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erna -人名の書き方・読み方 わかりやすく解説 Weblio辞書
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ernaとは? わかりやすく解説

Erna

名前 アーナ; エルナ

エンハンサーRNA

(erna から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/12/14 15:19 UTC 版)

エンハンサーRNA: enhancer RNAeRNA)は、エンハンサー領域のDNA配列から転写されるノンコーディングRNA分子(長さは50–2000ヌクレオチド)である。eRNAは2010年に、RNA-seq英語版ChIP-seq英語版といったゲノムワイド解析技術によって初めて検出された[1][2]。eRNAは1D eRNAと2D eRNAの2つに大きく分類され、両者は主にサイズ、ポリアデニル化状態、転写の方向性といった点で異なる[3]。特定のeRNAの発現は、標的遺伝子の対応するエンハンサーの活性と相関している[4]。エビデンスの蓄積により、eRNAが転写調節においてシスにもトランスにも活発に関与していることが示唆されている一方で、その作用機序は未解明の部分が多く、いくつかのモデルが提唱されている[3]

発見

エンハンサーが遺伝子外転写部位となっていることは、ゲノムワイド研究によってエンハンサーがRNAポリメラーゼII(RNA Pol II)の結合部位、そしてノンコーディングRNAの転写部位として広く利用されていることが示されたことから明らかとなった[1][2]。マウス神経細胞を用いた研究では、神経活動によって調節されている約12,000か所のエンハンサーのうち、約25%にRNA Pol IIが結合していた[1]。またマウスマクロファージでは、クロマチンシグネチャーを利用して遺伝子外RNA Pol II結合部位の分類を行ったところ、約70%がエンハンサー領域と重複していた[2]。また、こうしたエンハンサー領域のRNA Pol IIの結合部位の中には、神経細胞の膜脱分極やマクロファージの炎症性メディエーター刺激によって誘導されるものもみられた[1][2]。こうしてエンハンサー領域から産生されるeRNAは、mRNAとは異なりポリアデニル化修飾を欠いており、一般的には長さは短くタンパク質をコードしておらず、双方向的に転写されている。その後の研究により、一方向的な転写によって産生され、より長くポリアデニル化テールを有する、他の種類のeRNAの転写も行われていることが明らかにされた[5]。また、eRNAの産生レベルは近傍の遺伝子でのmRNA合成レベルと相関しており、こうしたRNAが転写調節に関与する機能的分子であることが示唆された[1]

生合成

eRNAの生合成

eRNAは主に遺伝子外のエンハンサーの上流や下流のDNA配列から転写される[6]。いくつかのモデルエンハンサーでは、遺伝子のプロモーターの転写開始部位に先立ってRNA Pol IIや基本転写因子が直接リクルートされ、転写開始前複合体(PIC)が形成されることが示されている。特定の細胞種では、活性化されたエンハンサーはRNA Pol IIをリクルートするとともに、局所配列の活発な転写のための鋳型にもなることが示されている[1][2]

転写の方向性に依存して、エンハンサーからは1D eRNA、2D eRNAと呼ばれる2種類のノンコーディング転写産物が産生される。産生されるeRNAの種類は、エンハンサー領域にリクルートされるPICや特異的転写因子の性質によって制御されている可能性がある。eRNAの大部分は転写後も内にとどまる[7]。一般的にeRNAは非常に不安定であり、核内のエキソソームによって活発に分解が行われている。一方、全てのエンハンサーからeRNAの転写が行われているわけではなく、転写が行われていないエンハンサーの数は転写が生じるエンハンサーを数万の単位で上回っている[8]

1D eRNAは、エンハンサー領域の一方向的転写によって産生される、長く(> 4 kb)ポリアデニル化されたeRNAである。ポリアデニル化された1D eRNAを産生するエンハンサーは、2D eRNAを産生するエンハンサーよりもH3K4me1/me3比率が低いというクロマチンシグネチャーを有する[5]。一方、エンハンサー部位からの双方向的転写によって産生される2D eRNAは比較的短く(0.5–2 kb)、ポリアデニル化されていない。こうしたポリアデニル化されていない2D eRNAを産生するエンハンサーは、1D eRNAを産生するエンハンサーよりもH3K4me1/me3比率が高い。一般的に、エンハンサーからの2D eRNAの転写は標的遺伝子の転写に対するエンハンサー活性と強い相関を示す[9]

