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【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.17(建て直し)|あにまん掲示板
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【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.17(建て直し)

  • 1ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:10:22

    【あらすじ】
    まぁ・・・そういうこともあるでしょう。

  • 2ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:11:25
  • 3ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:13:25
  • 4ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:15:07
  • 5ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:16:54
  • 6ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:18:56
  • 7ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:20:17
  • 8ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:21:40

    ────────────────────

    ワカモ:
    「(カチャッ)」

    カヤ:
    「(スッ)お幾らですか?」

    今にも銃を向けそうなワカモを抑えつつ、横暴な店員に代金を支払うカヤ。

    ワカモ:
    「何故止めるのでしょう・・・?」

    カヤ:
    「まだ早いからです。
    もしかしたら、そういう新しいサービスかもしれません。」

    そう言って、店員が運んできた お冷やを受け取る。

    店員:
    「ホラ、水代。」

    ワカモ:
    「・・・。」

    カヤに不躾な請求をする店員を、視線だけで射殺さんばかりに睨み付けるワカモ。
    店員の態度は特に気にしないタイプであるカヤは、何も言わずに代金を支払う。

  • 9ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:23:30

    ワカモ:
    「・・・少し待っていて下さい。 恥は私自ら雪ぎますから。」

    そう言って店員を血祭りに上げてこようとする殺気立ったワカモを、カヤは制する。

    カヤ:
    「いえいえ、何と言っても玄武商会ですから。
    きっとこれだけの料金を請求するからには、とても敷居を要求する料理が出てくるのでしょう。」

    キラキラとした純粋な期待がワカモを襲う。
    思わず強い光に当てられた時のように視界を両手で抑えた。
    自分で期待を煽った分、罪悪感が凄い。

    店員:
    「オラ、手拭きだ。 勿論、代金を頂くぞ。」

    カヤ:
    「えぇ、お支払いしますよ。」

    物凄く料理を楽しみにしているカヤは、何も疑うことなく店員に再び代金を支払った。

  • 10ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:24:40

    ワカモ:
    「あの・・・カヤさん?
    恐らく私の下調べが甘かったと言いますか・・・ここを受け持っているのは十中八九 玄武商会では───」

    もはやワカモの意識に自らに恥をかかせた玄武商会を騙る連中のことは無く、むしろこの完全に期待一杯のカヤという名の幼女が現実を知る前に この場を去りたいという思いしか無かった。

    店員:
    「オラ、お待ち。」

    しかし日頃の行いが悪かったのか、カヤを説得し切る前に料理が運ばれてきてしまう。

    カヤ:
    「・・・。」

    それは やけに安っぽいラーメン鉢に入った、誰でも作れそうなインスタント麺だった。
    一応 醤油味だが、ボリューム感を誤魔化す為か載せられたモヤシが十分に水切りされていなかった為に、原型が無いほど水っぽくなってしまっている。
    おまけと言わんばかりに載せられたパックのハムが、酷さを倍増させていた。

  • 11ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:26:03

    ワカモは思わず顔を両手で覆った。
    これは酷い。 酷すぎる。

    カヤ:
    「・・・。」

    ワカモ:
    「・・・あの・・・カヤ、さん。」

    恐ろしいものを見るように、ワカモはカヤの様子を両手の隙間から見守った。
    カヤは真顔で出来損ないのラーメンを見つめている。
    ワカモには それが酷く恐ろしい表情に見えた。

    カヤ:
    「・・・食べ物を無駄にするワケには参りませんから。 頂きましょう。」

    ワカモ:
    「・・・そうですね。」

    地獄のような雰囲気の中、手抜きの塊のようなラーメンを啜った。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 12ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:27:57

    カヤ?:
    「・・・店員。」

    やがてラーメンを食べ終わると、カヤは冷え切った表情で店員を呼び出した。

    店員:
    「あ? 会計なら あっち───」

    ───── (殴打音)

    ───── (銃声)

    ───── (銃声)

    ───── (銃声)

    ───── (銃声)

    ───── (銃声)

  • 13ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:30:34

    持って来ていた拳銃をリロードするカヤ。


    足元では先程まで威勢の良かった店員が、呻きながら気絶していた。


    カヤ?:

    「─── 会計? そうだね、不快な気分にされた分の清算が必要だよね。」


    カヤと地続きの記憶を持つ(当然、不味いラーメンを食べさせられた記憶も持ってる)別人格─── <官服>は、カヤとは打って変わって明らかに不機嫌な様子で店員の頭を足蹴にする。


    ワカモ:

    「カヤ・・・さん?」


    突然 雰囲気の変わったカヤに困惑するワカモ。


    しかし振り返ったカヤの目を見て、ハッとした。

    その目は、その目に宿る暴力的な狂気は、彼女の良く知るものだった。


    ワカモ:

    「・・・事情は詳しく存じませんが・・・なるほど、完全に”あの頃”と変わってしまったワケでは無かったのですね。」


    官服:

    「話が早いね。

    そう、久しぶり─── ワカモ。」


    ────────────────────

  • 14ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:31:57

    ────────────────────

    ホシノは今まで色んな人間を見てきたつもりだった。
    どこにでもいるようなチンピラから、黒服のような碌でもない大人まで。

    ???:
    「あぁ・・・煩わしい。」

    しかし、目の前の生徒から感じる凄まじい嫌悪感は初めて感じるものだった。

    ???:
    「この神秘のベールさえなければ・・・全てを諦めることが出来るなら、きっと この命を奪うことが出来るのに。」

    そういって、その生徒は倒れたロボットの胸部を撫でる。
    それは獣が鉤爪で獲物を引き裂くような仕草で、丁度 動力源であるコアの真上を撫でていた。

    『もしそこを潰すことが出来れば、キヴォトスの人間でも死ぬだろう。』

    そんな冒涜的な発想が、自然と脳裏に浮かんだ。
    直ぐに そんな発想が出てきてしまう自分が嫌だった。

    ???:
    「貴方も、そう思うよね?」

    自然と思考が読まれた。
    ホシノは、少し指先が震えたのを感じた。

  • 15ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:32:59

    目が合った。

    あの女と同じ瞳を、姿をしている。

    それなのに、その雰囲気は全く異なるものだった。

    アレが人のフリをしているナニカなら、コレは人ではなくなってしまったナニカだった。


    ???:

    「良かった、会えて。 貴方とは一度 話してみたかった。」


    ホシノ:

    「・・・貴方は?」


    ナニカは、あの女では有り得ない歪んだ笑みを浮かべた。


    ???:

    「私? 今は<官服>って名乗っているの。

    舎弟がくれた名前。 ・・・とっても素敵でしょ?」


    ホシノは無意識の内に舌打ちをしていた。

    あの悪い大人に良く似た名前だ。

    よく見てみれば雰囲気も似ている。

    人を間違った道に引き摺り込もうとする辺りなんてソックリだ。

    強いて違うところがあるとすれば、こちらには子供らしい危うさがあるところだろうか。

  • 16ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:34:55

    官服:
    「ねぇ、ホシノ。 私と取引しない?」

    おまけに取引ときた。
    ホシノは口を噤んだ。
    これに答えるのは、悪魔の取引と同じで宜しくない。

    官服:
    「私の仲間になれば、師のように借金の大半・・・なんてボカした数字は言わない。
    9億6235万円・・・全額 肩代わりしてあげる。
    アビドスのオアシスを蘇らせるプランも用意するし、砂嵐の対策だって基金を組む準備がある。
    ・・・だから、ねぇ。 ─── 私の仲間になってよ。」

    ───── カチャッ

    ホシノ:
    「悪いけど───」

    ホシノは銃口を目の前の怪物に向けた。

    ホシノ:
    「─── そういうのは前ので懲りたから。」

  • 17ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:35:57

    官服:
    「・・・あぁ、そう。 貴方も柴さんと同じで、私を受け入れてくれないんだ。」

    まるで家族に拒絶されたかのように哀しそうな顔をする官服に、ホシノは怪訝な目を向ける。

    ホシノ:
    「・・・なんで? どうして そんな───」

    しかしホシノが最後まで官服に真意を問えることは無かった。

    リン:
    「─── そこまでです。」

    リンが後ろから現われ、官服の目を両手で塞ぐ。

    官服:
    「・・・リン?」

    リン:
    「・・・『私は赤い祭壇に見覚えがありません』。」

    官服:
    「赤い・・・祭壇・・・?
    あぁ、そうだった。 私は深紅の祭壇で───
    ・・・? あれ、なら何で私は今 私で、私は どうして私で・・・??」

    リンに耳元で囁かれた言葉を認識した途端、官服の自意識が混濁していく。
    『かつて』と『今』の境目が曖昧になり、キャラクタが行方不明になる。
    やがて世界は整合性を求め、キャラクタは『今』へと収束していく。

  • 18ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:38:08

    カヤ:
    「・・・? おや、リン。 いつからそこに?」

    リン:
    「今さっきですよ。 ・・・随分 暴れたようですね。」

    カヤ:
    「? ・・・あぁ、失礼。 最近『かつての私』との境目が曖昧で・・・。」

    リン:
    「構いませんよ。 それより あちらで暴れているワカモさんを呼び戻せますか?
    ・・・これ以上ここに留まるのは、貴方の為になりませんから。」

    カヤ:
    「そうですね。 ─── ワカモさん、清算は終わりにしましょう。
    ・・・えぇ、そうです。
    だから帰って、今度は一緒にラーメンを作りましょう。 
    あれより美味しい、心の籠もったラーメンを・・・。」

