- 1◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 07:44:24
- 2◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 07:46:02
「フフッ。ラートなんて、地味ねえ。どうせ誰も見てないわよ」
声の主は一人のモブウマ娘。
「地味ですって?」アーモンドアイの負けず嫌いのスイッチが、カチリと入る。
「私が出れば、地味じゃなくなるわ!それに、ガ◯ャピンチャレンジですって? ガチャ◯ンって、あの、無謀な挑戦で有名な……」
「挑戦するの? ふぅん。ま、いいけど。ただ、ラートって回転中にバランス崩すと、ドーナツみたいに転がっていくらしいわよ。あなたでも出来ないことはあるんじゃないの?」
「やってやるわよこのやろう!!! ドーナツですって? 私が転がるなんて、ありえないわ! 誰よりも美しく、優雅に回転して、あの緑のやつに勝ってやるんだから!」 - 3二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 08:13:24
- 4◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 08:26:26
特設グラウンドに設置されたラートの輪。アーモンドアイはやる気に満ちていたが、現実は甘くなかった。
ラッキーライラックが手本を見せるようにラートを回し始めるが、途中でバランスを崩す。
「アイさん、見てや! これがバランス崩したうちの末路や!」
ラッキーライラックはラートに乗ったまま、まるでタイヤのように地面をゴロゴロと転がっていった。
「ララ! 物理法則に負けてるわ!!」
「うぐっ、物理は強いわぁ……。さあ、アイさん、やってみよか!」
アーモンドアイがラートに乗り込み、渾身の力を込めて一回転!
「こんなもの……すぐに乗りこなしてみせるわ!」
ゴロゴロゴロ……!
次の瞬間、アーモンドアイはラートと共に、まるで地面を転がる巨大なタイヤのように、勢いよくコースを外れて芝生を転がっていった。
そのさまは、優雅さの欠片もなく、完璧な「負けず嫌いドーナツ」だった。
「ララー! なんで! なんでこんなタイヤみたいな動きしかできないの!ララー!!」
「アイさん、落ち着いて! 遠心力に抵抗したらあかんで! 体幹、体幹を意識してな!」 - 5◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 08:37:00
そしてチャレンジ当日。ギャラリーが集まる中、ラートの前に立つアーモンドアイは、全身から湯気を立てていた。
「もう転がらないわ。転がってたまるか! 『世界最高のウマ娘は、ドーナツのように転がった』なんて、見出しは絶対に作らせないんだから!」 - 6◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 08:39:45
審判の合図と共に、アーモンドアイのラートが回転を始めた。
最初はゆったりと。しかし徐々にスピードが上がり、彼女の体が輪の中で、まるで一本の芯が入っているかのようにピタリと安定する。
「すごい! 美しいです……! 回転というより、まるで空間が彼女を中心に動いているみたいです!」
実況の解説が興奮気味に叫ぶ。アーモンドアイは、難易度の高い大技を次々と成功させ、最後のポーズを決める!
ピタリ、と静止したラートの上で、アーモンドアイは息を切らしながらも、誇らしげに胸を張った。
「どう! 私に不可能はないわ!」
審判が採点を行う。
「得点は……満点! ただし…!」 - 7◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 08:43:54
「ただし?」
審判はメガネをクイッと上げ、小さな声で付け加えた。
「競技の規定時間を1.5秒オーバー。よって、記録なし、チャレンジ失敗です」
「…………はぁあああああ!?!?」
アーモンドアイの絶叫がグラウンドに響き渡った。
「やってやるわよこのやろう!!! もう一回! もう一回やらせなさい! 次は0.1秒もミスらないんだから!」
(アーモンドアイ、ジェットホバーに挑戦する! に続く) - 8◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 09:01:20
ラートの雪辱を果たすべく、アーモンドアイは次のガ◯ャピンチャレンジ「ジェットホバー」に挑むことになった。
ジェットホバーとは、水上バイクとホースで繋がれたボードに乗り、足元からの水圧で空中を浮遊する新感覚アクティビティである。
「今度こそ、完璧にやり遂げるわ! この前は時間オーバーという、まさかの結果だったけど、今回はタイムじゃない! 浮遊感と優雅さで勝負よ!また協力お願いね!ララ!」 - 9◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 09:09:53
