PDCE
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/03 06:20 UTC 版)
|
|
この記事には複数の問題があります。
|
PDCE(Paragayos Desionized Charge Electrostaticsの略とされる)は、避雷設備における受雷部の一種。従来型の避雷針に比べて落雷を抑制する効果があると主張されているが、その科学的根拠については議論がある。
概要
PDCEは、上下に半球状の電極を配置し、その間を電気的に絶縁しながら機械的に固定した構造を持つ。製造元は、この構造により地表からのストリーマ(お迎え放電)の発生を抑制し、落雷を受けにくくすると説明している。ただし、大規模な雷撃に対しては従来の避雷針と同様に受雷し、雷電流を地中に放流する機能を持つ。
建築基準法における「避雷設備」の「受雷部」に該当し、JIS規格に適合した材質と構造を持つ。
歴史
PDCEの原型は、アンドラ公国のINT社に所属していたAngel Rodriguez氏により開発され、製品名「CTS」として販売された。当時の製品は、アルミ切削、ネジ締結であった。2005年に株式会社サンコーシヤにより日本国内に導入されたが、当初は普及が進まなかった。
2010年に株式会社落雷抑制システムズが設立され、現在まで製品の改良と販売を行っている。「PDCE-Magnum」「PDCE-Junior」「PDCE-Baby」などがステンレス鋳造、ネジを使わない接着技術で製造され、製造は全て株式会社落雷抑制プロダクツ(茨城県)により行われている。
なお、「PDCE」「PDCE避雷針」「PDCE避雷球」は、落雷抑制システムズの商標であり、「PDCE避雷球」は、一般社団法人防災安全協会の推奨品である。
原理と科学的評価
メーカーによる説明
製造元は、PDCEの動作原理を以下のように説明している。
- 半球状の形状により、尖った避雷針に比べて放電電圧が高くなる
- 上下電極間の絶縁構造により、地表からのストリーマ(お迎え放電)の上昇を抑える
- これにより地表からのストリーマ(お迎え放電)の発生が抑制され、雷雲からの先行放電と結びつきにくくなり、落雷を抑制する
試験と検証
メーカーは以下の試験結果を公表している。
- フランス規格(NF C-17)による試験
- フランスの規格に基づく高電圧試験において、通常の避雷針よりも高い電圧で放電が発生したとされる。ただし、この試験は室内環境で実施されており、自然環境での落雷とは条件が異なる。
- 青森県深浦町での実証試験
- 風力発電施設のタワーに通常避雷針とPDCEを並置し、5年間の落雷数を測定した結果、通常避雷針に11回、PDCEに0回の落雷が記録されたとされる。
科学的議論
落雷抑制型の避雷設備については、科学的コミュニティにおいて以下のような意見がある。
- 査読論文の不足: PDCEの落雷抑制効果を実証する査読付き学術論文は確認されていない
- 国際規格での位置づけ: IEC 62305やJIS規格は、受雷部としての基本的な安全要件を規定しているが、落雷抑制機能自体については規定していない
設置事例
メーカーによると、以下のような設置事例が報告されている。
- 牛久大仏(茨城県):2010年に設置
- 地球深部探査船「ちきゅう」:2011年に設置
- 鉄道施設:営業キロ数80km超の路線に800基以上設置
- 2020年東京オリンピック・パラリンピック:開催期間中、36会場に84台を設置
- ゴルフ場:アコーディア・ゴルフの36コースに83台
これらの設置事例における落雷抑制効果の客観的な検証データとしては、牛久大仏周辺の落雷数に関するデータが公表されている。
建築基準法との関係
建築基準法で避雷設備が求められる建築物(高さ20m超)については、PDCEを使用する場合でも従来の避雷針と同様の設置基準が適用される。
批判と論争
- 落雷抑制効果について、独立した第三者機関による科学的検証が不足しているとの指摘がある
- メーカー側は、抑制について仕様に規定されていないため、科学的検証を行う独立した第3者機関がない、と主張している。
関連項目
参考文献
『なぜ、リスク意識が高い会社は落雷対策をするのか?』
外部リンク
- PDCEのページへのリンク