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JPH0696474B2 - シール機構 - Google Patents
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JPH0696474B2 - シール機構 - Google Patents

シール機構

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JPH0696474B2
JPH0696474B2 JP63185880A JP18588088A JPH0696474B2 JP H0696474 B2 JPH0696474 B2 JP H0696474B2 JP 63185880 A JP63185880 A JP 63185880A JP 18588088 A JP18588088 A JP 18588088A JP H0696474 B2 JPH0696474 B2 JP H0696474B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、メカニカルシールまたはフローティングシー
ルなどで使用されるシール機構に関する。更に詳細に
は、本発明はメカニカルシールまたはフローティングシ
ールなどで使用され、負荷変動時の摩擦特性が安定なシ
ール機構に関する。
[従来の技術] 高温、高圧下で高速度の回転をする軸の部分からの漏れ
を止めると共に、外部からの水、泥、砂等の異物の侵入
を止める機構として、軸に固定され、軸と一緒に回転す
る回転環(従動リング)と、これに相対している固定環
(シートリング)との会合面を摺り合せて漏れないよう
にしたメカニカルシールやフローティングシールなどの
シール機構が、ポンプ、内燃機駆動変速機、装軌式車両
の覆帯を案内する上下の案内ローラ、誘導輪、走行用減
速機等において広く使用されている。
このような従来のシール機構の一例として、油圧ショベ
ル等の走行用下転輪に用いられるフローティングシール
を第4図により説明する。
図において、1は油圧ショベル等のフレーム3にネジ穴
5を介してボルト7により固着される円筒状の固定側ケ
ーシングである。固定側ケーシング1の他端側には回転
側ケーシング9が配設されており、回転側ケーシングの
外周面には覆帯のトラックリンク11が当接される。覆帯
が駆動されると、回転側ケーシング9は軸13の周りを転
動する。回転側ケーシング9の内部には潤滑油15を貯留
するための空間16が設けられている。また、回転側ケー
シング9と軸13との界面には耐摩耗性のスリーブ17が挿
入されている。
さらに、19は前記各ケーシング1,9の相対向する端部1B,
9Bの内周側に装着されたフローティングシールで、該シ
ール19は各ケーシング1,9内の潤滑油が外部に漏洩する
のを防止すると共に、土砂、汚水および雨水等が各ケー
シング1,9内に浸入するのを防止している。
本発明者らは、先に、第5図に示されるようなシール装
置を考案し、出願した(実願昭60−140577号参照)。
図において、21,21は各ケーシング1,9の端部1B,9B内面
側に配設されたシールリングで、該各シールリング21は
アルミニウム合金、亜鉛合金等の耐食性軽合金材料によ
って形成され、軸方向で相対向する面には外周側寄りに
位置して断面コ字形に形成された環状溝21A,21Aが設け
られている。そして、該各環状溝21Aには、SiC,Al2O3,Z
rO,Si3N4等の耐食性、耐摩耗性を有するセラミックス材
料から形成された摺動部材22が弾性接着剤23によって接
合され、摺動シール面を構成するようになっている。ま
た、該各シールリング21の外周面21Bは凹湾曲状で、か
つ軸方向外向きに傾斜して形成され、各ケーシング1,9
の内周面1C,9Cとの間で各Oリング25を挟持したとき、
該各Oリング25の弾性力によって前記各摺動シール面に
押付力を付与し、シール性を与えるようになっている。
このOリングはまた、密接させた摺動シール面に対して
軸振れが伝わるのを緩衝する機能も有する。
このようなセラミックス製の摺動部材を有するシールリ
