🎲⚓️でちょっと苛酷なポケモン世界を冒険するpart2.1

落ちちゃったので立て直し

頼れる相棒ポケモンと一緒に見放された大地を探検するワクワクドキドキ大冒険！
見切り発車ゆえ何もかも適当
話の展開に応じて適宜イラスト&SS錬成します

【禁止事項】
・R18えろ
・他作品のキャラ流用
・過度のキャラage/sage、キャラヘイト表現
・その他荒らし行為全般

↓前スレ

🎲⚓️でちょっと苛酷なポケモン世界を冒険するpart2｜あにまん掲示板頼れる相棒ポケモンと一緒に見放された大地を探検するワクワクドキドキ大冒険！見切り発車ゆえ何もかも適当話の展開に応じて適宜イラスト&SS錬成します【禁止事項】・R18えろ・他作品のキャラ流用・過…bbs.animanch.com

↓初代スレ

🎲⚓️でちょっと苛酷なポケモン世界を冒険する｜あにまん掲示板頼れる相棒ポケモンと一緒に見放された大地を探検するワクワクドキドキ大冒険！見切り発車ゆえ何もかも適当話の展開に応じて適宜イラスト&SS錬成します【禁止事項】・R18えろ・他作品のキャラ流用・過…bbs.animanch.com

【これまでのあらすじ】
絶海に囲まれた八つの島、ラウト地方。
元ロケット団のルッコラは相棒のニドラン♀と漂着した一つ目の島、ヴォルケ島で逆進化について研究するオトナシ博士とその娘ラフランに出会う。
光石の病という奇病にかかったルッコラは治癒を目指して博士親子とともに巡礼の旅に出ることに。
無事に二つ目の島、フェーゴ島にたどり着き巡礼を終えた今、ルッコラは会って間もない島民の少女ユッカと結婚させられたが離婚した。
一方そのころオトナシ博士とラフランは島の祠に監禁される。助けに行くルッコラとユッカ、彼らの運命やいかに？

「むぐぐ…ぷはっ。…やっと手の縄が噛み切れました、ラフラン」
「ありがとお父さん！待ってて、足の縄がほどけたらそっちもすぐ…」
巡礼道の祠の奥、檻の格子に縛り付けられて、拘束を解こうとしばらくすったもんだしていたオトナシ親子であったが、小一時間の奮闘の末どうにかラフランの手を縛っていた縄が切れた。
こうなってしまえばこちらのもの。すぐに自分たちの縄をほどいてボールも回収して、祠から逃げ出そうとラフランはせっせと手を動かす。
ところが望まぬ客人というものはいつも最悪のタイミングで来るもので。
突如、オトナシが弾かれたように洞窟の入り口の方へ視線を向ける。
「…誰か来ます」
そう言ってから数十秒も経たず、闇の中から松明に照らされて一人の男が姿を現した。

「…あいつは…！」
ラフランが目を大きく見開く。
炎のオレンジ色をした金属光沢。顔をすっぽり覆い隠す金属製の覆面。その隙間からちろちろと揺らめく狂い火。
「そんなことありますか…！？こんなタイミングで、島長が来るなんて…！」

「…恙きや」
洞窟の入り口に現れた島長バンは縄の解けたラフランを見ても、特段気にする様子もなく…あるいは覆面の下ではどんな顔をしているのか分からないが…飄々とこちらへ話しかけてくる。ラフランが苛立ち半分焦り半分でまだ縛られている足をばたつかせた。
「大丈夫に見えますか、これが。大体こうするように島民に命じたのもあなたなんでしょう？」
忘れるはずもない。彼女たちが島民に捕らわれたとき、先頭に立ってそれを指揮していたのは島長バンだ。それをなぜ、今こうして様子を見に来て「大丈夫か」なんて、よくもぬけぬけと言えたものだ。棘のある口調で返事をするラフランにバンは「…あぁ」と少し困ったように生返事。なんだその反応は、とラフランが腹を立てるのも束の間。
バンは手を袖の中に仕舞い、深々と頭を下げて彼女たちに謝罪した。
「断りなく其方らを連れて来しこと、申し訳なし。これよりはかかる煩いもなければ」
「…は？」
何を言っているのだろう、この男は。勝手に人を監禁しておいて今さら顔を出したと思ったら謝罪とは。ラフランが混乱していると、隣のオトナシが口を開いた。
「し、謝罪に関しては置いておきます。…それより、「これからはこんな風に煩わされることもない」とは…一体どういう意味で？」
「…ふむ」
バンはしばらく言葉を探しているようだった。彼は俯いて深く考え込み、何十秒かのちにようやくゆるりと頭をもたげて語りだす。
「…彼ひとりのみなら知らず、三人寄らばやすく誘いには乗らざらんと思いせば。…ひとりずつ、切り離すが良からんと」
「…どういう意味ですか」
オトナシが問う。バンはそれに淡々と返した。
「ルッコラ殿がこの島に移り住むことを定めり」

ルッコラがフェーゴ島に留まることを決めた。そう聞いて、単純にこの島が気に入ったのだろうと楽観的な結論を下すほど二人とも馬鹿ではなかった。
「それ、合意じゃないですよね」
ラフランが非難するような声色で言う。
「脅したんですか？私たちにしたみたいに、ルッコラさんを数人がかりで寄ってたかって…」
「…すまぬな」
バンは否定しなかった。ラフランとオトナシの中で、目の前のこいつは黒だと確定した瞬間だった。ラフランがヒステリックに叫ぶ。
「ルッコラさんをどこにやったんですか！いや、それ以前にこんな真似して、私たちをどうするつもりなんですか！？」
怒りと不安がないまぜになったラフランの顔を見下ろして不気味なほどに落ち着いたバンが答える。
「何も」
宥めるような優しい声だった。
「我らはただ、外の来訪者がこの島に留まり続けることのみが望み…その他には何も望まず…無論、ルッコラ殿だけでなく其方らも」
バンが緩慢に膝を折り、オトナシたちに目線を合わせる。
「オトナシ殿、ラフラン殿。其方らも我らが島の一員となり給え。…フェーゴ島は喜んで其方らを迎え入れん」
「…嫌だと言ったら？」
ラフランが訊いた。バンは重い沈黙で返した。それが何よりの答えだった。
「…さほど案ずるなかれ」
枯れた声で彼が言った。
「この島は温かき竈なれば。はじめは理不尽に憤れども…怒りも、憂いも、閉じ込めて、檻の中に留め置けば…いずれは消え入りて、何も感ぜざるようにならん」
そう言うバンの覆面の隙間から、消え入りそうな細い火がちろりと覗いた気がした。

「…島に来てからのやり取りで大方わかりました」
オトナシがおもむろに口を開いた。
「このフェーゴ島にはびこる『光石の病』は体内で生成したフェーゴストーンによって身体から火が出て焼死する死病。そして、病にかかった店主さんの「我々は血が濃いから」という言葉からするに…この病は親から子へ遺伝する。少なくともアナタたちはそう考えている」
確信めいた物言いだった。彼の中ではすでに結論は出ていたのだろう。それを確かめるようにオトナシは話を続ける。バンは止めず、彼の推論を聞いていた。
「この島の人間はもれなく病の保因者なのでしょう。印章を使えるアナタを除いて誰がいつ発症するとも分からず、しかも治療の巡礼を行おうにも間に合わないほど病の進行は速い。手の施しようがない、発症すれば終わりの光石の病…だからアナタたちは病の脅威から逃れようとした。病の因子を持っていない島外の人間を島に取り込んで、島の人間と子を生させるという方法で。自分たちの子孫が病を持たずに生まれてくるように」
理解はできる理屈だ。病んだ血を持つものが健康な者と交わって健康な子を生す。そうしていつか光石の病をもつ血統がフェーゴ島からいなくなることが彼らの願い。それが正しいか正しくないかは別として、動機は分からないでもない。
「アナタたちの目的は島外の血を取り込んで自分たちの病の血統を薄めること…そうですね？」
オトナシが確信をもって問う。バンは彼の目をじっと覗き、まるで「そこまで見抜くとは思っていなかった」とでも言うように肩をすくめた。
「…見てくれに依らず、慧眼なりかし」
「だてに学者やってませんので」

彼の声がいっそう鋭くバンを刺し返す。
「そんな下らないエゴのために我々が旅をやめる道理はありません。…うちのラフランに指一本でも触れてみなさい。深海の底に沈めてやりますよ」
オトナシとバン、ふたりが正面から睨み合う。相手は島長、しかも自分は縄で縛られた絶望的な状況だが娘の身を守るためオトナシが退く気配はない。
何十秒かの沈黙。じっと黙ったまま向かい合う彼らの放つ緊張感に空気がひりつく。
先に沈黙を破ったのはバンだった。
「…コータス」
バンはおもむろに相棒ポケモンのボールを取り出し、投げる。現れたるは普通より一回り大きな体躯の立派なコータス。コータスは四つ足をどっしり踏み締め鼻から高温のスモークを細く噴き出させる。いきなりポケモンを出してきたバンにオトナシが震え上がって萎縮する。
「ﾋｯ！？ややややめて許してください殺さないで！！！」
「…お父さん、せっかくちょっと格好よかったのに…」

だがバンが矛を向けさせたのはオトナシたちの方ではなかった。
「……。」
注視するように、じっと覆面に覆われた頭が洞窟の入り口を見る。コータスに攻撃態勢をとらせたまま何かを待っている、あるいは警戒しているようだった。
「……？」
また誰か来たのだろうか。バンの様子に首をかしげつつラフランがちょっと体を傾けて彼の後ろを覗き込むと、闇の中にだんだん鮮やかな花柄の裾が浮かび上がってきた。
「バン〜〜！いるか〜〜〜〜！？」

「止めよ」
バンが火を噴き出さんとするコータスをそっと手で制する。
「…ユッカ。この夜の遅きに何を…」
幼い娘の夜ふかしを咎めるように、温かくも少し固い口調でバンがやってきた少女…ユッカに語りかける。傍らにはなぜか小さなメラルバを抱えたルッコラの姿もあった。
「ルッコラさん！無事だったんですね…」
ラフランがひとまず安心したようにほっと息を吐く。ユッカがそれに被せるようにせわしく話し出した。
「あのなあのな！ちょっとバンにお願いがあってさ！あのさ、ルッコラたちを捕まえるの、やめてほしいんだ！」
元気なユッカの声とは裏腹に、それを聞いた瞬間バンの纏う空気がずしりと重くなる。
「…今、何と言いしや？」
「えっとね、だからね、」
ユッカはまだバンの雰囲気が変わったのに気付いていないようだ。彼女は興奮で顔を赤くして、せいいっぱい言葉を紡ぎだす。
「ルッコラたちをこの島から出してあげて！あいつら元のところに帰りたいんだって！バンならできるでしょ？」
しばし、バンの動きが止まった。彼はぴくりとも動かないまま何か熟考するように息を静める。
しばらくして答えが返された。
「…それは、ならず」

