JPH07112985B2 - 放射線治療用微小ガラスとその製造方法 - Google Patents
放射線治療用微小ガラスとその製造方法Info
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- JPH07112985B2 JPH07112985B2 JP3317901A JP31790191A JPH07112985B2 JP H07112985 B2 JPH07112985 B2 JP H07112985B2 JP 3317901 A JP3317901 A JP 3317901A JP 31790191 A JP31790191 A JP 31790191A JP H07112985 B2 JPH07112985 B2 JP H07112985B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放射線治療用微小ガラス
とその製造方法、さらに詳しくは、癌や腫瘍等を有する
患部を局部的に治療するための放射線治療用微小ガラス
と、その放射線治療用微小ガラスの製造方法に関する。
とその製造方法、さらに詳しくは、癌や腫瘍等を有する
患部を局部的に治療するための放射線治療用微小ガラス
と、その放射線治療用微小ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般
に、癌の治療法としては、手術により癌の患部を切除す
る方法、投薬による方法、免疫力を高める方法、放射線
により癌細胞のDNAの配列にダメージを与える方法、
患部を加温する方法等の種々の方法が採用されている
が、いずれも効果の発現に決定的なものが存在しないの
が現状である。
に、癌の治療法としては、手術により癌の患部を切除す
る方法、投薬による方法、免疫力を高める方法、放射線
により癌細胞のDNAの配列にダメージを与える方法、
患部を加温する方法等の種々の方法が採用されている
が、いずれも効果の発現に決定的なものが存在しないの
が現状である。
【0003】そこで、このような点に鑑み、深部癌等の
放射線治療において、種々の放射性粒子を媒体に分散さ
せ、癌患部に至る動脈に注入する方法が開発されつつあ
る。かかる方法によると、患者の体内に注入された放射
線粒子が癌細胞に至る毛細血管中に埋入され、癌細胞の
部分だけに放射線を照射できる。そして、媒体として
は、放射性粒子の固定化能が優れている等の理由から微
小ガラスが使用されている。
放射線治療において、種々の放射性粒子を媒体に分散さ
せ、癌患部に至る動脈に注入する方法が開発されつつあ
る。かかる方法によると、患者の体内に注入された放射
線粒子が癌細胞に至る毛細血管中に埋入され、癌細胞の
部分だけに放射線を照射できる。そして、媒体として
は、放射性粒子の固定化能が優れている等の理由から微
小ガラスが使用されている。
【0004】このような技術として、たとえば米国ミズ
リー大学のDay等による特表昭62−501076号がある。
この特表昭62−501076号は、ガラス製造として一般的な
溶融法によりY2O3−Al2O3−SiO2系の直径20〜3
0mmのガラス球を作り、これに中性子線を照射すること
により、89Yのみを放射化して半減期64.1時間のβ線放
射体90Yとし、ガラス球を血管を介して肝臓癌に注入す
ると、癌のみを放射線照射して治療することができるこ
とを開示したものである。
リー大学のDay等による特表昭62−501076号がある。
この特表昭62−501076号は、ガラス製造として一般的な
溶融法によりY2O3−Al2O3−SiO2系の直径20〜3
0mmのガラス球を作り、これに中性子線を照射すること
により、89Yのみを放射化して半減期64.1時間のβ線放
射体90Yとし、ガラス球を血管を介して肝臓癌に注入す
ると、癌のみを放射線照射して治療することができるこ
とを開示したものである。
【0005】この方法で使用されるガラス材料は、放射
性同位体90Yをガラス全体にわたって均一に分散させた
ものであり、ガラスの製造過程でこれらの安定同位体89
Yを含んだイットリアを原料粉末として同時に溶融する
ことにより、このガラスを作製し、熱中性子の照射でイ
ットリウムが放射化されるのである。
性同位体90Yをガラス全体にわたって均一に分散させた
ものであり、ガラスの製造過程でこれらの安定同位体89
Yを含んだイットリアを原料粉末として同時に溶融する
ことにより、このガラスを作製し、熱中性子の照射でイ
