「TikTokのハウツー本」を読んでも無意味
2022年TikTokの年間楽曲再生数1位のTHE SUPER FRUIT「チグハグ」、2位の水曜日のカンパネラ「エジソン」、さらに2020年に大ブームを巻き起こした、ひらめ「ポケットからきゅんです!」……。この3つの楽曲には、共通点がある──。
グループ社員220人中、音楽部門の社員はわずか16人、その中で音楽プロデューサーはわずか2人の「つばさレコーズ」が、プロデュースしているのだ。
TikTok経済圏に注目が集まり、近年は大手レコード会社も力を注いでいる。しかし、なかなか思ったように「バズらせる」ことはできていない。
そんななか、驚異的な確率で10代の心を掴むヒット作を生み出しているのが、つばさレコーズなのだ。「バズ」の秘訣はいったいどこにあるのか? この疑問に答えられるのは、これまでほとんど表に顔を出してこなかった、株式会社つばさエンターテインメント代表取締役社長・吉永達世氏しかいない。
疑問をぶつけてみると、返ってきたのは予想外の回答だった。
「私が強く言いたいのは『バズらせようとするな』ということなんです。TikTokのハウツー本が出始めているけど、本の著者は実績を全然出していないじゃないですか。アプリの仕組みについては書いてあるけれど、そもそもの『バズらせよう』という発想自体が間違っているんですよ」
そう言いながら、吉永氏は「TikTok流行語大賞」の記念プレートを指さした。
「それでは聴いてください、チグハグ」というワードは、10代で知らない者はほとんどいないだろう。「きゅんです」に至っては、様々なアーティストやタレントなどの有名人がマネをしたこともあり、若者以外にも知られるようになった。
「楽曲や商品を『バズらせたい』と思った時、多くの人が考えるのは、インフルエンサーに紹介してもらうことです。実際、フォロワーが多い人のもとには『これを紹介してほしい』という依頼が届きますし、“インフルエンサー・マーケティング”という言葉もメジャーになっている。
しかし彼らは、大切なポイントを見落としています。皆が人に伝えたくなるような“キーワード”がないんです」