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JPH0824574B2 - キシログルカン分解酵素の製造法、及びキシログルカン分解酵素 - Google Patents
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JPH0824574B2 - キシログルカン分解酵素の製造法、及びキシログルカン分解酵素 - Google Patents

キシログルカン分解酵素の製造法、及びキシログルカン分解酵素

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JPH0824574B2
JPH0824574B2 JP23425993A JP23425993A JPH0824574B2 JP H0824574 B2 JPH0824574 B2 JP H0824574B2 JP 23425993 A JP23425993 A JP 23425993A JP 23425993 A JP23425993 A JP 23425993A JP H0824574 B2 JPH0824574 B2 JP H0824574B2
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xyloglucan
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cellulose
degrading enzyme
endo
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セルロースには作用せ
ずにキシログルカンのみに特異的に作用するキシログル
カン分解酵素の製造法、及びキシログルカン分解酵素に
関し、さらに詳しくは、例えば植物の伸長や分化に重要
な役割を担っている生体高分子であるキシログルカンの
構造や機能の解明に用いられる酵素試薬として使用する
ことができるものである。
【0002】
【従来の技術】キシログルカンは、グルコース、キシロ
ース、ガラクトース、フコース、アラビノースなどを構
成単糖とするヘテロ多糖であるが、グルコースがβ−
1,4−グルコシド結合で多数結合した主鎖に対して、
キシロースがα−1,6結合で高頻度に分岐結合した構
造を基本とすることから、キシログルカンと呼称されて
いる。このキシログルカンは、植物の一次細胞壁の構成
成分として、またある種の熱帯性マメ科植物の種子貯蔵
多糖として重要な役割を担っており、その構造や機能が
注目されている。特に、植物の一次細胞壁中におけるキ
シログルカンは、セルロースと密接に関わって存在して
いると考えられており、セルロースとの相対的な存在形
態が、植物の伸長や分化に重要な役割を担っているもの
と想像されている。こうしたキシログルカンの役割を解
析するために種々の手法が用いられているが、中でも多
糖類の特異的な分解酵素試薬は、重要で強力な分析手段
となっている。
【0003】上述のようにキシログルカンの主鎖の構造
は、セルロースと同様なものであることから、エンド−
1,4−β−グルカナーゼ、所謂エンド型セルラーゼに
より分解されることが知られており、キシログルカンの
構造や機能の解明に各種起源のエンド型セルラーゼが用
いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このエ
ンド型セルラーゼは、キシログルカンを分解すると同時
にセルロースをも分解してしまう。そして、キシログル
カンはその存在形態から植物細胞壁中でセルロースと密
接に関わって存在しているため、エンド型セルラーゼを
用いた分析では必ずしもキシログルカンのみに特異的に
作用しているとは言えず、分析結果の解釈を複雑なもの
にしてきた。こうした困難を排し、キシログルカンの役
割を明確に把握するためには、セルロースには作用せず
にキシログルカンのみに特異的に作用するような分解酵
素の開発が嘱望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、キシログ
ルカンとセルロースとがその立体構造において大きな差
異を有していること、並びに酵素は一般的に高い基質特
異性を有していることに着目し、自然界よりキシログル
カンを基質として、新たにエンド−1,4−β−グルカ
ナーゼ生産微生物のスクリーニングを行い、さらに分離
微生物の生産する酵素系を、キシログルカンとカルボキ
シメチルセルロースを分解基質として精査することによ
り、キシログルカンにのみ特異的に作用し、カルボキシ
メチルセルロースには作用しないキシログルカン分解酵