ットリウムが放射化されるのである。
【0006】この方法は次のような利点を有する。 (A) 中性子線照射前にはガラスが放射性を示さないの
で、取扱いが容易である。 (B) 上記径のガラスは肝臓動脈を通って肝臓癌の場所
まで到達し、その周辺の血管に留まってそれ以上先へ進
むこともない。 (C) β線は到達距離が短いので、周辺の正常組織まで
傷めることがない。 (D) 90Yは短い半減期を有するので、長期にわたって
放射線照射を続けることはない。 (E) 上記系のガラスは化学的に安定なので、放射性の
90Yが溶出して他に移動することもない。
で、取扱いが容易である。 (B) 上記径のガラスは肝臓動脈を通って肝臓癌の場所
まで到達し、その周辺の血管に留まってそれ以上先へ進
むこともない。 (C) β線は到達距離が短いので、周辺の正常組織まで
傷めることがない。 (D) 90Yは短い半減期を有するので、長期にわたって
放射線照射を続けることはない。 (E) 上記系のガラスは化学的に安定なので、放射性の
90Yが溶出して他に移動することもない。
【0007】しかし、上記ような利点を有する反面、こ
の方法で使用される90Yの半減期は短すぎるため、ガラ
スが中性子線照射を受けてから体内に注入されるまでの
間に放射線が減衰し易いという欠点がある。しかも、通
常の溶融法によっては多量の89Yを含むガラスを作るの
は困難である。
の方法で使用される90Yの半減期は短すぎるため、ガラ
スが中性子線照射を受けてから体内に注入されるまでの
間に放射線が減衰し易いという欠点がある。しかも、通
常の溶融法によっては多量の89Yを含むガラスを作るの
は困難である。
【0008】一方、非放射性の31Pは、中性子線照射に
より半減期14.3日のβ線放射体32Pとなり、90Yとは異
なり中性子線照射から体内注入までの間にあまり大きな
放射性の減衰を示さず、しかも体内ではあまり長く放射
線照射を続けないという特性を有する。そこで、このよ
うな点に鑑み、上記特表昭62−501076号公報では、Mg
O−Al2O3−SiO2−P2O5系ガラスをも放射線治
療用微小ガラスとして使用している。
より半減期14.3日のβ線放射体32Pとなり、90Yとは異
なり中性子線照射から体内注入までの間にあまり大きな
放射性の減衰を示さず、しかも体内ではあまり長く放射
線照射を続けないという特性を有する。そこで、このよ
うな点に鑑み、上記特表昭62−501076号公報では、Mg
O−Al2O3−SiO2−P2O5系ガラスをも放射線治
療用微小ガラスとして使用している。
【0009】しかし、このガラスの場合にも、31Pを多
量に含んだガラスを製造することは困難であった。特
に、P2O5を含むガラスでは、ガラス化する成分組成は
約5%とY2O3を含むガラスに比べてさらに低くなって
いた。
量に含んだガラスを製造することは困難であった。特
に、P2O5を含むガラスでは、ガラス化する成分組成は
約5%とY2O3を含むガラスに比べてさらに低くなって
いた。
【0010】また、一般的にP2O5を含むガラスは水に
溶けやすく、体内での安定性が悪いという新たな問題点
がある。
溶けやすく、体内での安定性が悪いという新たな問題点
がある。
【0011】特に、この32Pを含む放射線治療用ガラス
球については、半減期が14.3日であり、実用的で治療に
供したいという要望が強いにもかかわらず、医師を満足
させる放射線治療用ガラスの提供が不可能となってい
た。
球については、半減期が14.3日であり、実用的で治療に
供したいという要望が強いにもかかわらず、医師を満足
させる放射線治療用ガラスの提供が不可能となってい
た。
【0012】しかも、上記特表昭62−501076号公報の方
法によれば、図4に示すように、放射性同位体2aが微小
ガラス本体1a内に均一に分散されているため、微小ガラ
ス本体1aのガラス球内部からのβ線の照射はガラス層で
減衰が生じてしまい、癌の患部を有効に照射することが
可能な32Pや90Yは限られたものとなっていた。
法によれば、図4に示すように、放射性同位体2aが微小
ガラス本体1a内に均一に分散されているため、微小ガラ
ス本体1aのガラス球内部からのβ線の照射はガラス層で
減衰が生じてしまい、癌の患部を有効に照射することが
可能な32Pや90Yは限られたものとなっていた。
【0013】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、β線を有効利用できる等の高い治
