【SS・ホラー】水底に揺蕩う唄

※最新話の凪のキャンプシーンで心苦しくなり楽しいキャンプで上塗りしようと考え始めたら何故か産まれたホラーSS

※主な登場人物は凪誠士郎、御影玲王、烏旅人、乙夜影汰

※スレタイの通りホラーなので「映画館での上映に年齢制限がかからない程度のホラー映画」くらいの描写がダメな人はUターン

※時間軸いつだよ等の真っ当な指摘は飲み込もう、二次創作あるあるBLTV企画だ

※閲覧注意を付けていないからこのスレでの劣情レスや腐レスはNGだけど各キャラのそういうスレに持ち帰ってネタにして貰う分にはOK

※遅筆＆不定期更新

「なーなー、今向かってるキャンプ地にあるらしい人魚伝説って知ってる？」

　掛けてもいないメガネをクイッと持ち上げる仕草と共に、助手席の乙夜影汰が後部座席の三人に振り返りそう切り出した。
　コンパクトミニバンの窓の外からは夕焼けの眩しい橙色が差し込み、彼の髪の銀色の部分と、左端に座る凪誠士郎の真っ白な頭髪をギラギラと彩っている。
　右端に位置取る烏旅人が口を開こうとするよりも早く、真ん中に挟まれた御影玲王が「人魚伝説？」と小首を傾げた。

「そう。人魚伝説。なんかね、最近再開したキャンプ地がそもそも何十年も閉鎖することになった理由ってのがそれらしーよ。俺もさっきの道の駅でユリちゃんに軽く聞いただけで、詳しいことはよくわかんないけど」
「ユリちゃん誰やねん」
「レジにいたじゃんカワイイ子」
「お前、あのどう見ても８０超えとる婆さんから短時間で名前と噂話聞き出した挙句にちゃん付けで呼んどるんか……」

　会話の合いの手を引き継いだ烏が「ようやるわ」と呆れた表情を浮かべた。
　女好きの乙夜はコロコロと女の趣味も変わるから、今日はきっとかなりの歳上を口説きたい気分だったのだろう。
　水分補給のためにと謎の銘柄の瓶飲料を買った烏には無愛想な接客だった割に、あの仏頂面の老婆ことユリちゃんも『女』だったということか。

「……で、人魚伝説は？」

　逸れかけた話を凪が連れ戻す。
　ずっとスマホゲームに集中しているように見えて、意外と周りの話は聞いている男だ。
　玲王が興味を示したから、というのもあるだろうが。

「そうだった。えっとね、俺らが今向かってる旧『霧摘（きりつみ）村』にある人魚伝説ってのが──」

　──滔々と語られた伝説の内容をまとめるとこうだ。

　昔昔のそのまた昔。霧摘村がまだ頭に旧と付く廃村になっていなかった頃、ひどい飢饉に見舞われた。
　原因は虫害だったり悪天候だったり現代に伝わるまでの間にレパートリーが増えてしまい、どれが真実なのかとんとわからないとか。
　とはいえ重要なのは田畑が荒れ果て村人たちにその日食べるものさえ無くなってしまったということ。
　農業で暮らしてきた村だ。売るものが無ければ金は手に入れられない。食料を買うこともできない。まして自分たちで食べる分の農作物さえ災害によって奪われてしまった。
　助け合って生きていこうと麗しいことを口にできたのは最初の数日だけだ。
　沈んだ太陽が新しく登るごと、村人たちは次第に窶れ、痩せ衰え、瞳ばかりが妖しく剣呑な光を灯すようになった。
　このままでは誰か一人が火蓋を切って落とした瞬間に互いに殺し合うことになるだろう。
　僅かばかりの金品を、あるいは肉そのものを求めて。
　そんな予感が殺気めいて村民らの間に張り詰めていった。

　だが。天は村人に味方をした。
　あくる日の晩、一人の旅の女が宿を求めて霧摘村にやって来たのだ。
　霧深く、空には煌々と満月の輝く、美しい夜だった。
　そんな夜に相応しい綺麗な娘が、ぴかぴかの着物を纏って大きな籠を背負い、その中からたくさんの金銀財宝を差し出しこう言った。
　「私はこの霧摘村の外れにある月華（げっか）湖に住む人魚です。あなた達が大変な目に遭っているのを見ていてもたってもいられず、こうして恵みを差し上げに参りました」。
　人ならざる女の善意と恵みによって村人達は飢えて死ぬ前に離れた場所にある他の村から食料を買うことができ、以後、村人たちは人魚の女に感謝を込めて、毎年女が恵みをもたらした日と同じ霧深い満月の夜に月華湖へと供物を捧げるようになったという。

