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【SS】回歴する紫風信子chapter3|あにまん掲示板
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【SS】回歴する紫風信子chapter3

  • 1125/06/08(日) 12:30:34

    名もなき神々の王女が覚醒した世界戦から本編世界戦に転移したミドリが世界を救うために戦う話
    chapter3開幕


    少女はかつての友に何を見るか

  • 2125/06/08(日) 12:34:50
  • 3125/06/08(日) 12:37:09
  • 4125/06/08(日) 12:38:19
  • 5二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 12:49:09

    10までksk?

  • 6二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 12:50:29

    もっと夜に建てれば?

  • 7125/06/08(日) 13:07:55

    ざっくりとしたプロローグ
    パヴァーヌ2章、要塞都市で名もなき神々の王女が覚醒してしまった世界線。才羽ミドリは姉のモモイ、特異現象捜査部部長のヒマリと共に神々の王女と化したかつての仲間、アリスと戦い続けてきた。が、抵抗虚しく、母校は王女を構成するパーツとなり、大切な仲間すら無残に散っていった。それでも、希望のため、かつての日常のため、ミドリ達は戦った。
    キヴォトス中に魔王の手が蝕んできたころ、ヒマリの指示でミドリ達はトリニティ跡地へと向かい、対抗手段である『ヒエロニムス』を手にして王女と最後の戦いを繰り広げた。
    ヒエロニムスの力により善戦はしたものの、王女の主砲がヒエロニムス、ミドリを庇ったモモイを貫き、敗北。
    モモイが死に際に遺した祈り、願い。この世界の無念の思い。それが奇跡を起こしたのか、倒れたはずのヒエロニムスがミドリを転移をさせた

  • 8125/06/08(日) 13:10:27

    あらすじ1-1から1-3
    エデン条約を前に、通功の古聖堂に下見に来ていたミカは、壁に倒れている少女を発見する。その少女こそが転移してきたミドリであった。
    ミドリはミカの対応によって一命を取り留める。帰る場所がないことから、ミカの提案により、彼女の家に住ませてもらう事になったミドリは、桃園ムスカリという偽名を使い、トリニティへと編入しようたする。その途中、ナギサに疑いを向けられるがセイアの手助けによって何とか編入に成功し、新しい生活を送り始めた。
    その後、ミドリはいくつかのトラブルを経て正義実現委員会に入り、活動をしていった

  • 9125/06/08(日) 13:26:01

    あらすじ1-4
    リオが名もなき神の研究を既に行っている事を知ったミドリはエリドゥの様子を確認しにミレニアムサイエンススクールへと向かう。だが、心の傷は深く、彼女はミレニアムで発作を起こして倒れてしまう。
    奇妙な事に、夢の中で死んだはずの姉に出会ったミドリは彼女に励まされ、前を向いて現実へと向き合った
    目覚めたミドリの前には彼女の先輩であるユウカが倒れたミドリの様子を見ていて、ミドリは正体を隠しながらユウカと共にミレニアムを回ったが、ウタハの助言もあり、ユウカは共に行動している少女が別の世界か未来からきたミドリと気づいた。
    ユウカがその事を詰めると、ミドリは自らの正体を認めてユウカに秘密を打ち明ける
    そうしてユウカに打ち明け、秘密を共有したミドリはユウカに見守られながらトリニティへと戻った

  • 10125/06/08(日) 13:35:09

    あらすじ1-4(その2)
    トリニティに帰る道中、偶然入った店で見つけたテイルズサガクロニクルを買ったミドリはそれを鞄から落としてしまい、それを拾ったミカがプレイしてしまった。 
    ミカは無茶苦茶なシナリオや異常な高難易度、その他多数の理不尽に巻き込まれながらもミドリの手助けもありクリアに成功した。

  • 11125/06/08(日) 13:38:16

    >>6

    若干後悔してるけど建てちゃったしこのまま行こうかな?


    やっぱ夜の方が良いんですかね?

  • 12125/06/08(日) 14:44:02

    登場人物1

    才羽ミドリ(回歴)
    (偽名:桃園ムスカリ)
    トリニティでミカと共に生活している少女
    名もなき神々の王女との戦いの末、本編世界に転移してきた。本人は過去だと思っている(あながち間違いではないが)
    仲間を失い、学校を失い、姉を失い、絶望を味わっているが転移してきた世界で出会ったミカ、世界をやり直せるかもしれないという希望を拠り所に生きている。メンタルは何度も壊れかけたからか、表面上は逆に強くなっている。
    転移後、ミカと出会い、彼女の家に住まわせてもらっている。
    武器はミカが修理したユズの遺品とウタハから譲り受けた拳銃。戦闘はこの2丁を活かした技術特化の戦闘を得意としている
    素性を隠しながら、かつて掴めなかった希望のために戦い続けている

    聖園ミカ
    ティーパーティーパテル派のトップ
    古聖堂で倒れているミドリを見つけ、それ以降彼女を気にかけている。素性、過去を話せない上、家すらない彼女を放っておけず、ミドリを自分の家に迎えて、一緒に生活を始めた
    ミドリはトリニティと関係がなく、立場も気にしなくていいため、彼女と関わるときのミカはすごく楽しそうである。
    ミドリを編入させようと提案した人。そのせいでナギサとは対立している
    どこかの学校と和平条約を結ぼうとしているみたいで?

  • 13125/06/08(日) 15:02:35

    登場人物2

    早瀬ユウカ
    セミナーの会計
    ミドリ(回歴)の秘密を知っている唯一の少女。
    ミレニアムで倒れかけたミドリを手当し、共に巡っている中で、偽名を使っていたミドリの正体に気づいた
    詳しいことは知らないが未来から来た彼女を支えようと、連絡を取っている。

    白石ウタハ
    エンジニア部部長のマイスター
    ミドリ(回歴)の持つ武器がユズの物だと気づいたことで、彼女が何か違う世界の者なのではないかと推測したやばい人。
    彼女のスタンスから本人には直接聞いては聞いていないが、正体に気づき、拳銃を与えた

    桐藤ナギサ
    ティーパーティーフィリウス派トップ
    エデン条約が近づいてきており、精神的な余裕があまりない
    身元もこれまでの経歴も不明なミドリの事を怪しんでいる。ホストであるセイアの手前編入を承認したが、ミドリの事は未だ要注意人物として監視を続けている。ミカとはこの件については対立している

    百合園セイア
    ティーパーティーサンクトゥス派トップ
    ミカとナギサの対立を収めてミドリの編入を承認した人。元々ミドリは彼女の予知夢に存在しなかったため、ミドリが何らかの世の理を超えていると気づいている。それでもミドリの編入を認めたのは、新しい夢で彼女がトリニティのために戦う姿を見たからである

  • 14125/06/08(日) 18:07:21

    青森ミネ
    救護騎士団団長
    転移してきたミドリの治療、入院中の看護を担当した。

    仲正イチカ
    正義実現委員会の一員
    本人の統率力、後輩との連携を生かして初対面のミドリとも連携をとって暴動の鎮圧をした
    ミドリに正義実現委員会を勧誘した

    剣先ツルギ
    正義実現委員会委員長。トリニティの戦術兵器
    ミドリのピンチに現れ、1人でアリウスの兵数十人を蹂躙した。
    ミドリとの戦闘訓練で、彼女の技術を気に入りそれ以降目をかけている

    静山マシロ
    正義実現委員会のスナイパー。真面目で正義感が強く、正義とは何かという哲学的な側面についても深く考えている。1年生ながら、実戦経験が豊富で、ミドリとの任務も連携を取りながらこなした

    ???
    アリウス生を率いている、リーダーのような存在。ミドリ、ツルギによる鎮圧からアリウス生を煙幕弾を使い回収した。
    とあるトリニティ生と現ティーパーティーホストであるセイアの襲撃について話していた

  • 15二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 18:35:27

    もうあと埋めるだけだと思ってた前スレ、急に不穏なのぶっ込んで来たな……

  • 16125/06/08(日) 21:45:43

    ミレニアムに行った日から3日たった。
    あの日の波乱が嘘のように私は日常を送っている。日中は正義実現委員会で治安維持に務め、陽が落ちてからは名もなき神について調べていく。そんな日常をおくっていた。あの日から変わったことは、ユウカが時々動いてくれてる事や、ミカさんともっと仲がよくなった事だ。特に、ミカさんに関しては、あの日以降一緒に遊ぶ事が増えた。それに明日はショッピングに誘われている。