神の子であるユッカもルッコラと結婚させられてるあたりまだ完全には病を脱却できてないんかな

「え〜〜〜！？！？」
ユッカの不満そうな声が洞窟いっぱいに響く。
「なんでだよバン！いいじゃんかちょっとくらい！バンだってあの島のしきたり、好きじゃないんだろ？なんでダメなのさ！」
「ならぬものは、ならぬ」
きっぱりとバンが答える。その態度は冷淡で、ちょっとやそっとでは考えを変えてくれなさそうな頑固さを感じた。取り付く島もないバンの様子にユッカが地団駄を踏む。
「やだ！島出るの許してって言ってるの！聞いてってば！」
両手をぶんぶん振り回して駄々をこねるユッカ。バンは穏やかながらも聞く耳を持たず、苛立ったユッカがさらにヒートアップする。何やら言い争いが始まってしまったようだが、とりあえず今ならバンに気付かれずに動けそうだとルッコラは博士たちのもとに忍び足で近寄っていくが、そんな彼のことはすでにお見通しだったのか。
「ルッコラ殿」
唐突に背中から声をかけられた。びくりとルッコラの肩が大きく跳ねる。
やばい、気付かれた。背中にだらだら冷や汗をかきながらブリキ人形のようにぎこちなくルッコラが声のする方を振り返る。声の主はもちろんバンだ。
だが、その語る内容はルッコラが想像していたものとはかけ離れていた。
「何故にいまだ爪を隠さるや。…拙から長の座を奪いしがらみを解くも、其方ならば不可能ではあるまい」
少しの失望が込められた声だった。バンが放った言葉の意味を理解できず、ルッコラが首を傾げる。どうして爪を隠しているのか、お前ならこの状況をどうとでも出来るだろうにと。そんなことを言われても彼に当然心当たりなんてない。
「何を言ってるんだ、あんた？」
ルッコラが困惑したように返す。バンはその答えに何を思ったか、ただ小さく俯いて声帯を低く震わせた。
「……は」
バンが細く息を吐く。その嘲笑からは不思議と深い失望、そしてほんの少しの自棄が感じとれた。
「其方は結局、約束の王にはあらずと」
「…どういう意味だ」
ルッコラの問いかけはユッカの大声にかき消された。

「もういいっ！バンが許してくれないなら、あたしが勝手にやってやるんだから！ルッコラたちと一緒にこの島を出てってやる！意地悪するバンのことなんてもう知らないもん！！」
言ってしまった直後に、ユッカがはっとしたように自分で自分の口を押さえた。さすがに言いすぎたと本人も気付いたようだった。
先程まで好き放題言葉をぶつけた相手を不安そうなまなざしでユッカがおずおずと見上げる。視線の先のバンはそれに何の言葉も打ち返さず、ただ軽く手を振った。
「…ならば」

「コータス、『ふんか』」
バンがそう命じるが早いか、いつの間にかユッカたちの背後に回り込んでいたコータスが背中から赤熱した噴石を吹き出す。瞬く間に埋もれる出口。摂氏数百度を超える火山ガスが背中側で爆発してユッカが思わずすっ転んだ。
「きゃっ！？」
ユッカが頭から転倒し、額を石の床に思いっきり打ちつける。バンはそれに手を差し伸べもせずただ見下ろしていた。
「…あ…ぅ…いたい…」
頭を押さえてゆっくりとユッカが起き上がる。その両目にはあきらかな困惑と動揺が浮かんでいた。
「…ぁ、その…ごめんなさい、ひどいこと言って…」
黙って見下ろしてくるバンを不安そうに見つめ返し、彼女は訳もわからずにとりあえず謝る。
「うそだから、バンのこともう知らないなんて言わないから…そんな怒らないでよお…」
瞳に薄く涙さえ浮かべながらユッカが言いつのる。彼女の表情はもう恐怖でいっぱいだった。
だがバンはそんなユッカの手首をひっ掴み、乱暴に身体を起こして岩壁に押し付けた。
「い…っ！？やだ痛い、やめて…！」
荒っぽく手を掴まれてユッカが痛みにもがく。そんな彼女を冷たく見据えて、バンが低い声で言った。
「…丁度良き頃なり。この際に、其方にも教え遣らん」
普段のバンからは考えられないほど丁寧に、不足なく整えられた言葉だった。
「ユッカ。拙は其方の父にあらずと常より言いしが、其ではいまだ言葉は足らず。拙は其方の父にあらず、其方の仇なり」
ユッカの手首を握る手に込められた力が少しだけ弱まる。それに少しだけ安堵したユッカにバンは静かに問いかけた。
「其方の父母はこの島に流れ着きし異人であったと、いつか教えしを覚えたるや？」
「…それがなに」
ユッカが聞き返す。それに応えて、バンの覆面の隙間から大きな火種が吐き出された。
「ユッカのまことの父母は拙が殺した」
「……え？」

「…はじめに異国の夫婦が南の浜に流れ着き」
舞台の台詞をなぞるような、流暢な語り口だった。
「拙らが彼らを捕らえり。彼らを島に留めおくべく船を壊さんとせば、夫の方がいたく抵抗せり。ゆえに殺し」
バンは淡々と語る。なんの感慨もなく、ただ過去にあった出来事を思い返して叙述するだけだ。
「身重の妻は生き残り、拙に娶（めあわ）され。いいように嬲られ籠の中で飼われつる内に心を病んで崖より飛び降り。母は死に、腹の中の娘一人だけが残された」
そこで初めてユッカとバンの目と目が合った。覆面の外から覗き込んだ彼の目はひたすらに暗く虚ろで、闇色の瞳の底に小さな狂い火がちりちり燃えていた。
「かくて生まれたるが其方…フェーゴ島のユッカなり」

「…うそだ」
震える声でユッカが言った。
「へ、へんなジョーダン言うなよバン…嘘にしたって、いじわるだぞ、そんな…」
壁に押し付けられた手がゆるゆると力なく下がっていく。動揺一色に塗り固められた目でユッカがバンを見上げた。頼むから冗談だと言ってくれと。彼が今ここでそんな下らない嘘をつくわけがないと分かっていながら。
期待は当然にも裏切られた。
「…拙が、一度でも其方に嘘を吐き奉りし事ありしや？」
諭すような落ち着いた声だった。それで、希望はないのだとわかった。
ユッカの目の前がみるみる真っ暗に染まっていく。それをちらりと見下ろしてバンはふと虚空を見上げた。
「外人なりし其方の両親でさえその様。いくら現人神といえど、出てゆく神をこの島は神と認めぬがゆえ」
いやに饒舌にバンは語る。あらかじめ決められた定型文を喋っているようでもあった。
「…この島は何人たりとも出て行くことを許さぬ檻よ。それを、押し通らんとするならば。…拙は島長として其方らを罰さねばならぬ」
コータス、と低い声が相棒ポケモンの名を呼んだ。指示を飛ばすまでもなく、コータスは背中の甲羅をごうごう燃やして熱エネルギーを溜めはじめる。その熱量は人間の体くらい簡単に消し飛ばしてしまえそうだ。
「止まり給え。拙とても…いたずらに苦痛を与えるのは、本意にあらねば」
だが、そこでバンの耳が何かの物音を捉える。彼は振り向きざまにコータスへ『ストーンエッジ』を指示。同じく何かを悟ったらしきコータスが後方へ向けて鋭い岩の礫を突き上げる。
刹那、激しい衝突音。
洞窟の入り口から放たれた『むしのさざめき』に当たって砕けた岩が粉塵と化してばらばら散らばった。
土煙の中から現れたのは…
「ようやく追いついてきやがったな」

「ぷひぃぃいいっぷ！！」
「…ふむ」
土煙の中から現れたのは怒り狂った野生のウルガモス。ルッコラに仔のメラルバを連れ去られて追いかけてきたのが、やっとこの洞窟にたどり着いたのだ。
「このメラルバの親なりや。始めからこれを見越して…」
バンの意識がウルガモスの方へ一瞬逸れたその瞬間、ユッカの足が鋭くバンの手を蹴り上げた。予想していなかった抵抗にバンの手はユッカの手を離れていく。
「＿＿＿っ！！」
ユッカはそのままバンから距離を取り、一目散に祠の方へ駆け出す。
「やった、作戦通りだ！」
まさかこんな完璧なタイミングで来てくれるとは思わなかったけれど、と内心で冷や汗をかきながらルッコラがオトナシたちのもとへ急いで駆け寄る。腕に抱いていた仔メラルバはさっきバンに投げつけた。罪のなすり付けは完了である。
「あんたはそこでウルガモスと遊んでろ、ばーか！」
しばらくの時間稼ぎはできるだろうし、さっさと博士たちの拘束を解いてこの馬鹿げた因習島を脱出しないと。オトナシたちのボールを素早く回収してルッコラは縄をほどき始める。
「ありがとうございますルッコラさん、おかげで助かりました」
「例ならユッカに言ってくれ。あの子があんたらの場所を教えてくれたんだ。…さて、バンは足止めできてるしあとはこの洞窟から出るだけだが、出口は…あっ」
「……ｱｯで、出口、今ドンパチやってるあっちの一個だけですね…」
「洞窟の入り口一個しかないからポケモン誘き寄せたら逃げられないの忘れてた…」
「馬鹿なんですか？」
シンプルなラフランの罵倒が胸を抉る。つらい。

「どどどどうする、一個しかない出口が塞がれてんのにどうやって洞窟から出るんだこれ」
「知りませんよそんなの！」
「お、落ち着いてくださいルッコラ君、幸い手持ちのポケモンが使えるようになりました、これでなんとか切り抜けて…」
そんな風にガヤガヤ騒いでいるルッコラたちの間を縫って、ユッカが祠の檻へと駆けてくる。
「おおユッカ！いきなり悪いんだけどさ、この洞窟ってあっちの出口以外に通路とかあったり＿＿＿＿＿」
だが、ルッコラの喉は途中で引き攣ってしまった。駆けてきたユッカの様子が、それほどまでに異常だった。
「ロコン！！」
かつてない激情のこもった声を出してユッカがボールを投げ、相棒ポケモンの名前を呼ぶ。
「祠のお札を燃やせッ！！全部！！」
ユッカの目にはごうごうと怒りの火が燃えていた。それに触発されるように相棒のロコンもまた、高々と火の粉を噴き上げて札の貼られた檻に吹きかける。奇妙な文字の書かれた札がまたたくまに燃え上がっては灰になり、消し炭が石床にどんどん降り積もってゆく。
「おい！何してるんだユッカ！？」
「まずい、あのお札が剥がれちゃったら…！」
ルッコラの制止も聞く耳持たれるはずもなく。
札の最後の一枚が焼け落ちた瞬間、どす黒い灰の塊がついに祠から解き放たれた。

