- 1二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 20:40:31
- 2二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 20:41:49
- 3二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 20:43:04
- 4二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 20:45:04
- 5二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 20:46:55
前回の話から設定を引き継いでいます
お手数ですが、最初のスレからお読みいただくか、pixivに小説としてまとめてありますので、そちらを御覧ください
最初のシリーズ
「暁の邂逅」/「あんみつ」のシリーズ [pixiv]機動戦士Gundam GQuuuuuuXの二次創作です。 最終回の少し後。 地球の海にいるマチュと、ジオンにいるシャリア・ブルが再び会うまでのお話。www.pixiv.net次のシリーズ
「朔望の軌跡」/「あんみつ」のシリーズ [pixiv]20歳になったマチュとシャリア・ブルが再会して、結ばれるお話。 前シリーズ「暁の邂逅」の続編です。www.pixiv.netダイス判定の臨場感を味わいたい方はスレを、内容だけ一気読みしたい場合はpixivをどうぞ
- 6二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 20:49:19
今まで本編は「連絡が来ない……」をテーマにしていましたが、多分これが最後になりそうです(さすがに同一テーマで続けるのは限界がきました)
タイトルどおり、今回はマチュがメインです
今の時点では、シャリア編があるかどうかは不明です(思いついたら書きます……) - 7二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 20:51:50
本編の前におまけの小話から始めます
久々にダイスを使って展開を決めていきます
多分短いです
内容は、スレPart5の最後で考えてたおまけの追加の話です
支部に追加エピソードとして入れようかと思ってましたが、ダイス用のネタに昇華させました
Part5スレのラストの続きから始まりますので、お読みになる前に前回の話の記憶を呼び起こしていただけると助かります
軽めの、ラブコメ風?の雰囲気、のはず
※今回から、SS内でのシャリア・ブルの呼び方を、シャリアに統一します(最初と、区切りのときだけフルネームにします) - 8二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 21:01:15
シャリマチュの需要、まだありますか…?
<全然需要ありまくりのありまくりです
ありがとうございます!ずっと待ってました!! - 9二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 21:08:13
- 10二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 21:09:19
一応、前回のあらすじ
久々に地球で再会した二人。
新たな戦争の準備のため地球に来たシャリアは、それをマチュに隠していることや、彼女になかなか会えないことに後ろめたさを感じていた。
あまつさえ、MSの師匠と言う立場も揺らぎかけたかと思った時、マチュの心の声をきっかけに、改めて彼女に気持ちを伝えたことで吹っ切れる。
世界情勢が緊迫する中、二人は確かな絆で結ばれていることを再確認した。
ところが、マチュの男女交際経験値のなさから、すれ違いが生じてしまい、シャリアはホテルの部屋を予約したことを未だマチュに言い出せずにいたのだった……。 - 11二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 21:10:26
地球。
ジオンとの定期連絡便が発着する空港から程近い、著名なホテル。
マチュとの海へのドライブの後、シャリア・ブルは、予約をしているホテルのレストランに彼女を連れてきた。
……ホテルの部屋を取ったことは、まだ彼女に言い出せていない。 - 12二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 21:12:17
(折を見て、うまく伝えられれば良いのだが……)
権謀術策渦巻く中で生きてきた彼だが、彼女に対しては可能な限り誠実でありたいと思っている。
あまりうまくいかず、空回りばかりしている気もするが。
さて、ホテルに着いたとき、誰かに会った? dice1d100=20 (20)
ゾロ目で 会った
それ以外 会わなかった
- 13二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 23:55:42
待ってました!!続きたすかる…😭
- 14二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 00:59:42
待ってたです~(隅っこからひょこっ
需要ありますよ~と他の方に引き続き
おぉうスレ立ってる~ってテンション上がりました - 15二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 06:15:19
スレ立て乙です!
また読めて嬉しい…! - 16二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:32:36
- 17二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:34:25
- 18二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:35:41
- 19二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:36:42
続きです。
ホテルには、食事が取れる店が幾つか入っているが、シャリアとマチュが来たのは、ドレスコードがそこまで厳しくなく、カジュアルな雰囲気でも利用できるレストランだった。
急な予約だったので、あまり堅苦しくない方がよいだろうと考えた、シャリアの判断は正しかったようだ。
ここなら気兼ねなく食事と会話を楽しめそうだった。 - 20二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:37:49
窓際の夜景が見える席だったが、天気が再び崩れて、小雨が降りだしている。
シャリアは窓の外をうかがった。
ガラスにポツポツと雨が当たり、外の明かりを滲ませる。
(雨か……)
先の読めない地球の天候と、この先の展開を重ね合わせ、何となく幸先が悪い予感がした。 - 21二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:40:51
二人はコースではなく、お互いそれぞれ食べたいアラカルトを適当に頼んでシェアすることにする。
ところで飲み物はどうしよう?
ここで二人がお酒に強い体質か、チェックします。
マチュ dice1d100=27 (27)
シャリア 補正値30+dice1d100=36 (36)
高いほどお酒に強い。
- 22二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:48:05
マチュ 27
シャリア 36+補正値30=66
マチュは下戸で、ヒゲマンはザルとはいかないまでも普通に強い。 - 23二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 13:28:31
マチュちょっと弱めだな…
- 24二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 16:47:42
「マチュ君、飲み物は何にしますか?」
「せっかくだから何かお酒を頼もうかな」
「そうか、マチュ君ももう飲めるんでしたね」
あまり一緒に食事をとる機会がないので、失念していた。
「そうだよ、いつまでも子ども扱いなんだから」
マチュはちょっとむくれたが、
「では一緒に何か飲みましょうか」
とシャリアから言われて、コロッと機嫌を直した。
「うん!……実はほとんど飲んだことないんだ。お勧めを教えてよ」 - 25二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 16:51:22
シャリアは飲み物のメニューを確認する。
ワインだけリストが別となっていて種類が豊富だが、マチュがあまりお酒を飲みつけていないとなると、ボトルは避けた方がよさそうだ。
グラスでも色々と用意があるので、その中から選ぶことにする。
同じワインでもデザートワインはどうだろう。
甘口なので飲みやすく、食前酒としても楽しめる。
マチュに確認すると
「飲んだことないけど、美味しそう!」
とのことだったので、自分の分のワインと一緒に注文した。 - 26二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 16:59:49
飲み物が運ばれてきた。
二人は乾杯して、さっそくグラスに口をつける。
「わー、美味しい!これ好きかも!」
甘くて口当たりがよいので、マチュはすっかり気に入ったようだ。
「よかった。……飲み過ぎには注意してくださいね?」
シャリアは釘を刺す。
いくら飲みやすくても、今回頼んだデザートワインは、普通のワインと度数はさほど変わらない。 - 27二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:51:14
シャリアとマチュを語るスレで、このスレを紹介してくださった方、ありがとうございます!
