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JPH07106100B2 - 芝の栽培方法およびその方法に使用する育苗芝保持体 - Google Patents
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JPH07106100B2 - 芝の栽培方法およびその方法に使用する育苗芝保持体 - Google Patents

芝の栽培方法およびその方法に使用する育苗芝保持体

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JPH07106100B2 JP2015874A JP1587490A JPH07106100B2 JP H07106100 B2 JPH07106100 B2 JP H07106100B2 JP 2015874 A JP2015874 A JP 2015874A JP 1587490 A JP1587490 A JP 1587490A JP H07106100 B2 JPH07106100 B2 JP H07106100B2
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  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Cultivation Receptacles Or Flower-Pots, Or Pots For Seedlings (AREA)
  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、例えばゴルフ場や公園緑地に新たに芝生を
造成したり、その張替等を行う場合に適用される芝の栽
培方法およびその方法に使用する育苗芝保持体に関する
ものである。
〔従来の技術〕
ゴルフ場の芝生地、特にティイング・グラウンド,フェ
アウェイ,グリーンはその表面状態が直接ゴルフのプレ
イに影響する一方、プレイヤー等による踏圧やクラブの
ショットで削り取られるいわゆるディボットの発生その
他の物理的ストレスの存在に加えて、土壌の固結や透水
不良、雑草の侵入繁茂、病虫害等生物化学的要因による
部分的な枯死等が生じ易く、これら芝生地を絶えず良好
な状態に維持することは、ゴルフ場の管理運営において
極めて重要な課題の一つである。このため、エアーレー
ションや目土,施肥,施薬等いわゆる更新のための保守
管理が行われるが、一定以上悪化した場合には当該部分
を植え替えるいわゆる張替(補植ともいう)が実施され
る。
この張替に必要となる芝草のスペアを確保するため、従
来から採用されている一つの方法は、ゴルフ場に隣接し
てまたはその近傍に圃場(nursery以下ナーサリーと称
す)を確保しておくことである。即ち、ゴルフ場で使用
しているものと同種の芝草をこのナーサリーで育苗して
おき、必要に応じていわゆる切芝として切り出し、ゴル
フ場の張替に使用するものである。
また、他の方法として例えば特開昭62-285726号公報に
開示されたものがあり、第8図はその概要を説明するも
のである。同図(a)において、(1)は矩形の育苗
箱、(2)はこの育苗箱(1)内にセットされる育苗マ
ットで、その詳細は第9図に示すように、肥料成分が含
まれた板状の繊維(3)と、この板状の繊維(3)がく
ずれるのを防止するためその全体を覆うネット(4)と
から構成されている。そして、第8図(b)に示すよう
に、育苗マット(2)を育苗箱(1)にセットした状態
で、灌水,播種,覆土を行い出芽させ、更に、同図
(c)に示すように、温室(またはビニールハウス)
(5)内に移して緑化生育させるものである。必要なレ
ベルにまで生育すると、育苗マット(2)とともに育苗
箱(1)から取出し上述したゴルフ場の張替に供するこ
とができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来、張替のための芝生の育苗は、以上のようの方法で
