- 1佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/11(水) 04:55:21
- 2佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/11(水) 04:56:32
情報まとめ
天童アリスのストーカー佐藤カガリのまとめ ver2telegra.ph1スレ目
【オリキャラ🎲】天童アリスのストーカーです、通して下さい|あにまん掲示板はぁ…………今日もかわいい……………………(スレ画は一番好きな表情)戦闘 dice1d100=@57 (57)@知性 dice1d100=@12 (12)@運動 dice1d100=@67 (67)@…bbs.animanch.com前スレ
【オリキャラ🎲ss】天童アリスのストーカーです、通して下さい【佐藤カガリ】Part11.1|あにまん掲示板すごく気合いを入れて臨んでるけど、それはそれとして楽しい! インスピレーションも湧いてきそう……佐藤カガリ 16歳(2年生)出身校:百鬼夜行連合学院身長 130+40 (40) cm胸 3 (3) 1…bbs.animanch.com前回のあらすじ
C&Cとの合宿を終えたことで、トキとの距離が少し縮まったかもしれないカガリ 土産に持ち帰った山菜をゲーム開発部を交えてみんなで食べるために調理していた途中、またもや眠っていた記憶が突然発火する それは以前、シャーレの先生からも関係性が指摘されていた『レッドウィンター連邦学園』での生活だった
料理の恩返しと称して同行を提案するトキに、突然名乗りを上げてついてくることになったユズ、先生とカガリを合わせて4人パーティが成立 駅を出てすぐのファストフード店で腹ごしらえをしていたところ、事務局の生徒「トモエ」からのアプローチを受ける
語られたのは、過去に事務局がカガリへ下した不遇な処断と、彼女がそれを必要と考え実行に移した理由のすべてだった 少し急展開ながらもこの事実を受け入れることにしたカガリは、レッドウィンターの生徒会長「チェリノ」との面会の約束を取り付けつつ、先生たちと一緒に次なる目的地である『227号特別クラス』へ向かうのであった どうなるカガリ
- 3佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/11(水) 05:33:10
地図アプリと睨めっこ。ああ、懐かしいなこの感じ……どこに行くにも距離の単位が大きくて圧倒されたっけ……
えっと、多分あっち。と言って空の向こうを指差し、「……どこですか?」と返される。その、あっちなんですよ。上半分くらい空の色と一体化しちゃってる山あるでしょ? あの中に入っていくと校舎があって。
「………………」バタン
"ユズーーーー!!!!!!"
だ、大丈夫、頂上まで登る必要はないから!!! 麓から数えて1時間ちょっとで済むよ!!!!
「山の中に校舎。昔のレッドウィンター生は、何を思ってそんな場所に生活圏を設けたのでしょうか」
わかんない。今より政治闘争が激しかった頃の名残だとか言われてるけど、記録もないらしい……
「……が、がんばります。歩くことになるのは知ってたので、あらかじめ筋トレも……」
"そうなの!?"
はい! ここ数日、寝る前に軽く足の運動してて……
「うう……動けなくなったらごめんなさい……」
安心して!!そうなったら背負っていくよ!!!と力強く答える先生。た、たのもしい。
dice1d100=50 (50) 運動ステータス(75)以下で成功
- 4二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 06:11:05
たておつ
- 5佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/11(水) 06:24:24
……先生が教えてくれた、なるべく勾配が緩やかなルートに沿って、ひたすら山を登っていく。
足が冷たい。後ろ側に滑って転ばないためには、雪の塊に爪先を突っ込んでぐりぐりして、ダーツみたく靴が刺さった部分に体重を掛けて踏み越えるのが一番……それをやってると足が冷たい。ひーーーー。
「しかし、先生は意外とフィジカルが優れていますよね。見た目からはあまり想像できませんが」
"まあ、シャーレの先生ってのは体力仕事だからね。今日寝る時、ちょっと疲れてるか、すごく疲れてるかの違いだよ"
……見た目に対してフィジカルすごいのはトキちゃんも同じじゃない?????
「暇な時間は訓練に当てていますので。この作戦に向けては先日、巨大冷蔵室の中の一画をお借りして、縄跳びを数時間ほど。なので並みの寒さに感じるものはあまりありません」
ええ……
「やってみれば楽しいものですよ。今度お誘いしましょうか」
ほ、本気で言ってる。トキちゃんおそろしい子。
ところで、天気には恵まれているかも。空気が冷たすぎないから呼吸しやすい……僕が特別クラス送りにされた時は吹雪いてたので酷かったのを急に思い出す。今日のこの感じなら、ユズちゃんも風邪ひかないで済みそう……
「……きゃあっ!!?」すてん
うおおおおおおおおキャッチ!!!
「ひゃっ!? あ、ありがとうございます……」
ふ、ふふん。この為に真後ろを歩いていたんです僕は。
「ナイスです、カガリ先輩。まるで少女漫画さながらですね」
今回僕の用事だからね。それでユズちゃんに怪我させたら帰った後なぶり殺されちゃう。
「そんなことないと思いますよ????」
はい。……とにかく、ある程度はこっちでカバーするから! 怖がり過ぎなくて大丈夫!
「わ、わかりました!」 - 6二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 06:28:31
雪の中ってつらいね
- 7二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 06:35:26
たておつ
そうか移動しなきゃなんだった - 8二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 06:49:51
たておつ
- 9二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 06:58:29
たておつです
- 10二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 07:26:12
カガリちゃんナイスゥ
- 11二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 15:09:26
さむそう
- 12二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 22:38:32
保守
- 13二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 02:16:04
たておつです
ストイックに訓練してるように見えて、訓練方法がなんかズレてるトキ
体力や持久力って意味でのタフネスは強い先生
寒さと過酷さで蒼ざめて、カガリの天然タラシムーヴで赤くなってと忙しいユズ
記憶から消えていただけで、あっちこっちに痕跡というか思い出があるカガリ
愉快な遠足のはじまりだー! - 14佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/12(木) 07:44:58
慣れからか、後半は少しペースが上がった気がする。雪を登り、針葉樹をかき分け、死角に隠れた段差を避け……トキちゃんのサポートが無かったら2倍掛かっていたかもしれない。
それで……太陽が真上を少し過ぎたころ。稜線を少し回り込んだ先に、なにやら懐かしいような建物の影が。
"つ、着いた!!!!!"