    ーーー

    「そこか!」

    煙幕の中、銃声が響きわたる。

    「っ!…参りました」
    「ケヒヒ、まだまだリロードが甘いな。せっかく2丁持っているんだ。グレネードランチャーのリロードに合わせて拳銃で威嚇してみろ」

    そして今はツルギ先輩の元で、戦術訓練をしてもらっていた。やっぱりまだフイジカルも技術も敵わず負けてしまうが、その度にツルギ先輩は、その場その場に合わせて戦法を教えてくれる。
    内容こそ難易度が高いものばかりだが、習得すると動きの質が格段に向上するのを実感する

    「よし、もう1本だ。実戦で試してみろ」
    「…はい!」

    ツルギ先輩の動きを目でおい、移動先を読んで銃弾を打つ。そして回避先にもう一発。
    命中。初日よりは動きも読めるようになってきたみたい。
    ツルギ先輩は銃弾を受けながらも突撃し私に数発撃ち込んでいく。それを私は銃身で受けて煙幕を投げつつ、距離を取る。
    そして、体勢を下げ、リロードしながら拳銃で威嚇射撃を教わった通りしようとした。が、流石にそんなうまくはいかず、グレネードランチャーを落としてしまい、抵抗はしたが、そのまま負けてしまった

    「今日は終わりだ。動き自体は悪くはなかった。そのまま続けていけ」
    「はい。また明日お願いします!」
    「…ああ、また明日。」

    そうして活動終わりの訓練を終え、私は屋敷へと帰っていった

  • 17二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:34:36

    >>16

    リロードに合わせて射撃すんのはこっちでもホシノくらいしかやらないんですよ委員長…

  • 18二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 06:41:11

    保守

  • 19二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 11:01:16

    リロードしながら威嚇射撃なんて一定以上の強者じゃないとできないんすよ

  • 20125/06/09(月) 18:28:51

    「お帰りミドリちゃん」

    ミカさんに迎え入れられて屋敷に入ると、そのまま私は2人分の食事を作って、会話をしながらご飯を食べる。明日のお出かけの話をしてそしてそのまま私は一日を終えた。

    そして次の日、早朝に訓練をすませたミドリはミカに教えられていた店へと向かった。
    「アクセサリーショップですか?」
    「うん!私のお気に入りのお店。ミドリちゃんにも一度きてほしかったんだ」
    ミカさんはそういうと私の手を引っ張って、店内へと案内する。

    「うわぁ…。可愛い…!」  

    店内に入ると、いろんなアクセサリーが綺麗に飾られていて思わず興奮してしまった。ちょっぴりはしゃいじゃった後、ミカさんを見るとニコニコと私の事を見ていた。

    「ね!そうだ…これつけてみて」

    ミカさんはそう言って私に何種類かの髪留めを渡してくる。私は言われるがままにそれをつけて鏡で見た。

    「わぁ…!うん、すごく可愛いよミドリちゃん!」
    「あ、ありがとうございます」

    あまり誰かと一緒にアクセサリーショップに行くことがなかったからそう褒められるのに気恥ずかしさを覚える。

    「何か気に入ったのあった?」
    「このシュシュが特に。…うーんでも、全部可愛くて、いいんですけど…やっぱりいつものが1番しっくりときますね。」

    そう聞かれて、昔からずっと付けているリボンのヘアゴムを指差す。

    「毎日つけてるもんね。やっぱりお気に入りなんだ?」
    「はい…。昔お姉ちゃんと買って、それからずっと使ってて。」
    「うーんじゃあ髪留め以外を…これとかどう?」

  • 21125/06/09(月) 18:32:05

    ミカさんは髪留めを戻すと、次から次に私に色々なアクセサリーを勧めてきた。それを1つ1つつけて、選んでいく。
    そんなことをしばらく続けているとミカさんは何かを思いついたみたいで、少しその場を外した。

    私はその間1人でじっくりとアクセサリーを眺めて、時々手に取ってつけてみていた。普段あまり見ないようなものもやっぱり沢山あって、私の注意を引き続けていた。そのせいか、私は戻ってきたミカさんに気付けなかった

    「お待たせミドリちゃん!」
    「うわっ、ミカさん!?いつの間に」
    「ふふっ、ちょっと前から。ミドリちゃん、ちょっと手を貸して!」

    ミカさんにそう言われ私は右手をミカさんに向かって出すと、ミカさんは微笑みながら取り出したそれを私の右手に優しい手付きでつける。

    「シュシュですか?」

    ミカさんがつけたのは紫色のシュシュだった。

    「うん。でもそれだけじゃなくて…じゃーん!どう?お揃いで買わない?」

    そう言いながらミカさんも左手につけたシュシュをわたしに見せる

    「そうですね。買いましょうか」
    「ありがとミドリちゃん。」

    その後私たちは会計を済ませてお店を出た。結局あの後もミカさんに色々お勧めされて買ってもらっちゃった。ちょぴっり申し訳なさを感じたが、2人で遊んで回っているうちに楽しさで忘れていった。
    その後はいろんな場所を巡って2人で遊び、あまりの楽しさに気づいた時にはもう日が暮れていた

  • 22125/06/10(火) 00:05:54

    私たちはレストランに入って夕食を食べ始める。一日の思い出を振り返りながら話していると、鞄から振動音が聞こえた。

    「ムスカリちゃん。通知来てない?」
    「えっ?あっほんとだ。」

    『ムスカリ、ちょっといいか?』
    『この後、臨時の任務が入ったんだが行けるか?』

    「ツルギ先輩からです」
    「ツルギちゃんから?どうしたんだろうね?」
    「なんか、任務が入ったみたいで私にも来てほしいって」

    そう言うとミカさんは少し寂しそうな顔をするが、すぐに切り替えて笑う

    「うーん。もっと遊びたかったけどしょうがないね…。行っておいでムスカリちゃん」

    ミカさんのその言葉に後押しされて、私はツルギ先輩に返信を送る

    『行けますよ』
    『感謝する。場所は送るからそれを見てきてくれ』

    文章と共に写真が添付される。…ここは、大聖堂?珍しい場所だね

    私は急いで残りのご飯をかき込んで、そのままミカさんを残して任務へと出発した

    「それじゃあミカさん、行ってきます!」
    「うん、いってらっしゃい」

  • 23二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 08:47:07

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 18:36:03

    保守

  • 25125/06/10(火) 21:40:18

    聖堂へとつくとそこにはすでに十数人の正義実現委員会部員が集まっていた。

    「あっムスカリちゃん、きたっすね。」

    イチカちゃんは私に気がつくと手を振って私の事を呼ぶ
    すでに到着していたメンバーはツルギ先輩をはじめとして、ハスミ先輩やマシロちゃんと正義実現委員会のなかでも特に腕の立つメンバーが揃っていてただ毎じゃないのが一瞬で理解できた。

    「今日はどうしたんですか?こんな時間に、それも主要メンバーがこんなに集まっているなんて。」

    私は周りを指差しながら、イチカちゃんにそう聞いてみる。改めて確認すると、偵察部隊のトップや支援班も来ていて、事の大きさを実感する。

    「エデン条約分かるっすか?」
    「はい。トリニティとゲヘナの和平条約ですよね?」
    「そう、それっす。で、当然件の条約を快く思わない連中がいるみたいでそいつらがここの聖堂を破壊しようとしているっていう情報をもらって特殊任務として腕の立つ人を集めた感じっすね。」

    なるほど。それでこんなに。
    それほどティーパーティー側も重視している政策なのだろう。なら、私も未然にトラブルになることは防ごう。

    私たちは数グループに分かれて聖堂の中や陰に身を潜めて襲撃者がやってくるのを待っていた。

    「ムスカリ先輩、何やってるんですか?」
    「銃の整備だよ」
    「そうじゃなくて…なんで今なんです?」

    待機中、私が銃を整備していると一緒のグループに配属されたマシロちゃんがそう聞いてくる
    私は手を動かしながら、マシロちゃんの問いに答えた

    「今だからこそだよ。大事な戦いで銃が動かなくなったら困るからね。それに、銃の整備って意外と瞑想の代わりになるんだ。」
    「なるほど…そういう考えもあるんですね。私はこういうときは予め用意しておくので。」