    リンに その華奢な身体を支えられたカヤの背後には、壊滅したカイザーPMCの軍隊と、焼け焦げた機動兵器群があった。

    ────────────────────

  • 19ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:40:23

    ====================

    ???:
    「クソッ、狂犬共め・・・!」

    男は負傷した腕を押さえながら呪詛を吐いた。
    身なりのキチンとした犬型の人間で、見るからに大物といった風貌だった。

    秘書:
    「しゃ、社長・・・! 警備からの連絡が途絶えました・・・。」

    ロボットの社員が怯えた様子で報告する。
    大物の雰囲気をした犬人間─── 件の中毒性の高い麻薬を料理に混ぜたチェーン店の社長は、状況が芳しくないことを悟って舌打ちをした。
    いつかはバレるだろうとは思っていたが、まさかこれほど過激な反応をするとは思ってもみなかった。
    彼の知っているヴァルキューレは、もっと”穏当”だったはずだった。

    上役に金でも握らせて ゆっくりと水面下で顧客(中毒者)を増やしていくつもりが、今や把握出来ているだけでも全ての支店が襲撃を受け、事実上の廃業に追い込まれていた。

    チェーン店の社長:
    「やむを得ん・・・高飛びするぞ。 荷物を纏めろ。」

    秘書:
    「は、はい・・・!」

    恐怖に駆られた秘書は、必死の形相で荷物を纏め始めた。
    あれなら直ぐに準備が終わるだろう。

  • 20ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:42:40

    チェーン店の社長:
    「─── あぁ、私だ。 屋上にヘリを用意しろ。
    流石の連中も、空までは追ってこれまい。」

    部下の操縦士に連絡し、ヘリの手配をする。
    普段なら秘書の役割だが、そんなことは言ってられないほど切羽詰まっていた。

    思い出すのは役員会議に雪崩れ込んできた連中の目。
    ギラギラと見開かれ、こちらを攻撃することしか考えていない狂気の目。
    それは狂犬病を患った野犬の様子に似ていた。

    警備の手によって何とか その場から逃げ出すことは出来たが、思い出すだけでも身震いする。
    チェーン店の社長は今直ぐにでも この場から逃げ去りたかった。

    元々、前の社長が辞めてから他に適任もいないので押し付けられただけの雇われ社長だ。
    仕事に誇りもクソも無かった男は、秘書に会社の金を掻き集められるだけ集めさせるとヘリとの待ち合わせ場所である屋上に向かった。

  • 21ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:44:41

    あのエリアマネージャーが持っていた麻薬は金になった。
    企業で捌けるだけの大量の麻薬を購入する金を通常会計から持ってくるワケにもいかず、色んな理由をつけて不正に捻出した特別会計は、今や一生遊んで暮らせる・・・とまでは行けなかったが、高飛びが十分視野に入る程度にまでは膨れ上がっていた。

    この金があれば、また やり直せる。
    今回で限度を学んだ。
    次は もっと巧妙な手口にすれば、もっと長期で稼ぐことが出来るだろう。

    ───── (ヘリの着陸音)

    やがて、社長の前にヘリが到着した。
    思った時間より少し遅れていた。

    チェーン店の社長:
    「遅かったな。」

    操縦士:
    「いや~、メンゴメンゴ。
    なにしろヘリの運転なんて 昔やったきりだから覚えてなくって。」

    聞き馴染みのない子供の声がした。

    ───── カチャリ

    秘書:
    「ひっ・・・!」

    秘書の眉間に銃口が向けられた。

  • 22ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:45:48

    操縦士:

    「─── で、アンタが社長? 悪いことは言わないから投降しなよ。」


    チェーン店の社長:

    「・・・っ!!」


    ここで社長は己の逃走ルートがバレていたことを悟った。

    連中は ただ暴れていただけではない。

    周到に、確実に我々を追い詰める<狩り>をしていた。


    狂犬A:

    「まずは一人。」


    ───── (銃声)


    秘書が眉間を撃ち抜かれてダウンする。

    社長は この時点で全てを持ち逃げすることは諦めた。


    ───── バッ


    狂犬A:

    「あ、マズ。」


    社長はヘリの備品から、緊急用のパラシュートを ひったくる。 そしてそのままビルの縁へと駆け出した。

    響く銃声。

    後頭部に鈍い痛みが走った。

    しかしもう止まらない。 社長の足は確実にビルの縁を越えて宙に駆け出し───

  • 23ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:46:57

    ???:
    「─── 残念だったな。」

    パラシュートを開いて空中から逃走を図ろうとした後ろから足を掴まれた。
    開いたパラシュートが虚しく重力に引かれて堕ちていく。
    足を掴んだ腕は そのまま社長を再び屋上へと放り投げた。

    狂犬A:
    「グッジョブ姉御! いや~、姉御ならフォローしてくれるって信じてったっす!」

    狂犬B:
    「お前・・・署に帰ったら覚えておくように。」

    そう言って、”ビルの壁を素手で よじ登ってきた”別の狂犬は、軽快な動作でビルの屋上へと足を付ける。

    チェーン店の社長:
    「─── ぐっ・・・!!」

    そして、社長を足蹴にした。
    ───── メキ・・・メキ・・・
    絶望的な圧力を前に、身を捩ることすら出来ない。

  • 24ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:49:10

    狂犬B:
    「・・・お前の獲物だ。 お前がトドメを刺せ。」

    狂犬A:
    「えっと・・・こういうときは何かカッコイイ台詞とか言った方が良いっすかね・・・?」

    狂犬B:
    「いいから早くしろ。」

    銃声が響く。

    こうして、また一つの悪が潰えた。

    ====================

  • 25ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:50:26

    ────────────────────


    それは突然の出来事だった。


    風に吹かれた布地のように揺らめいていた海が、ピタリと静かになる。

    ゴウゴウと唸っていた風は止まり、不自然なほどの穏やかな空気が流れる。


    最初に異変に気が付いたのは遠方を見つめていた観測手だった。


    ”島が、陸が動いている”


    その事実に気が付いた時、観測手の脳裏にカヤの言葉が思い起こされた。


    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


    カヤ:

    「─── <海面下の怪物>は、最低でも体長1kmは くだらない正真正銘の怪物です。

    分かりますか?

    それが、一度は我々の足元を通ったのです。


    想像してください。

    生きた山が、川が、海流が、我々と同じ時間と空間で生きています。

    それはきっと災害であり、自然であり、ある種”自然を象った神聖”です。

    貴方は、我々と共に古き神聖と対峙するでしょう。

    ─── そして それを弑するのです。

  • 26ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:52:26

    その血を、肉を、骨髄を暴き、神秘を手にするのです。
    ・・・どうです? 血が沸き立ちませんか? 心が躍りませんか?

    ─── もし そうなら、貴方はきっと良い冒険家に成れます。 えぇ、きっとそうなりますとも。」

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    ───── ゴクリッ

    観測手の喉が鳴った。

    恐怖で足が竦む。

    緊張で歯がガチガチと震えた。



    しかし、心は どうしようもなく高鳴っていた。

    そう、彼女は これを─── 未知を己の目で見る為に、カヤに付いてきたのだから。

  • 27ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:53:43

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    カヤ:
    「─── おや、貴方は?
    あぁ、お腹が空いているのですね?
    でしたら どうぞ、お召し上がり下さい。
    といっても、簡単なラーメンで申し訳ありませんが・・・。

    ───・・・本当ですか? 美味しい??
    なぜ?? どうして??? これは失敗作のはずなのに・・・。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    カヤ:
    「─── あぁ、貴方ですか。
    良かった、貴方の為に またラーメンを用意したのです。
    前回の結果を踏まえ、私なりに理論を構築してみました。
    今度は きっと以前より美味しく感じられるはずです。

    ・・・おや、お仲間を連れてきたのですか。
    良いですよ。 データは多い方が精度が上がりますから。

    ─── ・・・味の違いが分からない??
    そんなはずは・・・。 数値上は前回のクオリティを大きく上回っているはずです。 それなのに どうして・・・。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 28ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:55:07

    カヤ:
    「─── 良く来て下さいました。
    今度こそ、最良のラーメンが出来上がったはずです。
    だから どうぞ お召し上がり下さい。

    ─── そんなに沢山 食べられない?
    ・・・あぁ、そうでした。 私は そんな根本的なことすら見逃して・・・。
    ・・・・・・。
    ・・・ではこうしましょう。

    ─── 好きな味のラーメンを教えて下さい。 残りは、私が責任を持って食べます。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    カヤ:
    「─── 今日は牛丼が食べたいのですか・・・。
    私としてはラーメンのデータが採りたいのですが・・・まぁ、構いません。
    少し お待ち下さい。

    ─── おや、また冒険の話を聞きたいのですか?
    いいですよ、今度は何を話しましょうか。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 29ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:56:35

    カヤ:
    「─── あなた方も遂に高校生ですね。
    銃の整備は万端ですか? 弾薬の用意は?

    ─── あぁ、そうでしたね。 貴方達はもう、自分で お金を稼げるのでした。
    ・・・・・・。
    ・・・ところで、高校は どこに進学するつもりですか?
    勉強は それなりに見てきたつもりですが、進学先によっては入試の対策が───

    はい?
    連邦生徒会の・・・それも防衛室に入りたい?
    私のような冒険家に成りたいと言うのですか?
    たしかにそういう側面もありますが・・・別に防衛室は冒険家 育成機関というワケではないのですよ??
    危険も多いですし、生傷の絶えない仕事です。
    それよりもミレニアムに入って部活でも立ち上げた方が、より効率的に経験を積むことが───

  • 30ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:58:35

    ───・・・それでも私に師事したいのですか?

