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JPH0813751B2 - 人尿性キニノゲナーゼを有効成分とする脳機能改善剤 - Google Patents
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JPH0813751B2 - 人尿性キニノゲナーゼを有効成分とする脳機能改善剤 - Google Patents

人尿性キニノゲナーゼを有効成分とする脳機能改善剤

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JPH0813751B2
JPH0813751B2 JP3349905A JP34990591A JPH0813751B2 JP H0813751 B2 JPH0813751 B2 JP H0813751B2 JP 3349905 A JP3349905 A JP 3349905A JP 34990591 A JP34990591 A JP 34990591A JP H0813751 B2 JPH0813751 B2 JP H0813751B2
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cerebral
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昌庸 黒野
元英 林
常正 鈴木
民和 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は脳機能改善剤、殊に人尿
性キニノゲナーゼを有効成分とする脳機能改善剤に係
る。
【0002】
【従来の技術】近年、平均寿命が延びる傾向にあり、こ
れに伴ってアルツハイマー型痴呆の発生率が高くなって
いる。この種の痴呆は脳神経細胞の萎縮により生じるも
のとされているが、その原因が不明なので予防法や治療
法は見つかっていない。更に、最近では社会環境の変化
が著しいためにストレスや過労が要因となって記憶障
害、失語、失行等をもたらす精神性疾患である、所謂現
代病が注目されつつあり、又脳梗塞や脳出血に起因する
脳機能障害が問題となっている。これらの脳機能障害に
関しては、現在までの処、有効性が充分に確認されてい
る薬物は皆無に等しく、症状に応じて脳血管拡張剤やア
バン等の脳機能賦活剤が用いられているのに過ぎないの
が実状であり、有効な薬物の開発及び治療法の早期確立
が望まれている。
【0003】このような現状に鑑みて、本発明者等は脳
機能改善作用を有する物質の検索を従来から行ってお
り、その結果ミオイノシトール系化合物であるフィチン
酸及びその塩が機能後退性消耗疾患、殊に所謂「老人
病」に有効であることを見い出している (特開平 1 - 3
05032 公報)。尚、ピラゾロピリジン系化合物にも記憶
障害改善作用のあることが報告されている (特開平 2 -
131424 公報)。
【0004】一方、本発明による脳機能改善剤が有効成
分として用いようとするキニノゲナーゼは国際酵素命名
委員会が「キニノゲニン」の名称を与えているトリプシ
ン様酵素であり、血漿中や各種の組織に存在している物
質である。血漿中のキニノゲナーゼは分子量が約 80000
であってブラジキニンを遊離し、組織中のキニノゲナ
ーゼは分子量が約 30000 であってカリジンを遊離する
ものとされている。このように、主として肝で生合成さ
れるキニノゲナーゼと膵、顎下腺及び腎に高濃度に存在
する組織由来のキニノゲナーゼとは性質が異なってお
り、組織由来のキニノゲナーゼの内で膵及び顎下腺に見
い出されるものと尿中に見い出されるものとは免疫化学
的には同一のものとも称されているが、全く同一である
か否かは明確にはされていない。組織由来のキニノゲナ
ーゼは血中のキニノーゲンを分解してキニンを生成し、
これを介して細動脈を拡張して血流を増加させ、又血圧
降下作用を発現する。従って原料入手の観点から、ブタ
膵臓由来のものが高血圧症、メニエール症候群及び閉塞
性血栓血管炎 (ビュルガー病) における末梢循環障害の
改善並びに脳循環障害における随伴症状、更年期障害及
び網脈絡膜の循環障害に関する改善目的で医薬品として
使用されているが、異種蛋白であるために抗原性の観点
から主として経口的に投与されている。しかしながら吸
収性に問題があり、有効性にも疑問がある。人尿由来の
キニノゲナーゼに関しては、ブタ膵臓由来のものと異な
り抗原性が低いものと考えられるので従来から注目さ
れ、各種の抽出分離法が提案されている (特公昭 46 -
19067、特公平 1 - 41310 及び同 1 - 47997 公報参
照)。しかしながら、人尿キニノゲナーゼ自体、単一の
物質であるか否かが不明であり、規格も統一されるに至
っておらず、従って現在迄の処医薬品として実用化され
るには至っていない。尚、キニノゲナーゼが脳機能改善
剤として有効であるとする報告は従来全くなされていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来技術
に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、新規な脳
機能改善剤を提供し、種々の脳機能障害の予防並びに治
療を可能ならしめることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は、
既述のように、脳機能改善作用を有する物質に関する探
索を鋭意継続した結果、上記のキニノゲナーゼ、殊に人
尿由来のキニノゲナーゼが強力な脳機能障害改善作用を
有しており且つ使用安全性の高いことを見い出して本発
明を完成するに至った。
【0007】本発明による脳機能改善剤は、人尿から抽
出精製されたものであり、SDS-ポリアクリルアミドゲル
電気泳動法では主バンドが 41000 に且つ副バンドが 31
000にあり、ゲル濾過法によれば 47000 - 54000 の範囲
内の分子量を示し、原液の等電点が pI 3.92、4.08 及
び 4.23 の人尿性キニノゲナーゼを有効成分とすること
を特徴としている。
【0008】本発明による脳機能改善剤は上記の人尿性
キニノゲナーゼを 1ml 当り約 0.15PNA 単位含有し且つ
クエン酸又はその塩を 0.1 - 1 重量% 含有しているの
が有利である。
【0009】本発明による脳機能改善剤の有効成分であ
る人尿性キニノゲナーゼに関する活性を示す PNA 単位
とは、H-D-Val-Leu-Arg-p-ニトロアニリドを基質とし、
これに上記の人尿性キニノゲナーゼを作用させ、遊離し
た p-ニトロアニリド (PNA)を波長 405nm での吸光度測
定により比色定量し、37 ± 0.1℃ において 1 分間に
1 μmol の PNA を生成した場合を 1 単位とするもので
ある。本発明による脳機能改善剤においてクエン酸又は
その塩、例えばナトリウム塩やカリウム塩を共存させる
のは、キニノゲナーゼが熱や光に対して安定ではなく、
本発明に用いられるものも例外ではなく、常温保存の場
合には 6 ケ 月を越えると活性 の低下が認められ、又 2
500 ルクス又はそれ以上の照度の光照射を行うと比較的
短時日で活性の低下が認められるからである。従って、
換言すれば遮光下に、例えば褐色アンプル中で低温保存
すれば (-10℃ 程度)、安定化剤としてのクエン 酸又は