「……なんや、いきなり出て来た人魚があっさり全部解決していったな」
「嘘くさーい」
「まあ、地方にある伝説なんて大体こんなもんだろ！」

　乙夜がユリちゃんから聞いたという人魚伝説のあらましを聞き、三者三様にあまり響いていないリアクションをとった。
　乙夜も自分で話していてご都合主義がすぎると思ったのか、唇を3の形に尖らせて「だよなー」と同意する。
　ツッコミどころを挙げればキリは無い。さりとて伝説にリアリティがあるほうが珍しいのだ。

「っていうかさー、何でそんなハッピーエンドの伝説でキャンプ地ずっと閉鎖してたの？」
「確かに。霧摘村近くのキャンプ地がずっと閉鎖してたのって、確か怪事件が長年起こり続けたからだろ？」

すまん投下ついでに書いてある分の続き読み返してたら矛盾点を見つけたからちょっと修正に入るわ
10まで適当にレスして埋めておいてくれ

がっつり地の文のある小説だ！
すでに上手くて楽しみだしメンツも好きなコンビ×2でありがたや

とても楽しみ
ミニバンって出てきたから成人設定かと思ったら助手席と後部座席三人だからタクシーとかに乗ってるのか

ユリちゃん（80歳超え）を口説くの流石すぎるわ乙夜

タイトルと人魚伝説とキャンプ地と湖のワードでもうワクワクしてる日本産ホラー好き

田畑が荒れた原因さえ複数のパターン分裂している人魚伝説ならこれが正式なやつではなくて他の部分も昔の言い伝えから変わってるのかもな

人魚といえば八尾比丘尼とか飢饉のイメージあるけどどんな話になるのか楽しみスレ主がんばれー

　暗に「人魚伝説とかキャンプ地の閉鎖理由に関係なくね？」と言ってくる二人に、追加で話を続けようとした乙夜の出番を運転手がいきなり持って行った。

「伝説では無償で恵みをもたらしてくれた心優しい人魚様が、いつしか村に災いをもたらすようになったんだ」
「ほぉ。心変わりの激しいこっちゃ」
「そもそも感謝の供物を捧げるようになったのも、月華湖から夜な夜な聞こえる人魚の歌声に誘われて入水する村人が相次いだからで……最初は何も捧げてなかったらしいよ」
「ずいぶん恩知らずだな。っていうか後藤さん、何でそんなに詳しいの？」
「祖父母が霧摘村の出身なんだ。今はもう二人とも死んでしまったけどね」

　そう言って頬を掻くミニバンの運転手である後藤は、齢40から50と思われる白髪混じりで中肉中背の男だ。
　顔は人を見惚れさせるほど美しくも人に見下させるほど醜くもない、いわゆるフツメンで、全体的にこれといったチャームポイントも無い。
　初対面から歳下の四人にタメ口でいいよと笑いかけてくるなど性格も穏やかで、良くも悪くも個性の塊しかいないブルーロックではなかなかお目にかからない人種だ。

無実だったら申し訳ないけど滅んだ村の生き残りってだけで運転手怪しく感じる

開幕のコンビニのユリちゃんからもう怖い
このまま運転手不明で進んだらどうしようとか思ってたから登場してくれてよかった

途中で寄ったのが道の駅で働いてるのがかなりのお婆ちゃんってことは恐らく田舎なんだよな
そこから更にミニバンで田舎のほうに進んでるならこれ運転手が怪しい人物だった場合ヤバそう

ホラースレって迂闊に先の展開を予想すると万が一当たっていた時に申し訳ないから何も考えずにただハラハラしておくぜ！

確かに「この考察は当たってる自信あるな」って予想ほどレスせず胸に留めることは多々ある

pixivで⚪︎⚪︎ホラー系漁って生きてきたオタクだからブルロはホラー小説あんまり流行ってなくて寂しかったんだサンキュースレ主

ホラーSSは健康にいいって古事記にも書いてた
完走願う

スレ主的にはホラー映画だとどの作品くらいの描写を想定しているのだろうか
ネタバレにならないなら聞いてみたい

続き楽しみ
スレ主の文章に惹かれました
これからが大変楽しみです

「へぇ。だから霧摘村跡地のキャンプ場を復活させようと思ったのか？」
「うん。亡くなった祖父母の故郷にあった場所だと思うと、なんだか途端に愛着が湧いてきてね。脱サラして色々と準備して、ようやくこうして君達を初めてのお客様として招くに至ったわけさ」

