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JPH0793427B2 - ドリフトバッファ構造を有する半導体素子 - Google Patents
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JPH0793427B2 - ドリフトバッファ構造を有する半導体素子 - Google Patents

ドリフトバッファ構造を有する半導体素子

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JPH0793427B2
JPH0793427B2 JP4144887A JP14488792A JPH0793427B2 JP H0793427 B2 JPH0793427 B2 JP H0793427B2 JP 4144887 A JP4144887 A JP 4144887A JP 14488792 A JP14488792 A JP 14488792A JP H0793427 B2 JPH0793427 B2 JP H0793427B2
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尚茂 玉蟲
公裕 村岡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電力用半導体素子に関
し、特にバッファ構造を有する半導体素子においてバッ
ファ層内に不純物密度勾配を設定して正孔に対する内部
電界を発生させアノードからの正孔の注入率を高めると
ともに電子の蓄積効率を高め、またアノード領域内に不
純物密度勾配を設定して電子に対する内部電界を発生さ
せ、かつカソード・アノード間に強電界を印加し得る新
しいバッファ構造(以下ドリフトバッファ構造と称す
る)を有する半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、バッファ層を有する半導体素子は
各種提案されている。例えば、高耐圧のGTO,静電誘
導サイリスタ,IGBT(絶縁ゲートバイポーラトラン
ジスタ),絶縁ゲート静電誘導サイリスタ等において提
案されている通りである。この構造の特徴はアノード
(コレクタ)領域前面に、nバッファ層をnベース層の
高抵抗層との間に積極的に介在させ、ゲート(ベース)
・アノード(コレクタ)間の電界分布の形状を実質的に
三角形の形状から台形の形状にし、強電界が一様にアノ
ード領域近傍まで印加されるようにした点である。この
ことによって、高抵抗層の厚さは低減でき、高耐圧化が
容易となるとともに、高抵抗層中をキャリアは強電界に
よってドリフト走行するため、特に、ターン・オンの特
性が良好となる。
【0003】nバッファ構造を有する静電誘導サイリス
タの構造例は既に特公昭59−31869号に開示され
ている通りである。或いはまた、nバッファ構造を有す
る2500V−300A級埋込みゲートSIサイリスタ
の試作例も PROC. OF THE 16TH ANNUAL IEEE POWER ELE
CTRONICS SPECIALISTS CONFERENCE (PESC '85)において
"LOW-LOSS HIGH SPEED SWITCHING DEVICE, 2500V-300A
STATIC INDUCTION THYRISTOR"として報告されている。
【0004】図15は上記論文中の試作構造例を模式的
に示した断面構造図である。図15において、1はアノ
ード電極、2はアノード領域、3はnバッファ層、4は
nバッファ短絡層、5は高抵抗層、6はゲート領域、7
はエピタキシャル層、8はカソード領域、9はカソード
電極、10はゲート電極である。n層3がnバッファ層
となっており、n+ 領域4によって、Pアノード領域2
と電気的に短絡されている。n+ 領域4はほぼゲート電
極10のアノード面に投影した下側において形成されて
いる。
【0005】ここで、nバッファ層の厚さと不純物密度
の値によってアノード側からの正孔注入量が決定され
る。nバッファ層の不純物密度を高く設定しすぎると、
注入量が低下し、ターン・オン特性, オン電圧に影響を
与える。nバッファ層の不純物密度を低くすると、正孔
注入量は増すが強電界がnバッファ層中に侵入してきて
パンチングスルーを引き起こすことがあるため、あまり
高耐圧化ができないという矛盾を生ずる。そのため、n
バッファ層の厚さをある程度厚く設定することが考えら
れるが、所定の不純物密度で、ある程度厚く設定された
nバッファ層では、オン電圧が上昇する、正孔の注入量
が低減化される、ラッチングアップへ移向する反応が鈍
い(即ち、ターン・オンの応答が低下する)等の問題点
を生じやすい。従って、現状のnバッファ層を有する半
導体素子では薄い方が望ましいにもかかわらずある程度
厚く設定し、高不純物密度に形成して高耐圧を阻止する
ことが望ましいにもかかわらず、正孔の注入量をある程
度確保するために中程度の不純物密度として形成してい
る。
【0006】更にまたnバッファ層は所定の不純物密度
を有する層状の領域としてアノード領域と高抵抗層との
間に介在するため、アノード領域に対して電気的にフロ
ーティング状態のままでは、nバッファ層内に蓄積され
るキャリアとしての電子は、そのライフタイムで決まる
期間、nバッファ層中に存在し続けることになる。この
場合、アノード領域からの正孔の注入を引き起こすが、
電子のライフタイムが長い場合には、その間、正孔注入
が起こるため、余分な正孔が注入される原因ともなる。
従って、nバッファ層はアノード領域と電気的短絡され
ることが望ましい。しかしながら、この短絡率を増す
と、nバッファの効果が薄れ、ラッチングアップを起こ
さなくなったり、或いは正孔の注入量も低減化され、オ
フ特性, テイル特性が改善されたとしても、オン特性が
劣化する原因ともなる。nバッファ層は層状に形成され
るため、横方向の抵抗を低減化する必要も生ずる。更に
また、従来のベース構造を有するバッファ構造では、そ
の構造上オン電圧が高くなりやすいという欠点も存在し
ていた。
【0007】上記の問題点を解決する一方法として静電
誘導(SI,Static Induction)バッファ構造が提案され
ている。即ち、村岡、玉蟲によって特願平4−1141
40号(特開平6−85244号公報)「静電誘導バッ
ファ構造を有する半導体素子」において開示されている
通りである。
【0008】静電誘導(SI)バッファ構造とは静電誘
導効果を利用したバッファ構造である。即ち、ターン・
オンの状態では正孔はSIバッファ層の低不純物密度の
領域を主として流れ、カソードから注入されてきた電子
はSIバッファ層の高不純物密度の領域に蓄積される。
この高不純物密度の領域は電子の拡散長Ln の2倍、即
ち、2Ln 以下のピッチにてアノード領域と短絡し、電
子のライフタイムτnで決まるSIバッファ層内の電子
の寿命に対応させて、電子をアノード電極に吸収する効