毎回載せていただいて、感謝です
あちらのレス消費するのは申し訳ないので、ここでお礼させてください - 28二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:53:38
では、続きです。
飲み物に続いて料理も運ばれてきた。
盛り付けも凝っていて、どれも美味しい。マチュは料理が来るたびにせっせと写真を撮る。
さて、食事中どんな話をしよう? dice1d2=2 (2)
1 料理のこと
2 遊びに行くこと
- 29二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:58:39
「ねえねえ、明日からどこに遊びに行こうか?」
マチュはワクワクしながら聞く。
「そうですね……」
2年半ほど前に地球に来たとき、シャリアは休日の過ごし方を色々調べたのだが、その情報はエグザベにあげてしまった。
また調べ直す必要がありそうだ。 - 30二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 22:06:28
「マチュ君は、何か希望はないんですか?」
「うーん、そうだなー……」
どんな風に過ごしたい? dice1d2=2 (2)
1 特別な、非日常なことをしたい
2 近場で、二人でのんびり過ごしたい
- 31二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 01:07:14
どっちに転んでもいい選択肢だ…!マチュはウキウキでかわいいしヒゲマンはマチュのために色々考えて行動してるのがすごくいい…ほっこりする
- 32二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 01:54:46
雨も悪い面ばかりじゃないさ…
仮に予感が当たっても、緑にとっては恵みの雨だ
おや、これもダイス神の思し召しかな…?(興味津々と頭上に書いてあるw - 33二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 07:19:16
(一緒にいられる時間が限られてるから、近場で二人でのんびり過ごしたいなぁ)
と、マチュは思う。
シャリアが地球にいること事態が非日常なのだ。
(何の気兼ねもなく二人で過ごせることなんて、なかなかないもんね)
マチュの心の声に、シャリアは面映ゆいと同時に、自分の儘ならない立場を思い、申し訳ない気持ちにもなる。 - 34二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 08:26:24
「カフェとかどう?あたしカフェ巡りするの好きなんだよね」
そういえば、昼間待ち合わせたカフェも、マチュの一押しの店だった。
「いいですね」
シャリアも、コーヒーは嫌いではない。
「そうだ、ここからわりと近いところにも、一軒美味しい店があるよ」 - 35二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 08:28:32
「朝早くからやっててモーニングメニューも充実してるんだ。すぐ近くに大きな公園があるから、テイクアウトしてそこで食べることもできるし。外で朝ごはんなんて最高じゃん?」
(朝ごはん……)
彼女の話で、シャリアはふと、以前二人で朝食を食べたときのことを思い出した。
あれは、ジオンの政権奉還の式典の翌朝で、その前の日の夜は。
(……余計なことを連想してしまった……)
朝ごはんなど思わせぶりなことを言われ、動揺しそうになる。
(それでいて、マチュ君には他意がないのだから、全く……)
彼にはそれがはっきりと分かってしまうから、始末が悪い。
こういうとき、彼の能力は逆に足枷になる。
騙し合いの方がまだマシかもしれない。
(なんだか、どんどん身動きがとれなくなっている気がする……!) - 36二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 09:30:36
次の話題は dice1d2=1 (1)
1 カフェの話を続ける
2 話題を変える
- 37二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 15:24:45
無自覚マチュに翻弄されるヒゲマン素晴らしい
- 38二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 19:50:52
シャリアは雑念を振り払うと、とりあえずポーカーフェイスで受け答えする。
「……なるほど、なかなか良さそうですね。他にもお勧めが?」
「たくさんあるよー。パンケーキが有名なとことか」
マチュはスマホの画面を次々とスライドさせて、目当ての写真を探す。
「あ、あった!これこれ」
画面に表示されていたのは小山のように乗せられた生クリームと、積み重ねられたパンケーキ。回りにはフルーツがどっさり飾られている。
思わずパンケーキが何段重ねかを数えてしまった。
(……10段!?)
しかもそこそこ厚みがある。
「……これで一人前なんですか?」
「二人でシェアもできるよ」
マチュは画面をスライドさせ、次の写真を見せる。パンケーキと一緒にマチュとニャアンが二人で写っている。 - 39二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 19:53:17
(そうか、それなら……いや、それでも一人5枚!?)
シェアという言葉に一瞬納得しかけたが、それでもかなりの量だ。
「食べきれるものなんですか、これは」
「甘いものは別腹だよ!アイス屋に一緒に行く話したけど、ここも美味しいんだよ。どう?」
アイス屋とは、ショッピングモールで写真を見せてもらった、トッピングてんこ盛りの特大アイスパフェの店のことだろう。
確かに行くと言った覚えがある。しかも自分から誘った。
シャリアは頷いた。自分の言葉には責任を持たなければ。
致死量の甘いものを摂取するかもしれない覚悟を決める。
「……とりあえず、体調と日程を調整してからでもよいですか?」
「そんな準備いる!?」 - 40二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 19:56:34
「それにしても、よく写真に残ってますね」
食べたものを記録に残す習慣がないシャリアは、マチュがたくさんの写真をスマホに残しているを不思議に思う。
「時間が経つと忘れちゃうじゃん」
そう言いながらマチュはスマホを見せた。
「こうやって残しとけば、後から見返した時にその時のこと思い出せるから。一緒に写真見ながら、美味しかったねって話せるし」
「……確かに」
「では、さっき撮っていたここの料理の写真、後で私にも送ってください。私も見返して思い出しますから」
「分かった!」
シャリアの言葉にマチュは嬉しそうに頷いた。
二人共有の思い出をもっともっと増やしたい。 - 41二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 20:38:56
シャリマチュ…おでかけデートして二人の思い出作りまくってくれ…
- 42二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 21:27:42
食事は概ね、つつがなく進んでいる。
マチュはふと、窓の外に目をやった。
何が気になった? dice1d2=1 (1)
1 雨のこと
2 外の景色
- 43二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 01:04:21
好きな相手の価値観に染まっていく感じが良い!!こういうのめちゃくちゃ好きだ…
- 44二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:15:45
(けっこう降ってるな……)
マチュの心の声に、シャリアもつられて窓の外に目を向けた。
「気になりますか?」
「うん。珍しいな、この時期にこんなに降るなんて滅多にないんだけど」
地球と違って、スペースコロニーの天候は全て管理されている。
太陽光の変化がないから、自然な気候変化も起こらない。人工的に季節を作り出しているコロニーもあるが、いずれにせよ予定以外の気候になることはない。
シャリアには、マチュの感想自体が新鮮に感じた。 - 45二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:17:24
「雨も悪くないけど、続くのは困っちゃう」
続いてマチュの脳裏によぎったのは。
(帰るときも降ってたら、ちょっと面倒だなぁ……)
(!)