行われていたので、生産効率や経済性、更にその品質等
において種々の問題点があった。
即ち、ナーサリーによる方法における問題点は、先ず、
このために広大な農地が必要となることである。通常、
グリーンやフェアウェイ、ティー用にはそれぞれの使用
条件に適合した異なる種類の芝草が使用されるため、ナ
ーサリーにもそれらすべての種類の芝生を育苗しておく
必要があり、一般にゴルフ場全体の10%前後の面積とな
り、その確保は容易なことではない。また、ナーサリー
における芝生もゴルフ場と同様、刈込,施薬等の保守が
絶えず必要で相当数の作業者を必要とする。更に、この
ナーサリーから得られる切芝は、その切り出し器具(ソ
ードカッター)上の制約等から30cm程度の幅のものに抑
えられ、現地での芝付時、いわゆる目地の部分が多くな
り、均一な芝生面となるまでの期間がそれだけ長期化す
ることになる。また、切り出し時に毛根の部分をカット
するため現地での根付きも悪くなる。
また、育苗マット(2)を使った方法は、ネット(4)
自体に芝草の根部、毛根が絡み付き、このネット(4)
と芝草と土壌とが一体となる構造であるので、ゴルフ場
での張替後、このネット(4)が芝土の比較的浅い部分
に残留する。この結果、ゴルフプレーヤーがショットを
行った場合、クラブヘッドがこのネット(4)にあたり
そのスイングタッチに影響を及ぼしかねない。また、こ
のネット(4)の残留によって土壌としての品質も悪化
する。この場合、上述した弊害を改善するため、ネット
(4)の強度を抑えたものとしたり、最終的に土壌中で
溶解する性質の材料のものを使用する等の方策も新たに
考え得る。しかし、この育苗芝は前述した通り、育苗マ
ット(2)が強度メンバとなって育苗箱(1)からの取
出しおよびその後の取扱いが行われるため、上記した改
善策を採用すると、ネット(4)の強度を低下させた分
だけ育苗芝単体の面積を小さくする必要があり、生産性
の低下や既述した切芝と同様、現地での造成が長期化す
る弊害がある。
この発明は以上のような問題点を解消するためになされ
たもので、単体で極めて大きな面積のものが容易に生産
でき、かつその生産効率が高く、運搬等の取扱い時の作
業性も良好で、また現地での造成作業も容易に早期に良
質の芝生地を確保することができる育苗芝保持体、およ
びこの育苗芝保持体を利用した芝の栽培方法を得ること
を目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
この発明に係る芝の栽培方法は、所定の深さを有し底面
がほぼ平面状に形成されたベッドの上記底面に、径寸法
範囲0.5〜10mmで、かつそれらの開口面積の和が全体の
0.01〜15%となる複数の穴がほぼ均一な密度で形成され
た柔軟性を有する材料からなる保持膜を敷く第1の工程
と、上記ベッド内の上記保持膜上に、所定の厚さで砂を
主成分とする培養土層を形成する第2の工程と、上記培
養土層に芝草の種子を播種する第3の工程と、灌水、施
肥および光照射を行い上記芝草を生育させる第4の工程
と、上記芝草の根部が上記培養土層内において生育伸長
し、その毛根の一部が上記保持膜の穴を貫通して上記保
持膜により上記培養土層および芝草を剥離可能な範囲で
一体に保持することができるようになった段階でこれら
一体物を育苗芝保持体として上記ベッドから取出す第5
の工程と、上記育苗芝保持体を育苗場所から栽培場所ま
で移動させる第6の工程と、上記栽培場所で上記育苗芝
保持体から上記保持膜を剥離した後上記芝草を上記培養
土層とともに床土に造成する第7の工程とを備えたもの
である。
また、保肥保水性を有する材料を所定の厚さに形成した
保肥マットをベッドの底面と保持膜との間に敷設するよ
うにしてもよい。
更に、上記ベッドの底面を、露地の一部を踏み固めて形
成した平坦部で構成するようにしてもよい。
また、上記第4の工程において、芝草の茎葉部の生育度
合に応じたこれを所定の高さに刈り込む第8の工程を付
加することもでき、更に、上記第6の工程において、育
苗芝保持体を渦巻状に巻回した状態で扱うようにしても
よい。
