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JPH07121344B2 - 非対称性中空糸炭素膜及びその製法 - Google Patents
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JPH07121344B2 - 非対称性中空糸炭素膜及びその製法 - Google Patents

非対称性中空糸炭素膜及びその製法

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JPH07121344B2
JPH07121344B2 JP11015790A JP11015790A JPH07121344B2 JP H07121344 B2 JPH07121344 B2 JP H07121344B2 JP 11015790 A JP11015790 A JP 11015790A JP 11015790 A JP11015790 A JP 11015790A JP H07121344 B2 JPH07121344 B2 JP H07121344B2
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寛史 島崎
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、芳香族ポリイミド製の非対称性中空糸膜を
部分的に炭素化して得られた、炭素原子の含有率が70〜
93重量%とかなり高い特殊な材料で形成されている非対
称性中空糸炭素膜、並びに、芳香族ポリイミド製の非対
称性中空糸膜を、250〜495℃の温度であって該中空糸膜
の非対称製構造が維持される温度で予備熱処理して熱安
定化し、次いで、500〜900℃の高温で部分的に炭化し
て、部分炭化された前記の組成の材料で形成されている
非対称性中空糸炭素膜を製造する方法に係わる。
この発明の非対称性中空糸炭素膜は、極めて優れた耐熱
性、耐溶剤性を有していると共に、水素とメタンとの混
合ガスから水素を分離する場合などのガス分離性能が高
いレベルのものである。
〔従来技術の説明〕
従来、透過選択性の高い非対称性のガス分離膜は、種々
のポリマーを素材とするものが知られている。それらの
中で、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジ
アミンとを重合及びイミド化して得られた可溶性の芳香
族ポリイミドの溶液を使用して、湿式製膜法で製造され
た非対称性のガス分離膜(中空糸膜)は、特に、耐熱
性、耐薬品性が良好であるガス分離膜であることが、特
開昭61−133106号公報などにおいて、知られている。
ところが、公知のガス分離膜は、分離すべき原料混合ガ
ス中に、ヘキサン、トルエンなどの有機溶剤などの不純
物を多く含む場合には、膜性能に悪影響を与えることが
あり、前述の不純物を除去するという前処理を充分にし
た後でないと、原料混合ガスの分離操作を行うことがで
きなかったのである。
最近、例えば、特開昭60−179102号公報、特開平1−22
1518号公報などにおいて、有機ポリマー製の膜を極めて
高温で熱処理して多孔質有機膜を炭化して、耐薬品性の
優れたガス分離膜用の炭素膜を製造する方法、および、
それらの方法で得られた炭素膜(中空糸炭素膜)につい
て、提案された。
しかし、特開昭60−179102号公報には、具体的には、ポ
リアクリルニトリル製の膜を、1200℃付近の温度で熱処
理して充分な炭素化を行って、膜全体に微細孔を形成さ
せた分離性炭素膜を製造する方法が記載されており、前
述の製法によって得られたガス分離炭素膜は、実質的に
多孔質ガス分離膜に関するものであるので、その分離用