  • 26二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 05:10:59

    エデン条約か
    ミドリはどう関わってくるのか

  • 27二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 12:24:33

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:58:56

    はやめに

  • 29125/06/11(水) 20:14:35

    「ムスカリ、整備はその辺りにしとけ。…物音がする。」

    マシロちゃんと小声で話しながら整備を続けていると、ツルギ先輩が私に声をかけた。私も耳をすませて確認するとたしかに誰かの足音が聞こえる。
    音を聞くかぎり人数ば多くて十数人かな?銃も…うん、大丈夫。
    私は銃を構え、臨戦体勢になる。

    しばらく様子を伺っているとその十数人のトリニティ生は聖堂内へと入り何かをはじめる。

    『鎮圧しましょうか?』
    「…もう少し待て。無駄に抵抗されたら聖堂に被害がでる。奴らの隙をついて一瞬で鎮圧する」

    ツルギ先輩が指示を出し、私たちは銃を構えた状態で待機する。
    暫くすると少女達のうちの1人が背負っていた鞄から何かを取り出す。

    その直後だった。私の横で風を切る音が聞こえた。横をちらりと見るとマシロちゃんが発砲しており、爆弾を設置しようとした少女の腕に銃弾が当たる。その一発を皮切りにそのまま他の方向からも何発か銃弾が撃ち込まれる。

    銃弾を打ちこまれた少女は倒れ、周りにいた仲間達の間にどよめきが走った。彼女達の混乱をみのがさず、ツルギ先輩は制圧へと動き、私もそれについて飛び込む

    「キヒヒ、ギャアアァ!」
    「な、何で正義実現委員会がここにいるのよ!」

    ツルギ先輩と私の登場によって少女達の混乱は更に増す。
    少女達は混乱の中、私たちに対抗しようと発砲してくるが、焦りからか斜線はぶれていて、まともな弾もツルギ先輩はいともたやすく避ける。私も身をひねってよけカウンターに拳銃で2人の腹に撃ち込む。
    ツルギ先輩は突撃と同時に銃弾を受ける事も厭わずに、至近距離から銃弾や蹴りを浴びせて、テロリストを倒していく。私はツルギ先輩が取り溢した相手に銃弾を放っていった
    テロリストは抵抗を続けたものの、正義実現委員会の連携の前では数分ともたずに彼女達は制圧された。

  • 30125/06/11(水) 23:54:47

    「話が違う…!正義実現委員会はここには手が回らないと言ってたのに…何でいるのよ」

    捕まえた犯人達の対応をしていると、ぼそっと呟いているその声を耳にする。

    「その話、ちょっと聞かせてくれないかな?」
    「……あんたらなんかに話すわけないでしょ?」

    少女は私から視線を離してぶっきらぼうに吐き捨てた
    …このままだと埒があかないよね。
    銃をこめかみに突きつけて笑顔を見せる。私は私が思う1番怖い方法でその少女に詰め寄った

    「話してくれる?」
    「ひっ!…わ、分かった。分かったわよ!話せばいいんでしょ。だからそれ離して…!」

    ふてくされていた少女の顔が恐怖で引きつる。少女は慌てて私に話しだした。

    「私達がエデン条約の妨害で、この聖堂を破壊するつもりだったのはその感じ知ってるわよね?」
    「うん。知ってる」
    「…とある情報筋から正義実現委員会の動向を伺ってたのよ。実際それは今まではあってた。でも、今日になって急に外れた、しかも狙ったように上層部全員で。あぁあ、これで私たちの計画はお陀仏ね…」

    少女はそう言うとまたふてくされ、黙る。こうなったらもう何も話さないよね。だけど1つ引っかかった。
    とある情報筋…ねぇ。きっとこの犯人達の上にはまだそれをまとめるトップがいるのだろう
    想像以上にあっさりと鎮圧できたことも含めて、今日のこの一連の事件に何か不気味さを感じる。

    まるで、何かから離すためにこのテロリストをダシに私たちを一カ所に集めたような?

  • 31二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 07:24:41

    もしや、いよいよ始まるのか?

  • 32二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 15:34:27

    保守

  • 33125/06/12(木) 19:52:06

    >>30

    tips:生塩ノア(回歴世界)

    ミドリがしたこの脅し方はかつていた世界でのノアがガチギレしたときに見せる姿の模倣です。

    (さすがに銃を突きつけるところまではいかないけど。ミドリが銃を突きつけたのは後述する殺意の代用です)

    本編でコユキにやっている圧をさらに増した上で殺気のような物まではらんでいるため、その怖さは本編世界とは比較にならない。


    主にヒマリとノアが対立したときに稀に見せるノアの珍しい姿。ただ、ヒマリはヒマリで己の信条があったため揺らぐことはなかった

  • 34125/06/13(金) 00:05:16

    そしてその悪い予感は的中した
    作業を続けている私は突然何かが折れるような音が聞き、その音の発生源を見る。そこにはテロリストの銃を砕いたツルギ先輩が焦った表情で立っていた。

    「どうやら私たちはしてやられたみたいだ」

    ツルギ先輩が拳を握りしめて、悔しそうにそう言ったと思いきや、その次の瞬間ツルギ先輩は全力で駆けだした。

    「ツルギ先輩!?」

    …あんなに焦ったツルギ先輩ははじめてみた。いつも余裕そうな表情を浮かべたツルギ先輩があそこまで取り乱すということはきっとただ事じゃないのだろう
    私も急いで飛び出し、ツルギ先輩の背中を追って全速力で走った

    「ツルギ先輩!いったい何事ですか?」

    ツルギ先輩に追いついた私は並走しながら状況の確認を行う。

    「時間がないから端的に言う。セイア様が危険だ」

    ツルギ先輩は走りながらも苦虫をかみつぶしたような顔でそう言い、拳を握りしめた。

    「…セイアさんが?」

    状況を整理して考える。
    私達はついさっきまでテロリストの対応をしていて…。でも、あっというまに鎮圧出来て…。…あれ?

    メンバーが規模の割に不釣り合いであることに気づく。それに犯人の言っていた情報筋…。それが正しいならあの事件自体がダミー?エデン条約締結直前ということを逆手に取っている?つまり…真の犯人達の狙いは私たちの護衛が薄くなったところを襲撃するということ?

    「全部、計画通りだったって事…?」

    敵の狙いに気づいた焦りからか、私は走る速度を上げツルギ先輩と共にセイアさんの屋敷まで向かっていった

  • 35二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 06:24:42

    朝保守

  • 36二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 15:21:26

    ミドリとの交流でミカのメンタルがどの程度変化するか

  • 37125/06/13(金) 22:33:10

    「うわっ…」

    屋敷にたどり着いた私は思わず声を漏らす
    セイアさんの屋敷は所々壁が欠けている上爆発の影響で燃えており、ガラスが砕け散っていた。
    なんて酷い惨状…。まるで…未来のトリニティと同じような。
    …セイアさん。どうかご無事でいてください…!

    転移してきたあの日のトリニティ跡を思わせるようなその惨状に吐き気を催しながらもミドリは急いで屋敷の門をくぐり入り口まで駆けた

    付近には完全に伸びきっている正義実現委員会の生徒が数人いた。護衛だったのだろうが、きっと敗れてしまったのだろう…

    「すまない…私がもっと速くたどりついていれば」

    横を並走するツルギ先輩はそう謝罪しながらも入り口の扉を破壊して建物へと侵入する。

    「セイア様、ご無事ですか?」

    ツルギ先輩は声を張り上げながらセイアさんの自室へと全力で駆けつけ、私もそれを追いかけた。

    だが、もう事は過ぎていた。
    部屋には血だまりの中、倒れているセイアさんの姿があった。

  • 38125/06/14(土) 01:19:39
  • 39125/06/14(土) 02:01:26

    ヘイローが見えない…。気絶だと信じたいけど…もしかしたら。
    最悪の可能性が脳裏によぎる。あの日の光景が目の前のセイアさんに重なって、一瞬意識が途切れそうになる。

    ツルギ先輩も唖然としてその様子を見ていた。声も出ず、動くことも出来ずただみている事しかできない様子であったが、彼女も彼女の整理をしようとしているみたい
    …当然のことだ。体が頑丈なキヴォトス人は基本老衰か病気でしか死ぬことはないのだ。こんな光景を見たらそれはこうなる。
    …あれほど見てきた私も慣れる事はないのだ。

    脈を確認して、応急措置をとらなきゃ…

    使命に駆られ、巡るフラッシュバックととてつもない吐き気の中、視界が点滅しながらも私はふらふらとセイアさんに近づいていった。

    「お二人ともなぜここに?」

    突如背後から声が響く

    「ミネ…さん?」
    「ムスカリさんにツルギさん…なぜ?いや、今はそれどころでは。離れてくださいムスカリさん。そしてツルギさんは今すぐこの部屋を出てください。…これ以上は貴方にも」
    「あ、ああ…」