また、最適な栽培場所としてゴルフ場の芝生地用床土が
考えられる。
〔作用〕
ベッド内に保持膜を下にして培養土層を形成し、これに
芝草の種子を播種し、灌水等生育の手段を講じる。芝草
値部の先端である毛根は次第に生育伸長し、やがてその
一部が保持膜に形成された穴を貫通し、この貫通した毛
根が芝草および培養土層と保持膜とを一体化する。この
間、芝草の茎葉部も生育、伸長するがその生育度合に応
じて適宜その刈込みを行うようにしてもよい。保肥マッ
トを敷設した場合には、上方から供給された養液、水分
はこの保肥マットに一旦吸収蓄えられ、その後の培養土
層の乾燥度合によって放出され保持膜を経て培養土層に
蒸発、浸透供給される。更に、ベッドの底面として露地
に形成した平坦部を利用するようにすれば、ベッドのた
めの材料が節減され、露地自体が保肥材として機能す
る。
毛根が適当量、保持膜の穴を貫通した段階でベッドから
取出す。この場合、保持膜には柔軟性材料を使用してい
るので、これを一定幅の長尺物にしておけば、丁度、厚
手のカーペットを巻回する要領で芝草,培養土層,保持
膜を一体にして巻取ることができる。ここで、保持膜は
培養土層の主成分である砂の落下離脱を防止して、育苗
芝の厚さを現地までほぼ一定に保つ。
以上の育苗芝保持体をゴルフ場の芝生地用床土などに造
成する場合は、保持膜を剥離した後に行う。保持膜の剥
離によって、芝草の毛根の一部が多少切断され得るが、
大部分の毛根はベッド内で生育したままの状態で温存さ
れているので、現地での根付きは良好となる。また、各
取扱い工程時に強度メンバとして機能する保持膜は、現
地の造成地においてはすべて除去されるので、例えばゴ
ルフプレー上の障害や土壌の品質悪化の要因になる可能
性はない。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図について説明する。第1図
は製品として出来上がった育苗芝保持体(6)の外観を
示す斜視図で、特に保管や運搬時の便に供するため渦巻
状に巻回してロール状としたものである。第2図はその
構造の詳細を示す部分断面図である。図において、
(7)はこの育苗芝保持体(6)の強度メンバとなる保
持膜で、ビニル樹脂等柔軟性と難透液性とをあわせもつ
材料で構成されている。そして、この保持膜(7)には
第3図に示すように、所定の径の穴(7a)が均一な間隔
で形成されている。(8)は砂を主成分とする培養土層
で、通常10mm程度の厚さに形成されるが、芝草や培養土
層(8)の種類、更には生育や造成の条件等により5〜
30mm程度の範囲で適当な厚さ寸法が選定される。
培養土層として砂を主成分とするのは以下の理由によ
る。即ち、一般に植物の生育は土壌の三相(固相、液相
および気相)分布に大きく影響される。特に芝生土壌は
踏圧が継続して加えられるため気相の減少が起こり易く
その結果透水性不良となって芝の生育に直接悪影響を与
えることになる。従って、二本芝,洋芝類共、通気性の
よい乾燥土壌が適し、固相40%,液相30%,気相30%の
分布が理想とされる。このため、砂を主成分として通気
性を高める訳である。しかし、反面、砂は根部との密着
性が弱く、従来の切芝等は運搬等の取扱い時にこの根砂
が離脱、落下し、切芝の厚さが変動し易い。この芝厚の
変動は、例えばグリーンのアンジュレーション(起伏)
になるので、これを防止するため造成時の床土の調整作
業が煩雑となる。この発明のものでは造成時まで保持膜
(7)が存在するので、根砂の落下はほとんどなく、芝
厚の変動が防止される。
なお、培養土層(8)の主成分である砂として具体的に
は、真砂土、ヤシガラ活性炭、アスベスト(石綿)、セ
ラミック、ロックウール等を粉状に加工したものが適当
であり、更には、高炉の廃材である耐火レンガを粉砕し
て得られる粉状の硅石、滑石、硼石、燐石等を成分とし
商品名イソライト(イソライト工業株式会社)として市
販されているものも使用可能である。
次に、(9)は芝草で、その茎葉部(9a)はその高さが
10mm程度に刈込まれている。(9b)は芝草(9)の根部