うおおおやったーーーー!!!!! うわーんやっぱり遠いよここ……
「お疲れ様です、皆さん。怪我はありませんか?」
「はいっ! おかげで……」
……これ、中に誰かいるのかな。ここまで来て留守だったらどうしよう。
「そうですね……先生、モモトークなどで連絡を取ってみることは可能でしょうか?」
"それならもっと手っ取り早い方法があるよ。おーーーーーい!!!!!!ノドカーーーーーーーー!!!!!!!"
「ち、力業ですね……」
目論見は当たり、鉄筋コンクリートの塊である校舎の中から駆ける足音が響いてくる。……ノドカ……どんな人だったっけ?
(好感度を相互に決定します どちらも最低保証40)
カガリ→ノドカ dice1d100=33 (33)
ノドカ→カガリ dice1d100=30 (30)
- 15二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 11:47:01
フラットな関係
- 16二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 18:06:44
ノドカとはフラット。
シグレの反応が気になるところ。
今までの交友関係の傾向的に、自分をあんまり出さない、出せない子にぶっ刺さってる感があるからなー。
ユズやリオ、トキやトモエとか。 - 17二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 22:35:56
悪くはなさそう
- 18佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/13(金) 05:48:21
「こんにちは、先生!!!!来てくれたんですね!!!!!」
"こんにちは、ノドカ。元気だった?"
「もう忘れちゃいましたよ。先生をこんなに近くで目撃できた喜びで日々の疲れが全部上書きされます……うぇへへへ……」
…………………
「……はっ!?」
……思い出した。僕から先生に対する最初のイメージ、これのせいで『いつもノドカちゃんに覗かれてる人』だったんだ。
「……じーっ。じろじろ」
わ、わざわざ口に出さなくても。どうしたの?
「足元が透けてたりもしない……ってことは、本当に生きてたんだ……」
「!?」
死んでると思われてたの??????
「だって、私の記憶が正しければ、本当の本当に何も言わないで居なくなったじゃないですか!!! てっきり私たち、どこかへ不用意に出歩いて、落雪とかに飲まれて、そのままって感じに……」
「成程。それはカガリ先輩が悪いですね」
ご、ごめんなさい。その、いろいろ事情がありまして……
「……とにかく、上がってください。奥の方には冷気があまり入ってこない場所もありますから」 - 19佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/13(金) 06:18:14
「――改めて、227号特別クラスへようこそ。歓迎するよ」
「こ、こんにちは……その、お邪魔します……」
「あはは、そんなに畏まらなくていいよ。見ての通り大した場所じゃないし」
年季の入った薪ストーブで暖を取りながら、来客用の席として置かれている毛布に並んで腰かけ、ここまで酷使してきた脚を労る。……この毛布、シグレさんが寝るのに使ってるやつじゃないっけ???? なんか申し訳ない……
「訊きたいことは沢山あるけど……まず、ここにはどんな用事で来たの?」
"少し前、そっちから連絡があったことの続きなんだけど"
"この子……カガリが、ちょっと記憶を無くしてるみたいで。それを思い出す一環で来たって感じ"
「なるほど。だからずっときょろきょろしてるんですね」
う、うん。実際、さっきから色々思い出してるよ、言う暇もないくらい……
「カガリ先輩が挙動不審なのはいつものことだとも思いますが」
「それなら、私たちも手伝うよ。と言っても、具体的に何が手伝いになるのかわからないけど」
"ありがとう! 今度どこかでお礼させて"
「いいのいいの、先生にはいつもお世話になってるからね。……それに……」
……?
(またもや好感度を相互に決定します どちらも最低保証40)
カガリ→シグレ dice1d100=48 (48)
シグレ→カガリ dice1d100=91 (91)
- 20佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/13(金) 06:23:20
(君やっぱりお姉さん系キャラから濃い矢印向けられる神秘とか持ってるんじゃないの????????????)
- 21佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/13(金) 07:19:56
「……無事でよかった。ごめんね、もっと早くに思い出せればよかったんだけど」
! い、いえ、それは……わりと、僕自身の問題であるところが大きいっていうか……
「とにかく、また会えて嬉しい。ここに居る間は、もう1つの家だと思ってくつろいでくれていいよ」
シグレさん自身がけっこう世話焼きな性分っていうのもあるんだろうけど、いろいろと理由が重なったのか、僕は特に面倒を見てもらっちゃっていた記憶がある。ここでの暮らしのノウハウもそうだし、火の起こし方、方角を確認する方法……もっと漠然と、『生き方』みたいな、哲学的な話もした。かも。
「……シグレちゃん、結構気にしてたんですよ。一言もなくお別れってだけならまだしも……私もそうだったけど、先生から言われるまで、存在すら思い出せなくて――」
「多分、だけど。事情があったんだよね? 弁解できるけど、敢えてしないだけ、みたいなさ。そういう人でしょ」
……はい。どうだろ、弁解……できないかもしれないです。
「それでいいよ。無理に聞くつもりないし……無理に聞かせるつもりもない。思い出すのは、自分のペースでね」
「むうううう……シグレちゃんがそう言うなら、私も気にしない、けど……」
僕のイメージの中にあるシグレさんの像とは少し違うやり取りだった。言い方悪いけど、もっと軽薄な感じっていうか……色々あったことを踏まえて、慎重に話してくれてるのかも。
……そして、滅多に変わらないシグレさんの様子がこうも違うっていうことは、幼馴染のノドカちゃんにとって、僕が想像する以上に大きな意味を持つものなのかもしれない。さっきから僕を見る時、少しむすっとした表情になるのがそういうことの表れだろうか。
「あ、あの。せっかくですし、仲良くなるために……おやつの時間、しませんか?」 - 22二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 12:26:03
この人タラシめ…
- 23二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 18:25:07
仲良かったんだなぁ
- 24二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 22:45:17
シグカガ来てる…
- 25二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 06:19:31
保守
- 26佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/14(土) 07:13:50
「こ、これっ、全部ここまで背負って登ってきたんですか!?」
何を隠そう、今日ここに持ってきた荷物は殆どが保存食類。とにかく物資が少なく、どんなに少ない食料でも宝石くらい尊いものに見える過酷な生活が記憶にこびりついていたので、一番大きい鞄にこれでもかと詰めてある……運ぶ時には"重力変調"が大きい助けになった。合宿の成果さまさま。
特に『カンポット』は、最初に作った1つだけじゃ足りないと思い、新しく仕入れた果物たちを砂糖水と一緒にぎゅうぎゅうに漬けてきた。これも保存食だから、いちおう慎重に消費すべきかもだけど……仲良くなるためなら、ちょっとくらいは?