療効果が得られ、また体内における放射性イオンの溶出
を抑制でき、しかも半減期から決められる時間的制限を
受けにくいという種々の利点を有する放射線治療用微小
ガラスを提供することを課題とする。
めになされたもので、β線を有効利用できる等の高い治
療効果が得られ、また体内における放射性イオンの溶出
を抑制でき、しかも半減期から決められる時間的制限を
受けにくいという種々の利点を有する放射線治療用微小
ガラスを提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題を解決するためになされたもので、その課題を解決す
るための手段は、微小ガラス本体1の表面に、中性子線
照射により放射化可能なリンを主成分とするイオン2を
注入したことにある。
題を解決するためになされたもので、その課題を解決す
るための手段は、微小ガラス本体1の表面に、中性子線
照射により放射化可能なリンを主成分とするイオン2を
注入したことにある。
【0015】
【作用】すなわち、上記のような中性子線照射により放
射化可能なリンを主成分とするイオンを注入するため、
所定の電圧で加速したイオンを微小ガラス本体1の表面
に注入する場合、イオン注入の深さは、そのイオン種や
マトリックスとなる微小ガラス本体1の種類に依存する
ものの、数nm〜数千nmに制御できる。
射化可能なリンを主成分とするイオンを注入するため、
所定の電圧で加速したイオンを微小ガラス本体1の表面
に注入する場合、イオン注入の深さは、そのイオン種や
マトリックスとなる微小ガラス本体1の種類に依存する
ものの、数nm〜数千nmに制御できる。
【0016】従って、注入される原子を熱中性子の照射
で放射化させた場合、上記のようにイオン注入された放
射性同位体はガラス表面から深さ数nm〜数千nmの位置に
分布しているため、放射線をガラス表面近傍から照射す
ることとなり、ガラス中における放射線の減衰が抑制さ
れ、その分有効に癌の患部へ放射線を照射することがで
きるのである。
で放射化させた場合、上記のようにイオン注入された放
射性同位体はガラス表面から深さ数nm〜数千nmの位置に
分布しているため、放射線をガラス表面近傍から照射す
ることとなり、ガラス中における放射線の減衰が抑制さ
れ、その分有効に癌の患部へ放射線を照射することがで
きるのである。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。実施例1 本実施例は、一例としての放射線治療用微小ガラスにつ
いての実施例である。本実施例の放射線治療用微小ガラ
ス3は、図1に示すように、高純度シリカからなる球状
の微小ガラス本体1の表面全周に、放射性同位体の一例
としてのP+イオン2を注入した構成からなるものであ
る。そして、微小ガラス本体1には、上記高純度シリカ
の他に、次表1に示す不純物が微小量含有されている。
いての実施例である。本実施例の放射線治療用微小ガラ
ス3は、図1に示すように、高純度シリカからなる球状
の微小ガラス本体1の表面全周に、放射性同位体の一例
としてのP+イオン2を注入した構成からなるものであ
る。そして、微小ガラス本体1には、上記高純度シリカ
の他に、次表1に示す不純物が微小量含有されている。
【0018】
【表1】
【0019】実施例2 本実施例は、上記実施例1の放射線治療用微小ガラスを
製造する製造方法についての実施例である。
製造する製造方法についての実施例である。
【0020】(A) 微小ガラス本体の作製 高純度シリカ(SiO2)からなる微小ガラス本体1は、
次のように作製した。すなわち、SiCl4の液体(融
点58℃)を予め80℃で気化した後、多層バーナーを用い
て水素,酸素とともに噴出させ、酸化した。生成したシ
リカ球は表面張力により球形となり、それをそのまま固
化させた。
次のように作製した。すなわち、SiCl4の液体(融
点58℃)を予め80℃で気化した後、多層バーナーを用い
て水素,酸素とともに噴出させ、酸化した。生成したシ
リカ球は表面張力により球形となり、それをそのまま固
化させた。
【0021】この方法によれば、血管の塞栓に有効な10
〜50μm 径のシリカ球からなる微小球本体1を得ること
が可能である。
〜50μm 径のシリカ球からなる微小球本体1を得ること
が可能である。
【0022】また、水素,酸素、或いはSiCl4の流
量を変化させることにより、球の大きさも変えることが
できる。この方法で得られたシリカ球の不純物は、上記