    ツルギ先輩はぎこちなく答え、体を無理矢理動かして部屋から出て行った。ミネさんはセイアさんに近づくと脈を確認したのちに、傷口の手当てをして優しく担いだ。

    「ムスカリさん。…私の不手際でこの光景を見せてしまい大変申し訳ありませんでした。…その」

    ミネさんは私に語りかけるが言葉が途中でつまる。暫く深呼吸をして覚悟を決めたミネさんは話を再開した
    「……セイアさんは、っ…死亡されました」
    「…………」

    なんとなく、私の体が告げていた嫌な予感が命中した。セイアさんの死亡。その言葉が私の体に重くのしかかる。吐き気が、体の震えが止まらない。

    …何でこういう予感は当たっちゃうの…?また失うの?……1度だけでなく2度も私は…。

  • 40二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 08:02:32

    生徒の4に触れることが多かったとはいえ、慣れるもんでもないしな

  • 41二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 16:50:52

    普通に悲しい

  • 42二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 16:54:06

    これ、ミドリが元の世界で王女覚醒時点でセイアが生きてることを知ってるなら、落ち着いたら自分が過去に来たからこうなったのではとか考え出しそうだな……

  • 43二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 22:04:45

    保守

  • 44125/06/14(土) 22:57:41

    「…セイアさん。ごめんなさい…」

    今の居場所を作ってくれた私の恩人の1人。それなのにまた守れなかった。
    また…守れなかった
    私は…何で大切なものを守れないの…。

    ミドリは体の力が抜け、膝から崩れ落ちた。
    カーペットには彼女の涙が零れ落ちてしみを作る

    やるせなさと自己嫌悪で拳を握り締める。それが意味をなさない事は理解しているけど。それでも…

    「……気負う必要はありません。…ムスカリさん。そして無理はしないでください」

    悔しさを押し殺し、冷静な声でミネはミドリに話しかけた

    「ムスカリさんもツルギさんも尽力してくださったのは分かっています。ですので…この後は私に任せてくれませんか?」

    ミネさんは静かにそう告げると、セイアさんを優しく抱き上げる。よく見るとミネさんの手も震えている。

    無理をしてるのはどっちだよ…

    「それと…もう一つお願いがあります。ツルギさんをはじめとして周りにはセイアさんは重体を負った事にしてください。…混乱を招きかねないのでこの事は私が用人にのみ伝えますので」

    …生徒会長の死。それが何を意味するか。どんな混乱が招かれるのか。それは私が痛いほど理解している。リオ会長が亡くなってから、ミレニアムは統制を失った。何とかユウカがまとめ上げてくれたお陰で何とかなったけど。もし…そういう人がいなければどうなることか…。考えたくもない。
    比較的統率のあるミレニアムですらああなるんだ。公表すれば…派閥争いの強いトリニティは崩壊してもおかしくはない。
    経験則から私はミネさんに頷いた

    「そして、ツルギさんに明日病院に来るように伝えてください。…その、死体を直接見たので念のため色々と気になるのです。先程もだいぶ滅入っていましたし。それではムスカリさん。またいつか会いましょう。」

    そう告げるミネさんはセイアさんを担いだまま飛び降りて、自身の病院へと向かっていった

  • 45二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 06:00:14

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 13:14:21

    そうせざるを得ない状況とはいえ色んな人を騙してる状況だもんなミネ団長

  • 47125/06/15(日) 14:42:05

    部屋には私が1人取り残された。
    冷静になって血生臭い匂いが今更私の鼻をつんざく。それをきっかけに部屋を見てみると、やはりセイアさんの性格が出ているようで、部屋はきちんと、丁寧に整理されていた。
    家具は高級感を醸し出しながらも利便性も重視されたもので固められており、本棚には彼女の好む本が大量に敷き詰められていた。
    床はカーペットはよく見るとミカさんと同じものを使っており、優雅さがある。
    そして、そんな部屋には全く似合わない血だまり。
    …1人。助けもなくセイアさんはここで殺された。

    部屋を見たことで改めて死の事実が私に突き刺さる。
    …どうして私は、後一歩届かないのだろうか…。あの時も。今回も。…私がもっと、強ければっ!

    ミドリはうずくまり、しばらくの間後悔の涙をこぼした。

    …今止まったら、みんなの死が無駄になるだけだ。動け才羽ミドリ。たとえ自分の心が体がどれだけ傷ついても。…私の、お姉ちゃんのみんなの望んだハッピーエンドに繋げるために

    ひとしきり泣いた後、未だ体にのしかかる罪悪感と自己嫌悪の中、私は体に力を入れて何とか立ち上がる。

    『ツルギ先輩。モモトークで失礼します』
    『セイアさんは生きてるそうです。一刻を争う重体らしいですけど』

    スマホをかばんから取り出し、ミネさんに頼まれた内容をツルギ先輩へとモモトークで送る。

    『そうか。よかった』
    『さっきは取り乱してすまない』
    『お互いに今日はしっかり休んでおこう…』

    一瞬で既読がつく。やはり気に病んでいたようだ。文面からも安心が伝わってくる。
    これはツルギ先輩が背負う問題じゃないからこれでいいんだ…

    私は心にそう言い聞かせて部屋を出た

  • 48二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 22:11:10

    保守

  • 49125/06/15(日) 23:56:15

    重い足を動かしながらそのまま、自分の屋敷へと歩いて帰る

    十数分歩いて屋敷へと着いた私はミカさんを起こさないようにそっと扉をあける。

    夜も遅くいつもとは雰囲気の違う屋敷の中を歩いて自分の部屋へと向かおうとしているとリビングのドアが開きっぱなしになっていることに気がつき、私は扉へと近づいて閉めようとした

    …あれ?

    部屋を閉めようとしたときの違和感から電気をつけて部屋をよく見ると、ミカさんの荷物が乱雑に散らばっていて、そのうえ、部家具もいくつか倒れていた

    普段は整っているリビングの有様に愕然とすると共に、今日の事件が私に1つの可能性を想起させる。
    …もしかしてミカさんも何かの事件に巻き込まれているんじゃ?このままだとミカさんの命すら危ないかもしれない。

    「ミカさんっ!」

    思わず全力で走りミカさんの部屋のドアを開ける。

    部屋には何も異常はなく、さっきセイアさんの部屋で感じた、体が拒絶する血の充満した匂いもない。ただ、普段通りのミカさんの部屋。
    ミカさんもベッドで寝ていて、そっと近づくと寝息も聞こえた。こちらから顔は見えないけど、この感じなら大丈夫かな。

    「よかったぁ…」

    今度は安心感から床に崩れ落ちた。
    私の嫌な予感は今度は杞憂ですんだみたい。

    ミカさんの安否を確認できた私は散らばったリビングを片付け、日記を書き残して眠りについた

  • 50125/06/16(月) 00:32:07

    「…ひとまずはこれでいいですかね?」

    誰もいない静かな病室で青森ミネは静かに呟いた。

    ♪~

    ミネは通知が鳴る音を聞いて部屋の隅の机においてあったスマホをみる。月明かりだけが照らしていた病室にはその明かりは明るすぎて思わず目をこする。
    スマホの画面を確認するとそこには彼女の新しい後輩である桃園ムスカリからのモモトークが送られていた

    『ひとまずツルギ先輩にはさっき言われた通りに伝えておきました』
    『おやすみなさい』

    「はぁ……」

    そのモモトークの内容を読んでミネは深くため息をつき、ベッドに横にしたセイアを見る

    「本当にこれでよろしかったのでしょうか?セイア様」

    横たわっているセイアの意識は勿論なく、ミネの質問に答えることはなかった。ミネはその様子に改めてため息をつく。

    「…どのような意図があるかは分かりませんが、私を死んだことにしてほしいなんて…。」

    数時間前、ミネはセイアから突如モモトークを送られており、その内容は私はこれから襲撃を受けるから、周りには死んだことにしてくれ。とのことだった。
    きっとセイア様のことだ。予知の力もあり、何かしらの意図を持ってこの行動に移ったのは想像に容易だ。ただ…

    ミネはつい先ほど、その嘘を告げたときのムスカリの表情を思い出す。きっと、ナギサ様やミカ様もこの事を知ったら、酷く絶望し、最悪の場合は…。いや、セイア様はそれを見越す力はあるから大丈夫ではあるのだろう。だが、この事を知れば…何を起こすかは読めたものではない。

