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JPH0819553B2 - 線条材の銅メッキ方法 - Google Patents
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JPH0819553B2 - 線条材の銅メッキ方法 - Google Patents

線条材の銅メッキ方法

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JPH0819553B2
JPH0819553B2 JP12938488A JP12938488A JPH0819553B2 JP H0819553 B2 JPH0819553 B2 JP H0819553B2 JP 12938488 A JP12938488 A JP 12938488A JP 12938488 A JP12938488 A JP 12938488A JP H0819553 B2 JPH0819553 B2 JP H0819553B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は線条材の銅メッキ方法に関するものである。
(従来の技術及び解決しようとする課題) 銅の電気メッキ方法としては、工業化されている規模
からみるとシアン化銅電気メッキ方法と硫酸銅電気メッ
キ方法に大別されるが、一般に、線条材、特に溶接用ワ
イヤの銅メッキ方法としては、従来、密着性及び均一電
着性の優れたシアン化銅電気メッキが汎用されてきた。
しかし、硫酸銅電気メッキは、シアン化銅電気メッキ法
よりも遥かに低毒性、高能率で且つ廃液処理が容易であ
ることから、その適用が強く望まれている。
しかし乍ら、硫酸銅電気メッキは、通常、電着が行わ
れるときにCu2++Fe→Cu+Fe2+の反応により密着性の悪
い置換銅が析出し、良い品質のメッキが得られない。こ
の置換銅析出を防止するために、前もってシアン化銅電
気メッキによるストライクメッキが行われてきた。
このシアン化銅ストライクメッキについては、硫酸銅
電気メッキの高能率性は活かせても、毒性や廃液処理の
点では依然として問題は未解決で残り、またシアン化銅
浴と硫酸銅浴という全く異なった2種類の浴を使用する
ことになり、設備上及び浴管理上においても非常に複雑
であり、設備の大型化も避けられない。
また一方で、下地メッキ方法として、通常の硫酸銅に
よる浸漬置換メッキ方式で置換抑制剤としてアリルチオ
尿素を添加する方法が提案(特公昭54−4329号)されて
いるが、置換メッキ工程での浴組成の僅かの変動だけで
密着性が極端に低下するなど安定性に欠け、また廃液処
理面においても無添加浴に比べるとBOD、COD規制などに
対して処理が難しくなるという欠点がある。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためにな
されたものであり、低毒性、高能率であることに加えて
廃液処理が簡単で且つ安定して密着性の良好な銅メッキ
が得られる線条材の銅メッキ方法を提供することを目的
とするものである。
(課題を解決するための手段) 前記目的を達成するため、本発明者等は、毒性並びに
2種類のメッキ浴の使用に伴い種々の問題が随伴するこ
と等に鑑みて、シアン化銅浴以外の低毒性で廃液処理の
容易な浴であって基本的には類似した電気メッキ浴を使
用し、下地メッキとこれに続く硫酸銅電気メッキを行う
方式とし、その場合、高能率で且つ設備、管理が容易と
なる条件を見い出すべく鋭意研究を重ねた結果、ここに
本発明をなしたものである。
すなわち、本発明に係る線条材の銅メッキ方法は、要