これは、この後の話をするチャンスかもしれない。
さりげなく流れを引き寄せようと、シャリアは口を開く。
「……天候が読めないと、予定が立たないですね」 - 46二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:22:33
「一応天気予報はあるんだけどね。あまり当てにならないかな」
マチュはスマホで検索して、天気予報を表示する。予報の信頼度は全て「D」となっていた。
「昔はもっと精度が高かったらしいんだけど、一年戦争以降は……」
そこまで言って口をつぐむ。
ジオンのコロニー落としにより、大量の塵や粉塵が成層圏に巻き上げられて、地球寒冷化を引き起こした。
そのとき起きた自転速度の変化や地軸のずれが、異常気象の一因となっている。
それが、天気予報の精度が下がった主な原因だった。
(これは失言だった)
ジオンの軍人である彼に振る話題ではなかった。
酔いが回ってきたせいだろうか、ついうっかりした。
「ま、予測がつかないところも地球っぽくて、あたしは好きだよ。ところで……」
話題を変えよう。 dice1d2=2 (2)
1 このホテルの話
2 お酒の話
- 47二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:33:48
すみません、続きは18時以降になりそうです
お昼にどなたか保守していただけると助かります
よろしくお願いします - 48二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 11:52:02
マチュ相手だとスマートに事が運ばなくなってしまうのすき…このちょっとした駆け引き感がいい
- 49二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 17:27:41
マチュは視線をさ迷わせ、手元のワイングラスに目を止めた。
「ワインってこんな味のもあるんだね、初めて知った」
グラスを手に取る。とろっとした琥珀色の液体は、もう僅かしか残っていない。 - 50二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 17:29:58
マチュにすぐさま話題を変えられてしまい、シャリアの思惑は宙ぶらりんのまま、計画変更を余儀なくされる。
話題が転じた理由が理由なだけに、元の話を続けるのも気が引けた。
仕方ない、と思い直して、彼はマチュに返答する。
「一般的なワインとは系統が異なりますが、デザートワインも人気ですよ。色々な種類がありますし」 - 51二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 17:32:06
「そっちは普通のワインだよね?美味しい?」
マチュはシャリアのグラスに注がれたルビー色の液体を興味深そうに見つめた。
「そうですね、お酒を飲み慣れていないと苦手に感じるかもしれませんが」
この店のハウスワインを注文したのだが、渋みも酸味もわりと少なめで、食事に合う飲みやすい味だ。
ちなみに、マチュは一杯目だが、シャリアは何杯目? dice1d3=2 (2)
- 52二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:15:18
お礼が遅くなりましたが、お昼の書き込みありがとうございます。
助かります!
ダイスの結果、二杯目というと、マチュがあまり強くなさそうなので、彼女のペースにできるだけ合わせている感じでしょうか。
続きです。
「一口飲んでみますか?」
「いいの?ありがと」
シャリアに勧められたマチュは、ワイングラスに恐る恐る口をつけて、少しだけワインを口にする。
「……おおー、大人の味って感じ」 - 53二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:17:31
マチュからグラスを返してもらいながら、彼はふと、一年戦争の時の、シャアとワインを酌み交わしたときのことを思い出す。
……あの時のワインは、確かに交わした言葉以上の意味をもっていた。
『戦争に勝って、その後は?』
あの時、彼から返ってこなかったその答えを、結局自分が探し求める羽目になった。 - 54二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:20:56
余計な感傷が暗い影となって、まるでワインの澱のように心に沈む。
……ザビ家の亡霊が動き出している今、躊躇ったり迷ったりしている暇はない。
組織結成の交渉の手応えは、今のところ五分五分といったところだ。日和見主義の勢力の、何と多いことか。
アルテイシア擁立の際の伝手を最大限活用して、少しでもこちらに有利なように進めたい。
「どうしたの?」
マチュの声に、はっと我に返った。
二人でいるときに、余計なことを考えてしまった。
「いえ、何でも」
いつの間にかグラスが空になっている。
追加で何か注文しようと店員を呼んだ。 - 55二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:30:41
「えーっと、あたしはね……」
二杯目を頼もうとするマチュを、シャリアは心配そうに見守る。
「もうやめておいた方が……」
「えー、もうちょっと飲みたい」
マチュは、どうみても酒に強そうに見えない。
シャリアはメニューを見て、ノンアルコールカクテルのカテゴリがあるのに気づいた。
(何か良さそうなものを……)
メニューを探すうち、あるノンアルコールカクテルが目に止まる。
クラブラウンジで提供されたウェルカムドリンクと同じものが、このレストランでも飲めるらしい。
「……昼間、マチュ君がクラブラウンジで飲んでいたカクテル、ここでも飲めるようですよ?」
「あっ、あれ美味しかったんだよね。じゃあそれにしようかな」
シャリアは内心胸を撫で下ろしながら、自分の分のワインとノンアルコールカクテルを注文した。 - 56二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:32:45
さて、次の話題は? dice1d2=2 (2)
1 こないだのショッピングモールの話
2 仕事の話
- 57二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 22:09:57
こ、ここで仕事の話ィ!?(※後ろが素で軽くフイタ)
いやあながち間違いとも言い切れん、か…? - 58二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 02:34:34
このさりげなくマチュを助けてる感じ…!大人だぁ…
- 59二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:15:14
今回、シャリアはやや無理をして仕事を調整したため、マチュに連絡することができたのは会う直前だった。
連絡を取ってすぐ、彼女から
「いつでも大丈夫」
という回答があったので、即座に待ち合わせをしたのだが、彼女も普段は仕事があるはずだ。
明日以降もこちらに予定を合わせてくれると言うのだが、少し気になっていた。
仕事に穴を開けさせるようなことがあったら申し訳ない。 - 60二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:16:45
「マチュ君の仕事の方は大丈夫なんですか?」
マチュに改めて確認する。
彼女は頷いた。
「クワトロさんがね、ヒゲマンが地球にいる間はそっちの都合に合わせてお休み取っていいって!」
シャアは、ララァから
「あなたが焚き付けたのですから、少しは協力なさったら?」
と助言されて、
「まあ、奴に恩を売っておくのも悪くない」
と憎まれ口を叩きつつ、マチュに気前よく休みをくれたのだった。
何だかんだで、マチュには甘いのだ。 - 61二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:20:04
「そうでしたか」
シャリアは微笑む。
彼女からシャアの話題が出ても、寛大な気持ちでいることができた。
マチュの「一番弟子」発言のお陰だ。
しばらくは彼女の台詞をリフレインして噛み締めることだろう。
当面の間は、彼女をシャアの元に預けていても気にならなさそうだ。
ちなみに、今回シャリアが休みを確保できたのは何日間? 2×dice1d5=3 (3)
- 62二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 07:34:59
シャリアが休みを取れたのは、2×3=6日間
一方マチュは。
(ヒゲマンが今地球で何してるのか、色々気になるけど……。やっぱり軍事機密だって言って教えてくれないかな)
海で話を聞く前から、薄々察してはいたのだが。
この先、自分ではどうにもならない時勢の流れに巻き込まれていく予感がして、やはり少し不安になる。
改めて、思い切って聞いてみようか dice1d2=2 (2)
1 聞いてみる
2 やめておく
- 63二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 11:56:12
一番弟子☺️そしてシャアさんナイス!!
