ツツガムシ
アカツツガムシ Leptotrombidium akamushi
タテツツガムシ Leptotrombidium scutellare
フトゲツツガムシ Leptotrombidium pallidum ほか)
成虫と若虫は4対の脚を持つが、幼虫の時期は3対である。 幼虫の体長は0.2~0.3mm。幼虫期の特徴で分類され、若虫と成虫との関連が不明な種も多い。アカツツガムシの場合、幼虫は体長0.2mmで橙赤色の色彩を持つ。
古くから衛生害虫として知られるアカツツガムシは日本海側の大河川の最上川や阿賀野川、信濃川、雄物川等の流域に多く生息する。
タテツツガムシは太平洋側の温暖な地域、フトゲツツガムシは広く全国に生息し、いずれも河原や草原といった開けた場所でよく見かける。
ツツガムシ類による被害は、刺咬害のほか、ツツガムシ病の媒介である。ツツガムシ病は病原体であるリケッチアを保有する虫に刺されることにより罹患する。刺された場所が化膿してリンパ節が腫れ、約2週間後に高熱を発し数日後には全身に発疹を生じる。以前は死亡率が30~60%にものぼる危険な伝染病であったが、現在は抗生物質の投与によりほとんど治癒する。
ツツガムシはムシと名前が付いているがダニの一種。 ネズミ等の哺乳類に外部寄生し、日本では100種以上が生息する。 このうちアカツツガムシ、タテツツガムシ、フトゲツツガムシなど数種類が、衛生害虫として知られる。
人を刺すのは脚が3対の幼虫のみである。生息密度が多い地域では、アシ原を通った際に刺されることがあり、水田や畑で仕事をしていて刺されることもある。幼虫の発生時期と被害が関連しており、5月と10月に被害発生のピークがある。
アカツツガムシの場合、初夏から晩夏にかけて幼虫が多く現れ、地表を通過する哺乳類に取り付いて吸血する。 満腹になると動物から落下し、地表で若虫から成虫にまで成長する。地表では昆虫の卵等を餌にしているという。ツツガムシ類は実験室での飼育が難しいため、生態について不明な点も多い。
ツツガムシ
(Trombiculidae から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/06 00:33 UTC 版)
ツツガムシ | ||||||||||||||||||
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ツツガムシ科の若虫
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分類 | ||||||||||||||||||
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1.卵
2.幼虫
3.ニンフ
4.成虫
ツツガムシ(恙虫)は、ダニ目ツツガムシ科のダニの総称。ツツガムシ科に属するダニ類は日本では約100種が報告されている。
分布
形態
成虫は赤色、幼虫はオレンジ色をしている。体長は0.2〜0.3mm
生態
幼虫は野鼠の耳に寄生していることが多い。幼虫は脊椎動物寄生性で孵化後、生涯に一度だけ哺乳類などの皮膚に吸着して組織液、皮膚組織の崩壊物などを吸収する。十分摂食して脱落、脱皮した後の第一若虫、第二若虫および成虫には脊椎動物への寄生性はなく、昆虫の卵などを食べる。動物の体液を吸引する際は、酪酸などの低級脂肪酸には反応せず二酸化炭素で動物の接近を検知している[1]。
ツツガムシ病
0.1% から 3% の個体が経卵感染によってツツガムシ病リケッチアを保菌しており、これに吸着されるとツツガムシ病に感染する。保有するリケッチアの血清型は、種との関連性があることが知られ、タテツツガムシはKawasakiまたはKuroki型、アカツツガムシはKato型、フトゲツツガムシはKarpまたはGilliam型を保有している。日本では、感染症法に基きツツガムシ病の症例を集計している。2009年の症例458件死亡例3件[2]。
「つつがない」の由来
手紙の冒頭などで常套句として使われたり、唱歌『故郷』の一節にある「無事である」という意味の「つつがなし(恙無し)」が、「ツツガムシがいない」という意味から来ているとする説があるが誤りである[3]。「恙」(つつが)はもともと病のことであり、それがない状態を指す言葉として「つつがなし」という形容詞が生まれたが、その用例は9世紀にはあったことがわかっている[3]。「恙虫」(つつがむし)も病気を引き起こす虫を意味するが、それが判明したのは19世紀のことであり虫の名前が「つつがなし」の語源になったということはない[3]。
妖怪としてのツツガムシ
石見国(島根県西部)に夜な夜な民家に入り込んでは寝ている住人の生き血を吸う「ツツガ」という虫がいた。のちに陰陽博士により退治された。
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「絵本百物語」に描かれた恙虫
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ツツガムシに噛まれた症状
脚注
- ^ 佐々学、私共のダニ類研究の回顧 日本ダニ学会誌 第1回日本ダニ学会大会講演要旨(補足) 1993年 2巻 2号 p.99-109, doi:10.2300/acari.2.99
- ^ The Topic of This Month Vol.31 No.5(No.363)(国立感染症研究所感染症情報センター)
- ^ a b c “つつがなしや(研究ジャーナル25巻2号)”. 公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会. 2021年5月16日閲覧。
関連項目
外部リンク
- つつがない・つつがなく - 語源由来辞典
- 『つつが虫病』 - 日本感染症学会と感染症シリーズ映画製作委員会の企画の下でヨネ・プロダクションが制作した短編映画。『科学映像館』より
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