Mk46 (魚雷)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/31 01:48 UTC 版)
| Mk 46魚雷 | |
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Mk 32 短魚雷発射管より発射された直後のMk.46
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| 種類 | 対潜用短魚雷 |
| 原開発国 | |
| 運用史 | |
| 配備期間 | 1963年–2012年(米海軍) |
| 配備先 | 26か国以上(下記参照) |
| 開発史 | |
| 開発者 | |
| 製造業者 |
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| 諸元 | |
| 重量 | 234.8 kg(Mod 5) |
| 全長 | 2,590 mm |
| 直径 | 324 mm |
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| 射程 | 8.33 km(Mod 2)/9.25 km(Mod 5) |
| 速度 | 最大45ノット |
| 弾頭 | PBXN-103爆薬(Mk 103 Mod 1弾頭) |
| 炸薬量 | 44.45 kg |
| 信管 | 接触信管および近接信管 |
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| エンジン | オットー燃料II 5気筒斜板機関(Mod 1以降) |
| 深度 | 運用深度:最大500 m |
| 誘導方式 | アクティブ/パッシブ音響ホーミング誘導 |
Mk 46魚雷(マーク46ぎょらい、英語: Mark 46 torpedo)は、アメリカ海軍が開発した対潜短魚雷であり、水上艦・航空機・ASROCへの搭載を目的として設計された[1]。冷戦期に事実上のNATO標準短魚雷となり、26か国以上で運用された[1]。中国はMod 1を模倣してYu-2(魚-2)と命名したと報告されている[1]。
開発経緯
アメリカ海軍では、第二次世界大戦中より483 mm短魚雷の対潜兵器としての有用性に着目して、戦争中に一定の成果を挙げていた[2]。戦後、ヘリコプターへの搭載を想定して323 mmに小型化したMk.43が開発されて1951年より就役した一方で[3]、1952年からはその改良型の開発も開始されて、1956年よりMk.44として生産を開始、北大西洋条約機構(NATO)の標準的な対潜短魚雷となった[2][4]。
その一方で、アメリカ海軍は、ソ連海軍の原子力潜水艦に対処するにはMk.44よりも更に優れた性能が求められると判断し、早くも1956年12月にはフィジビリティスタディが開始された[1]。これを受けて1960年11月には運用要求が発出され、1963年には、Mk.44を発展させた戦後第三世代の対潜短魚雷として[3]、Mk.46 Mod.0の生産が開始された[1]。Mk.46は新しいNATOの標準的な対潜短魚雷としての地位を確立し、1972年からは輸出が開始された[5]。
設計
外観はMk.44のクジラ鼻型先端部を継承しつつ、後部は菱形フィンと大型スクリューを持つ細い円錐形となっている[1]。先端部にはアクティブ・トランスデューサーと誘導ユニット、その後方にMk 103 Mod 0 PBX爆薬弾頭区画が配置される[1]。中央部は3区画と加圧システムからなる制御グループ、後部は燃料ポンプ・2速バルブ燃焼室・エンジンアセンブリ・オルタネーター・海水ポンプから構成される[1]。
誘導装置
発射前に、ホーミングモード・初期捜索深度・上限深度・捜索パターン・針路の各データが起動後に作動するオートパイロットに入力される[1]。深度オプションは6種類があり、後期型には最大運用深度設定が追加された[1]。水上艦発射型には艦艇そのものへの攻撃を防ぐため最低深度設定(15.25 m相当)が設定されている[1]。
捜索パターンは通常230-460 mの一定深度で実施され、全型が円形パターンに対応しており、ASROC/VLAまたは固定翼機から発射された場合は自動的に円形パターンとなる[1]。水中に入った後、アクティブまたはアクティブ/パッシブ複合モードで捜索パターンを開始し、後者の場合はプリセット時間のパッシブ捜索後にアクティブ捜索に切り替わる[1]。
Mod 1以降の固定プログラム式デジタルコンピュータを搭載したアクティブ或いはパッシブ/アクティブ複合型軽魚雷は、発射前にホーミングモード・初期捜索深度・上限深度・捜索パターン・針路の各プリセットを受け取るオートパイロットに対してコンピュータが起動後に制御信号と時間ベースを提供する[5]。レンジゲート内で動作し、目標の存在を確認するためにコンピュータがオートパイロットに適切なピッチ指令を提供する前に2回の有効エコーを必要とする[5]。第1次攻撃が失敗した場合、自動的に捜索・攻撃シーケンスを再開し複数回繰り返すことが可能である[1]。
Mk 48のように、Mk 46も目標に接近するにつれて加速し、目標信号強度が増大してフロー雑音に埋もれなくなる特性を持つ[5]。
弾頭部
Mod 2以降はMk 103 Mod 1弾頭(PBXN-103充填)を搭載し、接触信管および近接信管を備える[1]。
推進装置
Mk.46の推進はMod 0が固体推進薬粒子、Mod 1以降は一液系推進剤(オットー燃料)を使用した斜板機関により行われる[5][3]。Mk 46は533mm径の長魚雷と異なり、スイムアウトモードは通常不可能とされているが、後に選択可能となった[5]。
各型
Mod 0
エアロジェット-ジェネラル社が製造したMod 0は、米海軍で初の高性能熱機関魚雷であり、固体燃料エンジンを使用したが、整備上の問題があった[1]。最高速度35ノット、射程4海里(7.5 km)[1]。初期作戦能力(IOC)は1965年10月[3]。
Mod 1
