「父を返してくれなければ出ない」ロマーリオの父誘拐…W杯狂騒曲
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語り継がれる勝負やゴールは数え切れない。トラブルや判定論争も、たびたび世を騒がせてきた。サッカーの祭典・ワールドカップ(W杯)の歴史を、エピソードで振り返る。(デジタル編集部)
1990年代にブラジルの絶対的なエースとして活躍したFWロマーリオ。94年米国大会は、開幕前に母国で父親のファリア氏が誘拐される事件に直面した。この難局を乗り切って大会に臨んだスーパースターは、チームを優勝へと導き、MVPにも輝いた。
AP通信の当時の報道などによると、誘拐犯はロマーリオ側に身代金700万ドル、当時のレートで約7億円を要求した。しかし、おとなしく従うロマーリオではなかった。「父を返してくれなければ、W杯に出ない」と、メディアを通じて犯人へのメッセージを発信。これが、サッカーに熱狂的な国柄にあって奏功する。ファリア氏は6日間で解放され、警察に無事発見された。
父の解放後、ロマーリオは「人生で最も難しい6日間だった」と振り返った。ファリア氏は、犯人が要求した身代金の額を知らされて「自分に700万ドルの値段がつくとは思わなかったね。あのサッチャーさん(元英国首相)だって、そこまで高くはないだろう」とのコメントを残している。