    ・・・・・・。

    ・・・なんでしょう。

    ここが、ポカポカします。(心臓を押さえながら)


    ・・・あぁ、今なら分かる気がしますよ─── 柴さん。

    あの日『私』が食べたラーメンが、どうして記憶の中で あれほど燦然と輝いているのか。


    なるほど・・・これが<家族>というものですか・・・。」


    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


    やがて、高鳴る心臓から送り出された熱い血が、恐怖で竦んだ足を動けるようにした。

    それに気付くと、観測手は足を縺れさせながらも<家族>のいる方へと走り出した。


    カヤ:

    「おや、どうしたのですか─── レシーマ。

    何か新しい発見でも ありましたか? 例えば そう・・・クラゲとドレスの関係性についてとか。」


    観測手は、服飾の好みから垣間見える”少女趣味”(本人は卒業したと思っている)を揶揄うでもなく真剣に検討してくる<家族>に気恥ずかしいものを覚えながら、それを否定し、今さっき見たものを報告した。


    ────────────────────

  • 31ホットドリンク大好き25/06/15(日) 21:59:58

    ────────────────────


    カヤ:

    「─── <蛇王龍(ダラ・アマデュラ)>ですね。 間違いありません。」


    戦艦()の会議室で、カヤは骨董品の鑑定結果でも言うように簡単に言った。

    プロジェクターに、イメージ図が映し出される。




    参照元:
    #レイヤー1枚 千剣の主 - モノクロ仮面のイラスト - pixiv久々のレイヤー1枚。HR開放時、ソロで3度目の正直でやっと倒したのですがその後の初オンもかねて行ったらモノの数分で倒して顔面フリーズした思い出の子です。■蛇年も残りわずか。今年ピクシブに投稿するのはこwww.pixiv.net
  • 32ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:01:32

    カヤ:
    「全長は推定2km弱・・・我々が以前遭遇した個体の全長、440mの軽く4倍です。」

    リオ:
    「・・・この艦より一回りも二回りも大きいと思って貰っていいわ。 勿論、戦艦形態ではなく変形後の話よ。」

    プロジェクターに大海龍形態のシルエットと、推定の蛇王龍のシルエットが重ねて映し出される。
    その体格は大人と子供ほどの差があった。

    セリカ:
    「じゃあ倒せるワケないじゃん! 無視しましょ、無視!!」


    リン:
    「・・・本当ならそうしたいのですが。」

    リンは深く溜息をついた。

    カヤ:
    「残念ながら・・・この個体の進路を調べたところ、ロストパラダイスリゾートに向かっていることが分かりました。
    発生する被害を鑑みると、無視するワケにも参りません。」

  • 33ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:02:40

    セリカ:
    「うぅ・・・。」

    カヤ:
    「ですがセリカさん。」

    カヤは ずいっとセリカに顔を近づける。

    セリカ:
    「へ?」

    カヤ:
    「私としては、あなた方の安全に配慮したいと思っています。
    私達はこれから蛇王龍に挑みますが、あなた方が望むのであれば船を一隻 用意致しましょう。」

    セリカ:
    「・・・。」

    カヤはセリカから顔を離すと、リン達の方へと振り返った。

    カヤ:
    「貴方達も、それで構いませんね?」

    リン:
    「構いません。」

    リオ:
    「構わないわ。」

  • 34ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:04:17

    ワカモ:
    「えぇ、勿論です。 臆病者は必要ありませんから。」

    シロコ:
    「あ”?」

    ワカモ:
    「あら? どうしたのですか、子犬さん。
    弱者が臆病者なのは、決して欠点ではありませんよ?」

    シロコ:
    「・・・私は弱くない。」

    シロコは席を立つと、ワカモの対面に座り直した。

    アヤネ:
    「せ、先輩・・・!?」

    シロコ:
    「私は残る。 蛇なら串焼きが美味しい。」

  • 35ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:05:44

    カヤ:
    「・・・刺せる串は ありますか?」

    防衛室スタッフA:
    「・・・! ・・・! (凄い勢いで顔を横に振る防衛室スタッフ)」

    ホシノ:
    「うへ~・・・後輩が残るっていうのに先輩が逃げ出しちゃ格好悪いよねぇ。 一応、総指揮は私だし。」

    ノノミ:
    「はい☆ 私達も残りますよ~。」

    セリカ:
    「そ、そうよ! ここまで喧嘩を売られて、引き下がるワケにはいかないわ・・・!!」

    リオ:
    (・・・ねぇ、私達そんなに挑発をしてしまったのかしら・・・?)

    アヤネ:
    (えっ・・・まぁ、割と・・・。)

    リオ:
    (そう・・・合理的な説得だと思ったのだけど・・・。)

    アヤネ:
    (え?)

    リオ:
    (え?)
    ────────────────────

  • 36ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:06:47

    ────────────────────


    カヤ:

    「─── さて。」


    カヤは戦艦()のコックピットに乗り込んだ。


    カヤ:

    「・・・<より強大な脅威に対処する>。

    ようやく貴方のコンセプトを十全に発揮させて上げることが出来ます。」


    カヤはコックピットのマニピュレーターを握った。

    コックピットが起動し、電力系統が唸りを上げ始める。


    リオ:

    『・・・来るべきではないのだけど、この<フォルテシモ君>が本来の活躍をする時が来てしまったようね。』


    リオからの通信がコックピット内に響く。

    何やら聞き覚えのない名前が聞こえた気がした。


    カヤ:

    「確かに当艦の命名をする権利は差し上げましたが・・・。

    相変わらず前衛的なネーミングセンスですね、リオ。」


    リオ:

    『ふふっ・・・褒めても何も出ないわよ?』


    カヤ:

    「・・・。」

  • 37ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:09:04

    カヤは軽く溜息をつくと、コックピット内での位置を整える。
    少しして、万全と言える体勢をとることが出来た。

    カヤ:
    「リオ、こちらの準備は万全です。 ─── 変形機構の起動を。」

    リオ:
    『了解したわ。』

    ───── ガコンッ

    次の瞬間、衝撃と共に強いGがカヤへと加わる。
    コックピットのモニターが起動し、カヤの周囲に黒い大海原が広がった。

    リオ:
    『─── 十二時の方角から接近してきているわ。』

    リオの言う通り、目の前から不自然な海原の盛り上がりが近づいてきていた。
    それはやがて目と鼻の先まで近づき、突然 消える。

    数秒間の沈黙。

  • 38ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:11:26

    ・・・。

    ・・・・・・。

    ・・・・・・・・・。


    ───── ドンッ


    まるで海が爆発したかのような衝撃と共に、海面の下から遂に<海面下の怪物>が姿を現した。

    想定よりも更に一回り大きい─── 推定全長が2km強はありそうな蛇王龍がフォルテシモ君を睥睨する。


    それは正に、神の威容だった。


    カヤ:

    「おやおやおやおや─── 随分 大きいですね。

    ここまで大きくなるのに、一体どれだけの時間を生きてきたのでしょう?


    何万、何百万・・・あるいは何億・・・。


    実に、素晴らしい。

    この出会いに感謝を捧げましょう。


    ─── そして宜しければ・・・私達と<踊って>頂けませんか?」


    ────────────────────

  • 39ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:13:16

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    ホシノ:

    『─── んじゃ、会議で決めた通りね。

    あの人が やり合ってる間に、私達で<仕掛け>を張っちゃうから。

    <爆弾>の方は そっちで─── わっ! ちょっと、二人とも喧嘩しないでよ!』


    シロコ:

    『・・・邪魔しないで。 私は貴方より強い。』


    ワカモ:

    『フフフッ♪ 威勢が良いのは結構ですが、自分自身の実力を客観視 出来ていないのではありませんか?』


    シロコ:

    『あ”?』


    ホシノ:

    『あぁ、もうっ! 前途多難だなぁ!!

    そういうワケだから、通信終わり! ─── (銃器を構える音)こっちは何とかするから、そっちも何とかして!!』


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 40ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:17:06

    リン:

    『・・・了解しました。 こちらは こちらで対処します。 ─── リオさん。』


    リオ:

    『分かっているわ。 既に<RAY>を含めた機動兵器を限界数 展開。

    無人兵器(ドローン)にヘリも全て出ている・・・。 勿論、A装備(AQUA装備)を装着したスタッフもね。』


    リン:

    『良いですね。

    では当初の予定通り作戦を開始して下さい。

    私もオペレーターの一人として援護します。』


    リオ:

    『了解。 総員、全機 行動開始。

    各オペレーターの指示に従って作戦行動をとって頂戴。』


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 41ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:20:35

    防衛室スタッフA:

    「始まったね。」


    防衛室スタッフB:

    「そうだね。 じゃあ、私達は予定通りの場所に<爆弾>を設置しに行こうか。」


    防衛室スタッフC:

    「ムググ・・・ッ。 ・・・ねぇ! もう2~3人くらい手伝ってくれない!?」


    防衛室スタッフD:

    「この<爆弾>・・・大きすぎるって!! パワードスーツ込みでも3人で運ぶのは無理があるよ!!」


    防衛室スタッフE:

    「重い・・・! ジャンケンで負けたにしては仕打ちが重い・・・!!」

  • 42ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:22:01

    防衛室スタッフA:

    「しょうがないでしょ! 運搬中に獲物が暴れないワケないんだから、対処する人員が要るんだよ!」


    防衛室スタッフB:

    「そうだよ(便乗)。 だからキビキビ働くんだよ(愉悦)。」


    防衛室スタッフC:

    「あぁ、クソッ! 分かったよ! やってやるよぉ!!」


    防衛室スタッフD:

    「覚えておくんだな! お前ら!!」


    防衛室スタッフE:

    「心なしか・・・気分も重い・・・。」




    防衛室スタッフA:

    「・・・まぁ、おふざけはこれくらいにして。

    今しか聞けないだろうから聞いておくけど、君は今回の狩りは上手くいくと思う?」


    防衛室スタッフB:

    「ん? そんなの分からないよ。

    成功することもあれば、どんなに頑張っても失敗する時は失敗する。

    全ては時の運さ、我が<家族>よ。」


    ────────────────────

  • 43ホットドリンク大好き25/06/15(日) 22:27:41

    ====================


    防衛室スタッフB:

    「ところで・・・なんでこの<爆弾>、樽型なんだろうね?

