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fascinatorとは? わかりやすく解説

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FASCINATOR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/23 14:47 UTC 版)

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FASCINATOR(ファシネーター)はモトローラ社のデジタル音声通信が可能な無線機用に開発された秘話モジュールである[1][2]。1980年代のモトローラ社のデジタル無線機は暗号強度が弱いData Encryption Standard (DES) 方式の秘話モジュールが使われており、この代替として1980年代末に開発された。FASCINATORモジュールはDES方式のモジュールと差し替え可能で[2]、FASCINATORモジュールを組み込んだ無線機はアメリカ政府の機密情報の送受信用に用いることができた。

概要

アメリカ国家安全保障局 (NSA) は、アメリカ政府関係と軍事用の情報の保護のため機密情報のレベルに応じた暗号化装置やモジュール、部品の要求仕様を決めており、国家安全保障上の機密情報を扱うことができる製品をタイプ1プロダクト (Type 1 product) と呼んでいる[3]。FASCINATORはそのような仕様に適合するよう開発された音声暗号化のためのモジュールである。

FASCINATORが開発された1980年代末のモトローラ社の通信部門は30億ドル以上の売り上げがあり、この当時アメリカ政府やアメリカの公共機関向けの携帯型無線機など多くの通信機器の製造と販売を行っていた。これらの無線機のための音声暗号化モジュールも独自に開発しており、1976年に連邦情報処理標準 (FIPS) として採用されたDES (Data Encryption Standard) 方式のモジュールを含む複数のものが作られた。しかしDES方式は56ビットの鍵長しかないなど暗号強度が低く、NSAはこれらをタイプ1プロダクトと認めていなかった。

軍用のフィルデバイスKYK-13。FASCINATORへの暗号鍵の設定に使われた。

モトローラは1989年頃にセイバー (SABER) と呼ばれるデジタル方式の携帯無線機を開発した[4]。これは当初米軍向けに開発されたものだったが[4]、DES方式のモジュールのみでは軍事用の機密情報のやり取りには利用できないため、同じ頃にNSAの基準に従う音声暗号化モジュールであるFASCINATORも開発されることになった。

DES方式のモジュールとFASCINATORモジュールは直接差し替え可能だが[2][4]、暗号化方式が異なるためそれぞれのモジュール間に互換性はない。また、暗号鍵を音声暗号化モジュールに設定する装置であるフィルデバイス(fill device)には、モトローラ独自の装置である KVL (Key Variable Loader) ではなく、米軍の暗号化装置用に使われていたKYK-13が用いられた[2]

FASCINATORモジュールはNSAから提供された暗号鍵を用いた場合にのみタイプ1と認められ、それ以外の暗号鍵の使用は禁止されていた[1]。当時の暗号鍵は紙テープの形で提供され、紙テープ読み取り装置であるKOI-18を経由してKYK-13フィルデバイスにいったん格納し、KYK-13と無線機との間を専用のインターフェースボックスで接続してロードを行った[1]。 暗号鍵の標準使用期間は1週間で、週ごとに暗号鍵の入れ替えを行う必要があった[1]

音声は適応デルタ変調の一種であるCVSD (Continuously Variable Slope Delta modulation) により12 kbpsのデジタル信号に変換した後に暗号化された[1]。暗号化には、軍用の暗号化装置KY-57/KY-58などのVINSONファミリーで使用されるSAVILLEアルゴリズムが使用されていたと言われる[4]。しかし音声符号化時のビットレートが異なるなど、FASCINATORとVINSONファミリーとの相互運用性はない[1]

対応機種

FASCINATORと相互運用性があるAN/PRC-152の外観。モトローラのSABERシリーズと同程度の外観と大きさである。

FASCINATOR秘話モジュールはモトローラの携帯無線機であるSABER、SPECTRA、MCX100、MX300、MX300-S、PX300S、SYNTOR X9000、SYNTOR X9000 Eや、ブリーフケース型の可搬式無線中継機Portable Repeaterで使うことができる[5]。 また、米軍で多く使われている軍用無線機AN/PRC-117F英語版や、携帯型のAN/PRC-148J、AN/PRC-152秘話モジュールは異なるがFASCINATORと同じ暗号化方式をサポートし相互運用性がある。

対応機種の1つであるSABERシリーズを例に挙げると、機能と外観の異なる多くのモデルがあり、すべてのモデルでFASCINATORモジュールが使えるわけではない。SABERには秘話モジュール対応機種と非対応機種とが存在し、使えるのは秘話モジュール対応機種のみである[4]。両者の外観はほとんど変わらないが、対応機種は非対応機種と比べると秘話モジュール分だけわずかに高さが異なる[4]。またFASCINATORモジュールの性格上、アメリカ国内向けの認可されたモデルのみでしか使用できない[4]

SABERシリーズで使用可能な秘話モジュールはFASCINATORモジュールやDESモジュール、モトローラ独自の暗号化方式を用いるものなど複数あり、すべて同じサイズである。モジュール下部には2列に並んだ接続用の20本のピンがあり無線機のメイン基板に差し込めるようになっている[4]。SABERシリーズ用FASCINATORのモジュール名は"NTN7298"である[4]

脚注

  1. ^ a b c d e f Department of The NAVY (1989年8月31日). “Operational Security Policy for Communications Equipment with FASCINATOR”. 2014年4月3日閲覧。
  2. ^ a b c d Jerry Proc (2001年3月23日). “FASCINATOR”. Jerry Proc. 2014年4月3日閲覧。
  3. ^ CNSS. National Information Assurance(IA) Glossary, p.78, April 2010.
  4. ^ a b c d e f g h i General Services Administration (2013年6月4日). “Motorola SABER”. 2014年4月3日閲覧。
  5. ^ NSA. Information Systems Security Products and Services Catalogue, p.1-11, Jan. 1992.