発現の頻度とタイミング

一般的に、エンハンサーからのeRNAの転写は遺伝子からのmRNA転写に先んじて行われる[10]。eRNAは多くの場合、双方の鎖から転写が行われる[11]。神経細胞を用いた研究では、最初期遺伝子の1つであるFOSでは5か所のエンハンサーのうち2つ(enhancer 1、3)が活性化されてeRNA(eRNA1、3)の転写が開始されることが明らかにされている。eRNA1、eRNA3は神経細胞の刺激後7.5分以内に有意なアップレギュレーションが生じるのに対し、FOSのmRNAがアップレギュレーションされるのは15分後である。類似したパターンはFOSBNR4A1英語版といった他の最初期遺伝子でも観察されており、多くの最初期遺伝子において神経刺激後のmRNAの誘導に先んじてeRNAの誘導が行われていることが示唆されている[11]。一部のエンハンサーはeRNAの転写を伴うことなく標的遺伝子のプロモーターを活性化することができるが、活発なエンハンサーの多くは標的プロモーターの活性化時にeRNAの転写を行っている[12]

機能

動物でのmRNA転写における、調節エレメント、NELFやeRNAによる制御。DNA上の活発なエンハンサー領域は、染色体ループを形成することで標的遺伝子のプロモーター領域と相互作用することができる。その結果、プロモーターの転写開始部位に結合したRNAポリメラーゼII(RNAP II)によってmRNA合成が開始される。このループは、エンハンサー側に係留された構造タンパク質とプロモーター側に係留された構造タンパク質が二量体を形成することで安定化される(この図では赤いジグザクで示されている)。エンハンサー上のDNA配列モチーフには特異的転写因子が結合しており、プロモーターには基本転写因子が結合している。特定のシグナル(赤い星)によって転写因子が活性化されるとエンハンサーが活性化され、標的プロモーターの活性化が開始される。活発なエンハンサーに結合したRNAP IIによって、DNA鎖の各鎖から双方向にeRNAの転写が行われる。メディエーター複合体は、エンハンサーDNAに結合した転写因子からプロモーターへの調節シグナルを伝達する。NELFはDSIF英語版、RNAP IIと複合体を形成して転写の一時停止を行うが、eRNAとNELFとの相互作用によってNELFが放出されることで、mRNAの効率的伸長がもたらされている可能性がある。NELFはP-TEFbによってリン酸化された場合にも放出される。

以下に示すeRNAの機能は多様な系で報告されたものであるが、多くの場合少数の特定のエンハンサー-標的遺伝子ペア間で示されたものである。こうした特定のペアでみられる機構が他の大部分のeRNAに対してどの程度一般化できるものであるのかは明らかではない。

転写されたeRNAはメディエーター複合体英語版、特にMED12英語版サブユニットと相互作用し、この相互作用は染色体ループの形成によってエンハンサーを標的遺伝子のプロモーター近傍へもたらす過程に必要不可欠なようである[13][14][15][16][17]

よく研究されているeRNAの1つが、PSA遺伝子のプロモーターと相互作用するエンハンサーのeRNAである[18]。このPSA eRNAは、アンドロゲン受容体によっ強力にアップレギュレーションされる。PSA eRNAはP-TEFb複合体に結合して活性化し、P-TEFbはRNA Pol IIをリン酸化してmRNA産生の開始をもたらす。またP-TEFbはNELFもリン酸化する。NELFはRNA Pol IIをmRNA合成の開始後60ヌクレオチド以内に停止させるタンパク質であるが、リン酸化されたNELFはRNA Pol IIから放出され、RNA Pol IIによるmRNA合成の効率的進行が可能になる。PSA eRNAのアップレギュレーションは586種類のアンドロゲン受容体応答性遺伝子の発現を高めることが示されている。一方、PSA eRNAのノックダウンや一部のヌクレオチドの欠失は、これらの遺伝子上のリン酸化(活性化)型RNA Pol IIの存在量の低下をもたらし、転写の減少が引き起こされる[18]