それはまるで触れるものみな呑み込み焼き尽くす火砕流だ。それでいて、おそろしい寒さをまとってもいた。
このフェーゴ島に『神』として囚われ死んでいった無数の人とポケモンの怨念の塊。彼らの遺灰という形で祠の中に留まっていたそれは今や原型を失って混ざり合い、新たな祟り神として完成していた。
「……っ！？」
はじめに狙われたのは祠のいちばん近くにいたルッコラだった。不定形の灰の塊が彼の口から体内に入り込み、内側から体を焼き焦がされるような激痛が走る。
「ゔ…！？＿＿＿＿っ！＿＿＿＿＿＿っ！？」
声を出すこともできずにもがくルッコラ。そんな彼を見てオトナシが即座に相棒のウオノラゴンへ指示を飛ばす。
「いけません！ウオノラゴン、『エラがみ』！！」
ルッコラの口からはみ出した大きな灰の塊に喰らいつくようにウオノラゴンが水のしたたる牙を掲げれば、おぞましい灰の塊はするりとルッコラの中から離れて別の宿主を探しに行く。
「だっだだ大丈夫ですかルッコラ君！？」
急いでルッコラの様子を診にいくオトナシに激しく咳き込みながら『それ』の去って行った方を眺めるルッコラ。
「げほっ、けほ…ああ、なんとか大丈夫だ…でもあいつ、」
次に取り憑かれたのはユッカたちだった。
怒りに飲まれた彼女たちは、這い寄ってくる怨念の塊を拒まなかった。
「おまえも許せないよな」
『それ』を見据えてユッカが静かに言った。その目には真っ赤な憤怒の火が煌々と燃えている。
それは、灰の山に包まれた祟り神は、物言わず彼女と彼女のロコンを包み込んだ。灰色のヴェールが鮮やかな彼らの衣装を無彩色に閉じ込める。そして生まれた灰のドームがいつしか燃えて消え去ったとき、彼女たちはまだ立っていた。
ユッカの相棒であったロコンはいつの間にか灰の外套をまとった巨大な獣へと変じていた。輝かしい金の毛並みは燃え続ける灰に覆われ、神々しさを宿す肢体は骨片を継ぎ合わせた爪が編み込まれ。
ロコンを宿主として蘇ったフェーゴ島の祟り神は、ユッカの一存に従って目の前の憎い「悪者」に牙を剥く。

これが一つの島の物語でしかないのなんなんだよ

>>43

嘘みたいだろ...これで後まだいってない島六つ+恐らく帰ってくるヴォルケ島+最後の秘密の島で計８つ分あるんだぜ

まず、爪の一振りで邪魔なウルガモスが細切れになった。
バンのコータスと競り合いつつも炎の鱗粉を撒き散らしていたウルガモスは『それ』の爪撃ひとつで羽を引き裂かれ、哀れにも地に落ちていく。
当然バンとコータスも見逃されるはずがなかった。
灰をまとった尾の一撃でどっしり構えていたコータスが簡単に薙ぎ払われる。返す一撃でバンも叩き飛ばされ、力なく床に倒れ込んだ。
「…こいつだけじゃない」
倒れたバンを地獄のような眼差しで見下ろしてユッカが言った。
「悪いのは島のやつら全員だ。誰もバンを止めなかった、それどころか喜んでバンに加担して、外の人を島に閉じ込めるようなやつら…許しておけない。だれも、だれも…」
ユッカが空を見上げる。それに呼応するように、祟り神がひとつ大きく吠えた。
その瞬間、洞窟の天井がなくなった。
いや、正確には祟り神の吐いた火炎で天井が岩盤ごと焼失したのだが、傍目には消えてしまったも同義だった。
遮るもののなくなった空の下、びゅうびゅう吹き荒れる嵐を全身に受けながらユッカは命じる。
「いけ、ロコン…ううん、キュウコン！」
「フェーゴ島の悪党どもをひとり残らずやっつけて！」
燃え盛る怨念の濁流が、山の麓へと流れ始める。

レジェンズZAプレイする用事があるので明日は更新お休みします

色々終わってる状況ですがルッコラの行動>>56あたりまで安価どうぞ

なんとかなれ〜

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>>50>>51>>52>>53>>54>>55>>56

「に」
ひっくり返った声が出た。
「逃げないと」
ルッコラの発言に意を唱える者はいなかった。
あれは無理だ。自分たちではどうにもならない。そう確信するに足るほど、あの祟り神が示した力はあまりに強大すぎた。
ユッカのことが心配でないといえば嘘になる。だが、ここで自分たちが『あれ』に立ち向かったところで焼け石に水だと、そう割り切る冷静さを彼は捨てきれなかった。
「あれは…もう、俺らじゃ止められない。逃げなきゃ。早くこの島を出て、あいつの手が届かない遠くまで…」
「…ルッコラ君…」
オトナシが心苦しそうににユッカたちが下りていった山の麓をじっと見つめる。彼は心底痛ましそうに細く息を吐いて、隣のラフランをちらりと見た。そして迷いを払うように小さくかぶりを振る。
「自分を責めることはありません。ワタクシたちにはワタクシたちで、守らなくてはならない命があります」
港へ行きましょう。
ラフランを呼んで真っ先にオトナシが歩き出した。それに続いて、ルッコラたちは苦々しい顔をしながら風の吹き荒れる山肌を下っていく。

火は荒れ狂う嵐にも消されることなく、すでに村落に燃え広がりつつあった。
ユッカのロコン…今はキュウコンへと進化したようだが…に憑依した祟り神はユッカを乗せて疾風のような速さで侵掠する。通った山道はたちまち燃え上がり、中腹にあった島長の屋敷はすでに跡形もなく消し炭になり。見渡せば多数の島民たちが焼けながら逃げ惑うのが小さく見えた。
ルッコラたちは溶けて赤熱した道をシャリタツとウオノラゴンのみず技で消火しながら先へ進む。その途中で倒れたまま上体だけ起こしたバンともすれ違った。
「…は、はははは……」
バンはなぜか狂ったように笑っていた。檻の覆面は壊れ、火と血液で真っ赤になった口で高らかに哄笑していた。
「嗚呼、よくぞ、よくぞ遣り遂げて…哀れなユッカ、虐げられし子よ…其方の、我々の怒りは終に檻を破り、罪人たちを焼き尽くさん…」
彼が大きく目を見開く。この島ではまず見かけない珍しい色彩の髪と目が狂い火の下からちらりと見えた。
「許せる筈が無かろう…何も、誰も！…彼程の殺生を重ねてまで永らえる事を望んだ人鬼ども！報いを受くる時が、もうそこまで迫って居るぞ…ひ、ははははは…！」
彼の独り言は風に巻かれて誰にも聞かれることはない。
ただ、嵐の闇夜に煌々と燃える街の火だけが彼らの怒りを雄弁に語っていた。

ルッコラたちが麓に辿り着くころにはすでにフェーゴ島の村落は壊滅状態だった。
目につく家々はあらかた焼け落ち、檻に繋がれたまま力尽きているポケモンの亡骸があちこちに転がっている。焦げた路地にキュウコンが残した灰色の足跡が焼け付くように残っていた。
「熱い！熱い！からだ、俺のからだが燃えて＿＿＿＿＿」
「助けて！だれか！まだ死にたくな＿＿＿＿」
逃げ惑う島民たちが、内側から火に焼かれて倒れていく。その横をどうすることもできないルッコラたちは走って通り過ぎていった。
「港は島の北東、あの化け物がいる方向とちょうど逆方向です！あいつが戻ってくる前に船を出しましょう！」
息を切らして三人は走る。火に巻かれ雨にぬかるんだ悪路を軽々と走るラフランにひいこら追従する成人男性ふたり。もっと体力つけときゃ良かったとルッコラは内心で舌打ちする。
しばらく経って、やっと見覚えのある道に出た。島に来てはじめて見た赤い鳥居はもう海の底に沈んでいるようだった。
ふと、ルッコラがちらりと丸禿げになった山頂を見ると、キュウコンの炎で溶かされて露わになった山肌が見えた。土と薄い灰岩層の下から覗く緋色、炎のようなあたたかい光を放つ岩盤に、ルッコラたちは見覚えがあった。
「…あれ、もしかしてフェーゴストーンの結晶じゃ」
病を引き起こす放射線を帯びた、気が遠くなるほど巨大なフェーゴストーンの一枚岩。あの山に埋まっている部分がすべてとも限らない。もしかしたら、はじめからこのフェーゴ島そのものが。
「…道理でどれだけ外の血を取り込んでも島から光石の病をなくせなかったわけです」
「クソ、こんなんばっかだなラウト地方は！」

火は燃える。
止まることなく、憎いものすべて焼き尽くすまで。
「ここはもうぜんぶ燃えちゃったな」
ユッカが言った。
「これで島のわるいやつら、みんなやっつけられたかな？」
灰の襤褸をまとったキュウコンが唸り、後方を振り返って前脚で数度地面を掻いた。
「…？あっちにもまだいるのか？」
「ぐぉん」
キュウコンが低く鳴いた。
「そっか」
ユッカが後方…船着場の方をちらりと見る。確かに、集落から逃げ出した島民たちの背中が遠ざかっていくのがいくつか見えた。
「いこう。父さんと母さんを殺したわるものたちがまだいるんだ」
許すものか。
許すものか。
許すものか。
脳内を怒りの真紅で染め、一匹の神と一人の少女は二人きりの百鬼夜行を再開する。