表1に示すように極めて少ない。
量を変化させることにより、球の大きさも変えることが
できる。この方法で得られたシリカ球の不純物は、上記
表1に示すように極めて少ない。
【0023】(B) イオン注入方法 上記のようにして作製したシリカガラス球について、球
状化処理を行った後、図2に示すようなイオン注入装置
を用いてP+イオンを1016〜1017ions/g注入した。
状化処理を行った後、図2に示すようなイオン注入装置
を用いてP+イオンを1016〜1017ions/g注入した。
【0024】すなわち、この装置について説明すると、
イオンを生成するイオン生成部4と、生成したイオンビ
ームを引き出す引出電極5と、引き出したイオンを成形
加速する電極群6と、所望のP+イオンのみを選別して
取り出す質量分離装置7と、取り出したイオンを任意の
エネルギーで加速するための加速電極群8と、注入すべ
き微小球本体1(図2においては図示せず)を収容した
チャンバー9とで構成されたものである。尚、このよう
な構成からなるイオン注入装置は、真空排気装置(図示
せず)により、高真空に保持されている。
イオンを生成するイオン生成部4と、生成したイオンビ
ームを引き出す引出電極5と、引き出したイオンを成形
加速する電極群6と、所望のP+イオンのみを選別して
取り出す質量分離装置7と、取り出したイオンを任意の
エネルギーで加速するための加速電極群8と、注入すべ
き微小球本体1(図2においては図示せず)を収容した
チャンバー9とで構成されたものである。尚、このよう
な構成からなるイオン注入装置は、真空排気装置(図示
せず)により、高真空に保持されている。
【0025】そして、このような装置によりイオン注入
を行う操作について説明すると、先ず前記真空内におい
て、イオン生成部4にてP+イオンを発生させた後、引
出電極5によってイオンを引出し、質量分離装置7に導
く。そして、必要なP+イオンのみを分離して取り出
し、その後、その取り出されたイオンを加速電極群8で
加速してチャンバー9に導き、前記チャンバー9内に収
容された微小球本体1に照射することによって、その微
小球本体1にイオン注入を行う。
を行う操作について説明すると、先ず前記真空内におい
て、イオン生成部4にてP+イオンを発生させた後、引
出電極5によってイオンを引出し、質量分離装置7に導
く。そして、必要なP+イオンのみを分離して取り出
し、その後、その取り出されたイオンを加速電極群8で
加速してチャンバー9に導き、前記チャンバー9内に収
容された微小球本体1に照射することによって、その微
小球本体1にイオン注入を行う。
【0026】このようにして上記実施例1に示すような
放射線治療用微小球3が得られるのである。
放射線治療用微小球3が得られるのである。
【0027】実施例3 本実施例は、放射線治療用微小ガラスの他の実施例であ
る。本実施例においては、微小ガラス本体1は、Y2O3
を40重量%,Al2O3を20重量%,SiO2を40重量%
それぞれ含むガラスによって構成されている。
る。本実施例においては、微小ガラス本体1は、Y2O3
を40重量%,Al2O3を20重量%,SiO2を40重量%
それぞれ含むガラスによって構成されている。
【0028】尚、注入されるイオンの種類は上記実施例
1と同じである。
1と同じである。
【0029】試験例 上記実施例1及び実施例3で得られた放射線治療用微小
ガラス、並びに従来の特表昭62−501076号の放射線治療
用微小ガラスについて、化学的耐久性の測定試験を行っ
た。先ず、50mlのポリプロピレン製の蓋付き円筒容器に
純水20mlを取り、その中に試料1gを入れ、インキュベ
ーターにて温度95℃にて浸とうし(120 ストローク/
分)、P+イオンの溶出量を測定した。
ガラス、並びに従来の特表昭62−501076号の放射線治療
用微小ガラスについて、化学的耐久性の測定試験を行っ
た。先ず、50mlのポリプロピレン製の蓋付き円筒容器に
純水20mlを取り、その中に試料1gを入れ、インキュベ
ーターにて温度95℃にて浸とうし(120 ストローク/
分)、P+イオンの溶出量を測定した。
【0030】尚、溶出イオンは、高周波誘導結合プラズ
マ発光装置にて測定した。その測定結果を図3に示す。
マ発光装置にて測定した。その測定結果を図3に示す。
【0031】この結果からも明らかなように、従来の放
射線治療用微小球は、3日,5日,7日の日数の経過に
よって著しいリンの溶出が認められたが、実施例1及び