するに、走行する線条材に対して CuSO4・5H2O≧0.5g/ H2SO4:0.1〜400g/ FeSO4・7H2O≦400g/ からなる浴組成、或いはこれに更に Cl-:0.01〜100g/ を加えた浴組成の硫酸銅置換メッキ液をノズルより噴射
させて下地メッキを行った後、硫酸銅電気メッキするこ
とを特徴とするものである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
前述の如く、本発明は、硫酸銅電気メッキ(以下、単
に「電気メッキ」と称することもある)に先立つ下地メ
ッキに際して、特定の組成の硫酸銅メッキ液を使用し、
しかもこの硫酸銅メッキ液を単に使用するのではなくノ
ズルより噴射させる方式(ノズル噴射方式)を採用する
ことを骨子とするものである。
そのためには、まず、以下に示すように、特定の成分
及び組成の置換メッキ浴とするのである。
CuSO4・5H2O: CuSO4・5H2Oの濃度が0.5g/未満ではメッキ析出速度
が遅すぎ、経済的な処理速度又は時間では、後の電気メ
ッキにおいて置換銅析出を防止するために必要なメッキ
量が得られず、電気メッキ後の密着性が悪くなるので好
ましくない。したがって、CuSO4・5H2Oの濃度は0.5g/
以上とする。
H2SO4: H2SO4は密着性を良好にする効果がある成分である。
しかし、濃度が0.1g/未満ではその効果がなく、下地
メッキに必要な密着性が得られない。また400g/を超
えると下地メッキの密着性は良いが、メッキ析出速度が
極めて遅くなり、能率的に必要量が得られなくなるの
で、電気メッキ後の密着性が悪くなり、更には、必要量
を得るためにターン数を増やすなど、過大な設備となっ
たり、排水処理の面で多量の中和剤を要し、不経済とな
る。したがって、H2SO4の濃度は0.1〜400g/の範囲と
する。
FeSO4・7H2O: FeSO4・7H2Oは濃度が高いほど密着性を良好にする
が、400g/を超えるとH2SO4と同様の理由で不適切であ
る。したがって、FeSO4・7H2Oの濃度は400g/以下にす
る。
Cl-: 置換メッキ浴は、浴温を高くするほどメッキ析出速度
が増すため、下地メッキにおいて必要なメッキCu量を得
るためのメッキ時間は短くて済み、したがって、メッキ
の設備の小容量化を図ることができるが、逆に密着性が
悪くなる。この点、本発明においては、置換メッキ液を
高速でノズルから噴射することにより、極めて高いメッ
キ析出速度が得られる。しかし、本発明者等は、更にメ
ッキ析出速度を増すために浴温を高くしても密着性が低
下せず、且つ濃度管理や廃液処理が簡単な添加物を見い
出すべく鋭意研究を重ねた結果、Cl-が効果的であると
いう新たな知見を得た。
すなわち、Cl-は微量で密着性を改善し、浴温を上げ
ることで得られる高いメッキ析出速度を維持することが
できる働きがある。しかし、多量に入れすぎると急速に
メッキ析出速度が低下し、浴温を高くした効果がなくな
る。このため、適正なCl-の濃度は0.01〜100g/の範囲
とする。
なお、Cl-(塩素)としてはNaCl、KCl、CaCl2、MgC
l2、HCl等を用いることができる。
次に、上記の浴組成の置換メッキ液と後の電気メッキ
液との関連について説明する。
下地メッキは電気メッキ後のメッキ密着性の良否を左
右するが、良好な下地メッキを得るための置換メッキ液
は、できるだけ緻密なメッキを得るため、上記の如く硫
酸銅濃度を抑え且つ比較的多量のH2SO4とFeSO4・7H2Oを
含有させる。
一方、電気メッキ液は、既に緻密な密着性の良い下地
メッキの上に銅を電着させるだけのため、電導性の高い
高濃度の硫酸銅を含んだものとすればよい。
このため、最も効率よく、しかも密着性の優れたメッ
キを得るためには、置換メッキ液と電気メッキ液はそれ
ぞれ次のような組成に調整することが望ましい。しか