で、その大部分は保持膜(7)が存在するため培養土層
(8)内を横方向に生育伸長する。但し、その先端部で
ある毛根(9c)の一部は、保持膜(7)に適度に形成さ
れた穴(7a)を貫通して保持膜(7)の下面側に至る。
この穴(7a)を貫通する適当量の毛根(9c)が芝草
(9)と保持膜(7)とを機械的に結合し、培養土層
(8)とともに3者(7)(8)(9)を一体化する訳
である。
従って、この穴(7a)を如何に形成するかが重要であ
る。即ち、この穴(7a)の径があまり小さいと毛根(9
c)が貫通しにくく、かつ保持膜(7)を剥離した場合
に根切れがし易くなる。また、後述するように、この保
持膜(7)の下面からも養液を吸収する場合には、穴
(7a)はこの吸収に支障がない程度の径が必要となる。
また、この径が大き過ぎると毛根(9c)の貫通量が多く
なり過ぎ、根が張って保持膜(7)の剥離が困難とな
る。更に、この穴(7a)の形成密度も問題となる。即
ち、この密度が小さ過ぎると、3者(7)(8)(9)
を一体にする強度が不足し、保持膜(7)と培養土層
(8)とが部分的に剥がれて砂が移動し芝厚の変動の原
因となる。また、あまり密に形成すると保持膜(7)の
剥離が困難となり、無理に剥がそうとすると保持膜
(7)が破損してその一部が残留することになる。そこ
で、発明者は、穴(7a)の径、密度が種々異なる保持膜
(7)を使用して実験した結果、径として0.5〜10mm、
密度を穴(7a)による開口面積の全体面積に対する比率
で表現した場合にその比率が0.01〜15%の範囲に設定す
ると、保持膜(7)による上記した一体化機能が得られ
るとともに、その剥離も比較的容易に行えることが判明
した。
なお、この密度を穴(7a)の数量で表現することもでき
るが、穴(7a)の径との関連を考慮すると上記した開口
面積の比率による表現が適当である。
また、この穴(7a)の形状は必ずしも円である必要はな
く、また、その配置も格子状に限らず、千鳥配置等であ
ってもよい。
また、第1図に示すように、この実施例による育苗芝保
持体(6)はロール状に巻回することができるので、そ
の面積の割に体積を小さくすることができ、特に保管や
運搬時に大きな利点をもたらすことになる。逆に、この
ように巻回して取扱うことができるため、育苗芝の担体
面積を従来より大幅に増大でき(例えば幅寸法2mで長さ
40m程度のものも生産可能となる)、運搬等の取扱い時
は勿論、現地での造成作業も簡便となり、更に目地が減
少するので、造成後も短期間に均質で良質な芝生面が得
られる。
次に第4図により上記育苗芝保持体(6)の生産方法の
一実施例について説明する。同図(a)において、(1
0)は所定の深さを有し底面が平面状に形成されたベッ
ドで、発泡スチロールを適宜成形して製作したものであ
る。長大寸法の育苗芝保持体(6)を生産する場合にお
いても軽量で取扱いが簡便となる利点がある。ベッド
(10)はその底面が水平になるように設置するが、後述
の溶液供給等との関係で若干傾斜させて設置するように
いてもよい。そして、先ず、第1の工程として前述の保
持膜(7)をベッド(10)の底面に敷詰める。次に、こ
の保持膜(7)の上に、砂を主成分とする培養土層を厚
さ5〜30mm程度に形成する(第2の工程)。同図(b)
は培養土層(8)の上に芝草の種子(11)を播種する第
3の工程を示す。図中、(12)は播種装置で、下部に調
整可能な隙間が形成された容器の内部に種子(11)を収
容したもので、容器本体の左右両端に取付けられた車輪
(12a)によって紙面と垂直の方向に移動して培養土層
(8)の全面に種子(11)を播くよう構成されている。
また、必要に応じてこの段階で灌水や覆土を行う。
なお、第3の工程として上記では芝草の種子(11)自体
を播種する場合について説明したが、芝草の場合、一
旦、生育したその葡匐茎を所定の寸法に切断して得られ
た通称屑芝と呼ばれるものを散布し、それに含まれる生
長点から新たに芝草の茎葉部および根部を生育させるこ
とも可能であり、この方法自体は従来からも実施されて