アーモンドアイはそう意気込むが、隣のラッキーライラックは少し心配そうな顔をしている。
「アイさん、ジェットホバーはバランスが命や。それに、高く上がりすぎたら、落ちた時が大変やからな……」
「ララ! 落ちる? この私が? ありえないわ! むしろ、誰よりも高く、空高く舞い上がって、あのガチャピ◯に『参りました』と言わせてやるわ!」 - 10二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 09:22:03
- 11◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 09:40:55
特訓場所は、トレセン学園の人工湖。
ホバーボードのボードを足に装着したアーモンドアイが、水上バイクを操るラッキーライラックに指示を出す。
「ララ! 全速力でお願い! 一気に空まで連れて行ってちょうだい!」
「え、全速力!? 初めてやのにそれはちょっと……!」 - 12◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 13:15:49
ラッキーライラックの制止も聞かず、アーモンドアイはボードの上で身構える。
ラッキーライラックが水上バイクのスロットルを開くと、ジェットホバーの足元から勢いよく水が噴射された。
ゴオォォォォ……! - 13◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 13:17:45
アーモンドアイの体が勢いよく持ち上がる……かと思いきや、ボードが大きく傾き、まるで水面に浮かぶ戦艦のように、轟音と共に大量の水しぶきを上げながら湖面を滑り始めた。
「ララ!なんで!? なんで飛べないの!?ララー!!」
「アイさん! バランスが取れてへんよ! もっと重心を中央にせんと!」
しかし、アーモンドアイは持ち前のパワーで強引に浮き上がろうとする。すると、今度はボードが水面を跳ねる石のように、バウンドしながら何度も宙に浮いては落ちるを繰り返した。
「グッ……! このままだと、『空飛ぶ石ころウマ娘』なんて不名誉なあだ名をつけられちゃうじゃない!」
「大丈夫、アイさん! 初めはみんなそんなもんやから! もっとリラックスして、水と一体になるイメージで!」 - 14◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 13:53:25
そしてチャレンジ当日。湖畔には、アーモンドアイのホバーボードを見守る多くのウマ娘たちが集まっていた。
実況のウマ娘が、興奮気味にマイクを握る。
「さあ、いよいよアーモンドアイ選手の登場です! 彼女は一体、どんな華麗な浮遊を見せてくれるのでしょうか!」
アーモンドアイはボードに立ち、ラッキーライラックにアイコンタクトを送る。
「ララ!今日もお願い!最初はゆっくりでいいわ!」 - 15◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 13:56:15
「アイさん、きばりすぎんといてな……」
ラッキーライラックが慎重に水上バイクのスロットルを開く。足元からの水圧が優しくアーモンドアイの体を持ち上げた。
「……ララ!すごくいいわ!この感じ……!」
アーモンドアイは集中し、これまでの特訓で培ったバランス感覚を最大限に活かす。徐々に高度を上げ、湖面の上空3メートル、5メートル、そしてついに10メートルの高さまで到達した! - 16◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 13:58:01
「おおおおお! 見てください! アーモンドアイ選手、まるで空中に立つ彫像のようだ! なんという優雅さ、そして安定感!」
アーモンドアイは空中を自在に移動し、ターン、そしてバックフリップまで成功させる! ギャラリーからは大きな歓声が上がった。
「どう!?これが私の真の力よ!!」
最高の笑顔で宙に浮かぶアーモンドアイ。しかし、その時だった。
ゴゴゴゴゴ……! - 17◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 14:32:55
突然、湖畔の背後から、不気味なエンジン音が聞こえてきた。振り返ると、巨大な水陸両用戦車のような特殊な乗り物が、地響きを立てながら湖に進入してくる。その乗り物のてっぺんには、見慣れた緑の体が立っていた。
「チャレーーーンジ!」 - 18◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 14:34:15
そう叫びながら、戦車の上で片手を上げるのはガ◯ャピンだった。ガチャ◯ンはホバーボードよりもはるかに巨大な水圧を噴射させ、あっという間にアーモンドアイの頭上を通り過ぎ、空の彼方へと消え去っていった。
「……は? なんなの、あれは……?」
アーモンドアイは余りの出来事に呆然と立ち尽くし、そのままバランスを崩してボードから転落!