し、2種類のメッキ液を扱うことが煩雑であれば、電気
メッキで消費する電力は若干増えるが、置換メッキ液を
そのまま用いることができる。
望ましい置換メッキ液組成 CuSO4・5H2O:0.5〜150g/ H2SO4:1〜400g/ FeSO4・7H2O:1〜400g/ 望ましい電気メッキ液組成 CuSO4・5H2O:100〜300g/ FeSO4・7H2O:≦400g/ H2SO4:10〜300g/ 置換メッキ時間は、後述のメッキ方式との関連で適宜
決定される。例えば、溶接用ワイヤのメッキ工程に適用
した場合、メッキ時間が0.1秒未満では、通常メッキ処
理させるワイヤ径0.8〜5.5mm程度の線材表面を均一にメ
ッキするためのメッキCu量が得られにくく、一方、10秒
を超えると品質上の問題はないが、特に前後工程の一方
又は双方とメッキ工程を直結する場合、設備長が長くな
りすぎ、またメッキ停止時の不良の発生が増えるので好
ましくない。
次に、本発明における下地メッキ方式について詳述す
る。
この下地メッキ方式は、走行する線条材に対して上記
組成の置換メッキ液をノズルより噴射させる方式であ
り、所定速度で空間を走行する線条材(以下、「ワイ
ヤ」という)に対し、高圧ポンプ等で加圧供給される置
換メッキ液をノズルを介して高速且つ連続的に吹き付け
るが、これにより、置換反応を終了した液はワイヤ周辺
に滞留することなく高速噴流乃至ジェット噴流ではじき
飛ばされ、しかもワイヤ表面の凹部まで衝撃的にフレッ
シュなメッキ液で洗滌置き換えが行われる。その洗滌置
き換え効果は非常に大きなものであり、密着性の良いメ
ッキが瞬時に完了する。
第1図は本発明における下地メッキに用いる置換メッ
キ装置の一例であり、1は適宜速度で走行するワイヤ、
2はこのワイヤに上記組成の置換メッキ液を噴射するノ
ズルであり、このノズルは走行するワイヤ1の走行方向
に1個又は2個以上、また径方向に所定の角度で1個又
は2個以上配置されている。3はノズル2から噴射され
る置換メッキ液6が0.05kg/cm2以上の如く必要な衝撃圧
力にてワイヤ表面に衝突するようにパイプ4を介して高
圧(例、0.5kg/cm2以上)で置換メッキ液を供給するポ
ンプであり、通常は処理槽5の下部にメッキ液6を循環
させるものである。なお、7は水洗槽8に配置した水洗
又は洗滌用ノズルであり、ポンプ9を使用してメッキ直
後のワイヤ1に水を噴射させるものである。
ノズル2からの噴射方向は走行するワイヤ1の走行方
向との関係で種々の態様が可能であり、ワイヤ走行方向
に対する噴射方向の角度θが0゜≦θ≦180゜で任意に
決めることができ(第2図)、90゜<θ≦180゜のとき
は順方向(同方向ノズル方式)、0゜≦θ<90゜のとき
は逆方向(対向流ノズル方式)と云うことができ、0<
θ<180゜のときは交叉する方向と云うことができる。
メッキ液でワイヤ表面に有効な衝撃力を与えるためには
直角方向(θ=90゜)がよく、またワイヤ走行方向と逆
方向に噴射させる対向流ノズル方式によれば相対速度を
増すことができて銅析出を促進することができるので、
ワイヤ性状、送給方法等によって適宜角度θを選択すれ
ばよい。なお、順方向のときはワイヤ走行速度と相対速
度差をもって噴射させることは云うまでもない。
また、ノズルはワイヤ走行速度、所定メッキ厚等のメ
ッキ条件によりワイヤ走行方向に対し、1個又は2個以
上、ワイヤ径方向に1個又は2個以上適宜選択して配置
することができる。
ノズルをワイヤ径方向に複数個配置するときは、ワイ
ヤ径に対して2方向、3方向の如く種々の方向の態様で
ワイヤ断面形状を考慮して選択することができ、丸線ワ
イヤの場合、各方向のなす角δとしてノズル2個のとき
は約δ=180゜(第3図)、3個のときは約δ
δ、δ=120゜(第4図)の如く同一乃至略同一の
均等角をなすように配置して第4図に示す如く効率よく
