牧草地
牧草地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/18 09:12 UTC 版)
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牧草地(ぼくそうち、英語: Pasture)は、家畜のエサとなる牧草が生えている土地あるいは栽培されている土地をいう。
概要
家畜のエサとなる牧草が生えている土地あるいは栽培されている土地を牧草地(ぼくそうち)という。これは、牧場主や企業の所有する私的な牧草地と、住民に広く開放されているされている地域コミュニティの共有牧草地(共有地)とに二分できる。後者には、自然地形をそのまま利用した共有の放牧地も含まれる。近代的な牧畜あるいは先進国の牧草地は、前者であるが、歴史的には後者の自然地形を利用した放牧地あるいは地域コミュニティの共有の牧草地が主流であった。
しかし、現在の開発途上国における牧畜にあって、地域コミュニティや自然地形を利用した共有の牧草地は無視できない。このような牧草地は、地域コミュニティのメンバーが利用、管理するローカル・コモンズといえるものである。
歴史的に見ると、自然地形を利用した放牧地あるいは地域コミュニティの共有地にあって、牧草利用者(牧畜家)は、互いの牧畜に配慮して牧草を家畜に食べさせてきた。共有地(コモンズ)を巡っては、牧草利用者が過剰に家畜を飼育し、共有地の牧草を収奪的に利用する過放牧が進行するとして、「コモンズの悲劇」が主張されることもある。しかし歴史的にみると、コモンズの悲劇によって牧草地が劣化した事例はほとんどないとも考えられる。
牧草
牧草(ぼくそう)(forage crop)は、家畜の飼育に使用される草本類のこと。牧畜に用いられる。
北海道北部、東部などの農業地に行くと、季節になれば至る所でロール状の牧草や、それが黒や白色、緑色のシートでラッピングされたものが置かれているのを見ることができる(ロールベールサイレージ)。ラッピングすることにより乳酸発酵し、サイレージとなる。これは冬のための保存食として利用される。
主要家畜における牧草利用
馬、牛、羊はいずれも草食性家畜であり、共通して利用可能な牧草が多い。代表的なものとして、チモシー、ペレニアルライグラス、オーチャードグラスが挙げられる。
- チモシー(オオアワガエリ、Phleum pratense)は、繊維質の質と消化安定性に優れ、馬・牛・羊のいずれにも安全かつ広く利用される代表的牧草である。
- ペレニアルライグラス(Lolium perenne)は、生育が早く再生力が高いため、放牧草地において特に重要な牧草とされる。
- オーチャードグラス(カモガヤ、Dactylis glomerata)は、耐暑性と多回刈り性に優れ、温帯地域を中心に安定した生産が可能な牧草である。
これらの牧草は、地域の気候条件や利用形態に応じて単独または混播され、馬・牛・羊の飼養における基幹牧草として利用されている。
主な牛の牧草飼料
牧草の受粉様式は、主に科によって異なり、マメ科牧草は虫媒花、イネ科牧草は風媒花に分類される。アルファルファやクローバー類は昆虫による受粉を必要とする一方、チモシーやライグラスなどのイネ科牧草は主として風によって受粉が行われる。
主要牧草の代表例
世界各地で利用される代表的な牧草には、アルファルファ、チモシー、ペレニアルライグラス、オーチャードグラス、イタリアンライグラスなどがあり、それぞれ栄養価、生産性、栽培適応性、利用目的に応じて使い分けられている。 牧草の優劣は、栄養価、生産性、利用目的、気候条件、飼養家畜の種類などによって異なる。 栄養価の高さと世界的な利用実績の観点からは、アルファルファおよびチモシーが、最も重要な基幹牧草の一つと位置付けられている。
- アルファルファ (Medicago sativa)
- アルファルファはマメ科の多年草で、粗タンパク質含量が高く、栄養価に優れた牧草として世界的に広く利用されている。乳牛、肉牛、競走馬、成長期家畜の主要飼料として用いられるほか、根粒菌との共生による窒素固定能力を有し、土壌改良効果も高いことが知られている。その高い栄養価と生産性から、しばしば「牧草の王様(Queen of Forages)」と称される。
- チモシー (Phleum pratense)
- チモシーはイネ科の多年草で、繊維質と消化性のバランスに優れ、嗜好性が高い牧草である。乳牛、肉牛、馬、ウサギなど幅広い草食動物に利用され、特に乾草としての品質が高い。耐寒性に優れ、北海道、カナダ、北欧諸国、イギリスなど冷涼地域を中心に主力牧草として栽培されている。
- ペレニアルライグラス (Lolium perenne)
