たよう‐たい〔タヤウ‐〕【多様体】
多様体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/14 04:06 UTC 版)
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多様体(たようたい、仏: variété, 英: manifold, 独: Mannigfaltigkeit[注 1])とは、局所的にユークリッド空間と見なせるような構造を備えた図形や空間(位相空間)のことである。
多様体上には、局所的に座標系を導入することができる。これにより、曲がった空間であっても、局所的には平らな空間(ユークリッド空間)と同様に扱うことが可能となり、微分積分学などの解析学を展開するための基礎となる(ただし、解析学等の展開のためには、単なる位相多様体の構造に加えて、可微分構造などの追加の構造が必要となる)。単に多様体と言った場合、可微分多様体か複素多様体のことを指す場合が多い。
直感的な説明
多様体に局所座標系(チャート)を導入することは、地球上の地図を作る作業に例えられる。地図の上の点は地球上の点に対応し、地図に緯線や経線(座標グリッド)を描き込むことによって、その地域の位置関係を数値で表すことができる。
地球は球であり、世界地図を一枚の平面的な地図におさめようとすれば、南極大陸が肥大化したり、地図の端の方では一枚の地図の中に(連続性を表現するために)同じ地点が複数描き込まれたりする。世界地図をいくつかの小さな地図に分割すると、こういった奇妙なことはある程度回避できる。例えば、北極を中心とした地図、南極を中心とした地図、ハワイを中心とした地図、ガーナを中心とした地図…… などのように分割できる。そして隣り合った地図の繋がりをそれぞれの地図に同じ地域を含めることで表現すればよい。こうすることによって異なる地図同士では重複する部分が出てきてしまうものの、一枚の地図の中に同じ地域が 2 箇所以上描かれることをなくすことはできる。
地球と同じように、多様体は局所的に小さな地図(局所座標系)を描くことができる図形である。逆に、このような局所的な空間を繋ぎ合わせることで、全体としてどのような図形ができあがるのか、という問題は位相幾何学の主要なテーマの一つである。個々の地図だけを見れば平坦な空間(ユークリッド空間)のように見えても、全体としては球面やトーラスのように複雑な構造を持っている場合がある[注 2]。
多様体は局所的にユークリッド空間と同相であるという性質を持つ図形である。円や球などは多様体の代表例である。多角形や多面体なども、位相多様体としては多様体として扱える(ただし、頂点や辺などの滑らかでない部分を持つため、そのままでは可微分多様体にはならない)。一方、交叉を持つ曲線や、ペアノ曲線、フラクタル図形などは、局所的にユークリッド空間と見なすことができないため、多様体にはならない。
定義
多様体の定義で重要な点は、多様体の上にいかにして座標系を貼り付けるか?ということと、どのような座標系を用いたとしても計算に違いが現れないようにすることである。多様体は計算したいときに座標を導入でき、しかもどのような座標系で計算したとしても違いがない、すなわち座標系に依存しないという非常に扱いやすい性質が追求された図形である。
ここでいう計算とは関数やベクトル、それらの微分、積分などのユークリッド空間の上で普通に行われているような座標を用いた計算のことである。
局所座標系
M を位相空間とする。M の開集合 U に対して、m 次元ユークリッド空間の開集合 U ' への 同相写像
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U∩Vは、 φ(U∩V) と ψ(U∩V) の 2 通りの局所座標で表されているが局所座標同士は座標変換で写り合う M の二つの座標近傍 (U,φ) と (V,ψ) について、 U ∩ V が空でないとする。局所座標系 φ と ψ は U と V をそれぞれ m 次元ユークリッド空間の開集合 U ', V ' に写すとする。すなわち
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2 次元多様体の例:トーラス - (φλ × ψτ)(p,q) = (φλ(p), ψτ(q))
という写像である。
- この式の右辺は成分で表せば (φ1(p),φ2(p), … ,φa(p), ψ1(p),ψ2(p), … ,ψb(p)) のことであり、単に成分を並べたものと考えてよい。
このように座標近傍同士の直積によって座標近傍系 S3 = {(Uλ × Vτ, φλ × ψτ) | λ ∈ Λ , τ ∈ Τ} を定めたとき、 (M1 × M2, S3) は、 a + b 次元 Cn 級多様体になる。この (M1 × M2, S3) を (M1,S1) と (M2,S2) の積多様体 (product manifold) という。同様にして M1 × M2 × … × Mm というような、 3 つ以上の多様体から作られる積多様体も定義できる。
直線と円周の直積 R1 × S1 を考えれば、直線を軸とした無限に伸びる円柱の側面を多様体と見ることもできるし、円周同士の直積 T2 = S1 × S1 を考えればトーラスを多様体とみることもできる。
その他の例
原点を通る直線は
- y=m x
のように書かれるが、これらの直線はmの値と対応し、あらためて一つの点と考えることができる。直線の集合は図形ではないが、このように直線を点に読み替えることで直線のなす集合にも適当な座標系を入れることができ、多様体という図形として扱えるようになる。
多様体上の関数
m 次元 Cn 級多様体 M 上で定義された実数値関数 f を考える。
- f: M → R
これは、多様体上の点 p ∈ M に対して実数値 f(p) を対応させる関数である。特定の局所座標を考えているわけではないので、この関数の変数は (x1, x2, ..., xm) のように数を並べた座標ではなく単に点を表している。
多様体上には局所座標を貼ることができるためこの座標を用いた微積分などの計算が可能である。 M には座標近傍系 S = {(Uλ, φλ) | λ ∈ Λ} が与えられていて
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多様体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 02:53 UTC 版)
詳細は「多様体」および「微分可能多様体」を参照 微分幾何学において、微分可能多様体は、局所的にはユークリッド空間と同じ空間である。n-次元ユークリッド空間では、任意の点が n 個の実数により特定される。これらを点の座標と呼ぶ。 n-次元微分可能多様体は、n-次元ユークリッド空間の一般化である。多様体では、局所的に座標を定義することができる。このことは座標の貼り合わせ(coordinate patch)が達成できて、多様体の部分集合は n-次元ユークリッド空間へ写像することができる。 詳細は、多様体, 微分可能多様体, 座標の貼り合わせ(coordinate patch)を参照。
※この「多様体」の解説は、「擬リーマン多様体」の解説の一部です。
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多様体と同じ種類の言葉
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