- 64二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 18:40:15
昼の書き込みありがとうございます
今日はアップできると思ったのに、また規制に巻き込まれてしまいました
続きです。
(……やっぱり聞くのはやめておこう。どう考えても楽しい話にはならなそうだし)
マチュのその気持ちは、そっくりそのままシャリアに伝わる。
彼女の考えているとおり、ほとんど話せることはないし、もし話せたとしても、楽しい食事の場に水を差す、剣呑な内容ばかりだ。
だが、彼女が心配する気持ちも分かる。 - 65二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 18:41:34
「……今すぐに何か起こるというわけではないですから」
マチュにかける言葉を考えあぐねたシャリアは、それだけ伝えるのが精一杯だった。
「今回の我々の任務は、まだコモリ中尉も詳細を知らないのです。秘密にしておいてくださいね」
「そっか。うん、分かった」
(……あ、そうだ。コモリンといえば) - 66二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 18:42:45
コモリの話題が出たことで、マチュは思い出したらしい。
「そうそう、あたしたちのこと、コモリンにはテキトーに言っといたからね。大丈夫だったでしょ?」
マチュが言っているのは、コモリに二人の関係を誤魔化しておいてほしいとお願いしたことについてだろう。
話が予想外の方向に飛び火して、ドキリとする。 - 67二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 20:47:54
因みにコモリは1ミリも誤魔化されていないので、全く大丈夫ではない。
まあ、無理難題だということは初めから分かってはいた。
「……ありがとうございます、助かりました」
とりあえず、マチュには礼を言っておく。
たとえ周知の事実だったとしても、明言は避けるに越したことはないのだ。
それは個人的な理由だけでなく、ジオンの高官ともなると複雑な事情が付きまとうからでもあった。
実際に、フラナガン機関の情報漏えい事件の時は、マチュの身に危険が及びかけた。 - 68二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 20:49:48
面倒な立場だが、それ以外に生きる道があるかというと、自分でも想像がつかない。
結局他の道を選べるような人間ではないのだ、と彼は自嘲する。
……いや、そんなことをぐだぐだ考えている場合ではなかった。
マチュが二人の関係について言及した今こそ、この後のことを話すチャンスなのでは!?
どうする? dice1d2=1 (1)
1 もう少し様子を見る
2 遠回しに話をしてみる
- 69二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 21:25:52
ヒゲマンを予想外の方向で毎回驚かせるマチュはなんぼあってもええですから…
- 70二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 00:41:46
マチュに振り回されるヒゲマンからしかとれない栄養素がある
- 71二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 06:30:29
だが、いざとなるとストレートにものを言うのは思った以上に難しい。
これまでのやり取りで、もう素直に言ってしまった方がいいということは分かっているのだ。
余計なことばかり考えているからうまく行かない。
「今夜は帰したくない」くらいのことが言えればよいのかもしれないが、色々考えすぎて慎重になってしまう。
結局、うまい言葉が見つからず、もう少し様子を見ることを選択してしまった。 - 72二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 06:33:08
(しかし、ニュータイプ同士だというのに、こんなにすれ違うことがあるだろうか……)
自分がはっきり言わないことを棚に上げ、シャリアの思考が迷走し始める。
地上から争いがなくならない訳だ、などと愚にもつかないことを考え、煮え切らないでいるうちに、食事は一段落しそうな雰囲気だ。 - 73二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 06:37:10
小話の方は短い話なので、もう終盤です
続きは規制に巻き込まれなければお昼に、無理だったら18時過ぎに上げます - 74二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 12:06:06
ウェイターが二人の席に近づいてきた。
彼は、グラスに水を注ぎながら、マチュの手元のグラスに気付いて声をかけてくる。
「そのカクテル、気に入っていただけました?クラブラウンジの方でチェックインしたお客様に、ウェルカムドリンクとしても提供させていただいているんですが、とても人気があるんですよ」
「そう、それであたしももう一度飲みたくて……」
言いかけて、マチュはウェイターの言葉に引っかかる。
「チェックイン?」 - 75二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 12:07:20
「ええ。宿泊の方限定で」
ウェイターは如才のない笑みを浮かべる。
彼の言葉で、その場に妙な緊張が走ったが、彼は気付かなかったようだ。
「では、どうぞごゆっくり」
そう言い残して、席を離れていった。 - 76二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 16:25:43
… これは(いつも以上に)この後のやりとりが楽しみだ
ついにやにやしてしまうw - 77二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 18:07:57
(……どういうこと?)
マチュはシャリアに目をやる。
(だって、ヒゲマンはずいぶん前にチェックインしてたし、あたしは泊まってないんだけど)
ウェイターの口振りからして、向こうの勘違いということもなさそうだ。 - 78二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 18:10:15
マチュの視線がシャリアに突き刺さる。
これ以上、黙っておけなさそうだった。
シャリアはとうとう観念する。まさか、こんな形で暴露されるとは。
彼は気まずそうに胸ポケットからカードキーを取り出して、テーブルの上に置いた。
「……すみません、言うのが遅れました」 - 79二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 18:15:02
「え?これ、もしかして部屋の……」
(……あたしの分、別に部屋を取ってくれたってこと?)
マチュはここまで来る途中の会話を色々思い出してみる。
(そっか、それでホテルで食事……そういうことか。わー、全然気付いてなかった!)
考えてみれば、察する機会はあったような気もする。
マチュの頬はみるみるうちに朱に染まった。 - 80二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 18:53:04
シャリマチュって何故か初心初心な雰囲気になる不思議…(そこがめっっっちゃ良い所なんですが)
マチュは初心なのは分かる…そしてマチュの予想外の仕草でシャリアが内心慌てるからそういう雰囲気になるんだろうな〜可愛いか?年の差カップでの栄養素が爆増する…健康に良い - 81二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:32:09
「このままあたしが気付かなかったらどうするつもりだったの?」
「それは……」
シャリアは痛いところを突かれて思わず詰まったが、素直に言うほかない。
「……その時は仕方ないかと。勝手に部屋を取って、伝えていなかったこちらにも非はありますから」
多分彼は気付いていない自分に気を遣って、黙っていてくれたのだろう、とマチュは思い至る。
「すぐ言ってくれて良かったのに」
少しだけ不本意だった。
そういう気の遣い合いは、二人の間ではもう不要なはずだ。
「だって……恋人同士なんでしょ。あたしたち」 - 82二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:33:38
「ああ……そうでした」
マチュに言われて、シャリアは思わずそんな風に返す。
我ながら格好のつかない、間の抜けた返事だ。居たたまれずに、マチュから視線を反らす。
ショッピングモールで自分から言っておきながら、多分「恋人同士」という言葉にマチュ以上に照れている。
彼女との付き合いは、いつも自分が思うようにいかない。
自分の感情と彼女の反応に振り回されっ放しだ。 - 83二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:36:35
彼の耳が赤くなっているのを見て、マチュもつられて心臓の鼓動が早くなる。
(なんか、ほんとに今更すぎるけど……ようやく付き合ってるって実感が沸いてきたかもしれない!)