その塩の共存は要件とはならない。
【0010】
【製造例等】次に、本発明による脳機能改善剤の製造
例、製剤例、活性試験例及び薬理試験例により本発明を
更に詳細に且つ具体的に説明する。尚、本発明による脳
機能改善剤は分解の抑制、延いては吸収性やバイオアベ
イラビリティー向上の観点から主として静注剤を企図し
ており、従って以下においては、これに関連して説明す
る。
【0011】製造例 1 (原液) 健常成人男子尿 10 リットルに塩酸を添加して pH を 5
に調整し、次いでキトサン 100g を添加して 1 時間攪
拌することにより尿中のキニノゲナーゼをキトサンに吸
着させた。吸着体を濾取し、充分に水洗した後に、0.2M
トリス塩酸緩衝液 500ml (pH 9.0) にてキニノゲナー
ゼを溶出させ濾過することにより抽出液を得た。この抽
出液に対して、0.5M 塩化ナトリウム含有 0.1M 炭酸水
素ナトリウム緩衝液 (pH 9.0) を用いて透析処理を行っ
た。得られた透析液をアプロチン-セファロースカラム
(トリプシン阻害剤) で処理してキニノゲナーゼを吸着
させた後に、0.5M 塩化ナトリウム含有 0.1M 燐酸緩衝
液 (pH 3.5) にて溶出させることにより人尿性キニノゲ
ナーゼ原液 (45 PNA 単位) を得た。
【0012】この原液の物理化学的性質は下記の通りで
あった。 (1) 性状 無色乃至淡黄色の澄明な液体であって、無臭であり、僅
かに塩味を呈し、pHは約 7 である。
【0013】(2) 分子量 (A) SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 a) Laemmli 法 分子量 41000 の位置に主バンドが、又 31000 の位置に
副バンドが認められ、両バンド共に活性が認められた。 (B) ゲル濾過法 a) Sephacryl S-200 を用いるゲル濾過法 分子量約 50000 の位置に単一のピークが認められ、活
性のピークと一致した。 b) Sephadex G-100 を用いるゲル濾過法 分子量約 47000 の位置に単一のピークが認められ、活
性のピークと一致した。 c) TSK-GEL (東洋曹達株式会社製) を用いた高速液体ク
ロマトグラフィー法規格 分子量 5100 - 5500 (平均 : 5300 ± 2200) の位置に
ークが認められ、活性のピークと一致した。
【0014】(3) アミノ酸組成 測定された上記の分子量値を勘案して分子量を 50000
と仮定すると、得られたキニノゲナーゼを構成するアミ
ノ酸残基数は 375 となり、その組成は下記の表 1 に示
される通りであった。このアミノ酸組成から明らかなよ
うに、このキニノゲナーゼを構成するアミノ酸は塩基性
のものが少なく酸性のものが多い。尚、Edman 分解法に
よれば、N 末端アミノ酸配列は Ile-Val-Gly であり、
これは人尿キニノゲナーゼに関して既に明らかにされて
いる N 末端領域の一次構造並びにヒト腎臓由来のキニ
ノゲナーゼの cDNA 解析からもたらされた一次構造と同
一である。
【0015】表 1 A : キニノゲナーゼ 1 モル中のアミノ酸のモル数
(実測値)、 B : A を整数化した値、 * : Half-cystine、 n.d. : not detected
【0016】(4) 糖組成 上記のキニノゲナーゼは酸性糖蛋白性物質であり、その
糖組成は下記の表 2に示される通りである。尚、N-グリ
コシド型糖鎖と 0-グリコシド型の糖鎖の結合している
ことが確認された。
【0017】表 2
【0018】(5) 等電点 キャリアーアムホリン含有蔗糖濃度勾配法により測定し
た処、キニノゲナーゼ原液の等電点は pI 3.92、4.08
及び 4.23 であった。
【0019】(6) 比活性規格 キニノゲナーゼ原液の活性は 1ml 当り 1.5 PNA 単位以
上 (実測値は 2.4 PNA単位以上) であり、蛋白質 1mg
当りとしては 4.0 PNA 単位以上 (実測値は 5PNA 単位
以上) であった。
【0020】(7) 活性阻害物質規格 上記のキニノゲナーゼはアプロチニンにより、その活性
が 95% 以上 (実測値は 98% 以上) 阻害される。
【0021】(8) 免疫学的性質 キニノゲナーゼ原液の免疫学的性質をオクタロニー法に
より調べた処、ウサギ抗ヒト尿キニノゲナーゼ血清と明
瞭な沈降線を生じるが、ウサギ抗ブタ膵臓キニノゲナー
ゼ血清とは沈降線を生じないことが判明した。
【0022】(9) 酵素学的性質 (A) 天然キニノーゲンを基質とした場合 上記キニノゲナーゼのキニン遊離能に及ぼす影響を調べ
た。先ず、pH の影響について調べた処、ヒト低分子キ
ニノーゲンを基質とした場合及びイヌ低分子キニノーゲ
ンを基質とした場合に pH 5 - 11 の範囲で遊離活性が
認められ、最大遊離活性は pH 8.0 付近であった。一
方、ヒト高分子キニノーゲンを基質とした場合には pH
5 - 12 の範囲で遊離活性が認められ、最大遊離活性は
pH 8.5 付近であった。次に、各種濃度のイヌ低分子キ
ニノーゲン、ヒト低分子キニノーゲン及びヒト高分子キ
ニノーゲンを基質として、上記キニジノゲナーゼの経時
的キニン遊離能を調べ、キニジノゲナーゼの酵素動力学
的定数を求めた結果は下記表 3 に示される通りであっ
た。
【0023】表 3 ヒト LMWK : ヒト低子キニノーゲン (分子量 : 約 6
7000)ヒト H MWK : ヒト高分子キニノーゲン (分子量 : 約 12
0000)、 イヌ LMWK : イヌ低分子キニノーゲン (分子量 : 約 6
7000)
【0024】(B) 低分子合成基質を用いた場合 低分子合成基質に対する上記のキニノゲナーゼの分解活
性について上記の a)におけると同様に検討し、キニノ
ゲナーゼの酵素動力学的定数を求めた結果は下記の表 4
に示される通りであった。
【0025】表 4 BAEE : ベンゾイル-L-Arg エチルエーテル 塩酸塩、 PNA : H-D-Val-L-Leu-L-Arg-p-ニトロアニリド 2 塩酸
塩、 MCA : L-Pro-L-Phe-L-Arg-4-メチル-クマリル-7-アミ
【0026】製造例 2 (安定化粉末の製法) 製造例 1 で得た原液にクエン酸ナトリウムを濃度 1%
になるように添加し、60℃ において 10 時間処理し
次いで凍結乾燥させることにより所望の安定化粉末を得
た。
【0027】製造例 3 (稀釈用アンプル製剤) 製造例 2 で得た凍結乾燥粉末を 1ml 当りキニノゲナー
ゼを 0.075 PNA 単位又は 0.15 PNA 単位含有するよう
に調整し、無菌下でアンプルに 0.5ml、1ml、2ml 宛分
注し、アンプルを溶封した。用時にこのアンプルは開封
され、補液 (例えば「フィッシュザルツ」、「ソリタ T
3」又は「ラクトンゲル液 "フソー"」等) 100ml に溶解
稀釈され、点滴静注投与に供される。この場合の投与所
要時間は 30 分間が適当である。
【0028】薬理試験例 1 (正常動物の脳循環・代謝に
及ぼす作用) (1) 椎骨動脈血流量 キニノゲナーゼがイヌ椎骨動脈血流量に及ぼす作用を動
脈内及び静脈内への急速投与 (通常の用手的注入速度)
及び持続投与 (30 分間かけての点滴投与) により検討
した。麻酔させたイヌの椎骨動脈内に 1.5 x 10-4 - 5.