ングは、従来のモリブデンやバナジウム等の高級材料を
添加した特殊鋳鉄材製シールリングに比べて、製作費が
安価であり、かつ、摺動面を常時面接触状態に維持でき
る利点がある。
[発明が解決しようとする課題] しかし、セラミックス摺動部材は、高負荷変動、衝撃的
負荷および初期負荷時の異常摩擦による発熱、焼付およ
び摺動面の局部的欠損並びに相手部材の損傷等により使
用範囲が限定されている。
セラミックは高硬度、低弾性、低靱性の微粒子の焼結体
であり、一般的に第6図に示すような断面形状を有す
る。図示されているように、セラミックの表面はミクロ
的には空隙と凹凸が多数存在し、波打ちもある非平滑面
である。
従って、各摺動部材を摺接させると、第7図に示される
ように、回転側摺動部材と固定側摺動部材との摺接面
は、凸部分同士が突き当ったり、凸部が凹部に嵌合した
りする事態となる。このため、負荷により摩擦係数が変
動するので、初期摩擦特性および負荷変動時の摩擦特性
が不安定で、高い摩擦力が局部的に発生し、回転ムラを
起こす。
更に、局部的負荷時に、セラミックの低靱性により、微
細な欠損粒が発生することがあり、これが、摺動シール
面に入ると局部負荷が著しく増大し、時として相手部材
をも損傷させる原因となる。また、セラミックは一般に
低熱伝導物体なので、局部的高摩擦により発生した熱が
拡散または放散し難く、摺動特性の低下や焼付きを起こ
すばかりでなく、Oリングが熱老化し、変形することも
ある。
従って、本発明の目的は負荷変動時の摩擦特性が安定な
シール機構を提供することである。
[課題を解決するための手段] 前記目的を達成するために、本発明のシール機構は、相
対的に回転するケーシングの内面側にそれぞれ配設さ
れ、軸方向で相対向する面が摺動シール面となる一対の
シールリングと、前記シールリングの少なくとも一方に
押圧力を付与する手段とからなるシール機構において、
前記シールリングの少なくとも一方の摺動シール面は、
セラミックス系耐摩耗性摺動部材に無電解メッキ法によ
り鍍着された金属膜により形成されており、前記鍍着金
属膜の膜厚は前記摺動部材の摺動面粗さRmaxの0.5〜3
倍の範囲内である。
本発明のシール機構はメカニカルシールおよび/または
フローティングシールに使用することが好ましい。
[作用] 前記のように、本発明のシール機構はセラミック系耐摩
耗性摺動部材の摺動面に金属膜が鍍着されているので、
鍍着基板となるセラミック摺動部材が本来的に有する高
耐負荷性、高耐摩耗性、低摩擦性および高耐食性等の基
本的特性を十分に発揮しながら、高靱性、高潤滑性、高
耐食性で高熱伝導性の金属膜により摺動特性、耐シール
性、耐久性および信頼性が飛躍的に向上される。
金属膜を無電解メッキ法で形成することが特に好まし
い。無電解メッキされた金属は非晶質のため、セラミッ
クス摺動部材表面への充填・結合性が優れており、しか
も低温度における“なじみ性”の点でも申し分のないこ
とが発見された。無電解メッキ法自体は周知の周知のメ
ッキ方法であるが、シールリングのようなセラミックス
系摺動部材の摺動面に金属膜を形成させる手段として有
効であることは本発明者等により初めて発見された。実
際、従来から金属のセラミック基板への鍍着手段として
無電解メッキ法が使用されてきたのは電気的用途に限ら
れており、摺動部材への適用は本発明が始めてである。
特開昭63−246505号公報には、セラミック製部材の摺動
面に金属被膜潤滑層を形成した摺動部材が開示されてい
る。しかし、この金属被膜潤滑層は、セラミックと金属
との摺動において金属製摺動部材の摺動面の金属がセラ
ミック製部材に移着して形成されるものである。この移
着による金属被膜潤滑層の形成を確実に行わせるため
に、使用する金属摺動部材はMo.Co,Ti,Wを1種類以上、
しかも所定量以上含有しなければならず、また、高温環
境における使用が求められている。従って、この発明で
は「セラミックス部材/移着金属被膜潤滑層/金属摺動
部材」以外の構成は実施不可能である。本発明の「金属
膜」は無電解メッキ法により形成され、移着により形成
されるものではない。従って、特定の組成を有する金属
