焦点を持たない詩篇

世界観を語るのに必要な文字数は、そう多くなくていい。
五つの詩篇を読んで素直にそう思いました。

特に好きなのが『ポテトサラダと葛藤の群青』
とあるワンシーンに視点が合っているのに、その周りは水で濡れたようにボヤけて不鮮明。

けれどそれが一つの世界として成立し、余韻さえ残している。

これが詩であり、短編との違いなのかな、と個人的には思っております。

五つの世界に触れる詩。
ぜひ一読をお勧めします。

そうか、詩には作法があるのだった、と。
今更ながらに思い出してみるが。

定型詩であれ散文詩であれ。

読み手としては、実はそんな事にはあまり
頓着していない。それよりも重要なのは、

　　読んだ者の心を、どれだけ強く

　　　　　　　　掴む　か。

　その　一点　のみ。

逆に、初手より焦点を結ばない構えで
自由に紡がれ、謳われ、描かれる詩篇は
文字が自ずから　焦点　を顯かにする。

　　共鳴すれば、連れて行かれるだろう。

浅く読めば、何一つ解らない様に。

文字は又、自らの　焦点　を隠蔽する。
書く、という事に於いての真摯と研鑽が
文字と文字との繋がりに光る。



僥倖。或いは、賜物…続きを読む

興味深く、面白い。
まるで芸術的感性による大人が読む絵本。
シュルレアリスムを感じる、ダリの絵を見ているかのような世界観です。
一つ一つがヒエロニムス・ボスが描く「快楽の園」のキャラクターの心情や体験を見ているかのように、想像力が膨らみます♪