ハタハタの漁獲量、94トン減の17トンで過去最少の見込み…「赤字続きで漁師いなくなる」
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2024年漁期のハタハタの漁獲量は、漁の最盛期が終了した今年3月末時点で沖合と沿岸を合わせて17トン(前年比94トン減)にとどまり、資源量回復のための禁漁が明けた1995年以降で最少となる見込みとなった。漁獲量の減少が深刻なことから、従来の小型魚だけを保護する手法の見直しも提案された。(池田航大)
22日に秋田県男鹿市の県水産振興センターで開かれた県や漁業関係者でつくるハタハタ資源対策協議会で報告された。
県は、ハタハタの漁獲量を9月~翌年6月の管理漁期ごとに算出している。2024年漁期の漁獲量は沖合が15トン(前年比3トン減)、産卵で沿岸に近づく「季節ハタハタ」が2トン(同91トン減)で、いずれも1995年以降で最少となった。
県は漁獲量が低迷している原因について、そもそもハタハタの資源量が大きく減少していると指摘。県によると、過去の統計から資源量が少ないと季節ハタハタの初漁日が遅くなる傾向があるという。実際、昨年の初漁日は禁漁明け以降で最も遅い12月15日だった。
また、県内で水揚げされるハタハタは、富山、新潟、山形、秋田、青森各県にかけて海域を回遊する「日本海北部系群」に属する。これら5県の2024年の漁獲量も40トン(速報値)にとどまり、前年から121トン減少していることも全体の資源量が減少していることを示しているという。
加えて、県の調査によると、漁獲されたハタハタは3歳魚が最も多く、1、2歳魚が少ないことから「25年の漁期以降も漁獲が少ない状況が続く」との見通しも示した。
県内では、ハタハタの資源量減少を受け、1992年9月から3年間、自主禁漁した経緯がある。この日の会合でも禁漁の可能性に話題が及んだが、同センターの松井崇人主任研究員は「資源量減少のペースが想定よりも速く、禁漁をしたとしてもどれほど増えていくか分からない」として、現時点で禁漁に踏み切る可能性は否定した。
また、県は10年ほど前から、網目を大きくすることなどで小さな個体の漁獲を抑え、資源量の回復を目指してきた。しかし、「小型魚がほとんどいないことから、親となる大型魚の資源も残していかなければならない」として、従来の小型魚だけを保護する手法を見直すことも漁師側に提案した。
男鹿市の漁師の男性(67)は会合後の取材に「ハタハタは県にとって大切な文化なので、漁を続けているが、近年は常に赤字が続いている。このままでは県内で漁師をやりたいと思う人がいなくなってしまう」と危機感を強めていた。