ドッボオォォォン!! - 19◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 14:35:29
「アイさん! 大丈夫!?」
ラッキーライラックが水上バイクで慌てて駆け寄る。
湖面から顔を出したアーモンドアイは、全身びしょ濡れになりながら、遠ざかるガチャピ◯の姿を睨みつけた。
「やってやるわよこのやろう!!! あの緑のやつ、私を出し抜くつもり!? 絶対に許さないんだから! 次は宇宙で勝負よ!!もちろん協力お願いね!!ララ!!」
(アーモンドアイ、宇宙遊泳に挑戦する! に続く) - 20二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 14:37:08
アーモンドアイ(杉谷拳士)
- 21二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 14:47:31
こういう跳び箱20段とかもやりそうなタイプのアイちゃん好き
- 22二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 14:49:34
ちなみにガチャピンチャレンジにはこんなものがあるらしい
スポーツ・身体を使ったチャレンジ
• スキー
• スノーボード
• フィギュアスケート
• サーフィン
• ウィンドサーフィン
• ラート (円状の器具を使う体操)
• ダンス
• スキューバーダイビング
• 乗馬
• BMX
• モトクロス・トライアル
• マウンテンボード
• スノースクートクロス
• モーグル (コブ坂スキー)
乗り物・フライト系のチャレンジ
• レーシングカート
• パラグライダー
• ハンググライダー
• グライダー
• ウルトラライトプレーン (超軽量動力機)
• フライボード (足元からの噴射で空中浮遊)
• ウェイクボード
• 水上バイク - 23二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 14:51:49
• 6輪車
• サンドバギー
• カヌー
• ランドヨット
• パラセーリング
• ホバーボード
特殊なチャレンジ
• 宇宙遊泳
• 無重力体験
• ヒマラヤ登山
• 人力飛行機
• やぶさめ
恐ろしいことに、このリストは数あるチャレンジの一部なので、実際にはもっと多くのチャレンジがあるという…
- 24二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 15:04:22
どんなしょうもない内容でも「アイさん逃げるんやね?」とか「アイさんにも出来ないことあるんやねぇ」とか言えば「やってやるわよ!!」ってアイちゃんはすぐなりそうではある…
- 25二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 20:56:55
やだ…ヒダリデウテヤばりにちょろい…
- 26二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 21:00:46
これもうウルトラマンDASHだろ…
- 27◆L5S/GPGgKk25/10/25(土) 23:57:15
ジェットホバーでのまさかの敗北(そしてずぶ濡れ)に、アーモンドアイの闘志は天井知らずに燃え上がっていた。
「宇宙遊泳ですって!?いいわ!地球上の物理法則に邪魔されない場所なら、私の優雅さと強さが存分に発揮できるはずよ!あの緑のあいつの巨大戦車なんて通じないんだから!」
- 28◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 00:00:44
アーモンドアイは、トレセン学園が提携する秘密の宇宙開発施設のシミュレーター室で、特別な訓練ウェアを身にまとっていた。
隣でサポートするのは、不安そうな表情のラッキーライラック。
「アイさん……ホンマに大丈夫なん?宇宙服はええとして、無重力体験って聞いただけで、うちちょっと胃が……」
「ララ!弱気にならないで!これは勝負なのよ!このシミュレーションで完璧な浮遊とポーズを習得して、本番の宇宙では、星々を背景にした私の華麗な演技で、人類史上最高のウマ娘だと証明してやるんだから!」 - 29◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 00:17:01
無重力シミュレーターが作動し、アーモンドアイの体がふわりと浮いた。
「フフッ、これよ、これ!抵抗のない自由な感覚……!」
アーモンドアイは優雅に体を回転させ、準備運動を始める。ところが、慣れない無重力空間で強く足を蹴りすぎたため、彼女の回転は加速する一方。
グルグルグルグル……!