覆いを外せばずっと地獄が見えていた。
ヒトの肉体が丸木のように焼けてゆく様子。
狂った親兄弟が自らの身体に火をつけ、燃え尽きていくさま。タンパク質と脂の塊が焼ける匂い。
この地獄を自分の手で少しでもマシにすることができるなら。そう思って、島長の任を喜んで引き受けた。
そうして初めて島長として『あれ』に触れたとき、自分が神の遺児なのだと知った。
自分の親もまた外から流れてきた尊い血だった。だから村人たちに囲われ、果てに自分が生まれてきたのだと知った。
許せなかった。
ひたすらに外の血を取り込み、呪われた己の血を薄めようとする彼らの愚かさには嫌気がさしていた。けれど彼らを罰することはできなかった。彼らの苦しみも、光石の病から逃れようと必死になる理由もまた、痛いほどに見ていたから。
みな、ただ不安で堪らなかったのだ。自分が、愛する人々がいつ焼けて死んでしまうともわからぬ恐怖。内側から身を燃やされる苦痛。この島に生まれてしまったが最後、誰もが避けられない地獄。
己だけでも、それが叶わぬならせめて己の子々孫々だけでも地獄から逃れようとするその心を、どうして責められよう？
まして島長の印章によって卑怯にもひとり火炎地獄から救われた自分が、安全圏で見ているだけの自分が、どうして彼らを許さずに居れようか？
本当は何もかも許せなかった。
されど、許さないでいることも自分には許されなかった。
だから自分は火を隠した。
彼らを燃やさんとする怒りの炎を竈の中に閉じ込めて、誰にも見えないように蓋をした。
いつか自分の中にくすぶる火が消え、何も感じなくなることを願って。
…あるいはいっそ自分と同じ怒りを持つ誰かが。竈がついに壊されて裡の炎が燃え上がり、何もかもを燃やし尽くさんことを。

でも正直島全体がフェーゴストーンでできた人間ぶっ殺しゾーンなら、仮にバンやユッカの代でなにもなくてもいずれこうなったんじゃないかって思うんだ

この百鬼キュウコンに石の力は全く関係ないっていう罠
成り立ちがゴーストタイプなんだよね

>>101スレ的にはぜんぜんOKです

ネタバレNGな未プレイ民がいたらまた考えます

燃える集落を駆け抜け、沈んだ鳥居を飛び越えてついにルッコラたちは港へ辿り着く。港には何人か恐慌状態の島民たちがたむろしているのが見えた。おそらく命からがら逃げてきたのだろう、彼らの多くは着の身着のままだ。

だが問題はそこではない。

オトナシの研究船が停泊した船着き場に集まる島民、彼らの血走った目、息巻いている炎タイプの相棒ポケモンたちとたっぷり用意された油壺。

「あいつらまさか船を壊そうとしてる！？」

思わずルッコラが叫ぶと、島民たちがぐるりと首をこちらに向けた。

「あいつらが来たぞ！」

「急げ、急げ！船を燃やせ！逃げられてしまう前に！！」

「貴重な外の血だ、絶対に逃すな！」

やいやい騒ぐ島民たち。明らかに話が通じない様子の彼らにラフランは心底呆れたように大きな溜息を吐く。

「島の状況わかってます！？絶対今そんなこと言ってる場合じゃないでしょう…！」

ところが悲しいかな、パニックに陥ったフェーゴ島の島民たちに彼女の声が届く気配はない。彼らは血走った目でポケモンを繰り出し、ルッコラたちが船に辿り着くのを阻止しようとしてくる。同時に油壺を研究船へ次々と投げ火をつけ始める島のポケモンたち。早く止めなければ船を失うのは明白だ。

「……時間がありません。いきましょうウオノラゴン」

オトナシがウオノラゴンの入ったボールを投げて後方のルッコラたちに目配せ。

「ふ、船は！ワタクシが鎮圧します！ルッコラ君たちは港の島民たちの足止めを！」

ひっくり返った声でそう叫ぶや否や彼はウオノラゴンの背に掴まり『たきのぼり』を指示。滝をも遡る勢いで突貫するウオノラゴンは立ちはだかるポケモンたちを弾き飛ばし物凄い水飛沫を撒き散らして船まで一気に走り抜く。

後に残るはなおもルッコラたちを足止めする数人の島民たち、いずれも戦意は失っていない。

「わかってますよね、ルッコラさん」

モンスターボールを強く握りしめ、かすかに震える声で気丈にラフランが言った。

「背中は任せます」

ルッコラたちが任されたのは船出の準備ができるまでの露払い。研究船が壊されてもユッカたちが戻ってきても詰み、時間制限がついた命懸けの撤退戦だ。

泥沼撤退戦開始です

vsモブ島民A

繰り出すポケモンと持ち物安価>>110まで安価どうぞ

《フィールド》

天候:嵐（雨＆エレキフィールド状態）

《てもち》

・ニドラン♀ レベル13　特性どくのトゲ

なきごえ/どくばり/ひっかく/しっぽをふる

・シャリタツ♂ レベル13　特性しれいとう

みずでっぽう/てだすけ/りゅうのはどう/かたくなる

・ヒバニー♂ Lv13 特性リベロ

なきごえ/でんこうせっか/ひのこ/にどげり

《もちもの》

・きのみジュース×1…HP20回復、もちもの可

ダイレクトアタックするなら戦闘ターンに指示してどうぞ

それはそれとして出撃ポケdice1d5=3 (3)

>>106>>107>>108>>109>>110

撤退戦1ターン目

ルッコラの行動>>121まで安価どうぞ

［現在の戦況］

味方のポケモン

・ニドラン♀Lv13 HP41

相手のポケモン

・ヒマナッツLv14 HP36

《技》

・なきごえ…ノーマル/PP40/変化/命中100/攻撃1ランク減少

・どくばり…毒/PP35/物理/威力15/命中100/10%の確率で毒付与

・ひっかく…ノーマル/PP35/物理/威力40/命中100

・しっぽをふる…ノーマル/PP40/変化/命中100/防御1ランク減少

《ひかえ》

・シャリタツ♂ レベル13　特性しれいとう

みずでっぽう/てだすけ/りゅうのはどう/かたくなる

・ヒバニー♂ Lv13 特性リベロ

なきごえ/でんこうせっか/ひのこ/にどげり

《アイテム》

・きのみジュース…HP20回復、もちもの可

《にげる》

「クソ、いけっ！ニドラン！」
「ぢぃぃぃあ！！」
ルッコラはニドランを繰り出す。対する島民がけしかけてきたのはヒマナッツだ。毒タイプのニドランに対して草タイプのヒマナッツは相性有利。うまく相性がいい奴に当たってくれたとルッコラが内心で安堵する。
「なりふり構うな、一気に倒すぞ！あいつの目玉に『ひっかき』からの『どくばり』！！」
「ちゅい！」
ニドランが弾みのついた鞠のように飛び跳ねてヒマナッツに攻撃。対するヒマナッツはこれまた体を固めて体当たりでぶつかってくる模様。二匹のポケモンがぶつかり合い、激しく戦いの火花が散る。
吹き続ける嵐はさらに激しく、灰の混ざった黒い雨が彼らの肌を濡らしている。

後はどくばり撃つだけのゲームになりそうなので自動進行でいいかな？

一旦オートで回してみます

3ターン目

<ニドランの どくばり！

<ヒマナッツの にほんばれ！

行動順:ニドラン>ヒマナッツ

【どくばり】命中判定dice1d100=38 (38) (100以下で命中、5以下で急所・ダメージ1.5倍)

威力判定7+dice1d5=2 (2)

毒付与判定dice1d100=83 (83) (10以下で毒付与)

フィールド天候が「ひでり」状態になりました

空ピカピカやんけ

効果は抜群だ！

ヒマナッツのHP17→8

4ターン目

<ニドランの どくばり！

<ヒマナッツの たいあたり！

行動順:ヒマナッツ>ニドラン

【たいあたり】命中判定dice1d100=48 (48) (100以下で命中、5以下で急所・ダメージ1.5倍)

威力判定4+dice1d2=2 (2)

【どくばり】命中判定dice1d100=34 (34) (100以下で命中、5以下で急所・ダメージ1.5倍)

威力判定7+dice1d5=4 (4)

毒付与判定dice1d100=72 (72) (10以下で毒付与)

ニドランのHP30→24

効果は抜群だ！
ヒマナッツのHP8→0
ヒマナッツは倒れた！

手持ちのポケモンはそれぞれ経験値をもらった！
ニドランはレベル14に上がった！
シャリタツはレベル14に上がった！
ヒバニーはレベル14に上がった！

島民Aとの 勝負に勝った！

ルッコラは 賞金500円 手に入れた！

別の島民が 立ちはだかってきた！

vsモブ島民B

繰り出すポケモン安価>>143までどうぞ

《フィールド》

ひでり（残り3ターン）＆エレキフィールド

《てもち》

・ニドラン♀ レベル13 HP26/43　特性どくのトゲ

なきごえ/どくばり/ひっかく/しっぽをふる

・シャリタツ♂ レベル13　特性しれいとう

みずでっぽう/てだすけ/りゅうのはどう/かたくなる

・ヒバニー♂ Lv13 特性リベロ

なきごえ/でんこうせっか/ひのこ/にどげり

なんか知らんエレズンが混ざってるな

dice1d4=2 (2)

>>140

>>141

>>142

>>143

当たっちゃったよどうすんだこれ

とりあえずエレズンのレベル10+dice1d10=2 (2)

エレズンの所在dice1d4=3 (3)

1.野生（乱入）

2.ラフランの手持ち

3.実は見てないとこでひっそりゲットしてました

4.安価

謎エレズンとゆく撤退戦5ターン目

ルッコラの行動>>152まで安価どうぞ

［現在の戦況］

フィールド…ひでり（あと2ターン）＆エレキフィールド

味方のポケモン

・エレズンLv12 HP35

相手のポケモン

・ブビィLv17 HP47

《技》

・なきごえ…ノーマル/PP20/変化/命中100/攻撃と特攻1ランク減少

・ようかいえき…毒/PP30/特殊/威力40/命中100/10%の確率で特防1ランクダウン

・ほっぺすりすり…電気/PP20/物理/威力20/命中100/まひ付与

・がむしゃら…ノーマル/PP5/物理/命中100/相手のHPを自分のHPと同じになるまで減らす

《ひかえ》

・ニドラン♀ レベル13 HP26/43　特性どくのトゲ

なきごえ/どくばり/ひっかく/しっぽをふる

・シャリタツ♂ レベル13　特性しれいとう

みずでっぽう/てだすけ/りゅうのはどう/かたくなる

・ヒバニー♂ Lv13 特性リベロ

なきごえ/でんこうせっか/ひのこ/にどげり

《アイテム》

・きのみジュース…HP20回復、もちもの可

《にげる》

ルッコラの行動dice1d4=1 (1)

>>149

>>150

>>151

>>152

島民Bの指示:【かえんぐるま】

出す技間違えた
【ひのこ】でいきます

行動順:ブビィ>エレズン

【ひのこ】命中判定dice1d100=28 (28) (100以下で命中、5以下で急所・ダメージ1.5倍)

威力判定26+dice1d7=1 (1)