摺動部材の使用は全く不要である。また、移着を促進す
る必要がないので低温環境でも十分に使用でき、「セラ
ミックス部材/無電解メッキ金属膜/セラミックス部
材」または「セラミックス部材/無電解メッキ金属膜/
金属摺動部材」の何方の構成も可能である。
更に、前記公報の摺動部材において、金属摺動部材とセ
ラミックス製部材とを初めて摺動させる場合、セラミッ
クス製部材の表面には未だ金属被膜潤滑層が形成されて
いない。このため、初期摺動による“かじり”などを防
止するため、セラミックス製部材摺動面の平均表面粗さ
を0.2μm、金属摺動面の平均表面粗さを0.1〜0.2μm
程度にまで仕上げなければならない。本発明の無電解メ
ッキ金属膜は表面を平坦化させるための仕上加工処理は
必須条件ではなく、そのまま使用することもでき、その
表面粗さは6.6〜8.9μm程度であってもよい。同様に、
この発明の摺動部材では初期摺動による“かじり”発生
の防止のために、定常負荷で1kgf/cm2程度の低負荷でし
か使用できない。本発明のシール部材は5kgf/cm2程度の
高負荷でも使用できる。
前記公報によれば、金属摺動部材はセラミックス製部材
との摺動により厚さ0.5μm程度以上の移着金属被膜潤
滑層を形成し続けなければならず、その間、金属摺動部
材は継続的に摩耗し続ける。このため、エンジン部材な
どの金属摺動部材の寿命は比較的短く、頻繁に交換しな
ければならない。本発明では所望の厚さの金属膜を無電
解メッキ法により即座に容易に形成でき、金属摺動部材
の摩耗を必要としないので、金属摺動部材の寿命が損な
われることはない。
前記のように、特開昭63−246505号公報に記載された摺
動部材と本発明のシール機構とは全く異なる。
[実施例] 以上、図面を参照しながら本発明のシール機構の一例に
ついて更に詳細に説明する。なお、下記の実施例におい
て、前述した第4図、第5図に示す従来技術と同一の構
成要素には同一の符号を使用する。
第1図は本発明のシール機構で使用されるシール部材の
一例の概要断面図である。
図示されているように、環状のシールリング21の軸方向
で相対向する面に、断面が略コ字形に形成された環状溝
21Aが設けられていて、この溝内に、弾性接着剤23を介
して平板なリング状の摺動部材22が接合されている。こ
の摺動部材の摺動シール面には金属膜27が鍍着されてい
る。また、シールリング21の外周面21Bは凹湾曲状で、
かつ、軸方向外向きに傾斜して形成されている。
シールリングの材質自体は本発明の必須要件ではない。
アルミニウム合金、亜鉛合金、ダイキャスト、ステンレ
ス等の常用の耐食性金属材料から構成することができ
る。従来のシールリングの形成材料である特殊鋳鉄や鋼
なども使用できる。その他、強化プラスチックまたはエ
ンジニアリングプラスチック等も使用可能である。
摺動部材はSiC,Al2O3,ZrO,Si3N4,サイアロン等の耐食
性、耐摩耗性を有するセラミックス材料から形成されて
いる。セラミックス材料に限らず、その他の耐摩耗性材
料も使用できるが、価格および製造容易性の点からセラ
ミックスが最も好ましい。
摺動部材をシールリングに接合させるための接着剤は例
えば、シリコン系の弾性接着剤等が使用できる。この接
着剤は、摺動部材が受ける荷重応力に応じて弾性変形す
ることができる。シリコン系以外の弾性接着剤も当然使
用できる。このような接着剤は当業者に周知である。本
発明で使用する接着剤は弾性の他に、耐油性および耐熱
性も有することが好ましい。弾性接着剤の使用による効
果は前掲の実願昭60−140577号明細書に詳細に説明され
ている。
金属膜は無電解メッキ法により摺動部材表面に鍍着する
ことが好ましい。無電解メッキ法とは、電気エネルギー
を用いずに金属塩水溶液中の金属イオンを置換反応ある
いは酸化還元反応により、支持体表面に析出させる方法
である。例えば、Ni塩類水溶液中に還元剤を添加し、そ
の還元力によりNiを析出させることができる。Niの他、
Co、Pd、Au、Ag、Sn、Cu、Znなどの金属類も析出させる
ことができる。
還元法無電解メッキにより金属を鍍着すると、母材また
は基板の形状如何に拘わらず、ピンホールのない、しか