    「セイア様、私は貴方を信じますよ。」

    ミネはそう決意を固め直すとセイアの治療へと戻った。

  • 51二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 06:49:19

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 14:47:33

    団長、ムスカリちゃんもやばそうなんで救護してくださいよ。

  • 53才羽ミドリ25/06/16(月) 18:02:09

    9日目
    今日は最悪な日だ。
    もうこれ以上は失わない。絶対に。

  • 54125/06/16(月) 18:21:49

    おまけ:セイア襲撃が起きなかった場合の日記
    (日数のずれはセイア襲撃によって日を大きくまたいでいるからです)

    8日目
    今日は最高の日だった。
    ミカさんに誘われて行ったアクセサリーショップ。私は久々に大はしゃぎしちゃった。
    さすがトリニティと言うべきか。ミレニアムのこういう店よりも品揃えもよく、デザインも可愛いものがそろってた。またいつか行きたいな。
    そして、ミカさんとお揃いのシュシュを買った。こうやってお揃いのアクセサリーをつけるのもここしばらくは出来ていなかったっけ。このシュシュは大切にしよう
    その後は私のお願いで、ペンと筆、絵の具と絵を書くのに使っていた道具をこっちでも揃え直した。やっぱりペンを握っていると落ち着く。
    そういえば、ミカさんがナギサさんも絵画が趣味だと言っていた。今はまだ疑われているみたいだけど、いつかナギサさんとも絵をきっかけに仲良くならたらいいな。


    Tips:ミドリの日記(9日目)
    普段丁寧な字で書かれている日記ではあるが、いつも添えられている小さな絵もなく、ただ簡潔に乱雑に書きなぐられている

  • 55二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 02:06:30

    ミドリもいつかあのロールケーキ展覧会と対面することになるのか...

  • 56二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 09:41:51

    保守

  • 57125/06/17(火) 15:48:10

    「ーーーーーー!」

    目が覚める。全身からは絶えることがなく汗が噴き出していて、胸の鼓動もはやい。
    内容こそ思い出せないけど、とんでもない悪夢を見ていた事だけは状況から直感で分かった。
    夢の内容を思いだそうとするも、光景に真っ黒のノイズがかかって見えない。…まるで私に思い出させまいと妨害するように。
    にしても。現実も夢も昨日…いや今日は散々だよ。

    夢の内容を思い出すことを諦めて、私は時計を見る。
    4:43分。私は1時間ほどしか寝れてなかったみたいだ。
    …仕方ないよね。こういう時はいつも眠れなかったから。でも、日中に支障がでるのも困るし…

    ちょっぴり迷った末、私は着替え、屋敷にあった自転車を1台借りてコンビニへと走らせる。

    「あった。…2本でいいかな?」

    コンビニに入った私はそれを冷蔵庫から取りだしてレジまで運ぶ。

    「妖怪MAX2本で568円となります」

    妖怪MAXを鞄に入れて屋敷へと帰り、その似つかわしくない缶を自分の部屋であけ、一気に飲みほす。

    「うん。…眠れないときはこれに限るね」

    ヒマリ先輩はやりすぎだったけど、何かあったらこうすれば1日はもつ。

    それを飲みきったあとは、普段通り銃を整備して朝ご飯を2人分用意してミカさんを待った

  • 58125/06/17(火) 15:49:45

    だが、いくら待ってもミカさんが起きる気配はなかった。

    違和感をもった私はミカさんの部屋へと向かい、起きてるか確認する

    「ミカさん?起きてますか?」
    「…………うん。起きてるよ」

    いつもより返事が遅いし、声に明るさがない

    「ご飯できてますよ。」
    「ありがと…。……でも、今は食べれそうにないや。ごめんね…」

    やっぱり声が暗い。……もしかしたら、既にセイアさんの件を知ってしまったのかも知れない。
    もし…。普段、死なんてものが空想に近い世界で人の死を。それも大事な友達の物を急に味わえば…。

    「ミカさん?すみませんちょっと入りますね。」

    私は扉に手をかける

    「やめて!!………ごめん。今はちょっと…1人にさせてほしいの。」
    「分かりました…。でも…辛いときはいつでも頼ってくださいね。」

    ミカさんは私が部屋に入ることを拒絶し、力強く扉を閉める。
    一瞬見せたミカさんの目は、心が砕けた人の目をしていた。それにあの目は……いや。思い違いだろう。そんなことにはなってほしくはない。
    ミカさんの様子を心配しながらも私は今できる最大の言葉をかけてその場を去った。

  • 59二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 23:10:50

    うーむお辛い…

  • 60125/06/18(水) 06:55:52
  • 61125/06/18(水) 06:57:02

    セイアさんの襲撃から1週間ほどたった。
    ミカさんは塞ぎ込むことこそ減ったが、その笑顔にはまだ無理がありそうで。それに、どこか脅迫観念みたいなものもあるみたい。
    ミカさんはやっぱり無理をしているのだろうけど、こういう時話しても大丈夫としか答えてくれないのは、未来でのヒマリ先輩やお姉ちゃんが証明してる。だから、今は辛いけど、私がミカさんにできることは見守って寄り添うことしかないかな

    私は今日も、腕を磨いていく。あの襲撃以降、訓練もピリついた空気が流れていて、あの1件が与えた影響が表れているみたい。自分からツルギ先輩を始めとする格上と戦うことを希望する部員も増えた。…まあ結果は置いといても。その傾向自体は悪いものではないだろう。

    そして、この1週間でもう一つ大きな問題が起きた。これはトリニティに関わらず、キヴォトス全域に関わる問題。連邦生徒会長が表舞台から姿を消した。…私は未来から来てるから、これが失踪によるものとは知っているけど、そんなことを知る由もない人々は混乱に陥っていた。
    そうなると、事件もやっぱり増え、私たちはその対応に追われていた。おかげで名もなき神の研究に当てられる時間もだいぶ減ってしまった。

    そんな中、寝る前の短い時間で日記を書いているとユウカから数件のモモトークが届いた

    『前言ってたリオ会長との対談なんだけど、なんとか機会を作れたわ』
    『5日後。場所は私が案内するわね』

    …ついに。リオ会長の協力を得られれば名もなき神に対して万全を期すことができるだろう。それに、〈key〉だけを止める方法も見つかるかも。そうすればもう一度アリスちゃんとも…

    私は希望を抱いて画面を閉じ、リオ会長と会うのに備えて、名もなき神の技術についてまとめはじめた

  • 62二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 14:48:32

    やれるかな

  • 63二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 23:38:27

    保守

  • 64125/06/19(木) 00:25:09

    五日後 ミレニアムサイエンススクール
    リオ会長と会うために、私はユウカの指示にあったミレニアム郊外のカフェへと入る。ユウカはもう既に到着していたみたいで、私が到着したことに気がつくと、私を窓際のカウンター席へと誘った。
    「2週間ぶりくらいかしら?久しぶりねミドリ」
    「久しぶりユウカ。」

    コーヒーを飲みながら待っていたユウカは私を迎え、既に注文していた紅茶を差し出してきた。

    「遅くなってごめんミドリ。最近急に治安が悪くなって…。セミナーもそっちの対応に追われてて返事が遅くなったの」
    「やっぱりそっちもなんだ。トリニティも今は大変で…暴動も増えたし。それに…」

    数日前のあの光景が一瞬頭をよぎる。背筋に悪寒が走るのを気力で止め、横にいるユウカをむき直す

    「ミドリ?」
    「ううん、何でもない。鎮圧が大変ってだけだよ」
    「そう?」
    一瞬ユウカは怪訝そうな顔を浮かべたが、うまくごまかせたみたい。

    「鎮圧というと…うちのC&Cは仕事は完璧だけど、いちいち巨額の損失を生んでくるから大変なのよ」
    「それは…うん、大変だねユウカ。」
    「何言ってるのよミドリ?一昨日はこっちの貴方たちが古代史研究会を襲撃して大変なことになったんだからね?」

    うげっ。飛び火した。
    …古代史研究会。そういえばレトロゲームを求めて1回襲撃したことがあったような。…懐かしい。確か最終的にはC&Cに鎮圧されて反省部屋送りになったんだっけ。

    「あの時アカネが研究所ごと爆発させたせいでこっちの処理が膨大に…!」
    「あはは…。そんなこともあったような…」
    「やっぱりそっちでもやってたのね…」

