日産とメルセデス・ベンツの共同工場を狙うBYD
去年の10月末のニュースで。メキシコにある日産とメルセデス・ベンツの共同工場 COMPASでの車両生産が終了すると報じられました。COMPAS工場は、日産とダイムラー(メルセデス)の共同出資により2017年に開設されました。しかし、日産の世界的な構造改革(拠点削減)やメルセデスの生産モデル移管に伴い、2026年5月までに閉鎖される予定になっています。
あれから間もなく4ヶ月が経とうとしていますが、そのCOMPAS工場を中国の自動車メーカーであるBYDと吉利(Geely)が獲得を狙っていることが分かり、最終候補に残っていることが明らかになりました。
中国の自動車メーカーの奇瑞汽車(Chery)、長城汽車(Great Wall Motor / GWM)、上海汽車(SAIC Motor)も獲得を狙っていたようですが、最終候補から脱落。
最終候補はBYD、吉利(Geely)、ベトナムのVinFastの3社に絞られました。なぜVinFastが最終候補に入っているのかは後ほど説明します。
中国自動車メーカーがCOMPAS工場を狙う理由
なぜBYD等の中国自動車メーカーがCOMPAS工場を狙っているのでしょうか?それは中国自動車メーカーが狙う世界市場の戦略拠点になり得るからです。
- 北米市場の関税回避
アメリカは中国製EVに高い関税をかけています。中国作った完成車ををメキシコを経由してアメリカに輸出する迂回ルートは封じられつつあります。しかし、メキシコで現地生産を行い、USMCAの原産地規則を満たす形にできれば、北米製として関税回避を狙える余地が生まれるのです。 - 短期間で完成車工場を手に入れられる
当たり前ですが、ゼロから自社工場を建設するのは、規制の問題クリアや建設するまでに数年は要します。他社の工場を買った場合、生産ラインそのものは入れ替えが必要ですが、建物とインフラという最高の資産を利用でき、何より今まで働いていた熟練工や、安定したサプライチェーンを引き継ぐこともできます。完成工場入手はガワ(建物)としての価値は勿論ですが、サプライチェーン、熟練工やノウハウの引き継ぎ、土地の選定、環境アセスメント、様々な認可取得にかかる時間を大幅短縮できるメリットがあります。中国企業は圧倒的なスピードを武器にして成長していますので、何としても入手したいのでしょう。 - 輸出ハブとして有利な中米というロケーション
北米市場の関税回避は、トランプ政権によって潰される可能性も十分考えられます。それでも中国企業がCOMPAS工場を手に入れたい理由は、COMPAS工場が中南米への輸出ハブになるロケーションにあるから。中国から中南米諸国へ船で輸送するより、メキシコから輸送したほうがコストも時間も大幅に節約できます。
メキシコとしては
メキシコとしては、BYDやGeelyのような力のある企業に来て欲しいはずです。COMPAS工場が閉鎖するとそこで働いていた数千人規模の失業者を出し、関連企業が連鎖倒産する恐れがあります。世界トップクラスのEV技術がメキシコに根付く、つまりそれはメキシコ全体の産業近代化に直結するからです。
なぜ最終候補にVinFastが?
ここで注目したいのは最終候補3社のうちの1社がベトナムのVinFastであることです。VinFastより、落選した奇瑞汽車(Chery)等の中国自動車メーカーの方が遥かに格上で実力もあります。これは、もしBYDやGeelyがCOMPAS工場獲得した場合、トランプ政権を怒らせてしまう可能性を考慮しての選定だと思われます。つまりベトナム企業であるVinFastは保険ってことになりますね。
株価を見ての通りVinFastはかなり苦戦していて、創立以来巨額な赤字を形状し続けています。VinFastは親会社がベトナム最大財閥Vingroup、そこからの巨額資金注入によって生き残っているのが現状。
メキシコの本音は「BYD来て!」だと思いますが、最悪なのは工場が抜け殻になることなので、あえてVinFastが候補に入っている形。もしVinFastがメキシコ工場を手に入れても、いつまで持つかは分かりません。
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