参考文献

関連項目


ファシネーター

(fascinator から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 15:23 UTC 版)

ロイヤルアスコットでのキャサリン王太子妃、2017年。

ファシネーター (fascinator) は、英国発祥[1]女性及び女児用のヘッドドレスで軽く装飾性の高い頭部の装身具である。カチューシャ (アリスバンド) やヘアクリップ、の上に羽根ビーズリボンレースなどをあしらったものなどがある[2][1]。クラウンと呼ばれる本体部分とつばとからなる伝統的な帽子とは構造が異なるが[3]、結婚式などのフォーマルな場で帽子の代わりに用いることができ、婦人用帽子と髪飾りとを合わせたような性格を持っている。夜のパーティなどで使用されるものはカクテルハット (Cocktail Hat) の名前でも呼ばれる。転じて、魅惑的な物や人物のこともいう。

概要

ベアトリス・オブ・ヨーク王女が着けたファシネーターのデザイン画

魅惑するものという意味を持つファシネーターという言葉は、元々はショールを小さく軽くしたようなレースのかぶり物を意味し、17世紀にはすでにヨーロッパで使われていた[4]。現在のようなデザインのファシネーターはイギリスで活躍する婦人用帽子デザイナーが生み出した。1970年代末から1980年代にかけてロンドン近郊のルートン(Luton)を拠点とする帽子商の間で受け入れられていき[4]、1990年代になるとイギリスの結婚式などで一般的に使われるようになった[4]。その後オーストラリアやアメリカにも広がった。

ファシネーターは軽量で、インドア・アウトドアのいずれでも着用でき、通常の婦人用帽子で必要になることが多い運搬用のかさばる箱も不要で、帽子と比べ圧迫感がなく入念にセットした髪型が乱れないという利点がある[5]

ファシネーターは帽子の着用が必要とされるようなフォーマルな場で婦人用帽子の代替として使用される。イギリスでは、2011年のウィリアム王子とキャサリン・ミドルトンの婚礼ベアトリス・オブ・ヨーク王女が着けていたものが良く知られている。これはイギリスの婦人用帽子デザイナーのフィリップ・トレーシーがデザインした[6]。奇抜なデザインからトイレの蓋のようとも揶揄されたが[6]、婚礼の後にチャリティーのため eBay のオークションに出品され、その有名さから131,000ドルで売却された[6]。 この結婚式の参列者であるスペインのソフィア王妃や、イギリス副首相ニック・クレッグの妻であるミリアム・ゴンザレス・デュランテスなどもファシネーターを身につけていた[7]

キャサリン妃は2011年のカナダ訪問の際にカエデの葉をモチーフにしたファシネーターを使用した

花嫁のキャサリン妃自身もファシネーターを好み外遊の際などに身につけることが多い[8]。例えば、2011年のカナダ訪問ではカナダのシンボルである赤いサトウカエデをモチーフにしたファシネーターを使用した[9]

また、2008年5月にエリザベス2世の孫であるピーター・フィリップスとオータム・ケリーとの挙式がウィンザー城の聖ジョージ教会で行われたが[10]、この時には参列したエリザベス2世自身が羽根飾りのあるファシネーターを着けていた[11]

また、ファシネーターは結婚式だけではなく葬儀でも使用される。セント・ポール大聖堂で行われたイギリス元首相マーガレット・サッチャーの2013年の葬儀の際にも、オペラ歌手のキャサリン・ジェンキンスなど多くの女性が黒のファシネーターをつけて参列した[12]

世界的に有名な競馬のイベントでドレスコードの規定もあるイギリスのグランドナショナル、オーストラリアのメルボルンカップ、アメリカのケンタッキーダービーなどでも、婦人用帽子の一種としてファシネーターは女性の一般的な装身具となっている [13]

伝統的な帽子と比較するとファシネーターのデザインとモチーフの自由度は大きい。2010年のMTV Video Music Awardsレディー・ガガ牛肉のドレスと共に着けていたファシネーターは同じ生の牛肉をモチーフにしたものだった[14][15]。伝統が重視される場ではこのような自由さが問題となることがある。