いる。従って、本願明細書における第3の工程には以上
の屑芝を使った場合をも包含し得る内容とする。
次に第4図(c)は灌水、施肥および光照射を行って種
子(11)から芝草(9)を生育させる第4の工程を説明
するものである。図において、(13)は螢光灯で、必要
な日射量を確保するためのものである。本図は最近実用
化されるようになった水耕栽培方式の一種で、養液を点
滴状にして供給する方式のものを応用したものである。
(14)は養液を収容したタンク、(15)はタンク(14)
からの養液を送り出すポンプ、(16)はポンプ(15)か
ら送り出された養液を培養土層(8)に滴下するための
ドリップチューブで、培養土層(8)の全体に均一に養
液が供給されるようにほぼ等間隔になるようサポート
(17)に取付けられている。(18)は滴下量を調節する
ため各ドリップチューブ(16)毎に設けられた調節弁で
ある。(19)は例えば日射量等に対応して最適の養液滴
下量が得られるよう、ポンプ(15)の養液吐出量を調整
する制御装置である。なお、図示する装置は、サポート
(17)を軸(20)を中心として矢印Aの向きに回動自在
に構成されており、例えば播種装置(12)を走行させる
ときは、サポート(17)を垂直にたてて、上記走行の邪
魔にならないようにしている。なお、以上の各機器によ
り生育装置(21)を構成する。
同図(d)は芝草(9)の生育した茎葉部(9a)を所定
の高さ(10mm程度)に刈込む第8の工程を示す。即ち、
茎葉部(9a)の伸長が過ぎると茎の部分のみが残ること
になり最終の芝生面としての品質が損なわれるため、適
当な段階で刈込みが必要となる。もっとも、日射量を調
節することにより、芝草(9)の根部(9b)の生育度合
に対して茎葉部(9a)の生育度合を抑制することができ
ればこの刈込みの頻度を減らすことは可能である。図
中、(22)は通称グリーンモアとして知られた芝刈機を
ベッド(10)上で走行可能なように改造したものであ
る。
そして、芝草(9)の根部(9b)の生育伸長が進み、前
述したように、その先端の毛根(9a)の一部が保持膜
(7)の穴(7a)を貫通した段階に至ると、この保持膜
(7)の端部を引っ張るようにしてベッド(10)から取
出す(第5の工程)。この取出すタイミングは、ベッド
(10)の隅の部分の保持膜(7)を少し捲ってその外観
から判断するようにしてもよいが、この実施例のように
生育条件を人工的に管理できる場合は、試行により、予
め適切な経過時間を求めておき、量産時はこのデータを
基に時間で管理するようにしてもよい。
第5図は第4図(c)で示した第4の工程に相当する他
の実施例を説明するものである。これは、いわゆる養液
循環方式とも呼ばれるものである。図において、ベッド
(23)は凹部(24a)が形成されたベッド本体(24)と
この凹部(24a)の上部に配置されたパネル(25)とか
らなり、このパネル(25)には所定の間隔でたて穴(25
a)が設けられている。そして、このパネル(25)の上
面に保持膜(7)および培養土層(8)が収容される。
ポンプ(15)によりタンク(14)から送出された養液は
散水管(26)に導かれ、この散水管(26)に設けられた
多数のノズル穴(26a)からミスト状となって培養土層
(8)上に散布される。培養土層(8)中で過剰となっ
た養液は保持膜(7)の穴(7a)およびパネル(25)の
たて穴(25a)を経由してベッド本体(24)の凹部(24
a)に落下し、残液としてポンプ(27)によりタンク(1
4)へ回収される。(28)は培養土層(8)中に埋込ま
れた温度センサで、この出力が芝草(9)の最適育成条
件に合致するよう、制御装置(19)によりポンプ(15)
の循環量が制御される。(29)は冬期や夜間時の保温の
ためベッド本体(24)の凹部(24a)内に設置された温
水パイプである。この凹部(24a)の存在はパネル(2
5)のたて穴(25a)と連通することにより培養土層
(8)の通気性の向上にも寄与している。
育苗場所であるベッド(10)または(23)から取出した