0 x 10-2 PNA 単位/body でキニノゲナーゼを急速投与
した処、椎骨動脈血流量は用量依存的に増加し、その作
用は 1 - 2 分間持続した。次に、上腕静脈内に 5.0 x
10-5 - 1.5 - 10-1 PNA 単位/kg を急速投与する場合及
び 5.0 x 10-4 - 2.5 x 10-2 PNA 単位/kg を持続投与
る場合について検討した。急速投与の場合に、1.5 x
10-4 - 5.0 x 10-3 PNA 単位/kg の範囲内では用量依存
的な血流量の増加が認められたが、5.0 x 10-2 PNA 単
位/kg 以上の投与では血流量は投与 1 分後程で逆に減
少し始めた。一方、持続投与の場合には 1.5x 10-3 PNA
単位/kg 以下の投与量では血流増加は認められず、2.5
x 10-3 PNA単位/kg では投与している間中血流の増加
が維持され、5.0 x 10-3 PNA 単位/kgでは投与の途次で
血流の減少する傾向が認められ、2.5 x 10-2 PNA 単位/
kg では血流の明かな減少が認められた。
【0029】(2) 内頸動脈血流量 キニノゲナーゼがイヌ内頸動脈血流量に及ぼす作用を動
脈内及び静脈内への急速及び持続投与により検討した。
麻酔させたイヌの内頸動脈内に 1.5 x 10-4 - 5.0 x 10
-2 PNA 単位/body でキニノゲナーゼを急速投与した
処、内頸動脈血流量は用量依存的に増加し、その作用は
約 1 分間持続した。5.0 x 10 -5 - 1.5 x 10 -1 PNA 単
位/kg の急速投与、5.0 x 10 -4 - 2.5 x10 -2 PNA 単位/
kg の持続投与、1.5 x 10-2 PNA 単位/kg を急速投与す
る場合及び 5.0 x 10-3 - 2.5 x 10-2 PNA 単位/kg を
持続投与する場合には、血流量の減少が認められた。
【0030】(3) 脳局所血流量 イヌの脳局所 (深部及び皮質部) に及ぼすキニノゲナー
ゼの作用について検討した。麻酔させたイヌの静脈内に
キニノゲナーゼを 5.0 x 10-5 - 2.5 x 10-3 PNA単位/k
g で急速投与し、或は 2.5 x 10-3 - 2.5 x 10-2 PNA
単位/kg で 30 分間持続投与した。急速投与では血流量
の増加傾向が認められたが、持続投与では 2.5 x 10-3
-5.0 x 10-3 PNA 単位/kg では血流量に変化は認められ
ず、1.0 x 10-2 PNA 単位/kg 以上の投与量では血流の
減少傾向が認められた。
【0031】(4) 脳軟膜微小循環 麻酔させたイヌの静脈内にキニノゲナーゼを 2.5 x 10
-3 又は 5.0 x 10-3PNA 単位/kg で急速投与し、或は
2.5 x 10-3 PNA 単位/kg で 30 分間持続投与し、脳軟
膜細動脈血管径を写真撮影法により測定した。血管径は
100μm 未満と以上とにわけて観察した。急速投与では
何れの径の細動脈にも拡張が認められたが、2.5 x 10-3
PNA 単位/kg の持続投与では細動脈径の変化は明かで
なかった。
【0032】(5) 脳血管抵抗 麻酔させたイヌの静脈内にキニノゲナーゼを 1.5 x 10
-4 - 2.5 x 10-3 PNA単位/kg で急速投与し、或は 5.0
x 10-4 - 2.5 x 10-2 PNA 単位/kg で 30 分間持続投与
した。急速投与では用量依存的に脳血管抵抗が低下し、
2.5 x 10-3 PNA 単位/kg 投与では当該作用が約 15 分
間持続した。一方、持続投与では 2.5 x 10-3 PNA 単位
/kg 以上の投与量で脳血管抵抗の低下が認められ、2.5
x 10-2 PNA 単位/kgの投与量では投与の終了後において
も作用が持続した。
【0033】(6) 脳動静脈酸素較差 麻酔させたイヌの静脈内にキニノゲナーゼを急速投与
し、或は 30 分間持続投与し、上矢洞静脈流血及び大腿
動脈血を採取して脳動静脈酸素較差を検討した。急速投
与の場合には 1.5 x 10-4 - 2.5 x 10-3 PNA 単位/kg
の投与量で、又持続投与の場合には 5.0 x 10-4 - 5.0
x 10-3 PNA 単位/kg の投与量で脳動静脈酸素較差が増
加する傾向を示した。
【0034】(7) 脳組織中の酸素濃度 麻酔させたイヌの静脈内にキニノゲナーゼを急速投与
(1.5 x 10-4 - 2.5 x10-3 PNA 単位/kg) し、或は 30
分間持続投与 (5.0 x 10-4 - 5.0 x 10-3 PNA単位/kg)
して脳の深部及び皮質部における酸素濃度を測定した。
急速投与の場合には深部及び皮質部共に、投与直後に酸
素濃度は一旦低下し、次いで上昇する傾向を示した。一
方、持続投与の場合には深部、皮質部共に 5.0x 10-3 P
NA 単位/kg 以上の投与で投与開始から 10 分以降に酸
素濃度の上昇傾向が認められた。
【0035】薬理試験例 2 (1) 脳浮腫発生の可能性について 正常状態のウサギを 3 群にわけ、試験群 1 及び 2 に
は静脈内にキニノゲナーゼを 2.5 x 10-3 或は 5.0 x 1
0-3 PNA 単位/kg の用量で 30 分間持続投与し、対照群
には生理食塩水を持続投与し、投与完了直後に脳を摘出
し、水分、Na+、K+ 及び Cl- 濃度を測定し、又 Na+/K+
比を算出した。その結果、両試験群と対照群との間に
有意な差は認められず、従ってキニノゲナーゼの投与に
よる脳浮腫発現の可能性は認められなかった。
【0036】(2) 脳組織への酸素取り込み及びエネルギ
ー代謝 正常状態のウサギを 3 群にわけ、試験群 1 及び 2 に
は静脈内にキニノゲナーゼを 2.5 x 10-3 或は 5.0 x 1
0-3 PNA 単位/kg の用量で 30 分間持続投与し、対照群
には生理食塩水を持続投与した。投与完了から 30、60
及び 90分後に脳を摘出して酸素取り込み量並びにATP、
ピルビン酸塩、乳酸塩、グルコース及びグルコース-6-
燐酸塩含量を測定することにより、キニノゲナーゼが脳
組織の酸素取り込み量及び代謝に及ぼす影響を調べた。
その結果、キニノゲナーゼは脳組織への酸素取り込み量
を用量依存的に増加させることが判明した。尚、ATP、
ピルビン酸塩、乳酸塩、グルコース及びグルコース-6-
燐酸塩含量に関しては、対照群との間に有意差は認めら
れなかった。
【0037】薬理試験例 3 (低酸素症モデルに及ぼす作
用) (1) 実験方法 体重 3kg 前後の雌性ニュージーランド白色ウサギを実
験動物とし、ペントバルビタール Na 麻酔 (20mg/kg)
させ、直ちに気管内に挿管し、人工呼吸器を用いて空気
により調節呼吸させた。次いで、塩化ツボクラリン 0.5
mg/kg を静注して筋弛緩を施した後に脳定位固定装置に
移送し、頭頂部の正中線に沿って頭筋を剥離した後、頭
蓋骨の右の前方に 0.5 x 0.5cm の、後方に 1.0 x 0.5c
m の骨窓を形成した。前方の骨窓に銀球電極を固定して
皮質脳波を測定し、一方後方の骨窓を利用してら皮質局
所血流量及び脳 PO2 を測定した。心拍数は心電図の R
波をトリガーすることにより測定した。尚、これらのパ
ラメータはポリグラフ、交叉熱電対式組織血流計及びレ
クチコーダに送って記録した。各パラメータが安定化し
た後に、人工呼吸器からの送気を空気から 5% O2 に転
換し、同時に後記の薬物を静注投与し、30 分後に送気
を再び空気に転換して10 分間試験を継続した。
【0038】(2) 薬物の投与量及び投与法 (A) 対照群 (n = 3) 燐酸緩衝液 (0.05M, pH 7) 3.3ml を 0.11ml/min の割