も、厚さが殆ど均一であり、耐食性および耐摩耗性に富
む膜が形成される。セラミックス等の不導体および粉末
冶金による製品にも鍍着可能である。金属は前記のよう
な単体金属ばかりでなく、合金類も鍍着させることがで
きる。
還元法無電解メッキの浴組成は金属塩、還元剤、緩衝剤
の3種類から構成されている。金属塩としては、金属の
塩化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、シアン化物などを使
用できる。還元剤としては、次亜リン酸ソーダ、次亜硫
酸ソーダ、無水亜硫酸ソーダ、塩化ヒドラジン、ハイド
ロキノン、ホルマリンなどが使用される。また、緩衝剤
としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、乳酸、
グリコール酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、マロン
酸、グルタル酸、アジピン酸、ギ酸などのアルカリ塩類
の組合せが使用される。これらの濃度に関しては、浴の
操作条件と被メッキ材質に左右されるので、その都度、
最適な濃度を決定する必要がある。
鍍着金属膜の厚さは使用条件によって最適値が決まる
が、一般的には、使用される摺動部材の摺動面粗さRmax
の0.5倍〜3倍の範囲内の厚さであることが好ましい。
鍍着金属膜の厚さが、Rmaxの0.5倍末端である場合、摺
動時に温度が上がり、噛り気味になるので好ましくな
い。一方、鍍着金属膜の厚さが、Rmaxの3倍超の場合、
金属膜の耐久性が低下してくる。
第1図のシール部材は、例えば、第2図(a)に示され
るようなシール機構において左右一対で使用される。図
示されているように、鍍着金属膜27,27同士が摺接され
てシール性を確保している。押圧手段としてのOリング
25は金属、プラスチック、アスベスト、合成ゴムまたは
四フッ化エチレン樹脂等から製造されている。図示され
た例では、両方のシールリングとも鍍着金属膜を有する
が、使用条件によっては固定側また回転側の何れか一方
のリングのみが鍍着金属膜を有するシール機構も実施で
きる。
シールリングの押圧手段は第2図(a)に示されたよう
なOリング形式に限定されない。例えば、第2図(b)
に示されるようなスプリング30で従動リング31を押圧す
ることもできる。このため、回転軸32にはスプリング30
用のストッパー33が螺着されている。図中、34はケーシ
ング、35は固定側シートリング、36および37はパッキン
である。
また、第2図(c)に示されるように、ベローズ38で従
動リング31を押圧することもできる。ベローズ38はスト
ッパー39との間でリングバネ40により固定されている。
ベローズの材質は合成ゴム、四フッ化エチレン樹脂、金
属などである。第2図(b)および(c)に図示された
ものは従動リングを押圧しているが、固定側のシールリ
ング35を押圧することもできる。押圧手段としては、そ
の他、磁力、流体圧力等も使用できる。
第2図(a)〜(c)に示されたように、本発明のシー
ル機構で使用されるシール部材の形状は用途および/ま
たはシール機構の具体的構成に応じて適宜変更すること
ができる。メカニカルシールの分類については、鷲田彰
著「新・メカニカルシール」,日刊工業新聞社,昭和57
年12月25日発行,p.6〜p.27に詳細に記載されているので
参照されたい。
第2図(a)に示された本発明のシール機構の摺動部の
温度変化の状況を測定した。
Al2O3からなるリング状セラミック板(厚さ:1.5mm)4
枚にNiを無電解メッキした。メッキ浴の組成は硫酸Ni30
g/1,次亜リン酸ソーダ12g/1,酢酸ソーダ60g/1,温度95〜
98℃,pH5.6であった。メッキ結果を下記の表1に要約し
て示す。
No.1および2のセラミックス板に鍍着された金属膜の膜
厚は摺動面粗さ(Rmax)の約2.15倍〜0.93倍であり、本
発明の範囲内である。これに対して、No.3および4のセ
ラミックス板に鍍着された金属膜の膜厚は摺動面粗さ
(Rmax)の約0.38倍〜0.32倍であり、本発明の範囲外で
