エス‐ディー‐エッチ【SDH】
SDH(Synchronous Digital Hierarchy)
Synchronous Digital Hierarchy
(Sdh から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/21 07:48 UTC 版)
| TCP/IP群 |
|---|
| アプリケーション層 |
|
| トランスポート層 |
| カテゴリ |
| インターネット層 |
| カテゴリ |
| リンク層 |
| カテゴリ |
SONET/SDH(Synchronous Optical NETwork, 同期型光ネットワーク および Synchronous Digital Hierarchy, 同期デジタルハイアラーキ)は、光ファイバ通信のプロトコルの1つ。同期方式を用いた通信プロトコルで、以下の2つの規格の総称として用いられる[1]。
これらの前身にPDH (plesiochronous digital hierarchy, 「準同期型デジタル階層網」の意)があり、当時は日本では一次群・二次群、アメリカではT1・T2、ヨーロッパではE1・E2などの異なる通信方式が普及していた。このように地域によって異なっていたPDHの仕様を世界的に統一する目的でSONETは規定された[3]。
標準化規格は2015年を最後に更新されておらず[4]、運用普及においてもOTNや広域イーサネットなどの別の通信技術に差し替えられている。
種類と用語
SONET/SDH には伝送速度に基づいて下表のような系列がある[5]。
| 名称 | 伝送速度 [Mbps] | ||
|---|---|---|---|
| SDH | SONET | フレーム全体 | コンテナ |
| STM-0 | OC-1 / STS-1 | 51.84 | 49.536 |
| STM-1 | OC-3 / STS-3 | 155.52 | 149.76 |
| STM-4 | OC-12 / STS-12 | 622.08 | 599.04 |
| STM-16 | OC-48 / STS-48 | 2488.32 | 2396.16 |
| STM-64 | OC-192 / STS-192 | 9953.28 | 9584.64 |
| STM-256 | OC-768 / STS-768 | 39813.12 | 38338.56 |
- OC (Optical Carrier): 光信号の仕様・回線速度
- STS (Synchronous Transport Signal): SONETのフレーム書式
- STM (Synchronous Transport Module): SDHのフレーム書式と光信号の仕様
SONET と SDH とでは異なる用語で同じ仕様・機能を指すことがしばしばあるが、いくつかの相違点はあるものの基本的には SDH は SONET を包含すると考えてよい。ANSI側のSONET規格文書は、ATIS (Alliance For Telecommunications Industry Solutions)がITU側のSDHと整合を図っている[6]。
フレーム構造と特徴
SONET/SDHでは、固定長のフレームを125μs(マイクロ秒)おきに送る。フレームは以下の2つから構成される[7]。
- TO (Transport Overhead, 伝送オーバヘッド): 制御用データを格納する。
- VC (Virtual Container, 仮想コンテナ): ユーザデータを格納する。
フレームはコンテナの途中にオーバヘッドを挿入する形をとり、TO、VC、TO、VC... という順でフレームを送る。例えば、
- STS-1 または STM-0 では810バイトの固定長フレームを送る。オーバヘッド3バイトおよびコンテナ87バイトを交互に送り、これを125μs間に9回繰り返す。
- STS-3c[注釈 1] または STM-1 では、2430バイトの固定長フレーム長を送る。オーバヘッド9バイトおよびコンテナ261バイトを交互に送り、これを125μs間に9回繰り返す。
これらのフレームは下図のように一般に90×9バイトや270×9バイトなど、N列9行の配列として表し、オーバヘッド(TO)とコンテナ(VC)が整列するように表現される。
また、ユーザデータの量を増やすために多重化が行われ、例えば STM-256 は STM-1 フレームを256波長の波長分割多重で送受するなどして実現している。フレームにはユーザデータ以外の管理データとして以下のものが付加されている。
- セクションオーバーヘッド(Section Overhead, SOH, SO)- 網管理に用いる。
- 管理ポインタ(Administrative Unit Pointer, AUPtr)- 周波数・位相同期に用いる。
- パスオーバーヘッド(Path Overhead, POH, PO)- コンテナに配置し、各パスの識別に用いる。
多重化ではこのフレーム構造を用いることで、次のような機能を実現している。
- 制御用データがユーザデータに挿し挟まれる形であるため、ユーザデータから独立したネットワーク管理情報を持つことができ、信頼性の高い通信が可能である。
- AUポインタを利用して周波数・位相の同期をとるため、機器間のずれ補正が容易で高速な通信に対応できる。
- AUポインタやPOHを利用して、低速チャネルから高速ハイアラーキへの多重化や、高速ハイアラーキから直接チャネルごとの情報を取り出すことができる(仮想コンカチネーション)。
脚注
- ^ 末尾のcはコンカチネーション(結合)を意味する。STS-3は単純にSTS-1を3フレーム集めたものであるが、STS-3cではコンテナのサイズやオーバヘッドをそれぞれ3倍したものとして扱う。
出典
- ^ “SONET技術概要”. シスコ・システムズ テクニカルノーツ (2005年6月14日). 2024年9月1日閲覧。
- ^ ITU G.783 (1990-12-14). Characteristics of synchronous digital hierarchy (SDH) equipment functional blocks
- ^ 石田修(NTT未来ねっと研究所) (2003年5月2日). “SAN/WANにも広がるイーサネット”. @IT. 2024年9月1日閲覧。
- ^ Recommendation G.783 (2006) Corrigendum 1 (01/15). ITU-T. (2015-01-13)
- ^ Michael Yan (Exar Corporation). SONET/SDH Essentials. MaxLinear, Inc.