彼女の中で、未だに夢見心地でふわふわしていた二人の関係が、初めて現実味を帯びた気がした。
テーブルの上のカードキーを手に取って矯めつ眇めつ眺めながら、マチュは動悸が収まるのを待つ。
それから、神妙に審判を待っているシャリアに対し、はにかみながらこう言い渡した。
「……次からはちゃんと言ってよね」
「ええ、分かりました」 - 84二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:37:45
食事はそろそろ終わりに近づいている。
「ねえ、デザート頼んでもいい?」
「どうぞ、好きなものを」
マチュにメニューを渡してやりながら、シャリアは考える。
(全然格好がつかないが……マチュ君が満足してくれているのなら、それで十分か)
雨はまだ、ホテルの窓を濡らし続けているが、もはや天候は気にならなかった。
休暇はもう少し続く。
たまには雨に降り込められる休みもよいものだ。 - 85二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:42:32
ということで、ここで小話はおしまいです
お読みいただき、ありがとうございました
部屋にいった後の続きも、一応ネタとしてはあるのですが、R18部分が……全然上手く書けない……
イチャイチャを書きたい気持ちだけは豊富にあるのに!!!
書けそうだったら支部に上げるときに書き足します - 86二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:50:45
- 87二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:53:19
明日から本編を上げます
こちらはダイスなしです
最初は使うつもりで考え始めたのですが、話の筋が複雑になり過ぎて、訳が分からなくなりそうなので、諦めました
簡潔にするために、思い切って今回はマチュ中心にしてます
そしてシャリア編の方も、チマチマ書き始めました
これから上げるマチュ編と対をなすお話になるはずです - 88二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 22:15:36
小話お疲れ様です!
シャリマチュの初々しい小話ありがとうございます(五体投地)
R18部分もさりげなく楽しみにしてますが、ご自分のペースを大事に書くのがベストですので…
明日の本編も楽しみにお待ちしております! - 89二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 22:53:34
感想と、お心遣いありがとうございます!
恐ろしいことに部屋に行ってもまだ、もだもだが続くんですよ……
何かきっかけがないと、自然には始まらない……どうやったら始まって、どうやって終わるの……
でもイチャイチャはして欲しい……!
- 90二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 23:45:59
…♪(養分摂取中
特務部隊指揮官って肩書は伊達じゃない、ってくらいな人物が部分的に超鈍感な恋人嬢に振り回されまくるという構図と諸々から醸成される物質… 美味♪
思い通りにいかないこともあっていいのさ、全てが計画通りに進まないと困る作戦やってるんじゃないんだから… まぁ、作戦遂行でもフォローして乗り切る御仁にゃかえって慣れない局面かもしれないがw
(なんか。こりゃ部屋にいってもなかなかムーディーかつそちらに転がりそうな方向にいかなさそうやね……って思ってたんですが…やっぱりか! でもそれはそれでここの二人らしい(笑) - 91二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 06:21:07
- 92二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 06:22:23
最初にお断りを……
すみません、今回は死ネタ、曇らせ、キャラ崩壊(これは今更か)ありのため要注意です
本編中で実際に起こることではなく、Ifの話の中だけですが、もしちょっとでも苦手だーって思う方はブラウザバック推奨です
小話との温度差が激しいです……
でも、最後はどうなってもハッピーエンド!なはず - 93二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 06:26:52
[計算実行中……予期せぬエラーが発生]
[処理を中断]
[前提条件の再設定中……]
[再設定完了]
[計算実行中……15%……40%……98%……計算完了]
[処理の最適化中……1/10……4/10……8/10……処理の最適化完了] - 94二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 06:29:28
……マチュは、夢を見ていた。
ここは宇宙だ。
そこかしこに様々な星が見える。中には、いびつな円錐が角のように四方に飛び出している、変わった形の小惑星まである。
マチュは無重力の中を漂っている。
そこかしこで、MS戦が繰り広げられている。
ほとんどのMSはマチュの見覚えがない機体だが、どこかジオンの系譜を感じるものが多い気がする。 - 95二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 06:33:21
遠くで四機のMSが入り乱れて激しく交戦しているのが見える。
指揮官機同士が互いにM.A.V機を連れ、二対二のM.A.V戦をしているのだ。
目で追っていては間に合わない。ニュータイプ同士特有の戦い方だった。
何故自分がここにいるのかもよく分からないまま、マチュは彼らの戦闘に引き寄せられていく。 - 96二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 06:35:40
一旦ここまでです
続きは規制に巻き込まれなければお昼に、無理だったら18時過ぎに上げます - 97二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 12:03:21
書き忘れてました。
小話の出来事からは、数か月経過してる設定です。
続きです。
近づいてみて、気付いた。四機のうちの一機、あれは、エグザベの専用機、ハクジ装備のギャンだ。
機体は以前と比較しチューンナップされているが、その特徴は見紛うことはない。 - 98二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 12:04:28
そして相対する方のMSのうち一機は。
(あれは、ジオングだ……)
実物を見たことはないが、その完成形は映像で知っていた。
フラナガン機関で保管されていたオブジェクトの姿がマチュの脳裏に甦る。
『G-オング』、通称ジオングは、あのオブジェクトを元に設計された巨大MSで、シャリア・ブルの専用機のはずだった。
だが、今マチュが見ている機体は、大まかな形状は同じだが、カラーリングや細部の様相、装備などが異なっている。
遠目からでも明らかに分かる。MSを見たマチュは疑問を抱く。
(どうしてあれが……敵方の機体になってるの!?) - 99二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 12:05:49
ジオングとギャン、それぞれのM.A.V機は、マチュの見覚えがない機体だった。新しく開発されたものだろうか?
ギャンとM.A.Vを組んでいるMSが、こちら方の指揮官機だろう。
(あの機体の動き……見覚えがあるような……) - 100二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 18:44:16
いつの間にかマチュは、四機のMSの射程圏内にまで来ていた。
夢だから、自分に被害が及ぶことはない。
マチュの目前で、交戦は続く。
ジオングには、フラナガン機関の研究結果の集大成が詰め込まれている。
マチュが知っているとおりなら、ニュータイプの能力発動阻害やサイコミュの起動停止などの機能が備わっているはずだった。
ただし、乗っている側にも影響するので、機能をいつ発動するかは、高度な駆引きを必要とする。 - 101二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 18:45:24
マチュはハラハラしながら戦いの行方を見守る。
なんだか嫌な予感がする。この戦闘の結果を知るのが怖い。
ギャンが、ジオングの一瞬の隙をついて反撃に転じた。
が、ジオングのパイロットはそれすら見抜いていたようだ。
瞬間、四機全ての動きが鈍る。
(ジオングが何か仕掛けた……!?)
復活するのが早かったジオングとそのM.A.V機、二機がギャンを挟み撃ちにする。
(危ない!)
次に起こる出来事を、マチュは何故か予測できた。
(!!!)