合で 30 分間にわたり投与。 (B) キニノゲナーゼ 5.0 x 10-3 PNA 単位/kg 投与群
(n = 3) 5.0 x 10-2 PNA 単位/ml のキニノゲナーゼを燐酸緩衝
液 (0.05M, pH 7) にて10 倍に稀釈し、その 3.3ml を
0.11ml/min の割合で 30 分間にわたり投与。 (C) キニノゲナーゼ 2.5 x 10-3 PNA 単位/kg 投与群
(n = 3) 2.5 x 10-2 PNA 単位/ml のキニノゲナーゼを燐酸緩衝
液 (0.05M, pH 7) にて10 倍に稀釈し、その 3.3ml を
0.11ml/min の割合で 30 分間にわたり投与。 (D) キニノゲナーゼ 1.5 x 10-3 PNA 単位/kg 投与群
(n = 3) 1.5 x 10-2 PNA 単位/ml のキニノゲナーゼを燐酸緩衝
液 (0.05M, pH 7) にて10 倍に稀釈し、その 3.3ml を
0.11ml/min の割合で 30 分間にわたり投与。 (E) シチコリン 100mg/kg 投与群 (n = 3) ニコリン注射液 (250mg/2ml) を 4ml 採取し、100mg/kg
となるように燐酸緩衝液 (0.05M, pH 7) にて稀釈し、
その 3.3ml を 0.11ml/min の割合で 30 分間にわたり
投与。 (F) シチコリン 10mg/kg 投与群 (n = 3) ニコリン注射液 (100mg/2ml) を 2ml 採取し、10mg/kg
となるように燐酸緩衝液 (0.05M, pH 7) にて稀釈し、
その 3.3ml を 0.11ml/min の割合で 30 分間にわたり
投与。 (G) ニカルジピン 4 μg/kg 投与群 (n = 3) ニカルジピン 10mg を秤取し、4 μg/kg となるように
生理食塩水にて稀釈し、その 0.1ml/kg を 20 秒かけて
投与。
【0039】(3) データの処理法 心拍数については変化率を求め、脳 PO2 及び脳局所血
流量に関しては変化量を求めた。脳波は解析装置 (ATAC
-450, 日本光電株式会社製) にて解析し、その結果をプ
リンターに出力し、又 X-Y にグラフとして出力した。
尚、統計学的検定は FM 11 (富士通株式会社製) を用い
Student's t-test により P 値が0.05 以下の場合に
有意差ありと判定した。
【0040】(4) 結果 (1) 心拍数に及ぼす影響 対照群は無処置対照群と比較する場合に有意に低下した
が、キニノゲナーゼ投与群及びシチコリン投与群は対照
群と比較して有意差はなかった。一方、ニカルジピン投
与群は対照群と比較して有意に低下した。
【0041】(B) 脳皮質 PO2 に及ぼす影響 対照群は無処置対照群と比較する場合に有意に低下し
た。即ち、5% O2 吸入開始から 5 分後に対照群は 8.1
x 10-8 PNA 単位/kg の低下を示したが、無処置対照群
は何等低下を示さなかった。これに対して、キニノゲナ
ーゼ投与群は 5.0x 10-3 PNA 単位/kg の投与量で 4.0
x 10-8 PNA 単位/kg、2.5 x 10-3 PNA 単位/kg の投与
量で 3.0 x 10-8 PNA 単位/kg の低下を示したので、キ
ニノゲナーゼは低酸素状態において生じる脳皮質部にお
ける PO2 の低下を有意に抑制することが判明した。
尚、1.25 x 10-3 PNA 単位/kg のキニノゲナーゼ投与群
並びに対照薬物であるシチコリン及びニカルジピン投与
群に関しては、対照群の場合とほぼ同様でありPO2 の低
下抑制効果が認められなかった。このことはシチコリン
及びニカルジピンは脳皮質内酸素量の低下抑制効果を示
さないこと、並びにキニノゲナーゼの有効投与量が 2.5
x 10-3 PNA 単位/kg 又はそれ以上であることを示して
いる。
【0042】(C) 脳皮質局所血流量に及ぼす影響 対照群は無処置対照群と比較する場合に有意に増加し
た。即ち、5% O2 吸入開始から 5 分後に対照群は 26.5
μV の増加を示したが、無処置対照群は何等増加を示さ
なかった。これに対して、5.0 x 10-3 PNA 単位/kg の
キニノゲナーゼ投与群においては 6.7μV の増加しか示
さず脳皮質局所血流量の増加を有意に抑制することが判
明した。尚、対照薬物であるシチコリン及びニカルジピ
ンには血流増加抑制効果が認められなかった。
【0043】(D) 皮質部脳波に及ぼす影響 対照群は、無処置対照群と比較する場合に、高振幅徐
化傾向を示した。これに対して、5.0 x 10-3 PNA 単位/
kg 及び 2.5 x 10-3 PNA 単位/kg のキニノゲナーゼ投
与群並びに 100mg/kg のシチコリン投与群は低振幅速
化を示した。即ち、キニノゲナーゼ及びシチコリンは、
低酸素空気の吸入により高振幅徐波化した皮質部脳波の
徐波/速波比を低下させることにより低振幅速波化して
脳機能を改善することが判明した。
【0044】薬理試験例 4 (脳虚血動物に及ぼす作用) 正常状態にあるウサギの両側椎骨動脈を永久結紮した後
に、両側の総頸動脈を40 分間にわたって結紮して脳を
虚血状態になし、次いで総頸動脈を再開放し、大脳皮質
の局所血流量、脳波等を経時的に観察した。又、総頸動
脈の開放から15 分後における脳皮質部の ATP、乳酸塩
及び過酸化脂質濃度を測定した。薬物としてはキニノゲ
ナーゼ、シチコリン及びニカルジピンを用い、キニノゲ
ナーゼに関しては 1.25 x 10-3、2.5 x 10-3 又は 5.0
x 10-3 PNA 単位/kg、又シチコリンに関しては 100mg/k
g の投与量で総頸動脈結紮の 15 分前から 30 分間かけ
て持続静注投与し、一方ニカルジピンについては 0.5mg
/kg を総頸動脈結紮の 15 分前に十二指腸内に投与し
た。総頸動脈の再開放により大脳皮質部における局所血
流量は顕著に増加した。ニカルジピンは血流量の増加を
抑制する傾向を示したが、キニノゲナーゼ及びシチコリ
ンは増加抑制傾向を示さなかった。虚血により脳波は平
坦化したが、2.5 x 10-3 PNA 単位/kg のキニノゲナー
ゼ投与群においては脳波活動の再現が認められた。一
方、シチコリン及びニカルジピン投与群においては脳波
活動の再現が認められなかった。脳皮質部の ATP 及び
乳酸塩についてみると、ATP はニカルジピンの投与によ
り有意に増加した。乳酸塩は 1.25 x 10-3 PNA 単位/kg
のキニノゲナーゼ投与及びニカルジピン投与により有
意に減少した。以上のことから、キニノゲナーゼは虚血
による嫌気的解糖の亢進により生ずる乳酸塩の増加を抑
制し、平坦化した脳波活動を賦活する作用を有するもの
と推定される。
【0045】薬理試験例 5 (病態モデル動物の脳循環・
代謝に及ぼす作用) 麻酔させた正常状態のウサギの右大脳半球側に微小ガラ
スビーズを注入することにより脳梗塞モデル動物とし、
薬物を投与した後に局所血流量 (皮質部)、脳軟膜微小
循環、脳内血流分布及び脳皮質部における PO2、ATP、
乳酸塩、ピルビン酸塩、グルコース及びグルコース-6-
燐酸塩濃度を測定した。尚、脳内の上記生化学物質等の
測定は薬物の投与開始から 60 分後に行われた。
【0046】結果は下記の通りであった。 (1) 皮質部血流量 キニノゲナーゼを 2.5 x 10-3、5 x 10-3 又は 1.25 x
10-2 PNA 単位/kg の割合で持続静注投与すると、虚血
側 (ガラスビーズ) 注入側において用量に依存した皮質
部血流量の増加が認められたが、非虚血側では血流量の
増加は殆ど認められなかった。一方、対照薬物としてニ