炭素膜は、透過速度が比較的大きいのであるが、選択透
過性が非常に小さいものであり、実用的なガス分離膜と
はならないものであった。
また、特開平1−221518号公報には、概略、ポリアクリ
ルニトリル、セルロース、ポリビニルアルコールなどの
有機ポリマーからなる多孔質中空糸膜を、架橋、酸化を
施した後、不活性雰囲気、600〜1000℃の温度で炭素化
し、さらに、水蒸気、炭酸ガス等の酸化性ガスを含む雰
囲気で賦活性化処理をして、細孔径10〜50Åの多孔質構
造を有する中空糸炭素膜を製造し、最後に、前記中空糸
炭素膜を、必要であれば熱分解性炭化水素に浸漬した
後、不活性ガス中で900℃以上の温度で1分間以上熱処
理して細孔を熱収縮させて、特殊な中空糸炭素膜を製造
する方法、並びに、前述のようにして製造された特殊な
中空糸炭素膜が記載されている。
前記の公知の製法は、前述のようにして有機ポリマー製
の中空糸膜から製造される細孔径10〜50Åの多孔質構造
を有する中空糸炭素膜を準備して使用することが必要で
あり、その製造が極めて複雑であり、その後の細孔の収
縮のための熱処理も簡単ではないと共に、最初の有機ポ
リマー製の中空糸膜に対する中空糸炭素膜の収率が30%
以下であり、極めて生産性の悪いものであった。
〔解決しようとする問題点〕
この発明は、公知の芳香族ポリイミドからなるガス分離
膜と、実質的に同程度のガス透過速度と高い選択透過性
(高い分離度)とを有していると共に、極めて優れた耐
溶剤性と耐熱性とを有している非対称性中空糸炭素膜
を、工業的に容易に製造することができる方法を提供す
ること、並びに、炭素原子の含有率が70〜93重量%とか
なり高い特殊な材質からなる前述の優れたガス分離性能
を有する非対称性中空糸炭素膜を提供することを目的と
するものである。
この出願の第1の発明は、中空糸膜を形成している材料
が、炭素原子の含有率;70〜93重量%、窒素原子の含有
率;3.5〜7重量%、および、水素原子の含有率;1.0〜4.
0重量%である、芳香族ポリイミドの部分炭素化物であ
り、そして、該中空糸膜の外表面に緻密層を有すると共
に、中空糸膜の内部が前記緻密層と連続して多孔質支持
層を有する非対称性中空糸炭素膜であることを特徴とす
る非対称性中空糸炭素膜に関する。
また、この出願の第2の発明は、芳香族ポリイミドから
なる非対称性中空糸膜を、250〜495℃の範囲内の温度で
あってしかも該中空糸膜の非対称性構造が維持される温
度、および、酸素含有ガスの雰囲気で、予備熱処理して
熱安定化し、次いで、その予備熱処理された中空糸膜
を、500〜900℃でおよび不活性ガスの雰囲気下で部分的
に炭素化処理することを特徴とする非対称性中空糸炭素
膜の製法に関する。
以下、この発明の各要件についてさらに詳しく説明す
る。
この発明の非対称性中空糸炭素膜は、該中空糸膜を形成
している材料が、 (a) 炭素原子の含有率が70〜92重量%(特に70〜90
重量%)、 (b) 窒素原子の含有率が3.5〜7重量%(特に4.0〜
6.5重量%)、および、 (c) 水素原子の含有率が1.0〜4.0重量%(特に1.5
〜3.5重量%)であって、 (d) 芳香族ポリイミドを高温で熱処理して部分的に
炭素化された部分炭素化物であり、 そして、 (イ)該中空糸膜の外表面に、厚さ0.0005〜5μm(特
に0.001〜2μm)の緻密層を有すると共に、 (ロ)中空糸膜の内部が、前記緻密層と連続して多孔質
支持層(平均孔径50〜20000Å、特に100〜10000Å程度
の微細孔を多数有する厚さ10〜2000μm、特に20〜1000
μmの多孔質支持層) を有する非対称性中空糸炭素膜であることが好ましい。
この発明の非対称性中空糸炭素膜は、水素ガスの透過速
度(PH、50℃)が、3×10-5〜80×10-5cm3/cm2・se