- ^ Alliance For Telecommunications Industry Solutions. ATIS-0900105.2008: SONET - Basic Description Including Multiplex Structure, Rates, and Formats
- ^ Section 2.4. STS-3c Framing Format and Higher Rate STS-Nc
関連項目
シュブニコフ=ド・ハース効果
(Sdh から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/29 08:09 UTC 版)
シュブニコフ=ド・ハース効果(英語: Shubnikov–de Haas effect, SdH)とは、低温かつ高磁場下において物質の電気伝導率が振動する現象であり、物質の持つ量子効果が巨視的に現れたものである。キャリア(電子とホール)の有効質量を求めるのによく用いられ、多数キャリアと少数キャリアを区別することも可能である。1930年に発見したワンダー・ヨハネス・ダ・ハースとレフ・シュブニコフにちなんで名づけられた。[1]
物理的プロセス
十分な低温かつ高磁場下では、金属、半金属、またはバンドギャップの小さい半導体の伝導帯にある自由電子は、単純な単調和振動子のように振る舞う。磁場の大きさ B が変化すると、この振動子の振動周期も磁場に比例して変化する。[2]
このとき、電子のエネルギースペクトルはランダウ量子化を受け、サイクロトロンエネルギーにより隔てられたランダウ準位が編成される。これらの準位は、さらにゼーマン効果によってスピン分裂を起こす。各ランダウ準位において、サイクロトロンエネルギー、ゼーマンエネルギー、および電子の状態数 (
図2は、4つのコンタクトを持つ試料を示している。試料に電流を流すために、コンタクト1と4の間に電圧が印加され、コンタクト2と3の電圧が測定される。電子が第1コンタクトを出て、コンタクト1から2へ、2から3へ、3から4へ、そして最後に4から1へと透過すると仮定する。負電荷(電子など)がコンタクト1からコンタクト2へ伝達されるときは、コンタクト2からコンタクト1への電流、コンタクト1からコンタクト3のときは、コンタクト3から2への電流、を生じさせる。このとき、理想的なコンタクトの伝達確率は以下のようになる。
-
図3:高ドープBi2Se3で観測されたシュブニコフ=ド・ハース極小値に対する逆磁束密度 1/Bi のプロット 特定の試料について、関係式 (3) の右辺の電子密度 n を含むすべての因子は一定である。エッジチャネルのインデックス i に対してその磁束密度の逆数 1/Bi をプロットすると、傾きが 2e/(nh) の直線が得られる。電子電荷 e とプランク定数 h は既知であるため、このプロットから試料の電子密度 n を導出できる。[7] シュブニコフ=ド・ハース振動は、高ドープされたBi2Se3で観測される。[8] 図3は、Bi2Se3試料の第10から第14極小値の逆磁束密度 1/Bi を示している。線形フィッティングから得られた 0.00618/T の傾きから、電子密度 n が得られる。
シュブニコフ=ド・ハース振動は、様々な印加磁場方向に対する振動周期を決定することにより、試料内の電子のフェルミ面をマッピングするために使用できる。
フェルミ面の極値断面積の導出
磁気振動の周期がフェルミ面の断面積に反比例するという関係は、ランダウ量子化を半古典的に扱うことで導出される。[3]
磁場 が 軸方向に印加されているとき、波数空間(空間)における電子の運動方程式は次のように記述される。
この式から、電子は磁場に垂直な平面()内で、エネルギー等値面に沿った閉軌道を描くことがわかる。この軌道が囲む 空間での面積を とすると、ボーア=ゾンマーフェルトの量子化条件より、軌道面積は次のように量子化される。
(4)ここで は整数(ランダウ指数)、 は位相オフセット(通常の自由電子では )である。[9]
磁場 を変化させると、量子化された各軌道の面積 が変化する。ある特定のランダウ準位 がフェルミ面の極値断面積 と一致するとき、状態密度が極大となり、電気抵抗などの物性に振動が現れる。
隣接するランダウ準位( と )がフェルミ面を横切る磁場をそれぞれ とすると、逆磁場の差 は次のように求められる。
これより、振動の周波数 (テスラ単位)とフェルミ面面積の関係式(オンサーガーの関係式)が得られる。
(5)この導出により、SdH振動の周期を測定することで、波数空間におけるフェルミ面の極値断面積を直接決定できることが示される。[3]
関連する物理プロセス
この効果は、磁化に対応する振動に付けられた名称であるドハース・ファンアルフェン効果に関連している。これらの効果の特徴は、磁場の逆数の関数としてプロットした際の周期的な波形である。磁気抵抗振動の「周波数」は、フェルミ面周囲の極値軌道の面積を示す。フェルミ面の面積はテスラで表される。より正確には、テスラの逆数における周期は、m/cmの逆数におけるフェルミ面の極値軌道の面積に反比例する。
注釈
- ^ “シュブニコフドハース効果”. SEMI-NET. 2026年3月24日閲覧。
- ^ Landau, L. (1930). “Diamagnetismus der Metalle” (ドイツ語). Zeitschrift für Physik 64 (9): 629–637. doi:10.1007/BF01397213.