3の放射線治療用微小ガラスについては、7日経過して
もリンの溶出はほとんど認められなかった。
射線治療用微小球は、3日,5日,7日の日数の経過に
よって著しいリンの溶出が認められたが、実施例1及び
3の放射線治療用微小ガラスについては、7日経過して
もリンの溶出はほとんど認められなかった。
【0032】実施例4 本実施例は、イオン注入後に加熱処理を行う実施例であ
る。 〔試験方法〕 10×10×1mm3 の大きさのVAD法で作製した高純度シ
リカガラス板(金属不純物<0.5ppm、OH<100ppm)の
両面に、P+イオンを30keVの加速エネルギーで5×10
16cm2 注入した。そのシリカガラス板を表1に示す温
度、雰囲気下で加熱処理した。これら試料をポリプロピ
レン製容器中の蒸留水20mlに浸漬し、95℃で7日間、12
0 ストローク/分の速度で浸とうした。水中へのP及び
Si溶出量を高周波誘導結合プラズマ発光分析法により
調べた。また加熱処理、溶出試験前後のガラスの表面近
傍の構造を、フーリエ変換赤外反射分光法(FT−I
R)、及びX線光電子分光法(XPS)により調べた。 〔試験結果〕 XPS測定によれば、注入されたPはガラス内部では単
体、表面では空気中の酸素により酸化され、酸化物の状
態で存在した。また、イオン注入試料は、リンコロイド
によると認められる褐色を呈した。溶出試験の結果を表
1に示す。Pをイオン注入しただけで加熱処理を行わな
かった試料(NO.2)及び400 ℃で加熱処理した試料(N
O.3)はガラス中のPを7日以内にすべて溶出し、褐色
の着色も消失した。空気中900 ℃で加熱処理すると(N
O.5)、加熱処理時にPは大部分逃散し、着色もなくな
った。還元性雰囲気(H2)中でリンの昇華点(416 ℃)
以下の400 ℃で加熱処理し、次いで酸化性雰囲気(O2)
中で900 ℃で加熱処理した試料(NO.6及びNO.7) では、
7日後にもSi及びPをごく少量しか溶出しなかった。
溶出試験後も褐色の着色が観察され、また試料中にPが
保持されていることがXPS測定により確認された。F
T−IR測定によれば、Pをイオン注入しただけで加熱
処理を行わなかった試料(NO.2)で観察された表面構造
の変化は、上記の2段階の加熱処理を行った試料(NO.6
及びNO.7) では修復されていた。2段階の加熱処理を行
った試料(NO.6及びNO.7) は、最初の熱処理でガラス中
にリンコロイドが成長し、次の熱処理でリンコロイドの
表面が酸化して、周囲にSiO2 −P2O5系ガラスを形
成し、リンをそのカプセル内に閉じ込めたと考えられ
る。従って、本実施例によれば、放射線治療に適した、
化学的耐久性に優れたP含有ガラスが得られる。
る。 〔試験方法〕 10×10×1mm3 の大きさのVAD法で作製した高純度シ
リカガラス板(金属不純物<0.5ppm、OH<100ppm)の
両面に、P+イオンを30keVの加速エネルギーで5×10
16cm2 注入した。そのシリカガラス板を表1に示す温
度、雰囲気下で加熱処理した。これら試料をポリプロピ
レン製容器中の蒸留水20mlに浸漬し、95℃で7日間、12
0 ストローク/分の速度で浸とうした。水中へのP及び
Si溶出量を高周波誘導結合プラズマ発光分析法により
調べた。また加熱処理、溶出試験前後のガラスの表面近
傍の構造を、フーリエ変換赤外反射分光法(FT−I
R)、及びX線光電子分光法(XPS)により調べた。 〔試験結果〕 XPS測定によれば、注入されたPはガラス内部では単
体、表面では空気中の酸素により酸化され、酸化物の状
態で存在した。また、イオン注入試料は、リンコロイド
によると認められる褐色を呈した。溶出試験の結果を表
1に示す。Pをイオン注入しただけで加熱処理を行わな
かった試料(NO.2)及び400 ℃で加熱処理した試料(N
O.3)はガラス中のPを7日以内にすべて溶出し、褐色
の着色も消失した。空気中900 ℃で加熱処理すると(N
O.5)、加熱処理時にPは大部分逃散し、着色もなくな
った。還元性雰囲気(H2)中でリンの昇華点(416 ℃)
以下の400 ℃で加熱処理し、次いで酸化性雰囲気(O2)
中で900 ℃で加熱処理した試料(NO.6及びNO.7) では、
7日後にもSi及びPをごく少量しか溶出しなかった。
溶出試験後も褐色の着色が観察され、また試料中にPが
保持されていることがXPS測定により確認された。F
T−IR測定によれば、Pをイオン注入しただけで加熱
処理を行わなかった試料(NO.2)で観察された表面構造