- ペレニアルライグラスは生育が早く再生力に優れる多年草で、放牧適性の高い牧草として知られる。消化率が高く、乳牛の飼料として乳量増加効果が報告されており、ニュージーランドおよびヨーロッパの酪農地域において重要な基幹牧草となっている。
- オーチャードグラス(カモガヤ)(Dactylis glomerata)
- オーチャードグラスは耐暑性および耐陰性に優れ、多回刈りが可能なイネ科牧草である。チモシーと比較して高温環境への適応性が高く、温帯地域において安定した生産性を示す。日本、アメリカ、ヨーロッパを中心に広く栽培されている。
- イタリアンライグラス (Lolium multiflorum)
- イタリアンライグラスは一年生または短命多年草で、生育速度が非常に速く、短期間で高収量が得られる牧草として利用される。冬作牧草として日本の酪農において重要であり、青刈りやサイレージ用として広く栽培されている。
マメ科牧草とハチの関係
マメ科牧草は、虫媒花を持つ植物が多く、送粉昆虫、とくにハチ類への依存度が高い。代表的なマメ科牧草であるアルファルファ(Medicago sativa)やクローバー属(Trifolium)では、昆虫による送粉が行われなければ十分な結実が得られないことが知られている。
アルファルファは、トリッピング機構(tripping mechanism)と呼ばれる特殊な花構造を持ち、昆虫が花弁を押し下げることで雄しべと雌しべが跳ね上がり、受粉が成立する。このため、ムラサキウマゴヤシハキリバチ(Megachile rotundata)やアルカリバチ(Nomia melanderi)など、特定のハチ類が主要な送粉者として利用されている。
一方、クローバー類、特にレッドクローバー(Trifolium pratense)は、花筒が深く花弁が硬い構造を持つため、長い口吻と高い筋力を備えたマルハナバチ属(Bombus)が主要な送粉昆虫となる。
このように、マメ科牧草の種子生産はハチ類による送粉に強く依存しており、送粉昆虫の存在は牧草生産および畜産の安定に不可欠である。
脚注
関連項目
牧草に関する関連用語:
外部リンク
牧草地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/04 05:34 UTC 版)
家畜のエサとなる牧草が生えている土地あるいは栽培されている土地を牧草地(ぼくそうち)という。これは、牧場主や企業の所有する私的な牧草地と、住民に広く開放されているされている地域コミュニティの共有の牧草地とに二分できる。後者には、自然地形をそのまま利用した共有の放牧地も含まれる。近代的な牧畜あるいは先進国の牧草地は、前者であるが、歴史的には後者の自然地形を利用した放牧地あるいは地域コミュニティの共有の牧草地が主流であった。 しかし、現在の開発途上国における牧畜でも、地域コミュニティや自然地形を利用した共有の牧草地は無視できない。このような牧草地は、地域コミュニティのメンバーが利用、管理するローカル・コモンズといえるものである。 歴史的に見ると、自然地形を利用した放牧地あるいは地域コミュニティの共有の牧草地は、利用者が他の利用者にも配慮して牧畜を行ってきた。共有地(コモンズ)を巡っては、利用者が家畜を過剰に飼育し、共有地の牧草を収奪的に利用する過放牧が進行するとして、「コモンズの悲劇」が主張されることもある。しかし歴史的にみると、コモンズの悲劇によって牧畜が衰退した事例はほとんどないと考えられる。
※この「牧草地」の解説は、「牧畜」の解説の一部です。
「牧草地」を含む「牧畜」の記事については、「牧畜」の概要を参照ください。
「牧草地」の例文・使い方・用例・文例
- 牛が牧草地で草を食べていた
- その農場には50ヘクタールの牧草地がある
- 私たちの子豚は緑の牧草地で育てられている。
- 牧草地ではたくさんのロングホーンが草を食んでいた。
- どこまでも広がる牧草地を見かけた。
- 羊が牧草地で草を食べている。
- 羊が牧草地で草をはんでいた。
- 乳牛が牧草地で草を食べているのが見えた。
- その小川は牧草地の中を曲がりくねって流れている。
- カウボーイが牛を牧草地へ追っていく。
- このさくは我々の牧草地共有権を侵害している.
- 牧草地には木立が点在していた.
- その小川は牧草地をくねくねと流れていた.
- 牧草地ではきれいな花が草の間から顔をのぞかせている.
- 彼らはその牧草地の一部をロープで仕切った.
- 広々とした牧草地.
- その土地に牧草を植える, 土地を牧草地にする.
- やぶに覆われた牧草地でよく見られる米国産フィンチ
- 草に覆われた牧草地にいる茶色・淡黄褐色のヨーロッパの鳴鳥
- 草地や牧草地などで食う
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