    ”くっつける”ならもっと良い形があると思うんだけど。」


    防衛室スタッフA:

    「なんか、様式美らしいよ。 カヤがそう言ってた。」


    防衛室スタッフB:

    「カヤって・・・いつまで中学時代を引き摺ってるのさ。 今は<室長>、だろ?」


    防衛室スタッフA:

    「いいじゃん、今は身内しかいないんだし。」


    ====================

  • 44二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 22:34:58

    建て直し乙
    防衛室スタッフ達の会話好き

  • 45二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 03:27:12


    ほしゅ

  • 46二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 08:53:41

    ⭐︎

  • 47二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 16:56:18

    ☆彡

  • 48二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 23:54:02

    ⭐︎

  • 49二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 06:09:15

    (๑˃̵ᴗ˂̵)

  • 50ホットドリンク大好き25/06/17(火) 07:50:48

    ────────────────────


    <数時間後・・・>


    防衛室スタッフA:

    「─── 右舷 弾幕薄いよ! 何やってるの!?」


    防衛室スタッフB:

    『こちら右舷! 祭り囃子を聞きつけた怪物共の相手をしている!!

    当分、援護に回れそうにない! そっちは そっちで何とかしてくれ!

    ─── クソッ、また一人ダウンした・・・!』


    防衛室スタッフC:

    「おい、レシーマ!」


    防衛室スタッフA 改めレシーマ:

    「今度は何!?」


    名前を呼ばれた方を見ると、水中なのに何故か装備が”焦げた”防衛室スタッフがいた。

  • 51ホットドリンク大好き25/06/17(火) 07:52:27

    レシーマ:

    「・・・待って。 <海洋の王者(ラギアクルス)>が出たなんて言わないよね?」


    水中での高熱というと、海底火山か かの竜王の雷くらいしか思い浮かばなかった。


    防衛室スタッフC:

    「もっと悪い! 希少種が出た!!」


    レシーマ:

    「はぁ!!??」


    ────────────────────


    参照元:
    #モンスターハンター 冥海竜ラギアクルス希少種 - ナマ海のイラスト - pixivこの作品 「冥海竜ラギアクルス希少種」 は 「モンスターハンター」「モンハン」 等のタグがつけられた「ナマ海」さんのイラストです。www.pixiv.net
  • 52ホットドリンク大好き25/06/17(火) 16:34:11

    ────────────────────


    ホシノ:

    「ふわぁ~・・・今度は金きらきんの海牛さんだねぇ。」


    付き添いの防衛室スタッフ:

    「・・・!?(ギョッとした顔)」


    ホシノ:

    「ん? ・・・えっと、あの子達って普通は大人しいんじゃなかったっけ?」


    付き添いの防衛室スタッフ:

    「えっと・・・その・・・あれは亜種で・・・その・・・通常種より攻撃的っていうか・・・。」


    ホシノ:

    「・・・つまり?」


    付き添いの防衛室スタッフ:

    「普通に襲ってきます。 へへ・・・。」


    ホシノ:

    「へぇ・・・そうなんだ。 ふぅ~ん・・・今 来るか。 ・・・そっか。」


    ────────────────────


    参照元:
    #モンスターハンター 皇海龍ナバルデウス亜種 - 丸鳥餅🦆のイラスト - pixivアイコン無償企画www.pixiv.net
  • 53ホットドリンク大好き25/06/17(火) 23:19:58

    ────────────────────


    カヤ:

    「これは これは・・・───」


    <フォルテシモ君>の視界から仰ぎ見る空には、超自然的な発光に包まれた流星群が、幾筋もの光を引いて”こちら”に迫っていた。


    リオ:

    『<凶星>が来るわ!! 対処して!!!』


    カヤ:

    「お任せ下さい。 ─── <空哭の刺(ソレムニア)>。」


    音声コマンドに反応して、フォルテシモ君の背から無数のミサイルが発射される。

    ミサイルは超自然的な光が満ちた空一杯に広がると、空中で弾けた。

    そして中から青白いエネルギーが迸る。

    それは円形に広がり、広域を防ぐバリアとなった。


    やがて凶星がバリアに接触する。

    大気が震えるほどの衝撃波と共に凶星は砕け散り、その破片もまた激しい発光を伴ってバリアと衝突した。


    ─── 全ての質量は、やがて熱と光に変換された。

  • 54ホットドリンク大好き25/06/17(火) 23:21:36

    カヤ:

    「さて───」


    凄まじいエネルギーの変換により、辺り一帯が白に染まった瞬間、カヤは、フォルテシモ君は<蛇王龍(ダラ・アマデュラ)>に噛み付いた。

    咥内に無数に設けられた回転ノコギリが、岩盤よりも分厚い鱗を持つ蛇王龍に出血を強いた。


    リオ:

    『今よ! 主砲、撃ちまくって!!』


    更に、生物では 有り得ない、背からの三連主砲も火を吹く。

    蛇王龍の鱗を突き破った砲弾は、その肉に深く突き刺さって爆裂した。


    ─────!!!


    カヤ:

    「─── もっと、もっと踊りましょう? 古き神よ。

    そして、もっと、もっと、もっと貴方の力を見せて下さい。

    全てが終わり、この機体がガラクタになろうと、貴方が新たなバイオームの礎になろうと、その生き様は、データは腐りませんから。

    ですから、さぁ───」

  • 55ホットドリンク大好き25/06/17(火) 23:24:00

    そこまで言ったところで、カヤは異変に気が付いた。

    噛み付いた際に、一緒に突き立てた爪が滑る。


    ─── 否、溶け始めている。


    カヤは咄嗟に視界にフォルテシモ君の手を映した。

    そこにあるのは、強酸によって溶けているのではなく、明らかに外温の熱によって融解を始めている金属だった。


    カヤ:

    「これほどの熱・・・まさかこの蛇王龍の・・・? ・・・いえ、これは違いますね。」


    カヤは この現象に見覚えがあった。

    後ろを振り向く。

    果たして、そこには想像通りの<龍>が居た。


    カヤ:

    「─── お久しぶりです、<煉黒龍(グラン・ミラオス)>。

    相変わらず凄まじい熱放射ですね。 また、私に弑されに来たのですか?」


    ────────────────────


    参照元:
    #グラン・ミラオス 煉黒龍 グラン・ミラオス - NOライス のイラスト - pixivリクエストで描きました!www.pixiv.net
  • 56二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 05:10:11

    保守の

  • 57二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 09:38:37

    敵がどいつもこいつも化け物すぎる

  • 58二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 17:32:24

    保守

  • 59二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 23:26:54

    >>57

    そら防衛室長が化け物だからな

  • 60ホットドリンク大好き25/06/19(木) 08:19:55

    ────────────────────

    防衛室スタッフA:
    「ごめ~ん、レシーマ・・・。 多分ダメなとこに電撃入った・・・ごふっ!」

    レシーマ:
    「うん・・・報告しなくて良いから早く離脱しよ・・・? メッチャ吐血してるじゃん・・・。」

    防衛室スタッフA:
    「ふふっ・・・お先。」

    そう言うと、吐血した防衛室スタッフは肩口のピンを引き抜く。
    バックパックから半透明の膜が出てきて、クラゲのように膨らみ、負傷した防衛室スタッフを早急に海面まで運んでいった。



    防衛室スタッフB:
    『─── 電撃にやられた! 3名が意識不明!!』

    防衛室スタッフC:
    『─── 相棒が弾き飛ばされた! 回収する!!』

    防衛室スタッフD:
    『─── こ、こちらD班。 捕食を受けて装備が破損した・・・回収求む・・・。』

  • 61ホットドリンク大好き25/06/19(木) 08:21:59

    レシーマ:

    「ターキリ、トーレイテア、ノペロ・・・」


    レシーマは<狼煙(ロアサイン)>の応用で、途切れた意識の位置情報から誰がリタイアしたのか当ててみせる。

    読み上げた名前の誰もが、カヤもレシーマも認める優秀なスタッフだった。


    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


    カヤ:

    「レシーマ、数で仕掛けてもダメなら時には単独で仕掛けるのも手です。

    勿論 多くの場合は失敗しますが、しかし あるのですよ。 ─── そういう一か八かの賭けをしなくてはならない時が。」


    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


    レシーマは脳裏に、そんなカヤの言葉を思い起こした。


    レシーマ:

    (・・・今が その時かもしれない。)


    レシーマは下腕の装備を撫でる。

    そして少し考えた後、やはりレシーマは前に出た。


    ラギアクルス希少種─── 冥竜といって遜色ない その個体と対峙する。

    赤い双眸と目が合った。


    レシーマ:

    「一か・・・八か!」


    レシーマは水中銃を構えた。 ─── 本命である下腕の装備を悟らせぬように。

    ────────────────────

  • 62二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 16:39:06

    保守

  • 63ホットドリンク大好き25/06/19(木) 23:34:45

    ────────────────────


    ホシノ:

    「あ~・・・こりゃ不味いね・・・。」


    シロコ:

    「そうだね。 このままじゃ<仕掛け>が張れない。」


    アヤネ:

    「いや・・・そういう問題でしょうか・・・!?」


    ホシノ達の視界の先には、ホシノ達が乗っている船にピッタリと付いてくるナバルデウス亜種の姿があった。

    半身を海面から上に出し、バッチリ目が合っている。


    ノノミ:

    「う~ん・・・困りましたね。 どうやら見逃してくれる雰囲気でも無さそうですし・・・。」


    セリカ:

    「完ッ全ッに、コッチを狙ってる目ね・・・。

    このままだと追いつかれるし、どうにかしないと・・・!」


    海上からだと分が悪いと踏んで逃げ回っている船だったが、どうにもナバルデウス亜種の方が航行速度が速いらしく少しずつ迫ってきていた。


    防衛室スタッフA:

    「へへっ・・・そろそろ足止めの機雷も底を突きますよ。」


    先刻までホシノに付き添っていた防衛室スタッフは、卑屈な笑みを浮かべながら機雷を船の後ろから蹴り落とした。

    機雷はプカプカと浮かびながらナバルデウス亜種の方へと流れていき、やがて接触して爆発を起こした。

    それは確かにナバルデウス亜種を怯ませるが、撃退には至らない。 少し混乱した様子を見せたナバルデウス亜種だったが、直ぐにホシノ達の方へと舵を切り直した。

    その距離は少しずつ狭まってきているし、機雷も数が少なくなってきている。 考える時間は後 僅かだ。

  • 64ホットドリンク大好き25/06/19(木) 23:36:00

    ワカモ:
    「─── 何を考えることが?」

    ワカモは機材を操作して、残る機雷を全てナバルデウス亜種に向けて流してしまった。
    操舵手も脅しつけて、舵もナバルデウス亜種に対する方へと切っ先を変えてしまう。

    セリカ:
    「ちょっ・・・アンタ何 勝手に!」

    ワカモ:
    「あら、可愛い子猫さん。 ─── 貴方が私に逆らえるとでも?」

    一定の強者特有のオーラで威圧するワカモ。 セリカは少し怯んでしまった。

    ホシノ:
    「・・・あのさぁ、狐面ちゃん。 何 私の後輩を脅しつけてくれてるワケ? 船から叩きおとされたいの??」

    ワカモ:
    「フフフッ、滅相もありません。 これは ちょっとした躾ですわ。
    私は自分の気に入った仕事しか受けませんし、─── 自分の気に入った相手からの指図しか受けません。」

    ホシノ:
    「・・・。(ちょっと嫌そうな顔)」

    ワカモ:
    「ホシノさん、この場で私を止められるのは貴方だけです。
    どう致します? 痺れを切らして あの牛さんに挑みかかる私を、先程のように力尽くで止めてみますか?」

    ワカモは非常に愉しそうな様子を見せる。
    ホシノは、若干テンパってたとはいえ少し本気を この厄介な狐に見せてしまったことを早速 後悔し始めていた。

  • 65ホットドリンク大好き25/06/19(木) 23:37:10

    ホシノ:

    「・・・止めはしないよ。」


    アヤネ:

    「先輩っ!?」


    ホシノはアヤネを手で制した。


    ホシノ:

    「・・・大丈夫、策があるから。」


    そう言って、ワカモの方に向き直る。


    ホシノ:

    「でも狐面ちゃん、勘違いしないで欲しいな。

    私が怒ってるのは独断専行でも操舵手ちゃんを脅しつけてることでもなく、私の後輩に舐めた口聞いたことだから。

    次やったらホントに海に突き落とすからね・・・。」


    仄暗い暴力を知っている光の無い目を見て、ワカモはゾクゾクするような興奮を覚えた。

    あぁ、まさか あの<宵闇のクヌム>に匹敵する怪物が こんなところにいたなんて。

    こんな逸材がいたなら、なぜ<宵闇のクヌム>は、<黎明のアテン>は、『不知火カヤ』はコレを教えてくれなかったのか。


    ─── まるで私にすら隠しておきたかったかのような・・・。


    ────────────────────

  • 66二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 08:47:09

    怖いぞ

  • 67ホットドリンク大好き25/06/20(金) 10:20:24

    ホシノ:
    「やっちゃった・・・。」
    (少ししてから冷静になって、自己嫌悪に陥る図)

  • 68二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 18:32:49

    おじさん…

  • 69二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 21:43:41

    やっぱ双子だから似てるっすねえ

  • 70ホットドリンク大好き25/06/20(金) 23:20:59

    ────────────────────


    カヤ:

    「─── 煉黒龍は私が相手をします。 コックピット ハッチを開けて下さい。」


    リオ:

    『・・・貴方がコックピットを出たら、誰が蛇王龍の相手をするというの?』


    フォルテシモ君のモニターには、明らかに怒り狂った蛇王龍が映し出されていた。

    今はカヤの手腕で何とかいなせているが、ここで別のパイロットや自律操作に切り替えてしまえば一瞬でフォルテシモ君がガラクタになることは目に見えていた。


    カヤ:

    「問題はありません。

    良い機会ですから件の試験型<ダミープラグ>を接続してみましょう。

    理論上では十分 蛇王龍相手に立ち回れるはずです。」


    リオ:

    『あれを・・・!? 正気なの!??』


    カヤ:

    「よく狂人か さもなくば人外扱いを受ける私ですが、私はいつでも人間で正気です。

    ですから、さぁコックピット ハッチを開けて下さい。

    さもなくば またコックピットの内壁をこじ開けることになります。」

  • 71ホットドリンク大好き25/06/20(金) 23:22:50

    リオ:

    『(数秒間の苦悩)・・・。 分かったわ。

    でも無茶はしないで頂戴。 外は金属すら融点に達する灼熱の地獄と化しているから。』


    カヤ:

    「そんなことは誰よりも良く知っています。」


    ───── (スチーム音)


    コックピット上部のハッチが開く。

    物理的に焼け付くような熱気がカヤを襲った。

    事前に念のためA装備(AQUA装備)を身に付けていなかったら、一瞬でダウンしていたかもしれない。


    カヤはコックピットの機材が溶け始める前に外部へと飛び出した。


    カヤ:

    「ダミープラグ<黒龍>の封印解除を許可します。」


    リオ:

    『─── 許可を確認。 <黒龍>を中枢システムに接続。』

  • 72ホットドリンク大好き25/06/20(金) 23:25:26

    次の瞬間、フォルテシモ君が気を失ったかのように沈黙した。

    しかし、その場にいた巨大なモンスター達は それを”弱った”とは解釈しなかった。
    もっと恐ろしいナニカが宿ったことを、本能的に察していた。

    ───── ボッ

    フォルテシモ君の瞳に炎が灯った。
    そうとしか見えないような、強い光が宿っていた。

    ────────── !!!!

    フォルテシモ君の方向が世界に響く。
    それは、ワカモが、カヤが操っていた時より、ずっと禍々しいものだった。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 73ホットドリンク大好き25/06/20(金) 23:28:32

    カヤ:

    「分かりますか、グラン・ミラオス。

    あれは貴方の親類の神聖、その一端の再現です。

    貴方は どうか知りませんが、古龍にとっては本能的な恐怖の対象でしょう。」


    視界の端では、明らかに体格が劣るはずのフォルテシモ君が、一回りも二回りも大きい蛇王龍を気押していた。

    それほどまでに禍々しい気配が、フォルテシモ君から立ち上っていた。


    カヤ:

    「さて、専用の装備であれば貴方と長く踊れるのですが・・・この装備では それも叶わないでしょう。」


    見れば、早速A装備は一部 融解を始めていた。


    カヤ:

    「─── ですから、勝負は一瞬。 ・・・貴方も、それで構いませんね?」


    カヤの肘部から強い光が漏れ始める。

    煉黒龍の咥内からも、太陽に匹敵するような光量が漏れ始めた。


    カヤ:

    「新技ですか? いいですね。

    『大地の化身』として、かの<黒龍(ミラボレアス)>に引けを取らない火力を見せて下さい。」


    カヤは『あらゆる事象を焼き切る』光の剣を抜いた。

    煉黒龍も、世界を焼き払う息吹を収束させ、『あらゆる事象を焼き払う』概念まで至った熱線を放った。


    ────────────────────

  • 74二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 03:53:59

    あげ

  • 75二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 12:10:36

    煉黒龍がからあげになっちゃいそう

  • 76二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 16:14:19

    概念対決好き

  • 77ホットドリンク大好き25/06/21(土) 22:58:46

    ────────────────────


    <海中にて・・・>


    ───── バチッ


    暗黒の中で、蒼い閃光が走る。

    その閃光は海水を走り回り、幾らかがA装備(AQUA装備)のレシーマを刺した。


    レシーマ:

    「─── いっ・・・! ・・・そろそろ・・・勝負を決めないと・・・!」


    A装備には幾らか耐電加工がされているが、そもそものコンセプトが『水中での機動力確保』である為に非常に心許ない程度しかない。

    筋肉が痙攣し、出血した時に感じる気持ちの悪い熱さを感じた。


    ─── このまま狩りが長引けば、こちらが喰われる。


    それは予感であり確信だった。

    事実、他にも防衛室スタッフが展開している中、このラギアクルス希少種─── 冥竜は、確かにレシーマに執着していた。


    赤い双眸が、ずっとずっとレシーマを覗いている。

    それは正に死神の熱視線だったが、レシーマは不思議と恐怖を感じなかった。

    ただ、奇妙な熱気がレシーマを支配していた。


    ─── 隙だ。 隙が必要だ。 僅かでも隙さえあれば・・・。

  • 78ホットドリンク大好き25/06/21(土) 23:01:01

    そのとき、冥竜が その長い身体で”とぐろ”を巻いた。

    レシーマ:
    「!!」

    レシーマは冥竜の意図を理解することが出来た。
    その瞬間、レシーマは誰よりも冥竜と通じ合っていた。

    次の瞬間、冥竜が動いた。
    稲妻のような瞬発力で、回転しながらレシーマに迫る。
    その巨体の質量によって、周囲の海水が回転に巻き込まれて渦となった。

    それに対してレシーマは、誰も予想し得なかった策に出た。
    なんとレシーマは水中作戦用のプラスチック爆弾を”手元で”起爆させると、その爆発によって明後日の方向に吹き飛んだ。

    端から見ると自爆したようにしか見えない動きだったが、吹き飛んだ先で確かにレシーマの意識は保っていたし、その目は しっかりと冥竜の方へと向いていた。

    レシーマは手首に設けられていた装備を、物凄い速度で移動する冥竜の方・・・ではなく またも明後日の方向へと向ける。
    幾らかの気泡と鋭い衝撃によって発射されたのは、ワイヤーの括り付けられたフックショットだった。

    やはり明後日の方向に飛んでいくフックショット。

    しかし不思議なことに、フックショットは吸い込まれるように冥竜の方へと軌道を修正して飛んでいった。

    ─── それは冥竜が自ら発生させた海流によって、自然とフックショットが吸い込まれていったのだった。

  • 79ホットドリンク大好き25/06/21(土) 23:12:27

    それは何も、レシーマが得意とすることでも何でも無かった。

    しかし、不思議と今のレシーマには それが出来る気がしたし、確かに出来た。


    フックショットは冥竜の肉に食い込むと、その中で爪を展開した。

    次の瞬間、グンッとレシーマは身体全体を引っ張られた。

    それは確かにフックショットが冥竜を捉えた証拠だった。

    レシーマは手首のスナップを効かせてフックショットの巻き取り機能を作動させる。


    もの凄い勢いで、冥竜とレシーマの距離は縮まり始めた。


    再び冥竜とレシーマの目が合う。


    レシーマは下腕の装備に意識を向けた。

    今度はもう、その意図を隠そうともしない。

    レシーマの脳裏には、『確実に一撃で仕留める』─── その意識しか無かった。

    それは極限の集中だった。


    そんなレシーマの純粋な殺意にも動じることなく、冥竜は咥内から”海中の月光”を思わせる蒼い光を漏らした。

    それは悠久の時を生きた<海洋の王者>の”威厳”であり、どこまでも明確な殺意だった。


    殺意に応える殺意。

    それは言葉より濃密なコミュニケーションであり、視線を、息遣いを、身体の動きを通して膨大な情報が奔流となって互いに伝わっていく。

    レシーマには この冥竜の悠久の時間が理解できるような気がしたし、冥竜もレシーマの刹那的な時間が理解できたような気がした。


    それによって、一人と一体は その場にいる誰よりも 次の一撃で決着が付くことを理解することが出来た。


    ────────────────────

  • 80二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 04:39:02

    楽しそうに踊ってるレシーマ好き

  • 81二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 13:18:42

    保守でーす

  • 82二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:55:20

    保守

  • 83ホットドリンク大好き25/06/22(日) 23:54:44

    ────────────────────

    防衛室スタッフA:
    「─── Aブロックで浸水が発生!」

    防衛室スタッフB:
    「対処しろ! 鉄板と溶接装備なら そこにあるから!!」

    防衛室スタッフA:
    「はぁ!? そんな応急処置で どうにかなるかよ!!
    早くAブロックを封鎖しろ! それで浮力は保てる!!」

    防衛室スタッフC:
    「ダメだ! もう幾つものブロックで浸水が来てる!!
    ここでAブロックを封鎖すると浮力が足りなくなる!!」

    全員:
    「「・・・。」」

  • 84ホットドリンク大好き25/06/22(日) 23:55:46

    少しの沈黙。
    やがて折れたのは防衛室スタッフAだった。

    防衛室スタッフA:
    「・・・あぁ、クソッ! やるしかないのか・・・。」

    防衛室スタッフB:
    「あぁ、そうだ。 後、そこに排水ポンプもあるから・・・あれ、無いな。」

    防衛室スタッフC:
    「あぁ、それならEブロックの人が持って行きましたよ。」

    防衛室スタッフB:
    「ふぅ~ん・・・じゃあ、すまん。」

    そう言って、防衛室スタッフBは足元にあった清掃用のトタンバケツを取り出した。

    防衛室スタッフB:
    「悪いが、補修が終わったらコレで海水を掻き出してくれ。 頼んだぞ。」

    防衛室スタッフA:
    「・・・無事に事が済んだら一発 撃たせろ、マジで。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 85ホットドリンク大好き25/06/22(日) 23:57:02

    防衛室スタッフD:

    「─── 甲板が損傷! 補修を急げ!!」


    防衛室スタッフE:

    「─── ねぇ! 弾薬足りてないんだけど!?」


    防衛室スタッフF:

    「─── ヘヘッ、<月に触れる(ファーカレス)>で繋いじゃいましょう。

    なに、この火事場さえ凌げればいいんですよ。 ・・・分かったらツベコベ言ってないで手を動かして下さい。」




    ホシノ:

    「いやぁ~・・・皆 忙しそうだねぇ。」


    ノノミ:

    「なに他人事みたいに言ってるんですか。

    皆さん、先輩を信じて一生懸命に自分の仕事をこなしてくれているんですよ?」


    ホシノ:

    「手厳しいねぇ、ノノミちゃん。

    ・・・そうカリカリしても、今 私達がするべき仕事は無いよ。」

  • 86ホットドリンク大好き25/06/22(日) 23:58:31

    ノノミ:
    「うっ・・・すみません。
    こう・・・皆さんが必死に駆けずり回ってるのに暇を持て余しているのが申し訳なくて・・・。」

    ホシノ:
    「ふふっ、そういうところは出会った頃から変わらないね。
    ここ1年で幾らか余裕が出てきたように思ったけど・・・。」

    ノノミ:
    「・・・後輩達の前で、頼りない姿を見せるワケにはいきませんから。」

    ホシノ:
    「そういう意味ではシロコちゃんは凄いよねぇ。
    自然体で”先輩”に成れたんだもの。 ・・・その点、私はダメダメかなぁ。」

  • 87ホットドリンク大好き25/06/23(月) 00:00:42

    ノノミ:
    「・・・・・・先輩は。」

    ホシノ:
    「ん?」

    ノノミ:
    「先輩は・・・”前”に進めていますか・・・?」

    ホシノ:
    「・・・。」

    ホシノの目が、急激に暗く冷たくなっていく。
    それは記憶の中にある”先輩”にソックリだった。

  • 88ホットドリンク大好き25/06/23(月) 00:02:13

    ホシノ:

    「・・・心配しなくても大丈夫。

    私は・・・前に進んでる。 他でもない、貴方達の お陰で。」


    ノノミ:

    「私達の・・・?」


    ホシノ:

    「うん。」


    ホシノは海を見た。

    <皇海龍(ナバルデウス亜種)>が、その黄金の巨体を覗かせる。

    凪いだ海が波打ち、船が大きく揺れた。

    少し遅れて船体に衝撃が来る。

    どうやら皇海龍が その巨大な角を船体に叩き付けたらしい。

    遠くで防衛室スタッフの怒号が聞こえた。

  • 89ホットドリンク大好き25/06/23(月) 00:04:40

    ホシノ:
    「私が こんなことを言うのは許されないかもしれないけど、『守るべき人』がいれば、私は まだ戦えるから。」

    ホシノは まずノノミを見て、少し離れた場所で来たるべき時に備えてワチャワチャしている後輩達を見た。
    そして、遥か海の彼方、ロストリゾートパラダイスがある方角の水平線も。

    ホシノ:
    「見せてあげるよ。
    『大切な人の為に戦う』っていうことが、私に どれだけ力を与えてくれるのか。」

    ホシノはショットガンに弾を込めた。
    リロードは”手品のように”一瞬で終わった。

    ────────────────────

  • 90二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 09:11:06

    保守

  • 91二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 18:17:00

    保守

  • 92二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 00:06:19

    ────────────────────


    <レシーマの場合>


    <冥竜(ラギアクルス希少種)>の咥内から、正に『深海の月光』が差した。

    実際には途轍もない電荷の奔流である その光は、確かにレシーマの片腕を捉えた。


    しかしレシーマは、それを物ともしなかった。

    凄まじい熱に焼かれた片腕を放置し、前腕の装備を冥竜の側頭部に叩き付ける。


    ───── 次の瞬間、海中で鋭い衝撃音と共に大量の気泡が発生した。

    それは爆発の化学反応によって水中で発生したガスであり、その気泡の多さが爆発の威力を物語っていた。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 93二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 00:08:16