果を有する。SIバッファ層の高不純物密度領域のかわ
りに、W,Mo,Co,Pt等の金属層もしくは金属シ
リサイド層を使用しても良い。
【0009】SIバッファ層の低不純物密度層は、高不
純物密度層もしくは金属層等との間に生ずる拡散電位に
よって空乏化されている。そしてSIバッファ層の空乏
化された低不純物密度層内の電位はSIバッファ層の高
不純物密度層もしくは金属層等の電位により、容量結合
的に制御されるように、その厚さと不純物密度を選定す
る。オン状態において正孔が流れる通路ともなるチャネ
ル領域が形成されるが、このチャネル領域は空乏化され
たチャネルであって、静電誘導効果による電位障壁制御
によってその高さが容量結合的に可変である。上記のチ
ャネル長は短い方が正孔の注入量が増すため有効である
が、一方においてカソード側から広がる空乏層が、到達
しても高電圧を充分に阻止できる程度に高いポテンシャ
ル電位構造となっている必要がある。強電界を主として
阻止する領域はSIバッファ層の高不純物密度領域もし
くは金属層領域であるが、一部低不純物密度領域まで空
乏層が侵入し、低不純物密度領域のチャネルの電位障壁
の高さを低下させる効果も生ずる。この効果が強くなる
と、アノードからの正孔注入を引き起こし、バッファ層
の効果を低減化させてしまう。従って、SIバッファ構
造においては、低不純物密度領域中のチャネル部の電位
障壁高さを充分に高く設定し、カソード・アノード間の
強電界を充分に阻止できること、及び高不純物密度領域
もしくは金属層の電位によって電位障壁高さが容量結合
的に可変となることが必要である。
【0010】上記に定義され説明したバッファ構造を静
電誘導(Static Induction ; SI)バッファ構造と称す
る。
【0011】従って、SIバッファ構造を有する半導体
素子の構成は以下に示す通りである。即ち、該構成はア
ノード領域、カソード領域、ゲート領域を有する半導体
素子において、前記アノード領域に接するか近傍におい
てバッファ層を具備するとともに、前記バッファ層は高
不純物密度領域と低不純物密度領域の部分を有し、前記
低不純物密度領域は前記高不純物密度領域との間の拡散
電位によって実質的に空乏化されていて、かつ、前記高
不純物密度領域のバッファ層は前記アノード領域2Ln
以下のピッチ(Ln は電子の拡散長)で短絡されている
ことを特徴とする静電誘導バッファ構造を有する半導体
素子としての構成を有するものである。
【0012】或いはまた、前記バッファ層は前記アノー
ド領域とは反対導電型であることを特徴とする静電誘導
バッファ構造を有する半導体素子としての構成を有する
ものである。
【0013】或いはまた、前記バッファ層の内、高不純
物密度領域は前記アノード領域とは反対導電型であると
ともに、低不純物密度領域は前記アノード領域と同一導
電型であるか真性半導体領域であることを特徴とする静
電誘導バッファ構造を有する半導体素子としての構成を
有するものである。
【0014】或いはまた、アノード領域、カソード領
域、ゲート領域を有する半導体素子において、前記アノ
ード領域に接するか近傍においてバッファ層を具備する
とともに、前記バッファ層は金属層領域と低不純物密度
領域の部分を有し、前記低不純物密度領域は前記金属層
との間の拡散電位によって実質的に空乏化されていて、
かつ前記金属層領域のバッファ層は前記アノード領域と
2Ln 以下のピッチ(Ln は電子の拡散長)で短絡され
ていることを特徴とする静電誘導バッファ構造を有する
半導体素子としての構成を有するものである。
【0015】或いはまた、前記バッファ層とアノード領
域との間にはアノード領域とは反対導電型の薄い半導体
層が介在されていることを特徴とする静電誘導バッファ
構造を有する半導体素子としての構成を有するものであ
る。
【0016】しかるに本願発明者らは上記静電誘導バッ
ファ構造とは別に、より単純な構造を有するドリフトバ
ッファ構造を考案した。ドリフト電界効果をバッファ層
及びアノード領域内に利用する構造である。不純物密
度勾配に基づくドリフト電界をバッファ層内及びアノー
ド領域内に発生しうる構成を有する。
【0017】従来、バイポーラトランジスタのベース層
内においてドリフト電界を発生しうる構造を利用するド
リフトトランジスタが有名である。しかるに、サイリス
タ構造、特にバッファ層を有するサイリスタ構造を主体
とする半導体素子において、上記バッファ層内に不純物
密度勾配を設定し、アノード領域からの正孔注入におい
てバッファ層内に正孔に対するドリフト電界を発生させ
る構造及びアノード領域内において同様な不純物密度勾
配を設定し、電子に対するドリフト電界を発生させる構
造(これらを総称してドリフトバッファ構造と称する)
については提案されていなかった。
【0018】上記ドリフトバッファ構造とはバッファ層
及び上記バッファ層に接するアノード領域内の両方にお
いてそれぞれ正孔及び電子に対するドリフト電界を発生
させる不純物密度勾配を設定する構造を云う。何故バッ
ファ層とアノード領域の2つの領域を考慮する必要があ
るかというと、サイリスタ構造を主体とする半導体素子
においては、電子と正孔の両方のキャリアが導通・遮断
の動作に寄与しているからである。もちろん、一方のみ
の効果を期待していずれか一方のみの構成を採用するこ
とも可能である。しかし、両方のキャリアに対するドリ
フト構造を実現した方が性能がよいことはもちろんであ
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アノ
ード領域からの正孔注入率が高く、及びバッファ層内の
蓄積電子のアノード電極への掃き出し効率が高く、しか
もカソード・アノード間に強電界を印加でき高耐圧化に
向いた、ドリフトバッファ構造を有する半導体素子を提
供することにある。
【0020】更に本発明の目的の1つは、バッファ層内
に蓄積された電子がドリフト電界によって容易にアノー
ド領域内を走行し、アノード電極への電子の掃き出し効
率が高く、ターン・オフ特性が改善されたドリフトバッ
ファ構造を有する半導体素子を提供することにある。
【0021】更に本発明の目的の1つは、静電誘導バッ
ファ構造と組み合わせたドリフトバッファ構造を採用す
ることによって、バッファ層内の抵抗率分布が低減化さ
れ従来のベース層構造に比べて更にオン電圧が改善され
たドリフトバッファ構造を有する半導体素子を提供する
ことにある。
【0022】更に本発明の目的の1つは、アノードショ
ート構造もしくは静電誘導アノードショート構造と組み
合わせたドリフトバッファ構造を採用することによっ
て、ターン・オフ特性が改善されたドリフトバッファ構
造を有する半導体素子を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明のドリフトバッフ
ァ構造とは内部に不純物密度勾配に基づく正孔に対する
内部電界が発生しうるバッファ構造であるが、バッファ
層内のみならずバッファ層に接するアノード領域内にも
不純物密度勾配を設定し電子に対するドリフト構造を実