c・cmHg、特に、5×10-5〜60×10-5cm3/cm2・sec・cmH
g程度であって、水素ガスの透過速度(PH、50℃)と
メタンガスの透過速度(PCH、50℃)との比(PH2/P
CH)で示される選択透過性(分離度)が80〜1000、特
に100〜800程度であることが好ましい。
この発明の非対称性中空糸炭素膜は、その中空糸膜を形
成している材料が炭素原子の含有率の余り低いものであ
って、炭素化の程度が低くなり過ぎると、n−ヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンな
どの有機溶剤に対する耐溶剤性が著しく低下することが
あるので適当ではなく、また、前記の炭素原子の含有率
の余りに多いものであって炭素化の程度が高くなり過ぎ
ると、水素ガスなどの透過速度が低下したり、選択透過
性が悪化したりするので適当ではない。
この発明の非対称性中空糸炭素膜は、その外径が100〜2
000μm、特に150〜1000μm程度であることが好まし
く、また、その膜厚が10〜200μm、特に20〜150μm程
度であることが好ましい。
この発明の非対称性中空糸炭素膜は、部分的に適度に炭
素化されている材料で形成されており、極めて薄い緻密
層(ガス分離活性層)と比較的厚い多孔質層(支持層)
とを一体に有する非対称性構造を有しているものである
ので、高いガス透過性と高い選択性(分離性)とを同時
に保持していると共に、有機溶剤が含有されている混合
ガスを前記非対称性中空糸炭素膜へ供給して、長時間、
ガス分離操作を行っても、前記中空糸炭素膜のガス分離
性能が高い割合(トルエン溶剤で保持率が70%以上であ
る)で維持され、耐久性が優れているガス分離膜であ
る。
この発明の非対称性中空糸炭素膜の製法では、例えば、
まず、芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成
分とを重合およびイミド化して得られる芳香族ポリイミ
ドの溶液から湿式製膜法などで製造された非対称性中空
糸膜を、250〜495℃(好ましくは260〜450℃)の範囲内
の温度であってしかも該中空糸膜の非対称性構造が維持
される温度、および、酸素含有ガスの雰囲気で、0.1〜1
00時間、特に0.3〜50時間、予備熱処理して熱安定化
し、次いで、 その予備熱処理された芳香族ポリイミド製の非対称性中
空糸膜を、500〜900℃(好ましくは550〜800℃)の温度
および不活性ガスの雰囲気下で、0.5秒間〜100分間、特
に1秒間〜50分間、部分的に炭素化処理して、 部分的に炭素化されていて、緻密層と多孔質層とを一体
に有する非対称性中空糸炭素膜を製造するのである。
前記の芳香族ポリイミドからなる非対称性中空糸膜は、
特開昭61−133106号公報などに記載の製法などで製造す
ることができる。
すなわち、前記の非対称性中空糸膜は、ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸成
分と、ジアミノジメチルジフェニレンスルホン、ジアミ
ノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエー
テルなどの芳香族ジアミン成分とを、略等モル、パラク
ロルフェノールなどのフェノール系溶媒中で、重合およ
びイミド化して、可溶性の芳香族ポリイミドの溶液を調
製し、その溶液を製膜用ドープ液として使用して、チュ
ーブ・イン・オリフィスタイプの紡糸用ノズルから、窒
素雰囲気中に中空糸状に押し出し、次いで、エタノール
水溶液からなる凝固液中で凝固させて、非対称性構造の
中空糸膜となし、最後に、その中空糸膜をエタノール洗
浄してフェノール系溶媒を抽出して除去し、イソオクタ
