松本潤さん騎馬武者行列の68万人ってホント? 浜松・来場者数に疑問の声
2023年5月18日 05時09分 (5月19日 19時48分更新)
松本潤さんら大河ドラマ「どうする家康」の出演者を迎え、浜松市中心部で繰り広げられた五日の騎馬武者行列を巡り、ユースク取材班に「来場者は六十八万人もいなかったのでは」という声が寄せられた。関係者に数字の根拠を尋ねると、実態との隔たりが浮かんできた。
「観覧定員の二万二千人を含め、沿道などに六十八万人(主催者発表)が詰めかけた」。本紙も六日付で報じた来場者数に異議を唱えたのは投稿者だけではない。県警関係者の見立ては「観覧定員の倍くらい」。当日の警備に携わった関係者も「五、六万人じゃないか。多くても十万人ぐらいだろう」と推察する。
浜松市観光・シティプロモーション課によると、発表は市職員の調査に基づく。行列出発前に観覧席外の歩道で実施。二十分間で、四十平方メートルの範囲を何人が通ったかを数えた。これに中心市街地の沿道面積と時間を掛け合わせるなどし、観覧席の約二万人を加えた。
同課の担当者は「実数を測るのは現実的には難しい」と認めた上で「調査方法は日本観光協会(現日本観光振興協会)のガイドラインにのっとったもの」と説明する。「一定面積の最盛時の利用者×回転数(時間)×全体の面積÷一定面積」で求めたもので、最も多く見積もった数字というわけだ。
一方、十二日付の本紙は大型連休中の人出として「浜松は、前年からの伸び率が28・8%増の十四万人だった」と報じた。こちらはIT企業のクロスロケーションズ(東京)がスマートフォンアプリ利用者から得た匿名の位置情報を基に分析した数字だ。
十四万人はJR浜松駅周辺五百メートルの推計値で、大型連休中の土日祝日の一日平均。同社によると、五日はこれを上回る十五万八千九百八十三人だった。スマホを持っていない人を考慮し、同じ人を何度も数えないように計算上の工夫をするなど実数に近づけているという。
行列はコースの大半が駅から五百メートルの範囲内だった。範囲外だった出発地点に詰めかけた人数を加えたとしても、六十八万人との開きは大きい。同社の担当者は「主催者側は大きく出したいので、データとの差が五倍くらいになることもある」と指摘する。
木村拓哉さんらが出演した昨年十一月の「ぎふ信長まつり」の来場者は四十六万人。ディズニーのパレードが行われた二〇一三年の浜松まつりは四十三万人が訪れた。いずれも主催者発表で実数は不明。ただ、同社の担当者は「そこを突き詰めても誰も幸せにならない。データではどこから来たか、どこを回遊しているかも分かるので、今後のイベントにつなげてもらえれば」と話している。
(高橋雅人、木造康博、鈴木弘人)
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