　玲王の問いかけにニコニコと人畜無害な顔で頷く後藤。
　言葉にした通り、彼はただの運転手ではない。人魚伝説を彷彿とさせる怪事件により何人ものキャンパーが失踪したせいで何十年も前に閉鎖されたキャンプ場を、大企業を早期退職した金で買い上げ自ら復興に向けて指揮をとった、今から向かうキャンプ地の持ち主でもあるのだ。
　日本中からキャンパーが来て貰えるようなキャンプ地にしたいけど、まだ昔の噂が付き纏っていてとても困っている。そこでBLTVで人気を博している選手の方々に泊まりに来て貰い、キャンプを楽しむ様子を全国にお届けすることで悪いイメージを払拭したい。
　そんな経緯で青い監獄に持ち込まれたこの仕事。最初に後藤から声を掛けられたのは凪だけだったが、当人が玲王と一緒がいいと駄々を捏ね参加が決定。そこからキャンプとかアガるじゃんと行きたがった乙夜もパーティに加わり、ツンツン烏と忍者乙夜は離ればなれにしたくないとの凪の言い分で四人目として烏が引っ張って来られた。
　自分と玲王と乙夜だけだと乙夜に絡まれ続けるから防波堤として烏も来させたかったのか、凪がいわゆるニコイチ好きのコンビ厨なのか。どちらの理由であれ、此度の2泊3日のキャンプはこのメンバーで行うことに決まった。
　そして現在に至る。

最初に指名したのは凪だけだったのがバズった影響なのかはたまた……

ホラーと銘打たれている以上はもう何か起こるって決まってるし1人でキャンプするよりはまだ3人増えて良かったと思いたい

人魚伝説は展開に何の関係も無くていきなりジェイソンが出てくるとかいうクソ考察なら罪悪感無く投げられる

確かに玲王と凪と乙夜だったら乙夜がうぇーいモードだった場合すごい感じになりそうだから納得の人選

>>27

玲王も乙夜も陽キャだからここで話が盛り上がって凪があんまり入れなくなる可能性もある

烏がいて良かった

泳げない烏が湖に引き摺り込まれたらヤバそう

>>29

泳げないから絶対に湖に近寄らなくて逆に安全説ある

>>30

つ「月華湖から夜な夜な聞こえる人魚の歌声に誘われて入水する村人が相次いだ」

>>31

駄目みたいですね……

これからどうなるかな

「……あれ？」
「どうした凪？」
「スマホ、急に繋がらなくなっちゃった」

　タワーディフェンス型のソシャゲで素材収集周回をしていた凪の手元が止まった。
　隣の玲王が画面を覗き込めば、確かにそこには延々と読み込み中のマークが渦巻き続けている。やがてぷつりとアプリごと落ちてしまった。
　電波の表示も縦棒1本分しか立っていない。それさえ0本になったり1本になったりとちらちらして不安定だ。
　事態を把握した玲王は自分もスマホを取り出してチェック。凪と同じく電波がかなり不安定で、横目で烏を見れば、彼も0本になったスマホ画面をこちらに向けてひらひらと振っていた。

「ちなみに乙夜ちゃんもダメ〜」

　助手席の乙夜が運転席のミラー越しに両腕でバツマークを作ってアピールしてくる。
　こうまで揃えば偶然ではあるまい。どういうことかと後藤に尋ねるよりも早く、彼は申し訳なさそうな顔をして口を開いた。

「ごめんね。凄いド田舎だから、この辺ちょっと電波が不安定で……キャンプ地に着く頃にはスマホは完全に繋がらないかもしれない」
「えぇ……何それヤバくない？　てか聞いてないよ俺。ゲームできないとかダルすぎ」
「えっ、本当かい？　おかしいな。伝えて下さい、ってことを絵心さんに伝えたはずなんだけど……」

　戸惑った様子の後藤に嘘を吐いている素振りは見られない。
　と、少なくとも烏以外はそう判断した。
　人間観察と人間分析を幼少期より生業とする彼だけが、後藤は嘘を吐かない人間ではなく嘘を吐くのが上手い人間なのだと経験則から見抜く。
　しかしながら。

（……まぁ、絵心に伝えて忘れてたことを今さら思い出して誤魔化したってだけやろ）

　指摘して場を乱すほどのことでもあるまいと、烏は口を噤んだ。
　元より行き先そのものは周知されており、事前に調べた段階で地方の山間部ならそういうこともあるだろうと予測はできていたから。

ウワーッ怪しい！！！！

こーれ現地に到着したら通信手段が断たれているから何があっても助けを求める相手が後藤さんorいるとしたらキャンプ地で働く後藤さんの息のかかった相手しかいないやーつ

絵心さんブルーロックで全部下位の棟だって騙して競争心煽った実績があるから「ゲーム出来ないって伝えたら凪が行くの渋りそうだから言わなかった」んだと思われても不思議ではないし烏以外はそう思ってそう

