** ***美しいがゆえに、おぞましい。*** **
*本作に関する注意喚起
**プレイの前にお読みください**(公式サイトより引用)
|このゲームには、**[[性差別]]や[[児童虐待]]、[[いじめ]]、[[薬物]]による幻覚、[[拷問]]、強い暴力表現**が含まれています。|
|本作は**[[1960年代]]**を舞台としているため、当時の世相や慣習に基づいた表現となっており、制作会社や個人の価値観を反映したものではありません。|
|ゲーム中に不快感を感じた場合は、いつでもプレイを中断し、休憩を取るか周りの人に相談してください。|
*概要
|^タイトル|SILENT HILL f(サイレントヒル エフ)|
|^プラットフォーム|[[PlayStation5>プレイステーション5]]・[[Xbox Series X>XboxSeriesX]][[|S>XboxSeriesS]]・PC([[Steam]]・[[EpicGames]]・[[MicrosoftStore]]・[[Gog.com]])|
|^購入形態|パッケージ(PS5)/ ダウンロード(全プラットフォーム)|
|^発売日|2025年9月25日|
|^開発|NeoBards Entertainment(台湾)|
|^ジャンル|サイコロジカルホラー|
|^プレイヤー数|1人|
|^レーティング|CERO:Z(18歳以上)|
『[[SILENT HILL>サイレントヒルシリーズ]]』シリーズ待望の新作タイトル。
舞台は同シリーズでも初となる日本の寒村となっており、シリーズ作品のみに絞れば時系列上で最も古い1960年代に設定されている(第1作『[[サイレントヒル]]』の前日譚にあたる『[[ゼロ>サイレントヒルゼロ]]』でも1976年)。
プロデューサーは[[KONAMI>コナミ]]の岡本基。ストーリーに『[[ひぐらしのなく頃に]]』シリーズで著名な[[竜騎士07]]が参加している。
[[CERO]]はなんと**シリーズ初の「Z」区分(18歳以上対象)**。Steamストアページによると、プレイヤーは**美しき選択か、悍ましき選択かを強いられる**という。
*あらすじ
昭和の古い時代。
とある地方の山間部にある寂れた田舎町、戎ヶ丘に住む高校生**深水雛子(しみず ひなこ)**
彼女の日常は、ぼんやりとした灰色ではあっても、思春期相応の平凡なものだった。
だが、そのいつもの日常は唐突に崩れ去る。
見慣れた町は霧に包まれ**おぞましく変貌していく**。
人の気配は消え、代わって、霧の中に奇怪な**何か**が蠢く。
変貌していく町を探索し、謎を解き、身を守る為に戦い、生き残れ。
向かい合わなければならなかった選択と、向き合う為に。
そして、**殺さなければならない者を、殺す為に**。
彼女が選ぶのは**美しき選択か**。
それとも**おぞましき選択か**。
**美しくも、おぞましい選択の、物語**。
*登場人物
-[[深水雛子]](しみず ひなこ)
演:[[加藤小夏]] / 境葵乃(幼少期)
本作の主人公。
1960年代の世間一般の「女の在り方」と、己の想う「自分の在り方」とのギャップに悩む高校生の少女。幼い頃は「宇宙戦争ごっこ」に興じていただけあって快活だったが、家庭内の雰囲気が思わしくなくなってからは陰鬱な表情を浮かべる事も多い。
突如発生した霧の異変により友人たちとはぐれ、地獄のように禍々しく変貌した戎ヶ丘を彷徨う事になる。
-[[岩井修]](いわい しゅう)
演:[[大崎捺希]]
雛子の幼馴染の男子高校生。
今も昔も変わらず雛子の考えを尊重する数少ない理解者であり、二人でよく遊ぶ「宇宙戦争ごっこ」の延長線で、お互いを「相棒」と呼び合う間柄。
戎ヶ丘で薬師を営む家系に生まれ育ったため、薬剤調合の知識を持つ。ゲーム内に登場する回復アイテム「赤いカプセル」は、慢性的な頭痛に悩む雛子の為に彼が見繕った解熱鎮痛剤である。
-[[西田凛子]](にしだ りんこ)
演:[[飯島優花]]
雛子や修の友人。
戎ヶ丘では珍しい、そこそこ大きな家を構える裕福な家庭の生まれで、中学時代には学級委員を務める才色兼備の優等生タイプ。世話焼きなところがあり、学校で浮きがちな雛子ともそれなりに親しくしている。