現した構造も含むものとして総称することにする。何故
ならば、正孔と電子の両方に対するドリフト構造を考慮
するからである。ドリフトバッファ構造はSI(Static
Induction : 静電誘導) バッファ構造或いはアノードシ
ョート構造, SIアノードショート構造と組み合わせて
使用すると更に有効な構造である。
【0024】従って、本発明の構成は以下に示す通りで
ある。即ち、本発明は、アノード領域、カソード領域、
ゲート領域を有する半導体素子において、前記アノード
領域に接するか近傍においてバッファ層を具備するとと
もに、前記バッファ層は前記アノード領域に近づくにつ
れて不純物密度がしだいに高くなる不純物密度勾配を有
するとともに、更に、前記アノード領域に接触するアノ
ード電極と前記バッファ層間の前記アノード領域内にお
ける不純物密度が前記バッファ層から前記アノード電極
に近づくにつれてしだいに低くなる不純物密度勾配を有
することを特徴とするドリフトバッファ構造を有する半
導体素子としての構成を有する。
【0025】 或いはまた、アノード領域、カソード領
域、ゲート領域を有する半導体素子において、前記アノ
ード領域に接するか近傍においてバッファ層を具備する
とともに、前記不純物密度勾配を有するバッファ層は更
に、アノード領域に接する近傍において、前記バッファ
層の不純物密度勾配の高い領域の側面に沿って一定の間
隔で選択的に交互に配置された高不純物密度領域と低不
純物密度領域の部分を有し、前記低不純物密度領域は前
記高不純物密度領域との間の拡散電位によって実質的に
空乏化されていることを特徴とするドリフトバッファ構
造を有する半導体素子としての構成を有する。
【0026】 或いはまた、前記高不純物密度領域のバッ
ファ層は前記アノード領域と2Ln以下のピッチ(Ln
は電子の拡散長)で短絡されていることを特徴とするド
リフトバッファ構造を有する半導体素子としての構成を
有する。
【0027】 或いはまた、前記バッファ層は前記アノー
ド領域とは反対導電型であることを特徴とするドリフト
バッファ構造を有する半導体素子としての構成を有す
る。
【0028】 或いはまた、前記バッファ層の内、高不純
物密度領域は前記アノード領域とは反対導電型であると
ともに、低不純物密度領域は前記アノード領域と同一導
電型であるか真性半導体領域であることを特徴とするド
リフトバッファ構造を有する半導体素子としての構成を
有する。
【0029】 或いはまた、アノード領域、カソード領
域、ゲート領域を有する半導体素子において、前記アノ
ード領域に接するか近傍においてバッファ層を具備する
とともに、前記不純物密度勾配を有するバッファ層は更
に、アノード領域に接する近傍において、バッファ層の
不純物密度勾配の高い領域の側面に沿って一定の間隔で
選択的に交互に配置された金属層領域と低不純物密度領
域の部分を有し、前記低不純物密度領域は前記金属層と
の間の拡散電位によって実質的に空乏化されていること
を特徴とするドリフトバッファ構造を有する半導体素子
としての構成を有する。
【0030】 或いはまた、前記金属層領域のバッファ層
は前記アノード領域と2Ln 以下のピッチ(Ln は電子
の拡散長)で短絡されていることを特徴とするドリフト
バッファ構造を有する半導体素子としての構成を有す
る。
【0031】 或いはまた、前記バッファ層とアノード領
域との間にはアノード領域とは反対導電型の薄い半導体
層が介在されていることを特徴とするドリフトバッファ
構造を有する半導体素子としての構成を有する。
【0032】 或いはまた、前記アノード領域は更に、前
記バッファ層近傍において、アノー ド領域の不純物密度
勾配の高い領域の側面に沿って一定の間隔で選択的に交
互に配置された高不純物密度領域と低不純物密度領域の
部分を有し、前記低不純物密度領域は前記高不純物密度
領域との間の拡散電位によって実質的に空乏化されてい
ることを特徴とするドリフトバッファ構造を有する半導
体素子としての構成を有する。
【0033】
【作用】本発明によるドリフトバッファ構造を有する半
導体素子はキャリアに電子と正孔の2つが共存するバイ
ポーラ型素子であり、サイリスタ素子, 或いは非ラッチ
・アップモードのバイポーラ素子と同様のスイッチング
動作を行なう。その動作原理上、特徴的な点はアノード
側近傍における正孔と電子の動きにある。カソード側に
ついては通常のサイリスタ素子, GTO, 静電誘導サイ
リスタ, MOS制御素子, MOSゲート素子等の動作と
同様であるため、アノード側についてその動作を説明す
る。図1は本発明の第1の実施例としてのドリフトバッ
ファ構造を有する半導体素子のアノード側における模式
的断面構造図であるが、原理説明図として適しているた
め、図1を参照して説明する。図1において1はアノー
ド電極, 2はアノード領域, 3はnバッファ層である。
5はn- 高抵抗半導体層である。図1においてnバッフ
ァ層(3) 内, pアノード領域(2) 内には図示するような
不純物密度勾配が設定されている。即ち、n(3) p(2)
接合界面近傍で、バッファ層側のn型不純物密度ND ,
アノード領域側のp型不純物密度NA , n(3)p(2) 接
合から離れるに従って、徐々に不純物密度が低下して、
n(3) n- (5)接合近傍でn型不純物密度NDO, アノー
ド電極近傍でp型不純物密度NAOと設定されている。こ
のようなドリフトバッファ構造の動作上の特徴はターン
・オン時, オン状態及びターンオフ時に現われる。
【0034】 オフ状態からオン状態に移向するターン・
オン時においては、pアノード領域2からの注入正孔
は、nバッファ層3内の不純物密度勾配によって生ずる
ドリフト電界(E1 )によって加速されるため容易にn
- 高抵抗層(5) へ注入される。この場合、アノード電極
1から供給されpアノード領域(2) 内を走行する正孔も
p(2) n(3) 接合近傍が不純物密度が高いため、不純物
密度勾配によって生ずるドリフト電界(E2 )によって
加速されるため容易にアノード電極(1) からp(2) n
(3) 接合界面へと供給される。従って、図1に図示する
ドリフトバッファ構造はアノード領域2内の内部電界E
2 及びnバッファ層3内の内部電界E1 によって正孔の
注入が加速されやすい構造となっている。
【0035】 同様に、ターン・オン時の電子の動きを追
ってみると、カソード側から注入されてn- 高抵抗層
(5) を走行してきた電子はnバッファ層(3) 内の高不純
物密度の領域、即ち、n(3) p(2) 接合界面近傍に蓄積
され易い。nバッファ層(3) 内には不純物密度勾配によ
って発生する内部電界E1 が存在するため、nバッファ
層内を走行する電子はドリフト電界E1 によって加速さ
れる。一坦、蓄積された電子がアノード領域(2) へ注入
され始めると、pアノード領域(2) 中には不純物密度勾
配に基づく内部電界(E2 )が存在するためpアノード
領域(2) 中を走行する電子は容易にアノード電極(1) に