    ユウカは頭を抱えてうなる。どうやら聞いてみると、ここ最近の混乱で債務整理が追いつかないらしい。そこに追撃といわんかのように、こっちの私たちの襲撃があったらしい。…うん。それはこうなる。
    ユウカの苦悩がこっちに転移してきてやっと少し分かった気がした

  • 65二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 07:15:56

    保守

  • 66二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 16:02:40

    草 

  • 67二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 21:02:34

    どの世界でもゲ開部は変わらないのな

  • 68125/06/20(金) 00:10:09

    「そんな訳だけど…まあこの事はひとまず置いといて。リオ会長の件だけど、やっぱりエデン条約前のトリニティと無理に関係を作るのはと否定的ではあったわ。」
    「…やっぱりそうだよね。」
    「でも…何とか少し時間を作れたから、会いに行きましょうか。結構歩くはずだったし、そろそろでないと間に合わなくなるかもね」

    カップに残っていた紅茶を飲みほして、私はユウカとカフェからでて、歩きはじめた。

    「えっと、ここは…右ね。で、次は左で。」
    「…こんな奥までいくんですか?それにくねってるだけで対して進んでないような…」
    「まだまだ序の口よ。後30分はこうするわね。くねってるのは本人によると機密保持らしいけど…会長はそういう性格だから目を瞑ってあげてくれると私も嬉しいわ」

    路地を曲がり続け、抜けたかと思ったらまた新しい路地をくねくねと曲がる。…リオ会長が用心深いのはアリスちゃんの件やヒマリ先輩の話でなんとなく分かってはいたけど、まさかここまでだったとはね。
    リオ会長の用意したルートにため息が出そうになったけど、私はユウカの背中をおい、歩き続けた。

    「ねえ、そういえば未来のリオ会長ってどんな感じなの?」

    歩きだして十数分たったころ、ユウカはふと私にそう尋ねた。
    …なんて答えようか。そのまんまリオ会長は死んだなんて言うことはできる訳ないし。かといって嘘だけを言うのもいずれ真実を知ったときにユウカが傷つくだけだから…

    「……どうなんだろうね?私は最近会えてなかったから分からないかな…」

    私はユウカに曖昧な答えを返し、ユウカに見られないように静かにため息をついた。

    「そう、元気にやってるといいわね…。会長、卒業したら何をしてるのか想像できないから。」

    ユウカの何気ない言葉に胸がズキッと痛む。
    ユウカ…リオ会長はもう…。

    「…だね。」

    明るい未来の想像をしているだろうユウカをまっすぐ見ることは今の私にはできなくて、目をそらしながら、静かに嘘をついてユウカに頷いた。

  • 69二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 04:25:42

    リオの事もそうだけど、ミレニアム生全般の事を言えるわけないわなぁ

  • 70二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 12:20:51

    つらみ

  • 71125/06/20(金) 19:51:45

    「ミドリはリオ会長とは何かあったの?」

    気分が落ちている私とは対照的に、疑問を持ったユウカは次に私にそんな質問をしてきた。そういえば、普通の日常が続いていたなら…きっと私はリオ会長と会うことなんてきっとなかったんだろうからね。勿論双方の様子をよく知っているユウカならその疑問に行き着くのは当然なのかも知れないけど

    「私はリオ会長の残していった知識を元に研究をしてただけ。せっかく過去に来たならせめて1度は本人の見解を直接聞きたくて。一応1回だけ深い縁はあったんだけどね」

    嘘はついてない…よね?
    曖昧なニュアンスで私はユウカの質問に答える

    「リオ会長の研究をあなたがねぇ…。世界って何があるのか分かったもんじゃないわね」
    「酷くない?」

    私は思わずそう突っ込んだ

    「…半分冗談よ。モモイがやってるとかよりは信じられるけど、ゲーム開発部がセミナー会長の研究を引き継ぐなんて想像できないわね。」

    私の声に不満が分かりやすくこもっていたのか、ユウカは軽く笑うと共に、私に振り返ってそう言った。
    でもユウカの言うことはその通り…。きっと…私はあの一件がなかったら今でもゲーム開発部のイラストレーターとして、みんなと一緒にゲームを作っていたんだろうなぁ。
    奇妙な運命に捻じ曲げられ、ゆがんだ結末があったから今の私があるんだろう。だから、ユウカにとってはリオ会長と同じ研究をしている才羽ミドリというのは違和感の塊なのかな。

    「着いたわよ、ミドリ」

    ユウカはとある建物の前で立ち止まって、私を中へと案内する。
    そこはミレニアムの僻地にある廃ビル群の1つだった。いわゆる『廃墟』とは違い、ミレニアムの発展と共に捨てられた古い校舎やビル。
    あちらこちらに蜘蛛の巣が張っていてほこりっぽい。それに、歩くたびに床が軋む。 人が最後に入ったのはきっと10年以上前だろう。そんな今にも崩れてもおかしくないような建物の中をユウカと私は歩いて進む。
    歩けば歩くほど、人の痕跡は感じれなく、私たちの足音と声が、不快に反響するだけで本当にここにリオ会長がいるのか不安になる。それはユウカも同じだったみたいで、文句を言いながらも進み続け、私もそれを追う。そして歩くこと数分後、この建物の研究室だったであろう部屋の扉をあけた

    「待っていたわ。桃園ムスカリ」

  • 72二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 04:58:31

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 11:20:35

    いよいよ出会うか…

  • 74125/06/21(土) 12:08:17

    ボロボロの研究室の中から聞こえた声の主を探すとそこにはセミナー会長、調月リオの姿があった。
    「ユウカもお疲れ様。その…悪いんだけど下がっていてちょうだい。」
    「へ?」
    「今から私たちが話すのはきっと貴方は知らない方がいいことよ。…後は私に任せなさい。」

    部屋に入るや否やリオ会長はユウカにそう言い、ユウカは不満そうな顔を見せた。でも…今回はリオ会長の言うとおり、ミレニアムのみんなを巻き込む話ではない。

    「ごめんねユウカ。ここまで連れてきてくれたけど…うん。今回はリオ会長の言うとおりにしてくれないかな?」
    「はぁ…。分かりました。リオ会長、失礼しました。」

    ユウカは釈然としない様子だったが、研究室から出て、扉をきっちりと閉めて帰って行った

    「そろそろいいわね。…ついてきて」

    ユウカの足音が聞こえなくなった頃、リオ会長は口を開いて、腰をあげると、研究室の奥に進む。
    会長は奥の本棚の前で立ち止まると、そばの壁のホコリを払う。

    「ちょっと待っててちょうだい。」

    ホコリに隠されていた金属盤をこじ開け、内部にあったボタンを高速で押す。会長がボタンを押しきると共に金属が軋む音が聞こえたと思うと、後ろにあった薬品棚か天井まで引き上げられていた。

    「そこに入って。」

    リオ会長が指差したのは、薬品棚に隠されていた扉だった。私はドアノブをひねって身をかがめながらそこに入る。扉の先には昇降機があり、私はリオ会長と共にそれに乗って地下へとおりて行った。
    昇降機に乗ること数十秒後、軋む音を立てながら降下を止め私はぴょんと飛び降りる。

    「うわぁ……まさか廃墟にこんな場所があったなんてね。」
    「驚くのも無理はないわ。数代前のセミナーが極秘任務用に作り上げた部屋だもの。今の技術には劣るけど、それでもこういう機会にはちょうどいいでしょう?」

    目に飛び込んできたのは私がつい先ほどまでいた今にも壊れそうな建物の姿を想像すらさせないほどの丁寧に手入れされた部屋だった。そこは現セミナー執務室に近しい部屋で、様々な資料が丁寧に置かれている。所々見覚えのある文字列もあったが、その意識はリオ会長の言葉によって遮られるのだった

  • 75二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 21:38:32

    保守

  • 76二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 06:07:08

    続き楽しみ

  • 77125/06/22(日) 11:21:23

    こんにちはスレ主です
    スマホが色々悪い方向に噛み合いまくって初期化されちゃったんで続きはデータの復元ができたら書きます
    復元ができなくても今夜には続き描き直します

    (それまでは小話や裏話を需要があれば投げます)

  • 78二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 12:08:56

    頑張ってください。私は待っています。

  • 79二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:04:30

    続けてくれるの感謝

  • 80125/06/22(日) 22:17:17

    裏話その1
    ミレニアムが関わるストーリーのタイトルはゲームに由来してるものになってて、ゲーム開発部としての側面を強く出すためのちょっとした小ネタです。

    物語の始まり
    星のカービィWiiの『冒険の始まり』という曲から 
    (この章はミレニアムが関わってないけど例外的に)