育苗芝保持体(6)を栽培場所である例えばゴルフ場の
芝生地用床土に移動させるのが第6の工程となるが、そ
の場合、育苗芝保持体(6)は適当な芯型を使って、第
1図に示すように巻回してロール状とするのが、前述の
とおり、その取扱い上簡便となるが、その大きさによっ
ては平板状のままで扱うようにしてもよい。なお、ロー
ル状にした場合、その幅方向の切断は、ロール状のまま
で行えば簡単である。
保持膜(7)には難透液性の材料を使用しているので、
保管や運搬中における育苗芝保持体(6)の過度な乾燥
が防止され、この間における品質低下が防止される。
次に最終(第7)の工程として、上記育苗芝保持体
(6)を使用して、例えばゴルフ場のグリーンの張替を
行う場合、現地までは保持膜(7)を付けたままで搬送
し、床土への造成の直前に保持膜(7)を剥離する。こ
の剥離によって若干量の毛根(9c)は切断され得るが、
この一部の毛根(9c)を除くすべての根部(9b)は健在
であり、かつ保持膜(7)によって根砂の落下がなく芝
厚も一定に保たれているので、造成に先立って行う床土
の整備作業も比較的簡単で、造成後の芝草の根付きも良
好となる。また、現地の造成時には保持膜(7)は完全
に除去されるので、従来考えられたようなゴルフプレー
上の障害はその造成時点から完全に解消され、かつ土壌
の品質を悪化させることもない。
造成時に保持膜(7)が完全に除去されるということ
は、保持膜(7)を構成する材料の選択の自由度が大き
くなる。即ち、例えば、芝草、培養土層を一体に保持し
てその後の取り扱いに耐えるという機械的強度面と土壌
中で早急に溶解してしかも土質を悪化させないという化
学的特性面とを併有する要請は解消され、もっぱら前者
のみの要求を考慮すれば足りるので、保持膜としては量
産性のよい安価な材料に簡便な加工処理を施したもので
よいことになる。
なお、上記実施例では、ベッド(10)(23)を一段で形
成した場合について説明したが、適宜積み上げて多段構
成のものとしてもよく、また装置全体は、屋外に限ら
ず、温室、ビニールハウス等の屋内に設置して生育速度
の増大を図ることもできる。
また、芝草の生育手段としても、上述した養液点滴式、
養液循環式のものに限定される訳ではない。即ち、噴霧
ノズルや農業用ホースで養液を霧(ミスト)状の飛散さ
せて供給する方式を採用するようにしてもよい。
第6図は芝草の生育手段における養液の供給方式を簡略
化して設備投資額等の低減を図ったものである。図にお
いて、(30)は(10)と同様、発泡スチロールを適宜成
形した製作したベッドである。そして、第4図に示した
実施例と異なるのは、ベッド(30)の底面に保肥、保水
性を有する保肥マット(31)が敷設されている点で、こ
の保肥マット(31)の上に保持膜(7)および培養土層
(8)が設けられている。この保肥マット(31)として
は例えばロックウール等の鉱滓綿を適当な密度に圧縮し
て厚さ5〜20mm程度のマット状に成形したものが使用さ
れる。活性炭や既述のイソライト等を素材としたもので
もよい。
この実施例では、適当な方法で上方から養液を供給し灌
水を施すと、養液等は培養土層(8)をへて保持膜
(7)の穴(7a)から保肥マット(31)に至り、保肥マ
ット(31)がその養液、水分を吸収して蓄える。過剰分
はベッド(30)に設けた排液口(30a)から排出され
る。第4図の実施例では、養液の供給をかなりの頻度で
行う必要があるが、この第6図に示す場合には、保肥マ
ット(31)が多量の養液、水分を蓄えているので、培養
土層(8)内の水分が低下してくると、保肥マット(3
1)内の養液が上方へ吸い上げられて養液供給が自動的
に行われることになる。従って、養液供給設備が簡略化
され、場合によっては、わずかの回数、人手により供給
してやるだけで足り、特別の設備を省略することも可能
となる。
このように、保肥マット(31)からの養液の吸い上げ効
果を重視するときには、保持膜(7)としては透液性の
よい材料を使用した方がよい場合がある。即ち、保持膜
(7)の穴(7a)の径や密度は培養土層(8)および芝