カルジピンを十二指腸内に投与し(0.5mg/kg)、又シチコ
リンを持続静注投与 (10mg/kg) したが、虚血側での血
流増加は何等認められなかった。
【0047】(2) 脳軟膜微小循環 Cranial window 法により顕微鏡下で脳軟膜における細
動脈の管径変化を、血管径が >100、50< <100 及び <50
μm に区分して観察した。キニノゲナーゼの投与量を 5
x 10-3 PNA 単位/kg 又はそれ以下に設定すると50μm
以上の血管の拡張は著明ではないが、物質代謝に関与し
ている 50μm 以下の血管に関しては明らかに拡張が認
められた。投与量を 1.25 x 10-2 PNA 単位/kg に増加
すると、100μm 以上の血管に関しても明確な拡張が認
められた。一方、対照薬物であるニカルジピンは 100μ
m 以上の血管を拡張するが、50μm 以下の細血管に関し
ては拡張が殆ど認められなかった。このことはキニノゲ
ナーゼの血管拡張作用は細い血管程有効であり、代表的
なCa イオン桔抗剤であるニカルジピンとは微小血管拡
張作用動態が異なるものであることを示している。
【0048】(3) 脳内血流分布 ガラスビーズの注入により生じた虚血側では灰白質部に
おいて血流分布率に顕著な減少が認められたが、5 x 10
-3 PNA 単位/kg のキニノゲナーゼを投与することによ
り血流分布が増加し、非注入側 (正常側) と同レベル程
度まで回復した。尚、対照薬物であるニカルジピンには
血流分布の改善が認められなかった。
【0049】(4) 生化学物質等 5 x 10-3 PNA 単位/kg のキニノゲナーゼを投与するこ
とにより虚血側脳皮質部における PO2、ATP、ピルビン
酸塩、グルコース及びグルコース-6-燐酸塩の減少を抑
制し得ることが判明した。尚、対照薬物であるシチコリ
ン及びニカルジピンは ATP の減少を抑制する作用を示
さなかった。
【0050】薬理試験例 6 (脳梗塞領野の進展) 薬理試験例 4 におけると同様の脳梗塞モデル動物を用
い、梗塞作成から 24時間後における脳梗塞領野に対す
る薬物の作用を検討した結果は下記の表 5 に示される
通りであり、対照と比較する場合にキニノゲナーゼは有
意の抑制効果が認められた。
【0051】表 5 * : 2.5 x 10-3 PNA 単位/kg, 30 分間持続静注 ** : 100mg/kg, 30 分間持続静注
【0052】薬理試験例 7 (皮質脳波の覚醒反応) (1) 目的 ウサギを用い、ヒトの脳内出血の好発部位とされる内包
を電気的に焼灼・破壊することにより脳出血後の病態に
類似したモデルを作成し、キニノゲナーゼの改善作用を
検討する。即ち、この内包破壊モデルの成因の一つとし
て大脳皮質脳波の覚醒状態に深い関わり合いを有する上
行性網様体賦活系に部分的障害を与えることを挙げるこ
とができる。そこで、内包破壊ウサギを実験動物として
中脳網様体高頻度刺激による脳波覚醒反応の変化に対す
るキニノゲナーゼの作用を検討するのである。
【0053】(2) 実験方法 (A) 内包破壊モデル (急性期モデル) の作成 雌性ニュージーランド白色ウサギの耳介静脈にカニュー
レを挿入し、ペントバルビタール Na 30mg/kg 静注にて
麻酔させ、背位に固定し、腹側頸部及び鼠蹊部を刈毛し
た後に正中切開し、頸部においては気管を露出させてカ
ニューレを挿管し、又鼠蹊部に関しては右大腿動脈及び
静脈を露出させ、動脈には血圧測定用及び採血用カニュ
ーレを挿入固定し、静脈には薬物静注用のカニューレを
挿入留置させた。次いで、動物を脳定位固定装置に伏臥
位で固定し、頭部の刈毛後に頭皮を切開して頭蓋骨を露
出させ、塩化ツボクラリン 3mg/body を静注して不動化
させ、人工呼吸器を用い室内空気で人工呼吸させた (15
- 30ml/body/stroke,30 -40 stroke/min)。動脈血の P
CO2 を血中ガス分析装置により測定し、適当な値(PCO
2 : 35 ± 5mmHg) となるように人工呼吸器を調整し
た。次に、脳図譜に従って両側の内包 (APO, L : 6, H
: 0) 及び左側の中脳網様体 (P : 8, L : 3, H : -2)
に双極貼合わせ電極の遊端がそれぞれ達するように当該
電極を刺し込み、歯科用セメントにて固定した。これら
の電極の内で内包に達する両電極は内包の焼灼破壊用に
用いられ、中脳網様体に達する電極は脳波刺激用に用い
られる。尚、皮質脳波測定のために P : 3, L : 7 の部
位にステンレススチール製のネジ型電極を固定した。脳
波は当該ネジ電極により単極で誘導し、ポリグラフ上に
記録すると共に、データレコーダにより磁気テープにも
記録した。心電図は第 II 誘導により、血圧は圧トラン
スデューサを介して、又心拍数は心電図の R 波を瞬時
心拍計でトリガーすることによりポリグラフ上に記録し
た。内包の破壊は刺し込んだ電極を通じて 60V 直流電
流を 30 秒間通電し、5 分の間隔をおいて再び通電する
ことにより行われた。脳波覚醒反応の観察は、刺し込ま
れている電極により中脳網様体を高頻度刺激し (電気刺
激装置及びアイソレータを介して、周波数 100Hz, 電圧
0.5 - 5.0V,間隔 1msec. の矩形波)、覚醒反応の賦活
閾値及び持続時間の変化を測定することにより行われ
た。測定終了後には、飽和塩化カリウム溶液を静注して
屠殺し、迅やかに脳を摘出し、10% ホルマリン溶液にて
固定保存し、後日、電極刺し込み部位及び障害部位の確
認を行った。
【0054】(B) 皮質覚醒反応程度の判断方法 中脳網様体の刺激電圧を 0.5V から 0.5V 間隔で上昇さ
せ、覚醒反応が初めて出現した電圧を覚醒反応閾値と
し、中脳網様体刺激を 4V で行った際の持続時間を覚醒
反応持続時間とした。これらの覚醒反応の閾値及び持続
時間はレコーダのチャート上に記録された波形から肉眼
的に判断し、それぞれ電圧値 (V) 及び時間 (sec) にて
表した。更に、各時間における中脳網様体刺激開始前の
約 2 分間の皮質脳波をデータレコーダに記録し、デー
タ解析装置 (日本光電株式会社製の ATAC-450) にてA/D
変換及びフーリエ変換し、パワースペクトラム解析を
行った。この解析は、0.496 - 30Hz 迄のパワーを下記
の各周波数帯に分けて行われた。 δ波 (0.496 - 3.968Hz), θ波 ( 3.968 - 8.432Hz), α波 (8.432 - 13.432Hz), β波 (13.432 - 30Hz). 尚、脳波のパワースペクトラムは、各タイムポイント毎
に各々の周波数帯におけるパワーのトータル ECoG パワ
ーに対する比率 (%) として算出した。
【0055】(C) 局所脳血流の測定法 局所脳血流 (rCBF) の測定は水素電極の先端を内包周辺
部 (A : 4, L : 4, H: 3) 及び大脳皮質に留置固定し、
水素クリアランス法を用いて実施した。水素クリアラン
ス法による局所脳血流の測定は組織血流計 (バイオメデ
ィカルサイエンス社製の RBF-2) を用い水素吸入式で行
った。局所脳血流の計算は電解式組織血流計より A/D
コンバータを介しコンピュータで計算する方法又は電解
式組織 血流計のチャートを読み取りパーソナルコンピ
ュータで計算する方法で行われた。尚、局所脳血流の測
定は対照群のみとし、脳波活動の測定は行わなかった。
【0056】(D) 血液脳関門の障害確認法 血液脳関門 (BBB) に障害が生じたか否かを確認するた
めに、内包破壊の直後に Evann's blue を静注し、その
1 時間後に脳を摘出した。尚、本実験は対照群のみに
関して実施された。