絵心さんに前科があるばかりに……

⁠
「俺のログインボーナス……」
「どんまい凪！　元気出せって、俺が美味いカレーでも作ってやるからさ！」

　気落ちする凪の肩を玲王が明るく叩いて慰める。
　2泊３日分の食事の材料など必要な物はキャンプ地に用意されているらしいし、湖では釣りもできるという。やれないことのほうが少ない万能の御曹司ならば、王道のキャンプカレーだって釣り上げた淡水魚たちを使ったシーフードカレーだって絶品のを作ってくれるだろう。
　烏は顔には出さず密かに楽しみにして、乙夜は「やったー」と素直に口に出した。二人ともカレールーの箱の裏側に書かれたメニューを見ながら無難なカレーを作れる程度の凡な料理スキルしか持っていない。自分達より上手い者がいれば当然そちらに任せるつもりだ。

「凪は包丁持たせんの怖いから手伝わなくて良いけど、烏と乙夜は手伝ってくれよな」
「りょー。忍者の末裔だし刃物の扱い得意よ俺」
「嘘かホンマかイマイチわからんこと言いよってからに……。俺も魚捌けとか言われんかったら野菜くらいは切れるわ」
「じゃあ俺味見係ね。楽ちんで助かる」

　やいのやいのと少年らのはしゃぐ声をBGMに、5人を乗せたコンパクトミニバンは夕焼けの中を進んでいく。
　目的地に到着する頃にはすっかり夜が訪れているだろう。

　──訪れるものは、本当に夜だけ？




　　　　＊　　　　＊　　　　＊
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訂正漏れ
×メニュー
⚪︎レシピ

ドキドキしてきた

台本書きじゃないSSあにまんだと貴重だから助かる

>>43

もっと増えてくれたら嬉しいけど書くの大変なのは想像つくから少ないのは仕方ないよなとも思う

人魚ちゃん伝説だと歌で誘き寄せて来るらしいから訪れるってか訪れさせられるのかも

不定期って書いてるのに今のところ毎日投下してくれてるスレ主愛してるよ

今更だけどスレ画の四人が私服なのいいな
完全にプライベートってわけじゃないけどオフの日に近い空気感で楽しんでる四人が想像しやすい
まあこれホラーSSスレだから読者はともかく四人はすぐ楽しめなくなるんだが

気が早いのは重々承知で完結させた後も色んなキャラでホラーSS書いて欲しい

>>49

最終レス４時間前のスレ保守するのは荒らしと変わらんぞ

>>50

すみません間違ってしましまいました

>>48

わかる

キャラも題材もスレ主の文章で色んなホラーが読みたい

脳内に自信のある考察を抱えておりこれが外れているか当たっているか確認するのも続きを読む上での楽しみだ

家から琵琶湖がそこそこ近いから湖の出てくるホラーって2割増しで怖い（隙自語）

こういう雰囲気のフリーホラーゲームやりたい

>>55

人魚モチーフのフリーホラーゲームあんまり聞いたことないんだよな

すまんの
今日は仕事終わりに映画２本ハシゴしたもんで時間が無くて更新ナシだ
代わりに明日たっぷりめに書くつもり

（書いてくれるだけで）ええんやで

なんの映画を観たのかちょっぴり気になったり
やっぱホラーかな今４本くらい上映中だし

>>59

ドールハウス！見える子ちゃん！サブスタンス！マキシーン！きさらぎ駅　Re：！

うぬら5人か……

>>56

たくさんの怖い要素がある中での一部として出てくることがあってもメイン張ってるやつ1つ2つくらいしか知らないわ

>>57

楽しみに待ってます！

⁠
「ようこそ、ここがニュー霧摘キャンプパークだよ！」

　あれから車を走らせること二時間。
　もはや夕焼けも消え失せて星と月しかない夜空の下で、先に運転席から降りた後藤は嬉々として４人の前で両手を広げた。
　駐車場から見える景色はうっすらと霧に包まれて視認性が低いが、そんな有様でもハッキリとわかるほど立派な木造コテージやバンガロー、グランピング施設に基本のテントを張るための青々とした草原などが広大な敷地に広がっている。
　今の時刻が朝か昼間で、青空の下で他のキャンプ客らと共に見ることができたらもっと感動モノだっただろう。
　しかし場に5人しかいないのでどうしても寂しげな雰囲気のほうが勝ってしまう。
　道中で人魚伝説なんて聞いたせいだろうか。特に月華湖の周りなんて静かすぎていっそ不気味でさえある。魚の跳ねる音もしない。

「こっちは絵心さんからちゃんと聞いてると思うんだけど、このキャンプ地にあるコテージ、バンガロー、グランピング、テントの全ての良さを視聴者さん達に伝えて欲しいんだ。だから1人ずつ別れて泊まって貰えると一番いいんだけど」

　懐中電灯を持った後藤の先導で駐車場からニュー霧摘キャンプパークの敷地に向かいながら、この後の流れの説明を受ける。
　電話の件と違ってそちらは事前に絵心から通達されていた。
　たまたま4人になったから良いものの、この条件で最初は凪にしか声を掛けていなかったのがますます謎である。
　1人だけなら4泊５日になる予定だったのだろうか？
⁠

