リュウールのバレンタイン大作戦
リュウールが、バラ園の奥の東屋で本を読んでいると、上級生と同級生がやってきた。
「先輩、私、先輩の事好きなんです。このチョコレート受け取ってください」
同級生の真剣な顔、先輩は、一言
「ありがとう、本当に僕で良いの?」
先輩は驚き、同級生は真っ赤な顔で頷く。
「わかった。付き合おう。このチョコレートは大事に食べる。新学期になって高等部の食堂で一緒にランチを食べよう」
「ありがとうございます、高等部のランチ楽しみにしていて良いですね」
「勿論だよ。あと2か月待っているよ」
先輩と同級生が、バラ園を後にする。
リュウールは、横で昼寝をしているミッシェルに
「なぁ、高等部のランチって何?」
「はぁー、リュウールは、知らないの?高等部になったら、Ωと女子はどこで勉強するかは知っているだろう」
「マリア棟だろう」
「正解、隔離される訳でそれでは、自由恋愛できない、番も見つからないだろ。それで、出会える機会を提案する為に高等部のランチを高等部の食堂で全員で取るんだ。ある意味集団見合いだなぁ」
「えっ、それじゃクラーブと会えるし食べれるんだな。楽しみだなぁ、話しもできると思えばあと少し我慢できる」
「リュウールの帰結点はやっぱりクラーブ様か、そうだよ」
「嬉しい、ありがとう、あっそうだ、チョコレートは何?」
「あれは、2月14日だからだろう」
「2月14日?」
「本当に、勉強以外は世間知らずだな君は」
ミッシェルが、苦笑する。
「悪かったなぁ」
リュウールが、拗ねながら言う。
「聖バレンタインだよ。好きな人に告白する事ができる日で、チョコレートや花束を持って告白するんだよ」
「あぁ、接見禁止が無かったら良いのに」
「来年だったら大丈夫だろう」
「来年ってまだまだ先ですだよ。早く来ないかなぁ。来年までしっかり覚えておかないと」
予鈴がなりリュウールとミッシェルは東屋から出て行った。
その日、リュウールが、帰る為に馬車へ乗ると、薔薇の花束とチョコレートがあった。そして何より彼の匂いがする手紙が置いてあった
Every time I think about you, I smile
嬉しくて、お菓子は、いつもはアリスにあげるが渡さなかった。ひとり彼を思い出しながら、ゆっくりとバラを観ながらチョコレートを食べた。
《一年後》
2月に入って、諸々の事情で忙しい中リュウールは、去年の事を思い出していた。
「サリー、チョコレートの美味しい店をしらないか?」
「知っているけど、もしかしてクラーブにか?」
「サリーも知っているの?」
「当たり前だよ、これでも高等部の頃は結構モテた、男女性徴関わらずにチョコレートはもらったよ」
「えっ、あれって何個も貰えるんだ。クラーブはどうだったんだろう」
「俺は、全て頂かずにお返ししたけど、俺の兄貴が学園時代に知らずにもらって付き纏われて大変だったと聞いたから、その気がないなら貰わずにいる方が良いって言っていたから、多分、クラーブも同じだったと思うよ」
「そう、僕が渡してもらってくれるかなぁ」
「君のだったら、絶対受け取るよ、心配するな」
そう言ってハーデン帝国で一番有名な洋菓子店に連れて行ってもらった。サリーから
「チョコレートは、ちょっとだけ媚薬成分があるから、たくさんはいらない、一つ二つで2人で一緒に食べて盛り上がるもんだよ」
と揶揄われる。リュウールは、、真っ赤になる。
「大丈夫ですよ、洋菓子店で使うカカオは成分そんなに高い物は無いですから」
と、ケイトさんに言われて益々赤くなるリュウールをサリーとケイトは周りに見せてはいけないと囲う。
だけど、リュウールは、三個入りのチョコレートを買った。
2月14日に現れたクラーブにあげれて嬉しくてたまらなかった。その日、2人がどれだけ盛り上がったかどうかは、誰も知らない。
ただ、2月15日からクラーブは、出禁となった。