ワイヤ全面にメッキ液が当るように配慮するのが望まし
い。
また、ワイヤ走行方式の関連で、上記例ではワイヤを
真直状に走行させる場合を示したが、第7図(a)、
(b)に示すように、メッキ槽5内に複数個のターンロ
ーラ10を配置してワイヤ1を複数回方向転換させる方式
の場合にはワイヤの表面及び裏面にメッキ液噴射される
ように複数個のノズル2を配置することができ、この場
合にはメッキ槽5の長さを節減させることができる。
更に、第8図に示すように、ワイヤ1を螺線状に走行
させ、螺線状走行軌跡の頂点、底部等にてノズル2によ
りメッキ液を噴射させることも可能で、この場合もワイ
ヤの移動方向での処理長さを節減することができる。
なお、以上のノズル配置態様で示したノズルは走行す
るワイヤに対してワイヤ外側に配置した例であって、い
わばジェットノズル方式と云うことができるが、ワイヤ
をノズル内中心に走行させるノズル中心ワイヤ走行方式
も可能である。すなわち、第5図に示すように、パイプ
状ノズル2′の中心にワイヤ1を通し、ワイヤの走行方
向と逆の方向(対向流)にメッキ液6を噴射させて相対
速度を増大させることにより、鉄イオンの滞留を防止す
ると共に常にフレッシュなメッキ液を供給する方式であ
る。
また、メッキ液の噴射方向がワイヤ走行方向と同一方
向(順方向流)になる様ノズルを1個以上設ける場合に
は、噴射方向が順方向となるのでワイヤ走行速度と相対
速度差が生じるように噴射させるのがよい。このような
ノズル中心ワイヤ走行方式の順方向ノズル配置の場合や
対向流ノズル配置の場合は、前記ジェットノズル方式よ
りも効果が小さくなる。何故ならば、ノズルから噴射さ
れたメッキ液はほゞワイヤ表面に平行な層流となるので
メッキ液の撹拌性が悪く、ワイヤ表面の活性化やメッキ
液のイオン拡散が小さく、ジェットノズル方式ほどの十
分な効果が得難いが、しかし、従来の浸漬メッキ方式よ
りも格段に優れている。
上記ノズル中心ワイヤ走行方式の場合も、メッキ液の
噴射方向とノズル個数との関連で、第6図に示すように
一対のパイプ状ノズル2′を対称的に対向させて配置
し、ノズル中心にワイヤ1を走行させ、交叉する方向に
メッキ液6を噴射させる変形方式が可能である。この場
合、メッキ液は各ノズルより高速噴射され、対向流(下
流側ノズル)と順方向流(上流側ノズル)の層流域11が
衝突した部分で完全な乱流(乱流域12)となり、ワイヤ
表面全周にわたってメッキ液の瞬間的な入れ替りが達成
される。このように両方向の噴出流が衝突することによ
り、衝撃力がワイヤ表面の活性化を進める一方、発生し
た乱流によりメッキ液のイオン拡散が大きくなり、高速
且つ効率的なメッキがなされる。
しかし、ノズル中心ワイヤ走行方式の場合、ワイヤが
スムーズに通過するだけの間隙をノズル内に設ける必要
があり、間隙を設けるとメッキ液の吹き出し側の反対側
から大気が吸引されてワイヤ周辺に空気が介在しやすい
ので、上記ジェットノズル方式に比べ、置換効率が悪
く、或いはワイヤ鉄地の酸化及びメッキ液の劣化により
メッキ効率が低下する傾向がある。ワイヤが狭い間隙内
を走行するので、析出したメタル銅がノズル端に成長し
てワイヤに疵を付けることがあるので、この点に留意す
る必要がある。また、ノズル配置の状態によっては噴射
されたメッキ液は遠くまで達してミストとなり、環境を
悪化させる問題はある。
次に、本発明の各噴射態様における他の留意点につい
て説明する。まず、ワイヤへのメッキ液の衝撃圧力につ
いては、前述の噴射による各作用を達成させるためには
高いほどよく、0.05kg/cm2以上の値が望ましい。衝撃圧
力を高くすればする程、メッキ密着性が向上する。この
衝撃圧力に応じてポンプによるメッキ液の供給圧力、流
量等々が決められる。
また、ノズルによる噴射幅の態様としては、第9図に