「「"「「「いただきます!」」」"」」
「……ん~~~~! おいしいっ、甘みの加減が最高!」
「疲れが取れる、優しい味ですね……頑張ってよかった……」
ど、どうですかシグレさん。僕としては教わった通りに作ったつもりなんですけど。
「バッチリだよ。結構前だった筈だけど、よく覚えてたね?」
「えっ、これシグレちゃんが教えたの? いっつもあんなに甘いの作るのに??」
「私のスタイルはアレだけど。あのレシピ教えて、カガリがうっかりアルコール作っちゃったら大変でしょ?」
「……そう思ってるなら普段から自制してもいいんじゃないの!!?」
まあまあ、あれも美味しいから。というか果物が美味しいよね。
"ありがとね、カガリ。227号、立ち寄ることも物資の補給もあまり強く助けてあげられてなかったから……私からしても助かったよ"
えへへ、いやあ全然。なにか考えがあってやったっていうか本当になんとなくで――
「あの、お伺いしたいのですが。このクラス、お二人以外にも生徒がいるのですか?」 - 27佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/14(土) 07:39:25
「……生徒? 今は私とノドカ以外いない筈だけど……どうかしたの?」
トキちゃんはその答えを聞き、かすかに深刻そうな表情をとった。みんなもそれが分かったのか、和気藹々としたムードが少し醒め、薪ストーブのぱちぱちという音が大きく聞こえる。
「足音がするんです。聞こえませんか? ……近づいてきています、もう直ぐそこに」
ええっ?? そんなお化けみたいなことあるの???
「ひ、ひい……」
「……足音? それなら、多分――」
シグレさんの声に被さるくらいの瞬間、僕の正面……ノドカちゃんの背後で、つっかえ気味のがららっという音と共に扉が開いた。
人間と見紛うくらいのくらいの器用さで扉を開けた"それ"は、いま僕と目が合っている。
「あ、やっぱり」
「!?」
"……!"
……そっか、そうだった……
「ひいっ……!!!!」
直立して、僕と同じかそれ以上の体長をもってそこに佇むツキノワグマ。悲鳴を叫びそうになったユズちゃんの口をトキちゃんが塞ぎ、同時に後ろ手で暴れないよう制する。『なるべく刺激しないように』という熊に遭遇した時の鉄則……僕も確か教わったことがある。
ほとんど誰も、何もできずにいると、熊が部屋にのしのしと入ってきた。事態に対応して、目を開けたまま眠っているかのごとく静かになったノドカちゃんの肩の上から前足を伸ばし、カンポットを1瓶握り取り、中のフルーツをつまんで食べ始めた……
ど、どうする? トキちゃんも、シグレさんも、答えに窮してるみたいで。とりあえず、このままでいれば、危険はない、のか? ……本当に?
dice1d100=63 (63) 目安は精神力ステータス(85)
dice1d100=29 (29) 目安は神秘ステータス(89)
- 28二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 13:13:28
こっわ
- 29二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 21:01:19
保守
- 30二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 21:52:05
キヴォトスの野生生物もよーわからん存在だなー
- 31二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 07:10:25
保守
- 32佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/15(日) 07:44:04
『次、止まります。ご乗車ありがとうございます。次、止まります。ご乗車ありがとうございます。次、止まりま――』
何故かぼうっと頭の中でその声を聴いている数秒間が終わって、急にはっとする。な、何が起きたの?
状況は何も変わっておらず、誰も何もしようとしていない。変わったのは僕の認識だけだった。どうにか……具体的にどうかはわからないけど、なんとか出来る気がする。あともう一瞬で思い付けそうな。頭の中で何かを堰き止めている栓が外れて、おでこや首の後ろから熱い汗が滲んでくる。身体が臨戦態勢を整えて心拍の上昇と大胆な呼吸が始まる。
そして、『結び目』が見える。僕を含め、全員が過度の緊張状態、糸をきつく縛ってストレスを封じてるみたいだった。
『お降りの際は、お忘れ物のないようご注意ください。お降りの際は――』
鍵が開く。訓練した通り、あるいはぶっつけ本番で、"力場"の殻を作って自分を包む……重力じゃなく、特異性の方を。それで『透明マント』みたいな効果を得て熊から隠れる。本当に自信が無い、僕がこんなこと出来るだろうか??
……やるしかない! そう思って触ってみて、僕が持つ特異性の「追跡失敗」が、びっくりするほど脆い力だってことに気付く。重力が粘土だとしたらこれは水みたい。こっ……こんなので殻を作るって? 自分だけならまだしも、6人分も???
dice1d100=47 (47) 知性ステータス+20(46)以下で成功
dice1d100=2 (2) 精神力ステータス(85)以下で成功
dice1d100=46 (46) 神秘ステータス(89)以下で成功
- 33佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/15(日) 09:02:33
うーん、6人じゃなくていいのでは? 熊の体格はそんなに常識外れじゃないし、『外側から内側が見えなくなる』効果を、『内側から外側が見えなくなる』ようにひっくり返して、熊にかぶせればいいかも。
目算を立てたから、実際に水をこねる作業が始められる。どうしよう。固める方法……凍らせる? 氷って分子が整列してるんだったよね。じゃあそんな感じで……
…………できた。目には見えないけど檻のようなものが出来た、出来たけどまるで実感が無い。数学やっててピンと来ない答えが紙の上に出た時みたいだった。いや、それも大丈夫だったし、今回も大丈夫なはず……えいっ!