また、NELFは一部のeRNAと直接的に相互作用することで、RNA Pol IIとの相互作用が解かれる場合もある。2つの最初期遺伝子のeRNAはNELFタンパク質と直接相互作用し、これら2つの遺伝子のプロモーター上で停止したRNA Pol IIからNELFを放出し、発現を引き起こすことが示されている[19]

これら以外にも、eRNAは30種類に及ぶ他のタンパク質とも相互作用しているようである[15][16][17]

実験的検出

eRNAの検出は、RNA-seq英語版ChIP-seq英語版といったゲノムワイド解析技術を用いることで可能となった[1]。RNA-seqはバイオインフォマティクス解析によって、検出された転写産物と対応するエンハンサー配列とのマッチングを行うことで、eRNAの直接的検出を可能にする[4][20]。ChIP-seqはエンハンサー転写の評価法としてはRNA-seqほど直接的なものではないが、活発なエンハンサー領域には特定のクロマチン標識が関連しているため、重要な情報を得ることができる[21]。一部のデータに関しては現在も議論があるものの、文献におけるコンセンサスは、活発なエンハンサー領域にみられるヒストン修飾の最良の組み合わせはH2A.Z英語版H3K27ac英語版が存在し、そしてH3K4me3英語版と比較してH3K4me1英語版が多く存在すること、とされている[21][22][23]。ChIP実験はRNA Pol IIを認識する抗体を用いて行うこともできるため、それによって活発な転写が行われている部位を特定することで、転写部位とエンハンサー領域の重複を評価することができる[8]。内在性のeRNAはエキソソームNMDによって分解されるため安定性は低く、eRNAの実験的検出は複雑なものとなる[24]。比較研究では、キャップ化された新生RNAを濃縮するアッセイ(nuclear run-onとサイズ選別など)によって、通常のRNA-seqよりも多くのeRNAを捕捉できるようになることが示されている[25]。こうしたアッセイ手法としては、Global/Precision Run-on with cap-selection(GRO/PRO-cap)、capped-small RNA-seq(csRNA-seq)、Native Elongating Transcript-Cap Analysis of Gene Expression(NET-CAGE)、Precision Run-On sequencing(PRO-seq)などがある[26]

疾患との関連

eRNAがエンハンサーの活性化や遺伝子転写の効率に対して影響を及ぼすことを示す証拠が得られており、eRNAは機能的な分子であり重要なものである可能性が示唆されている[4]。転写因子p53はエンハンサー領域に結合し、p53依存的な形でeRNAの産生をもたらすことが示されている[27]。p53はがんの抑制に中心的役割を果たしており、p53遺伝子の変異は腫瘍の50%にみられることが示されている[28]。こうしたp53が結合したエンハンサー領域(p53BER)は、局所的または離れた位置にある複数の細胞増殖・生存関連遺伝子と相互作用することが示されている。さらに、p53BERの活性化によるeRNAの産生はp53標的遺伝子の効率的転写に必要であることが示されており、腫瘍抑制やがんにおいてeRNAが重要な調節的役割を果たしている可能性が示唆されている。一般的に発がんに関しては、eRNAの変異はその標的遺伝子のmRNAの変異と類似した表現型的挙動を示す[29]

エンハンサー領域の変異がヒトの疾患に関与している可能性は示唆されているものの、エンハンサー活性を操作する治療アプローチは現時点ではとられていない。eRNAがエンハンサー活性における重要な要素であることが明らかとなったことにより、RNAiなどの手法が遺伝子発現を標的破壊するための強力な治療ツールとなる可能性が浮上している。

出典

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