過去に怪事件が起こって封鎖されたことがあるキャンプ地がリニューアルオープン
なんならキャンプ地になる前の村の段階から人魚伝説とかある
運転手が妙な嘘吐くし祖父母が村の出身らしい
強制的に1人になるキャンプ場での寝床の区分け
携帯の電波が通じない車で数時間かかるド田舎の山間部

すっげぇ怪しさの役満

4人いるから安心だな！って思ってたのにめちゃくちゃ怖くなってきた

キャンプ地で就寝時だけでも4人組を分散させるための手段としてはかなり自然ではあるなコレ

参考までにコテージ・バンガロー・グランピング・テントはこんな感じらしい
コテージが防御力高くてこの中だと一番安全そうに見えるけど、トイレ・シャワー・キッチンみたいな水場が備わってるのがコテージだけなことを考えるとそっちから何か来そうで怖くもあるな

湖の近くにテント立てて1人で眠るのがいっちゃん怖い（個人の意見）

>>67

グランピングは水回り完備の可能性あるよ

とは言っても要はテントだから防御力はないけど

>>67

この画像の中ならグランピングの中の椅子でコーヒー飲みながら遠くにある湖を眺めてたらそこで怪奇現象が起こって目撃してしまうのが最嫌

とりあえずバラバラに別れたとしても支度面倒くさ〜って言って乗り込んで来そうな奴がいますね……

>>71

実は1人でテント張れるくせにね…

‍
「どーする？　今日泊まるトコと明日泊まるトコ入れ替える？」
「わざわざ荷物移動させるんも手間やろ。固定でええわ」
「ならジャンケンで決めるか！」
「テントはめんどくさそうでやだー」

　最初はグー、じゃんけんぽん！
　霧でけぶるキャンプ場に若者たちの掛け声が響き渡る。
　チョキが一人にパーが三人。まずは凪誠士郎が勝ち抜けた。きっと自宅で彼を待つサボテンの加護だろう。
　いぇーいと棒読み無表情のままピースサインを左右に開いたり閉じたりする凪。
　後藤は時々後方を振り返ってこのやり取りを見守ってはニコニコと笑っている。

「俺勝ったからレオと一緒にコテージね」
「こら凪。さっき後藤さんが1人ずつ別れてくれって言ってただろ？」
「えー。でも俺勝ったよ？　それに2泊３日なんだし、2人ずつでも1日ごとに場所移ればちゃんと4箇所使ったことになるじゃん」

　話の流れでこちらも2人１組で同じ場所を使うことになりそうな烏と乙夜が、まぁブルーロックでも俺ら大概同室だったしな……と特に賛成も反対もせず事の行く末を見届ける姿勢に入る。
　離れても気に病まないし、一緒にいても気を遣わない。仲良しであれど自立した依存しない関係性の2人だ。
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白宝見守りお兄さんズと化した殺し屋と忍者

冗談じゃなくこのシチュで1人になるのはマジでヤバそうだから本当にチョキの加護かも

凪は最初1人でこの案件を任されそうだったところごねたのがきっかけで4人パーティになったし今もワガママ言って1人×4セットを2人×2セットにしたことでたぶん後々助かる展開があるハズだしでやっぱ“持ってる”男だよ

後藤さんは見守っているのか監視しているのか

こういうキャンプ地に泊まり込みでホラー体験するイベントって実在したら一定の需要はありそうだよな
このスレの場合はイベントってかガチだが

⁠
　そのまま烏と乙夜の前方でしばし言い合っていた凪と玲王だが、宝物に甘い玲王が凪の「忍者が人魚伝説とか話すせいで1人でいるのが怖くなった」という明らかな嘘に騙される形で折れるに至った。
　どう考えたって凪誠士郎はそんな噂話に怯えるタマではない。
　しかし「手間のかかる子だな」とあっさり受け入れた玲王は疑っておらず、パートナーの居る場所では常から随分とまあ可愛い子ぶっているのだろうなと烏達は察した。
　仮にここに玲王を抜いた3人で来ていたら、凪は「人魚？　いないでしょそんなの。てかいても2人でどうにかしてよ俺めんどくさーい」くらいのふてぶてしい振る舞いをしていたに違いないのだから。

（んで俺らはどこする？　バンガロー？）
（初日にコテージとバンガローやと絵ヅラが似たり寄ったりすぎるやろ）
（じゃあグランピングにしとくか）

　プレーの相性が抜群に良いからかサッカー中もモノローグで発声を省略している節のある殺し屋と忍者が、コートの外でもそのスキルを発揮してアイコンタクトで今宵の寝床決めを済ませる。
　何はともあれこれで組み分けは終わった。凪と玲王は初日コテージ。烏と乙夜は初日グランピング。
　後藤は1人ずつではなくなったことに残念そうにしていたが、そちらの選択肢を強いることはなく承諾してくれた。
⁠