示すように、1個のノズル2により1本のワイヤ1に噴
射する場合は(a)のようにスプレー幅(範囲)を狭く
して集中的に当るようにすることができ、また1個のノ
ズル2により複数本のワイヤ1に噴射する場合は(b)
に示すようにスプレー幅(範囲)を広くして当るように
すればよく、この場合、必要に応じてスプレー幅はノズ
ル2の吹出口の形状により変えることができる。
更に、ワイヤの線速については、特に制限されない
が、50〜500m/minの広範囲に選んでも本メッキ浴組成の
範囲であれば良好なメッキができ、メッキ設備の小型化
が可能となる。線速によるメッキCu量の調整は、ワイヤ
総延長(メッキ装置内のワイヤ長さ)並びにメッキ液接
触有効長さ(スプレー部長さl1、l2…の合計、第10図参
照)を適宜選択することにより可能である。
(実施例) 次に本発明の実施例を示す。
実施例1 第7図(a)、(b)に示す装置を使用し、第1表に
示す各種組成の硫酸銅置換メッキ液をノズルより噴射さ
せて下地メッキを行った後、硫酸銅電気メッキを実施
し、性能確認テストを行った。その結果を第1表に併記
する。
なお、前処理はHCl酸洗により行い、下地メッキ条件
及び硫酸銅電気メッキ条件の詳細は以下のとおりであ
る。
下地メッキ条件 被メッキ線材:軟鋼線材(ワイヤ径2.6mm) メッキ浴温:30℃ 噴射圧力:1kg/cm2 メッキ液噴射流量:450/min ワイヤ総延長:2m (第7図で装置内のワイヤ長さ) メッキ液接触有効長さ:0.2m (スプレー部長さl1、l2…の合計、第10図参照) ワイヤ走行速度:150m/min 硫酸銅電気メッキ条件 CuSO4・5H2O:250g/ H2SO4:50g/ 浴温:60℃ 陰極電流密度:50A/dm2 線速:150m/min ワイヤ総延長:20m また、硫酸銅電気メッキ後の密着性の評価について
は、サンプルワイヤを第11図に示すように共巻きにし、
巻き付けたワイヤの表面のメッキ剥離状況を倍率30倍に
拡大して目視観察し、剥離が全くない場合を◎印、剥離
の痕跡がある場合を○印、剥離が若干ある場合を△印、
剥離が多い場合を×印を付して評価した。この評価基準
は、以下の実施例2、3においても同様である。
第1表より明らかなように、No.5〜No.12は本発明例
であり、電気メッキ後の密着性は良い。これは、下地メ
ッキの密着性が良く、且つ電気メッキ時の置換銅析出を
防止できるに足る十分な膜厚が確保されているためと考
えられる。
一方、本発明範囲外の比較例No.1〜No.4は、電気メッ
キ後の密着性が悪い。これは、下地メッキの密着性が悪
いか(No.2)、或いは下地メッキの密着性は良いものの
上記の膜厚が確保されていない(No.1、No.3〜No.4)た
めである。
特に、本発明例のNo.5〜No.8及びNo.10は、電気メッ
キ後の密着性が非常に優れている。これは、CuSO4・5H2
O濃度が150g/未満と低く、下地メッキの密着性が特に
良いためと考えられる。
なお、電気メッキ条件として、上記以外に CuSO4・5H2O:10〜300g/ H2SO4:10〜300g/ 浴温:10〜80℃ 陰極電流密度:1〜300A/dm2 の範囲であれば、同様の良好なメッキが得られることが
確認されている。
また、電気メッキ後に得られたメッキCu量はワイヤ全
重量に対して0.2〜0.3重量%の範囲である。
更にまた、チオ尿素、アリルチオ尿素、アセチルチオ
尿素等のチオ尿素系化合物や、糖密、ゼラチン、デキス
トリン、ナフタリンジスルホン酸、グリセリン、アミ
ン、アミノ酸、ポリアクリルアミド、直鎖状カルボン
酸、ブチンジオール等の置換抑制、又は均一電着に寄与
する種々の添加剤を添加しても同様に良好なメッキが得
られることも確認されている。
実施例2 下地メッキにおいてメッキ浴温を上げた場合における