火傷付与判定dice1d100=89 (89) (10以下で火傷付与)

【ほっぺすりすり】命中判定dice1d100=66 (66) (100以下で命中、5以下で急所・ダメージ1.5倍)

威力判定2+dice1d2=1 (1)

ほのおのからだ判定dice1d100=51 (51) (10以下で火傷)

エレズンのHP35→8

ブビィのHP47→44
ブビィは麻痺になった！

撤退戦6ターン目

ルッコラの行動>>161まで安価どうぞ

［現在の戦況］

フィールド…ひでり（あと1ターン）＆エレキフィールド

味方のポケモン

・エレズンLv12 HP8/35

相手のポケモン

・ブビィLv17 HP44/47 麻痺

《技》

・なきごえ…ノーマル/PP20/変化/命中100/攻撃と特攻1ランク減少

・ようかいえき…毒/PP30/特殊/威力40/命中100/10%の確率で特防1ランクダウン

・ほっぺすりすり…電気/PP20/物理/威力20/命中100/まひ付与

・がむしゃら…ノーマル/PP5/物理/命中100/相手のHPを自分のHPと同じになるまで減らす

《ひかえ》

・ニドラン♀ レベル13 HP26/43　特性どくのトゲ

なきごえ/どくばり/ひっかく/しっぽをふる

・シャリタツ♂ レベル13　特性しれいとう

みずでっぽう/てだすけ/りゅうのはどう/かたくなる

・ヒバニー♂ Lv13 特性リベロ

なきごえ/でんこうせっか/ひのこ/にどげり

《アイテム》

・きのみジュース…HP20回復、もちもの可

《にげる》

ふたたび雨が降り始めた！

撤退戦7ターン目

ルッコラの行動>>168まで安価どうぞ

［現在の戦況］

フィールド…雨＆エレキフィールド

味方のポケモン

・シャリタツLv14 HP47 防御▼

相手のポケモン

・ブビィLv17 HP44/47 麻痺

《技》

・てだすけ…ノーマル/PP20/変化/命中-

・みずでっぽう…水/PP25/特殊/威力40/命中100/

・りゅうのはどう…ドラゴン/PP10/特殊/威力85/命中-

・かたくなる…ノーマル/PP40/変化/命中-/防御1ランク上昇

《ひかえ》

・ニドラン♀ レベル13 HP26/43　特性どくのトゲ

なきごえ/どくばり/ひっかく/しっぽをふる

・ヒバニー♂ Lv13 特性リベロ

なきごえ/でんこうせっか/ひのこ/にどげり

・エレズン♂ Lv12 特性びびり

なきごえ/ほっぺすりすり/なみだめ/がむしゃら

《アイテム》

・きのみジュース…HP20回復、もちもの可

《にげる》

ルッコラの行動:【みずでっぽう】

行動順:シャリタツ>ブビィ

シャリタツの【みずでっぽう】！

効果は抜群だ！

ブビィのHP6→0

ブビィは倒れた！

ルッコラのポケモンはそれぞれ経験値をもらった！

ニドランはレベル16に上がった！

ニドランはみだれひっかきを覚えた！

シャリタツはレベル16に上がった！

ヒバニーはレベル16に上がった！

エレズンはレベル15に上がった！

島民Bとの勝負に勝った！

賞金900円を手に入れた！

「シャリタツ、『みずでっぽう』！」
「スシー！」
シャリタツの放った水流が相手のポケモンを穿つ。
命懸けの撤退戦が始まってから早数十分、島民たちとの戦いにもようやく終わりの兆しが見えてきた。
何人もの島民と連続して戦い、ルッコラのポケモンたちも少しずつ疲労が溜まっている。あまり余裕のある状況ではない。できれば早急に片付けて船まで急ぎたいところだ。
「（…もう戦えそうなポケモンはあいつだけ）」
ルッコラが前方に立っているポケモンをきっと睨みつける。ちょうどラフランの方も片付いたようで、触手を溶解液でベトベトにしたリリーラがよちよち歩いてくるのが見えた。
「二対一でさっさと片付けよう、ラフラン」
「ええ」
元気のかけらと傷薬を後ろ手に構え、ルッコラたちは前方を注視する。
そこにいたのは一匹のアップリューだった。
だが、どうも様子がおかしい。

アップリューの翼はあんなに黒く焦げただれていたものだろうか。
「ぎいぃぃぃあぁぁあう！」
見るからに苦しげな叫び声を上げ、アップリューは口から火の粉を吐きながら身悶えを繰り返す。その息から、羽ばたきから、ゆらゆらと燃える炎が確かに見えた。
「あれ、もしかして光石の病にかかって…？」
ラフランが痛ましげにアップリューを見る。彼のトレーナーらしき島民はルッコラたちを攻撃せずのたうち回ってばかりいるアップリューに焦り、混乱を治すラムの実を与えようとするが。
「何してるアップリュー！？はよ正気に戻れ！もうあいつらを止められるのはわしらだけ…」
だが、そこでアップリューが明確に島民を睨みつけ、大きく空へ飛び上がった。熱い頬袋が爆ぜそうなほど膨らみ、炎の混じった林檎酸が島民へ勢いよく吹きかけられる。
「ぎゃあああっ！？」
正面から灼熱の酸を浴びせられた彼の顔面は見るも無惨にただれ落ち、真っ赤な血と肉と骨が露わになる。そんな主人の惨状さえ気にも留めず、アップリューはさらに高く飛んで四方八方に燃える酸液を吐き散らした。
「ぎっ！ぎぃぃいああぁ！！」
林檎の皮でできた翼は炭化し、高温の炎を宿すようになった体は火の粉と強酸を垂れ流しながらまだ立っている人間たちを無差別に襲う。もちろんルッコラたちも例外ではない。
熱した酸液がたえまなく浴びせかけられ、人もポケモンも見境なく燃え溶けていく。
「熱っ！？あ、あいつやばいぞ！早くなんとかしないと！」
「わかってます！ルッコラさん、ここは協力しましょう。二人ならあのアップリュー相手でも太刀打ちできるかもしれません」

これがほんとの最終戦です

vs炎病アップリュー

繰り出すポケモンと持ち物安価>>194までどうぞ

《フィールド》

天候:嵐（雨＆エレキフィールド状態）

《てもち》

・ニドラン♀ レベル16　特性どくのトゲ←⭐︎進化可能！

なきごえ/どくばり/みだれひっかき/しっぽをふる

・シャリタツ♂ レベル16　特性しれいとう

みずでっぽう/てだすけ/りゅうのはどう/かたくなる

・ヒバニー♂ Lv16 特性リベロ←⭐︎進化可能！

なきごえ/でんこうせっか/ひのこ/にどげり

・エレズン♂ Lv15 特性びびり

ようかいえき/ほっぺすりすり/なみだめ/がむしゃら

《味方のポケモン》

・リリーラLv20 特性きゅうばん

《もちもの》

・きのみジュース×1…HP20回復、もちもの可

「シャリタツ！まだ行けるか！？」
「ス…スシ！」
「私もサポートします！リリーラは攻撃が苦手なのでルッコラさんが全力で殴ってください！」
「りるるりぃ〜」

撤退戦9ターン目

ルッコラの行動>>203まで安価どうぞ

［現在の戦況］

フィールド…雨＆エレキフィールド

味方のポケモン

・シャリタツLv16 HP52

・リリーラLv20 HP62

相手のポケモン

・炎病アップリューLv22 HP104

《技》

・てだすけ…ノーマル/PP20/変化/命中-

・みずでっぽう…水/PP25/特殊/威力40/命中100/

・りゅうのはどう…ドラゴン/PP10/特殊/威力85/命中-

・かたくなる…ノーマル/PP40/変化/命中-/防御1ランク上昇

《ひかえ》

・ニドラン♀ レベル16 特性どくのトゲ

なきごえ/どくばり/みだれひっかき/しっぽをふる

・ヒバニー♂ Lv16 特性リベロ

なきごえ/でんこうせっか/ひのこ/にどげり

・エレズン♂ Lv16 特性びびり

ようかいえき/ほっぺすりすり/なみだめ/がむしゃら

《アイテム》

・きのみジュース…HP20回復、もちもの可

《にげる》

ルッコラの行動:【りゅうのはどう】

ラフランの行動:【あやしいひかり】

炎病アップリューの行動:シャリタツに【りゅうのいぶき】

行動順:アップリュー>シャリタツ>リリーラ

アップリューの命は燃えている！

アップリューの【りゅうのいぶき】！

命中判定dice1d100=41 (41) (100以下で命中、5以下で急所・ダメージ1.5倍)

威力判定56+dice1d14=10 (10)

アップリューの命がすこし削られた！

炎病アップリューのHP104→96

効果は抜群だ！

シャリタツは倒れた！

リリーラの【あやしいひかり】！

命中判定dice1d100=75 (75) （100以下で命中）

アップリューは混乱した！

シャリタツが倒されました

次に出すポケモンを選んでください

次鋒>>211まで安価

《てもち》

・ニドラン♀ レベル16　特性どくのトゲ←⭐︎進化可能！

なきごえ/どくばり/みだれひっかき/しっぽをふる

・ヒバニー♂ Lv16 特性リベロ←⭐︎進化可能！

なきごえ/でんこうせっか/ひのこ/にどげり

・エレズン♂ Lv15 特性びびり

ようかいえき/ほっぺすりすり/なみだめ/がむしゃら

次に出すポケモンdice1d4=3 (3)

>>208

>>209

>>210

>>211

「シャリタツ、『りゅうのはどう』！」
ルッコラの指示に合わせてシャリタツの喉袋にエネルギーが集まり始める。
光石の病でどんな身体変化が起こっているか分からないが、元のアップリューのタイプは草・ドラゴン複合。ドラゴンタイプの技が効果抜群なはずだ。そんな計算のもとルッコラは考えうる中でもっとも想定火力の高い技を繰り出させる。
だが相手の反応の方が速かった。
ぐりんとありえない方向にアップリューの首が伸びて、大きく開いた口から高熱のブレスが放たれる。狙われたのはシャリタツだった。力を溜めていた状態のシャリタツはとっさに避けることもできずに直撃を喰らう。連戦の疲れが溜まった彼には耐えられるはずがなかった。
「ア…アブリズシ…」
「シャリタツ！大丈夫か！？」
喉袋を上にこてんとひっくり返ってシャリタツがノックアウトされる。ルッコラが呼びかけるも、もう返事をする気力もないようだ。これ以上の戦闘継続は無理だろう。短く舌打ちして、ルッコラは次のポケモンを出すべくボールを構える。
「くそっ…頑張れヒバニー！」
「ふぃに！！」
次に繰り出したのはきょう捕まえたばかりのヒバニー。連携にはまだ不安が残るが、なるようになれと思うしかない。ボールから勢いよく飛び出してきたヒバニーは元気よく地面を蹴って目の前の変貌したアップリューを睨みつける。
と、そこでヒバニーの身に変化が起こった。
全身からあふれる光。手足が長く伸び、新しく生えた毛がネックウォーマーのように首元を覆う。病による変貌とは異なる、遺伝子に正しくプログラムされた身体構造の変化。
やがて光が収まったころ、ヒバニー…あらため、ラビフットに進化した彼がそこにいた。
「ヒバニー…いや、ラビフット！進化したのか！」
「ふぁも」
少し低くなった声で鳴き返すラビフット。このタイミングで手持ちが進化するとは、まったくもって運がいい。進化してより頼もしくなった相棒を繰り出してルッコラはいま一度味方を鼓舞する。
「よしっ、行くぞラビフット！二匹であいつを止めるんだ！」