「カガリ先輩、先ほどから何を?」
……た、たぶん大丈夫。今なら普通に部屋から出られると思う。
「……はい?」
「あー。やめといたほうがいいよ、食事中の熊に近寄るの……どうやっても背後通らないといけないし。この子からしたらすごい刺激になっちゃう」
それはわかる、んですけど、こう……その、大丈夫にしました。なんというか、魔法みたいな感じで。
「?」
「……シグレちゃん。カガリさんってこんな冗談言う人だったっけ」
そ、そっか。信じてもらわないといけないのか。それは……かなり難しいような……
……殻の効果を両面にすれば、いける? こっちからも熊の存在が薄れるように。これ維持してるだけで精一杯なんだけど……が、がんばれば……
「なるほど。わかりました、わたしが最初に通ってみます、ね」
「……えっ?」
「よ、よいしょ、っと……うん、全然大丈夫です。こっちに気付く様子もありません。みなさんもどうぞ」てくてく
……ユズちゃんに続いて先生、次にトキちゃんが緩やかに部屋を出る。シグレさんとノドカちゃんも、かなりびっくりした様子だったけど動いてくれて、僕が殿を務めた。
遠く離れた部屋にみんなで固まって、ようやく一息つく。全く慣れないことをしたせいか、全身に重たい疲れがのしかかって、立っているのもやっとの状態……
「ねえ、ちょっといいかな」
「ひゃっ……な、なんでしょう」
「ユズさん、だったっけ。なんでさっき、真っ先に動けたの?」
「理由、ですか? それは……カガリ先輩、冗談を言う人ではないので」
「"「「………………」」"」
「この子、大丈夫なの?」
「えっ!!?」
「私が知る限り、ユズ個人に問題はありません。とても勝負強いことは確かですが」 - 34二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 12:43:20
器用になったなぁ
- 35二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 15:52:24
危機一髪
- 36二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 00:09:29
熊こわい
- 37佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/16(月) 05:33:53
「――やー、変なことになっちゃってごめん。荷物は無事?」
「は、はい! たぶん大丈夫、です」
「概ね問題ありません。ただ……カンポットだけはそのまま」
う、うん。さすがに目の前で食べ物横取りするのは危険だし、、仕方なかったと思う……
「どのくらいで出ていくかな。暗くなるまでには出ていってくれると嬉しいんだけど」
「それなりに居付く可能性はあるね。甘いもの食べた後、ストーブも炊いてる……最悪そのまま寝付いちゃうかも」
「そんなー……今日の寝床……」
"熊って、臆病な生き物だって聞いたことがあるけど"
"臆病どころか、まるで人間を怖がって無かったね"
「あの個体、ちょっと前から近くにいたのと同じ子だと思う。必要な時しか狩猟しないって決めてるから、威嚇射撃で追い払うだけにしてて……それが却って慣れさせちゃったのかも」
そう言うとシグレさんは小さく溜息をついた。ここまで暗い雰囲気になってるの、初めて見たかも……
「うん、今が『必要な時』かな。虎の子の麻酔銃も置いて来ちゃったし……幸い実弾はあるし」
「承知しました。お手伝いさせて頂けますか?」スチャ
「やめてよ、お客さんにさせるようなことじゃないって。私1人で十分」
あの、シグレさん。えっと……出すぎた真似かもしれないんですが。
「ん。どうしたの、カガリ」
……殺さない方法でいけないかな、って。
「……ふーん?」
「あー。そうだった、カガリさんってこういう人だった。えっ、どうするの??」
「どうしてそう思ったのかな。聞かせてくれる?」
シグレさん、必要なことは割り切れるけど、全部無視できる人でもないです。……あの部屋の中で生き物が死んじゃったら、暫くの間、あの部屋使えなくなりません?
「………………」
本当に殺す選択肢しかないなら、麻酔銃のこと気にしないんじゃないかなって。何か思うことがあるなら、それは大事にした方が良いと思います……大事にしなって、シグレさんから教わりました。
「……そうだね。ふふっ、そうしよっか」
はい! ……その、いいですか。みんなにも手伝わせちゃうことになりそう……
"勿論! 私にできることなら、なんでも"
別にそうしようと思ってたわけじゃないけど、結果的にちょっと空気が明るくなった気がする。こうして僕たちは、ひとまず生かしたままに熊を追い出す方法を考え始めた……えっ、けっこう難しくない? - 38二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 10:29:24
言い出しっぺの法則
- 39二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 16:20:39
ミレニアムに来る前の旅路の経験もあっての今のカガリなんだろうな~
- 40二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 23:57:52
どんな方法で熊を追い出すかな?
- 41佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/17(火) 06:16:59
さてどうしよう。方法に拘っている余裕はあまりない……思いついたことならなんでも言うくらいじゃないと。うーん。
……いっそのこと、僕がさっきと同じやつをもう一回やりながら乗り込んで、なんとかしてどかしてくるっていうのはどうですか? みたいに提案をしてみる。
「え、えっと。やめておきませんか……?」
「そうですね。せっかく全員で協力する流れの時にこの人は一体何を言っているんだという感じです」
"うーん、その『さっきと同じやつ』がなんなのか説明してもらわないことには頷けないかな……察するに難しそうだけど……”
「ただでさえ危険な状況で、さらに周りの肝を冷やすようなことは積極的にしちゃ駄目だよ。さっきのアレはユズさんの顔を立てただけだから」
「カガリさんのこと信用していいのか悪いのかわかんなくなってきた……」
ぼっこぼこにされた。すいません……そんな僕の有様を見かね、トキちゃんが『特殊な状況を想定しない、一般的な作戦立案の法』についてアドバイスをしてくれるという。
ひとつ、『誤解や不信を防ぐため、正確な前提情報すべてを全員が確認できなければならない』。ひとつ、『人的リソースを効率的に活用すべく、少人数に負担を集中させない』。ひとつ、『作戦に参加する人員は、可能な限り全員の利害を共有させる』。なるほど、確かにそれで作戦を立てられれば成功しやすいかも……
「まあ、これらに限らず、C&Cの作戦が数多くの原則に従っているということでも無いのですが。そういった意味で"特殊"なのが我々だとも言えます」
……つ、つまり?
