概要
※小説家になろう様、ステキブンゲイ様(短縮版)にも掲載中。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!腹を刀で斬られた若侍 妙に美しい顔を持つこやつはいったい何者なのか?
命を助けられた若侍は超マイペースなヘラヘラ男。なのに女性達や子供達に大人気なのはその美貌のせいなのか?
彼を助けた堅物のやもめ浪人は、家に居着いてしまったヘラヘラ男に翻弄されながらも、それまで持ち合わせていなかった考え方を学んでいく。
江戸時代、貧しくとも懸命に生きる人々の暮らしぶりとそこここに散りばめられたユーモアが相まってホロリとさせられる。
見出されていく小さな仕合わせや笑顔は何処へ向かっていくのか?
このストーリーはなり行きのようでありながらも実は初めから仕組まれていたものなのか?
どんどんと先を読みたくなる面白い作品です! - ★★★ Excellent!!!堅物なやもめ浪人と美貌の若侍が繰り広げる、江戸の情緒が香る人情劇
読み終わるのがもったいないくらい、江戸の情緒と人情のあふれる世界に浸りました。
長屋に住むやもめの浪人が、傷を負った若侍を助けたことから起こる人間の悲喜こもごも。堅物な主人公と、見た目だけは美しい謎の侍の軽薄さとの対照が鮮やかです。侍らしからぬ男に振り回される主人公のユーモアのあるぼやきが端々に散りばめられて、同情しながらもついつい笑ってしまう。この語りのなんともいえない可笑しみが魅力です。
江戸の町を本当に見ているかのような生き生きとした描写。下町の長屋の暮らしぶりや、四季を通して移り変わる江戸の景色。そして町人から医師や侍まで、ひと癖ある個性的な脇役陣。生活の匂いが伝わってくる描写に、彼…続きを読む - ★★★ Excellent!!!江戸の人情とミステリが巧みに織り交ぜられた時代小説
この小説の主人公、向井親信(むかい ちかのぶ)は妻を亡くし、幼い娘と息子を育てる浪人です。生活に苦労はありながらも平和に暮らしていたある日、彼の家に傷を負った若侍の幸之進を匿ったことから、親信親子の生活が一変します。
江戸時代の風景や長屋の人情が詳細に描かれており、そこに幸之進の謎めいた背景が絡んで、最後まで読者を飽きさせません。
生真面目で不器用な親信と、飄々として掴みどころのない幸之進の対照的な性格が物語を一層面白くしています。また、幼いながらもしっかり者の親信の娘、加乃が物語に彩りを添えています。
この小説は時代小説とミステリの要素を兼ね備えており、どちらのジャンルが好きな方…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この出遭いがもたらすものは不幸かはたまた幸いか?
妻に先立たれ、未だ幼い娘と息子を手習所の師匠としての収入でなんとか養う浪人、向井親信(むかい ちかのぶ)。ある日いつものように仕事を終えた彼が裏長屋へ帰ってくれば、家の中に刀傷をつけた見知らぬ男が倒れているではないか。武士と思しきその男は目覚めた後に幸之進(ゆきのしん)と名乗り、なぜか長屋に居着いてしまって……
本作は子持ちのやもめ浪人と謎の若侍、ふたりを中心に据えたお江戸人情物語です。所謂陰キャな親信さんに対し、幸之進さんは陽キャ。陰が陽に勝てないのは世の常というものですが、知らない若造に生活を侵略されてしまう親信さんの悲哀、それを描き出す筆が実に軽妙なのです。これはキャラクター力だ…続きを読む