ン溶剤によって前記エタノールの置換を行った後、乾燥
し、さらに熱処理して、好適なガス透過速度および選択
透過性を有する非対称性中空糸膜を製造することができ
る。
この発明の製法に使用される芳香族ポリイミド性の非対
称性中空糸膜は、水素ガスの透過速度(PH、50℃)
が1×10-5〜100×10-5cm3/cm2・sec・cmHg、特に、2
×10-5〜70×10-5cm3/cm2・sec・cmHg程度であって、水
素ガスの透過速度(PH)とメタンガスの透過速度
(PCH、50℃)との比(PH2/PCH)で示される選択
透過性(分離度)が30〜250、特に50〜200程度であり、
さらに、 厚さ0.001〜5μm程度の緻密層(表面層)と厚さ10〜2
000μm程度の多孔質層(内部層)とが連続して一体と
なっている非対称性構造が形成されている中空糸膜であ
ることが、この発明の製法において最終的に得られる非
対称性中空糸炭素膜が充分な非対称性構造を有するよう
にするため、また、そのガス分離性能を高いレベルとす
る上で、特に好ましい。
この発明の製法では、前述の酸素含有気体中での予備熱
処理(熱安定化処理)は、次の炭素化処理工程において
前記の中空糸膜の非対称性構造が維持できるように、前
記中空糸膜を形成している芳香族ポリイミドを一部架橋
および/または一部環化させ、あるいは、不融化または
不溶化して、熱的に安定である芳香族ポリイミドとする
ために、250〜495℃の範囲内の温度であって、前記中空
糸膜の非対称性構造が維持される温度で行われる。
前記の中空糸膜の非対称性構造が維持される温度とは、
例えば、該ポリイミドが後述する測定法で測定された軟
化温度を有する場合には、該ポリイミドの軟化温度より
も、5℃以上低い温度、特に10℃以上低い温度であり、
また、該ポリイミドが実質的に軟化温度又は二次転移温
度を有していない場合には、その該ポリイミド製中空糸
膜の非対称性構造が電子顕微鏡などで観察して大幅に変
形したりしない温度、多孔質層の平均孔径が大幅に(50
%以下に)縮小したりしない温度であればよい。
前記の予備熱処理は、前述の温度範囲内であれば、例え
ば、280℃の付近の温度から450℃の付近の高温まで徐々
に昇温させながら行うことによる予備熱処理、あるい
は、250〜350℃の温度で5〜100時間(好ましくは10〜5
0時間)の熱処理し、次いで、350〜490℃の温度で10〜3
00分間(好ましくは20〜200分間)の熱処理するという
ように、複数段階で行う予備熱処理であってもよい。
前記の非対称性中空糸膜の予備熱処理は、前記中空糸膜
(長尺の中空糸)を高温の加熱炉に連続的に供給して連
続的に行うことができ、また、複数本の非対称性中空糸
膜の糸束を形成して、その糸束を適当な温度の加熱炉内
に配置してある時間加熱炉内に放置してバッチ的に熱処
理を行うこともできる。
前記の予備熱化処理で使用する酸素含有気体としては、
例えば、空気、酸素と窒素との混合ガスなどを好適に挙
げることができる。
この発明の製法では、前述の酸素含有気体中での予備熱
処理を行わないと、その後の工程の炭素化工程で、中空
糸膜の非対称性構造が損なわれるので適当ではなく、ま
た、予備熱処理を余りに高い温度で行うと、芳香族ポリ
イミド製の非対称性中空糸膜がその非対称性構造を最適
に維持できなくなり、非対称性構造が損なわれたり、著
しくガス分離性能の劣った構造になったりすることがあ
り、最終的な非対称性中空糸炭素膜が低い性能のガス分
離膜となるので適当ではない。
この発明の製法では、前述のようにして、予備熱処理さ
れた非対称性中空糸膜は、例えば、窒素ガス、ヘリウム
ガス、アルゴンガスなどの不活性気体の雰囲気中で、50
0〜900℃(好ましくは550〜800℃の範囲中の温度で、0.