修に好意を寄せており、雛子も過去に打ち明けられた事があるという。
-[[五十嵐咲子]](いがらし さくこ)
演:[[滝瀬妃夏]]、声:[[合田絵利]]
雛子や修の友人。
実家は戎ヶ丘に古くからある「千年杉神社」の神職。朗らかだがマイペースな部分があり、雛子曰く何時ぞや貸した500円を未だに返してもらえてないとのこと(そこそこ根に持っているのか、手製の地図中でも彼女の家の印に「500円」と書き加えられている)。
異変が起こった際に最初の犠牲者となってしまう。
-[[深水寛太]](しみず かんた)
演:[[真砂豪]]
雛子の父親。
かつては漁師であったが、信頼する知人に裏切られ莫大な負債を抱えてからは、日中も家で酒を呷るようになり、家族にも罵声を浴びせたり、物を投げつけたりなど、横柄に当たるようになった。
-[[深水君江]](しみず きみえ)
演:[[平岡珠実]]
雛子の母親。
愛情深い穏和な人物だが、癇癪持ちの夫に虐げられながらも粛々と家長たる彼に従う姿を見せ、間近でそうした場面を見てきた雛子にとっては、世間が「女の幸せ」として挙げる結婚や出産への疑心と忌避の要因となっている。
-絹田潤子(きぬた じゅんこ)
声:[[森なな子]]
雛子の姉。
成長するにつれて顕著になっていく男女間の隔たりや、世間と自身の価値観の差異に悩む事が多かった雛子を支える頼れる存在だったが、現在は絹田家へ嫁ぎ、実家を離れている。
-[[狐面の男>狐面の男(サイレントヒルf)]]
演:[[泰江和明]]
戎ヶ丘で意識を手放した雛子が度々迷い込む事になる「闇の社殿」にて彼女を出迎える、狐の面を被った謎の男性。
正体も目的も定かではないが雛子に親身に接し、神聖な領域だという社殿の奥へと彼女を導いて行く。
*[[戎ヶ丘]](えびすがおか)
雛子が住む山間の田舎町。突如として町全体が霧に包まれ、悍ましい異世界へと変貌してしまう。
60年代だけあって家屋は木造、地面も未舗装、草花や野山も身近な存在。セーブは各所に点在する稲荷像を祀った小さな祠の前で記帳するという形をとっている。
地名に含まれる「戎(えびす)」とは、「都から遠く離れた未開の土地の人」を表す言葉であり、一説では源氏に敗れた平家の落ち武者が隠れ里を築いた事が発祥ともされる。その地象・地形と絡めた伝承から古いものを信奉する地域性が定着しており、近代化が進み外界から町医者が招かれているにもかかわらず、特に老齢世代には現代医学よりも岩井家(修の実家)の調合する薬剤治療と稲荷像への祈祷による快復を信じる者も多いなど、外界とはやや閉鎖的でもあるという。
岡本プロデューサーによると、モデルは[[岐阜県]][[下呂市]][[金山町]]の筋骨エリアとの事。特に雛子が異変発生直後に探索するエリアは、コンクリートや石造りの段差に鉄橋が入り組んだ迷路のような造形をしており、モデルとなった地域の特徴がよく落とし込まれている。
シリーズファンの間では「SILENT HILL」の直訳(静かな丘)をもじった「**[[静岡>静岡県]]**」の愛称で親しまれてきただけに、「ようやく日本が舞台になったのに静岡じゃないのか…」と残念がる(?)声も一部で上がった。
ただ、ファミ通のインタビューによると、製作側も**静岡を候補地の一つとして選び、現地視察にまで行っていた**とのこと([[参考>https://www.famitsu.com/article/202507/48170]])。最終的に「霊峰・[[富士山]]のインパクトがあまりにも強過ぎて霧の印象が霞む」と結論付けられ敢え無く候補から外れたようだが、古参ファンの反響(ノリ)に応えようとした姿勢には好感を覚えるところと言えようか。…なお、あまりに静岡静岡言われているせいか、本当に本作の舞台が静岡だと勘違いしてしまっている新規ユーザーがチラホラ見られたりする。
因みに、本作の脚本を担当した竜騎士07の代表作『ひぐらしのなく頃に』の舞台である[[雛見沢]]も岐阜県(大野郡白川村)がモデル。
*[[闇の社殿]](やみのしゃでん)
シリーズにおける裏世界。漆黒の闇に包まれた、迷宮の様な世界。
青い狐火が浮かび、しめ縄がされ護符が無数に貼り付けられた鳥居や、阿吽の狛犬の代わりに配置された狐の像などの建造物が存在する。
