IL17RD
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/19 06:48 UTC 版)
| IL17RD | |||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 識別子 | |||||||||||||||||||||||||
| 記号 | IL17RD, HH18, IL-17RD, IL17RLM, SEF, interleukin 17 receptor D | ||||||||||||||||||||||||
| 外部ID | OMIM: 606807 MGI: 2159727 HomoloGene: 9717 GeneCards: IL17RD | ||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||
| オルソログ | |||||||||||||||||||||||||
| 種 | ヒト | マウス | |||||||||||||||||||||||
| Entrez |
|
|
|||||||||||||||||||||||
| Ensembl |
|
|
|||||||||||||||||||||||
| UniProt |
|
|
|||||||||||||||||||||||
| RefSeq (mRNA) |
|
|
|||||||||||||||||||||||
| RefSeq (タンパク質) |
|
|
|||||||||||||||||||||||
| 場所 (UCSC) |
Chr 3: 57.09 – 57.17 Mb | Chr 3: 26.76 – 26.83 Mb | |||||||||||||||||||||||
| PubMed検索 | [3] | [4] | |||||||||||||||||||||||
| ウィキデータ | |||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||
IL17RD(interleukin 17 receptor D)またはSef(similar expression to FGF)は、ヒトではIL17RD遺伝子によってコードされているタンパク質である[5]。
このタンパク質は、インターロイキン-17受容体(IL-17R)ファミリーに属する膜タンパク質である。IL-17RDは線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)シグナル伝達を制限することが記載されている。
同定
IL-17RDは、ゼブラフィッシュの胚発生を調節する遺伝子に関する大規模in situハイブリダイゼーションスクリーニングにおいて、いくつかの線維芽細胞増殖因子(FGF)遺伝子と類似した時空間的発現パターンを示す遺伝子群(協働発現遺伝子群)の1つとして発見され、Sef(similar expression to FGF)と命名された。後にIL-17受容体との配列類似性をもとに、IL-17RDという名称が用いられるようになった。IL-17RDはFGFRと共免疫沈降され、FGFシグナル伝達を阻害するものの、FGFRへのリガンド結合ではなくその後のシグナル伝達の段階に干渉することが明らかにされた[6][7]。
構造
IL-17RDはI型膜貫通タンパク質であり、細胞外のIg様ドメイン、フィブロネクチンIII型ドメイン、約20アミノ酸からなる短い膜貫通ドメイン、そして細胞内のSEFIRドメインから構成される。SEFIRドメインはIL-17受容体に共通して同定されるドメインである[8]。SEFIRドメインは、Toll様受容体やIL-1受容体ファミリーに特徴的なTIRドメインとの配列類似性がみられ、TIRドメインのbox 1、2と呼ばれる領域が共通している[9]。
発生におけるIL-17RD
IL-17RD(Sef)は、ゼブラフィッシュやアフリカツメガエルの胚においてFGFシグナル伝達に関与している遺伝子群の1つとして同定された。1細胞期の胚にsef mRNAを注入することで胚の腹側化が誘導され、またFGFRのドミナントネガティブ変異体であるXFDの注入後も同様の効果が観察されることから、FGFシグナル伝達の負の調節因子として機能していることが示唆された。そして共免疫沈降アッセイによって、IL-17RDの細胞内領域、ただしSEFIRドメインとは異なる領域がFGFRとの結合に重要であることが明らかにされた[6]。FGFR刺激によって活性化される経路の1つが、Ras/MAPK経路である。胚に多量のRas、RafもしくはMEKを注入すると細胞周期の停止が引き起こされるが、この影響がIL-17RDの共注入によってレスキューされることからも、IL-17RDがFGFシグナル伝達を負に調節する役割を有すること支持される。FGFやFGFR自体の過剰発現では細胞周期の停止は引き起こされないため、IL-17RDはFGFシグナル伝達を受容体段階ではなく、その下流のシグナル伝達の段階で調節しているようである[7]。
炎症におけるIL-17RD
IL-17シグナル伝達
IL-17受容体ファミリーは、SEFIR(Sef and IL-17R)ドメインを有する、構造的に類似した受容体のグループである[9]。IL-17RAはIL-17RCとともに、IL-17を結合する受容体複合体として機能する。IL-17は主にTh17細胞によって産生される炎症性サイトカインであり、細胞外病原体の除去やいくつかの自己免疫疾患(乾癬や関節リウマチなど)に重要な役割を果たしている[10]。IL-17RDはIL-17RAと結合して共局在し、IL-17シグナル伝達を媒介し、そしてIL-17の下流の分子であるTRAF6と相互作用することが報告されている。さらに、IL-17RDの細胞内ドメインの欠失はドミナントネガティブ変異体としてIL-17シグナル伝達を抑制する。対照的に、細胞外ドメインの欠失はIL-17シグナル伝達には影響を及ぼさない[11]。IL-17RD全体をノックアウトしたマウスでは異常な表現型は観察されない[12]。このことは、IL-17RCがある程度IL-17RDの代替として機能しているためと説明される可能性がある。一方、イミキモド誘発性乾癬に対する保護効果はIL-17RCもしくはIL-17RDを欠失した場合には失われる[13]。
TLRシグナル伝達
SEFIRドメインとTIRドメインとの類似性から、IL-17RDがTLRシグナル伝達に関与している可能性の研究が行われている。ある研究では、TLRの刺激後にIL-17RDがTIRアダプタータンパク質(MyD88、Mal、TRIFなど)と相互作用することが発見されている。さらに、この相互作用はSEFIRドメインを欠くIL-17RDでは失われる。この研究では、IL-17RDはTLRによって誘導される炎症促進経路を標的として、NF-κBやIRF3の上流のシグナル伝達を阻害していると結論付けられている[14]。
TNFシグナル伝達
IL-17RDの発現はTNFによって誘導され、TNFによって活性化されたNF-κBを阻害するフィードバックループとして機能していることが報告されている[15]。一方、腎細胞に焦点を当てた他の研究では、IL-17RDはTNF受容体の中でもTNFR1ではなくTNFR2と結合し、NF-κBの活性化を亢進していることが記載されている[16]。こうした対照的な研究結果は、IL-17RDが組織によって異なる役割を果たしている可能性を示唆している。
出典
- ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000144730 - Ensembl, May 2017
- ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000040717 - Ensembl, May 2017
- ^ Human PubMed Reference:
- ^ Mouse PubMed Reference:
- ^ “Entrez Gene: Interleukin 17 receptor D”. 2016年4月17日閲覧。
- ^ a b Tsang M, Friesel R, Kudoh T, Dawid IB (February 2002). “Identification of Sef, a novel modulator of FGF signalling”. Nature Cell Biology 4 (2): 165–169. doi:10.1038/ncb749. PMID 11802164.