もう後藤さんのこと怪しい目でしか見られない

誰が最初に恐怖体験することになるのかワクワクする

玲王への甘えたを烏乙夜に察されてる凪に笑った

親の顔より見た凪→玲王で草

先輩の兄さん方にぬるく見守られてる白宝から得られる栄養素……

凪が怪異に危害を加えられたら玲王がパニックになるし玲王が怪異に危害を加えられたら凪がパニックになるだろうから烏と乙夜の安定感はどっちのパターンでもひとまず場を落ち着かせて最適な提案をしてくれそうで頼もしい

普段はふざけたところもあるけどいざという時は頼りになる年上のお兄さん×2みたいなところあるからな殺忍

身長は白宝のほうが大きいけど先輩って感じがするのはやっぱ烏乙夜のほうだよな

そのまんま見守って命がヤバヤバなイベントとか発生したら出来れば助けてやってつかぁさい

それはそれとして烏は泳げないから殺し屋・忍者間で水場で危うくなったら恐らく助けに向かうのは乙夜のほうだし乙夜いなかったら白宝頼んだ

並行世界に数あるバッドエンドの中には烏以外のみんなが湖に誘き寄せられ溺れているが烏も泳げないためボートを取りに行っている内にジ・エンドもあったのかもしれない

>>90

ボート取りに行かずそのまま飛び込んでも泳げない人が溺れてる人間3人まとめて救助できるわけないからそのまんまゲームオーバーだろうな

烏以外みんな溺れた時点でその世界線は詰んだんだ

このスレでホラー熱ぶり返してホラーゲームの実況とかまた見るようになった　楽しい

ホラーちょっと苦手だけどこれからの展開楽しみ
スレ主応援してます

⁠



　　　　＊　　　　＊　　　　＊




　撮影用の小型カメラを一台ずつと必需品が入った小さなナップサックを受け取り、4人の自然なやり取りを邪魔しないよう自分はキャンプ地ではなくミニバンで車中泊するという後藤と別れた一行。

　現在の時刻は午後１０時ちょうど。
　4人とも道中に寄ったコンビニや道の駅で買い込んだ簡単なお菓子や飲み物しか口にしていないため、少し遅いが今から夕飯を作ろうということになった。
　とはいえ。カレーライスは時間がかかるため明日に回して、今晩はあらかじめ用意されていたパックご飯とカット済みの袋入り野菜などを溶き卵や塩コショウで適当に炒めたなんちゃってチャーハンで済ませる方針で一致した。
　「俺火ぃ起こせるよ。忍者の末裔だから」と宣ってキャンプ地脇の小さな森から焚き木と松ぼっくりを拾ってきた乙夜が、キャンプ地備え付けの焚き火台の中にそれらを放り込み組み上げてキャンプファイヤーのような形状を整えてゆく。
　腰元にはいつの間にやら炊事場から拝借してきたらしい小さな果物ナイフ。
　これで廃材のような小さな木片にぱぱっと切り込みを入れたかと思えば、バラエティ番組などで見たことがある木を両手で猛烈に擦り合わせるあの着火方を口笛を吹きながら実践し始めた。
　地面にあぐらをかき、表情はムカつくほど余裕そうなのに手つきがあまりにも慣れている。
　ものの１分としない内に煙が立ち上って「火ぃ起こせる」は伊達や酔狂ではないことがわかった。

「やるじゃん忍者。でも何でナップサックの中にあったライター使わないの？」
「撮れ高よ撮れ高。キャンプ地ロケで原始的な火起こし映像撮影できたら視聴者ウケいいっしょ」
「なるほどなぁ。わざわざ炊事場やのうて湖の近くで焚き火作っとるんも撮れ高のためか」
「俺も賛成したぞ。せっかく凪が声掛けられた仕事なんだから、ちゃんと盛り上げないとな」

　乙夜が焚き木を拾いに行っている間に諸々の準備を済ませていた玲王が胸を張る。
　前者は生粋のパリピゆえ。後者は凪へのプロデュース意識ゆえに、ノリが良くやる気に満ちていた。
　乙夜なぞ人魚伝説を伝え聞いて語ってきた張本人だというのに、もうそんなことは忘れているのか霧の漂う呪われた湖のほとりで今にも“燃えろよ燃えろ”を歌い出しそうだ。
⁠⁠