到達される。
【0036】 オン状態においては、正孔は内部電界E2
及びE1 によって容易にアノード電極から高抵抗層5側
へ注入され続けるとともに、カソード側から注入されて
きた電子は内部電界E1 及びE2 によって容易にアノー
ド電極(1) へ流入し続けることになる。
【0037】 オン状態からオフ状態へ移向するターン・
オフ時においては、特に、nバッファ層(3) 内に蓄積さ
れた電子が速やかに消滅されなければならない。過剰に
蓄積された電子が消滅することによって、アノード領域
(2) から見たバッファ層(3)には正孔に対する電位障壁
Vbi(n+ p + ) が発生し、同様にnバッファ層(3) から
見たpアノード領域(2) には同じ高さの電子に対する電
位障壁Vbi(n+ p + )が発生するからである。ドリフト
バッファ構造の場合、電子は内部電界E1 によってn
(3) p(2) 接合近傍の高不純物密度領域近傍に蓄積され
易く、かつpアノード領域2内では内部電界E2 によっ
てアノード電極1へ掃き出されやすい構造となってい
る。従って、nバッファ層からアノード電極への電子の
排出効率が高く、n(3) p(2) 接合界面には容易に電位
障壁Vbi(n+ p + ) が復帰しやすい構造となっている。
即ち、ターン・オフ性能が良い。
【0038】 以上が本発明によるドリフトバッファ構造
を有する半導体素子の特徴的な動作原理であるが、本発
明の主旨を反映させながら、他の構造と組み合わせても
同様の動作を行なわせることは可能である。例えば、n
バッファ層内に静電誘導(SI)バッファ構造や埋込み
ゲートと等価な構造を作成してもよい。この場合には、
SIバッファとドリフトバッファの動作が相乗される。
またnバッファ層内の抵抗率分布が低減化され、スイッ
チング性能が向上する。或いはまた、アノードショート
構造や静電誘導(SI)アノードショート構造と組み合
わせることによってターン・オフ性能が向上する。或い
はまた、ライフタイム制御を組み合わせてもよい。
【0039】 上記の不純物密度勾配に基づく内部電界E
1,E2 の実現の方法としては、拡散, イオン注入, エピ
タキシャル成長、はり合わせ技術等を組み合わせて実現
することができる。
【0040】
【実施例】(実施例1) 図1は本発明による第1の実施例としてのドリフトバッ
ファ構造を有する半導体素子のアノード側近傍の模式的
断面構造図である。カソード側の構造については、通常
のSCR, GTO, SIサイリスタ, IGBT, MOS
ゲートサイリスタ, MOS制御サイリスタ等の構造のい
ずれも使用することができる。
【0041】 図1の構造的特徴はnバッファ層(3) 内に
不純物密度勾配を設定している点である。この構造に対
して更にアノード領域(2) 内にも不純物密度勾配を設定
し、正孔, 電子の両方に対するドリフト電界が生じ得る
構造が図1の構造である。nバッファ層(3) 内、或いは
pアノード領域(2) 内のいずれか一方に上記構造を設定
してもよいことはもちろんである。説明の都合上図1に
おいては両方にドリフト電界が発生しうる構成としてい
る。
【0042】 図2は半導体素子がオフ状態にある場合の
アノード領域2とバッファ層3とのpn接合近傍におけ
るポテンシャル分布を模式的に示した図である。pアノ
ード領域2内における電界E2 及びnバッファ層3内に
おける電界E1 がそれぞれの中の不純物密度勾配によっ
て形成される様子がわかる。E2 の上に←, E1 の上に
←は電子に対する加速電界, E2 の上に→, E1 の上に
→は正孔に対する加速電界を示している。
【0043】 n(3) p(2) 接合近傍のnバッファ層(3)
の不純物密度をND , n(3) n- (5) 接合近傍のnバッ
ファ層(3) の不純物密度をNDOとし、不純物密度分布が
指数関数分布である場合、nバッファ層3内に発生する
電界E1 は、 VN kT ND 1 =────=─────ln ──── …(1) WN qWN DO と表わされる。
【0044】 ここでVN はnバッファ層の厚さ方向の両
端に発生する電圧, WN はnバッファ層の厚さ, kはボ
ルツマン定数, Tは絶対温度である。
【0045】 同様に、n(3) p(2) 接合近傍のpアノー
ド領域(2) の不純物密度をNA , アノード電極(1) 近傍
の不純物密度をNAOとし、不純物密度分布が指数関数分
布である場合、pアノード領域2内に発生する電圧E2
は、 VP kT NA 2 =────=─────ln ──── …(2) WP qWP AO と表わされる。
【0046】 ここでVP はpアノード領域の厚さ方向の
両端に発生する電圧, WP はpアノード領域の厚さであ
る。
【0047】 このようなドリフト電界E1 及びE2 はタ
ーン・オン時及びオン状態における正孔, 電子の動きを
加速するとともに、ターン・オフ時におけるアノード電
極1への電子の排出時の動きを加速する。
【0048】 このため、オン電圧の低減化, ターン・オ
ン時間の短縮化のみならず、ターン・オフ時間の短縮化
を図ることができる。
【0049】 図1の構造を実現する方法としては、通常
の拡散技術、イオン注入技術及び多段にエピタキシャル
成長を行なう方法等がある。nバッファ層内の不純物密
度勾配は拡散, イオン注入或いはエピタキシャル成長技
術を利用することによって実現できる。一方、pアノー
ド領域2内の不純物密度勾配を実現するためには、通常
のアノード領域の不純物密度分布とは逆であるため、p
+ 高濃度エピタキシャル成長と中, 低濃度のp, p-
ピタキシャル成長を組み合わせることによって実現する
ことができる。pアノード領域2の厚さWP が薄い場合
には、加速電圧及びドーズ量を変化させた多段イオン注
入によっても形成することができる。
【0050】 更に、最も単純に図1の構造と等価な構造
を実現する意味で、nバッファ層3をn+ n, n+ nn
- もしくはn+ - 層の構造として形成し、pアノード
領域2をp+ p, p+ - , 或いはp+ pp- 層の構造
として形成し、結果的に濃度勾配を有する不純物密度分
布を作り込む方法もある。
【0051】 更に、図1において点線で図中に示した如
く、n+ アノード短絡層4を設けターン・オフ時のアノ
ード電極(1) への電子の排出を積極的に援助する構造を
導入してもよい。n+ アノード短絡層4の形成ピッチと
しては、例えば、電子のライフタイムで決まる拡散長L
n を考慮して、2Ln 以下とすることが望ましい。上記
の実施例1では一例として不純物密度分布が指数関数分
布の例を用いて電界強度E1,E2 等を説明したが、指数
関数分布に限定されないことはもちろんである
【0052】 図1の構造は更に発展させて、静電誘導
(SI)バッファ構造、埋込みゲート構造、静電誘導
(SI)短絡構造、MOSゲート短絡構造と組み合わせ
ることも可能である。
【0053】 更にまた、図1の構造もしくはその拡張例
においても、ライフタイム制御を行なってもよいことは