    レトロチック・メモリーズ
    パヴァーヌ一章のタイトル『レトロチック・ロマン』より

    機械と楽園へのプレリュード
    太鼓の達人より『23時54分、陽の旅路へのプレリュード』から (プレリュードの意味は前奏曲です)

    機械仕掛けの花のオーバチュア
    パヴァーヌ編の名前を文字ったタイトル

  • 81二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 07:04:20

    保守

  • 82125/06/23(月) 07:05:26

    tips:数代前のセミナーの特殊作戦室
    廃墟に巧妙に隠された作戦室。
    廃墟の研究室で、壁に隠された金属板に暗証番号を入力すると入り口が開かれる。
    昇降機を下った先には、執務室、サイバールーム、数部屋の個室etc。様々な部屋が用意されていて、地下の空間を活用し、ここに住むことすら可能な空間となっている。
    旧式のAMASによって部屋の管理は続けられており、この空間自体は数年間の流れを感じさせないほど、徹底とした管理が行われていた。
    セミナー会長にのみ代々、場所と入り方が引き継がれているが、年々発展しているミレニアムでは作った当時の代しか使うことはなかった。
    そんな部屋をまだミドリ(ムスカリ)を信用してはいないリオが、自身の隠れ家や作戦室のかわりに会談のために数年ぶりに開けた。

  • 83二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 15:57:37

    リオはミドリって気づいてるのかな?

  • 84125/06/23(月) 21:37:26

    「さて、本題に移りましょう。ユウカからある程度話を伺っているのだけれど…私と同じ研究をしているのよね?」
    「はい。分かっているなら話は早いです。」
    「そうね。…では、その内容を教えてちょうだい。私は多岐に渡る研究をしてるから…ユウカの言葉だけでは絞り込めなかったの。」

    リオ会長は早速と言わんばかりに私にそう聞いてくる。
    私も意を決してリオ会長に向かって答えた。

    「無もなき神。」
    「…っ!?…どうしてそれを」

    リオ会長の動きが一瞬止まる。表情も強張っていて、明らかに私に対して警戒の目を向けている。

    「さあ…何ででしょうね?」
    「答えてはくれないのね。……まあいいわ。はぁ、こういう時のために一応ここを選んでいて正解だったわ。」

    リオ会長はため息をつきながら、AMASに指示を出して、椅子を2脚用意し、私に座るように促した。リオ会長の意向に沿って私も座り、証明に座った会長を見据える。リオ会長はわたしへの警戒を止めることはなく、いつでも対応出来るよう、私から隠すように銃弾を込めて手に持つ。
    …やっぱ、警戒はされるよね。ひとまず、出来る限りの話をしよう。アリスちゃんのこと…未来のことは…きっと話したら会長は破壊を選ぶ。…もう少しだけ様子をみておこう。

    「さて、想定とは異なっているけど…いいわ。一度お互いの知る情報を交換しましょう。」
    「…ということは。」
    「ええ、貴方の言う通り私は無もなき神々の研究をしているわ。…まだ誰にも伝えたことがないから、貴方がどこからその情報を得たかは分からないけど。…正直、まだ貴方は信用に値してはいないけれど、それでも共に研究する方がお互いに利があるでしょう?」

    リオ会長は今回も感情ではなく合理を選んでくれたようだ。前はこれで対立したけど今回は好都合だね。
    思わず心の中でガッツポーズをする。本当は今すぐ飛び跳ねたいくらいだけど、それは心にしまっとこう。
    でも…リオ会長が一緒に対策してくれるならこれほど心強いものはない。私一人じゃどうしようもなかったことも、もしかしたらヒマリ先輩でも分からなかったことも知れるかもしれない…。……そうすれば、もしかしたらアリスちゃんも…!

  • 85125/06/23(月) 21:38:28

    お待たせしました。続き書き直してきたんでこれからまた投稿していきます!

  • 86二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 23:36:12

    楽しみにしてます

  • 87二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 07:38:53

    おつかれさまです。
    今のところ、まだムスカリ=ミドリってことには気づいてなさそうね

  • 88二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 16:21:05

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 18:48:18

    「契約成立ですね、リオ会長。…これが私の知っている情報をまとめた資料です。」
    「ええ。よろしく頼むわ。私の持っている知識は…いえ。あちらの方が分かりやすいわね。…ちょっと待っててくれるかしら?」

    これから起きることに備え気合いを込め直した私は、数日前から作り上げた資料をリオ会長に手渡し、それを受け取った会長は一言一句丁寧に読み込んでいく。リオ会長は何かを思いついたようだが、まずは資料を読みたいとのことらしい。…協力を仰いでいるわけだしここはしっかり待っていよう。
    リオ会長が読んでいる様子をちょっと緊張しながら眺めつつ、しばらくの間待っていると、どうやら読み終えたようで会長は資料を置いて立ち上がる

    「…ありがとう。興味深い内容だったわ。」
    「役にたてたなら嬉しいです。…その、どうでした?」
    「そうね…具体性が今まで見たどの資料よりも高かったから、こちらとしても対応出来る策を増やす助けになりそうね。」

    この情報でリオ会長は色々と思いついたらしい。流石ミレニアムでも一二を争う天才なだけはある。

    「…私も約束通り情報を渡しましょう。ただ…」

    リオ会長は私にそういうも言葉を濁す。

    「ただ?」
    「その資料はミレニアムの中でも最奥部に隠してあるの。」

    …そうきたかぁ。セキュリティも考えて、今すぐ情報を得るのは難しいのかも?私は肩を落として落ち込んだ。でもリオ会長はそれすら見越していたのか再度話し出す。

    「本来C&Cを動かす内容なのだけど…状況が状況だから、それは不可能なの。…だから、もし貴方が望むなら、自分の力で取ってきてちょうだい。勿論、遠隔で支援はするわ」

    リオ会長は全く予想していなかった言葉を口にする。ミレニアムの最奥。GBibleの解読のため、『鏡』を取りにセミナーの押収管理室に忍び込んだことはあるけど、今回はそれの比ではないほど難しいだろう。セキュリティの高さはもちろんのこと、今の私にはあの時と違って仲間がいない。ヴェリタスもエンジニア部もいないから、出来る作戦も本当に僅かな可能性に賭けるしかない。それにいくら会長の助けがあっても…今の信頼関係では、それすら完璧には頼れない。そうなると…。…いや、それでもこれからの為にはここで無もなき神の情報を得ておきたい。
    …そのためには、挑むしかないよね。

  • 90二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 21:00:35

    あっ…でも。私はふと疑問に思ったことを会長に問いてみる。

    「…もしも、私がそこで何か起こしたら、ミレニアムにとっても大惨事になると思いますけど、それでもいいんですか?」
    「問題ないわ。仮にそんなことを起こしたときにはどうなるか…貴方が一番理解しているのでは…?」

    なるほど。…リオ会長の思惑通りではあるけど、確かに私はこの状況で問題を起こすことはできない。元からミレニアムに迷惑をかけるつもりはさらさらないけどね

    「そういう事なら。ぜひ行かせてください。」
    「そう…分かったわ。こちらに来て。」

    リオ会長は静かに頷くと、私をサイバールームへと招く。私はリオ会長について歩き、サーバールームを通り抜け、もう一つの部屋へと向かう。

    「司令室?」
    「ええ。さっき伝えたけど、ここは元々特殊作戦のために用意された空間。あなたの助けになるものも色々あるはずよ。…ちょっと待ってて。」

    リオ会長は部屋に残されていた段ボールを開け、その中から数個のものを取り出した。

    「スタンガンと…ワイヤーカッター。それと…探知機ね。必要なら、これを使って。」
    「ありがとうございます会長。…行ってきます。」

    リオ会長が段ボールから取り出したそれらを収納し、私は、潜入の準備をして、部屋を後にしようとした。

  • 91二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 21:02:23

    「ちょっと待って。ムスカリ、貴方はその服で潜入するつもりなの?」

    部屋を出ようとすると、リオ会長は私のことを呼び止めてそういう。私は視点を下げて自分の服を見て納得した。トリニティの制服、これを着て潜入なんてしようものなら、間違いなく、犯人は私だとすぐバレてしまうだろう。…それに万が一捕まった場合、目前に迫っているエデン条約も台無しになってしまうかもしれない。
     