草(9)と保持膜(7)との剥離性を確保する観点から
一定量以下に抑えられるため、養液を穴(7a)のみから
吸い上げるだけでは施肥が不十分となる可能性がある
が、保持膜(7)に透液性のよい材料を使用することに
より上記不具合が解消される訳である。特定の密度、機
械的強度を備えた紙等の材料は、液は透過させるが芝草
(9)の毛根は通さないという特性を合わせ有してお
り、この場合の保持膜(7)に適している。
第7図は、生育手段を更に簡略化したものである。この
実施例では、露地(32)の一部を適当に踏み固めて平坦
部(32a)を形成し、この平坦部(32a)上に配置した木
材等の枠材(33)でベッドを形成し、ここに保持膜
(7)および培養土層(8)を設ける。この場合、ベッ
ド(30)や保肥マット(31)等の特別の設備を必要とせ
ず、適当な枠材(33)のみで生育設備を構成することが
できる。そして、露地(32)自体が保肥材として機能
し、蓄えた養液を適宜培養土層(8)へ供給する。特
に、農閑地を利用し最小の費用で芝草を育苗したい場合
に適している。
なお、上記各実施例では、培養土層(8)と保持膜
(7)とで芝草(9)を一体に保持する構成としたが、
培養土層(8)の厚さ方向の中間部分に保持膜と平行に
補強膜を挿入してもよい。この補強膜は途中で溶解して
肥料となる網状の膜で形成し、芝草(9)の根部(9b)
相互間の結合度を強化させるためのものである。これは
従来技術で説明したネット(4)と異なり、単に根部
(9b)相互間の補強のみを目的とするものであるため、
高い強度は不要で、早期に溶解するものであればよく、
従来のネット(4)のような弊害は生じない。
逆に、ベッド内において、芝草(9)をその根部(9b)
および毛根(9c)の長さが10cm以上程度になるまで十分
生育伸長させれば、保持膜(7)を省略できる場合があ
る。根部(9b)等が相互に十分な密度で絡み合い、カー
ペット状となって巻取ることができるからである。
更に、上記の各実施例はゴルフ場のグリーン等の芝生の
張替を想定し、これに必要な育苗芝を一体に保持する育
苗芝保持体の構造、生産方法等について説明したが、こ
の発明は新規な造成を想定した育苗芝の場合にもそのま
ま適用できることは勿論であり、また、ゴルフ場に限ら
ず各種公園,競技場芝生地を造成する用途の他、室内イ
ンテリアや垂直壁への張付けや造形等にも供し得るもの
である。
〔発明の効果〕
この発明は以上のように構成されているので、以下の効
果を奏する。
芝草の毛根を介して保持膜により芝草と培養土層とを一
体に保持するので、根砂の脱落がなく芝厚を一定に保つ
ことができる。
また、保持膜の柔軟特性を利用しこの保持膜を強度メン
バとしてロール状に巻回することができ、保管や運搬等
の取扱い時の必要スペースを縮小でき、逆にこの特性か
ら育苗芝担体の面積を大幅に増大することができ造成時
の作業性が向上する。
最終造成時は保持膜を剥離して除去するので、芝生地に
固形物が残ることがなく、土壌の品質悪化を来すことが
なく、保持膜も安価なもので足りる。また、従来の切芝
のように根部を刈取ることがないので造成時の根付きが
よい。特に、ゴルフ場の芝生地に適用した場合、プレー
ヤーによるスイングタッチに影響を与えるという恐れが
全く無く、造成後極めて短時間のうち商用に供すること
ができるのでその経済的効果は甚大である。
保持膜に形成する穴の径、密度を所定の範囲に収めてい
るので、芝草等との一体性の剥離性との両特性を比較的
容易に実現することができる。
保持膜とベッドとの間に保肥マットを敷設することによ
り、この保肥マットが供給された養液、水分を一旦吸収
して蓄え、適宜保持膜を経て培養土層へ供給するので、
養液供給や灌水の設備の簡略化が可能となる。
露地に形成した平坦部をベッドの底面として利用するこ
とにより、ベッドを構成する機材が簡便安価となり、露
地自体が保肥マットとして機能するので生育のための作
業も簡便となり省力化が実現する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例における育苗芝保持体をロ