もちろんである。
【0054】 (実施例2) 図3は本発明の第2の実施例としてのドリフトバッファ
構造を有する半導体素子のアノード側近傍の模式的断面
構造図である。カソード側の構造については実施例1
(図1)の場合と同様にサイリスタ, IGBT, GT
O、SIサイリスタ等各種適用可能である。各構成要素
の内、図1に示した実施例1と同様の構成要素について
は同一の参照番号を用いている。
【0055】 図3において、1はアノード電極, 4は必
要に応じて形成するアノード短絡領域である。図3の構
造的特徴は、nバッファ層をn+ (31)n(30)層にて形成
し、pアノード領域をp+ (21)p (p- )(20) 層にて形
成している点である。n層(30)内は点線にて図示した如
くND 〜NDOの不純物密度勾配を持たせてもよいし、n
+ 層31よりも低い均一の濃度として形成してもよい。同
様にp (p- ) 層(20)内は点線にて図示した如くN
A 〜NAOの不純物密度勾配を持たせてもよいし、p+
(21)よりも低い均一の濃度として形成してもよい。図3
に示した如く、nバッファ層をn+ n層(31,30) 、pア
ノード領域をp+ p (p- ) 層(21,20)として形成する
ことによって、バッファ層内及びpアノード領域内に等
価的なドリフト電界E1,E2 を発生させることができ
る。従って、図1と等価なドリフトバッファ構造が実現
できる。
【0056】 (実施例3) 図4は本発明の第3の実施例としてのドリフトバッファ
構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模式
的断面構造図である。実施例1, 2に対応する図1, 2
と同様の構成要素については同一の参照番号を付して説
明は省略する。図4の構造的特徴は、pアノード領域を
+ (21)p (p- )(20) p+ (22)層として形成している
点である。p+ 層22はp+ アノードコンタクト層であ
る。p (p- ) 層(20)は実質的に空乏化されていてもよ
い。逆に云えば、p (p- ) 層20が実質的に空乏化され
るような不純物密度と寸法に設定すればよい。或いは、
pアノード領域(21,20,22)の全体的な厚さWP を薄く形
成し、アノード電極1の電圧が即座にp+ 層(21)の電位
と同電位となる構成である。点線で図示される如く、n
層30内にはND 〜NDOの不純物密度分布を持たせてもよ
く、或いはn層31よりも低い均一の不純物密度として形
成してもよい。同様に、p (p- ) 層20内にはNA 〜N
AOの不純物密度分布を持たせてもよく、或いはp+ 層21
よりも低い均一の不純物密度として形成してもよい。p
+ 層22はアノード電極1とのコンタクトを良好に達成す
るための薄い層であって、アノード電極1の電位が即座
にp+ 層21に伝達されやすい構造を実現するためのもの
である。
【0057】 点線で示される如く、アノード短絡領域4
を設定してもよいし、特別に設定せず、ライフタイム制
御等と併用してもよいことは同様である。アノード短絡
層4を設ける場合、短絡のピッチとしては、2Ln (L
n :電子の拡散長)以下が望ましい。
【0058】 (実施例4) 図5は本発明の第4の実施例としてのドリフトバッファ
構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模式
的断面構造図である。図5の構造的特徴はドリフトバッ
ファ構造に対して、更に静電誘導バッファ構造もしくは
埋込みゲートバッファ構造を具えている点である。埋込
みゲートバッファ構造とは、nバッファ層30内にバッフ
ァ層全体としての抵抗率分布を低減させるために埋込み
ゲート層32を一定の間隔で互いに電気的に共通にさせて
埋込む構造である。静電誘導バッファ構造とは、更に埋
込み層32の間隔を狭め、低不純物密度のバッファ層33内
が実質的に空乏化され、高不純物密度のバッファ層32の
電位によって33内の電位が容量結合的に変化しうる構造
である。前者がベース抵抗効果によって動作するのに対
して、後者はJFET効果, もしくは静電誘導効果によ
って動作する。
【0059】 図5の構造上、nバッファ層30はND 〜N
DOの不純物密度勾配を有し、pアノード領域2はNA
AOの不純物密度勾配を有する。高不純物密度のバッフ
ァ層32は低不純物密度のバッファ層33とともに所定の厚
さのバッファ層を形成するものと考えることができる。
即ち、第2及び第3の実施例 (図3, 図4) においてn
+ バッファ層31として示された層内に、低不純物密度の
バッファ層33を所定の間隔及び寸法で配置し、等価的な
正孔に対するチャネル領域が形成されている。このよう
な静電誘導バッファ構造については村岡, 玉蟲により特
願平4−114140号(特開平6−85244号公
報)にその動作原理が詳細に述べられている。本発明第
4の実施例においてはドリフトバッファ構造に対して、
上記静電誘導バッファ構造, もしくは埋込みゲートバッ
ファ構造を組み合わせることによって、更に、ターン・
オン特性の改善を図ることができる。
【0060】 図6は図5に示した本発明の第4の実施例
において、半導体素子がオフ状態においてアノード側p
n接合近傍におけるポテンシャル分布を模式的に示した
図である。実線はA−A′に沿って切った面におけるポ
テンシャル分布である。即ち、n+ バッファ層32を通過
しているためn+ 層32の厚さ部分だけ、ポテンシャルが
低くなっている。点線はB−B′に沿って切った面にお
けるポテンシャル分布である。即ち、低不純物密度のバ
ッファ層33からなる等価的なチャネル領域を通過してい
る。一点鎖線はn+ 層32がない場合においてnバッファ
層30内がND 〜NDOの不純物密度勾配を有する場合のポ
テンシャル分布である。点線 (B−B′に対応) で示さ
れたポテンシャル分布が静電誘導バッファ構造とドリフ
トバッファ構造を組み合わせた構造のポテンシャル分布
に対応している。
【0061】 低不純物密度のバッファ層33は静電誘導効
果による電位障壁制御を受けるために実質的に空乏化さ
れている。積極的に33の領域だけ全体のnバッファ層30
に比べ、ドリフトバッファのための不純物密度分布ND
〜NDOとは別に、低不純物密度に設定してもよい。
【0062】 静電誘導バッファ構造の動作については村
岡, 玉蟲による特願平4−114140号(特開平6−
85244号公報)に開示されている通りであり、本発
明第5の実施例においても次式が成り立つ。即ち、図6
においてn+ バッファ層32に蓄積される電子によって引
き起こされる電位変化に伴って、nバッファ層33内の電
位が変化される時、蓄積電子に対するアノードからの正
孔注入の電流利得は、 NA υp q G∝───── exp────(VGA−V G * A ) …(3) nB υn kT で等価的に表わすことができる。ここでNA は図示の如
く、アノード領域のpn接合近傍における不純物密度,