この世界の武器は壊れないが、徘徊するバケモノも**[[不死身]]**であり特定の条件を満たさないと倒しても**復活**する。
ある儀式の為に、狐面の男と共に訪れるのだが...。
*戦闘
痩身の少女が間に合わせの武器を手に、異様な街をさまようビジュアルが目を引く本作だが、いざプロモーション用の映像が公開されると、鉄パイプや薙刀をぶん回してバケモノに立ち向かい、互角に渡り合うどころかやたらと機敏なスライド回避まで披露する主人公・雛子のシュールな勇姿に、多くのファンが認識を改める事となった。
従来のシリーズでもお馴染みの銃火器が昭和の寒村で手に入るはずもないため、近接戦闘に特化する形となった今作だが、そのあたりの事情を鑑みても雛子のフィジカルはただのJKとは思えないほどに頼もしく、「見切り反撃」や「渾身の一撃」といった特殊攻撃を繰り出す様はどこか爽快ささえ感じさせるほど。
ファミ通の動画チャンネルに投稿された先行体験プレイ動画では、アクション面について「**骨太な戦い**が楽しめた」「雛子は**予想以上にパワフル**」「(敵に)立ち向かう雛子の姿は**あまりにもたくましかった**」等々、ホラーゲームらしからぬテロップの数々が付けられていた。
セーブポイントにあたる祠では雛子の能力を成長させる事も可能で、各所で取得できる回復アイテムの菓子類をお供えすると得られる「功徳」を消費して、体力・精神力・持久力などの強化にあてられる。また、装備品として様々な効果を持つ「お守り」を身に着ける要素も取り入れられている。
*バケモノ
裏世界に登場するクリーチャーであり、今作ではシリーズ初の[[和名]]表記になっている。
今回も、とある人物のトラウマと苦悩が具現化されているのか、バケモノの多くには「[[女性]]」「[[刃物]]」「[[人形]]」といった共通点が見られる。
キャラクター・クリーチャーデザインはイラストレーターのkeraが担当。
-カシマシ
四肢が[[球体関節]]になっている、全裸の女性の様なバケモノ。
人形特有のぎこちない動きで髪を振り乱しながら、手にした大振りの[[包丁]]で襲い掛かる。
[[2>サイレントヒル2]]に登場する[[マネキン]]に類似している。
-[[アヤカカシ>アヤカカシ(サイレントヒルf)]]
ひび割れた無機質な顔を持つ[[案山子]]の様なバケモノ。
[[セーラー服]]を着た女子高生と[[学ラン]]を着た男子学生の2種類がいる。
カシマシ同様のぎこちない動作で、武器の大振りの[[鎌]](形状は[[ハルパー]]に近い)で攻撃する。
-アラアバレ
無数の花と[[臓物]]が合わさった悍ましいバケモノ。非常に気性が荒く、唾が飛び散る程の咆哮をあげながら襲いかかる。
腹部には大口が開いており、右腕は巨大な包丁の刃と一体化している。触手のような形状の左腕で対象を絡め取って引き寄せる。
とある人物の「癇癪を起こして包丁を振り翳す父親」に対する恐怖心が形になったもの。
-ハライカタシロ
小面の様な能面を被ったカシマシに似たバケモノ。こちらは長い髪がついており、両足が鋭利な刃物になっているという違いがある。
-オイオモイ
スカートを穿いた人形の下半身の上に、無数の[[セルロイド人形>セルロイド]]の頭部と手足が積み重なった様なバケモノ。[[けんけんぱ]]を思わせる動作で移動する。
雛子を見つけると頭部を[[ムカデ]]の様に伸ばして、赤ん坊のような不気味な鳴き声を発しながら精神攻撃を繰り出す。
-カムガラ
手枷や足枷を嵌められ、首元に[[錠前]]を下げた痩身の大男のようなバケモノ。
顔面と胸元が[[ザクロ]]の様に抉れており、中に虫の卵が産み付けられている。
見た目通り顔が無いので目が視えず、聴覚で雛子の位置を把握して襲ってくる。
とある人物の「男性」に対する恐怖心が形になったもの。ある意味**[[1>サイレントヒル]]**に登場する**ロンパー**に似た存在である。
-イロヒヒ
頭部の上半分が欠損している餓鬼のような姿のバケモノ。欠損部分からは赤く発光する植物のようなものが蠢いている。発光が強まると動きも機敏になる。
とある人物の、「女性への執着心が強い男性」に対する恐怖心が形になったもの。掴みかかって舐め回すなど、生理的な嫌悪感を催す攻撃をしてくる。
