deposition
「deposition」とは、堆積・罷免・宣誓証言のことを意味する英語表現である。
「deposition」の基本的な意味
「deposition」には、(物質の)沈殿や沈殿物の意味がある。ほかにも(高位者の)罷免や廃位、法律における宣誓証言や宣誓供述書の意味でも使われている。また沈着や沈殿、預け入れなどの意味で使われるほか、気体から個体へ変化する凝結の意味もある。「deposition」の語源
「deposition」は、「de-(下へ)」と「posit(置く)」、さらに「-ion(こと、もの)」の3つの表現が由来となっている。3つの表現を合わせると、「積み重ねていくこと」を意味するので、そこから堆積物や沈殿物、さらには預け入れなどの意味で使われている。「deposition」の発音・読み方
「deposition」における発音記号は、「dèpəzíʃən, dìːpə-」である。カタカナで表記する場合は「デポジション」となることが多いが、「ディセパァズィシャン」もしくは「ディィーパァズィシャン」と表記したほうが実際の発音に近い。「成膜(deposition)」とは
「成膜(deposition)」とは、物体の表面に特定の材料を使用してごく薄い膜を形成することである。半導体チップの製造における「成膜(deposition)」では、基盤の表面に素子や配線の材料となる物質の薄膜を形成する工程のことを指している。また成膜の方法は、「スパッタ」「CDV」「熱酸化」の3つに分けられる。このうち「スパッタ」とは、アルミニウムなどのメタル配線材料の膜を作るとき、アルミニウムの塊にイオンをぶつけて、アルミ原子を剥がして積もらせることで層を作る方法である。一方「CDV」は化学反応を利用する方法で、「熱酸化」は酸素などのガスが入った処理室に入れて加熱し、酸化シリコンの膜を作る。バッチ処理で行える「熱酸化」は生産性が高い「成膜(deposition)」の方法である。「化学気相堆積(CVD: chemical vapor deposition)」とは
「化学気相堆積(CVD: chemical vapor deposition)」とは、化学反応を利用して薄い膜を作る技術のことである。例えば基盤となる物質上に、堆積させたい薄膜の成分となる原料ガスを供給して、基板表面もしくは気相の化学反応によって膜を形成できる。常圧や加圧した状態でも利用できる堆積方法で、切削工具の表面処理や半導体素子の製造工程などで使われている。また供給する化学種もしくは求める特性などの違いによって、「化学気相堆積(CVD: chemical vapor deposition)」にはいくつかの種類がある。中でも、熱による分解反応や化学反応を利用する方式の「熱CDV」は基本的な種類の1つである。プラズマを利用して原料ガスの原子や分子を励起・反応させる方式である「プラズマCDV」も多く使われている。「deposition」を含む英熟語・英語表現
「vapor deposition」とは
「vapor deposition」とは、「蒸着」もしくは「蒸着法」を意味している。「蒸着法」は、加熱などで真空中の材料を蒸発させ、基板に膜を形成する方法のことである。蒸発温度程度の熱エネルギーしか粒子は持っていないため、到着エネルギーが小さく基盤との付着力が小さい方法となっている。例えば「physical vapor deposition」は、「物理蒸着」もしくは「物理気相成長法」となる。
「energy deposition」とは
「energy deposition」は、「エネルギー付与」もしくは「エネルギーデポジション」と訳される。また「DED(Directed Energy Deposition)方式」は金属3Dプリンターの造形方法の1つで、「指向性エネルギー堆積法」もしくは「デポジション方式」と呼ばれている。収束させた熱エネルギーを利用して、材料を溶かして結合や堆積させるプロセスのことを示している。
「deposition」の使い方・例文
「deposition」における使い方には、以下のような例文があげられる。・They analyzed the collected depositions.(彼らは採集した堆積物を分析した)
・This stratum was created by depositions.(堆積したものによってこの地層は作られた)
・The crown prince had supported the attempt at the king's deposition.(皇太子は王の廃位計画を支援していた)
・He gave a deposition in the lawsuit, which is declaring his testimony to be true in law.(彼は訴訟で宣誓証言を行ったが、これは法律において自分の証言が真だと宣言することである)
・The amount of deposition was measured outdoors.(屋外で沈殿量の計測を行った)
・They observed deposition of pigment in the experiment.(彼らは実験で色素沈着を観察した)
デポジション【deposition】
