皆さまこんにちは!ペンネです。
最近、本格的に寒くなってきましたね…。インフルエンザも全国的に流行って来ているので、マスクと手洗い、うがいを怠らないようにしたいですね!
先日、『Take Medicine~ダウナー系薬学生は意外とキャンパスライフを満喫している~』の第5話を投稿しました。
前回の「お薬コラム」でも解説した薬物代謝酵素にも関わる内容となっていますので、目を通していただけるとうれしいです!
さて、今回はお薬の吸収という段階で重要な役割を果たす「受容体」について解説していきますね!
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受容体とは、細胞膜の表面に存在するタンパク質のことです。細胞の外にある化学物質と結びつき、その情報を細胞内にシグナルとして伝達する役割を果たしています。
実は体の中で無意識的に行われる生体活動も受容体によって担われているものがあります。例えば、ホルモンの分泌による体の反応は受容体がそのホルモンを受け取ることによって引き起こされます。
そして、薬が作用を発揮するという現象の裏にもまたこの受容体が重要な役割を果たしているのです!
薬はそのほとんどが複数の分子から構成される高分子化合物です。そして、薬の分子が受容体と結びつくことによって、細胞のはたらきに変化が生じ、「薬が作用する」という現象が起こります。
ちなみに、薬の成分は、細胞がもともと持っているはたらきを促進するか抑制するかのどちらかのはたらきしか持ちません。
つまり、「細胞がもともと持っていない機能を薬によって添加することはできない」ということです!(※これ、地味に大事です!)
そして、細胞のはたらきを促進するものを「アゴニスト(Agonist=作動薬)」、抑制するものを「アンタゴニスト(Antagonist=拮抗薬)」といいます。
例えば、アンタゴニスト(拮抗薬)の成分が特定の受容体に結合すると、その受容体に結合して細胞のはたらきを活性化するほかの物質は結合できなくなります。
これによって、細胞のはたらきが活性化されるのを抑える効果が見られるということになります!
さて、受容体はタンパク質と最初に説明しましたが、タンパク質はアミノ酸が複雑に結合してできています。そして、アミノ酸の配列が異なるだけでまったく別の物質となってしまいます。
具体的には、側鎖にどのような構造を持つのかによってアミノ酸の性質が決まり、ほかの物質とひきつけ合ったり反発し合ったりします。
そして、薬の成分と受容体(タンパク質)を構成するアミノ酸どうしが相互に反応し合うことで、どの受容体に薬のどの成分が結合するのかが決まります。
つまり、薬の成分が体の中で正しく作用するためには、薬の成分と受容体の相互作用について理解しておくことが大切なのです!!
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いかがだったでしょうか?
ちなみに、同じ薬を長期間にわたって服用すると、同じ量の薬を同じタイミングで飲んでいたとしても効果が弱まることがありますよね。
実は、この現象(「脱感作」といいます)、受容体が関わっているのです!
受容体には、同じ分子が繰り返し結合し続けることで、細胞内へのシグナル伝達が減弱してしまうという性質があります。
これによって、薬の成分に対する感受性が低下してしまい、薬が効きにくくなることがあるということです!
受容体をはじめ、わたしたちの体はタンパク質によって構成されており、体の約20%ほどをタンパク質が占めているとも言われています。
そのような理由から、薬のほとんどはタンパク質に作用します。
タンパク質の構造は実に多彩で、立体構造を観察するだけでもワクワクしますね!(それはわたしだけ?)
本編の方では、近いうちに「総合感冒薬(風邪薬)」や「OTC薬」などの馴染みのある薬について取り上げることも予定しています!
「ちょっと堅苦しいし難しい…」と思われた方でもお楽しみいただけるように工夫をしていきたいと思います!!
以上、ペンネでした!