5秒間〜100分間(特に1秒間〜50分間)、部分的に炭素
化処理をすることが好ましい。
前述の部分的な炭素化処理は、前述の温度範囲内であれ
ば、例えば、500℃〜600℃の付近の温度から700℃〜800
℃の付近の高温まで昇温させながら約10秒間〜60分間で
行うことによる高熱処理、あるいは、500〜550℃の温度
付近で0.5〜60分間(好ましくは1〜30分間)の高熱処
理し、次いで、600〜800℃の温度付近で0.5秒間〜20分
間(好ましくは1秒間〜10分間)の高熱処理をするとい
うように複数段階で行う高熱処理であってもよい。
前記の予備加熱された非対称性中空糸膜の炭素化処理
は、前述の予備加熱と同様に、前記中空糸膜(長尺の中
空糸)を高温の加熱炉に連続的に供給して連続的に行う
ことができ、また、複数本の非対称性中空糸膜の糸束を
形成して、その糸束を適当な温度の加熱炉内に配置して
ある時間加熱炉内に放置してバッチ的に高熱処理(炭素
化)を行うこともできる。
〔実施例〕
以下、この発明を参考例および実施例によってさらに詳
しく説明する。しかし、この発明はそれらの実施例によ
って限定されるものではない。
非対称性中空糸膜又は非対称性中空糸炭素膜について、
各ガスの透過性能、耐溶剤性、収率などは、次に示すそ
れぞれの方法で測定した。
〔透過性能〕
まず、前述のようにして製造した非対称性中空糸炭素膜
と、ステンレスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使
用して、透過性能評価用の中空糸エレメントを作成し
た。
(a)透過性能の測定A そして、透過性能Aは、ステンレス容器に透過性能評価
用の中空糸エレメントを装着し、水素ガスとメタンガス
との混合ガスを用いて、50℃の温度、10kg/cm2の圧でガ
ス透過試験を行い、ガス透過速度と、各ガスの透過速度
比(選択透過性、ガス分離度を示す)とを、ガスクロマ
トグラフィー分析の測定値から算出した。
(b)透過性能の測定B 前述のようにして製造した非対称性中空糸炭素膜は、前
述のガス透過性能に用いる原料ガスを、40℃に加熱した
トルエン中にバブリングさせ、トルエン蒸気濃度が7400
ppmの混合ガスとして、このトルエン含有の混合ガスを
用いて、しかも、混合ガスの供給開始後18時間後に測定
することにしたほかは上述の透過性能の測定Aと同様に
して、非対称性中空糸炭素膜の透過性能を測定した。
(c)耐溶剤性 したがって、非対称性中空糸炭素膜は、耐溶剤性を示す
指標として、前記の透過性能Aと透過性能Bとにおける
保持率(B/A)×100(%)を算出した。
〔中空糸炭素膜の収率〕
また、芳香族ポリイミド性の非対称性中空糸膜を、前述
のように予備加熱し、炭素化して、非対称性中空糸炭素
膜を製造する際の炭素膜の収率は、未処理の中空糸膜の
重量と、炭素化処理後の中空糸炭素膜の重量とを測定
し、両者から収率を算出した。
〔中空糸炭素膜などの元素分析〕
元素分析は、元素分析装置(パーキンエルマー社製、24
0C型)を用いて測定した。
〔中空糸膜の非対称性構造の確認〕
電子顕微鏡を使用して、中空糸炭素膜などの断面の1000
0倍の写真を写し、その写真における中空糸炭素膜の断
面を観察することにより、中空糸炭素膜の緻密層と多孔
質層とからなる非対称性構造の状態、有無などを確認し
た。
参考例1 3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物99
ミリモルと、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル60ミ
リモルと、3,5−ジアミノ安息香酸30ミリモルと、4,4′
−ジアミノジフェニルメタン10ミリモルとを、パラクロ
ルフェノール253gと共に、撹拌機と窒素ガス導入管とが
付設されたセパラブルフラスコに入れて、窒素ガスを流
して、撹拌しながら、180℃で13時間重合させて、芳香