例えば、イギリス王室が所有するアスコット競馬場で6月に行われる伝統の競馬「ロイヤルアスコット」では決められたドレスコードの範囲内で競い合うように華麗なドレスや個性的な帽子を着用する習わしがあり[16]、一般席では奇抜なデザインのファシネーターを着用する女性も多い。このような背景から、伝統を重んじるロイヤルアスコットでの貴賓席(ロイヤル・エンクロージャー)のドレスコードのみは2012年に変更され、婦人のファシネーター着用は禁止され通常の帽子を着用することが決められた[17][18]

着用

ユージェニー王女 (左) とベアトリス・オブ・ヨーク王女(右)、 2013年6月

ファシネーターは伝統的な帽子と比べ着用方法の自由度が高く、さまざまなアレンジができる。着ける場所の選択肢も広く特別な決まりはないが、通常は頭の横か前に着用する[19]。高さは眉毛のすぐ上の位置、レースがついている場合はレースが少し目の下になる程度が最も見栄えが良いと言われる[19]

髪型はシンプルな方がファシネーターのデザインを生かすことができる[19]。頭の大きさやヘアスタイルとのバランスも重要で、頭の大きさやヘアスタイルのボリュームに比例した大きさのものを選ぶとバランスを取りやすい[20]

クリップや櫛でつけるタイプは位置の自由度が高く、前にも横にも着けられる[20][19]。ただし固定の関係であまり下の位置には着けられず、またファシネーターを支えるため髪型に一定のボリュームが必要になる。櫛でつけるタイプをしっかり固定するためには、取り付ける場所の逆毛を立て少しボリュームを増やすようにする[20]。ファシネーターをつけた後、櫛の周辺にヘアスプレーを用いると固定しやすい。この際ファシネーターそのものにはスプレーがかからないようにする。必要な場合はさらに数本のヘアピンを用いて固定する[20][19]

アリスバンドで取り付けるタイプは、位置の自由度が低いが、頭には比較的しっかりと固定できバンドも目立ちにくい[20]。髪の毛を後方にすこし引っ張りながらバンドを着け、髪を元に戻すとバンドの部分を髪の毛で隠すことができる。

ファシネーターの例

脚注

  1. ^ a b Beverly Chico. Hats and Headwear Around the World: A Cultural Encyclopedia, p.159.
  2. ^ Definition of fascinator”. Oxford University Press (2014年). 2014年7月5日閲覧。
  3. ^ Brenda Grantland, et al. Hatatorium: An Essential Guide for Hat Collectors, p.74.
  4. ^ a b c Betty (2010年). “Fascinator: history of a hair accessory”. V is for Vintage. 2014年7月5日閲覧。
  5. ^ LJ Designs (2010年). “Just Fascinators”. LJ Designs. 2014年7月5日閲覧。
  6. ^ a b c Nick Carbone (2011年11月7日). “The Top 10 Everything of 2011: 3. Princess Beatrice's Fascinator”. Time Inc. 2014年7月5日閲覧。
  7. ^ Hats and fascinators: Royal wedding fashion”. Telegraph Media Group (2011年4月29日). 2014年7月5日閲覧。
  8. ^ Kelly Lynch (2012年3月10日). “Our Favorite Fascinator Lady: Catherine, Duchess Of Cambridge”. SpinMedia. 2014年7月5日閲覧。
  9. ^ Sarah Anne Hughes (2011年7月2日). “Catherine, Duchess of Cambridge, wears a maple-leaf hat on Canada Day”. The Washington Post. 2014年7月5日閲覧。
  10. ^ Andrew Alderson (2008年5月11日). “Royal wedding: Peter Phillips and Autumn Kelly tie the knot”. Telegraph Media Group. 2014年7月5日閲覧。
  11. ^ Royal wedding: Peter Phillips weds Autumn Kelly”. Telegraph Media Group (2008年5月11日). 2014年7月5日閲覧。
  12. ^ Martha De Lacey (2013年4月17日). “Baroness Thatcher's funeral in St Paul's Cathedral”. Associated Newspapers Ltd.. 2014年7月5日閲覧。
  13. ^ 例えば、メルボルンカップのスタイルガイドの写真や、2015年版Victria Racing Club Members' Style Guide(PDF)の写真にはファシネーターをつけた女性が紹介されている
  14. ^ Lady Gaga's meat dress 'No. 1' fashion statement of 2010”. The Independent (2010年12月17日). 2014年7月5日閲覧。
  15. ^ Clare Douglas (2011年4月24日). “The rich history and modern rediscovery of the fascinator”. National Post. 2014年7月5日閲覧。
  16. ^ 紳士淑女の集い 英競馬ロイヤルアスコット”. 時事通信社 (2013年6月20日). 2014年7月5日閲覧。
  17. ^ Fascinators in ban at Royal Ascot's Royal Enclosure”. BBC News (2012年1月18日). 2014年7月5日閲覧。
  18. ^ Racegoers' Guide - Dress Code (Internet Archive)”. Royal Ascot (2012年1月18日). 2013年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月5日閲覧。
  19. ^ a b c d e Linda Barrett (2011年8月31日). “How to wear a Fascinator - Manners & Etiquette”. Meredith Sweetpea. 2014年7月5日閲覧。
  20. ^ a b c d e J.D. Wollf. “How to Wear a Fascinator”. eHow. 2014年7月5日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク




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