    「…ありがとうございますリオ会長。…でも、どうすればいいですか?これ以外の服なんてもってきてませんよ。」
    「休憩室に行って。そこにミレニアムの制服が置いてあるはずよ。」

    そう言われ、私はサイバールームと執務室を通過して休憩室へと入った。
    休憩室は簡素ながらも、ミレニアムの寮に近い内装でどこか安心感を覚える。できるならここでしばらく休みたいところだけど、今は急がないと。

    「きっと…この棚だよね?」

    部屋の隅に置かれている棚を開けると、丁寧にたたまれたミレニアムの制服があり、私はそれを取り出してベッドに置いた。

    「…この制服も懐かしいね。」

    ベッドに置いた制服を見て呟いてしまう。この制服に袖を通さなくなって、もう一ヶ月なんだ…
    時の流れを感じながらも、私はトリニティの制服を抜いて、ミレニアムの制服に袖を通す。服の質感はやっぱり1年以上着ただけあって、こっちの方がしっくりくる。当時はあまりきていなかった上着も羽織って、私は鏡の前に立つ。

    「うん。やっぱりこっちもしっくりくるね」

    くるりと回転しながら私は鏡を確認してひとりで頷く。
    少しのあいだ鏡を見た私は、トリニティの制服をハンガーに掛け、荷物をもって部屋を出た。

    それじゃ…頑張ろう…。
    両手を握りしめ、気合を入れた私は昇降機に乗って旧特殊作戦室を後にした

  • 92二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 21:04:38

    ミドリが昇降機にのると、ガシャンという音が作戦室に響き渡る。
    かすかながらもその音を感じたリオは、司令室でため息をついた。

    「行ったわね。」

    リオはミドリが特殊作戦室からいなくなったことを入念に確認すると、自身のスマホを取り出して、ある番号に電話をかけた。

    「…ええ。私よ。」

    モニタから聞こえる小さな音以外聞こえない部屋に、リオの冷たい声が響きわたる。リオは、通話が始まったことを確認すると淡々と指示を出し始める。

    『ああ。データセンターだな。』
    「ええ。理解が早くて助かるわ。頼んだわよ」

    リオはそう言うと、一息ついて通話相手の名前を呼んだ

    「コールサイン00、美甘ネル」
    『へっ…!言われなくてもすぐに終わらせてやる』

    通話先の少女は不敵そうに笑う。まるで、確実な任務遂行を確信しているかのように

    『じゃあなリオ。一度切る』

    通話の音すらなくなった静かな部屋でリオは椅子に腰掛けて、先ほど貰った資料をちらりと眺めた。

  • 93二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 02:06:38

    続き楽しみにしてます。
    念のため保守。

  • 94二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 11:57:56

    ムスカリじゃなくミドリがいなくなったことを確認ってことは既に気づかれてる?

  • 95二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 17:44:40

    パンツァー!!(クソ規制にブチギレながら保守)

  • 96二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 21:25:56

    明日のために保守

  • 97125/06/25(水) 23:04:43

    昇降機から降りた私は、廃墟を飛び出て、データセンターへ向かって駆ける。道中、大通りを通ってもミレニアムの服で変装しているだけあってスムーズに道を進める。変装のありがたさを身に染み手感じながら走っていると、すぐにデータセンターの付近までたどり着いた。

    付近の茂みに隠れて、私は無線機でリオ会長に繋ぐ。

    「リオ会長。到着しました。」
    『随分と速いわね。…二階の裏に排気口があるわ。そこからダクトを通って侵入してちょうだい。』

    リオ会長の指示を聞き、私は茂みから顔を出して二階を見上げる。
    確かにあった。建物の裏側、恐らく二階に相当する高さに排気口がある。あそこから入れって言ってもなぁ…
    排気口を開けるためには1,2発は銃を発砲する必要があるだろう。その途中に気づかれたら…。それに回りに何もない以上あそこまで跳び乗らないとだよね?とんでもない無茶振りだよ、会長。
    身体能力、隠密スキル両方が求められる作業。…ここまでのこと、特に後者はその手の能力に特化してないと厳しいだろう。でも、跳び乗るだけならなんとかなるかも。
    私は手榴弾を取り出し、ピンを抜いて構える

    「リオ会長、ごめんなさい!」
    『いったいどうし…』

    リオ会長の言葉を遮って、大通りの人がいない場所をめがけて手榴弾を投げる。

    「なんだこれっ…うわぁっ!?」
    「きゃあ!?」
    「爆発?急に何で!?」

    そして数秒後、爆発音と共にミレニアム生の悲鳴とパニックに陥った人々の叫びが聞こえてくる。
    …ごめんね。
    私は心の中で謝り、その混乱に乗じて排気口をグレネードランチャーでこじ開け、全力で地面を蹴って排気口へと跳び乗って入る。
    ダクトをほふく前進で進み、進路にあった排気口をそーっと開いて私はデータセンターのとある一室に入った。

  • 98二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 07:26:50

    他所に注目を向けるためとはいえ、手榴弾投擲はさすがキヴォトス

  • 99二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 16:06:41

    保守

  • 100125/06/26(木) 16:57:50

    『入れたみたいね。…爆発事件を起こされたのは想定外だけど。』
    「…さっきはごめんなさい。これ以外に手段が思いつきませんでした」
    『…そうね。無茶を言った私も悪かったもの。お互いにこのことは忘れましょう。それで、次なんだけれど…エレベーターに向かって。短時間だけどハッキングして乗れるようにするから』

    部屋についた私にリオ会長は連絡を入れてくる。さっきの件は賭けだったけど…なんとかなりそうだね。
    私は会長の言葉を聞くと、あたりを見回してエレベーターを探すも見当たらなかった。…どうやらこの部屋にはないみたい。
    そんな都合のいいことはないかと諦めて私はエレベーターを探すため、部屋の扉を音を立てないように静かに開けた。開けた先は大量のサーバーが置かれていて、その明かりだけが、部屋を照らしていた。気温も少々低いみたいで少し肌寒い。私はそんなお世辞にも探索に向いてるとは言えない空間を忍び足で進み、奥にちらりと見えたエレベーターを目指す。
    その途中、何かが動く気配を感じ、私は咄嗟にサーバーの裏に隠れた。
    一体なにがあったのかと、サーバー裏からちらりと覗いて辺りを確認していると、警備ドローンが飛んでいるのが見えた。
    …危なかった。もし、あと数秒ほど気づくのが遅かったらもしかしたら私は今ごろ、逃げ惑っていたかもしれない。
    冷や汗が体を伝うのを感じながら、体勢を立て直して私は落ち着いて物陰から出る。
    ドローンを避けて、時に近寄って機能を停止させながらゆっくりとエレベーターまで歩く。

    「リオ会長。つきました。」
    『了解。ドローンに見つからないように待機して。今乗れるようにするわ。』

    私はリオ会長のクラッキングを待つあいだ、監視カメラの死角に立ち、無駄な音も出さないように息を殺して待機した。
    待つこと数十秒、エレベーターの扉がひとりでに開く。私はそれに乗り込んで扉を閉める

  • 101125/06/26(木) 17:01:53

    『エレベーターに乗れたみたいね。この建物の最上階に私のデータはあるわ。さっき渡したスタンガンの裏にメモリがあるはずだから、それを差し込んでデータを取ってちょうだい。…これ以降通信は通じないけど、健闘を祈るわね。』 

    つかの間の休息を経て、私は最上階に足を踏み入れた。
    そして、すぐに違和感を感じた。もちろん、異常なほどの監視カメラやセンサーはあるが、それでも何か、重大なデータが大量にあるにしては警備が物足りない様な…?
    嫌な予感を感じ、私は警戒をしながらも、一歩、また一歩と目標へと慎重に近づいてついにたどり着いた。

    「…ここに。名もなき神のデータが…」

    リオ会長の集めた、データ。この世界で現状最も知見の深いであろう人の集めたそれならきっと…未来で見つからなかったものもあるはず。
    まわりの物より一際目立っているそれに私は、スタンガンから引き剥がしたメモリを差し込み、データを得る。

    「…はぁ。なんとか…なった。」

    その場にへたりと座りそうになるのを我慢するも、緊張が少し緩む。なんとか、データを取ることには成功したみたい。あとは…

    「あとは、来た道を戻るだけ。そう考えているんじゃねぇか?」

  • 102二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 23:26:49

    寝る前に

  • 103二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 23:35:06

    後半戦は追いかけっこか、はたまた迎撃戦か…

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