「私に全ての立案を任せることはお勧めできません。そういうのは先生の仕事です」
”待ってね、熊相手の作戦なんて考えたことないから今頑張ってる”
(スレ主もいいの思いつかないのでダイスで方向性を決めます)
誰がメインを張る?
dice1d5=5 (5)
1.カガリ
2.トキ
3.ユズ
4.ノドカ
5.シグレ
- 42佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/17(火) 08:14:13
先生とノドカちゃんと僕で見通しのいいスポットに移動し、さっきの部屋を窓越しに見ながら、各々の端末を繋いで連絡している。うーん、やっぱりまだいる……しかも体丸めてるし、もう寝てるかもうすぐ寝るかって感じに見える。難しそう。
"……うーん"
"相手が人間なら読みが働くけど、熊だし……なるべく何も行動させないで追い出したいかも"
『と、なると……やっぱり麻酔銃が要る感じかな?』
『成程。一旦、誰かが部屋に忍び込んで取ってくる必要がありそうですね』
……トキちゃん行くつもりだねその言い方。
「ええええ。すごい度胸……」
『ヒグマだったらわかりませんが、ツキノワグマなら反応速度もパワーも大きく劣っているつもりはないので。怪我のご心配は不要です』
"心配は心配だよ。なるべく安全にするために、策を練っていきたいけど……"
『……な、なら。お二人に聞いて、あの部屋のマッピングをしませんか? どこに目当ての物があるかわかれば、滞在時間が減らせるんじゃないかなって……』
「おおっ、名案ですね! 早速準備しましょう、シグレちゃん!」
通話アプリの画面共有モードを開き、先生があの部屋と同じ縦横比の長方形を描画する。続けて、縦の辺と横の辺にそれぞれ数を振って、2つの組み合わせで座標を指定できるようにする……将棋に似てるかも。
いちばん右下の出入り口を縦8横10とした時、シグレさん曰く麻酔銃が仕舞ってある場所は縦3横1。熊は縦4横4くらいに寝てる……かなり離れてるし回り込まないとだけど、これで探し回らずに済むはず! あとはトキちゃんに任せよう…… - 43二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 12:15:32
良い感じ
頑張れトキ - 44二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 21:42:35
クマー…
- 45二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 06:40:04
保守
- 46佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/18(水) 07:15:51
『――こちらトキ。目標の確保に成功しました』
「はやっ」
入ってから10秒くらいしか経ってなくない??????
『ふふっ、ミレニアムって凄いところなんだねえ』
『ピースピース。っと、シグレさんと合流、受け渡し出来ました。この後はどう動きましょう』
『んー……狙撃場所作ろっかな。先生たちが居るところの近くになりそうだけど、もうちょっと急な角度から見る感じ。これじゃガラス貫通できないしね』
『概ね把握しました。スポッターはご入用ですか?』
『おっ、やってくれるの? 頼もしいなあ』
は、話しやすそう。仕事が出来る人同士だからってことですか。
少し経って安全な屋上の上に全員が集合し、みんなで麻酔銃を物珍しく監察する。特に弾丸は注射シリンダーそのもののような見た目をしていて、1発ごとに手作業で麻酔薬を詰める仕様になっていた……その量はシグレさんが推測で決めるという。「こんなことも出来るんですね!」とユズちゃんが言うと、「ホントは専門家がやるべきなんだろうけど、レッドウィンターにそんな高尚な考え方は無いから」って返されて、みんなで苦笑いした。
「よし、準備完了っと。いつでも撃てるようになったよ」
……その。撃った後ってどうするんですか?
「ちゃんと命中すれば、2~30分経ったくらいで寝始めると思うんだよね。そしたら私が担いで山の中に帰してくるよ」
「えっ!!?」
「ほんとシグレちゃんって力持ちだよね。しかも器用だし」
「褒めても何も出ないよ♪」
"……山に帰したら、流石にもう戻ってこないかな。これでかなり怖がらせることになるとは思うけど……"
「もし戻ってきたら、その時は入ってこられる前に対処するよ。お肉も革も無駄にはならないし」
「………………」
「む。風が止んだようです……射撃体勢に入りましょう」
「オッケー。指示お願い」
注意深く様子を見ると、ユズちゃんがちょっとざわついているような気がした。……あー、僕も初めて狩りに参加した時とか、そんな感じだったかもしれない……
dice1d100=68 (68) 交渉ステータス(92)以下で成功
- 47二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 12:18:43
分野は違えどプロ同士話が早い
- 48佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/18(水) 16:01:18
……よいしょっと。隣いい?
「えっ? ……は、はい」
いやー、変なところだよねレッドウィンター。自分の中の常識が壊れていくっていうかさ。まあ、慣れれば気楽だったかもなーって思ったりもするんだけど。
「そう、ですね。1人1人を見ると、真面目な人が多いイメージです……もしかしたら真面目過ぎるのかも?」
かも! モモイちゃんとかいたらどうなってたのかな。結構すいすい行っちゃいそうだよねモモイちゃんだし。
「あの、えっと、もしかしてわたし気を遣われてますか」
う゛っ。……ま、まあ、そういう言い方もあるかもしれない。いや特に何かあったってわけじゃないんだけどね。大丈夫かなーって。はい。
「……ふふっ。ありがとうございます、カガリ先輩」
ぱん! と乾いた音が鳴る。誘われるように視線を向けると、トキちゃんが親指を立てて成功を知らせてくれた……
熊に麻酔銃が当たる時の痛さは、人間にとっては蜂に刺されたくらいらしい。部屋の中で暫く暴れた後、扉から出て構内をさまよい始め……説明の通り、2~30分程度経ってから捜して、廊下のど真ん中で眠りこけている熊を見つけた。
「じゃあ、この子のこと運んでくるね。ノドカ、一応あの部屋のもの壊れたりしてないか調べてくれる?」
「うん、わかった! いってらっしゃい!」
一切怖気づくことなく、よいしょの一言で猛獣を担いで山へ歩いていくシグレさん。心強いがすぎる……そのまま山へ入っていく背中を見送る。
一時はどうなることかと思ったけど、怪我人出なくてよかった。……カンポットまだ残ってるかな……
「――ねえ!!!」がしっ
ぅわっ!? な、なんでしょうノドカちゃん。
「思い出したの!!! 確かあの時、山のほうに向かって歩いてるの見かけて……」 - 49佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/18(水) 16:54:16
『ごめん。僕、帰らなきゃいけない』
「……って言って、そのまま歩いていっちゃって……追いかけていいのかもわからなくて」
……僕が、そう言ってたの?