【0057】(E) データの処理法 覚醒反応の閾値及び持続時間、δ波, θ波, α波及び
β波並びに局所脳血流はそれぞれ単位 V、sec、% 及び
ml/min/100g にて表し、心拍数及び平均血圧は内包破壊
前における値に対する変化率 (%) で表した。上記のパ
ラメータに関して対照群と他の群との差については Stu
dent'st-Test により検定し、危険率 5% 未満のものに
ついて統計学的に有意と判断した。
【0058】(F) 投与用量 (a) 対照群 (n = 7) PBS (燐酸緩衝液, 0.05M, pH 7) を 0.11ml/min の割合
で 30 分間にわたり静注投与。 (b) 偽手術群 (n = 6) (c) キニノゲナーゼ 1.25 x 10-2 PNA 単位/kg 投与群
(n = 7) 1.5 x 10-2 PNA 単位/ml のキニノゲナーゼを燐酸緩衝
液 (0.05M, pH 7) にて10 倍に稀釈し、その 3.3ml を
0.11ml/min の割合で 30 分間にわたり投与。 (d) キニノゲナーゼ 5.0 x 10-3 PNA 単位/kg 投与群
(n = 6) 5.0 x 10-2 PNA 単位/ml のキニノゲナーゼを燐酸緩衝
液 (0.05M, pH 7) にて10 倍に稀釈し、その 3.3ml を
0.11ml/min の割合で 30 分間にわたり投与。 (e) シチコリン 100mg/kg 投与群 (n = 6) ニコリン注射液 (250mg/2ml) を 4ml 採取し、100mg/kg
となるように燐酸緩衝液 (0.05M, pH 7) にて稀釈し、
その 3.3ml を 0.11ml/min の割合で 30 分間にわたり
投与。
【0059】(3) 結果 (A) 皮質脳波覚醒反応に対する作用 (a) 覚醒反応閾値 対照群における覚醒反応閾値は偽手術群と比較して上昇
する傾向を示したが、有意な変化とは認められなかっ
た。キニノゲナーゼ及びシチコリン投与群にも覚醒反応
閾値に関する明かな変化はなく、対照群との間に有意差
は認められなかった。 (b) 覚醒反応持続時間 対照群における覚醒反応持続時間は偽手術群と比較して
有意に短縮した。1.25x 10-2 PNA 単位/kg のキニノゲ
ナーゼ投与群においては、内包破壊から 60 分経過した
時点、即ち当該薬物の持続静注投与終了の時点で対照群
に対して覚醒反応持続時間が有意に延長し、他のタイム
ポイントにおいても延長する傾向が認められた。一方、
5.0 x 10-3 PNA 単位/kg のキニノゲナーゼ投与群及び
シチコリン投与群に関しては覚醒反応持続時間の有意な
延長や短縮は認められなかった。
【0060】(B) 皮質脳波の各周波数成分に対する作用 中脳網様体の電気刺激による皮質脳波覚醒反応惹起に先
立つ約 2 分間における対照群の皮質脳波は偽手術群と
比較して明らかに徐波化する傾向が認められた。δ波は
トータルパワーに占めるその割合が内包破壊の直後に増
加し、逆にθ波は減少した。θ波と同様に、速波成分で
あるα波やβ波も内包を破壊することにより減少する傾
向が認められた。
【0061】(C) 局所脳血流、心拍数及び平均血圧に対
する作用 (a) 局所脳血流 内包破壊急性期における局所脳血流は、破壊された内包
周囲において有意に減少するが、皮質の血流に対する影
響は殆ど認められなかった。 (b) 心拍数 対照群と偽手術群との間に心拍数に関する有意差は認め
られなかった。キニノゲナーゼ投与群に関しては、一過
性ではあるが、用量依存的に心拍数の減少が生じた。シ
チコリン投与群はキニノゲナーゼ投与群よりも心拍数が
更に減少した。 (c) 平均血圧 対照群と偽手術群との間に平均血圧に関する有意差は認
められなかった。シチコリン投与群と対照群との間にも
平均血圧に関する有意差は認められなかったが、キニノ
ゲナーゼの高用量 (1.25 x 10-2 PNA 単位/kg) 投与群
に関しては投与開始から 15 分後に有意な血圧低下が認
められた。
【0062】(D) 血液脳関門に対する作用 内包破壊急性期における血液脳関門には内包破壊部周辺
に Evans' blue の漏出が認められたが、電極を刺し込
んだだけの偽手術群に関しては電極の刺し込み部位にお
いても Evans' blue の漏出は殆ど認められなかった。
【0063】薬理試験例 8 (病態モデル動物の神経障
害、脳循環及び脳波に及ぼす作用) 麻酔させた日本猿の左外頸動脈にチューブを刺し込み、
該チューブを介してシリコン栓子 (1mmφ x 5mm) を左
内頸動脈内に送り込むことによって中大脳動脈閉塞モデ
ルを作成した。左中大脳動脈閉塞から 5 分間経過した
後に薬物としてのキニノゲナーゼ 2.5x 10-2 PNA 単位/
kg 又はシチコリン 10mg/kg を 30 分間にわたり静注投
与した。シリコン栓子による左中大脳動脈閉塞から 24
時間経過した時点において、対照群は片痲痺を含む脳左
半球の障害に起因するものと考えられる明かな神経症状
の発現が認められた。大脳皮質血流量は右半球 (非障害
側) において偽手術群と大差は認められなかったが、左
半球においては約 1/3 に低下していた。更に、左右の
前頭野、頭頂野及び側頭野における脳は活動に関して速
波成分であるα波及びβ波が偽手術群と比較して 20 -
30% に低下しており、明かな脳機能障害の状態を呈して
いた。これに対してキニノゲナーゼ投与群では神経障害
が殆ど認められず、大脳皮質血流量は右半球 (非障害
側) において低下傾向を示したが、障害側である左半球
の血流量は対照群と比較して増加傾向を示し、左右比は
約 1 であった。脳波活動に関しては右頭頂野を除き速
波成分に増加傾向が認められ、その傾向は虚血のボーダ
ーエリアと考えられる左前頭野で顕著であった。一方対
照薬物であるシチコリンの投与群では対照群と比較して
神経症状に改善が認められたが、大脳皮質血流量及び脳
波活動に改善は認められず、従って当該薬物の脳機能改
善効果は明かとは云えなかった。
【0064】薬理試験例 9 (健常人を対象とする安全性
確認試験) 健常成人男子を対象としてキニノゲナーゼ 0.01、0.0
2、0.04、0.075、0.15及び 0.30 PNA 単位/body 単回投
与試験並びに 0.15 PNA 単位/body/day の 3日間反復投
与試験を実施した。被験者は各投与群毎に 3 例、計 21
例とし、年齢は 21 - 37 歳、身長は 160- 183cm、体
重は 51 - 78kg であった。被検薬の投与は「日局」 5%
ブドウ糖液100ml にキニノゲナーゼを規定量添加して
溶解させ、大伏在静脈から 30 分間にわたり点滴静注す
ることにより行われた。評価は臨床症状観察として自覚
症状、血圧、心拍数、体温、呼吸数、聴診等について観
察した。臨床検査としては血液学的検査、血清生化学的
検査、線溶・凝固系検査、尿検査、キニノゲナーゼ抗体
検査 (感作赤血球凝集試験)、心電図及び血漿中薬物動
態について実施した。臨床症状の観察では単回投与試験
の最高投与量である 0.30 PNA 単位/body 群における 3
例中の 2 例に、投与開始直後から約 10 分間にわたり
キニノゲナーゼの薬理作用に起因するものと思われる軽
度の顔面紅潮感が認められた。又、単回投与の 0.15、
0.30 PNA 単位投与群及び 0.15 PNA 単位/day の 3 日
間反復投与群において点滴静注の最中に拡張期圧の低下
傾向が認められ、0.075 PNA 単位又はそれ以上の投与群
においては心拍数に増加傾向が認められたが、キニノゲ
ナーゼの投与に起因するものと考えられる他の異常所見
は認められなかった。臨床検査では、何れの投与群にお