族ポリイミド濃度が15重量%である芳香族ポリイミド溶
液を調製した。
この芳香族ポリイミド溶液は、100℃の回転粘度が1116
ポイズであり、70℃での回転粘度が3920ポイズであっ
た。この芳香族ポリイミド溶液を、400メッシュのステ
ンレス金網で濾過して、紡糸用のドープ液を準備した。
その紡糸用ドープ液を、中空糸紡糸用ノズル(円形開口
部の外径;1000μm、円形開口部のスリット幅;200μ
m、芯部開口部の外径;400μm)を備えた紡糸装置にそ
れぞれ仕込み、そして、前記紡糸用ノズルから中空糸状
に吐出させて、その中空糸状体を窒素雰囲気中を通した
後、65重量%のエタノール水溶液からなる一次凝固液
(0℃)にそれぞれ浸漬し、さらに、一対の案内ロール
を備えた二次凝固装置内の二次凝固液(0℃)中で案内
ロール間を往復させて、中空糸状体の凝固を完了させ
て、芳香族ポリイミド製のガス分離中空糸膜を引き取り
ロールで引き取りながら(引き取り速度15m/分)、紡糸
を行った。
最後に、この中空糸膜をボビンに巻き取り、エタノール
で充分に凝固溶媒等を洗浄した後、イソオクタン(置換
溶媒)でエタノール置換し、さらに、中空糸膜を100℃
に加熱して、イソオクタンの蒸発・乾燥を行い、さら
に、260℃の温度で30分間、中空糸膜の熱処理を行っ
て、乾燥及び熱処理された芳香族ポリイミド製の非対称
性中空糸膜を製造した。
この芳香族ポリイミド製の非対称性中空糸膜の軟化温度
は、デュポン990型熱分析装置を用いて引張りモードに
よる熱機械分析により、窒素ガス雰囲気下、昇温速度10
℃/分で測定した。前記の熱機械分析において、該中空
糸膜が急激に伸び始める温度を観測した結果、前記芳香
族ポリイミドの軟化温度は290℃であった。
参考例2 芳香族ジアミン成分として、3,7−ジアミノ−2,8−ジメ
チル−ジフェニレンスルホン90ミリモル、4,4′−ジア
ミノジフェニルエーテル10ミリモルを使用し、パラクロ
ルフェノール293gを使用したほかは、参考例1と同様に
して重合して、芳香族ポリイミド濃度が15重量%である
芳香族ポリイミド溶液を調製した。
この芳香族ポリイミド溶液を使用し、熱処理温度を300
℃としたほかは、参考例1と同様にして紡糸及び後処理
を行い、非対称性中空糸膜を製造した。
前記芳香族ポリイミド性の非対称性中空糸膜の軟化温度
は、参考例1と同様の熱機械分析で測定したが、450℃
までの温度において、明確な軟化現象が現れなかった。
実施例1 参考例1で得られた非対称性中空糸膜を、空気雰囲気の
オーブン中、無緊張下、270℃で38時間熱処理した後さ
らに400℃で30分間、予備熱処理して熱安定化した。
次に、予備熱処理された非対称性中空糸膜は、石英ガラ
ス管中を700℃に調節し窒素雰囲気に保たれた電気管状
炉内を、送りだしロールと引き取りロールとの間で20cm
/分の等速度で通過して、滞留時間4分間の炭素化処理
が行なわれ、中空糸炭素膜が製造された。
この中空炭素膜は、参考例1で用いた芳香族ポリイミド
を溶解する溶媒であるパラクロルフェノールに浸漬し、
200℃で1時間加熱したが、実質的に溶解せず、また、
前記中空糸炭素膜を電子顕微鏡写真によって観察すれ
ば、その中空糸膜が非対称性構造(緻密層および多孔質
層)が確認され、芳香族ポリイミド製の非対称性中空膜
と同様な有効な非対称性構造の形状で維持されていた。
前述の透過性能の測定Aの結果、前記非対称性中空糸炭
素膜は、水素ガスの透過速度(PH)が、18×10-5cm3
/cm2・sec・cmHgであり、また、水素ガスの透過速度
(PH)とメタンガスの透過速度(PCH)との比
(PH2/PCH)が140であった。
前述の透過性能の測定Bの結果、前記の非対称性中空糸
炭素膜は、水素ガスの透過速度が、17×10-5cm3/cm2・s
ec・cmHgであり、また、水素ガスの透過速度とメタンガ
スの透過速度との比(PH2/PCH)が148であった。
前記の透過性能の測定A及びBの結果から算出した耐溶