この忍者シンプルにキャンプのスキルが高いな？？

カメラマンも付いてきていないセルフ撮影スタイルはモキュメンタリーホラーっぽさも感じられる

単純にキャンプが楽しいパリピ忍者と最初凪だけ声をかけられた仕事だからより気合いが入ってる御曹司かわよ

映えと撮れ高意識して火起こしもできる忍者さすがパリピだな

>>96

あのハンディカメラでブレブレの映像が多用されるホラージャンルをそう呼ぶの「モキュメンタリーとはなんぞ？」で検索して初めて知った

キャンプ楽しそうだね！（数々の不穏フラグから目をそらす）

湖のほとりでチャーハンなんか作ったらにおいに釣られて人魚がこんにちはしてしまいそう

>>101

チャーハンにつられる人魚は可愛いし多分いいやつだからいいんじゃないかな

このSSがドラマだったらNGシーン集でチャーハン食べたくて姿見せちゃう人魚役の人はあったかもしれない

乙夜の火起こしが霧の湿気に負けて永遠に成功しないNGシーンもありそう

乙夜が抜群に火起こし上手かっただけで普通は空気がジメジメしてたらもっと時間かかるor下手したらつかないもんな

メタ的に見ると死ネタ注意が無いから少なくとも原作キャラは死なないんだろうが逆にこの後藤が車ごと消えたらそれだけで詰みそうなシチュで禪院生存エンドを引き当てるまでの過程が楽しみだ

>>106

唐突な呪術師──

‌
「うぇーい着火ー」

　きりもみ式火起こしを想像を絶するほどの速さで成功させた乙夜が火種を組み上げた焚き木と松ぼっくりに移し、時代劇の使用人が竈門に酸素を供給するのに使うような謎の竹筒でふーふーと風を送り込みどんどん火を大きくしてゆく。
　あれもキャンプ地に置いてあったのか。はたまた忍者の末裔だから家から持参したのか。知り合ってそれなりになるが、コンビの片割れたる烏から見ても未だに不思議な男である。

　……ぴちゃ────っ。

　と。
　乙夜に協力して脱いだ上着で風を送る玲王とそれを眺めている凪の後方。
　この時間帯の撮影係を買って出た烏のいる、3人から少し離れた最も月華湖寄りの立ち位置にだけ、妙に耳に残る水音が届いた。

　冥府の川から手を伸ばした亡者の指先から水滴の滴り落ちるような。
　暗闇の奥深くで人知れず殺された誰かの傷口から血の珠が溢れたような。
　ずしり。両肩にかかる空気の重さが変わった。
　雪も降っていないのに急に肌寒くなって。体感温度が下がっているにも関わらずじわりと汗まで浮かんだ。

　圧力による脂汗？　寒気による冷や汗？

　ぶるりと無意識に身を震わせ、手にしているハンディカメラごと烏はゆっくりと振り返った。
　湖を背にしていたのだから、当然、覗き込んでいるカメラの先にはそこが映っている。
　深い闇。薄い霧。淡い月の光。総てに包まれた月華湖。
　かつてここから這い出て村人に恵みを齎し、やがては村人を歌で誘い死なせたという人魚の伝説が残る湖。
　その、水面の上に。

（──何や。いや、誰や）

　白い女が立っていた。
　夜の黒と月の金を後景に、漂う霧を掻き集めて人の形に整えたような、白い、白い、女だ。
⁠⁠

ヒェッ人魚さん（仮）

烏お前泳げないのにヤバ湖の近くになんか居るなせめて歌で誘われてから近付け！！！！

推定人魚さんが真っ白いことと最初に後藤が声かけた凪が真っ白いことは何か関係があるのだろうか

水が苦手で霊感が強い（byキャラブ）烏が第一発見者になったか

過去に村人とキャンパーも何人か消えてるからまだ人魚さんじゃない説もある

乙夜と玲王は楽しそうに火を育てているのに烏が急にSAN値チェック

弱点：水がわかっている烏がピンポイントで狙われるのヤバすぎ

‍
　名前もわからぬ裾を引いた和服の盛装は白無垢のようにも、はたまた死装束のようにも見える。
　そこから伸びる手もまた怖気を奮うほどの青白さだ。
　前も後ろも限りなく長い乱れた白髪のせいか、表情はおろか顔立ちを窺い知ることもできない。
　霧の向こう側にあってなおこんなにもはっきり視認できるというのに、全体の輪郭だけが妙にぼやけていて。
　もしかして、ビデオカメラ越しではなく肉眼ならばもっと鮮明に見えるかもしれないと。
　何かに導かれるようにして、烏は緩慢な足取りで歩を進めながらゆっくりとカメラを降ろし、

「忍法メラゾーマの術！」
「いやそれ魔法じゃん！」
「グルメ番組の画角ってこんな感じだっけ」

　両手に火のついた松明を持ってバトンのように回しながら走る乙夜が眼前を通り過ぎたことで、意識がハッと現実に引き戻された。
　次いで聞こえた声にも釣られて振り返れば、すっかり燃え上がる焚き火の上で鉄鍋を振りながらケラケラ笑っている玲王もいる。
　華麗に空を舞う米粒たちと具材。それを恐らく玲王の指示で至近距離からハンディカムで撮影している第二カメラマン状態の凪。