B はn+ バッファ層32内の不純物密度, υp は正孔の
注入速度, υn は蓄積電子がアノード領域へ注入する速
度、qは単位電荷量, kはボルツマン定数, Tは絶対温
度, VGAはp(2) n+ (32)接合の拡散電位, V G * A
アノード領域内の正孔がチャネル(33)中央に見る電位障
壁高さである。
【0063】 図5の構造上、最も重要な特徴は、図4
(第3の実施例)に比べ正孔に対するチャネル領域とな
る低不純物密度のバッファ層33を具えていることであ
る。これによって、オン電圧の低減化、ターン・オン時
間tgtの短縮化、ターン・オン時のdi/dtの増大化を
もたらすことができる。
【0064】 図5の構造においてもバッファ層30に対し
てn+ アノード短絡領域4を2Ln以下(Ln :電子の
拡散長)で設けてもよい。或いはまた、ライフタイム制
御を組み合わせてもよいことももちろんである。
【0065】 更に、後述するように、アノード領域2内
に電子に対する等価的なチャネル領域を設けることもで
きる。
【0066】 (実施例5) 図7は本発明の第5の実施例としてのドリフトバッファ
構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模式
的断面構造図である。図7の構造的特徴は、図5に示し
た静電誘導バッファ構造もしくは埋込みゲートバッファ
構造を組み合わせたドリフトバッファ構造において、更
にアノード領域(20,21) に不純物密度勾配を2層のp+
p (p- ) 構造として設けた点である。実施例2(図
3)と実施例4(図5)を組み合わせた構造と考えるこ
とができる。p+ (21)p (p- )(20) 構造は、例えば2
段のエピタキシャル成長によって形成することができ
る。n+ アノード短絡領域4をnバッファ層30に対して
設けてもよいことは明らかである。
【0067】+ アノード層21を設けることによって、
実質的なアノード領域の厚さをp+層21の厚さと同程度
と考えることができる。(p, p- ) アノード層20が実
質的には空乏化された状態で動作するため、アノード電
極1の電位が即座にp+ アノード層21の電位と等電位に
なり易い構造だからである。p+ アノード層21の不純物
密度をNA とすれば、アノードからの正孔注入の電流利
得は、前述の(3) 式と同等に表わすことができる。
【0068】 (実施例6) 図8は本発明の第6の実施例としてのドリフトバッファ
構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模式
的断面構造図である。図8の構造は静電誘導バッファ構
造もしくは埋込みゲートバッファ構造を具えたドリフト
nバッファ構造(32,33,30)と、p+ p (p- ) p+ アノ
ード層からなるアノード領域(21,20,22)を具えている。
即ち、図8の構造はアノード電極1に対するp+ アノー
ドコンタクト層22を図7の構造に対して新たに設けた構
造である。従って、図4(実施例3)の構造と図5(実
施例4)の構造を組み合わせた構造と考えることができ
る。p+ アノードコンタクト層22を設けることによって
(p, p- ) アノード層20に対するアノード電極1の確
実なコンタクトを実現することができ、(p, p-) ア
ノード層内の空乏層の広がりに伴なってp+ アノード層
21とp+ コンタクト層22及びアノード電極1を即座に同
電位にすることができる。
【0069】 (実施例7) 図9は本発明の第7の実施例としてのドリフトバッファ
構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模式
的断面構造図である。図9の構造的特徴はアノード領域
内に高不純物密度のアノード層23と低不純物密度のアノ
ード層24からなる構造が作り込まれている点である。
(p, p- ) アノード層20はドリフト電界E2 を発生し
得るように、NA 〜NAOの不純物密度勾配を有する。同
様に、nバッファ層30内にもND 〜NDOの不純物密度勾
配を設けドリフト電界E1 を発生し得るようにしてい
る。図9の構造上、アノード領域内にp+ (23)p(24)p
+ (23)p(24)…構造をnバッファ層(30,32,33)との界面
近傍に形成することによって、低不純物密度のアノード
層24は電子に対する等価的なチャネル領域となってい
る。低不純物密度のバッファ層33が正孔に対する等価的
なチャネル領域となっていることと同様の構造がアノー
ド領域内に形成されていると考えることができる。n+
バッファ層の厚さをW N + , p+ アノード層の厚さをW
P + とし、半導体素子がオフ状態におけるアノード側近
傍のポテンシャル分布を模式的に示すと図10に示すよ
うになる。A−A′は低不純物密度のアノード層24と高
不純物密度のnバッファ層32を通過する切断面を表わ
し、B−B′は高不純物密度のアノード層23と低不純物
密度nバッファ層33を通過する切断面を表わしている。
点線は等価的なチャネル部分(24,33) におけるポテンシ
ャル分布を表わし、実線は主としてp(20)p+ (23)接
合, n+ (32)n(30)接合部分におけるポテンシャル分布
を表わしている。一点鎖線は、このようなp+ 層(23),
+ 層(32)が介在せず、ドリフト電界を発生し得る不純
物密度勾配がバッファ層30及びアノード領域20内に存在
する場合のポテンシャル分布に対応している。即ち、図
2と同様の分布を示している。
【0070】 図9に示した実施例7の構造では、図10
のポテンシャル分布から明らかなように、電子に対する
等価的なチャネル領域となるp領域24内のポテンシャル
障壁がVGA−V G * Anだけ低下している。ここでVGA
+ (23)n+ (32)接合の拡散電位であり、V G * Anはn
+ 領域(32)内の電子がp領域(24)内に見る電位障壁高さ
である。同様に正孔に対する等価的なチャネル領域とな
るn領域33内のポテンシャル障壁はVGA−V G * APだけ
低下している。ここでV G * APはp+ 領域23内の正孔が
n領域33内に見る電位障壁高さである。図9, 10に示
すようなpn接合における正孔注入の電流利得は等価的
に、 N A + υP q G∝─────── exp────(VGA−V G * AP) …(4) N D - υn kT と表わされ、電子注入の電流利得は、等価的に N D + υn q G∝─────── exp────(VGA−V G * An) …(5) N A - υP kT と表わすことができる。ここでN D - , N D + はそれぞ
れn領域33,n+ 領域32の不純物密度, N A - ,N A +
はそれぞれp領域24, p+ 領域23の不純物密度である。
【0071】 (4),(5) 式における指数項は1より極めて
大であり、電流利得は極めて大きい
【0072】 図9に示した第7の実施例の構造において
も、アノード短絡層4を設けてもよいことはもちろんで