声は喉の奥に張りついたまま、出なかった。 - 102二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 18:46:26
マチュの想像どおり、ギャンを庇うように、二機の間にギャンのM.A.V機が割って入った。
ジオングの攻撃は止まらない。そのまま、ギャンを庇ったMSが被弾する。
マチュは手で顔を覆った。
機体が爆発し、閃光と共に四散する。金属片が飛び散って、宇宙に漂う。 - 103二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 21:24:24
ジオングの攻撃を避けたギャンが、マチュの方に飛んできた。
ぶつかる、と思ったが、ギャンの機体はマチュの体と重なり、そのまますり抜けていく。
『中佐!』
重なった瞬間、よく知った姿が見え、よく知った声が聞こえた気がした。
『よくも中佐を!』
彼は「中佐」と呼んだ。
まさかと思ったが。
さっき撃墜された機体に乗っていたのは……。
(嘘だ、嘘……) - 104二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 21:25:30
爆破した機体はもはや形をなしておらず、この宇宙空間には、金属片以外何も残っていない。
ギャンが転回して、敵機に向かって無謀に突っ込んでいく。
マチュはただ見送ることしかできない。
止められない、何もかも。
二対一の無謀な交戦が始まる。
目の前の光景がグニャリと歪んで暗転した。
【Dead End】・了
[保有情報を検索中……]
[再計算を実行 ▶はい いいえ] - 105二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 21:26:58
「……はっ!……はぁ、はぁ、はぁ……」
マチュは布団をはね除けて飛び起きた。
「あ……、ゆ、夢……?」
体の震えが止まらない。
「何、今の」
夢にしては、あまりにもリアルだった。
震える手で枕元のスマホに手を伸ばす。メッセージアプリを立ち上げた。
(連絡は……連絡……)
いくつかのアカウントからメッセージが届いていたが、肝心の彼からの連絡は来ていない。 - 106二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 21:28:45
「はー……」
大きく息をついて、スマホを置いた。だんだん覚醒してきて、先ほど見た光景が遠くなっていく。
ここは地球。マチュの住まいの、ベッドの上だ。
ハロがピョンピョンと跳ねて近付いてくる。
「マチュ、ドウシタ、マチュ」
「ハロ……ううん、何でもない」
冷静になって考える。
連絡がそうそう来るわけがない。
今、彼は宇宙にいるはずだ。軍事行動中だから居場所は分からない。 - 107二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 00:19:26
こんな夢見たらめちゃくちゃ不安になるよな…というか夢とも言いきれない…?
- 108二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 00:48:02
現在の、マチュにとっての夢…
夢を介して何かに…割り込みアクセスってよりたまたま繋がった系、かな…?
夢に出てきたMS全般、マチュがほとんど見覚えがない、ってのが気になる
そこまで考えてそこを気にする前にマチュたちの心配しろ、と自分にツッコミました…(遠 - 109二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 06:19:05
「ああー、もう。やな夢見たなぁ」
マチュは独りごちてベッドから降りた。あまり眠った気がしないが、二度寝も憚られた。
落ち着いてくるにつれ、何故あんな夢を見たのか、不思議になってきた。
起きた直後は現実にあったことなのかと錯覚するほどリアルだったが、先ほど夢の中で見た光景は明らかにおかしかった。 - 110二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 06:20:23
あのMSが敵方にあるわけがない。
フラナガン機関が隠し持っていたオブジェクトをジオン共和国が確保して、その後はジオニック社とフラナガン機関が共同で、新しいモビルスーツを開発した。
それがあのMS、シャリアの新しい専用機、ジオングだ。
だから絶対に敵が乗っているわけがない。
ないはず……なのだが。
(でも、もしかしたら可能性はあった、のかも……)
フラナガン機関の一部の研究員が、連邦側に情報を流出して、最終的にはオブジェクトを持ち出し亡命を企てたのは、記憶に新しい。
その計画は事前に自分たちが阻止した。
けれど、もし阻止できていなかったとしたら。
(オブジェクトはもしかしたら敵方に渡っていたのかもしれない……?) - 111二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 06:21:41
「あーもう!」
マチュは頭を両手でぐしゃぐしゃして、不安な考えを追いやろうとする。
(あれはただの夢!……そもそも、あたし以外とM.A.Vは組まないって言ってたじゃん。全然連絡がないし、戦況もよく分からないから不安なんだ。……だからあんな変な夢を見たんだ)
彼が、シャリア・ブルが死ぬ夢を。 - 112二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 06:25:45
一旦ここまでです
続きは規制に巻き込まれなければお昼に上げます
所用のため、夜の更新はちょっと遅くなってしまいそうです
すみませんが、気長にお待ちいただければ…… - 113二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 12:04:55
いつまでも考えていても、仕方ない。
気持ちを切り替えて、朝の支度をすることにした。
マチュはスマホのスケジュールアプリを開き、今日の予定を確認する。
「今日は……。あ、クワトロさんがこっちに来る日か」
支度を終えたマチュは、シャアの仮住まいへ向かった。そこは、今の仕事の事務所を兼ねている。 - 114二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 12:06:21
ジオン共和国が中心となって立ち上げた軍事行動組織『Anti Zabi House Group』、通称『アズィーグ(AZG)』の発足から、数か月が経過した。
既に戦端は開かれ、宇宙での交戦が始まっている。
今のところ、戦況は五分五分といったところのようだ。
組織が発足してしばらくしたころ、シャリアとシャアは改めて今後のことを相談しあった。
その結果、どういう手管を使ったかは不明だが、シャリアの手引きで、シャアは技術者としてアズィークの後方支援組織に潜り込んだ。
(よくやるよ、ヒゲマンもクワトロさんも。何だかんだ言って、二人は気心知れた仲って感じだよな……)
この二人が手を組んだら敵うものはいないんじゃないか、とマチュは思う。 - 115二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 12:07:22
そんなわけで、現在シャアは週に数回、地球に置かれている後方支援組織へ赴いて、何食わぬ顔で働いている。
主にMSのメンテナンスや開発に携わっているらしい。
らしい、というのは、マチュは連れていってもらえないからだ。
(そりゃ、あたしは技術者じゃないから役には立たないけどさ) - 116二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 21:11:55
何らかが演算して並行別世界未来視みたいに夢に見せてる?というかオブジェクトの薔薇からララァが夢見してたに近いかな?