ある。従って、No.1および2のセラミックス板を組合わ
せて第2図(a)に示されるような本発明のシール機構
を構成し、No.3および4のセラミックス板を組合わせて
比較例のシール機構を構成した。ケーシング間の間隙が
4.0mm、負荷面圧が0.4〜0.5MPa、相対回転速度が1.3m/s
の試験条件下で18時間にわたってシール試験を実施し
た。シールリングの外周面側からセラミックス板に達す
る孔を穿設し、熱電対の先端がセラミックス板に当接さ
れるように、この孔内に熱電対を挿入することにより回
転中の摺動面の温度変化を測定した。測定結果を下記の
表2に要約して示す。
表2に示された結果から明らかなように、本発明のシー
ル機構で使用されるシール部材の鍍着金属膜のメッキ厚
さ8および14μmであり、鍍着後に鍍着金属膜表面の平
坦化仕上げ処理が施されていないので、メッキ表面粗さ
Rmax6.6および8.9μmであり、その摺動面の平坦度が40
および18μmと相当に悪いにも拘わらず、試験終了時点
で油漏れ、焼付き、その他の損傷が全く無く、メッキ膜
も摺動面全体に亙って残存していた。また、試験開始直
後から急激な温度上昇が無く、最大約3.0℃の変動で安
定的に上昇し、僅か2時間40分で定常状態に入ってい
る。これに対して、比較例のシール部材はメッキ膜厚が
1.5μmと薄く、セラミックス摺動部材の表面の凹凸を
カバーできないため、試験開始直後から6時間に亙って
短時間内の温度上昇に加え、長時間(1〜1.5時間)の
温度変化が見られる。しかし、メッキ膜を有しない板同
士のシール部材に見られるような急激な温度変化(約15
0〜200℃)がなく、比較的に小幅な変動にとどまってい
る。これは、1.5μm厚ではあるが、セラミックス摺動
部材の凹凸部全面に亙ってほぼ均一にメッキされている
ため、局部的な当接の防止および熱拡散が行われ、更
に、負荷による接触面の変化に対応しているためと思わ
れる。試験開始初期時に凸部接触面のメッキ金属が摩耗
し、凹部に入ったものと思われる。摩耗金属粉が小さ
く、比較的柔らかいため、接触面の損傷を防ぎ、試験時
間の経過とともに接触面が拡大し、6時間程度で安定状
態に至ったと推定される。
前記の試験では負荷条件が一定であるが、急激な高面圧
や回転運動に際しては、局所摺動面の高面圧を防止でき
ないことも予想されるので、ある程度のメッキ厚が必要
と推定される。しかし、平均的な高面圧、高速摺動に対
するセラミックスの特性を生かすためには、メッキ厚さ
はできるだけ薄いほうが好ましい。
前記のNo.1およびNo.2の本発明のシール部材からなるシ
ール機構と、メッキ膜を有しないAl2O3セラミックス摺
動部材からなるシール部材を用いたシール機構とを第4
図に示されるようなフローティングシールとして使用
し、摺動面の温度変化を測定した。温度の測定方法は前
記の試験と同じ方法を使用した。ケーシングの基準間隔
は3mmであり、シールセット荷重は80〜100kg、回転速度
は240rpmとした。これを、5分間正転−5分間逆転−5
分間逆転−5秒間停止−5分間正転のサイクルで10時間
に亙って繰り返した。測定結果を第3図に示す。
図から明らかなように、本発明のシール部材を使用した
フローティングシールの場合、試験開始後、異常な温度
変化などを示すことなくスムーズにサチュレート温度
(97.5℃)に達する。これに対して、メッキ膜を有しな
い対照例のシール部材からなるフローティングシールの
場合、試験開始直後からシャリシャリという摩擦音が出
始め、急激な温度上昇が起こり、145℃にまで達した。
この間、ずっとシャリシャリという摩擦音が継続し、温
度の低下につれてこの摩擦音も消えていった。その後、
徐々にサチュレート温度(97.5℃)に達した。
なお、前記実施例ではシールリングに無電解メッキを施
すことを中心に説明してきたが、セラミックスベアリン
グに無電解メッキを施して摺動特性を改善させることも
できる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明のシール機構はセラミック
スのような耐摩耗性材からなる摺動部材の表面に無電解
メッキ法により金属膜を鍍着させ、この鍍着金属膜を摺
