概要
名前は笹原隆太。
とても整った顔立ち、でも言動はかなり変わってる。学校に来たり来なかったり、教室から突然いなくなったかと思えば、真顔で給食の献立を語り始める。
『嫌いなものは学校活動。好きなものは学校給食』
…そんな迷言?を吐く笹原だが、冬のとても寒い日に、彼は泣いている私に、ふっと真剣な顔をして言った。
「季節が変われば、きっと暖かい日も来るんだよ」と。
月下美人が咲く一夜の恋。世界最高所、k2から時を飛び越えた登山家。江戸の町へワープした修学旅行、炎に包まれた西湘バイパス、海に揺れる漁火、そして卒業式。
季節が巡るたびに不思議な出来事が起こり、時を超える”何か”に導かれるようにして私たちの物語は進む。
これは、ふつうの中学生だった“
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!静かで綺麗な物語が、そっと心に残る読書体験。
すごく読ませてくれる文章でした。言葉がすっと入ってきて、心地よくスラスラと読める。
優しさと品のある筆致で、不思議で綺麗な世界を見せてもらいました!
全体を通して、詩的で静謐な文体が非常に印象的で、
地の文や対話文が過剰に説明的になることなく、「わからなさ」や「余白」をそのまま残してくれるのがとても心地よかったです。
特に感情や成長の描き方が秀逸で、言葉ではなく、行動や表情、空気感を通して心の動きが伝わってくる描写に何度も引き込まれました。
物語を通して心に残るのは、やはり笹原隆太という存在ですね!
自由で不思議で、少し夢の中のような雰囲気をまといながらも、自分の軸をしっかりと持っている…続きを読む - ★★★ Excellent!!!春夏秋冬の旅へと誘う。
わずか数話のなかに四季折々の情緒を感じます。これは比喩ではありません。豊富な情景描写により、時間を越えた体験を読者に与える作品です。
物語は主な二人と関わりのある人たちで構成されており、サブタイトル毎に違った世界へ案内してくれるものです。あらすじにも書いている「おかしな男子」――彼が世界の中心であるのは間違いありませんが、同時に相方(?)である実夏の存在の大きさも捨て置けません。幻想的な、でも情景が見えるほど具体的な、そんな不思議な場所へ彼が連れていってくれる傍らで、彼女の抽象的な感情がうまく対比していると思いました。この辺りの繊細さは青春小説たらしめる立派な要因のひとつです。また基本…続きを読む - ★★★ Excellent!!!もう逢えないかもしれないから、現在を生きたくなる
僕は心を打たれて歌詞を送ってしまうほど、この話が好きだ。
そして歌詞を書くにあたって、穴が空くほど読んだ。六周はした。
この話のエッセンスはすべて歌詞に注ぎ込んだので、そちらを見てほしい。物語の最後に、優しい作者がエンディングテーマとして採用してくれたぞ。しかも、作中でも引用されて一粒で二度美味しい。感涙。
で、レビューでは何を書こうかと迷ったのですが、僕なりに考察したいことが出てきたので勝手に考察します。
それは、
『何故、笹原は学校(勉強)が嫌いなのに給食は好きなのか』
ということ。
普通に考えて、学校は嫌いだけど給食が好きって子はたくさんいると思う。そこを深堀りするのか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!時を越えて、時に寄り添う。
学校嫌い(でも給食は好き)なイケメン中学生、笹原隆太。
時を自ら飛び越えたり、もしくは誰かを飛び越えさせたりする不思議な力を持つ彼が、迷い、悩みながら生きる人たちにそっと寄り添い後押しする、温かな青春小説です。
季節ごとにエピソードが区切られていますが、どこを読んでも瑞々しく爽やかな情景描写を堪能でき、とても心地よい気分にさせてくれます。描写の勉強をしたい方におすすめです。
どのエピソードも読みやすいだけでなく、ささやかなメッセージ的なものも込められているように窺えます。読み手によって気に入りのシーンや心に残るフレーズが分かれそうで、どこに惹かれるかというのも興味深いですね。
個人的には…続きを読む