剤性(分離度の保持率)は106%であり、そして、前記
の非対称性中空糸炭素膜の収率は71.5%であって、さら
に、その炭素含有率は87.2%であった。
実施例2〜5 前述の参考例2で製造した芳香族ポリイミド製の非対称
性中空糸膜を使用して、第1表に示した条件で、熱安定
化処理、および、炭素化処理を行ったほかは、実施例1
と同様の方法で、非対称性中空糸炭素膜を製造した。
各非対称性中空糸炭素膜について、透過性能、耐溶剤
性、収率、元素分析値を、第1表に示す。
比較例1 参考例2で製造した芳香族ポリイミド製の非対称性中空
糸膜について、透過性能の測定Aを行った結果、水素ガ
スの透過速度が16×10-5cm3/cm2・sec・cmHgであり、ま
た、水素ガスの透過速度とメタンガスの透過速度との比
(PH2/PCH)が167であったが、透過性能の測定Bを
行った結果、水素ガスの透過速度が6.2×10-5cm3/cm2
sec・cmHgであり、また、水素ガスの透過速度とメタン
ガスの透過速度との比(PH2/PCH)が25であって、前
記の透過性能の測定A及びBの結果から算出した耐溶剤
性(分離度の保持率)は15%であった。
比較例2 参考例2で製造した芳香族ポリイミド製の非対称性中空
糸膜を、空気雰囲気のオーブン中、無緊張下、400℃で3
0分間熱処理し熱安定化した。
前述のようにして、得られた熱安定化のみが行われた中
空糸膜について、透過性能の測定A及びBを行った結果
を第1表に示す。
前記の熱安定化のみがなされた中空糸膜は、炭素元素含
有率が、66.4%と低く、そのための耐溶剤性(分離度の
保持率)が、35%と極めて低かった。
比較例3 炭素化の温度を1000℃としたほかは、実施例4と同様に
して、中空糸炭素膜を製造した。
その中空糸炭素膜について、透過性能の測定A及びBな
どを行った結果を第1表に示す。
前記の中空糸炭素膜は、水素原子含有率が0.6%と低
く、そして、水素ガスの透過速度が、1.1×10-5cm3/cm2
・sec・cmHgと小さく、実用的な中空糸炭素膜ではなか
った。
〔本発明の作用効果〕 この発明の非対称性中空糸炭素膜は、炭素含有率が70〜
93重量%であって、しかも、緻密層と多孔質層とを一体
に有する非対称性構造を保持しているので、例えば、水
素を含む混合ガスから水素を高い分離性能で分離するこ
とができ、しかも、有機溶剤などの不純物成分が混入し
た混合ガスの分離においても、その分離性能(分離度
等)がほとんど低下しないものであり、さらに、高温で
長期間使用できる高い耐熱性を有しているものである。
また、この発明の製法は、前述の優れた性能の非対称性
中空糸炭素膜を、再現性よく高い生産性で容易に製造す
ることができる優れた製法である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空糸膜を形成している材料が、炭素原子
    の含有率;70〜93重量%、窒素原子の含有率;3.5〜7重
    量%、および、水素原子の含有率;1.0〜4.0重量%であ
    る、芳香族ポリイミドの部分炭素化物であり、そして、
    該中空糸膜の外表面に緻密層を有すると共に、中空糸膜
    の内部が前記緻密層と連続して多孔質支持層を有する非
    対称性中空糸炭素膜であることを特徴とする非対称性中
    空糸炭素膜。
  2. 【請求項2】芳香族ポリイミドからなる非対称性中空糸
    膜を、250〜495℃の範囲内の温度であってしかも該中空
    糸膜の非対称性構造が維持される温度、および、酸素含
    有ガスの雰囲気で、予備熱処理して熱安定化し、次い
    で、その予備熱処理された中空糸膜を、500〜900℃でお
    よび不活性ガスの雰囲気下で部分的に炭素化処理するこ
    とを特徴とする非対称性中空糸炭素膜の製法。
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