「壊れた傘」とのたった一度の出会いを通して、日常の中に潜む“別れ”や“優しさ”を描き出す筆致が見事でした。何気ない出来事をここまで印象深く描けるのは、作者の観察力と感性の鋭さゆえだと思います。 淡々と進む中に、ふっと胸の奥をくすぐるような切なさがあり、読み終わった後は静かに心が温まるようでした。短い物語だからこそ、一文一文が丁寧で、読後に残る余韻が長く続きます。 静かな雨上がりの午後に、ぜひ読んでほしい一作です。
世の中には、あいまいなものがいっぱいある。この物語は、その「あいまいさ」に寄り添う――壊れた傘との小さな散歩の記録だ。雨の中で見つけた一本の黒い傘。骨が折れ、もう役に立たないはずなのに、不思議とよくしゃべる。主人公と傘は軽口を交わしながら、ゴミ置き場へと歩いていく。ほんの数分の道のり。ただ、それだけの物語。けれど、その中に、日常に潜む“ちょっとした哲学”が見え隠れする。「下を向くなよ」――曖昧な僕と、曖昧な傘の、ほんのひとときの散歩。ぜひ、読んでほしい。
主人公が拾った傘を捨てに行く話です。ただし、この傘は喋ります。それもただのお喋りではありません。とても良い話を軽妙に語るのです。人は、あたりまえのことに目を向けません。だって、あたりまえだから。でも。あたりまえは、つまらない事ではありません。良くないことでもありません。本当は、なくてはならないものなのです。多くの気づきと、寓意に満ちた物語です。でも気軽に読める物語でもあります。読んだらどんな気分になるか気になりませんか?私は是非にと、お勧めしますよ。
他人を思いやれる少年へ、自然の精霊たちが傘を借りて、語りかけてきたのかもしれません。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(79文字)
当然のように主人公が会話する世界観にん?ってなった後、二人の不思議でユーモアのある会話が癖になりました笑
傘とのちょっと不思議なやりとりが静かで切なくて、でも最後には前を向ける感じがすごく良かった。空を見上げるっていう何気ないことが、こんなに大事に思えるなんて思わなかった。虹のシーンはじんわりくる。傘の言葉が心に残るし、自分も下ばっか向いてたなって、ちょっと反省。読んだあと、なんとなく空を見上げたくなる物語だった。
おもむきのあるものがたり。一読の価値あり! です(*^-^*)
会話のテンポが軽快!読んでて惹き込まれます!
全身びしょ濡れな主人公。相棒は壊れた傘。ユーモアと切なさで溢れた会話。切ないけど、とても優しい世界。みんながこの主人公みたいに、誰かのことを考えることができたら世界はきっと変わるのに。
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