    <カヤの場合>


    <煉黒龍(グラン・ミラオス)>の口から、太陽フレアに匹敵するエネルギーを秘めた白色の光線が放たれる。

    角度によっては様々な色彩を見せる その光線は、正に我々が仰ぎ見る太陽が そのまま奔流となったかのようだった。


    その奔流は、確かにカヤの半身を捉えた。

    『あらゆる事象を焼き払う』概念まで至った光線は、ヘイローの護りを貫通して身体を蒸発させる。


    通常であれば即死の欠損。

    しかしカヤは動いた。

    常人と比べて死に難い身体の構造をしているのもあるが、何より人外の域にある精神性が それを可能にした。


    残った半身を渾身の力で捻って、『あらゆる事象を焼き切る』光の剣を振り抜く。

    煉黒龍のソレより明らかに細く、しかし同じ概念の域に達しているソレは、限りなく不壊に近いはずの煉黒龍の鱗を、肉を、骨を、”ほどいて消滅させた”。


    ─── 龍の、限りなく神に近い龍の首が堕ちる。


    ────────────────────

  • 94二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 00:10:02

    <レシーマの場合>


    気が付くと、レシーマは海の底を漂っていた。

    深い深い海の底で、クラゲのように漂っていた。


    ふと、誰かの気配を感じた。

    それは何も超感覚的なものではなく、水温の変化であったり水流であったり音であったりした。


    気配のした方を見ると、あの赤い双眸が こちらを覗いていた。

    冥竜が、ジッとレシーマを見つめていた。

    側頭部の甲殻が砕け、幾らか血を流しているが、それでも致命の域には遠く及んでいないように見えた。


    レシーマは それを見ると、運良く近くに漂っていた水中銃を掴んで冥竜へと向けた。

    死神に、抵抗もせず命を差し出す気はさらさら無かった。


    片手は・・・使い物にならない。

    治療を受ければ動くだろうが、今はダメだ。

    一切の感覚がしないし、力を込めてもピクリとも動かない。


    だから今動くのは反対の腕だけだ。

    端から見れば絶望的な状況だが、不思議とレシーマは怖くも何ともなかった。


    ただ、相手が仕掛けてきたら、最低でも片腕か、然もなくば片目でも冥土の土産に持って行ってやろうと漠然と考えていた。

  • 95二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 00:11:53

    ・・・。
    ・・・・・・。
    ・・・・・・・・・。

    そうしてどれだけの間、一人と一体で見つめ合っていただろうか。
    先に折れたのは─── 否、譲ったのは冥竜だった。
    赤い双眸をレシーマから外すと、血を流しながら海の彼方へと消えていった。
    ・・・あの傷は悠久の時間、古傷として残るだろう。

    レシーマは彼の竜が去ったのを見ると、自分の動かなくなっていた片腕を見た。
    破損したA装備(AQUA装備)から覗く素肌には、樹枝状の稲妻のような傷が走っていた。
    生涯古傷として残るであろうソレを、レシーマは醜いと思わなかった。

    むしろ、名誉の負傷としてカッコイイとさえ思った。

    なぜなら、彼女の憧れる”冒険家”には無数の古傷が刻まれていることを知っていたから。
    それは、彼女が また一つ憧れに近づいたことを意味していた。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 96二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 00:13:23

    <カヤの場合>


    気が付けば、カヤは煉黒龍と共にゆっくりと海底に沈んでいくところだった。


    煉黒龍の瞳と目が合う。


    とっくに機能としては死んでいるだろうが、もっと深いところで繋がった気がした。


    カヤ:

    (また、お会いしましょう。 ご友人。)


    煉黒龍は実質的な不死だ。

    どうせ直ぐに蘇る(リスポーンする)ので、彼の者にとって死とは一時的な敗亡に過ぎない。

    だからカヤは、その死を大して気にしなかった。


    カヤ:

    (さて・・・。 これは・・・不味いですね。)


    それは別に半身が吹き飛んだことを憂う言葉では無かった。

    人に比べて死に難い身体の構造をしているカヤにとって、多少ムチャをして半身吹き飛ぶのは日常茶飯事だった。

    つい先日も、ミレニアムでトリックなしの『剣刺しのイリュージョン』を受けて、可愛くないタイプのハリネズミになってきたばかりである。


    では何を憂いているのか。


    それは吹き飛んだはずの半身が─── 黒い汚泥で既に再構築され始めていることだった。


    海の中で、影がそのまま現実に這い出てきたような己の掌を閉じたり開いたりする。

    それは正に、怪物の腕だった。

  • 97二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 00:23:07

    カヤ:
    (・・・遂に発症しましたか、『私』の宿痾が。)

    それは、彼女の末路を暗示していた。

    カヤ
    (早急に処置を施さなければ・・・進行が・・・。)

    直ぐに処置を施そうとするカヤだったが、身体が他人のモノのように動かず、意識も ゆっくりと失われていく。

    カヤ:
    (・・・。)

    その気絶とも違う感覚は、『今のカヤ』には覚えがあった。

    カヤ:
    (『かつての私』・・・。
    ・・・貴方は『今の私』をどのように生み出したのですか?)

  • 98二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 00:28:34

    ”生徒に成りたがる”神秘を、神聖を宿す『今のカヤ』には どうしても辿り着けない真実だった。

    自らのルーツを、本能の意味を知ってしまえば、きっと『不知火カヤ』は その神秘を否定してしまうから。

    人格(キャラクタ)と神格(アイデンティティ)の矛盾を、彼女に宿る<外なる観念>は酷く嫌った。


    調べようにも、気が付けば意識を失ってしまう。

    どう足掻いても、『今のカヤ』には真実に辿り着けない。

    知っているのは『かつてのカヤ』だが、共有しているはずの記憶はモヤが掛かったように思い出せなかった。


    最近になって『かつての私』が黄泉帰ってきたときは、一度は全てを投げ出した人が みっともないと思いつつも、もしかしたら この宿痾に解決の兆しが見えるかとも思った。

    しかし先の出来事で、肝心の『かつての私』でも真実に辿り着こうとすれば記憶の混濁が見られた。

    これは異形の精神を持つ『今のカヤ』をして、絶望的な出来事だった。


    それは、次の単純な答えを明示していた。


    カヤ:

    (この問題は・・・この宿痾は・・・『私』の、『私』だけの力では ───)


    ─── 絶対に解決できない。


    ────────────────────

  • 99二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 08:18:48

    先生!出番だ!

  • 100二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 15:42:17

    保守

  • 101二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 01:09:52

    保守

  • 102ホットドリンク大好き25/06/25(水) 03:03:40

    ────────────────────


    <一方その頃、フォルテシモ君のブリッジでは───>


    防衛室スタッフA:

    「─── 動力炉に謎のエネルギーが流入!」


    防衛室スタッフB:

    「─── 各駆動部のリミッターが解除されていきます! このままでは・・・!!」


    防衛室スタッフC:

    「─── 外部装甲に正体不明の黒い鱗が発生! 増殖して侵蝕しています!!」


    リオ:

    「・・・。」


    ブリッジ内で怒号が響く。

    フォルテシモ君の主導権は、今や完全に<黒龍>に奪われようとしていた。


    リオ:

    (件のダミープラグの お陰で戦況は好転した・・・。)


    事実、ブリッジから確認できるだけでもフォルテシモ君は蛇王龍 相手に上手に立ち回っている。


    リオ:

    (でも、このままでは・・・。)


    既に中枢は<黒龍>に奪われた。

    このままブリッジの火器管制まで奪われてしまえば、完全にフォルテシモ君は制御を失う。

    ・・・そうなれば、機械仕掛けの身体を依り代に、1km近い<黒龍>が発生する事態になりかねなかった。

  • 103ホットドリンク大好き25/06/25(水) 03:06:21

    リオ:
    (そうなればキヴォトスが滅びかねない。)

    リオは瞑目して考えた。
    世界の平和と、ロストリゾートパラダイスにいる人々の命を意識の上で天秤に掛ける。

    リオ:
    (・・・考えるまでもないわね。)

    単純なトロッコ問題だった。
    リオは手元の鍵を、艦長の椅子に設けられた鍵穴に入れた。

    大きなブザー音と共に、ブリッジ内に透明なプラスチックカバーに覆われた一つのボタンが設けられたユニットが現われた。
    リオは そのボタン ユニットへ歩みを進める。
    そこへ一人の防衛室スタッフが立ちはだかった。

    防衛室スタッフD:
    「・・・このボタンを押せば当艦は自爆します。」

    リオ:
    「分かっているわ。 ・・・でも、誰かが押さないといけない。」

    防衛室スタッフD:
    「・・・覚悟の上なのですね?」

    リオ:
    「世界を維持する為に、数百・数千人の人間を見捨てる・・・。
    ・・・分かっているわ。 これを押せば、私は擬似的な殺人犯になる。」

  • 104ホットドリンク大好き25/06/25(水) 03:08:44

    防衛室スタッフD:
    「分かっておられるのなら、私に止める権利はありません。」

    防衛室スタッフはリオに道を譲った。

    防衛室スタッフD:
    「─── ですがお忘れなく。 我々も、共に罪を背負います。」

    リオ:
    「・・・ふふっ。」

    不謹慎だとは思いつつも、リオはつい笑ってしまった。

    リオ:
    「ありがとう、少しは怖くなくなったわ。」

    防衛室スタッフD:
    「・・・。」

    仮面の下で複雑な表情を浮かべている防衛室スタッフを尻目に、リオは自爆ボタンの前に立った。

    リオ:
    「─── でも、『レバー』は私の手で引くわ。 私でならなくてはならない。」

    そうして自爆ボタンに手を伸ばし───



    ???:
    『お待ちください。』

  • 105ホットドリンク大好き25/06/25(水) 03:10:41

    リオが自爆ボタンの誤入力を防ぐ透明なプラスチックカバーを外したところで、どこからか通信が入った。

    リオ:
    「・・・リン?」

    リン:
    『(ザザッ)まだ諦めるには早すぎます。 (ザザッ)もう少しだけ、足掻いてみませんか?』

    リオ:
    「貴方・・・どこにいるの?」

    妙に質の荒い通信だった。
    リンはオペレータールームに詰めているはず。
    それなのに、まるで離れたところから持ち運びやすい端末で通信しているような感じがする。

