Aden
ADEN (機関砲)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/12 12:27 UTC 版)
ADENは、イギリスで開発された航空機関砲。30mm口径のリヴォルヴァーカノンである。
ADENという名称は、設計を行った軍備設計開発機構(Armament Development Establishment)と、製造を行ったエンフィールド(Enfield)に由来する。
来歴
第二次世界大戦末期、ナチス・ドイツのマウザー社において、リヴォルヴァーカノンという新形式の機関砲の開発が進められていた[1]。これにより設計したのがMG 213で、20mm口径のMG 213C(後にMG 213/20と改称)と30mm口径のMG 213/30が開発されていた[1]。終戦後、設計チームの人員は西側諸国において作業を継続しており、このうちワーナー・ユンゲマンはイギリスに渡った[1]。
MG 213に類似した機関砲としてイギリスで開発されたのがADENであり[2]、1949年にまず6門が製作されて、A1からA6と称された[3]。この時点でリンクの設計を変更することが決定され、続く35門(A7-41)はこの設計に基づいて製作された[3]。
最初の量産モデルであるADEN 3M(後のMk.1)は1953年より運用を開始した[2]。その翌年にはMk.2、1958年にはMk.3、そして1960年代中盤にはMk.4が運用を開始した[2]。より強力な弾薬にも対応した発展型としてSTRADEN(Streched ADEN)の開発も試みられたものの、これは1976年に打ち切られ、かわりに一部の要素技術を既存の砲にバックフィット改修したMk.5が登場した[2]。その後、更なる改良型としてMk.6も登場した[2]。
設計
ADEN Mk.1の設計はMG 213/30とよく似ており、ガス圧作動方式のリヴォルヴァーカノンで、薬室数は5個、シリンダーの0時方向にある薬室の前方に砲身が配置されているという点も同様である[2]。弾薬も、MG 213/30の30×85mmB弾とサイズが近い30×86mmB弾が採用されたが、リムが拡張されたほか、薬莢は鉄製ではなく真鍮製とされた[2]。
1955年には、本砲と同じくMG 213を基にしたDEFA 540シリーズを開発・配備していたフランスとの間で、弾薬サイズの互換性を確保することが合意された[2]。ただし標準化が不十分で、燃焼室圧力の時間変化や電気雷管の発火に用いる電気インパルスのパターン、給送弾用リンクの強度・柔軟性にまで及んでいなかったため、英仏両国の弾薬は完全な互換性を有するには至らなかった[2][4]。
この合意に基づく弾薬は、両国の共用化と同時に初速の向上も図っており、より空対空射撃に適した規格となっている[4]。初速を向上させるため、薬莢を延長して推進薬を多く充填する一方、弾薬の全長は変わらないよう、弾頭の長さは短縮された[2][4]。この弾薬は、北大西洋条約機構(NATO)の標準規格(STANAG 3231)では30×113mmB弾と称されているが、イギリスが導入した弾薬の実際のサイズは30×111mmBであった[4]。ADEN Mk.4よりこの弾薬に移行しており、この初期の砲はLV(Low Velocity)、高初速化した砲はHV(High Velocity)と称される[2][4]。
ADEN 25
1980年代初頭、ロイヤル・オードナンスは、ADENを基に、30×111mmB弾よりも高初速の25×137mm弾を使用するように設計を変更した発展型であるADEN 25の開発に着手した[2]。既存の砲からの換装にも対応できるよう、ほぼ同様のサイズにすることが望ましかったが、25×137mm弾は弾薬全長が長く、撃発も電気式ではなく撃針式であり、薬室圧も高いため、マルエージング鋼の採用など、全体的な再設計が必要になった[2]。
1984年、ADEN 25はハリアーGR.5およびホーク200の搭載砲として選定され、最初の砲は1988年に納入された[2]。しかし開発の初期から撃発システムに関する不具合に悩まされたほか、後にはロイヤル・スモール・アームズ・ファクトリー・エンフィールドが開発した給送弾用リンクの強度不足が重大問題となった[2]。リンクの再設計はコスト上昇、リンク回収機構の再設計はガンポッドの大型化を招き、ハリアーGR.5をインヴィンシブル級航空母艦で運用する場合にスキージャンプからの発艦が困難になるという問題があった[2]。
1999年、100門強が生産され、さらに100門が製造途上にある段階で、計画は中止された[2]。
諸元・性能
| ADEN Mk.1 | ADEN Mk.4-6 | ADEN 25 | |
|---|---|---|---|
| 弾薬 | 30×86mmB | 30×111mmB | 25×137mm |
| 砲身長 | 36口径長 | 68口径長 | |
| 全長(cm) | 159 | 229 | |
| 重量(kg) | 87 | 92 | |
| 自動機構 | ガス圧作動方式 | ||
| 閉鎖機構 | リヴォルヴァー式 | ||
| 発射速度(発/分) | 1,200 | 1,200-1,400 | 1,650-1,850 |
| 初速(m/秒) | 604[5] | 790[4] | 1,100[注 1] |
運用史
搭載機種一覧
固定武装
- A-4S スカイホーク
- イングリッシュ・エレクトリック ライトニング
- フォーランド ナット(およびアジート)
- ホーカー ハンター
- グロスター ジャベリン
- サーブ 32 ランセン
- サーブ 35 ドラケン
- SEPECAT ジャギュア
- スーパーマリン シミター
- CAC Sabre
採用国一覧
- チリ空軍 - ホーカー ハンター
- デンマーク空軍 - ホーカー ハンター
- イラク空軍 - ホーカー ハンター
- インド空軍 - ホーカー ハンター、フォーランド ナット、HF-24 マルート
- インド海軍 - ハリアー
- ヨルダン空軍 - ホーカー ハンター
- ケニア空軍 - ホーカー ハンター
- クウェート空軍 - ホーカー ハンター、イングリッシュ・エレクトリック ライトニング
- レバノン空軍 - ホーカー ハンター
- オランダ空軍 - ホーカー ハンター
- オマーン空軍 - ホーカー ハンター
- ペルー空軍 - ホーカー ハンター
- カタール空軍 - ホーカー ハンター
- サウジアラビア空軍 - ホーカー ハンター、イングリッシュ・エレクトリック ライトニング
- シンガポール空軍 - ホーカー ハンター、A-4SU スーパースカイホーク
- ソマリア空軍 - ホーカー ハンター
- スウェーデン空軍 - ホーカー ハンター
- スイス空軍 - ホーカー ハンター
- タイ王国海軍 航空隊 - ハリアー
- アラブ首長国連邦空軍 - ホーカー ハンター
- アメリカ海兵隊航空部隊 - AV-8A/C
脚注
注釈
出典
参考文献
- Chinn, George M. (1962), The Machine Gun, III, Bureau of Ordnance
- Chinn, George M. (1987), The Machine Gun: Development of Full Automatic Machine Gun Systems, High Rate of Fire Power Driven Cannon, and Automatic Grenade Launchers by the United States and her Allies, following World War II, Korean Police Action, and the Vietnam Conflict, V, Bureau of Ordnance
- Williams, Anthony G. (2022), Autocannon : A History of Automatic Cannon and Ammunition, Crowood Press, ISBN 978-1785009204
外部リンク
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