「うん。気のせいだったかもしれないけど、様子がおかしくて、シグレちゃんに言っていいのか悩んで……そのまま、なぜか忘れちゃってた」
記憶を探っても、そんなシーンはどこにも出てこなかった。……でも、ノドカちゃんがそう言うなら、確実にあったことなんだろうとも思う。
僕はその時、何を考えていたんだろう?
「確かその時、何もわからないなりに、レッドウィンターの中心部に帰ろうとしてるのかな、って思って。でも……詳しくは知らないけど、カガリさん、元々レッドウィンターの人じゃないんだよね……?」
dice1d100=16 (16) 目安は神秘ステータス(89)
dice1d100=24 (24) 目安は精神力ステータス(85)
- 50二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 23:00:16
ホラーじゃん…
- 51二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 02:52:37
謎が謎を呼んでいく~
- 52佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/19(木) 06:01:28
……でも、それは自分だったかもしれない。理由が説明できなくてもなんとなくそう思う。記憶はないけど、僕は自分の意思で、どこかに帰ろうとしていた。
そして、それは……きっと百鬼夜行のこと。今の僕にとってどんな意味を持つ場所なのかわからない、だけどその時の僕には心当たりがあったんだ。
「カガリ、先輩? その……」
ぅえ!? ど、どしたのユズちゃん。
「……いつかは、そういう話もしなきゃなって、わかってた、んですけど」
………………
「カガリ先輩、帰っちゃうんですか。元いた場所に」
……う、うーん。どうだろ。
「帰りたい、ですか?」
自分でもびっくりするくらい答えが出てこない。本当に長い間、ぐっと俯いて黙ったままだった気がする。
「ねえ、ユズちゃんってカガリさんとどういう関係なの?」
……えっと、ミレニアムに流れ着いたあと、ゲーム開発部ってところに入部したんだけど。そこの部長さん。
「えっ、1年生でミレニアムの部長!? すごい!!!」
「そ、そんなに大したことは……」
「うーん、ちゃんとお友達がいて安定した生活できてるなら、居場所変える必要ないな、って思っちゃうかも。もし自分だったら」
そう、だよね。僕もちょっとそう思うんだけど……でも、いつかは帰らないといけないような……
「なんで帰らないといけないかって、記憶にある?」
……ううん。理由はあるのかもしれないけど……理由のあるなしの問題じゃない気もして……
「じゃあ、思い出してからまた考えたら?」
……それ以上の言葉は思いつかず、それが一番いいかも、と素直に思った。
なんでもないように振る舞ってるノドカちゃんだけど、その純粋で真っ直ぐな考え方にはシグレさんと別の種類の心強さを感じた……そんなことが以前にもあった気がする。もう暫く同じことで悩むだろうけど、この言葉はいつでも思い出せるようにとっておこう。
(好感度が相互に上昇します)
カガリ→ノドカ 40+ dice1d6=2 (2) +4
ノドカ→カガリ 40+ dice1d4=4 (4) +4
- 53佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/19(木) 06:39:19
「いつでも来てね……って言うには、ちょっと立地が難しいけど。まあ、来てくれたら歓迎するよ」
「そうだっ、食べ物持ってきてくれてありがとう!! 大事に食べるねー!!!」
見送りを受けて、227号特別クラスを後にした。期待していた以上にいろんなものを取り戻せた気がするし、あと……自分を覚えている人がいたっていうことが、自分を支えて強くしてくれたように思えた
不安定なことに変わりはないけど、登りよりは降りの方がちょっと楽かも。それに僕は荷物がすごく空いたので、ユズちゃんの分を代わりに引き受けたり、調子に乗ってトキちゃんと雪遊びしたりして――
「それで、カガリ先輩。今後ミレニアムを去るつもりはあるのですか?」
!!?!??!?
"一旦保留する流れになってなかったっけ???"
「自問自答でなく、私のような他者から改めて尋ねられる形にしておくことが重要だと考えまして」
どうしてですか!!!!!
「この質問を受けてなお保留中であるとお答えになられても、そこに異議はありませんが……何も一から十まででなくとも、話せることは話しておくというのも手かと。ヒマリ先輩を見ているとよくわかりますが、ハッキリと言葉にしないことが全て優しさであるとは限りませんので」
う゛……いや、でもさ。僕がミレニアムから、例えば学籍移すとかになっても、それで悲しんだりショック受けたりする人っている? たまに考えないわけじゃないけどそれって自意識過剰ってやつじゃ――
「………………」じーっ
「これ以上目を逸らしますか?」
ごめんなさい……
"い、急ぐ必要はないんじゃないかな。考えることはもちろん大事だけど、考えないことも時には大事だよ"
「先生はいつもお優しいですね。しかしむしろ、こういう過酷な移動中のような、どう頑張っても腰を据えられない場所であえて一度触れておけば、後々拗れにくいとは思いませんか?」
……ちょっとあるかもねそれ、力業だけど。ありがと……でもごめん、難しかったかも……
「謝罪の必要はありません。重要事項の確認は1つ済みましたから」 - 54佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/19(木) 07:05:38
記憶『レッドウィンター』を一部取り戻しました
(1/3) → (2/3)
─────────────────────────
――とはいえ、指摘されると色々考えちゃうもので。
ありがたいことに、ミレニアムにいるべき理由を僕はいくつか持っている。でもその反対、ミレニアムから去るべき理由が全く無いってわけじゃない……物事ってすべてそういうもの、相反する2つ以上からどれか1つを選ぶってこと。
"特異性"に関することで、リオさんは僕をミレニアムのお膝元に置いておく方が安全だって提唱した、んだったよね。でも、それが無かったら……もしも将来的になんらかの形で解決したら? そうなったら自由、つまりどっちでも良くなるけど、その時僕はどうするだろう。
……遡ると、今まで僕がミレニアムでしてもらったこと……先生やユウカさん、ノアさんから受けた特別な対応は、僕がミレニアムにずっといることを前提に組み立てられていたわけじゃない、と思った。つまり、どっちでも良いようにしてくれたってことだ。
そう考えたら、僕はその気遣いを無駄にしたくない、って思うかもしれない。その機会を活かして今日みたいに、昔のことや新しいことを見つけられるなら……
"みんな見て、道路に出たよ! つまり下山成功ってことだと思う!!"
