R2は H又はSi(CH2CH3)3 であ
    り、かつR3はH 又はSi(CH2CH3)3 である)。
  2. 【請求項2】 下記構造式を有するタキソール化合物: 【化2】 (式中、R1はC(O)CH3 、R2は H又はOSi(CH2CH3)3、R3
    OSO2CH3 であり、かつR4は H又はSi(CH2CH3)3 であ
    る)。
  3. 【請求項3】 下記構造式を有する転位型タキソール化
    合物: 【化3】 (式中、R1はH 又はC(O)CH3 、R2はH 又はC(O)CH3 であ
    る)。
  4. 【請求項4】 請求項1又は3記載の5員に縮小された
    A環を有するタキソール化合物の製造方法であって、
    (a) タキソールのヒドロキシル化された部分を保護する
    工程;及び、(b) 保護されたタキソールをハロゲン化メ
    シルと反応させる工程を有することを特徴とする製造方
    法。
  5. 【請求項5】 保護された前記タキソールを脱保護し、
    A-Nor-タキソールを生成する工程を有する請求項4記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は3記載の5員に縮小された
    A環を有するタキソール化合物の製造方法であって、
    (a) タキソールをハロゲン化トリアルキルシリルと反応
    させ、タキソールシリルエーテルを生成する工程;及
    び、(b) タキソールシリルエーテルをハロゲン化メシル
    と反応させる工程を有することを特徴とする製造方法。
  7. 【請求項7】 工程(b) に続き、前記タキソールシリル
    エーテルのシリル基を除き、A-Nor-タキソールを生成す
    る工程を有する請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 反応を塩基性の条件で行う請求項6記載
    の方法。
  9. 【請求項9】 ハロゲン化トリアルキルシリルが、トリ
    エチルシリルクロリドであり、ハロゲン化メシルが、メ
    シルクロリドである請求項6記載の方法。
  10. 【請求項10】 工程(c) を、シリル化A-Nor-タキソー
    ルをピリジニウムヒドロフルオリドと反応させることに
    より行う請求項7記載の方法。
  11. 【請求項11】 請求項3記載の転位型タキソール化合
    物の製造方法であって、タキソールとオキソニウム化合
    物とを反応させ、開裂したオキセタン環を有するタキソ
    ール化合物を生成する工程、及びp-トルエンスルホン酸
    の存在下で、前記開裂したオキセタン環を有するタキソ
    ール化合物をジメトキシプロパンと反応させる工程を有
    することを特徴とする製造方法。
  12. 【請求項12】 オキソニウム化合物が、トリエチルオ
    キソニウムテトラフルオロボレートである請求項11記載
    の方法。
  13. 【請求項13】 化合物の生物学的活性を測定する方法
    であって、生物学的活性試験において未知の化合物を処
    理する工程、ならびに請求項1、2及び3のいずれか1
    項記載のタキソール化合物からなる群より選ばれた化合
    物の少なくとも1種を、同じ条件下で処理する工程を含
    むことを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 請求項1又は3記載の5員に縮小され
    たA環を有するタキソールを含む細胞毒剤。
  15. 【請求項15】 タキソール化合物が、完全なオキセタ
    ンD環を有する請求項14記載の細胞毒剤。
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