精進湖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/07 08:06 UTC 版)
| 精進湖 | |
|---|---|
| 定期航空機より撮影した精進湖 (2006年11月13日) |
|
| 所在地 | 山梨県南都留郡富士河口湖町精進 |
| 位置 | |
| 面積 | 0.5[1] km2 |
| 周囲長 | 6.8 km |
| 最大水深 | 15.2 m |
| 平均水深 | - m |
| 貯水量 | 0.0035[2] km3 |
| 水面の標高 | 900 m |
| 成因 | 堰止湖 |
| 淡水・汽水 | 淡水 |
| 湖沼型 | - |
| 透明度 | - m |
「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の「富士山域」の一部として世界文化遺産の構成要素に含まれている。
概説
富士河口湖町の公表しているデータでの湖面の標高は900.0メートルで、同じ富士五湖の西湖や本栖湖と同じ数値となっている[4]。精進湖と西湖や本栖湖とは、透水性の高い溶岩で隔てられられているだけで、上流から西湖、精進湖、本栖湖の順に事実上つながっていると考えられている[5]。
精進湖は0.5平方キロメートルと富士五湖の中で最も湖水面積が狭い[6]。また、富士河口湖町の公表しているデータでの最大水深は15.2メートルとなっている[4][注 1]。自然流出河川はない[5]。
2013年(平成25年)6月22日、「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産(富士山域)の一つとして、世界文化遺産(日本の文化遺産としては13箇所目)に登録された。
成因
富士山の火山活動によって形成された堰止湖である。富士五湖の形成について、1980年代には古富士火山の活動末期に宇津湖や剗の海(せのうみ)などの富士四湖が形成され、新富士火山の活動の変遷に伴って、約千年前に形成されたと考えられ[8]、その後も宇津湖と剗の海(せのうみ)の存在を前提に説明される例もある[9]。一方で、2000年代以降の研究では忍野地域にあった古忍野湖は山中湖の前身の古山中湖とは別の形成史を示すことから、これらの湖が最初は宇津湖という大きな湖を形成していたという見方は否定的に考えられるようになっている[10][8]。
精進湖の形成については、山中湖、河口湖、本栖湖が形成された後、864年(貞観6年)の貞観大噴火の溶岩流によって剗の海のうち残っていた部分が精進湖と西湖に分断された[5][9]。この際には、溶岩流が湖水と接触したことによって水蒸気爆発が起こり、半円形のクレーターが形成されている( 北緯35度29分18.5秒 東経138度36分35.6秒 / 北緯35.488472度 東経138.609889度)[11]。
名前の由来
精進湖という湖名は、富士参詣者が湖で沐浴して精進潔斎したことに由来する説や、(かつての単一湖「剗の海」という名称も関連し)富士の背にあたることから「背地」(せのち)と呼ばれたとする説[注 2]がある(『甲斐国志』による)。
水質と生物相
富栄養湖でプランクトンが多く、湖色も緑色。1930年代の調査でも富栄養化していた[12]がそれ以降も富栄養化は進行している[13]ため、透明度は3メートル程度である。赤潮が発生することもある[14]。ヘラブナやワカサギ、ブラックバス[15]、タニシなどが生息している。
周辺
湖岸には、甲府から右左口宿を経て駿河国へ至る軍用道路である中道往還(現国道139号)が通る。精進湖北側から見る富士山は手前に大室山を配しているため、「子抱き富士」とも呼ばれる[6]。前景は青木ヶ原樹海であり、樹海の中に中道往還(国道139号)が走っているため、精進湖北側から望む富士山は手前に建造物がなく樹海の緑に覆われ、絶景である。
かつては湖北部に集落があったが、西湖で増水による被害が発生したのを受け、似たような地形にあった集落は、1972年(昭和47年)頃に湖南部の中道往還(国道139号・358号)沿いの青木ヶ原樹海内に移住し、新居住地は移住地と呼ばれている。移住地には民宿が点在している。
中世の精進湖
中世には甲斐・駿河間の主要街道のひとつとして中道往還(国道139・358号)が利用された。中道往還は甲府盆地南部の右左口宿から右左口峠を越えて富士北麓に至り、精進湖・本栖湖を経て現在の静岡県富士宮市へ向かう。中世・近世には海産物の利用にも用いられ、女坂峠(阿難坂・精進峠)を抜けて甲府方面へ抜ける山道は「魚道」と呼ばれた。
観光
- イギリス人のハリー・スチュワート・ホイットウォーズは、1895年(明治28年)富士山が綺麗に見られる避暑地「ジャパン・ショージ」として日本国外に宣伝した。そのため多くの外国人観光客が訪れ、精進湖に当時日本有数の避暑地として「精進湖ホテル」が創業された。
- パノラマ台:子供の足でも1時間ほどで登れる、精進湖と本栖湖の間にある標高1325メートルの山。精進湖と本栖湖湖畔からハイキングコース入口があり、山下には本栖湖、精進湖、西湖、河口湖が見え、富士山と青木ヶ原樹海が一望でき、晴天ならば富士山の横から駿河湾が見え、北西部側には日本アルプスが望める絶景に出会える。