-嚢胞を無数に背負ったような醜悪なバケモノ(仮称)
顔面が陥没した長い黒髪の女性のバケモノ。
全身が[[妊婦の腹部の様な嚢胞に覆われた>レポティッツァ]]醜悪な姿をしている。
苦悶の叫び声をあげながら悪臭を放つ肉塊を産み落とし、そこから新たなバケモノが生まれる。
とある人物の「出産」に対する恐怖心が形になったもの。
-ひしめく顔だらけのバケモノ(仮称)
肉塊に無数の老若男女の顔がひしめいている醜悪なバケモノ。二足歩行し、足はズボンを履いた男性型と、長いスカートを履いた女性型の2種類が存在する。
口から不快な液体を撒き散らしたり、周囲に雛子を絡め取ろうとする彼岸花を出現させ、安らげる場所を穢して回る。
とある人物の「自分の家庭環境を噂したり陰口を叩く大人達」に対する嫌悪感が形になったもの。
*他媒体
**SILENT HILL f 残置物展
[[東京ゲームショウ]]2025で行われたリアルイベント。制作はARG(Alternate Reality Game:代替現実ゲーム)のクリエイター集団「[[第四境界>https://shop.daiyonkyokai.net/]]」。
10/13まで[[オンライン版>https://www.daiyonkyokai.net/pages/aZ7kQ2vB9xL1pS8mT4Wc/]]を無料プレイできる。公開終了後は有料版を後日発売。
雛子の苦闘の裏側で起きていた事件を追及するというものなのだが、難度は相当高い。
[[体験概要 - note(第四境界)>https://note.com/daiyonkyokai/n/n25e42fb5ff09]]
**小説
2025年10月30日に小説版が発売。
本作をもとにノベライズを担当するのはホラゲ『NG』や『[[深夜廻]]』のノベライズも手がけたホラー作家・[[黒史郎]]。
*余談
雛子が駆使する華麗な回避ステップが一部のファンの間で「[[ヤーナム>bloodborne]]ステップ」の通称で呼ばれるなど、[[未だにヤーナムを彷徨う狩人>狩人(Bloodborne)]]の琴線に触れたらしく、「実はヤーナム生まれ」だの「[[豚>人喰い豚(Bloodborne)]]に食われたと思われていた[[ガスコイン神父]]の娘が豚に“致命”を決めた後、日本に渡ったのが雛子」だのと胡乱な悪ノリが広まったり、『Bloodborne』のパケ絵に映る狩人の後ろ姿と、霧の中に雛子が佇む『f』のビジュアルがそっくりなどというミーム災害まで発生している(あくまでも偶然だが)。***[[そういうゲームじゃねえからこれ!]]***
メタ的に考えれば、本作はシリーズ初の「[[銃火器>銃]]完全廃止・近接戦オンリーの戦闘システム」を採用しているため、近接戦闘力の向上は必然と言える。
ただし特定の武器を振り回していればよいわけでもなく、銃の残弾数管理と同様、各武器に設定されている耐久力を消耗しながら戦うことになるため、いかに狩りに優れていたとしても、本当にヤーナムのノリで無慈悲で血に酔ったプレイを続けると肝心な時に対抗手段を無くしかねない。そして本作のクリーチャーはドロップアイテムも経験値的リソースも持たないので実は**倒すメリットが全く無い**。故に、戦う時と引く時は間違えないようにしよう(特にサイレントヒルには**「皆殺しにしたからバッドエンド」の前例がある**、あまり戦うのもまずいかもしれない)。
タイトルの『f』に関しても、「friend」「family」といった真っ当な意味合いが見出される一方、雛子があまりにも逞しすぎる様子から「fight」や「full swing」なども半分冗談、半分本気で挙げられている。
*関連動画
**オフィシャルトレーラー
[youtube:ONp_2FNYqvM]
**発売日発表トレーラー**
[youtube:cd8jw9sBa8o?]
**ストーリートレーラー**
[youtube:p30RiPWMuu8?]
**ローンチトレーラー**
[youtube:Lt2fCTpzxTM?]
*関連タグ
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