あり、また、ライフタイム制御と組み合わせてもよいこ
とも明らかである。
【0073】 (実施例8) 図11は本発明の第8の実施例としてのドリフトバッフ
ァ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模
式的断面構造図である。図11の構造的特徴は、p+ (2
3)p(24)p+ p…構造がn+ (32)n(33)n+ n…構造と
完全には整合化されていない点と、p+ アノードコンタ
クト層22を有する点である。図9の如く完全に整合化さ
れていなくてもほぼ同等の性能を得ることができる。但
し、pn接合の少なくとも一部分において、n+ (32)p
(24)接合、もしくはp+ (23)n(33)接合が形成されてい
ることが望ましい。
【0074】 (実施例9) 図12は本発明の第9の実施例としてのドリフトバッフ
ァ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模
式的断面構造図である。図12の構造的特徴はドリフト
バッファ構造と静電誘導短絡(SI短絡)構造を組み合
わせた点である。SI短絡構造については西沢, 玉蟲に
よって特開平1−93169号公報に開示されている。
図12の構造は本願発明のドリフトバッファ構造に更に
SI短絡を導入することによって、アノード短絡層4を
2Ln (Ln :電子の拡散長)以下にて設定する構造の
代わりとしている。即ち、25はp+ 静電誘導アノード領
域,26 はn+ 静電誘導短絡領域である。バッファ層30は
D 〜NDOの不純物密度勾配を有し、また、n+ (32)n
(33)…からなる静電誘導バッファ構造もしくは埋込みゲ
ートバッファ構造を具えている。(p, p- )アノード
領域20は実質的には空乏化されているがNA 〜NAOの不
純物密度勾配を具えていてもよい。更に、様々な構造的
拡張も可能であり、図7(実施例5), 図8(実施例
6)に図示されたようなp+ アノード層21をnバッファ
層との界面近傍に設けてもよい。或いはまた、図9(実
施例7), 図11(実施例8)に図示されたようなp+
(23)p(24)…アノード層をnバッファ層との界面近傍に
設けてもよい。図12の構造ではSI短絡構造を導入し
たことによって、オン状態からオフ状態へ移向するター
ン・オフ時においてn+ 層32から注入される電子を効率
良くn+ SI短絡層26に導くことができ、SI短絡特有
の効果としてp+ SIアノード領域25からの正孔注入を
阻止しやすいという特徴がある。一方、ターン・オン時
においては、p+ SIアノード領域25から実質的に空乏
化されているアノード層(20)を通って、n層(33)に向け
て正孔が注入され、正孔に対する等価的なチャネルが形
成される。
【0075】+ SI短絡領域26は2Ln (Ln :電子
の拡散長)以下のピッチにて形成されることが望ましい
ことは、通常のSI短絡と同様である。
【0076】 (実施例10, 11) 図13及び図14は、前述の実施例の説明におけるn+
層32のかわりに金属層27を用いた構造例である。金
属層としてはW, Mo, Co, Pt等の金属もしくはこ
れらのシリサイド等を適用することができる。図13に
おいてはnバッファ短絡層4もこれらの金属にて設けて
いる。短絡のピッチは2Ln 以下である。図14におい
てはアノード領域20とSIバッファ層(27,33) との間に
薄い介在層31を設け、また、アノード領域はp+ (21)p
(p- )(20)p+ (22)構造にて形成した例が図示されて
いる。nバッファ短絡層4は2Ln 以下のピッチで設け
られている。
【0077】 図13及び図14の構造的特徴はnバッフ
ァ層内に金属層27を形成することによってバッファ層の
全体的な抵抗率分布を低減化できるという点にある。図
13の構造はアノード領域内にNA 〜NAOの不純物密度
分布を設定している。一方、図14の構造では薄いn+
層31を介してアノード領域(21,20,22)と接触している。
図14の構造においても、nバッファ層30内及び/もし
くは(p,p- )アノード領域(21,20,22)内に不純物密
度勾配を設定してもよいことはもちろんである。
【0078】 図1乃至図14に示した例はいずれも本発
明の実施例としてのドリフトバッファ構造を有する半導
体素子のアノード側近傍における模式的断面構造或いは
ポテンシャル分布図であった。カソード側については種
々のデバイス構造が適用できることは前述の通りであ
る。
【0079】
【発明の効果】上記によりドリフトバッファ構造の原
理,構造,動作が明らかとなったが、ドリフトバッファ
構造は、各種の半導体素子に適用することができる。例
えばSIサイリスタ,GTO,埋込みゲートGTO,S
CR,ASCR,IGBT,MOS制御サイリスタ,M
OS制御SIサイリスタ等においてバッファ構造を設定
し、高耐圧,高電界による高速動作が要求される場合
に、従来のバッファ構造では得られない高注入,高速タ
ーン・オン,高いターン・オンdi/dt, を実現すること
ができる。
【0080】 更に埋込みゲートバッファ構造, 或いはS
Iバッファ構造と組み合わせることにより、高耐圧化が
容易となり, 高電界による高速動作を行なうことができ
る。特にバッファ層内の低抵抗率化により,高速ターン
・オフを実現することができる。
【0081】 更にSIバッファ構造と組み合わせること
により、更にターン・オン特性を改善することができ、
高注入によるオン電圧の低減化を図ることができる。
【0082】 更に、SI短絡構造と組み合わせることに
より、ターン・オフ状態を更に改善することもできる。
【0083】 ドリフトバッファ構造は、バッファ層内に
おけるドリフト電界のみならずアノード領域内における
ドリフト電界も考慮することによって、正孔, 電子とも
にターン・オン, ターン・オフ時に順方向電界が加わる
構造であるため、キャリアの高速化が図られ、高速, 高
電界, 高注入, 高耐圧の動作に有効である。上述の如
く、SIバッファ構造, 埋込みゲートバッファ構造, 或
いはSI短絡,アノード短絡構造との組合せも容易であ
る。
【0084】 上述の如く正孔, 電子両方の動作を加速す
る電界が働くことから、正孔, 電子の両方がキャリアと
なる。バイポーラ型の素子, 即ち、ラッチアップモード
で動作する素子に適用することが有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としてのドリフトバッフ
ァ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模
式的断面構造図
【図2】本発明によるドリフトバッファ構造を有する半
導体素子(実施例1)のオフ状態におけるアノード近傍
pn接合のポテンシャル分布の模式図
【図3】本発明の第2の実施例としてのドリフトバッフ
ァ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模