塩素(Cl-)の添加効果を確認するために、第7図
(a)、(b)に示す装置を使用し、第2表に示すよう
にメッキ浴温とCl-濃度を様々に変化させた各種組成の
硫酸銅置換メッキ液をノズルより噴射させて下地メッキ
を行った後、硫酸銅電気メッキを実施し、性能確認テス
トを行った。その結果を第2表に併記する。
なお、前処理はHCl酸洗により行い、下地メッキ条件
及び硫酸銅電気メッキ条件は実施例1の場合と同様にし
た。
第2表より明らかなように、Cl-添加量が0.007g/と
低い場合(No.1〜No.6)には、メッキ浴温が高温になる
ほど電気メッキ後の密着性が低下する傾向がある。これ
は、下地メッキの密着性が低下したためと考えられる。
一方、Cl-添加量が110g/と高すぎる場合(No.16、N
o.17)は、電気メッキ後の密着性が劣る。これは、下地
メッキの密着性は良いが、析出速度が急激に低下し、電
気メッキ時の置換銅析出を防ぐに足る膜厚が得られない
ためと考えられる。
しかし、Cl-添加量を0.01g/以上、100g/以下と適
切な範囲にコントロールした場合(No.7〜No.15)は、
電気メッキ後の密着性が非常に優れている。これは、メ
ッキ浴温が高温になっても下地メッキの密着性が低下せ
ず、必要な膜厚が確保されているためである。
なお、電気メッキ後に得られたメッキCu量はワイヤ全
重量に対して0.2〜0.4重量%の範囲である。
実施例3 本発明による下地メッキ(ノズル噴射方式)と前述の
特公昭54−4329号に開示されている通常の浸漬置換メッ
キ方式による下地メッキとを比較するため、各々の下地
メッキを実施した後、硫酸銅電気メッキを実施し、性能
確認テストを行った。その結果を第3表に示す。
なお、各々の下地メッキ条件及び硫酸銅電気メッキ条
件は以下のとおりである。
テスト条件 被メッキ線材:軟鋼線材(ワイヤ径2.6mmφ) 線速:150m/min 下地メッキ条件 浴組成: CuSO4・5H2O=50g/ H2SO4=100g/ FeSO4・7H2O=5g/ 但し、アリルチオ尿素(添加剤)は第3表に示すとお
り添加したものと添加しないものとでテストした。
浴温: 第3表に示すとおり、数種に変化させてテストした。
メツキ時間:10sec メッキ方式: 本発明例では実施例1に示したノズル噴射方式により、
また比較例は通常の浸漬方式によりテストした。
硫酸銅電気メッキ条件 浴組成: CuSO4・5H2O=250g/ H2SO4=50g/ FeSO4・7H2O=0g/ 浴温:30℃ 陰極電流密度:3A/dm2 ワイヤ総延長:300m 第3表より明らかなように、いずれの下地メッキ浴温
においても、本発明例の方が比較例よりも電気メッキ後
の密着性が優れている。これは、下地メッキの膜厚は本
発明例並びに比較例ともに必要量が確保されているが、
密着性は本発明例の方が良いためと考えられる。
なお、電気メッキ後のメッキCu量はワイヤ全重量に対
して0.4〜0.5重量%の範囲である。
また、本発明例では、同じ置換メッキでも通常の浸漬
方式と異なる新規な方式であるため、置換抑制剤を添加
する必要はないが、前述のアリルチオ尿素の他、チオ尿
素、アセチルチオ尿素等のチオ尿素系化合物や、糖密、
ゼラチン、デキストリン、ナフタリンジスルホン酸、グ
リセリン、アミン、アミノ酸、ポリアクリルアミド、直
鎖状カルボン酸、ブチンジオール等の置換抑制、或いは
メッキ皮膜の緻密性、均一性、光沢性等々に寄与する種
々の添加剤を添加しても同様の効果が得られることが確
認された。
以上の実施例からも明らかなとおり、本発明における
下地メッキにおいては、必要なメッキは瞬時に完了し、
メッキ密着性の優れたワイヤを得ることが可能となる
が、メッキ後にメッキ液がワイヤ周辺に滞留すると不要
なメタル銅が成長するので、これを防止するためには、