……あっ、本当だ!!!
「ひぃ……や、やっと終わった……」
「お疲れさまです、ユズ。よく頑張りましたね」
お疲れさまー! 荷物もうちょっと持っておく?
「い、いえ、もう大丈夫です! ありがとうございました」
"……それで、カガリ"
"考え事してるみたいだったから、聞くの遅らせてみたけど……チェリノと会ってみる?"
あーーーそうだったーーーー! ……ど、どうする? みんな先に帰っても……
「……た、単純に……見てみたい、かも。せっかくここまで来たし」
本当に????気遣ってない?????
「気持ちはわかりますね。噂の多い人物ですが実際はどうなのか」
"じゃあ、会ってみようか! トモエに連絡するね"
は、はい! 大丈夫かな……ほあああ…… - 55二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 12:21:03
無事に下山
熊出なくて良かったね - 56二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 15:13:26
記憶の旅路は遠いなぁ
- 57二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 23:04:18
同志の登場だ
- 58佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/20(金) 07:15:48
連河記念公園の空は、終わりつつある夕の橙色と立ち込めてきた夜の紫が混じって、魔法の色を呈していた。暗いけど、遠くの人影くらいは見える……
あれ、かな? チェリノちゃん、トモエさんに、追加であと1人……じゃない。あれチェリノちゃんの胸像だ。待ち合わせにはうってつけだけど。
「想像の何倍も小さいですね。あれが、レッドウィンターの生徒会長……」
「だ、大丈夫、ですか? また流刑にされたりするんじゃ……」
さすがに大丈夫じゃないかな?? 書類上、今の僕ってレッドウィンターの生徒じゃないし……というか改めて考えるとここに学籍置いてたことがあるのかすらもよくわかってないし。
「そんな理屈が通用する相手なのですか?」
……わかんない!
"とりあえず……行くと決めたからには、行ってみようか。そろそろ冷え込んできそうだしね"
話すったって、何を話せばいいんだろう? 決まらないまま近付いていく。すると、こっちの足音に相手が気付いたみたいで……
チェリノちゃんは大きく手を振った。振り返して良いのかもわからず歩みを進める。まだ声は聴き取れないはずが、何を言ったのかわかった……おそらく、「トモエ、下がっていろ」と。
少し戸惑ったけど、自分が何を求められているのかなんとなくわかったので、僕もみんなの足をそこで止めた。
「久しぶりだな、カガリ。元気だったか?」
はい。……書記長こそ、お変わりなく。
「今まで何処にいた」
……以前までは処分通り、227号特別クラスに……ある時からミレニアムに渡りました。一身上の都合です。
「ふうむ……まあ、理由はどうでもいい。校則違反の事実の前には些細なことだ」
も、申し訳ございません……
「トモエから大体は聞いた。おいらのことは覚えているか?」
はい。元々、多くを与り知る身ではありませんが……まさに今その寛容なお心に触れている次第です。
「ええい、難しい言葉を使うな! 悪い癖だぞ」
はい……………… - 59佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/20(金) 07:57:02
「そうだそうだ。おやつ後の時間を使って、今日何を話すか考えてきたんだった。光栄に思いたまえ」
えっ! ありがとうございます!!
「思い返してみればお前、おいらに隠れて不敬を働いていたんだったな。トモエに言われるまで忘れていたが」
う゛……
「まあ、うっかり忘れていたのはお前の存在まるごとなんだけど。そんなことはどうでもいいとして」じろり
ひぃいいいい……
「一つだけ、腑に落ちないことがあった。おいらが校庭に作った雪だるまの件だ」ずいずい
お、おゆるしを……
「……あれは、お前と2人で作ったものだったはず。どうしてそれを倒すなんてことをした?」
……えっ?
「おいらのこと、本当は嫌いだったか?」
そ、そうだったんですか??? 振り返って助けを求めようとしたけど、ボス戦のごとく逃げる選択肢がない気がしたので、代わりにトモエさんへ視線を送る。
……トモエさんも知らなかったっぽいな。チェリノちゃんがこういうの気に留めるタイプってことわかってるだろうし、そしたらその雪だるまを僕が倒すよう仕組んだりしなかっただろうし……あと、珍しく取り乱してるように見えた。
「なんてな。恨まれるのも疎まれるのも日常茶飯事のレッドウィンターで、1つの喧嘩をわざわざ蒸し返すなんて無駄なことはしない。プリンが不味くなるだけだ」
……ごめんなさい。その、わざとじゃなかったんですけど、話す機会がなくて……
「で、レッドウィンターには戻ってくるのか? 今日のおいらは機嫌がいいから、清掃部見習いくらいのポストなら用意してやってもいいぞ」
う、うーーーーーん……その、えっと……
「……ふん、即答じゃないならもう良いわ。さっさと出ていけ、風邪をひかない内にな」
えええーーーー!!?!??