ール状に巻回した場合の外観を示す斜視図、第2図はそ
の一部の詳細を示す部分断面図、第3図は保持膜の外観
を示す斜視図、第4図は上記育苗芝保持体の生産方法の
一実施例を工程順に示す説明図、第5図は生産方法の他
の実施例の一部を示す説明図、第6図第7図は生産方法
の更に他の実施例の一部を示す説明図、第8図は従来の
育苗芝の生産方法を示す説明図、第9図はその育苗マッ
トの詳細を示す斜視図である。 図において、(6)は育苗芝保持体、(7)は保持膜、
(7a)は保持膜に形成された穴、(8)は培養土層、
(9)は芝草、(9a)(9b)および(9c)は芝草のそれ
ぞれ茎葉部,根部および毛根、(10)(23)(30)はベ
ッド、(11)は芝草の種子、(12)は播種装置、(21)
は生育装置、(31)は保肥マットである。 なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の深さを有し底面がほぼ平面状に形成
    されたベッドの上記底面に、径寸法範囲0.5〜10mmで、
    かつそれらの開口面積の和が全体の0.01〜15%となる複
    数の穴がほぼ均一な密度で形成された柔軟性を有する材
    料からなる保持膜を敷く第1の工程と、上記ベッド内の
    上記保持膜上に、所定の厚さで砂を主成分とする培養土
    層を形成する第2の工程と、上記培養土層に芝草の種子
    を播種する第3の工程と、潅水、施肥および光照射を行
    い上記芝草を生育させる第4の工程と、上記芝草の根部
    が上記培養土層内において生育伸長し、その毛根の一部
    が上記保持膜の穴を貫通して上記保持膜により上記培養
    土層および芝草を剥離可能な範囲で一体に保持すること
    ができるようになった段階でこれら一体物を育苗芝保持
    体として上記ベッドから取出す第5の工程と、上記育苗
    芝保持体を育苗場所から栽培場所まで移動させる第6の
    工程と、上記栽培場所で上記育苗芝保持体から上記保持
    膜を剥離した後上記芝草を上記培養土層とともに床土に
    造成する第7の工程とを備えた芝の栽培方法。
  2. 【請求項2】保肥保水性を有する材料を所定の厚さに形
    成した保肥マットをベッドの底面と保持膜との間に敷設
    するようにしたことを特徴とする請求項1記載の芝の栽
    培方法。
  3. 【請求項3】ベッドの底面を、露地の一部を踏み固めて
    形成した平坦部で構成したことを特徴とする請求項1記
    載の芝の栽培方法。
  4. 【請求項4】第4の工程において、芝草の茎葉部の生育
    度合に応じたこれを所定の高さに刈り込む第8の工程を
    備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに
    記載の芝の栽培方法。
  5. 【請求項5】第6の工程において、育苗芝保持体を渦巻
    状に巻回した状態で扱うようにしたことを特徴とする請
    求項1ないし4のいずれかに記載の芝の栽培方法。
  6. 【請求項6】栽培場所はゴルフ場の芝生地用床土である
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の
    芝の栽培方法。
  7. 【請求項7】径寸法範囲0.5〜10mmで、かつそれらの開
    口面積の和が全体の0.01〜15%となる複数の穴がほぼ均
    一な密度で形成された柔軟性を有する材料からなる保持
    膜と、この保持膜の上に所定の厚さに形成された砂を主
    成分とする培養土層とを備え、上記培養土層で生育され
    伸長した芝草の根部の一部を上記保持膜の穴から貫通せ
    しめ、上記保持膜により上記培養土層および芝草を剥離
    可能な範囲で一体に保持することを特徴とする請求項1
    記載の芝の栽培方法に使用する育苗芝保持体。
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