の変化は、上記の2段階の加熱処理を行った試料(NO.6
及びNO.7) では修復されていた。2段階の加熱処理を行
った試料(NO.6及びNO.7) は、最初の熱処理でガラス中
にリンコロイドが成長し、次の熱処理でリンコロイドの
表面が酸化して、周囲にSiO2 −P2O5系ガラスを形
成し、リンをそのカプセル内に閉じ込めたと考えられ
る。従って、本実施例によれば、放射線治療に適した、
化学的耐久性に優れたP含有ガラスが得られる。
【表1】95℃で7日間水に浸漬されたP+イオン注入の
シリカガラスから溶出されたPとSi ─:溶出が認められなかったことを意味する。その他の実施例 尚、上記実施例では微小ガラス本体1の材質として、高
純度シリカ或いはY2O3−Al2O3−SiO2系のガラ
スを用いたが、微小ガラス本体1の材質はこれに限定さ
れるものではなく、化学的耐久性に優れ、しかも中性子
線照射により、α線やγ線を放射する元素を含まない限
り、これ以外のガラス系の素材を用いてもよい。
シリカガラスから溶出されたPとSi ─:溶出が認められなかったことを意味する。その他の実施例 尚、上記実施例では微小ガラス本体1の材質として、高
純度シリカ或いはY2O3−Al2O3−SiO2系のガラ
スを用いたが、微小ガラス本体1の材質はこれに限定さ
れるものではなく、化学的耐久性に優れ、しかも中性子
線照射により、α線やγ線を放射する元素を含まない限
り、これ以外のガラス系の素材を用いてもよい。
【0033】また、微小ガラス3の形状も該実施例のよ
うな球状に限らず、板状や棒状に形成されたものであっ
てもよい。
うな球状に限らず、板状や棒状に形成されたものであっ
てもよい。
【0034】さらに、注入するイオンも上記実施例のよ
うなリンイオンのみに限らず、たとえばリンイオンとイ
ットリウムイオンとを同時に注入してもよい。要は、中
性子線照射により放射化可能なリンを主成分とするイオ
ンが注入されればよいのである。
うなリンイオンのみに限らず、たとえばリンイオンとイ
ットリウムイオンとを同時に注入してもよい。要は、中
性子線照射により放射化可能なリンを主成分とするイオ
ンが注入されればよいのである。
【0035】さらにイオンの注入方法や注入装置の種類
も上記実施例に限定されるものではなく、またイオン注
入の条件やイオンの注入量,注入深さ等も問うものでは
ない。
も上記実施例に限定されるものではなく、またイオン注
入の条件やイオンの注入量,注入深さ等も問うものでは
ない。
【0036】
【発明の効果】叙上のように、本発明は微小ガラス本体
の表面に、中性子線照射により放射化可能なリンを主成
分とするイオンを注入したものであるため、放射性同位
体は、微小ガラス本体の表面近傍の数nm〜数千nmの範囲
に制御して分布することが可能となり、従って、放射線
をガラス表面近傍から照射するので、従来のようなガラ
ス中における放射線の減衰を抑制することが可能とな
り、その分有効に癌の患部へ照射することができるので
ある。
の表面に、中性子線照射により放射化可能なリンを主成
分とするイオンを注入したものであるため、放射性同位
体は、微小ガラス本体の表面近傍の数nm〜数千nmの範囲
に制御して分布することが可能となり、従って、放射線
をガラス表面近傍から照射するので、従来のようなガラ
ス中における放射線の減衰を抑制することが可能とな
り、その分有効に癌の患部へ照射することができるので
ある。
【0037】この結果、従来に比べて、より広範囲の治
療も可能になり、患部の状態や大きさに合わせて治療を
行うことができるという実益がある。
療も可能になり、患部の状態や大きさに合わせて治療を
行うことができるという実益がある。
【0038】また、放射化させる原子をイオン注入によ
って強制的に打ち込むため、イットリア或いは五酸化リ
ンのような特定の成分を、従来の方法のように予め溶融
等でガラス成分として含有させる必要がなく、よって患
部だけ局部的に放射線を照射させることを目的とし且つ
体内において極めて高い化学的耐久性が求められるこの
種の放射線治療用ガラスに適した微小ガラスを提供でき
るという利点がある。
って強制的に打ち込むため、イットリア或いは五酸化リ
ンのような特定の成分を、従来の方法のように予め溶融
等でガラス成分として含有させる必要がなく、よって患
部だけ局部的に放射線を照射させることを目的とし且つ
体内において極めて高い化学的耐久性が求められるこの
種の放射線治療用ガラスに適した微小ガラスを提供でき
るという利点がある。