!WARNING!
戦闘ターンが10を超えました

時間が経つごとにアップリューの翼は焦げ落ち、尾は皮がめくれて奇妙な形にねじれてゆく。一見するともう別のポケモンにしか見えない。
「ぐぎぃいい…」
アップリューが頬袋…いつの間にか首を一周するほど膨れ上がっている…を膨らませ、口をすぼませる。ラフランがいち早く気付いてリリーラに防御指示を出した。
「またさっきの酸液が来ます！」
「ラビフット、かわして『にどげり』！」
「もふ！」
ヒバニー時代よりもさらに鋭くなった機動でラビフットが酸液を華麗に回避。そのまま大きく跳躍してアップリューの横っ面に二度蹴りを叩き込む。アップリューが悲痛な声で鳴いて体をぐらつかせた。
「やった！効いてますよルッコラさん、この調子でいきましょう！」
ラフランが嬉しそうにぴょんと飛び跳ねるが、喜んでいるのも束の間。
ふと、後方から地鳴りのような轟音が聞こえた。
「……え？」
嫌な予感がしてルッコラが振り返る。それを最後に彼は言葉を失った。
遠い南西の山の向こう。苛烈な炎を帯びた巨大な黒い灰の塊がこちらへ接近してきている。

「燃えろ！みんな燃えろ！」
巨大なキュウコンの背に乗ってユッカは怒りのままに絶叫する。
「何も知らないあたしたちを捕まえて、死ぬまで閉じ込めたやつら！ひとりも逃すな！みんな懲らしめちゃえ！」
彼女たちの足元で島民たちが虫けらのように倒れていく。それを踏み潰し、怒れる神たちの行進は東を目指して進んでいく。
野を越え、山を越え。炎と灰で町を蹂躙し、最後に島民たちが逃げていった港まで。
しかし、さして遠くもない港を目指してユッカとキュウコンが歩き始めたとき、港に丸く小さな船が見えた。もちろん祟り神のキュウコンはあの見慣れない船のことなど知らない。早く駆け抜けて、あの港もろとも燃やしてやると息巻いている。だが、ユッカは知っていた。あれがルッコラたちの乗ってきた船であることを。
怒りに燃えていた頭が一片の冷静さを取り戻す。
ユッカは灰まみれのキュウコンの背にしがみついて叫んだ。
「待ってキュウコン、あいつらは関係ない！燃やしちゃだめ！」
ユッカが懲らしめたいのはあくまで島の人間だ。ルッコラたちまで巻き込みたいわけじゃない。彼女は大声で何度も叫ぶが、キュウコンはまったく止まる気配を見せなかった。
「まって！やめろってば！行かないで！ルッコラたちまで燃やしちゃったら…！」
そんなの、理不尽に外の者たちを虐げたフェーゴ島のやつらと何が違うというんだ。
ユッカがそう叫ぼうとしたところで、キュウコンの背を見下ろした彼女の目に死にかけの島民たちの姿が映る。
「…けて…たすけてください…おねがいします…」
「見逃してください！私はどうなってもいいから、どうかこの子だけは…！」
下半身が焦げた状態でなおも村へ這っていこうとする者。泣き叫ぶ我が子を抱えて命乞いする母親。数え切れないほどの、ユッカとキュウコンが蹂躙した命たち。
「……あ、」

何が違うというのだろう。
病から逃れたい不安ゆえに暴走した島民たちと、彼らへの怒りがため無差別に島民全てを殺し尽くそうとしている自分たち。
殺してもいい命なんて、本当にあったんだろうか。あいつらなら死んでもいいなんて、一瞬でも考えてしまった自分は、何も変わらないじゃないか。
「やめてキュウコン！！止まってってば！！」
はっと正気を取り戻したように、理性の戻った目でユッカは必死に訴える。だがもはや祟り神と化してしまったキュウコンに言葉での説得など通じない。これがお前の望んでいたことだろうと、灰でできた縄でユッカを背中に縛りつけ、さらに速度を上げて疾走する。
「止まってよ！あたしこんなの望んでない！お願いキュウコン、こんなこともうやめようよ！！」
キュウコンを灰の外套を強く掴んでユッカが泣きじゃくる。キュウコンは速度を落とすことなく走り続ける。
港までの距離はもう一里もない。

どうしてか、ユッカの泣き声が聞こえた気がした。
逃げ道を探しに巡礼道を登ってきた島民たちをひとりひとり殺しながら山を下っていたバンはふと麓の灰の塊を見やる。
この復讐劇はあの娘のためにあるとバンは思っていた。
自分はすでに島の者たちに同情し、外人殺しに加担してしまった罪人だから。罪深い自分自身に復讐をする権利はない。だから自分ひとりだけの怒りであるなら、抑え込んでいるつもりだった。
審判を下すべきなのはユッカだと思っていた。
彼女にはなにひとつ罪を犯させなかった。この罪人ばかりの島でただひとりユッカだけが無辜の、純然たる被害者だった。
だからあの娘に委ねればよいと思った。この島の者たちを赦すか、赦さないか。決める権利はあの娘にあると思った。
そしてユッカは赦さないことを選んだ。島民たちを許さず、皆殺しにしてやることを決めた。だからバンはできる限りそれを助けてやろうと思った。
けれど。
「こんなこともうやめようよ！」
泣き叫ぶユッカの声が、今度ははっきり聞こえた。

自分はまた間違えてしまったようだ。
あの子は…ユッカは復讐を望んでなんていなかった。
あの子は幼かっただけなのだ。一時の怒りをやり過ごし悲しみに耐える方法を知らなかっただけなのだ。だから真実を伝えたあのとき、大きく衝撃を受けたユッカは衝動のままに祟り神を解放し、後戻りできなくなってしまった。
ユッカは火種を持っていなかった。自分が焚き付けた怒りの炎を、あの子はただ素直に受け取ってしまっただけだった。
「……。」
バンの目がゆっくり閉じられる。何か考え込むように、あるいは自分の過ちを認め、飲み下すように。
「ファイアロー」
ボールをひとつ取り出し、投げる。そのままボールから出てきた大柄な鳥ポケモンの脚に掴まれば、ファイアローは翼を広げ、バンを連れて嵐吹く空へと飛び上がった。
目指す先はただひとつ。
「…なれば、拙の火はもとより拙が消すべからん」
それがユッカの選択なら止めるつもりはなかった。そうであることを望んでいた。ユッカが自分の意思でこの島を断罪することを。そして自分の怒りが晴らされることを心のどこかでは願っていた。でも。
そのために、怒りであの子を縛るのは違うだろ。
雨に打たれる炎隼は翼を折り畳んでまっすぐユッカとキュウコンのもとへ降下していく。

選べる行動が戦闘コマンドだけなんて誰も言ってない撤退戦11ターン目

ルッコラの行動>>253まで安価どうぞ

［現在の戦況］

フィールド…雨＆エレキフィールド

味方のポケモン

・ラビフットLv16 HP38/51 かくとうタイプに変化中

・リリーラLv20 HP62

相手のポケモン

・炎病アップリューLv22 HP62/104

《技》

・でんこうせっか…ノーマル/PP30/物理/威力40/命中100/先制攻撃

・ひのこ…炎/PP25/特殊/威力40/命中100/10%の確率でやけど付与

・にどげり…かくとう/PP30/物理/威力30/命中100/2回攻撃

・なきごえ…ノーマル/PP40/変化/命中-/攻撃1ランクダウン

《ひかえ》

・シャリタツ レベル16 ひんし

・ニドラン♀ レベル16 特性どくのトゲ ←⭐︎進化可能！

なきごえ/どくばり/みだれひっかき/しっぽをふる

・エレズン♂ Lv16 特性びびり

ようかいえき/ほっぺすりすり/なみだめ/がむしゃら

《アイテム》

・きのみジュース…HP20回復、もちもの可

《にげる》

「らららららラフラン、あ、あれ…」
「ちょっとルッコラさん今よそ見してる場合じゃ…って、はあっ！？」
ラフランが鬱陶しそうに振り返り、そして絶句する。後方には、もう灰をまとった巨大なキュウコンのシルエットが山の向こうに見えつつあった。おそらく彼らがここに辿り着いてルッコラたちを蹂躙するまであと十分もない。
「やばいじゃないですか！早く片付けないと！」
「あばばばばどうすんだこれどうすんだこれ、逃げなきゃ、でもどこに？船はアップリューが邪魔で行けないし島はどこも居れたもんじゃないし…」
「だから！あのアップリューをどうにかして突破口を開かなきゃいけないんでしょう！しっかりしてください！」
ラフランががくんがくんとルッコラの肩を揺さぶると、ようやく彼は正気に戻ったようだ。ぶるりと首を小さく振ってルッコラはラフランに問いかける。
「…ふう。ごめんラフラン、落ち着いた。それで相談なんだが、ユッカが到着するまでに俺らはあいつを倒せそうか？」
「正直言って厳しいですね。何か作戦でも？」
「ないよそんなもん。だから俺らに残された道はひとつだ。すごく嫌だけど…」
強行突破。あの病で狂ったアップリューをくぐり抜けて、船まで全速力で駆け抜けるのだ。

