パメラ・トラバース
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パメラ・リンドン・トラバース(Pamela Lyndon Travers、1899年8月9日 - 1996年4月23日)、P・L・トラバース(P. L. Travers)は、イギリスの児童文学作家、女優。本名はヘレン・リンドン・ゴフ (Helen Lyndon Goff)。
略歴
父のトラヴァース・ロバート・ゴフはロンドン生まれで、アイルランド系の家系。オーストラリア合資銀行の銀行員で支店長まで務めたが、アルコール依存症で退職し、結核により若くして亡くなった。母のマーガレット・アグネス・ゴフ(旧姓モアヘッド)はオーストラリア生まれで、スコットランド系の家系だった。母の兄弟のボイド・ダンロップ・モアヘッドはオーストラリアのクイーンズランド州首相だった。
オーストラリアのクイーンズランド州メアリーバラ(Maryborough)生まれ。3姉妹の長女だった。アイルランド系だった父親に、不思議な話を聞かされて育つ。
トラバースは有名になった後、自分の幼少期を偽っており、「父はサトウキビ農園の農園主で、私は農園で幼児期をすごした」「父はアイルランド生まれだった」と説明し、また自身の生年についても1906年生まれとしていた[1]。父親は銀行員になる以前に「サトウキビ農園の監督」だったことはある[1]。
ヘレンが7歳の時に銀行員だった父親が病死する。その後、母親は悲嘆のあまり、川に飛び込んで自殺しようとした。のちに一家は、母の育ての親である大叔母(母の叔母)のヘレン・ムアヘッドの家に引き取られる。家庭の事情もあり、大学には進まずハイスクール卒業後にタイピストになる。そのかたわら舞台女優をめざし、1920年に舞台女優デビューする(その際につけた芸名が、パメラ・トラバース)。
1924年、25歳の時にイギリスへ移住した後は創作活動に転向し、詩人としてデビューを果たした。アイルランドの詩人、ジャーナリストのジョージ・ウィリアム・ラッセルとの交流がはじまる。
その後は、児童向けに数多くの小説や詩を発表した。彼女の最もよく知られた本は、不思議なできごとを起こすナニー(子守兼家庭教師)のメアリー・ポピンズについての物語である。
同名のタイトルによるディズニーの映画化作品(1964年)については、彼女は不満を表明した。彼女はシャーマン兄弟の音楽はうまくマッチしていないといい、また設定の全体が甘い話になりすぎていると考えていた。同映画の製作裏話については2013年に『ウォルト・ディズニーの約束』として映画化されており、トラバースをエマ・トンプソンが演じている。
1977年、その文学的な業績により、大英帝国勲章(OBE)を授与された。
著作リスト
メアリー・ポピンズ
- Mary Poppins(1934年)「風にのってきたメアリー・ポピンズ」
- Mary Poppins Comes Back(1935年)「帰ってきたメアリーポピンズ」
- Mary Poppins Opens the Door(1943年)「とびらをあけるメアリー・ポピンズ」
- Mary Poppins in the Park(1952年) 「公園のメアリー・ポピンズ」
- Gingerbread Shop(1952年)
- Mr. Wigg's Birthday Party(1952年)
- The Magic Compass(1953年)
- Mary Poppins From A-Z(1962年)「メアリー・ポピンズ AからZ」
- Mary Poppins in the Kitchen(1975年)「メアリー・ポピンズのお料理教室」
- Mary Poppins in Cherry Tree Lane(1982年)「さくら通りのメアリー・ポピンズ」
- Mary Poppins and the House Next Door(1988年)「メアリー・ポピンズとお隣さん」
作品集
- Stories from Mary Poppin(1952年)
- Mary Poppins in Cherry Tree Lane / Mary Poppins and the House Next Door(1999年)
- Mary Poppins Omnibooks(1999年)
その他の小説
- I Go By Sea, I Go By Land(1941年)
- Fox at the Manger(1962年)
- Friend Monkey(1971年)
- Two Pairs of Shoes(1976年)
ノンフィクション
- Moscow Excursion(1934年)
- George Ivanovitch Gurdjieff(1973年)
- About the Sleeping Beauty(1975年)
- What the Bee Knows: Reflections on Myth, Symbol and Story(1989年)
参考文献
- A Lively Oracle: a Centennial Celebration of P. L. Travers, Creator of Mary Poppins. Ellen Dooling Draper and Jenny Koralek, editors. (New York: Larson Publications, 1999).
脚注
外部リンク
- Gurdjieff by P.L. Travers, from Man, Myth and Magic: Encyclopedia of the Supernatural 12 vol., (London: Purnell, 1970-1971) reprinted on the International Gurdjieff Review web site.
「P. L. Travers」の例文・使い方・用例・文例
- もし冬が来れば春がはるか遅れることがあろうか 《「冬来たりなば春遠からじ」 P. B. Shelley の詩より》.
- 動物愛護協会 R.S.P.C.A.》.
- 彼の灯台から私たちの神父の慈悲を常に明るく輝かせる−P.P.ブリス
- 湖沼学は本質的には要素で構成された合成科学である…生物学の範囲外にまでも及ぶ−P.S.ウェルチ
- 不吉な雷鳴のうような私の言葉は天に衝撃を与えた−P.B.シェリー
- やる気のない、元気がない若い遊び人−P.G.ウッドハウス
- 彼らの人間行動の説明は、漠然で、退屈で、不明瞭になる−P.A.ソローキン
- 風が松を揺らすようなゆっくりとした悲しいささやきに似たさらさらした音−R.P.ウォーレン
- 若葉のゆらめきよりも新鮮なものは何もない−L.P.スミス
- 剣が激しくぶつかり合う音とトランペットのかん高い音−−P.J.サールズ
- スウェーデン人のソプラノ歌手で、P.T.バーナムの管理の下で米国のツアーを行った(1820年−1887年)
- 不思議の国のアリス(の冒険) 《L. Carroll の童話》.
- 旧世界をかき回す活発な議論もなされていない、そのわずかな田舎根性に思い悩んだ−V.L.パリントン
- 人間の苦しみを防ぐことの出来る意識−A.L.ゲラール
- 火成の岩石…この力でぴったりと密着している‐L.V.ビルソン
- 経済学、政治学、および法律原理の密接な関係‐V.L.パリントン
- 意気投合した性質は結合した…相互の信頼と相互の美徳によって−T.L.ピーコック
- 才能を与えられた−J.L.ローズ
- 緊急で重大であるとされる文学的な議論−H.L.メンケン
- 現在の混乱の政治家らしい解決−V.L.パリントン
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