動シール面として使用する。このため、鍍着基板となる
セラミックス摺動部材が本来的に有する高耐負荷性、高
耐摩耗性、低摩擦性および高耐食性等の基本的特性を十
分に発揮しながら、高靱性、高潤滑性、高耐食性で高熱
伝導性の金属膜により摺動特性、耐シール性、耐久性お
よび信頼性が飛躍的に向上される。
このような無電解メッキ金属膜を有するシール部材はそ
の表面の平坦度が悪くても摺動特性を著しく向上させる
ことができる。従って、本発明ではメッキ後の鍍着金属
膜表面の平坦化仕上加工処理を省略することができる。
セラミックス摺動部材の表面はミクロ的には微小な空隙
や凹凸が多数存在する。従来のセラミックス摺動部材だ
けからなるシール部材は、このセラミックス表面の空隙
や凹凸により摺動特性が劣化されていた。本発明では無
電解メッキによりこのセラミックス表面の空隙を充填
し、更に、凸部をメッキ膜中に埋没させてしまう。
このため、本発明のシール機構は泥水中など、使用条件
が過酷な場所におけるメカニカルシールあるいはフロー
ティングシールに使用することが好ましい。特に、フロ
ーティングシールはケーシングの隙間から異物が侵入し
やすい。一旦摺動面に入った異物は長時間に亙って摺動
面を荒らすこととなる。これに対して、本発明のシール
部材では、万一、微小な異物がケーシングの隙間からメ
ッキ膜の摺動シール面に侵入しても、異物に比べてメッ
キ膜の方が軟質なので、異物はメッキ膜中に埋め込まれ
てしまい摺動面を荒らす恐れが軽減される。
特に実験より確認されたわけではないが、本発明のシー
ル機構は潤滑性に優れているので、宇宙空間における無
潤滑摺動面に最適に使用することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のシール機構で使用されるシール部材の
一例を示す概要断面図であり、第2図(a)は本発明の
シール機構の一例を示す概要断面図であり、第2図
(b)および第2図(c)は本発明のシール機構の別の
例をそれぞれ示す概要断面図であり、第3図は本発明の
シール機構で使用されるシール部材と対照例のシール部
材の摺動時の各摺動面の温度変化を示す特性図であり、
第4図はフローティングシールを使用した装置の一例を
示す部分切欠断面図であり、第5図は本発明者が先に考
案シール装置の一例を示す概要断面図であり、第6図は
セラミックス摺動部材の拡大概要断面図であり、第7図
はセラミックス摺動部材の各摺動面の摺接状態を示す拡
大概要断面図である。 1,9……ケーシング、1C,9C……内周面、25……Oリン
グ、 21……シールリング、21A……環状溝、21B……外周面、 22……セラミックス摺動部材、23……弾性接着剤、27…
…鍍着金属膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−246505(JP,A) 特開 昭63−103884(JP,A) 特開 昭63−95183(JP,A) 特開 昭51−11807(JP,A) 実開 昭59−80460(JP,U)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相対的に回転するケーシングの内面側にそ
    れぞれ配設され、軸方向で相対向する面が摺動シール面
    となる一対のシールリングと、前記シールリングの少な
    くとも一方に押圧力を付与する手段とからなるシール機
    構において、 前記シールリングの少なくとも一方の摺動シール面は、
    セラミックス系耐摩耗性摺動部材に無電解メッキ法によ
    り鍍着された金属膜により形成されており、 前記鍍着金属膜の膜厚は前記摺動部材の摺動面粗さRmax
    の0.5〜3倍の範囲内であることを特徴とするシール機
    構。
  2. 【請求項2】メカニカルシールとして使用されることを
    特徴とする請求項1記載のシール機構。
  3. 【請求項3】フローティングシールとして使用されるこ
    とを特徴とする請求項記載のシール機構。
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