「地上は酸液まみれで走れたもんじゃない。海に入って、泳いで船まで行こう」
ルッコラの提案にラフランが冷静に疑問点を返す。
「アップリューは飛べますけど、追ってこられたら逃げ切れますか？」
「大丈夫。何となくだけどあいつ燃えてるし、さっきから水を避けてる気がするから、海の中までは追ってこないと思うんだ…たぶん」
「…その言葉、信じますよ」
どのみち時間はいくばくもない。ルッコラもラフランも腹を括って、みっつ数えてポケモンをボールにしまい、同時に海中へ飛び込んだ。
「いきますよ…いち、にの、さん！！」
ざぱん！と荒れ狂う波がふたりの姿を飲み込む。予想通り、アップリューは波に飲まれる危険を冒してまで彼らを追ってはこなかった。
「やりましたねルッコラさん、予想は当たってたみたいです！後はこのまま船まで泳いでいけば…」
「がばべべべごぼぼぼぼぼ」
「…って、なに溺れてるんですか！？泳げないなら先に言ってくださいよ！」
まったくもう！と半ばやけくそ気味にラフランがルッコラの襟をひっ掴み、船まで犬掻きで泳ぎ始める。
海に入って即溺れたルッコラほどではないが、嵐の海はひどく暗くて波も荒く、思うように前へ進めない。人ひとり抱えていたらなおさら速く泳ぐのは困難だ。冷たい海水に体温を奪われながら、それでもラフランは踏ん張って研究船まで泳いでいく。
船まで残り十数メートル。
ラフランの体力が底を尽いて意識が遠のきそうになったころ、彼女より一回り大きな手がラフランの腕を掴み、海中に引き込んだ。オトナシの手だった。
「手を離さないでくださいね！」
ぐい、と急激な推進圧が体にかかる。目の前の暗い海流が一瞬にして通り過ぎ、気付けば二人は船底の機関室まで引き上げられていた。ようやく呼吸ができるようになったルッコラがげほげほと勢いよく咳き込む。
「ふ、船の制圧が終わりました！ｴﾄ、す、すぐに出港します！とりあえず捕まって！」
オトナシが研究船のエンジンをかける。船底のスクリューが回り出し、船はゆっくりと岸から離れていく。

ユッカたちが港に辿り着くまであと半キロメートル足らず。いよいよ目の前に差し迫ってくるルッコラたちの船にユッカが小さく悲鳴を上げ、泣きながらキュウコンにすがりつく。
「ねえ止まってよ！止まってったら…！！」
必死にキュウコンを止めるユッカ。聞く耳をもたないキュウコン。港への距離はどんどん縮まっていく。もう駄目かとユッカが絶望しかけたそのとき。
キュウコンの頭に上空から炎隼が降ってきた。
「ファイアロー、『ブレイブバード』」
時速500キロを超える速さでキュウコンに突撃したファイアローはそのまま頭部に激突。少し遅れてバンも上から降ってくる。彼はユッカの身体をキュウコンの背中から放り投げ、袖から素早くモンスターボールを投げるやいなや現れたポケモンたちに矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「『エアスラッシュ』で怯ませよ！エンニュートは『かなしばり』で行動封じ、コータスは『ふんえん』で打ち上げ、ソウブレイズは隙を見て『はたきおとす』！」
バンの指示通り迅速に動くポケモンたち。
ファイアローが大風を送ってキュウコンを牽制し、反射的に火炎を吐こうとするのをエンニュートが押しとどめる。隙を見せたキュウコンの腹の下にいつの間にか回り込んでいたコータスが高圧力の噴煙を放ち、キュウコンの体が下から無理やり持ち上げられた。
「今ぞ、ソウブレイズ！」
宙に浮かび体勢を崩したキュウコンにソウブレイズが上から『はたきおとす』。霊体を斬る刃は灰でできた祟り神の殻を貫通し、宿主のキュウコンだけを地面に叩きつけた。
倒れ伏すキュウコン。宿主から追い出され、次の依代を探してさまよう祟り神。それを激しく牽制しながら、声の限りに叫ぶ。

ユッカと一緒に飼っていたヤヤコマを逃がしてやったあの日を思い出す。
あの日檻から飛んでいったあのヤヤコマは、家からほど近いところで野生ポケモンに襲われ死んでいた。自分が隠したから、ユッカはそれを知ることはなかった。
きっとこれからユッカが歩む道は耐えがたい苦難の連続だ。生まれ育った島を捨て、ひとりで生きていく術も、後ろ盾もなく、彼女ひとりの力だけで羽ばたかなければいけない。
だとしても。
飛び立った空には苦難しかないのだとしても。
願わずにいられなかった。かつて自分が竈から放たれた火を夢見たように、自由に飛ぶ鳥を夢見たあの子の願いがどこかに届くように。
「走れえええぇっ！！！」
喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。
ユッカが信じられないといった目でこちらを見ていた。バンはそれに苦笑しつつ、よろよろと起き上がった彼女のキュウコンに目配せする。祟り神の出ていったキュウコンの目からはもう狂気の光は消えていた。
キュウコンはユッカを背に乗せて走り出した。フェーゴ島の港へ、飛び立つ彼女を送り出すため。
ユッカの背中がどんどん小さくなっていく。
それをちらりと横目で見届け、バンは前方の祟り神をしっかりと見据えた。
キュウコンの体から叩き出されたとはいえ『神』の怨念はいまだ消えず、燃やすべき怨敵を求めて無差別にのたうち回っている。
一度ついてしまった火は簡単に消えることはない。だが、それはこちらも同じこと。
「コータス、『からをやぶる』」
立ち向かう覚悟を固めたのなら、燃え上がった意志の火が簡単に潰えることはない。

船がやっと動き出したころ、ルッコラとラフランはずぶ濡れのまま甲板に出て追手を警戒していた。とはいえ、戦い続けて満身創痍の彼らにできることも少ないが。この今や敵だらけとなったフェーゴ島を完全に離れるまで油断はできない。
山向こうから迫ってきていた灰の祟り神はいつの間にか追ってくるのをやめていた。どうしてかは分からないが都合がいいことだ。今のうち、船を出して島から離れてしまおう。
疲労でかすむ目を擦りながら周りを警戒するルッコラたちだったが、そんな彼らの目に島の方から誰かが走ってくるのが見えた。
「あれは……ユッカか？」
キュウコンの背に乗ってユッカがこちらへ走ってきていた。だが、彼女からも彼女のキュウコンからも、先ほどのような焼けつく殺気は感じない。
「ルッコラ！！」
彼女はただ手を伸ばしていた。必死に小さな手を伸ばして、島から離れ自由に旅立つルッコラたちに叫んでいた。
「あたしも旅に連れてって！！」

伸ばされたその手にルッコラはほんの少しだけ逡巡した。けれど、彼は手を伸ばし返した。
「掴まれ！！」
嵐に消されてしまわないように、力の限り叫ぶ。彼の声は確かにユッカに届いた。
彼女を乗せたキュウコンは岸の大岩を足場にして大きく跳躍。動き出した船とどんどん離れていく距離をひとっ飛びに跳び越して、海へ。
キュウコンの脚力だけでは船には届かない。でも、それでも構いやしない。
背中で大きく弾みをつけてキュウコンは自分の主人を前方へ放り上げた。小さい体が宙を舞い、紺碧の空に煤まみれの袖がたなびく。
伸ばされたその手を、ルッコラは確かに掴み取った。

「へへ」
キュウコンをボールに戻し、ユッカが晴れ晴れと笑う。
「いっぺん、こんな風に空を飛んでみたかったんだ」
彼女の身体はルッコラと繋いだ手だけで支えられている。すでに船は猛スピードで進み始めていた。ふらふらと風に揺られるユッカの身はまるで今にも落ちそうな木の葉だ。それでもこの手は絶対に話すまいと。ルッコラの手はしっかと彼女の手を握りしめている。
「ありがとな、ルッコラ。あたしを連れ出してくれて」
「…別に。感謝するようなことでもないだろ」
ルッコラが照れ隠しに言うと、ユッカはちょっと首をかしげて、それから小さくはにかみ笑いをする。
「うん。たしかに『ありがとう』はちょっと違うな」
ユッカはひとつ息を吸って、ルッコラの目をはっきりと見た。その目にきらきらと星をまたたかせ、彼女は口を開く。
「ルッコラ、これからよろし＿＿＿＿」
そして、

彼女は、

……

小さな身体が弾け、嵐の海に飛び散った。
あっという間のことだった。
ユッカの頭が爆ぜた向こう、よくよく目を凝らしてみると離れゆく岸辺に口から細く煙を吐くポケモンの姿があった。その後ろから、ユッカを撃たせたのであろう人間がぎらぎらと憎しみのこもった目でこちらを見ていた。
彼女はまたたくまに波打つ海面に飲み込まれた。
何も残らなかった。
「……。」
ルッコラはただ茫然とそれを眺めていた。眺めることしかできなかった。

ふらふらと覚束ない足取りでルッコラたちが甲板から下りてくる。船室に残っていたオトナシは彼らに何も聞かなかった。おそらく、彼も甲板で起こったことは何となく察していたのだろう。
「…船はもう外海に出ました。波も安定してきましたので、もう船室に戻っても大丈夫ですよ」
遠慮がちにオトナシが言う。彼の言葉に小さく頷いてルッコラは自分の部屋に戻っていこうとする。
「…そうさせてもらう。さっきから調子が悪くて、肺の奥が焦げつきそうに熱いんだ…げほ、けほっ」
と、そこでルッコラが咳き込んだ。大丈夫だろうか。心配したラフランがルッコラの顔を覗き込む。
「風邪ですか？冷たい海で体を冷やしちゃったんでしょうか、薬を飲んだ方が…」
「いやいいよ。そんなたいした症状でもないし」
「そう言って悪化してからが大変なんですよ！お父さんからも何か言ってやって！」
「ｴｯｱｯえっと…そ、そうですね。ワタクシの方で診察して、念のためレントゲンも撮っておきましょう。ただの風邪ならいいですがこれまでの色々で内臓に損傷が起きている可能性もありますから」
「オトナシ博士まで…」
大の大人相手に何をそこまで心配するんだと呆れ顔のルッコラ。診察室の前で踏みとどまる彼の足を、いつのまにかボールから出ていたニドランが角でどついた。
「ぢぃい」
「いてっ！？」
ふんす、と鼻を鳴らして、いいからはよ行きなさいとばかりにルッコラの足を角で押すニドラン。ルッコラは戸惑いながらのろのろと遅い歩みで診察室に吸い込まれていった。