いても、キニノゲナーゼの投与に起因するものと思われ
る臨床検査値の変動は認められなかった。抗体検査にお
いても抗体の産生は認められなかった。キニノゲナーゼ
の血漿中濃度は 0.01 及び 0.02 PNA 単位投与群では検
出されなかったが、0.04 PNA 単位及びそれ以上の投与
群では検出された。0.04、0.075、0.15 及び 0.30 PNA
単位投与群の C30min、AUC0-180min は投与量との間に
高い線形関係が認められた。尚、t1/24 は約 170 分で
あった。尚、3 日間の反復投与試験において 1 日目と
3 日目ではほぼ同様の血漿中濃度推移を示し、薬物動態
学的パラメータも殆ど差はなく、従って連投による薬物
の蓄積は生じないものと考えられた。
【0065】薬理試験例 10 (安全性、有効量及び投与
所要時間の設定試験) 脳梗塞 (脳血栓・脳塞栓)、脳出血に随伴する諸症候を
有する入院患者で発作後 1 ケ 月以上経過しており、慢
性期と判断される者を対象として 30 分間持続静注投与
群 (14 例) と 120 分間持続静注投与群 (14 例) とに
分け、1 日 1 回下記の要領でキニノゲナーゼの用量を
漸増させながら、3 週間にわたり投与した。 1 週目 : 0.075 PNA 単位/body、 2 週目 : 0.15 PNA 単位/body、 3 週目 : 0.30 PNA 単位/body。 30 分間持続投与群においては第 1 週の 5 日目に 1 名
が尋麻疹様発疹と顔面紅潮で、又他の 1 名が動悸・冷
感・嘔気及び下痢で投与を断念し、第 3 週目には血圧
の上昇・ほてり感で 1 名が、顔面発赤で 2 名が、顔面
紅潮で 1 名が、又頭痛・頭重・顔面紅潮で 1 名が投与
断念に至り、従って副作用の発現例は7/26 例であり、
発現率は 25.0% であった。一方、120 分間持続投与群
においては第 3 週の 6 日目に 1 名が第 1 週から生じ
ていた下痢で、又他の 1 名が頭部のぼせ感で投与を断
念するに至った。従って副作用の発現例は 2/14 例であ
り、発現率は 16.7% であった。有効性に関しては、第
1 週では明確ではなく、第 2 週に至って症状に改善が
見受けられるようになり、第 3 週においても症状の改
善状況に格別顕著な変化はなかった。このことは 0.15
PNA 単位/body 投与と 0.30 PNA 単位/body 投与との薬
理効果における差は少ないものと判断される。この点、
30 分持続投与群と 120 分持続投与群との間に安全性に
おいて格別の差がないこと並びに副作用の発現が第 3
週の 0.30 PNA 単位/body 投与時に集中していることを
勘案すれば、キニノゲナーゼの至適用量は 0.15 PNA単
位/body であり、投与方法は 30 分間持続静注投与が最
適なものと判断された。
【0066】薬理試験例 11 (臨床試験) 脳梗塞 (脳血栓・脳塞栓)、脳出血に随伴する諸症候を
有する入院患者で発作後 1 ケ 月以上経過しており、慢
性期と判断される者を対象とし、各地の施設に委託して
臨床試験を実施した。 (1) 試験方法 (A) 被験薬物 (a) プラセボ群 : プラセボ 1.5ml/body、 (b) 低用量群 : 0.075 PNA 単位のキニノゲナーゼ
(0.5ml) + プラセボ1.0ml/body、 (c) 高用量群 : 0.150 PNA 単位のキニノゲナーゼ
(1.0ml) + プラセボ0.5ml/body。 (B) 投与方法及び期間 上記の被験薬物と、静注用ビタミン B1・B6・B12 複合
剤 (ビタメジン静注用)とを補液 200ml に添加して稀釈
し、30 分間で点滴静注した。投与期間は 2 週間とし
た。 (C) 併用薬物 被験薬物の投与期間中は原則として、脳血管拡張薬、脳
代謝賦活薬等被験薬の薬効評価に影響を及ぼす可能性の
あるものは併用しないこととした。但し、必要性を認め
た場合には前治療薬として脳代謝賦活薬であるアバンを
試験開始 1 ケ 月前より投与していた症例に限り試験期
間中も 1 回 1 錠、1 日 3回併用投与しても良いことと
した。 (D) 解析手法 計量データについては t-検定 (群内比較)、分散分析
(群間比較)、Scheffe型多重比較を、順序データについ
ては Kruskal-Wallis の H-検定 (以下、単に「H-検
定」と称する) 及び Scheffe 型多重比較を、又分類デ
ータについてはΧ2-検定を用いることとした。尚、有意
水準は 5% とし、10% も参考にすることとした。
【0067】(2) 被調査者 (A) 対象 試験開始当時の被調査者である患者の累計数は 306 名
であったが、内 3 名は退院、発作から余り日時が経過
していなかったこと又は合併症の発生により調査対象か
ら除外され、従って症例数は 303 例であり、この内で
併用薬違反、副作用の発現により投与中止等を含めて厳
密には適正な調査対象ではないが部分的にはデータを採
用した症例がプラセボ群 (以下「P 群」と称する) で 8
例、低用量群 (以下「L 群」と称する) で 17 例、高
用量群 (以下「H 群」と称する) で10 例、計 35 例あ
った。 (B) 被調査者の背景因子 解析対象 303 例の背景因子について集計し解析した結
果は下記の表 6 に示される通りであり、何れにおいて
も有意差は認められなかった。
【0068】表 6 (その 1) 表 6 (その 2) 表 6 (その 3) 表 6 中において、 * : CT スキャン未施行の 1 例 (P 群) を集計から除
外、 ** : 脳血管拡張薬、脳代謝賦活薬 (アバンを含む) を
使用、 NS : P > 0.10。
【0069】(3) 試験成績 (総合評価) (A) 全般的改善度 第 1 週における全般的改善度は、中等度以上の改善を
対象として P 群1.1%、L 群 7.9%、H 群 5.4% であり、
軽度改善をも対象にすると P 群 44.2%、L 群 55.1%、H
群 55.9% であった。H 検定の結果、これらの 3 群間
に有意差はなかった。第 2 週における全般的改善度
は、中等度以上の改善を対象として P 群12.9%、L 群 2
3.3%、H 群 28.1% であり、軽度改善をも対象にすると
P 群 65.6%、L 群 75.6%、H 群 83.1% であった。H 検
定の結果、これらの 3 群間に有意差が認められた (P <
0.01)。多重比較の結果、H 群は P 群と比較して有意
に優れていた (P < 0.01)。
【0070】(B) 安全度 第 1 週において安全度で全く問題がないと判定された
割合は P 群 92.1%、L群 88.3%、H 群 90.9% であっ
た。第 2 週においては P 群 94.8%、L 群 88.3%、H 群
89.1% であった。最終判定 (完全採用症例 + 部分採用
症例) では P 群91.1%、L 群 82.5%、H 群 86.9% であ
った。H 検定の結果、何れの評価時期においても 3 群
間に有意差はなかった。
【0071】(C) 有用度 第 1 週における有用度は、可成り有用以上を対象とし
て P 群 2.0%、L 群9.5%、H 群 7.3% であり、やや有用
以上をも対象にすると P 群 39.8%、L 群50.5%、H 群 5
5.2% であった。H 検定の結果、これらの 3 群間に或る
程度の差異のあることが認められた (P < 0.10)。多重
比較の結果、H 群は P 群と比較して優れた傾向のある
ことが判明した (P < 0.10)。第 2 週における有用度
は、可成り有用以上を対象として P 群 12.9%、L 群21.