素の存在の可能性について鋭意検討した。その結果、糸
状菌の一種であるペニシリウム属の一菌株(ペニシリウ
ム属菌M451株)が、新規のキシログルカン分解酵素
(以下、本酵素と記す)を生産することを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0006】本発明において使用されるペニシリウム属
菌M451株の菌学的性質は以下の通りである。
【0007】生育:酵母エキス添加ツァペック寒天培地
上での生育は、25℃,7日間で直径28mmに達す
る。集落は最初白色で胞子形成と共に青緑色になり、培
養後期には灰緑色となる。集落中央から周辺にかけて高
さ2〜3mmの大きく顕著な分生子柄束を形成する。こ
の分生子柄束は単条で緻密である。また、集落裏面は培
養後期には暗色となり、分生子柄束の直下では特に顕著
である。37℃では上記条件でも生育しない。
【0008】形態:菌糸の直径は2.5〜3.5μm
で、無色であり、菌糸には隔壁が認められる。また、菌
糸表面は平滑である。
【0009】ペニシリ:非対称性である。
【0010】メトレ:2〜4本が群生する。
【0011】フィアライド:3〜5本が輪生する。
【0012】分生子:約4×3μmの楕円形、滑面、長
い連鎖を形成。
【0013】以上の菌学的性質について、宇田川俊一
[防菌防黴 19巻 第12号 pp657−665
(1991)]を参照した結果、本菌はペニシリウム
クラビフォルメ(Penicillium clavi
forme)に近縁の糸状菌と考えるのが妥当であり、
本菌をペニシリウム属菌M451株(Penicill
ium sp.M451)と命名した。本菌はFERM
P−13798として工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託されている。
【0014】上記ペニシリウム属菌M451株より、本
酵素を生産するためには、通常、タマリンド種子キシロ
グルカンを炭素源とし、これに窒素源として、硝酸塩、
アンモニウム塩或いはペプトン、酵母エキスのような無
機または有機の窒素源と少量の金属塩を含む液体または
固体培地を用い、20〜30℃で、4〜10日程度、好
気的に培養される。本酵素は、菌体外に生産される酵素
であるため、液体培地の場合は培養後、濾過或いは遠心
分離した上澄液を、そして固体培養の場合は培養後、水
または適当な無機塩類で抽出した液を、粗酵素液とする
ことができる。粗酵素液中には、従来のエンド型セルラ
ーゼ類似の酵素活性が含まれるため、これを除去する必
要があるが、公知のクロマトグラフィーにより、容易に
共存するエンド型セルラーゼ活性を除去することができ
る。
【0015】上記のようにして得られた本酵素(精製
物)は、以下のような性質を有している。
【0016】(1)分子量及び等電点;精製された本酵
素は、分子量が約28,000で、等電点pHは約5.
0である。
【0017】(2)作用;本酵素は、各種起源のキシロ
グルカン及びキシログルカンのエンド型セルラーゼによ
る部分分解で生ずる重合度12以上のキシログルカン由
来オリゴ糖に作用し、これを特定の場所で分解する。一
方、キシロース側鎖を持たないセルロース等について
は、結晶性セルロースである脱脂綿、微結晶性セルロー
スであるアビセル、及び精製パルプをリン酸処理により
調製した非結晶性セルロースの何れにも全く作用しな
い。また、セルロースの可溶性誘導体であるヒドロキシ
エチルセルロースにも全く作用しない。さらに、陰イオ
ン性の解離基を有する可溶性のセルロース誘導体である
カルボキシメチルセルロースには、ごく僅かに作用する
が、その分解率は1%以下である。上記以外のβ−グル
カン類にも全く作用しない。同様に、セルロースの部分
分解により調製される重合度2〜6の直鎖セロオリゴ糖
にも作用しない。以上のように、本酵素は、キシログル
カンのみを特異的に分解し、セルロースには作用しない
酵素である。
【0018】(3)作用pH及び最適作用pH;キシロ
グルカンを分解基質としたときの、本酵素の作用pH範
囲は、45℃で10分間作用させた場合、図1(a)に
示すようにpH3〜6であり、最適作用pHは約5.0
付近に認められた。
【0019】(4)安定pH範囲;本酵素をクエン酸−
リン酸塩緩衝液中で、45℃,3時間放置してその残存
活性からみた安定pH範囲は図1(b)に示すように約
pH5.0〜7.0であった。
【0020】(5)作用温度範囲及び最適作用温度;キ
シログルカンを分解基質としたときの、本酵素の作用温
度範囲は、pH5.0で10分間作用させた場合、図2
(a)に示すように約55℃まで作用が認められたが、
