デボラ・マウジー公爵令嬢は婚約破棄の末、隣国フォルクス王国のシスレー侯爵へ政略結婚として嫁ぎます。愛なき結婚の末、彼女は人質として扱われることに。ですがデボラは冷静に最善の選択をしながら、侯爵家で自身の立場を確立しようとします。彼女を追放した王太子アーロンは自滅しますが、デボラ自身は復讐に興味を持たず、新しい環境で生き抜くことを優先します。
恋愛が単なる感情のやりとりではなく「信頼の構築」と「政治的駆け引き」に絡めて描かれている点が本作の特徴です。デボラとシスレー侯爵の関係は「交渉」から始まり、慎重に距離を縮めていきます。彼女の知性と冷静さが物語に深みを与え、単なるロマンスとは異なる戦略的な展開が繰り広げられます。知的な駆け引きを伴う異世界恋愛として、一線を画した作品だと感じました。