デポ deposition
成膜
凝華
(deposition から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/19 04:01 UTC 版)
凝華(ぎょうか、英語: deposition)とは、元素や化合物が液体を経ずに気体から固体へと相転移する現象[1][2]。温度と圧力の交点が三重点より下へ来た場合に起こる。
昇華(しょうか)とも呼ばれるが、これは固体から気体への相転移のことも指す( § 用語の置き換えを参照)。稀に凝固(ぎょうこ)と呼ぶこともあるが、この語は多くの場合、液体から固体への相転移を指す[3]。
概要
標準圧では、ほとんどの化合物と元素が温度変化により固体、液体、気体の三態間を相転移する性質を持つ。この状態においては、気体から固体へと相転移する場合、中間の状態である液体を経る必要があるが、一部の化合物と元素は一定の圧力下において、気体と固体間を直接に相転移する。
英語では主にdepositionと呼び、desublimationが使われることもある[4]。また、厳密には不正確とされるがsublimationが使われることもある[5]。
用語の置き換え
日本語では、気体から固体への相転移を指す用語として「昇華」が使われてきた。高等学校用検定教科書では1950年代ごろから、『広辞苑』(岩波書店刊)では1955年以降の版で、この用法がみられるようになっている[4][6]。誤りとみなされるようになったこの用法が発生した背景には、昇華精製のことを指す「昇華」の用法が誤解された可能性が指摘されている[4]。
一方、遡って明治時代から化学者の間では、固体から気体への相転移と、固体から気体を経て再び固体になる変化(昇華精製)の2通りの意味で「昇華」を用いていた。英語におけるsublimationの現在まで続く用法とほぼ同じである。そして、第二次世界大戦後も『理化学辞典』(岩波書店刊)[注釈 1]『化学大辞典』(共立出版刊)ではこの用法で記載が続いてきた[4][7][8]。
その後定着した気体から固体への相転移を指す「昇華」の用法には、一部の化学者から疑問が呈されてきた。少なくとも1980年代には新谷光二[9]らによる指摘・議論があった。細矢治夫も指摘を行うとともに、先に山崎昶らも紹介していた、中国語圏(中国や台湾)で使われている「凝華」の導入を提案した[4][6][5]。
やがて教科書では、「昇華」を使うのは適当ではないとして気体から固体への相転移を指す用語を記載しない対応をとるようになった。また、日本化学会は2015年に「凝華」の使用を提案するに至った。これにより、その後教科書では補足の形で「凝華」を記載するようになり[4][6][5]、2022年施行の新課程では本文でも「凝華」と記載するようになった。
脚注
注釈
- ^ 『理化学辞典』では第5版で現状に追随するように気体から固体への変化が追記されたが、後に問題があると指摘がなされた。
出典
参考文献
- 新谷光二「高校化学教科書の問題点 : 「昇華」とはいかなる過程, 操作か」『化学と教育』第32巻第6号、日本化学会、1984年12月、528-529頁、doi:10.20665/kagakukyouiku.32.6_528。
- 山崎昶、幸田清一郎「お答えします」『化学と教育』第37巻第1号、日本化学会、1989年2月、103頁、doi:10.20665/kakyoshi.37.1_103。
- 細矢治夫「協議会だより たかが昇華, されど昇華」『化学と教育』第48巻第2号、日本化学会、2000年2月、140頁、doi:10.20665/kakyoshi.48.2_140。
- 佐藤明子、細矢治夫「昇華と凝華」『化学と教育』第49巻第10号、日本化学会、2001年10月、651-654頁、doi:10.20665/kakyoshi.49.10_651。
- 細矢治夫「「昇華」 の逆は 「凝華」」『化学と教育』第61巻第7号、日本化学会、2013年7月、366-367頁、doi:10.20665/kakyoshi.61.7_366。
- 日本化学会化学用語検討小委員会「高等学校化学で用いる用語に関する提案(1)」『化学と教育』第63巻第4号、日本化学会、2015年4月、204-206頁、doi:10.20665/kakyoshi.63.4_204。
- 細矢治夫「ついに「凝華」が教科書に」『現代化学』第558号、東京化学同人、2017年9月、62-63頁、ISSN 0386-961X、 NCID AN00078479。
- 日本化学会化学用語検討小委員会「委員長発 SOMETHING NEW 高等学校化学で用いる用語に関する提案(1)への反応」『化学と教育』第66巻第1号、日本化学会、2018年1月、40-41頁、doi:10.20665/kakyoshi.66.1_40。
- 井口眞「新・講座:物質のさまざまな状態Part 1 物質の三態 —温度と圧力—」『化学と教育』第70巻第11号、日本化学会、2022年11月、554-557頁、doi:10.20665/kakyoshi.70.11_554。
関連項目
外部リンク
- 気体から固体への状態変化を何とよぶか? (PDF, 676 KiB) - 実教出版
- depositionのページへのリンク