- ^ a b c Onsager, L. (1952). “Interpretation of the de Haas-van Alphen effect”. The Philosophical Magazine: A Journal of Theoretical Experimental and Applied Physics. Series 7 43 (344): 1006-1008. doi:10.1080/14786440908521019.
- ^ Lifshitz, I. M.; Kosevich, A. M. (1956). “Theory of Magnetic Susceptibility of Metals at Low Temperatures”. Journal of Experimental and Theoretical Physics 2: 636–645.
- ^ Ando, T.; Fowler, A. B.; Stern, F. (1982). “Electronic properties of two-dimensional systems”. Reviews of Modern Physics 54 (2): 437–672. doi:10.1103/RevModPhys.54.437.
- ^ 充填率 ν = i と密接に関連している。因子2はスピン縮退によるものである。
- ^ 関係式 (3) はSI単位で表されている。CGS単位では、同じ関係式は となる。
- ^ Cao, Helin; Tian, Jifa; Miotkowski, Ireneusz; Shen, Tian; Hu, Jiuning; Qiao, Shan; Chen, Yong P. (2012). “Quantized Hall Effect and Shubnikov–De Haas Oscillations in Highly Doped Bi2Se3: Evidence for Layered Transport of Bulk Carriers”. Physical Review Letters 108 (21). Bibcode: 2012PhRvL.108u6803C. doi:10.1103/PhysRevLett.108.216803. PMID 23003290.
- ^ Shoenberg, D. (1984). Magnetic Oscillations in Metals. Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-11823-1
参考文献
- Schubnikow, L.; De Haas, W.J. (1930). “Magnetische Widerstandsvergrösserung in Einkristallen von Wismut bei tiefen Temperaturen [Magnetic resistance increase in single crystals of bismuth at low temperatures]” (German). Proceedings of the Royal Netherlands Academy of Arts and Science 33: 130–133.
- Schubnikow, L.; De Haas, W.J. (1930). “Neue Erscheinungen bei der Widerstandsänderung von Wismuthkristallen im Magnetfeld bei der Temperatur von flüssigem Wasserstoff (I) [New phenomena in the change in resistance of bismuth crystals in a magnetic field at the temperature of liquid hydrogen (I)]”. Proceedings of the Royal Netherlands Academy of Arts and Science 33: 363–378.
- Schubnikow, L.; De Haas, W.J. (1930). “Neue Erscheinungen bei der Widerstandsänderung von Wismuthkristallen im Magnetfeld bei der Temperatur von flüssigem Wasserstoff (II)”. Proceedings of the Royal Netherlands Academy of Arts and Science 33: 418–432.
- Schubnikow, L.; De Haas, W.J. (1930). “Die Widerstandsänderung von Wismuthkristallen im Magnetfeld bei der Temperatur von flüssigem Stickstoff [The change in resistance of bismuth crystals in a magnetic field at the temperature of liquid nitrogen]”. Proceedings of the Royal Netherlands Academy of Arts and Science 33: 433–439.
- Sdhのページへのリンク