最適作用温度は50℃であった。
【0021】(6)熱安定性;本酵素を50mM酢酸緩
衝液(pH5.0)のもとで、各温度で10分間加熱処
理した残存活性は図2(b)に示すように50℃までは
殆ど失活せず、55℃で約10%、60℃で約85%が
活性を失った。
【0022】(7)阻害剤;各種金属イオンのうちで、
1mM以上の水銀イオン及び銅イオンにより、本酵素は
強く阻害された。
【0023】(8)精製法;本酵素は、培養濾液を限外
濾過により濃縮・脱塩した後、Q−セファロース及びS
−セファロースを用いたカラムクロマトグラフィーによ
り大部分の夾雑タンパク質を吸着除去し、これらカラム
に未吸着の活性画分をさらに陰イオン交換体PBE94
のカラムを用いたイオン交換及び吸着クロマトグラフィ
ーを行い、さらにトヨパールHW50Fカラムによるゲ
ル濾過により、SDS電気泳動的に均一なまで分離精製
することができた。
【0024】(9)活性測定法;本酵素は、キシログル
カンのみを特異的に分解することから、タマリンド種子
より調製したキシログルカンの0.5%水溶液500μ
l(pH5.0)に対して、適量の酵素を添加して全量
を1000μlとし、45℃で10分間反応させ、生成
する還元糖をネルソン−ソモギー法により測定し、活性
を求めた。この条件で、1分間に1μmolのグルコー
スに相当する還元力を生成する酵素量を1単位とした。
【0025】
【実施例】以下、本発明を図示実施例により詳細に説明
する。
【0026】実施例1;まず、タマリンド種子キシログ
ルカン1%とペプトン0.8%と硫酸マグネシウム0.
05%とリン酸一カリウム0.2%と酵母エキス0.0
5%とを含む培地(pH6.0)20mlを200ml
容の三角フラスコに入れ、常法により殺菌した後、ペニ
シリウム属菌M451株(FERM P−13798)
を接種し、30℃で6日間通気培養した。その後、濾過
により除菌し、得られた上澄液について前記活性測定法
により活性を測定した結果、培養液1ml当り0.05
単位であった。
【0027】実施例2;前記実施例1と同様な組成の培
養液4000mlを調製し、ペニシリウム属菌M451
株を接種して同様に培養し、培養濾液を得た。培養液中
の全酵素活性は200単位であった。培養濾液を限外濾
過により濃縮・脱塩した後、Q−セファロース及びS−
セファロースを用いたカラムクロマトグラフィーにより
大部分の夾雑タンパク質を吸着除去し、これらカラムに
未吸着の活性画分をさらに陰イオン交換体PBE94の
カラムを用いたイオン交換及び吸着クロマトグラフィー
を行い、さらにトヨパールHW50Fカラムによるゲル
濾過により精製した。精製酵素はSDS−電気泳動的に
均一であり、活性の収率は培養濾液に対して12%であ
った。また、精製酵素タンパク質1mg当たりの活性
は、24.1単位であった。
【0028】実施例3;前記実施例2で得られた本精製
酵素0.1単位を、0.5%タマリンド種子キシログル
カン、0.5%カルボキシメチルセルロース、0.5%
ヒドロキシエチルセルロースに対してpH5.0,45
℃で作用させ、経時的に一部を採取し、分解作用により
生じた直接還元糖をネルソン−ソモギー法で、また全糖
をフェノール−硫酸法で測定して分解率を求めた。その
結果、図3に示すように本精製酵素はタマリンド種子キ
シログルカン(XG)のみを速やかに分解し、他の可溶
性セルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロース
(CMC)或いはヒドロキシエチルセルロース(HE
C)を殆ど或いは全く分解しなかった。
【0029】実施例4;前記実施例2で得られた本精製
酵素0.1単位を、表1に示す各種起源のキシログルカ
ン、セルロース類、各種多糖類に実施例3と同様に作用
させ、18時間反応させた後、同様に分解率を測定し
た。その結果、本酵素は、キシログルカンのみを特異的
に分解し、セルロースや他の多糖類に殆ど或いは全く作
用しないことが示された。
【0030】
【表1】
【0031】実施例5;前記実施例2で得られた本精製
酵素0.1単位を、表2に示す構造を有する各種キシロ
グルカン、セルロース関連オリゴ糖の0.8%溶液に実
施例3と同様に作用させ、18時間反応させた後、分解
産物をリクロソルブNH2 カラムを用いた高速液体クロ
マトグラフィーで分析した。加えた基質が完全に消失し
たものを分解率100%として分解率を測定した結果、
表2に示すように直鎖セロオリゴ糖やキシログルカンの
エンド型セルラーゼによる完全分解物である重合度7〜
9のオリゴ糖には全く作用せず、エンド型セルラーゼに
よるタマリンド種子キシログルカンの限定分解より得ら