工程上可能な限りメツキ後に、時間的にはメッキ直後に
液切り或いは洗滌することが好ましく、特に溶接用ワイ
ヤにおいては要求される密着性の良好なメッキが得られ
る。そのための一例を示すならば、第1図に示したジェ
ットノズル方式の場合、メッキ槽5の出口側に洗浄槽を
設け、該槽内に同様のノズルを1個乃至2個以上配置し
て、ワイヤ性状に適合した圧力、流量等でジェット水洗
することにより、メッキ完了直後にワイヤ洗浄を行え
ば、不要なメタル銅の成長を防止することができる。な
お、実験では最後メッキ液吹き付け後、3秒以内に水洗
すれば所定のメッキ密着性が得られることが確認されて
いる。
また、以下の付加的条件について実験したところ、そ
のような範囲であれば同様の効果が得られることが確認
された。
すなわち、メッキ液には、薬品、ワイヤ、工業用水、
装置材料等々からの各種の不純物が含まれ得るが、それ
ら不純物量を5g/以下にするのが望ましい。薬品(CuS
O4、FeSO4、H2SO4)からの不純物としてはNi、Pb、Zn、
As、Mn、Ti、Se、Hg及び各種のリン酸塩、硝酸塩、アン
モニウム化合物、硫酸塩、窒素化合物などがある。ワイ
ヤからの不純物としてはワイヤ化学成分のMn、Si、Al、
Ti、Cr、Ni及び油脂類などの表面付着物がある。工業用
水からの不純物としてはCa、Mg、Na、K、Fe、Mnなどの
ケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩及び硝
酸塩並びにAlのケイ酸塩、硫酸塩、塩化物及び硝酸塩等
の無機化合物、或いはO2、CO2、N2等のガスがある。装
置材料からの不純物としては装置材料であるステンレス
鋼、樹脂、ゴム等から溶解してくるものがある。
また、メッキ液中のFe3+は50g/以下が望ましい。こ
の値を超えるとメッキの密着性が悪くなる傾向にあり、
酸化防止用の雰囲気を流す等により上記値にコントロー
ルすればよい。Fe3+の分析法はJIS M 8853 O−フェナン
トロリン吸光光度法による。
メッキ液の比重は1.05〜1.35(20℃)、粘度は1.30〜
3.50cp(20℃)、pHは1.5以下(20℃)が望ましい。
更にまた、ワイヤとしては、引張強さ(TS)が30〜30
0kgf/mm2のもの、或いはメッキ前ワイヤの脱炭深さ、粒
界酸化深さが共に0.50mm以下のものに対して適用しても
同様の効果が得られる。
また、スプレー部長さl(スプレーの液が直接当るワ
イヤ長さ)と非スプレー部長さL(スプレーは直接当ら
ないが液が付着又は浸漬状態にあるワイヤ長さ)が次式 を満たす関係にあるのが望ましい。なお、メッキ量と線
速の関係でL+lはいくらでも長くすることができる
が、L+l≦200mであれば同様の効果が得られる。
なお、上記説明では主として溶接用ワイヤにつき置換
銅メッキの場合を例にとったが、置換銅メッキに限ら
ず、置換スズメッキや硫酸銅と硫酸スズの両方を含むよ
うな2種以上の金属を析出する場合も同様の効果が得ら
れる。また、溶接用ワイヤとしてもソリッドワイヤのみ
ならず、フラックス入りワイヤであってもよいことは云
うまでもなく、更に溶接用ワイヤに限らず、ビードワイ
ヤ或いはカッパーコートワイヤを使用する家具用スプリ
ング、ダンボール止め金具等々の様々な用途の線条材に
適用できることは云うまでもなく、したがって、様々な
形状(円形、帯状、角状等や、ワイヤの他、フープ、パ
イプ等)、寸法(0.2〜6.4mmφ)、材質の線状材に対し
ても適用できる。材質の一例としては、JIS Z 3312
(軟鋼及び高張力鋼マグ溶接用ソリッドワイヤ)、3351
(炭素鋼及び低合金鋼用サブマージアーク溶接用ワイ
ヤ)、3316(軟鋼及び低合金鋼のテイグ溶接用鋼棒及び