バッドエンド√はこういう夢オチで消化するのが最良(夢オチであれ)(🙏)
後からのハッピーエンドが輝く! - 117二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 21:45:23
一応補足説明
後方支援組織は、アズィーグとはまた別の組織体で、地球上で活動しており、MS開発などにも携わっています
元ネタはZのカラバです
続きです
マチュはシャアの仮住まいに着くと、玄関を開けて中に入った。もはや半分自分の家のようなものだ。
「おはよー、クワトロさん」
既にシャアはデスクの上のノートパソコンに向かってなにやら作業をしていた。顔を上げて、マチュに挨拶を返す。
「お早う。アマテ嬢、今日は随分早いな」
「うん、ちょっとね……。」
夢の話をするのは、何となくためらわれた。
「……そういえば、ジークアクスの改良はどうなったの?」
「大分進んだが、今は少し難航している」
「そうなんだ」 - 118二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 21:46:41
ジークアクスは現在、アズィーグ所有扱いのMSとして、後方支援組織預かりとなっている。
元は民間払い下げ予定という名目で、実質はアルテイシア直属特務部隊の管理下に置いていたものだが、アズィーグ発足後に扱いが変更となった。
後方支援組織下では、現在MSの改良計画を進めているのだが、この計画の中にジークアクスの改修も含まれていた。
ジークアクスも開発されて早数年が経過している。
この世界の技術の発展は日進月歩で、新たな技能や性能がどんどん開発されていく。 - 119二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 21:48:07
ジークアクスの改修を提言したのはシャアだった。
ただ、彼はその作業に直接関わっていない。
シャアに言わせると
「私が関わるとジークアクスの機嫌が悪い」
のだそうだ。
ジークアクスに搭載されたユニットは、シャロンの薔薇と同じように向こう側から来たオブジェクトだ。
マチュはソドンにいた頃に、そうシャリアから教えてもらったことがあった。
こちらの世界のものでないから、理屈が分からないことも多い。
シャアの「機嫌が悪い」という言葉の意味が、マチュにはよく分からなかったが、そういうものなのかと何となく勝手に納得している。 - 120二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 21:49:39
というわけで、直接の作業には関わっていないのだが、計画の総指揮はシャアが取っている。
「エンディミオン・ユニットのエネルギー出力のコントロールがな……。思ったより繊細な調整が必要だ」
言いながら、シャアはノートパソコンに目をやった。どうやら彼は朝からその方法を模索していたらしい。
「エネルギーが出過ぎるってこと?」
「ああ。簡単に言うと、暴走だ。閾値を超えると操縦者の生命にも関わる危険性がある」
マチュは眉をひそめた。それは勘弁してほしい。 - 121二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 21:51:08
「だが、成功すれば大幅な機能拡張が可能だろう」
「ふーん」
「地球での戦闘に備えて、ある程度は整えておかねばな」
「地球で?」
その話は初耳だ。
シャアはマチュの顔を見た。
「……可能性があるかも知れないということだ」
彼は戦況について、あまり教えてくれない。
どんなに質問しても、いつものらりくらりと躱されてしまう。
そのわりに、案外ポロっと大事なことを言ったりする。
(地球で戦闘の可能性があるのか……)
戦闘、という単語に、今朝方見た夢を思い出してしまった。
目が覚めてから時間が経ったので、現実味は大分薄れてきている。
後味の悪い感覚だけが、なかなか消えてくれない。
(あーやだやだ、早く忘れよう)
マチュは頭を振って、夢の記憶を追い出した。 - 122二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 21:52:30
その日の夜。
いつの間にか、マチュはどこかの戦艦の艦橋にいた。
どうやら、また夢を見ているらしい。
艦橋は広く、かなり大きな戦艦のようだ。ソドンよりも立派だな、とマチュは思う。 - 123二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 21:53:55
艦橋には複数の人物がいた。軍服は、ジオンのものに似ているが、少し違うような気もする。
その場にいる皆、誰もマチュを気に留めない。夢ではよくあることだ。
マチュはぼんやりと艦橋の光景を見ていたが、 ふと、窓から外の宇宙を眺めている、一人の人物に目を止めた。
(えっ……?)
「総帥」
そう呼ばれて、彼は声をかけてきた部下の方を振り返る。
(ええぇえぇええ!!!ちょっと待って!)
その顔を見たマチュは仰天した。
(ヒゲマンじゃん!!!) - 124二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 22:25:19
……わぁお(若干棒読みw
ジークアクスの機嫌が悪い、さもありなん(シャアだし(こら)
マチュがピンとこない、そらそ~だ(ジークアクスからすると大切なパイロットだし)
ときての… 今度はどんなだ…?(警戒しつつもわくわく - 125二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 01:36:02
機嫌悪くなるの草 エンディミオンさんの正体って明らかにあの方だもんね…
- 126二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 07:08:03
それは、見紛うことなく、シャリア・ブルその人だった。
身に纏っているのは、緑を基調にしたジオンの軍服に似ているが、デザインがやや異なる。
黒い長いマントの裏地は深い赤。金モールに縁取られたエンブレムは見慣れないものだった。
襟元の記章も、マチュの記憶にある彼の軍服姿とは異なっている。
今より少し老けているように見えた。
「作戦開始まであと二時間です」
どうやら、何らかの軍事作戦が発動する直前である様子だ。
話しかけた部下は、多分作戦士官だろう。
ウェーブがかった金茶色髪のセミロング、翠眼が印象的な美人だった。 - 127二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 07:09:48
彼女はシャリアに寄り添うように立って、話を続ける。
「こちらの動きが相手方に捕捉されたようです。追ってきます」
彼は分かっていたようだ。軽く頷いた。
「状況は?」
「今のところ戦艦が二隻。主力艦は……」
「やはり、彼が来るか」
その表情は、深い憂いを帯びている。
彼とは、誰のことだろう?マチュは疑問におもう。
「私が出ましょう」
「総帥自ら?」
「ええ。彼とは少々因縁がありますので」
作戦士官は、シャリアが出撃することに反対したそうだったが、多分その議論はやり尽くした後なのだろう。
「……もうお止めしませんが。くれぐれも御無理なさらないよう」
それだけ言って、身を翻した。
「では、すぐにMSの準備を!」
作戦士官が指示を出す。艦内の空気が変わり、周辺が慌ただしくなる。
「総員、第二種戦闘配置!」 - 128二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 07:20:39
彼は一人、小さく呟く。
「ザビ家なき後の責任……。以前投げかけられた至上命題の、答え合わせといこうではないですか」
その声は多分、マチュにしか届いていない。
「……エグザベ大尉」 - 129二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 07:23:26
マチュは激しく動揺する。
(えっ、嘘、どういうこと!?ザベとヒゲマンが敵同士で争ってんの?意味分かんないんだけど!)
(嘘だよね?本気で言ってないよね?)
マチュは彼の様子を確かめるが。
彼の、憂いを帯びた中に、少しだけ何かに期待しているような表情を見て、不吉な予感に心がざわついた。
(……止められるものなら止めてみせろってこと?)
これは夢だ。本当に起きていることじゃない。
そう、自分に言い聞かせる。 - 130二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 08:44:03
あ…これ逆襲√入ってるやつだ…
どうしてこうなったかは、何となく察しちゃう… - 131二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 12:05:00
場面が急に飛んだ。
(現実ではこんなこと起きない。やっぱり夢だ)
マチュはその思いを強くする。
今度は宇宙空間だ。
(あれは何?)