「なんだ、おいらの決定に何か不満があるのか? 粛清だ、粛清! ……顔をもっと近づけろ!!」 - 60佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/20(金) 08:10:27
元からそれとなーく目線を近づけるようにはしてたけど、促されるままさらにしゃがみ込んで、いそいそと『粛清』の準備をする書記長を見守る。……なんだろう? 手袋は脱いでるけど。も、もしかして目潰しとか――
「えいっ!!!!」でこぴん
ぎにゃあああっ!!!! い、いたい……
「わーっはっはっは! 良い気分だ、これがしたくてここまで来た甲斐があった!」
……呆気にとられる。満足したのか、手袋をはめ直してトモエさんの側に戻るチェリノちゃん。
なんだか2つの意味で衝撃を受けてぐわんぐわんしていたせいで、その後のことにろくな反応ができなかった。僕もまたみんなの元に戻り、お別れの時間……手を振られたので、今度は振り返す。
ユズちゃんとトキちゃんから「すごいですね」みたいな言葉を受けて、流石にこれは謙遜じゃなく、すごいのはチェリノちゃんの方だったんじゃないかなと反論して、それもそうかもしれないってなったり。
それで、駅のホームに立って、残り10数分の電車を待つ間……ぼーっとしていて返事ができなかった、生徒会長からの別れの言葉が、頭の中でふたたび響いていた。
「じゃあな、カガリ! またいつでも遊びに来い!」 - 61二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 12:31:54
自由だなぁ
- 62二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 20:25:46
なかよし!
わだかまりも解けて良かったねカガリちゃん - 63二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 22:58:30
レッドウィンターにいた時のことをかなり思い出せたな
- 64二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 08:00:58
保守
- 65二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 13:08:04
親睦も深めたし改めて友情も得たし
いいことづくめだ - 66二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 21:53:56
保守
- 67二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 07:25:38
保守
- 68二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 14:17:05
でももう1個あるんだよなレッドウィンターメモリー
どこの話だろ - 69二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:25:13
どうなるんだろうねぇ
- 70佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/23(月) 06:20:51
――がたんごとん、がたんごとん。一定のリズムで揺られていると、なんだか眠気が激しく襲ってくる感じがした。まあ、思えば今日は"特異性"も出ちゃったし、いま意識が残ってるだけでも進歩だなぁと思う。一時期は墜落するように寝てたから。
「……耐えていらっしゃるようですが。ミレニアムに着くまでの間、目を閉じて休むくらいなら良いのでは?」
あっやっぱりわかるんだ。うーん、寝るなら部室で寝たいんだよね……こればっかりは気分の問題。
"もしかして、ユズに寄りかかられてるの気になる?"
そうかもしれないです。……ちょっと前、ユズちゃんにとって甘えられる相手がどうのこうのって話になって。今こうやって無防備に寝られるくらい心許してくれるなら、その役は全うしたい……みたいな?
"ううっ……立派になったね……"
なんですかそのリアクション。
『――次は、時計塔前駅。時計塔前駅。降り口は、右側に替わります――』
「これの次ですね。……ユズを直前まで寝かせておくつもりであれば、荷物を一時的に引き受けますが」
いいの? じゃあお願いしよっかな、ありがと――
"カガリ、ちょっと顔色が悪いよ。体調は大丈夫?"
へ? と素っ頓狂な声が出る。まるで心当たりがなかったので、大丈夫ですって返そうとする……その声は出ない。
あらかじめ決まったコースを頭がごろごろと転がり落ちていく……いろいろと大ざっぱにフラッシュバックしながら。「227号での生活」、「チェリノちゃんと会話」、「レッドウィンター到着/出発」、「電車の移動」……今日一日の経験は、アルバムを反対側から読むように、僕が過去に経験した流れとたまたま逆の順番になっていた。
そのまま勢いよく転がって、まだ思い出せていないどこかに辿り着こうとしているのに遅れて気が付く。それって一体どこ? - 71佐藤カガリ ◆IEd0n050V225/06/23(月) 07:13:16
"――カガリ!"
ふぁいっ!!! ……せ、先生? どうしたんですか。
"焦らなくて大丈夫。目を伏せて、ゆっくり呼吸して……頭から力を抜いて"
"そして、それに遠ざかるか近付くか、自分で選ぼう。眠りから覚めた時、起き上がるか寝直すか決めるのと同じ感じだよ"
……ぴったりのアドバイス。少し考えて小さく頷く。もしも目的駅着いちゃったら引っ叩いて起こしてください、って言い残して、白昼夢の中に記憶を探す旅を始める。
昔の僕は、これと同じ電車を日常的に使っていた、はず。それで、『それ』が……まだ掴めないけど、何か起こった日、相当長く乗っていた。そうだ、聞いたことない名前の駅を目指すことにして、それで着いたのが連河記念公園前駅なんだった。
何があったんだろう? ……こういうことを何回か繰り返してきた経験から、直接思い出すのがすごく難しい記憶ってことに察しがついた。それなら、今できることは……
「……おや? 落ち着きましたか」
トキちゃん! この路線で行ける駅の一覧ってある?
「一覧……今から調べてみます」
ありがと!!
"もしかしてカガリ、何か思い出しそうなの?"
あんまり自信がなかったのでふにゃふにゃの返事をしながら、路線図をトキちゃんから見せてもらって作戦を考える。……当然だけど、路線に存在する駅すべてに記憶があるわけじゃない。分類するなら、「記憶がある」「記憶がない」「わからない」の3つ……
僕が僕自身を忘れる力がいくら強くたって、「ない」を「ある」に変えることはできないんじゃないか? だとすると、「わからない」の場所が怪しそう。
駅名一つ一つを自問自答に照らし合わせて、「わからない」だった地点を指で示していく。数十秒後、遥か西の方面に怪しいエリアを見つけ出す。話してみると、先生が少し頭をひねった後、こう呟いた……
"……トリニティ?" - 72二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 12:42:09
レッドウィンターからトリニティ?
- 73二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 18:49:55
また縁もゆかりもなさそうな土地に
- 74二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 23:09:53
次は紅茶編か
- 75二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 08:20:53
今度は誰を誑かしてたんだカガリちゃん
- 76二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 15:53:33
保守
- 77二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 23:02:57
カガリとトリニティにどんな関係があるのか楽しみだね
- 78二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 08:21:55
保守
- 79二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 15:27:33
ホント色んなとこ行ってんなカガリちゃん
- 80二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 00:39:27
保守
- 81二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 09:38:07
どうなるかな
- 82二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 17:08:52
カガリちゃんの事だからまた変なとこと繋がりありそうなんだよな
- 83二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 23:58:47
保守