- 諏訪神社:天井には百人一首が描かれている。
- 精進の大杉:国の天然記念物で諏訪神社の入口にそびえる別名「千年杉」。御神木とされ高さ45メートル、根回り13.6メートル。
- 遊歩道:青木ヶ原樹海の中を通る東海自然歩道、自然観察路がある。
カヌー
毎年、カヌーの全国大会(全国少年少女カヌー大会、文部科学大臣杯)が開催されている。(ただし2007年の全国少年少女カヌー大会(平成19年度)は佐賀県で開催された。)
基本的にコースは東から西で左風であり、自動発艇装置が導入されている。 ( 冬期は湖水が凍結するため撤去される。 )
艇庫はパノラマ台前の精進北岸にある
精進湖にちなむ命名
2015年(平成27年)12月27日、国際天文学連合の惑星システム命名ワーキンググループ (WGPSN: Working Group for Planetary System Nomenclature) によって、土星の衛星タイタンの「湖 (Lacus)」と呼ばれる地形の一つに、精進湖にちなんだ ショジ湖 (Shoji Lacus) という名前が付けられた[16]。
関連画像
脚注
注釈
出典
- ^ 国土地理院 (2015年3月6日). “平成26年全国都道府県市区町村別面積調 湖沼面積” (PDF). 2015年3月24日閲覧。
- ^ 湖沼の概要 (PDF) 山梨県
- ^ “富士箱根伊豆国立公園の区域図” (PDF). 環境省. 2012年2月1日閲覧。
- ^ a b c “データで見る富士河口湖町”. 富士河口湖町. 2026年1月20日閲覧。
- ^ a b c d 竹内 邦良、切石 史子、今村 英之「富士五湖の水位変動機構」『水工学論文集』第39巻、土木学会、1995年、31-36頁、doi:10.2208/prohe.39.31。
- ^ a b “世界文化遺産と構成資産”. 富士河口湖町. 2026年1月20日閲覧。
- ^ “1.6 河口湖(山梨県)”. 環境省. 2026年1月20日閲覧。
- ^ a b 内山 高、輿水 達司「富士五湖の形成史」『日本地質学会学術大会講演要旨』、日本地質学会、2011年、doi:10.14863/geosocabst.2011.0.325.0。
- ^ a b “4.富士山噴火の歴史を物語る個性豊かな湧水湖”. 富士砂防事務所. 2026年1月24日閲覧。
- ^ 輿水達司、内山高、吉澤一家. “富士山北麓の湖底堆積物から湖形成史を探る”. 地球惑星科学関連学会2004年合同大会予稿集. 2026年1月22日閲覧。
- ^ 静岡大学 小山真人 - Twitter、2019年8月閲覧
- ^ 雨宮育作; 田村保; 羽生功; 板沢靖男「本栖湖及び精進湖の観測資料 / 1930年頃との比較」『陸水学雑誌』第20巻、第3号、日本陸水学会、97-100頁、1959年。doi:10.3739/rikusui.20.97。
- ^ 渡辺仁治「精進湖の富栄養化」『日本水処理生物学会誌』第5巻、第1号、日本水処理生物学会、8-11頁、1969年。doi:10.2521/jswtb.5.8。
- ^ 吉澤一家; 有泉和紀; 渡辺由香里「精進湖で発生した赤潮について」『山梨県衛生公害研究所年報』第44号、山梨県衛生公害研究所、58-61頁、2000年。 NAID 40004718409。国立国会図書館書誌ID: 6179387。
- ^ 「山梨県西湖及び精進湖における近年の魚類相の変化と国内外来魚の侵入」『野生生物保護』第13巻、第2号、野生生物保護学会、59-66頁、2012年5月31日。doi:10.20798/wildlifeconsjp.13.2_59。 NAID 110009470658。
- ^ “Planetary Names”. 国際天文学連合 (2015年12月28日). 2017年1月11日閲覧。
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、精進湖に関するカテゴリがあります。
- 精進湖観光情報サイト - 精進湖観光協会
- 精進湖 - 富士五湖ぐるっとつながるガイド(富士五湖観光連盟)
- 精進湖 - 富士観光開発株式会社
- “富士五湖のデータ比較”. 山梨日日新聞社・YBS山梨放送. 2018年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月1日閲覧。
- “湖沼湿原調査”. 国土地理院. 2015年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月1日閲覧。
- 輿水達司; 内山高; 山本玄珠 著「富士五湖湖底ボーリングコアに記録された富士火山活動史」、「富士火山」編集委員会(日本火山学会) 編『富士火山』2007年、365-374頁。 ISBN 978-4-9903350-0-7。全国書誌番号: 21260932。2021年9月16日閲覧。
固有名詞の分類
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