歪な形の小惑星が、地球にかなり接近している。もし軌道が少しでもずれたら、大気圏に突入することになるだろう。
小惑星上に人工的な建造物があることに、マチュは気付く。エンジンが点火している様子も見てとれた。
(人工的に動かしてるのか。まさか、あれをわざと地球に衝突させようとしている……?) - 132二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 12:06:08
あんなものを地球に落としたら、大変なことになる。
マチュの心に、また不吉な予感がよぎる。
さきほどの「作戦開始」という言葉が脳裏にこだました。
ザビ家なき後の責任。スペースノイドのための世界の構築。
(それで、地球にあれを落としてアースノイドを排除しようって?そんなバカな……)
彼がそんな選択をするとは思えないのに、何故か胸騒ぎが止まらない。 - 133二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 12:07:17
小惑星の周辺では、激しいMS戦が繰り広げられている。
複数の戦艦が次々とMSを射出し、砲撃を繰り返す。
マチュはもう少し小惑星の方に近付こうとするが、見えない力に阻まれるかのようで、どうしても近づけない。
焦って辺りを見回す。
(二人はどこ?)
この中にシャリアとエグザベが必ずいるはずだ。 - 134二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 17:15:34
いくつかのMSを必死に目で追う。ほとんどのMSが、マチュが見たことのない機体だ。
(もしかして、ザベもギャンには乗っていないのかもしれない)
やがて、小惑星の近くで一際激しくぶつかり合う二機のMSを見つけた。
(多分、あれだ……!)
二機は、ほぼ互角の戦いを繰り広げている。
戦いを見守りながらも、マチュは気が気でない。
やがて、キラキラとした光の断片が宇宙空間に満ちていくのにマチュは気付いた。
最初は戦闘による爆破の光の余波かと思ったが、どうやら違うようだ。 - 135二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 17:17:04
(これはまさか、ゼクノヴァ?)
どうやら、ゼクノヴァが起きているらしい。光の渦が小惑星を取り巻いている。
やがて光は、どんどん広がって地球の周りを帯のように取り巻き始めた。
(ゼクノヴァって、外からだとこんな風に見えるんだ……)
マチュは、キラキラの中に入れない。
閃光も、あの例の音も。自分には何も起こらなかった。
ただ、外から見ているだけだ。
(このままだと……)
不吉な予感が感頭から離れない。 - 136二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 21:05:29
突如、小惑星が割れ始めた。
動力部があった後ろ半分が、ゼクノヴァに飲み込まれていく。
前半分は、慣性の法則のまま動き続けるが、地球に落ちていく軌道には乗らずにすんだようだ。
やがて後ろ半分は完全に消滅した。
そして、さっきまでマチュが目で追っていた、シャリアが乗っていたとおぼしきMSも……。
小惑星に近づき過ぎていたせいか、ゼクノヴァの光に吸い込まれて消えていく。
戦闘で無事だった戦艦やMSは、ゼクノヴァに巻き込まれないよう、引き上げ始めた。
役目を終えた光の渦は、次第に輝きを失い始め、どんどん薄れて散っていく。
後には、大量の小惑星の破片と、MSの残骸が残されるだけだ。 - 137二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 21:06:44
(ああ……)
マチュは一連の事象を、ただ見ていることしかできなかった。
まるで、手の平にとどめておこうとしてもこぼれ落ちていく砂のような、決してせき止められない川の流れのような。
彼女にはどうしようもできない。
マチュの頬を涙が伝う。
それは、小惑星が地球に落ちなかった安堵のせいか、それとも彼がこの世界から消えてしまったせいなのか。
光の渦が消えるまで、マチュはただ、宇宙空間からひたすら地球を眺め続けていた。
【Bitter End】・了
[新たな条件を獲得]
[再計算を実行 ▶はい いいえ] - 138二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 21:09:24
マチュは目を開けた。
朝だ。ベッドの上だった。目尻から涙が一筋落ちていた。
(またか……もう、何なんだ?)
マチュは起き上がる。
全然眠った気がしなかった。
明るい部屋の中にいると、先ほどまで見ていた光景が、段々荒唐無稽に思えてくる。
「ヒゲマンが……総帥とか」
そう呟きながら、夢の中の彼の姿を思い出す。
(しかし、あの格好……)
ジオンの軍服はダサいと常々思っていたのだが。
(あれは……まあ、わりと『あり』だな)
あの服を身に纏う彼を現実で見ることは、そうそうないだろう。
「って、何を考えてるんだ、あたしは」
マチュは自分自身に突っ込みを入れる。
(あれは最早コスプレだって!そういうの興味ないし!) - 139二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 22:43:53
あの総帥服着たらやっぱ髪型オールバックになるんだろうか…
今回はビターエンド√だけど、エンディミオンユニットが色々なんか演算してるっぽいのをマチュが見ちゃってるのか見せてるのか…楽しみ - 140二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 01:51:59
総帥って聞くとやっぱりオールバックが思い浮かぶよね…絶対似合うと思う
- 141二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 03:08:23
似合うだろうな、オールバック
これ、マチュが夢を視ている『現在』か、ほぼ同じだけど一部条件が違う別時間軸からみての『ありうる未来』だったら…分岐条件/違う条件がちょっと洒落になってないやつ、かも…?
順調に夢で消化しておいてくれ~… あと、辛いだろうけど耐えてくれ、マチュ… - 142二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 06:51:13
(それにしても、総帥って……そんなのどっから出てきたんだろう?)
夢に見るくらいだから、何かで見かけて印象に残っていたのではないか。そう考えたが、最近そんな単語を見聞きした覚えはない。
(それに、小惑星を地球に落とすなんて……)
一年戦争時の、ソロモン落としを彷彿させる。マチュはもちろん実際に見たわけではないが、連邦軍が自らの基地を月に落とそうとして、ゼクノヴァの発生により失敗に終わったことは、知識として知っている。 - 143二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 06:52:17
シャリアは小惑星を地球に落とす側に、エグザベは止める側に分かれて争っていたようだが。
昨日は二人が組んでM.A.V戦をしている夢だったというのに。
「もう……ワケわかんない」 - 144二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 06:53:19
(……あとさあ、あのやたら距離が近い女性の部下は何なの!?夢の中とはいえ、ムカつくんだけど!)
不意に思い出していらっとした。
マチュはムカムカしながら枕元のスマホに手を伸ばす。
スマホのポップアップで、地球上で戦闘行為の危険があることを伝えるニュースが表示されていた。
マチュはポップアップを消すと、恒例の連絡有無のチェックをする。
やっぱり、連絡は来ていなかった。
八つ当たりでスマホを放り投げる。
ハロが、ベッドの上に転がったスマホを見て、気の毒そうに跳び跳ねた。 - 145二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 06:58:58
一応補足の説明
逆シャアのネタがいくつか入ってます
美人の部下は、逆シャアに出てきた総帥の愛人兼作戦士官、ナナイ・ミゲルのつもりで書いてます
夢の中では愛人じゃないですが、マチュがイラッとくるくらいは距離が近いです
あと、逆シャアのシャアは作戦行動中は「大佐」って呼ばれてましたが、この夢の中では呼び方を「総帥」に統一してます - 146二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 07:03:20