式的断面構造図
【図4】本発明の第3の実施例としてのドリフトバッフ
ァ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模
式的断面構造図
【図5】本発明の第4の実施例としてのドリフトバッフ
ァ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模
式的断面構造図
【図6】本発明の第4の実施例のオフ状態におけるアノ
ード近傍pn接合のポテンシャル分布の模式図
【図7】本発明の第5の実施例としてのドリフトバッフ
ァ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模
式的断面構造図
【図8】本発明の第6の実施例としてのドリフトバッフ
ァ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模
式的断面構造図
【図9】本発明の第7の実施例としてのドリフトバッフ
ァ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における模
式的断面構造図
【図10】本発明の第7の実施例のオフ状態におけるア
ノード近傍pn接合のポテンシャル分布の模式図
【図11】本発明の第8の実施例としてのドリフトバッ
ファ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における
模式的断面構造図
【図12】本発明の第9の実施例としてのドリフトバッ
ファ構造を有する半導体素子のアノード側近傍における
模式的断面構造図
【図13】本発明の第10の実施例としてのドリフトバ
ッファ構造を有する半導体素子のアノード側近傍におけ
る模式的断面構造図
【図14】本発明の第11の実施例としてのドリフトバ
ッファ構造を有する半導体素子のアノード側近傍におけ
る模式的断面構造図
【図15】従来のnバッファ層を有する埋込みゲートS
Iサイリスタの構造例
【符号の説明】
1 アノード電極 2 pアノード領域 3 nバッファ層 4 アノード短絡領域(nバッファ短絡層) 5 n- 高抵抗層 20 (p,p- )アノード層 21 p+ アノード層 22 p+ アノードコンタクト層 23 高不純物密度のアノード層 24 低不純物密度のアノード層 25 p+ 静電誘導アノード領域 26 n+ 静電誘導短絡領域 27 金属層 30 nバッファ層 31 n+ バッファ層 32 高不純物密度のバッファ層 33 低不純物密度のバッファ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/74 M 29/78 321 J

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アノード領域、カソード領域、ゲート領
    域を有する半導体素子において、前記アノード領域に接
    するか近傍においてバッファ層を具備するとともに、前
    記バッファ層は前記アノード領域に近づくにつれて不純
    物密度がしだいに高くなる不純物密度勾配を有するとと
    もに、更に、前記アノード領域に接触するアノード電極
    と前記バッファ層間の前記アノード領域内における不純
    物密度が前記バッファ層から前記アノード電極に近づく
    につれてしだいに低くなる不純物密度勾配を有すること
    を特徴とするドリフトバッファ構造を有する半導体素
    子。
  2. 【請求項2】 アノード領域、カソード領域、ゲート領
    域を有する半導体素子において、前記アノード領域に接
    するか近傍においてバッファ層を具備するとともに、前
    記不純物密度勾配を有するバッファ層は更に、アノード
    領域に接する近傍において、前記バッファ層の不純物密
    度勾配の高い領域の側面に沿って一定の間隔で選択的に
    交互に配置された高不純物密度領域と低不純物密度領域
    の部分を有し、前記低不純物密度領域は前記高不純物密
    度領域との間の拡散電位によって実質的に空乏化されて
    いることを特徴とする請求項1項記載のドリフトバッフ
    ァ構造を有する半導体素子。
  3. 【請求項3】 前記高不純物密度領域のバッファ層は前
    記アノード領域と2Ln 以下のピッチ(Ln は電子の拡
    散長)で短絡されていることを特徴とする請求項記載
    のドリフトバッファ構造を有する半導体素子。
  4. 【請求項4】 前記バッファ層は前記アノード領域とは
    反対導電型であることを特徴とする請求項1乃至
    内、いずれか1項記載のドリフトバッファ構造を有する
    半導体素子。
  5. 【請求項5】 前記バッファ層の内、高不純物密度領域
    は前記アノード領域とは反対導電型であるとともに、低
    不純物密度領域は前記アノード領域と同一導電型である
    か真性半導体領域であることを特徴とする請求項1乃至
    の内、いずれか1項記載のドリフトバッファ構造を有
    する半導体素子。
  6. 【請求項6】 アノード領域、カソード領域、ゲート領
    域を有する半導体素子において、前記アノード領域に接
    するか近傍においてバッファ層を具備するとともに、前
    記不純物密度勾配を有するバッファ層は更に、アノード
    領域に接する近傍において、バッファ層の不純物密度勾
    配の高い領域の側面に沿って一定の間隔で選択的に交互
    に配置された金属層領域と低不純物密度領域の部分を有
    し、前記低不純物密度領域は前記金属層との間の拡散電
    位によって実質的に空乏化されていることを特徴とする
    請求項1記載のドリフトバッファ構造を有する半導体素
    子。
  7. 【請求項7】 前記金属層領域のバッファ層は前記アノ
    ード領域と2Ln 以下のピッチ(Ln は電子の拡散長)
    で短絡されていることを特徴とする請求項記載のドリ
    フトバッファ構造を有する半導体素子。
  8. 【請求項8】 前記バッファ層とアノード領域との間に
    はアノード領域とは反対導電型の薄い半導体層が介在さ
    れていることを特徴とする請求項もしくは請求項
    内、いずれか1項記載のドリフトバッファ構造を有する
    半導体素子。
  9. 【請求項9】 前記アノード領域は更に、前記バッファ
    層近傍において、アノード領域の不純物密度勾配の高い
    領域の側面に沿って一定の間隔で選択的に交互に配置さ
    れた高不純物密度領域と低不純物密度領域の部分を有
    し、前記低不純物密度領域は前記高不純物密度領域との
    間の拡散電位によって実質的に空乏化されていることを
    特徴とする請求項1乃至の内、いずれか1項記載のド
    リフトバッファ構造を有する半導体素子。
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