UNIVAC 1103
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UNIVAC 1103(ユニバック1103)または ERA 1103は、UNIVAC 1101の後継コンピュータである。Engineering Research Associates の設計を基にレミントン・ランド社が製造した。1953年2月に商業的発表、1953年10月完成。
1956年3月には改良版の1103Aもリリースされ、1103シリーズ(1103および1103A)の出荷台数はあわせて27台であった。
歴史
Atlas(UNIVAC 1101)が完成する以前から、海軍は Engineering Research Associates にさらに高性能な暗号解読用マシンの設計を依頼した。プロジェクト名は Task 29、コンピュータ名は Atlas IIとされた。
1952年、ERAはNSAの前身である Armed Forces Security Agency から Atlas IIの商用化の承認を願い出た。特別な命令をいくつか削除するという条件で許可が得られた。この商用バージョンが UNIVAC 1103 となった。機密保持のため、レミントン・ランド経営陣にはこのマシンの来歴を知らせなかったという。
レミントン・ランドは1953年2月に UNIVAC 1103 を発表した。科学技術計算市場で IBM 701 と競合した。
改良版の UNIVAC 1103A (別名 Univac Scientific)は、不安定なウィリアムス管メモリを磁気コアメモリに置き換え、浮動小数点演算命令をハードウェアに追加し、割り込み機構を備えている。
1103 技術詳細
アメリカ陸軍弾道研究所が作成した、当時のコンピュータに関する報告書[1]の「UNIVAC 1103 1103A」の章に、UNIVAC 1103の仕様詳細についての記述がある。
UNIVAC 1103 は真空管式コンピュータである。
- ワード長、算術方式など
- 1ワードあたりのバイナリ桁数:36ビット[2]
- 1命令あたりのバイナリ桁数:36ビット[2]
- 1ワードあたりの命令数:1[2]
- 算術方式:固定小数点および浮動小数点[2]
- 命令形式:2アドレス方式[2]
- 命令
命令は 6ビットの命令コードと 15ビットのオペランドアドレスからなる。(命令は、2文字の操作コード(コマンド)、5文字の第1アドレス、および5文字の第2アドレスで構成されている。[2])
- 数値表現
- 固定小数点数は 1ビッ*トの符号と 35ビットの : り、負 / は1の補数形式で表現する。固定小数点演算では、41種類の命令が使用される[2]。
- 浮動小数点演算システムでは、9種類の命令が使用される[2]。
- 演算装置(ARITHMETIC UNIT)[2]
- 演算種別所要時間(単位: マイクロ秒)[2]
上記の処理時間は平均値である[2]。 加算処理時間には、結果をVアドレスに転送する時間が含まれる[2]。 乗算処理時間は、積がアキュムレータ(加算器)に形成され、かつ乗数が「0レジスタ」にある状態での時間である[2]。 除算処理時間には、商が「0レジスタ」に、正の余りがアキュムレータに格納される時間が含まれている[2]。
演算装置は、エクルズ=ジョーダン型のフリップフロップ回路で構成されており、これらは五極管(ペントード)の「ゲート回路」からのパルスによってトリガされる。ゲート回路は、他のフリップフロップや、AND回路またはOR回路からの信号によって有効化(enabled)される[2]。これらのフリップフロップは、コンソールから手動で制御することもできる[2]。演算モードは並列処理であるが、すべての演算は「交換レジスタ(X)」を経由して行われる[2]。「X」、「0」、および「A」の各レジスタは、個別または組み合わせて使用され、11種類の異なる論理および算術シーケンスを構成する[2]。
- 記憶装置
- RAM : 磁気コアメモリ(Magnetic Core)- 4,096ワード、147,456桁、アクセス時間 8マイクロ秒[2]。 磁気コア行列は 64 × 64 ビットで構成される。行列は 36 個ずつ重ねられており、最大3スタックまでを高速記憶として使用できる[2]。1024ビットのウィリアムス管を36本使用。36本のウィリアムス管は、それぞれ直径5インチ(約13cm)であったという。
- 磁気ドラムメモリ(Magnetic Drum)- 容量16,384ワード、589,824桁、アクセス時間 17,500マイクロ秒[2]。磁気ドラムは、中速度の記憶装置である[2]。
なおこの静電メモリとドラムメモリには直接アドレスが振られている。アドレス 0~01777(八進数)には静電メモリが配置され、040000~077777(八進数)には磁気ドラムメモリが配置されている。
- 磁気テープ装置(UNISERVO)は、低速記憶装置として 326,000語 を記憶できる[2]。最大10台 接続可能である[2]。磁気テープは1本あたり 326,000 語で、本システムには磁気テープ装置の「UNISERVO I」が 10台装備されており、そのうち 最大8台 をプログラマの裁量で、情報記憶用に使用できる[2]。
- プログラミング言語
いくつかのアセンブラ(レミントン・ランド製の RECO、Ramo-Wooldridge Corporation の RAWOOP)と、いくつかの浮動小数点変換システム(Ramo-Wooldridge Corporation の SNAP、Consolidated Vultee Aircraft の FLIP、ライト・パターソン空軍基地で開発された CHIP)があった。
1103A
改良版の UNIVAC 1103A は1956年3月に登場した。最大の変更点は、磁気コアメモリの採用と割り込み機能の追加である[3] 。磁気コアメモリは最大12,288ワード×36ビットを搭載可能で、4,096ワード×3バンク構成となっている。
固定小数点数は 1ビットの符号と 35ビットの値からなり、負数は1の補数形式で表現する。浮動小数点数は1ビットの符号、8ビットの指数、27ビットの仮数からなる。命令は 6ビットの命令コードと 15ビットのオペランドアドレスからなる。
1103Aは IBM 704 と競合した。どちらも真空管による論理回路、磁気コアメモリ、浮動小数点数のハードウェアサポートとなっている。
脚注
- ^ “Tribute to Seymour Cray”. IEEE Computer Society. 2012年4月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai “BRL Report(アメリカ陸軍弾道研究所報告書)”. 2025年10月15日閲覧。アメリカ陸軍弾道研究所による報告書。当時のコンピュータが列挙され、仕様が報告されている。その中の「UNIVAC 1103 1103A」の章。
- ^ Rául Rojas, Ulf Hashagen The first computers: history and architectures MIT Press, 2002 ISBN 0-262-68137-4, page 198
参考文献
- Oral history interviews on ERA 1103, Charles Babbage Institute, University of Minnesota. Interviewees include William W. Butler; Arnold A. Cohen; William C. Norris; Frank C. Mullaney; Marvin L. Stein; and James E. Thornton.
関連項目
- UNIVAC
- 計算機の歴史
- UNIVAC 1104 - 1957年にウェスティングハウス・エレクトリックの要請でボマークミサイルプログラムに組み込むために設計された、専用の、制御用コンピュータ。UNIVAC 1103のロジックを利用しているが、ワード長を30ビットに短縮している。[1]。ロジック回路は、共通している部分はあるが独自設計。1104は兵器搭載専用、制御専用なので、商用で汎用のUNIVAC 1103とは全然異なるとされ、通常は全く別の分類とされる。
- ^ George Gray (January 2002). “The 1104”. Unisys History Newsletter 6 (1). オリジナルのMarch 5, 2016時点におけるアーカイブ。 2013年12月28日閲覧。.
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