　至極平和な、キャンプ地の男子高校生たちらしい雑で緩くて楽しげな空気だ。
　烏はほぅと安堵の息をこぼし、それから慌ててまたカメラを構え月華湖の側に体をひねる。
　そこには誰もいなかった。全身の毛穴からドライアイスの煙を流し込まれたような寒々しさも、どこかに消え失せている。
⁠

危なくなったら後ろから誰かが肩叩いて現実に引き戻してくれそう〜って思ってたら忍法メラゾーマが眼前にカットイン＆フェードアウトした衝撃で戻った

たぶん人魚さんも急にメラゾーマされてビックリしてるよ

ホラー展開が走り去って行ったの笑った
続きも楽しみ

後藤さんが嘘吐いたのに勘付いてたり人魚（仮）の第一発見者になったりと着々と情報量が1人だけ増えている烏

怪異は雰囲気を大事にするから一度こうしてターゲットの気が緩むと続投はせず仕切り直してくるよな

松明でバトントワリングしてる忍者の末裔とのインパクト勝負になるのはキツイ

>>122

困った　ちょっと勝てない

ホラーなキャンプ地に連れて来る人材として色んな意味で当たりだよお前

陽の気が強いと幽霊が近付かないみたいなのを思い出した

ホラーっぽさもコメディっぽさも両方あって助かる

スレ主トリップ付けない？
お節介みたいになるけど本誌更新の直後って荒らしが湧きやすい上に最近は白宝だけじゃなく烏も乙夜も変なのに目を付けられてるからなりすまし荒らしが出ないとも限らないし
SSスレでなりすましは文体まで真似して小説を書かなきゃいけないから流石に大丈夫かなとも思うけど、念には念を入れて

>>127

付けてて損するものでもないしな

それでは次からこちらのトリップ使用していく形で

>>129

了解です　続き楽しみに待ってます

ワクワク

やっぱり夏はホラーだわ

全裸待機しても全く寒くない季節

>>133

人魚（？）も服着てるのでお人間さんもちゃんと着ようね……

このスレ見てるとクトゥルフ神話TRPGの人魚系シナリオやりたくなってくる

　
「……おい乙夜。“気付いてて”やったんか？」

　あまりのタイミングの良さにまさかとは思いつつ問うてみる。
　あのまま湖に入って肉眼で人魚を見ていれば何かが手遅れになっていた。その自覚が後から湧き上がって来たから。

「うぇ？　何が？」

　しかし乙夜は偶然かつ無自覚に烏を救っていたようであり、いきなり意味深な質問をされて頭上にハテナを浮かべていた。
　やっぱなんでもないわ、と溜息を吐きつつ返す。
　横目で確認すれば、もう玲王によるなんちゃってチャーハンの調理が最終段階に入っている。とはいえ盛り付けなどを加味するとあと数分は時間の猶予があるはずだ。
　車中で後藤が吐いた小さな嘘。そして今しがたの怪奇現象。人魚伝説。
　どうにも背筋がぞわぞわする。一度目は適当な理由を付けて見逃してしまったが、事が大きくなる前に後藤に直接問い詰めよう。

「乙夜。ちょうどええからその松明持ったまんまついて来い。後藤さんに聞きたいことが出来た」

　言うが早いか、証拠となる映像の収まったハンディカムを片手に湖畔から駐車場へと歩を進める。
　体格は烏が勝っているとはいえ、もし後藤が危険人物だったなら一人で向かうのは危険だ。二人がかりでならどうとでもなる。
　玲王はチャーハン作りの真っ只中だし凪も玲王がいる場所からわざわざ離れるのは面倒臭がる。その点、乙夜ならば烏が突然こんな行動に出た時点で何か理由があるのだろうと察してとりあえずで着いて来てくれるから話が早い。
　

後藤さんちゃんと駐車場にいるのかな……

ぞくぞくしてきたなとりあえず二人行動してくれて安心
あとは後藤さんの前でメラゾーマしてくれれば

ここで今のは幻覚か何かだろうと片付けなかったの車の中で後藤さんの嘘に気付いてたから＆事前に人魚伝説うんぬん聞いてたからってのもあるんだろうな
どっちの情報も無かったら流石に突拍子もない出来事すぎてこうも迅速に動けてなさそう

>>136

トリップ付けるって言ってたのに忘れてた

これスレ主だからなりすましではない

>>140

慣れないと付け忘れたり外し忘れたりするよね

キャンプ2泊3日だから初日は匂わせで終わるかと思いきや人魚さん初日から気合い入れてきたな

スポーツマン４人相手だから一日目から飛ばしていかないと心身ともに弱らせるのに時間かかりそうだし