アーモンドアイは制御不能な勢いでシミュレーター室内を回転し始めた。その姿は、まるで宇宙空間に迷い込んだ高速で回るコマのようだ。
「キャアアア!止まらないわ!ララー!目が回る!目がガ◯ャピンになる!ララー!ララー!」 - 30◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 00:20:48
「アイさん!落ち着き!指先で壁を軽く押して!回転止めるんよ!」
ラッキーライラックが必死に叫ぶが、アーモンドアイは高速回転で目が回っており、ラッキーライラックの声も耳に入らない。
「…ッ!こんなところで、遠心力に負けてたまるもんですか!」
アーモンドアイは渾身の力で体を折り曲げ、必死に回転を抑え込もうとするが、効果は薄い。結局、シミュレーターを緊急停止するまで、彼女は約1分間、「負けず嫌い宇宙のコマ」状態を強いられた。 - 31◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 00:37:17
そしてチャレンジ本番当日。
アーモンドアイは、無重力環境を再現した大型エアロダイナミック施設での宇宙遊泳チャレンジに挑んでいた。(※安全のため、実際の宇宙ではなく超高性能施設での挑戦となった。)
アーモンドアイは、特注の宇宙遊泳スーツを身にまとい、ガラス越しに見守るラッキーライラックに力強く頷いた。
「ララ!大丈夫!もう回らないわ!今日は完璧な静止と、誰もが目を奪われる究極の優雅さを見せてやるわ!」 - 32◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 00:39:58
施設内の巨大な送風機が作動し、挑戦空間は完璧な無重力状態になった。
アーモンドアイは、ゆっくりと空中に浮き上がり、これまでの回転地獄の経験を活かし、完璧な静止を披露する。
「素晴らしい!アーモンドアイ選手!まさに無重力下のモナ・リザ!」実況が興奮気味に叫ぶ。
アーモンドアイには続けて、優雅に体を反転させ、勝利を確信するポーズを取った。
「どう!?これが世界最高峰ウマ娘のバランスよ!」
その時だった。
ブゥゥゥン…… - 33◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 01:09:13
微かな電子音が聞こえたかと思うと、アーモンドアイの通信機から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「アーモンドアイちゃーん!見て見てー!」
アーモンドアイが音のする方を向くと、そこには小さなロケットブースターを背負い、手に釣り竿を持った◯チャピンが、ガラス越しに手を振っていた。
「あの緑の……またあなた!」
ガチャピ◯は、満面の笑みで釣り竿をアーモンドアイのいる挑戦空間に向けて投げ込んだ。釣り針の先には、キラキラと輝く小さな金のトロフィーがぶら下がっている。
「宇宙遊泳で暇だから、宇宙釣りにチャレンジしてるんだー!」 - 34◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 01:10:29
「なっ……!また私のチャレンジの邪魔をする気!?」
アーモンドアイが怒りに震えていると、ガチャ◯ンのブースターが火を吹き、彼はあっという間に施設の天井近くまで浮上し、トロフィーを引っ張り上げる。
「やったー!宇宙釣り大成功! さーて、次は……」
次の瞬間、ガチャピンが勢いよくブースターを噴射しすぎたため、彼の体は制御を失い、頭を施設上部の排気口に激突!
ドゴオォォォン!! - 35◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 01:12:36
施設の排気口が大破した衝撃で、チャレンジ空間の無重力状態が急激に乱れ、アーモンドアイは再び制御不能の高速回転状態に陥ってしまった!
「はぁあああああ!?!? また回転!? あの緑の!よくも私のチャレンジを台無しに…って止まらないー!ララー!ララー!!」
ガラス越しで見ていたラッキーライラックは、顔面蒼白になりながら、叫んだ。
「アイさん!すぐシミュレーターを緊急停止するさかい!もうちょっときばっときや!」
(アーモンドアイ、スキージャンプに挑戦する! に続く) - 36◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 09:30:40
宇宙遊泳チャレンジは、「原因不明の高速回転事故」として処理された。
しかし、アーモンドアイの中の緑の生物に対する怒りは、もはや宇宙規模に膨れ上がっていた。
「許さない……!私の優雅な宇宙遊泳を、宇宙釣りと排気口クラッシュで台無しにするなんて!あの緑のあいつ、次は絶対に叩き潰してやるんだから!」 - 37◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 09:32:20
アーモンドアイが次に選んだチャレンジは、ウィンタースポーツの王者、スキージャンプだった。
「今回は単純明快よ。必要なのは、スピード、美しいフォーム、そして圧倒的な飛距離! 私の脚力なら、この3つを極めて、あのガ◯ャピンを遥か下に見下ろしてやるわ!」 - 38◆L5S/GPGgKk25/10/26(日) 09:37:37
特設のスキージャンプ台の麓で、アーモンドアイは意気込む。隣のラッキーライラックは、不安と寒さで少し震えていた。
「アイさん、ほんまに大丈夫なん?スキージャンプて、着地の時のバランスがめっちゃ難しいんよ?それに、あのジャンプ台、えらい高ない?」
「ララ!高くなくてどうするのよ!高ければ高いほど、私の勝利の華が際立つわ! ララ!見ていて!私こそが、空を支配するウマ娘よ!」