【0039】さらに、イオン注入による方法であるた
め、一旦打ち込まれたイオンは微小ガラス本体から不用
意に離脱することがなく、従ってリン等の放射性同位体
の溶出阻止効果が、従来に比べて著しく良好になる。
め、一旦打ち込まれたイオンは微小ガラス本体から不用
意に離脱することがなく、従ってリン等の放射性同位体
の溶出阻止効果が、従来に比べて著しく良好になる。
【0040】さらに、リンの濃度は必要に応じて任意に
選択でき、しかも安定性に優れる。従って、半減期を気
にせず、専ら患者のその日のコンディションに合わせて
治療を行うことが可能となる。
選択でき、しかも安定性に優れる。従って、半減期を気
にせず、専ら患者のその日のコンディションに合わせて
治療を行うことが可能となる。
【0041】さらに、イオン注入後に適当な熱処理をす
ることにより、或いは窒素等のイオン注入を追加するこ
とにより、体内での有害イオンの溶出を阻止することも
できる。
ることにより、或いは窒素等のイオン注入を追加するこ
とにより、体内での有害イオンの溶出を阻止することも
できる。
【図1】本発明の一実施例としての放射線治療用微小ガ
ラスの概略拡大説明図。
ラスの概略拡大説明図。
【図2】上記放射線治療用微小ガラスのイオン注入に使
用するイオン注入装置の概略説明図。
用するイオン注入装置の概略説明図。
【図3】本発明及び従来の放射線治療用微小ガラスの化
学的耐久性を示すグラフ。
学的耐久性を示すグラフ。
【図4】従来の放射線治療用微小ガラスの概略拡大説明
図。
図。
1…ガラス本体 2…イオン 3…放射線治療用微小ガラス
Claims (2)
- 【請求項1】 微小ガラス本体1の表面に、中性子線照
射により放射化可能なリンを主成分とするイオン2が注
入されてなることを特徴とする放射線治療用微小ガラ
ス。 - 【請求項2】 微小ガラス本体1の表面に、中性子線照
射により放射化可能なリンを主成分とするイオン2を注
入することによって、放射線治療用微小ガラスを製造す
ることを特徴とする放射線治療用微小ガラスの製造方
法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3317901A JPH07112985B2 (ja) | 1991-12-02 | 1991-12-02 | 放射線治療用微小ガラスとその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3317901A JPH07112985B2 (ja) | 1991-12-02 | 1991-12-02 | 放射線治療用微小ガラスとその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05208919A JPH05208919A (ja) | 1993-08-20 |
| JPH07112985B2 true JPH07112985B2 (ja) | 1995-12-06 |
Family
ID=18093322
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3317901A Expired - Lifetime JPH07112985B2 (ja) | 1991-12-02 | 1991-12-02 | 放射線治療用微小ガラスとその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07112985B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP3490015B2 (ja) * | 1999-03-11 | 2004-01-26 | 関西ティー・エル・オー株式会社 | 化学的耐久性に優れた放射性微小球及びその製造方法 |
| EP1452185A1 (en) * | 2003-02-28 | 2004-09-01 | Euratom | Activation and production of radiolabeled particles |
-
1991
- 1991-12-02 JP JP3317901A patent/JPH07112985B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05208919A (ja) | 1993-08-20 |
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