ハネウェルを第2生産者として、1967年4月より生産された[1]。動力源を5気筒一液系推進剤(オットー燃料)モーターに換装するとともに傾動シュラウドリングを4枚フィンに変更し、最高速度40ノット・最大射程4.5海里(8.3 km)を実現した[1]。Mk 103 Mod 0 PBX弾頭を搭載する[1]。1968年のフェーズ1では強化船体への再パッケージング、1969-1971年のフェーズ2では残響でマスクされた海面付近の潜水艦探知能力が強化された[1]。IOCはMod 0が1965年、Mod 1・2が1967年[3]。
Mod 2
誘導ユニットに改良コンピュータを追加してスネーク捜索パターン能力と再攻撃機能を付与し、Mk 103 Mod 1弾頭(PBXN充填、前型比27%増の爆発力)を搭載した[1]。1972年就役、ほぼすべてのMod 1が1975年までにMod 2標準に改修された[1]。ヘリコプターからの使用においてもディッピングソナーとの連携により360°全方向の運用が可能となり、23か国に採用された[1]。
Mod 3
開発は1972年に中止された[1]。
Mod 4
1973年に開発が開始され、CAPTOR対潜機雷のペイロードとして使用された[1]。本型の改良型がMod 6となった[1]。
Mod 5(NEARTIP)
ソビエト潜水艦の脅威増大を受け、1972年10月に近期改善プログラム(NEARTIP)が開始された[1]。1974年7月からプロトタイプが製造され、運用評価が1977年11月に完了した[1]。1979年7月に最初の生産発注が行われ、Mod 5となった[1]。1981年からはMod 2の多くをアップグレードする形で9か国に採用された[1]。1982年から日本では三菱重工業がライセンス生産を開始した[1]。
Mod 5はMod 2の改修型と称されるが実質的には新型兵器であり[1]、Mod 2で使用されたMk 103 Mod 1弾頭を継承しつつ、前部の誘導・制御グループをEPROM由来の論理回路を持つ新型アドバンスト・デジタルコンピュータ制御システムに換装した[1]。新型パッシブ/アクティブ・ソナーにより無響コーティングを施した船体を含む全目標類型の探知が可能となり、浅海域を含む全音響環境での目標捕捉能力が向上した[1]。新型受信機・送信機は感度を向上させ、偽目標を分類・排除するエコー論理を持つ[1]。推進システムには2速バルブが追加され、低速・静粛な捜索と目標捕捉後の高速攻撃の使い分けが可能となり、射程と耐久性も向上した[1]。
Mod 5は1986年にHoneywell社が近代化キットを提供し、磁歪トランスデューサーをセラミック素子プリアンプリファイアを組み込んだ平面アレイに換装した[5]。アナログ送受信機はデジタル機器に換装された[5]。主な改善点として、探知距離の75%増大、最小浅海域探知深度の47%削減、ノッチフィルターによる境界層攻撃の抑制、中間深度音響環境での新型捜索モードの追加が挙げられ、MTBFは160時間から3,000時間に向上した[5]。
1984年には浅海域での低速標的に対する性能改善のため、2種の浅海域改修が導入された[1]。
Mod 5A(S) / Mod 5A(SW)
Mod 5A(S)は水深40 m以浅でも運用可能な浅海域改修型であり、1989年に就役した[1]。Mod 5A(SW)(サービスライフ延伸プログラム、SLEP)は1996年10月就役であり、対抗手段耐性・目標捕捉・船底回避プリセット・整備性・信頼性の向上を実現した[3]。製造元はMod 5比33%のコスト削減を主張している[1]。
Mod 7
受動能力を改善した対魚雷型として、米海軍は172本のMk 46をMod 7標準に改修してSSTD(水上艦魚雷防御)システムのハードキル要素として使用する計画を立てたが、後に取り消された[1]。Mod 7は新型広帯域アドバンスト・ソナーシステム(CBASS)を搭載した開発型であり、狭帯域から広帯域スペクトル拡散波形への転換、新型誘導・制御カード、改良型ソフトウェアを特徴とする[5]。
配備
Mk 46はカナダ・フランス・イタリア・日本・英国でライセンス生産された[5]。米海軍向けのMk 46生産は1990年に終了し[1]、約26,000本が生産または発注された[1]。アメリカ海軍では、全てのMk 46魚雷はMk 54で代替され、2012年末までに運用を終了した[3]。
Mk 46 Mod 2とMod 5は26か国で就役中であり、水上艦・固定翼・回転翼航空機および兵器発射システムから発射される[1]。
写真集
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SH-60Bより投下されるMk.46。制動・姿勢制御用のドラッグ・シュートが開きかけている
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訓練用のMk.46を釣り上げるために作業するアメリカ海軍のスイマー。
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訓練用のMk.46に入った染料パックをチェックするアメリカ海軍の兵士
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Mk.46(左)と97式魚雷(ダミー)の比較。
脚注
出典
参考文献
- Friedman, Norman (2006), Naval Institute Guide to World Naval Weapon System (5th ed.), Naval Institute Press, ISBN 978-1557502629
- Hooton, E.R., ed. (2001), Jane's Naval Weapon Systems (34th ed.), Jane's Information Group, ISBN 978-0710608932
- Polmar, Norman (2013), The Naval Institute Guide To The Ships And Aircraft Of The U.S. Fleet (19th ed.), Naval Institute Press, ISBN 978-1591146872
関連項目
- 同世代の短魚雷
- 後継の短魚雷
外部リンク
- Mk46 (魚雷)のページへのリンク