十数分が経ってレントゲンの結果が出た。
病床に腰掛けてホットココアを飲んでいたルッコラのもとにレントゲン写真を持ったオトナシがやってくる。彼の態度は何もなかったと伝えに来るには挙動不審な気もするが、いかんせん普段からこんな調子なのでよく分からない。
「あああああのですねルッコラ君」
「っす、どうしたんすか」
あ、これダメかもしれない。オトナシとは短い付き合いだが段々と彼の話し方の癖もわかってきた。この口ごもりようはダメなときのやつだ。
オトナシは多くは語らず、現像したレントゲン写真を見せてきた。ルッコラの胸部を映し出した写真にぽつんと、肺の奥の方に白いしこりのようなものが映っている。
「…えーと、なんすかこれ」
若干嫌な予感がしながらルッコラが訊く。
「ｱﾉ、ｿﾉ、これは…ﾊｲ…フェーゴストーンの結晶です。まだ小さいですが…」
フェーゴ島の光石の病は体を内側から蝕む。光にさらされた者はいつか体が火に包まれて死ぬと、島にいた長くない時間で嫌と言うほど見せられてきた。
ということは。
「い、いつから肺に結晶が入り込んで、被曝量がどれほどかも詳しくは分かりませんが…体の内側から光石の放射線に晒された場合の発症リスクは単に被曝するより遥かに高いとみていいでしょう…ｴﾄ、つまり…」
オトナシは何だかごにょごにょとくっちゃべっているが、つまるところは。
「るるるるルッコラ君」
「……はい」
ルッコラが若干諦め気味に返す。
「治療の巡礼、もう一回やり直しです」
すう、とルッコラは天井を見上げた。彼の顔は穏やかそのもの。涅槃に至ったのではないかと思わせる凪いだ目を彼は静かに閉じて、そして。
「…またかよおおおおおおおおおおおお！！！！！！！」
頭を抱えてルッコラは天高く咆哮した。
さもありなん。

×ちょっと過酷な→◯過酷すぎるポケモン世界
フェーゴ島編おわりです
おつかれさまでした

篠突く雨の中、灰の山に沈むバンのもとにおもちゃの王冠をかぶった金髪の子供が歩み寄る。
バンは五体投地で倒れていた。珍しい色彩の目は焼けて白く濁り、足は片方が変な方に曲がっている。ぐしゃぐしゃになった背中から骨のようなものが突き出しているのが見えた。
長くないことは誰の目にも明らかだった。
「ユッカは…無事に、逃げられしや？」
バンが訊いた。子供は…エッダは彼の濁った目をしっかりと見て返した。
「うむ。かの者はすでに島を発った。…今頃、いさんで航海に漕ぎ出していることであろう」
エッダの返事を聞いて、バンの体から力が抜ける。
「…然り…か…」
それが最後の言葉だった。バンはそのまま目を閉じて、ぴくりとも動かなくなった。
エッダは彼のかたわらに座り込む。帯にかけられた印籠をまさぐれば、中にはフェーゴの島長の証である印章が入っていた。エッダは印章を取り出し、噛み締めるように自分の胸元に抱え込む。
「小さきフェーゴの島長、ラウトの奸臣の末裔よ」
「…なんて愚かな！」
エッダの嘆きは誰も聞くことなく嵐の中に溶けてゆく。

次の島に行く前に口直しのミニ番外編やります

番外編の内容安価>>315あたりまでどうぞ

なんか…前々から思ってたけどルッコラって人の死に対してだいぶ反応が薄くない？
いやまあ長年ロケット団にいたわけだからそりゃ少しは冷淡なところもあると思うけどさ…

>>316

こんなんでも元は犯罪上等の対人間組織ロケット団の一員だから…

後人が死んで即重大発表があるせいで悲しむ暇がないのもある

番外編dice1d6=6 (6)

>>309

>>311

>>312

>>313

>>314

>>315

番外編書いてる間に次の島の設定決めます

二番目の巡礼地の島名安価>>327までどうぞ

島の苛酷度dice1d100=95 (95)

苛酷さの方向性dice1d100=32 (32) （低いほど自然の脅威に近い、高いほど因習や人怖ディストピアの方向性）

ジムリーダー的存在の統一タイプdice1d15=1 (1)

1.ゴースト2.じめん3.ひこう4.どく5.むし6.でんき7.いわ8.くさ9.あく10.こおり11.ノーマル12.かくとう13.はがね14.エスパー15.フェアリー

フェーゴ島編が重かったから次は軽めのノリで行ける島が作りたいと思ったら過酷すぎるのが出てきちゃったヨマワリ島

島メイキングします

ヨマワリ島の気候・風土・民俗について>>338あたりまで安価どうぞ

厄ネタについては別途安価取ります

特に矛盾ないし全採用で

・常に霧と雨に包まれた湿っぽい島
・住民は生きてるか死んでるか分からない長命
・娯楽が盛ん
・地底湖がたくさん、一際でかい地底湖（洞窟）から時々ポケモンが襲ってくる
・大昔の戦場で島は墓地だらけ
・夜は百鬼夜行が大通りを練り歩く
・百鬼夜行の回避はじめ島の規則を無視すると祟られる
・周期的にポケモン同士で大戦争する
・島民は↑をアトラクション感覚で楽しんでる

ミニ番外編


「…そういえば」
自分の指を哺乳瓶みたいにちゃむちゃむ舐めている小さなポケモンを見下ろし、ルッコラがふと首を傾げる。
「このエレズンってどこで捕まえたんだっけな」
いつの間にか手持ちに入っていた幼いエレズン。どこかで捕まえた覚えも人から貰った覚えもないのだが、あの撤退戦の時ぐらいだったか、知らないうちにボールの中に入っていた。
「なあニドラン、こいつどこでボールに入ってたのか覚えてるか？」
「ちゅっちっ？」
ニドランは興味なさそうにポケモンフーズを齧っている。「知らんがな」といった風情である。自分の来歴もたいして気にしていなさそうなニドランだ、当然といえば当然だが。
「まあ戦力が増えるのはありがたいし、連れていくけどさ」
幸い手持ちの上限は6枠、エレズンを入れてもまだ2枠は余裕がある。エレズン自体も進化すればかなり強力なポケモンになるし連れておいて悪いことは…
……ん？
彼はふと自分の思考に違和感を覚えた。
たしかに法制上、一度に連れて歩けるポケモンの上限は6体まで。だが一般に、それをいちいち覚えて遵守しているトレーナーなどいない。理由は単純で、そもそもプロでもない普通のトレーナーの力量では種類の違うポケモンを6体も育てられないからだ。そしてロケット団にいた彼のトレーナーとしての実力はせいぜい下の上くらい。ポケモンを6体連れ歩くなんて上澄みのプロトレーナーみたいな芸当、普通なら考えることもないどころか、今手持ちにいる4体だけでもいっぱいいっぱいだと思うのが順当だろうに。
いつから自分はこんな考え方をするようになったんだ？
そもそもラウト地方に来てからの自分はどこかおかしい。
苦手だったポケモンバトルを進んでするようになったし、あきらかに逃げ癖が減ったし、ときどき自分でも説明のつかないような変な行動をとるし。まるで自分の体を動かしているのが自分でないような…
と、そこで大人しくルッコラの指を食んでいたエレズンがぐずり出して、彼は慌ててエレズンをあやし始める。
「ぐすっ…ずぇ、うええええ…！！」
「うわわっ、泣くなよエレズン！どした？腹減ったか？いまミルク温めてやるから…」
「びええええええ！！」
結局エレズンが泣き止むまで彼は小一時間格闘することになり、さきほどまで考えていたことは頭の片隅へ吹っ飛んでいってしまった。

島の設定ができたのでお待ちかねのキャラメイク

以下のテンプレートに沿ってヨマワリ島の島長キャラ安価
〆切は明日の昼12:00、キャラシは一人2枚までとします

【名前】
【相棒ポケモン（ゴーストタイプ推奨）】
【職業】
【見た目】
【性格】
【バトルスタイル】
【セリフ例】
【備考】


また今回は島長の相棒ポケモンにゴーストタイプでないポケモンを選ぶことを許可します
選んだポケモンはゴーストタイプを追加されたヨマワリ島の新たなリージョンフォームとして登場するのでご了承ください

>>349

許可します

ただし既出の没キャラシを2枚継ぎ合わせただけのはやめてね

島長dice1d19=2 (2)

>>348>>351>>352>>354>>355

>>356>>357>>358>>359>>360

>>361>>362>>363>>364>>365

>>366>>367>>368>>369

一般ネームド作る前に島の厄ネタ設定するのを忘れてたので>>377あたりまで募集します

過酷度95の島の厄ネタってどんなだ？

キャラデザできました
メガシャンデラの作画コストがたっけえ

服に酒のシミを描き忘れました

ゆるして

島の厄ネタdice1d5=5 (5)

>>372>>373>>374>>375>>377

けつばんは扱うの難し過ぎるのでスルーで

まあヨマワリ島だし幽霊くらい出るわな

ヨマワリ島の住民を2人ほど作ります
以下のテンプレートに沿ってヨマワリ島の島民キャラ安価
〆切は明日の昼10:00、キャラシは一人3枚までとします

【名前】
【相棒ポケモン】
【職業】
【見た目】
【性格】
【他キャラとの関係・因縁】
【バトルスタイル】
【セリフ例】
【備考】

3人ほどピックアップします

うち3人目は故人枠（幽霊）で

dice3d24=22 23 21 (66)

>>382>>384>>385>>386>>387

>>389>>390>>390>>391>>393

>>394>>395>>396>>397>>398

>>400>>401>>401>>402>>403

>>404>>405>>406

さすがに3キャラとも同じ作者は他の参加者が不憫だから振り直そう

dice3d24=8 12 24 (44)

よく考えたら24人目のキャラシなんて存在しませんでした

故人枠だけ再ダイスdice1d23=16 (16)

リザルト

島民（生きてる）…カモ、プスケー
島民（死んでる）…イドメ

島民同士の横の繋がりも作っておきます

カモ→プスケーの関係

関係の重さdice1d100=60 (60) (20以下で知らない人)

友好度dice1d100=7 (7)

プスケー→カモの関係

関係の重さdice1d100=24 (24) (20以下で知らない人)

友好度dice1d100=97 (97)

カモ→イドメの関係

関係の重さdice1d100=61 (61) (50以下で知らない人)

友好度dice1d100=78 (78)

プスケー→イドメの関係

関係の重さdice1d100=89 (89) (50以下で知らない人)

友好度dice1d100=99 (99)

あまりにもピンキリすぎる

一方通行で草

カモとプスケーの関係>>417まで

カモ→イドメの関係>>421まで

プスケー→イドメの関係>>425まで安価どうぞ

カモとプスケーの関係dice1d4=3 (3)

>>414>>415>>416>>417

カモ→イドメの関係dice1d4=3 (3)

>>418>>419>>420>>421

プスケー→イドメの関係dice1d3=2 (2)

>>422>>424>>425

生者組キャラデザできました

プスケーちゃんの配色が幼バンさんとほぼ同じなのでバンさんの親はヨマワリ島出身だったかもしれない