ワイヤ)、3317(モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼
用マグ溶接ソリッドワイヤ)、JIS G 3502(ピアノ
線材)、3505(軟鋼線材)、3506(硬鋼線材)などが挙
げられる。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、走行する線条
材に対して特定組成の硫酸銅メッキ液をノズルより噴射
させて下地メッキを行い、次いで硫酸銅電気メッキを実
施するので、以下のような利点が得られる。
シアン化銅浴よりも遥かに低毒性で廃液処理も簡単で
ある。
本下地メッキにおいては、走行する線条材に吹き付け
るメッキ液の高速噴流乃至ジェットの圧力によって全面
的、瞬間的に置換メッキが行われるので、密着性が優れ
均一な膜厚のメッキが短時間で得られ、シアン化銅浴よ
りも高能率であり、且つ整流器も不要のため、設備が簡
単となる。
下地メッキ浴組成が電気メッキ浴組成と同じ場合には
設備面、管理面共に極めて簡易となり、また浴組成が異
なる場合でも、両者は基本的に類似した浴であるので、
設備面、管理面共にシアン化銅浴の場合よりも簡易化さ
れる。
本下地メッキの品質は、通常の浸漬法又は置換抑制剤
を添加した浸漬法による置換メッキと違って密着性及び
皮膜の緻密性がシアン化銅ストライクメッキに匹敵する
良好なものであり、後の硫酸銅電気メッキにおいてもCu
2++Fe→Cu+Fe2+の置換反応を防止でき、トータルとし
て密着性及び均一電着性の良い良好なメッキが得られ
る。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明における下地メッキの一態様であるジェ
ットノズル方式を実施するためのメッキ装置の一例を示
す説明図、 第2図はノズルよりの噴射方向とワイヤ走行方向のなす
角θを示す説明図、 第3図及び第4図はノズルが2個又は3個の場合の噴射
方向のなす角δを示す説明図、 第5図及び第6図は本発明における下地メッキの一態様
であるノズル中心ワイヤ走行方式のためのノズル及びそ
の配置を示す説明図、 第7図(a)、(b)はターンローラを用いたワイヤ走
行の場合のノズル配置例を示す図で、(a)は平面図、
(b)は側面図であり、 第8図はワイヤを螺旋状に走行させる場合のノズル配置
例を示す説明図、 第9図はノズルよりの噴射範囲を示す図で、(a)は狭
幅の場合を示し、(b)は広幅の場合を示し、 第10図はスプレー部長さを説明する図、 第11図はメッキ密着性判定に用いたワイヤ巻き状態を示
す説明図である。 1……線条材(ワイヤ)、2……ジェットノズル、2′
……パイプ状ノズル、3、9……ポンプ、4……パイ
プ、5……メッキ槽、6……メッキ液、7……水洗用ジ
ェットノズル、8……水洗槽、10……ターンローラ、11
……層流域、12……乱流域。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】走行する線条材に対して下記の組成の硫酸
    銅メッキ液をノズルより噴射させて下地メッキを行った
    後、硫酸銅電気メッキすることを特徴とする線条材の銅
    メッキ方法。 記 CuSO4・5H2O≧0.5g/ H2SO4:0.1〜400g/ FeSO4・7H2O≦400g/
  2. 【請求項2】走行する線条材に対して下記の組成の硫酸
    銅メッキ液をノズルより噴射させて下地メッキを行った
    後、硫酸銅電気メッキすることを特徴とする線条材の銅
    メッキ方法。 記 CuSO4・5H2O≧0.5g/ H2SO4:0.1〜400g/ FeSO4・7H2O≦400g/ Cl-:0.01〜100g/
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