    リン:
    『フォルテ・・・この艦の外壁です。(ザザッ) 件の黒い鱗を除去する作業をしています。』

    リオ:
    「・・・なんですって?」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 106ホットドリンク大好き25/06/25(水) 03:12:01

    フォルテシモ君の外部装甲にて、宇宙服のような防護服に身を包んだリンが、何名かの防衛室スタッフを引き連れて黒い鱗の除去作業に挑んでいた。

    リン:
    「この艦に対する侵蝕は、この黒い鱗という媒介を通して増幅されているということが分かりました。
    これを継続して除去し続ければ、決着まで時間稼ぎができるはずです。」

    リオ:
    『(ザザッ)・・・データは受け取ったわ。
    確かに貴方の言う通り、(ザザッ)装甲表面に発生した黒い鱗が侵蝕のスピードを上げているようね。』

    リン:
    「ご理解頂けたようで、何よりです。」

    リオ:
    『でも、ダメよ。 危険過ぎるわ、戻って来なさい。(ザザッ)』

    その時、リン達のいる外装部分に強い衝撃が走った。
    侵蝕されながらも戦闘を続けているフォルテシモ君の外装部分は、常に蛇王龍からの攻撃に晒される危険があった。
    事実、運悪くダメージを受けたらしい防衛室スタッフが、気絶して海面へと落下していく。

    リン:
    「・・・お断りします。」

  • 107ホットドリンク大好き25/06/25(水) 03:13:24

    リオ:
    『(ザザッ)・・・正気なの?』

    リンは毅然とした口調で言い切った。

    リン:
    「私は正気です。
    私は自分の意思で、最後まで足掻いてみせます。
    ・・・貴方を、人殺しにする気はありませんから。」

    リオ:
    『・・・聞かれていたのね。』

    リオは、ブリッジの通信を切っていなかった己を呪った。

    リン:
    「それに・・・。」

    リオ:
    『・・・?』

    リン:
    「”彼女”なら、きっとこうしたでしょう。」

  • 108ホットドリンク大好き25/06/25(水) 03:15:09

    リオ:
    『(ザザッ)・・・それは───』

    ───── (衝撃音)

    蛇王龍の爪が、リンの近くを打った。 圧倒的な質量から繰り出される衝撃が、リンを空中へと投げ出す。
    命綱は、運悪く破壊されてしまった。

    ・・・。
    ・・・・・・。
    ・・・・・・・・・。

    しかし、リンが海面に叩き付けられることは無かった。
    全身が黒い汚泥に包まれた、影のような怪物に腰を抱き留められたから。

    リン:
    「・・・暫く見ない内にヌルヌルしましたね、カヤ。



    ─── それとも、今は『官服』と呼んだ方が良いですか?」

    怪物は、少しグチャグチャ音を立てた後、本来の姿を取り戻した。

    官服:
    「貴方こそ、少し見ない間にヤンチャになったね。 リン。」

    髪が解け、気怠げな目線をした、リンの良く知る方のカヤが そこにいた。

    ────────────────────

  • 109二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 08:52:16

    リンカヤ良き

  • 110二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 16:29:01

    保守

  • 111ホットドリンク大好き25/06/25(水) 23:40:20

    ────────────────────


    <一方その頃、ホシノ達は───>


    防衛室スタッフA:

    「─── 護衛の機動兵器群沈黙!」


    防衛室スタッフB:

    「─── クソッ、流石の<RAY>でも荷が重いか・・・!」


    防衛室スタッフC:

    「まぁ・・・流石に数が足りないッスよ。

    <皇海龍(ナバルデウス亜種)>相手なら後3倍はないと・・・。」


    防衛室スタッフB:

    「善戦した方と捉えるべきか・・・。」


    防衛室スタッフD:

    「─── おい、また浸水したって! ここにあった排水ポンプ持ってったヤツ、ホントに誰だ!?」


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 112ホットドリンク大好き25/06/25(水) 23:44:03

    ホシノ:

    「─── そろそろかな?」


    ノノミ:

    「はい先輩。 作業の方達から合図が送られてきました。

    どうやら予備の<仕掛け>は準備万端のようです。」


    ホシノ:

    「よーし。 んじゃ、始めよっか。」


    ホシノは何でも無いように、スッと前を指差した。


    ホシノ:

    「操舵手ちゃ~ん、あの子(皇海龍)に向かって全速前進して~。」


    防衛室スタッフE:

    「はい。 また擦れ違う感じですね?」


    ホシノ:

    「いんや? ぶつかって?」


    防衛室スタッフE:

    「・・・・・・・・・はい?」


    ホシノ:

    「・・・ん?

    もう一回言った方が良い?

    この船、あの子にぶつけて?」

  • 113ホットドリンク大好き25/06/25(水) 23:47:37

    防衛室スタッフE:
    「・・・・・・すみません、良く聞こえませんでした。 もう一度言って頂けます?」

    ホシノ:
    「この船で、正面から突っ込んで。」

    防衛室スタッフE:
    「・・・一応 聞きますが、何故でしょうか?」

    ホシノ:
    「? そうした方が、上手くいきそうじゃない?」

    防衛室スタッフE:
    「・・・。」

    ホシノ:
    「そういうワケだから。 早く ぶつかりに行って貰えるかな?」

    ナチュラルにブッ飛んだことを言うホシノに、戦慄と─── 言いようのない懐かしさを覚えた。

    防衛室スタッフE:
    (・・・この人、昔のボスに似てるな。)

    カヤが連邦生徒会に入る前からずっと付き従ってきた古株の防衛室スタッフは、懐かしい狂気を感じて自然とホシノの思う通りの方向に舵を切る。
    ワカモの時もそうだったが、操舵手は圧倒的なプレッシャーで脅されるのが嫌いではなかった。
    むしろ、そういうプレッシャーを放てる存在に従うことに、密かな満足感を覚えるタイプだった。

    その点で言えば、ホシノは操舵手が従うだけの存在と言えた。
    しかも、なんだか昔のボスが戻ってきたようで、違う人だと分かっていても何だか忠誠心が満たされていくのも感じていた。
    ────────────────────

  • 114二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 05:07:36

    朝ほしゅの

  • 115二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 13:04:48

    懐かしい狂気というパワーワード

  • 116二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 22:07:12

    カンナもそうだけどホシノも着実にカヤ化が進行している…

  • 117ホットドリンク大好き25/06/26(木) 23:27:44

    ────────────────────


    <海中にて・・・>


    防衛室スタッフA:

    「─── ホシノさんから合図だ。 各自位置につけ。」


    防衛室スタッフ達:

    『『了解。』』


    防衛室スタッフA:

    「・・・。」


    防衛室スタッフB:

    『・・・。』


    防衛室スタッフC:

    『・・・。』


    防衛室スタッフA:

    「もう少し・・・かかりそうだな。(暴れ回る<皇海龍(ナバルデウス亜種)>を見ながら)」

  • 118ホットドリンク大好き25/06/26(木) 23:30:37

    防衛室スタッフB:
    『暇だね・・・。』

    防衛室スタッフC:
    『んじゃ、雑談しない?』

    防衛室スタッフD:
    『賛成。』

    防衛室スタッフA:
    「・・・目標から視線だけは外すなよ?」

    防衛室スタッフC:
    『んじゃ言うけど、ホシノさんって何か良くない?』

    防衛室スタッフD:
    『分かる。 昔のボスに似てる。』

    防衛室スタッフB:
    『宵闇派(古参の派閥)の人からすると・・・そっか。』

    防衛室スタッフC:
    『なんか匂いも似てる気がするし、意外と親戚だったりして。』

  • 119ホットドリンク大好き25/06/26(木) 23:36:24

    防衛室スタッフA:

    「まさか。」


    防衛室スタッフB:

    『仮にそうだったとして・・・宵闇派的にはどうなんですか?

    確か、貴方達って室長個人に忠誠を誓ってるんですよね?』


    防衛室スタッフD:

    『・・・護衛対象にはなる。 でも、彼女は強い。 もし本当に血縁者だとしたら・・・ふふっ。』


    防衛室スタッフC:

    『うげっ・・・。』


    防衛室スタッフA:

    「・・・あまり宵闇派に変なエサを与えるなよ。

    本当にホシノさんが血縁者だったら、『宵闇の再来』とか連中が騒ぎ出しかねん。」


    防衛室スタッフB」

    『す、すみません。』


    防衛室スタッフA:

    「まぁ・・・そんな出来過ぎた話があるワケないがな。」


    防衛室スタッフC:

    『だよねぇ。

    言っといてなんだけど、そう都合良く<生き別れの姉妹>とか何とかなんてあるワケないよね。』


    防衛室スタッフD:

    『・・・残念。 あの”虚無”は、私達を率いるに足る資質なんだけどな。』

    ────────────────────

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