8%、H 群 30.3% であり、やや有用以上をも対象にする
と P 群 61.3%、L 群70.1%、H 群 83.1% であった。H
検定の結果、これらの 3 群間に有意差が認められた (P
< 0.001)。多重比較の結果、H 群は P 群と比較して有
意に優れていた (P < 0.001)。
【0072】(4) 症候別概括改善度 (A) 自覚症状 第 2 週における改善度は、中等度以上の改善を対象と
して P 群 13.0%、L 群21.9%、H 群 21.2% であり、軽
度改善をも対象にすると P 群 58.0%、L 群62.5%、H 群
84.8% であった。H 検定の結果、これらの 3 群間に有
意差が認められた (P < 0.01)。多重比較の結果、H 群
は P 群と比較して有意に優れていた(P < 0.05)。
【0073】(B) 精神症候 第 2 週における改善度は、中等度以上の改善を対象と
して P 群 11.8%、L 群17.1%、H 群 21.8% であり、軽
度改善をも対象にすると P 群 55.3%、L 群 64.5%、H
群 75.6% であった。H 検定の結果、これらの 3 群間に
有意差が認められた (P < 0.05)。多重比較の結果、H
群は P 群と比較して有意に優れていた(P < 0.05)。
【0074】(C) 神経症候 第 2 週における改善度は、中等度以上の改善を対象と
して P 群 2.2%、L 群7.0%、H 群 9.0% であり、軽度改
善をも対象にすると P 群 40.9%、L 群40.7%、H 群 56.
2% であった。H 検定の結果、これらの 3 群間に有意差
が認められた (P < 0.05)。多重比較の結果、H 群は P
群と比較して優れている傾向を示した (P < 0.10)。
【0075】(D) 日常生活動作 第 2 週における改善度は、中等度以上の改善を対象と
して P 群 8.0%、L 群8.5%、H 群 9.5% であり、軽度改
善をも対象にすると P 群 40.9%、L 群48.8%、H 群 54.
8% であった。H 検定の結果、これらの 3 群間に有意差
はなかった。
【0076】(5) 症候項目別改善度 (A) 自覚症状 自覚症状の各項目毎の改善度では H 検定の結果 3 群間
に有意差のある項目はなかった。症状例数が 10 例以上
あったもので、比較的改善度の高い (中等度の改善以上
で 20% 以上) 症状は回転性めまい (30.0%)、肩・首の
凝り (25.0%)、耳鳴り (23.1%)、頭痛 (21.7%) 及びめ
まい (21.7%) であったが、何れも H 群であった。
【0077】(B) 精神症候 精神症候の各項目毎の改善度では H 検定の結果感情失
禁及び記憶障害において 3 群間に違いが見受けられた
(P < 0.10)。多重比較の結果、両項目共に、L群と比較
して H 群は優れている傾向を示した (P < 0.10)。症状
例数が 10 例以上あったもので、比較的改善度の高い
(中等度の改善以上で 20% 以上) 症状は抑欝 (22.2%)、
不安・焦燥 (20.0%) であったが、何れも H群であっ
た。
【0078】(C) 神経症候 神経症候の各項目毎の改善度では H 検定の結果嚥下障
害において 3 群間に有意差が認められた (P < 0.05)。
多重比較の結果、L 群と比較して H 群は有意に優れて
いた (P < 0.05)。
【0079】(D) 日常生活動作 日常生活動作の各項目毎の改善度では H 検定の結果歩
行障害において 3 群間に有意差が認められた (P < 0.0
5)。多重比較の結果、L 群と比較して H 群は有意に優
れていた (P < 0.05)。
【0080】(6) 層別解析 H 検定の結果、3 群間に有意差が認められ、又はその傾
向が認められ且つ多重比較の結果各群間に有意差が認め
られ、又はその傾向が認められた層別項目は下記の通り
であり、何れの場合にも H 群が優れていた。男、脳梗
塞、重症例、軽症例、病巣部位・内頸動脈系、罹病期間
・3 ケ 月以上6 ケ 月未満及び 6 ケ 月以上、初発例、再
発例、合併症・有、前治療薬・有、併用薬・無、アバン
併用・無及びリハビリ・有。
【0081】(7) 副作用 副作用の発現は P 群 10 例 (9.9%)、L 群 19 例 (18.4
%)、H 群 12 例 (12.1%) であり、3 群間に有意差はな
かった。副作用の内容では下痢が最も多く P 群 1 例、
L 群 4 例、H 群 2 例の計 7例であった。以下、血圧降
下 P 群 1 例、L 群 2 例、H 群 3 例の計 6 例、肝機
能障害 P 群 1 例、L 群 2 例、H 群 1 例の計 4 例、
不随意運動各群 1 例の計 3 例、めまい P 群 1 例、H
群 2 例の計 3 例、嘔気 L 群 2 例、H 群 1 例の計 3
例の順であった。その他の副作用は合計 2 例以下で散
発的であった。尚、副作用の程度が重症と評価された例
は L 群 2 例、H 群 1 例の計 3 例であった。
【0082】(8) 血圧及び心拍数 投与前と第 1 週及び第 2 週の群内比較 (対応のある t
-検定) では第 1 週の収縮期血圧に関して H 群に有意
な低下が認められ (P < 0.05)、多重比較の結果L 群と
H 群との間にも同様な傾向が見受けられた (P < 0.1
0)。第 2 週の拡張期血圧に関して 3 群間に有意差の傾
向が見受けられたが (P < 0.10)、多重比較の結果では
有意差がなかった。第 1 週の心拍数に関して 3 群間に
有意差の傾向が見受けられ (P < 0.10)、多重比較の結
果 L 群と H 群との間に有意差の傾向が見受けられた
(P < 0.10)。
【0083】(9) 臨床検査 投与前と投与後における群内比較 (対応のある t-検定)
において有意差の見受けられる項目が散見されたが、
何れも変動は軽度であり、殊に臨床上問題となる項目で
有意差の認められる項目はなかった。
【0084】
【発明の効果】本発明は人尿性キニノゲナーゼを有効成
分とする脳機能改善剤を提供する。本発明による脳機能
改善剤は主として静注投与され、脳梗塞や脳出血に起因
する慢性期の諸症候、殊に精神症候、自覚症状等を比較
的早期に改善する。即ち、現在一般に汎用されている、
この種の医薬品は経口剤であり、治療の臨床評価を行う
には 8 週間にわたる投与を必要とするが、本発明によ
る脳機能改善剤は 2 週間の投与で評価が可能であり、
薬理作用においても経口剤の 8 週間投与と同様な効果
がもたらされる。尚、本発明による脳機能改善剤は脳血
管、殊に微細な脳血管程有効に作用し拡張して脳血流を
増加させるが、その血流増加作用は虚血部位において顕
著であって、非虚血部位の血流には影響を余り与えない
ので脳血管障害に起因する脳機能障害の改善剤として殊
に適している。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 常正 愛知県名古屋市東区東外堀町35番地 株式 会社三和化学研究所 内 (72)発明者 鈴木 民和 愛知県名古屋市東区東外堀町35番地 株式 会社三和化学研究所 内 (56)参考文献 特開 昭56−68618(JP,A) 特開 昭60−199827(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人尿から抽出精製されたものであり、SD
    S-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法では主バンドが 4
    1000 に且つ副バンドが 31000 にあり、ゲル濾過法によ
    れば 47000 - 54000 の範囲内の分子量を示し、原液の
    等電点が pI 3.92、4.08 及び 4.23 の人尿性キニノゲ
    ナーゼを有効成分とする脳機能改善剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の人尿性キニノゲナーゼ
    を 1ml 当り約 0.15PNA 単位含有し且つクエン酸又はそ
    の塩を 0.1 - 1 重量% 含有していることを特徴とす
    る、脳機能改善剤。
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