順天堂大学の西川百合子特任助手らの研究グループは、ビフィズス菌M-16Vの摂取が、成人女性の顔の褐色班や、毛穴などの皮膚の劣化を抑制し、顔の皮膚状態を改善する可能性があることを明らかにした。
ビフィズス菌や乳酸菌などのプロバイオティクスの摂取は、皮膚の抗炎症効果や抗光老化効果があることが示されており、ビフィズス菌M-16Vはヒト試験で、8週間摂取での成人アトピー性皮膚炎の重症度スコアの改善や、3か月の摂取でのミルクアレルギー児の皮膚スコアの改善が報告されている。
研究グループは、乾燥や気温低下により、一般的に皮膚状態が悪化する東京の9月から1月に、顔面に皮膚科的治療の通院をしていない成人女性120名(30~79歳)を対象に、ビフィズス菌M-16V粉末(100億個/包、1日2回・12週間摂取)による臨床試験を実施した。
その結果、画像解析評価(VISIA®)では、摂取8週目にビフィズス菌M-16V非摂取の被験者(プラセボ群)でスコア(VISIA®総合スコア)が有意に悪化したが、ビフィズス菌M-16V群では見られなかった。プラセボ群と比較して、ビフィズス菌M-16V群のスコア(VISIA®褐色班スコア)は4週と8週で改善し、スコア(VISIA®毛穴スコア)も摂取前と比較して4週、8週、12週で有意に改善した。
視覚的評価スケール法(VAS法)による排便自覚症状の評価では、プラセボ群と比較して摂取12週目にM-16V群で改善し、特に、50歳以上の集団で顕著に改善が見られた。
これらの結果は、ビフィズス菌M-16Vの摂取は季節性の皮膚状態の悪化を抑制し、排便に課題を抱えがちな中高年の女性の排便状況を改善する可能性を示した。今後、ビフィズス菌などのプロバイオティクスが皮膚の健康維持に役立つことが期待されるとしている。