- ^ a b Fürthauer M, Lin W, Ang SL, Thisse B, Thisse C (February 2002). “Sef is a feedback-induced antagonist of Ras/MAPK-mediated FGF signalling”. Nature Cell Biology 4 (2): 170–174. doi:10.1038/ncb750. PMID 11802165.
- ^ Pande S, Yang X, Friesel R (January 2021). “Interleukin-17 receptor D (Sef) is a multi-functional regulator of cell signaling”. Cell Communication and Signaling 19 (1): 6. doi:10.1186/s12964-020-00695-7. PMC 7805053. PMID 33436016.
- ^ a b Novatchkova M, Leibbrandt A, Werzowa J, Neubüser A, Eisenhaber F (May 2003). “The STIR-domain superfamily in signal transduction, development and immunity”. Trends in Biochemical Sciences 28 (5): 226–229. doi:10.1016/S0968-0004(03)00067-7. PMID 12765832.
- ^ Veldhoen M, Hocking RJ, Atkins CJ, Locksley RM, Stockinger B (February 2006). “TGFbeta in the context of an inflammatory cytokine milieu supports de novo differentiation of IL-17-producing T cells”. Immunity 24 (2): 179–189. doi:10.1016/j.immuni.2006.01.001. PMID 16473830.
- ^ Rong Z, Wang A, Li Z, Ren Y, Cheng L, Li Y, Wang Y, Ren F, Zhang X, Hu J, Chang Z (February 2009). “IL-17RD (Sef or IL-17RLM) interacts with IL-17 receptor and mediates IL-17 signaling”. Cell Research 19 (2): 208–215. doi:10.1038/cr.2008.320. PMC 4603938. PMID 19079364.
- ^ Gaffen SL (August 2009). “Structure and signalling in the IL-17 receptor family”. Nature Reviews. Immunology 9 (8): 556–567. doi:10.1038/nri2586. PMC 2821718. PMID 19575028.
- ^ Su Y, Huang J, Zhao X, Lu H, Wang W, Yang XO, Shi Y, Wang X, Lai Y, Dong C (June 2019). “Interleukin-17 receptor D constitutes an alternative receptor for interleukin-17A important in psoriasis-like skin inflammation”. Science Immunology 4 (36). doi:10.1126/sciimmunol.aau9657. PMID 31175175.
- ^ Mellett M, Atzei P, Bergin R, Horgan A, Floss T, Wurst W, Callanan JJ, Moynagh PN (March 2015). “Orphan receptor IL-17RD regulates Toll-like receptor signalling via SEFIR/TIR interactions”. Nature Communications 6 (1): 6669. Bibcode: 2015NatCo...6.6669M. doi:10.1038/ncomms7669. PMID 25808990.
- ^ Fuchs Y, Brunwasser M, Haif S, Haddad J, Shneyer B, Goldshmidt-Tran O, Korsensky L, Abed M, Zisman-Rozen S, Koren L, Carmi Y, Apte R, Yang RB, Orian A, Bejar J, Ron D (September 2012). “Sef is an inhibitor of proinflammatory cytokine signaling, acting by cytoplasmic sequestration of NF-κB”. Developmental Cell 23 (3): 611–623. doi:10.1016/j.devcel.2012.07.013. PMID 22975329.
- ^ Yang S, Wang Y, Mei K, Zhang S, Sun X, Ren F, Liu S, Yang Z, Wang X, Qin Z, Chang Z (January 2015). “Tumor necrosis factor receptor 2 (TNFR2)·interleukin-17 receptor D (IL-17RD) heteromerization reveals a novel mechanism for NF-κB activation”. The Journal of Biological Chemistry 290 (2): 861–871. doi:10.1074/jbc.M114.586560. PMC 4294508. PMID 25378394.
関連文献
- Kovalenko D, Yang X, Nadeau RJ, Harkins LK, Friesel R (April 2003). “Sef inhibits fibroblast growth factor signaling by inhibiting FGFR1 tyrosine phosphorylation and subsequent ERK activation”. The Journal of Biological Chemistry 278 (16): 14087–14091. doi:10.1074/jbc.C200606200. PMID 12604616.
- IL17RDのページへのリンク