れた重合度14、18の高級ヘテロオリゴ糖のみに作用
した。
【0032】従来知られているエンド型セルラーゼは、
直鎖セロオリゴ糖を分解するのに対して、本酵素はこれ
らに作用しない点で既知エンド型セルラーゼとは明らか
に異なるものである。また、キシログルカンオリゴ1
4、18糖は、既知エンド型セルラーゼにより、それぞ
れオリゴ7糖及び9糖に分解されることが知られている
が、本酵素によるこれらオリゴ糖の分解産物も、既知エ
ンド型セルラーゼの分解産物と同様であった。したがっ
て、本酵素のキシログルカンの切断部位は、キシロース
側鎖を持たないグルコース残基の還元末端側であった。
しかし、直鎖セロヘキサオースに作用せず、キシログル
カンオリゴ14糖に作用することは、本酵素の基質認識
に、キシロース側鎖が重要であることを強く示唆してい
た。この結果は、本酵素が従来知られているエンド型セ
ルラーゼとは全く異なる基質特異性を持つ酵素であるこ
とを示すものであった。
【0033】
【表2】
【0034】実施例6;前記実施例2で得られた本精製
酵素0.1単位を、実施例5で用いた重合度14の高級
ヘテロオリゴ糖に、イソプリメベロース生成酵素を限定
的に作用させて調製した。重合後8〜14の表3に示す
構造を有する各種オリゴ糖に実施例5と同様に作用さ
せ、同様に分解率を測定した。その結果、本酵素は、基
質切断部位の非還元末端側に少なくとも二つのイソプリ
メベロース(キシロシルα−1,6−グルコース)単位
が必要であり、それより短い基質には作用しないことが
示された。一方、既知のエンド型セルラーゼは表3中に
示した構造を有するオリゴ糖の全てを分解できることが
知られており、この結果からも本酵素が従来のエンド型
セルラーゼとは全く異なる基質特異性を有するものであ
ることが示された。
【0035】
【表3】
【0036】以上本発明を実施例に基づいて説明した
が、本発明は前記した実施例に限定されるものではな
く、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限りど
のようにでも実施することができる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明は特殊な技術
や装置を用いることなく、セルロース類に全く、或いは
殆ど作用しない新規なキシログルカン分解酵素を提供す
るものである。
【0038】そして、得られた本酵素は、セルロースと
キシログルカンの植物一次細胞壁における関係の解明
や、キシログルカンの構造解明のための強力な酵素試薬
として利用することができる。
【0039】また、セルロースに全く作用せず、セルロ
ースの周囲に存在すると考えられているキシログルカン
を分解、除去できるので、より精製度の高いパルプを製
造できることも見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキシログルカン分解酵素の45℃にお
ける最適作用pH(a)、pH安定範囲(b)を示すグ
ラフである。
【図2】本発明のキシログルカン分解酵素のの酢酸緩衝
液(pH5.0)中での最適作用温度(a)、及び熱安
定性(b)を示すグラフである。
【図3】本発明のキシログルカン分解酵素によるキシロ
グルカン(XG)、カルボキシメチルセルロース(CM
C)及びヒドロキシエチルセルロース(HEC)の分解
の経時変化を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペニシリウム属菌M451株(FERM
    P−13798)を培養し、得られる粗酵素液からク
    ロマトグラフィー等により共存するエンド型セルラーゼ
    類似の酵素活性を除去するようにしたことを特徴とする
    キシログルカン分解酵素の製造法。
  2. 【請求項2】 以下の理化学的性質を有するキシログル
    カン分解酵素。 (1)基質特異性: キシログルカンのみを特異的に加水分解し、セルロース
    は分解しない。 (2)至適pH及び安定pH範囲: 至適pHは、キシログルカンを基質とした場合pH5.
    0である。 安定pH範囲はpH5.0〜7.0である。 (3)作用適温の範囲: 30℃〜55℃の範囲である。 (4)分子量 分子量は約28,000である。
JP23425993A 1993-08-26 1993-08-26 キシログルカン分解酵素の製造法、及びキシログルカン分解酵素 Expired - Lifetime JPH0824574B2 (ja)

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